JP4006674B2 - 方位計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、平面コイルと薄膜磁気抵抗効果素子(以下、略して、磁気抵抗素子とも言う)を重ね合わせて用いた扁平型方位計、特に小型、軽量であり、モバイル機器に好適な方位計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気抵抗素子はその磁化容易軸方向に電流を流したときに、それに直角な方向に磁界を印加すると、電流の方向での電気抵抗は磁界の大きさによって減少する磁気抵抗効果を持つ。電気抵抗(以下、略して、抵抗とも言う)と印加する磁界強度との関係は、図17のようになる。
【0003】
Hkを飽和磁界とすると磁気抵抗素子に1/2・Hk程度のバイアス磁界を印加した状態では、外部磁界と抵抗とはほぼ直線関係にある。このように一定のバイアス磁界を印加した状態で、この外部磁界と抵抗との直線関係を利用すれば外部磁界の大きさを抵抗値に依って読み取ることができる。地磁気の直交する2成分の各々を、適当なバイアスを印加した2群の磁気抵抗素子群で読み取り、演算すれば測定地点での方位を測定することができる。
【0004】
4個の直交する磁気抵抗素子91,92,93,94を図18のようにMRブリッジに組み、図19に断面模式図、図20に外観図を示すように、磁気抵抗素子の電流方向に対して45°の角度になるように2つの直交するバイアス磁界を印加できるように2個のバイアスコイル101,102を磁気抵抗素子の外部に付けたホルダーに巻き付けた方位計が用いられている。
【0005】
方位を測定する際には、一方のバイアスコイル101(x方向コイルとする)によって、MRブリッジになった4個の磁気抵抗素子91,92,93,94に+x方向バイアスを印加しながら、MRブリッジになった磁気抵抗素子間の中間電位差を測定し、次に同じバイアスコイル101によって磁気抵抗素子に−x方向バイアスを印加しながら、磁気抵抗素子間の中間電位差を測定する。+x方向バイアス印加時と−x方向バイアス印加時の中間電位差同士の差を求めると、この差が地磁気の水平分力とx軸方向との角度θの正弦と比例したものになる。
【0006】
次に他方のバイアスコイル102(y方向コイルとする)によって、フルブリッジになった4個の磁気抵抗素子91,92,93,94に+y方向バイアスを印加しながら、MRブリッジになった磁気抵抗素子間の中間電位差を測定し、次いで同じバイアスコイル102によって磁気抵抗素子に−y方向バイアスを印加しながら磁気抵抗素子間の中間電位差を測定する。+y方向バイアス印加時と−y方向バイアス印加時の中間電位差同士の差を求めると、この差が地磁気の水平分力の方向θとはsin(π/2−θ)に、すなわち角度θの余弦と比例する。
【0007】
これらy方向出力Vyとx方向出力Vxから地磁気の水平分力の方向
θ=tan-1Vx/Vy
として、方位が測定出来る。
【0008】
しかしながら、実際には、磁気抵抗素子への印加磁界と抵抗との関係にはヒステリシスがあり、図17に示したものよりも、むしろ図21のようになる。印加磁界強度を上げていくと図21の上のカーブを辿り飽和となり、そこから印加磁界を下げていくと下のカーブを辿る。
【0009】
そこで、方位を測定する際に、このヒステリシスの影響を考慮して、バイアス磁界を印加する前に飽和磁界を印加しておくことが行われている。
【0010】
例えば、特開平5-157565号公報にあるように、上で説明した磁気抵抗素子と2つの直交するバイアスコイルからなる方位計を用いて方位を測定する際に、+x方向に飽和磁界Hkを印加し、次いで+x方向バイアス磁界Hbを印加しながら磁気抵抗素子間の中間電位差を測定する。そして同じバイアスコイルによって−x方向に飽和磁界−Hkを印加し、次いで−x方向バイアス磁界−Hbを印加しながら磁気抵抗素子間の中間電位差を測定する。このようにして求めた+x方向バイアス印加時と−x方向バイアス印加時の中間電位差同士の差をx方向出力Vxとする。
【0011】
次に他方のバイアスコイルによって、+y方向に飽和磁界を印加し、次いで+y方向バイアスを印加しながら磁気抵抗素子間の中間電位差を測定する。そして同じバイアスコイルによって−y方向に飽和磁界を印加し、次いで−y方向バイアスを印加しながら磁気抵抗素子間の中間電位差を測定する。このようにして求めた+y方向バイアス印加時と−y方向バイアス印加時の中間電位差同士の差をy方向出力Vyとする。これらVxとVyから上記と同じように方位を測定するものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上で説明したMRブリッジに組み立てた4個の直交する磁気抵抗素子は一枚のセラミック基板上にNi系合金膜を蒸着し、エッチングによってつづら折り状の各磁気抵抗素子として形成することができる。そのために極めて小さく、また薄いものとすることができる。しかし、それをx方向、y方向に取り巻いて形成した2個のバイアスコイルは磁気抵抗素子ブリッジの外周に設けられているために、厚さが3mm程度で面積が10mm×10mm程度の物となっていた。
【0013】
また、方位を測定する手順を上で説明したが、x方向コイルで+x方向と−x方向のバイアスを印加して測定し、y方向コイルで+y方向と−y方向のバイアスを印加して測定し、その後演算するので4回の測定が必要なものであった。
【0014】
更に、ヒステリシスの影響をなくすために、バイアス磁界を印加する前にバイアス磁界と同じ方向の飽和磁界を印加することが行われている。飽和磁界を印加した後に同じ方向のバイアス磁界を印加すると磁気抵抗素子の抵抗と磁界曲線の勾配が小さくなって測定する出力が低くなってしまう。
【0015】
そこで、本発明の目的とするところは、厚さを極めて薄く且つ面積を小さくすることのできる方位計を提供することである。
【0016】
また、本発明の他の目的は、従来よりもコイルへの通電回数を減らし、測定回数を少なくすることのできる方位計を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の方位計は、例えば、四角形の形状に巻回した平面コイルと、その平面コイルの面にほぼ平行に、少なくとも2群の薄膜磁気抵抗素子群を配置し、前記磁気抵抗素子群の各々が、偶数個の磁気抵抗素子を導通してMRブリッジを構成するようにすると共に、地磁気の直行する2成分を検知して出力し、これら出力値から方位情報を得るものにおいて、平面コイルに所定方向の電流を流して前記磁気抵抗素子の磁化が飽和する以上の磁場を印加した後、これとは逆方向の一定のバイアス磁界を印加し、次に前記所定方向とは逆方向に磁気抵抗素子の磁化が飽和する以上の磁場を印加した後、これとは逆方向の一定のバイアス磁界を印加する手段と、前記バイアス磁界印加に合わせて薄膜磁気抵抗素子群に磁場測定電流を流す手段を備えたものである。
【0018】
好ましくは、一つの電源を利用して磁気抵抗素子の磁化が飽和する以上の磁場を印加する場合に、事前に当該電源からの電流を利用して充電したコンデンサ電荷による放電圧を重畳して平面コイルに電圧を印加する回路構成とする。
好ましくは、各磁気抵抗素子長手方向とその近傍の平面コイルの一辺とのなす角度βが、sinβxcosβ≠0となるものであり、磁気抵抗素子の印加磁場に対する抵抗値変化が極小となる近傍の印加磁場特性を利用する。
【0019】
1群の薄膜磁気抵抗素子群が、前記四角形の対辺に各々2個ずつをその辺に交差するように配置した磁気抵抗素子を導通して構成したものであり、他の1群の薄膜磁気抵抗素子群が、前記対辺とは別の対辺に各々2個ずつをその辺に交差するように配置した磁気抵抗素子を導通して構成したものであり、同一の辺に配置する2個の磁気抵抗素子の長手方向同志は、ほぼ直交するものとする事が優位である。
【0020】
βは、好ましくは、約45度、約135度、約225度、あるいは、約315度のいずれかである。各磁気抵抗素子について、その磁気抵抗素子長手方向が各辺と交差する角度のバラツキが±5°以内であることが好ましい。必要な場合には、地磁気の直交2成分を各々で検知して出力し、これら出力値から方位情報を得るものにおいて、正方向にバイアスを印加して得た出力と負正方向にバイアスを印加して得た出力との差を出力する回路を付加することができる。
【0021】
平面コイルに所定方向の電流を流して前記磁気抵抗素子の磁化が飽和する以上の磁場を印加した後、これとは逆方向の一定のバイアス磁界を印加して磁場を測定し出力を得て、次に前記所定方向とは逆方向に磁気抵抗素子の磁化が飽和する以上の磁場を印加した後、これとは逆方向の一定のバイアス磁界を印加して磁場を測定して出力を得ることを2回以上行ない、これら出力値から方位情報を得るものとすることができる。
【0022】
本発明の方位計では偶数個の磁気抵抗素子を導通してMRブリッジを形成するようにする。本発明で「MRブリッジ」というのは、たとえば、四角形状に巻回した平面コイルの一辺とその対抗する辺の各々に磁気抵抗素子A,Bを配置し直列に接続する。前記一辺には、磁気抵抗素子Aと直交する別の磁気抵抗素子Cを、また、その対抗する辺には、磁気抵抗素子Bとは直交する別の磁気抵抗素子Dを配置して、磁気抵抗素子Cと磁気抵抗素子Dを直列に接続する。磁気抵抗素子AとBの中間地点の出力V1と磁気抵抗素子CとD中間地点の出力V2との電位差を出力するように構成したものである。本発明では、一群の磁気抵抗素子群ともう一つの磁気抵抗素子群の各々が一般には直交する2方向の地磁気の成分を検知しこれら出力によって方位情報を得る。このようにすることに依って、抵抗に対する印加磁場のヒステリスの影響を少なくし、出力に混入するノイズを除去する事ができ、出力の絶対値も大きなものとする事ができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の方位計について、実施例の平面図を図1に示している。図1で1は四角形状コイルであり数十回巻回したものである。この平面コイル面の同じ側に、この図では下側に、この平面コイル面と平行な平面内に磁気抵抗素子対2,3,4,5が4組設けられている。磁気抵抗素子対2,3,4,5それぞれは2個の磁気抵抗素子21と22,31と32,41と42,51と52からなっている。
【0024】
磁気抵抗素子対2の一方である磁気抵抗素子21の長手方向は平面コイル1の1辺11のみと約45°で交差している。磁気抵抗素子対2の他方の磁気抵抗素子22の長手方向は平面コイル1の対辺すなわち辺12のみと約45°で交差している。そして、磁気抵抗素子21の長手方向は磁気抵抗素子22の長手方向とほぼ直角となっていて、これら磁気抵抗素子21と22の一方の端部(この実施例では平面コイル1の内側にある端部)同士は接続されている。他の磁気抵抗素子対3,4,5についても、各一方の磁気抵抗素子31,41,51の長手方向は平面コイル1の1辺12,13,14それぞれのみと、各他方の磁気抵抗素子32,42,52の長手方向は平面コイル1の対辺11,14,13それぞれのみと、約45°で交差している。そして、磁気抵抗素子31,41,51それぞれの長手方向は、磁気抵抗素子対のそれぞれの対応する磁気抵抗素子32,42,52の長手方向と直角となっていて、磁気抵抗素子31と32の一方の端部(この実施例では平面コイル1の内側にある端部)同士、磁気抵抗素子41と42の一方の端部(この実施例では平面コイル1の内側にある端部)同士、磁気抵抗素子51と52の一方の端部(この実施例では平面コイル1の内側にある端部)同士それぞれが接続されている。また、平面コイル1の1辺11と交差している2個の磁気抵抗素子21と32はその長手方向が直角となっている。同様に辺12,13,14と交差しているそれぞれ2個の磁気抵抗素子22と31,41と52,42と51はその長手方向が直角となっている。
【0025】
この方位計は基板上に、磁気抵抗素子を形成し、さらに平面コイルを形成している。基板の厚さは0.7mmである。基板上に成膜した磁気抵抗素子や平面コイルなどの薄膜の部分の厚さは、40〜50μm である。基板の縦横寸法は3mm×4mmである。
【0026】
図1に示した方位計の実施例をよりよく理解できるように、その模式図の展開斜視図を図2に、磁気抵抗素子の結線図を図3に、また、これら磁気抵抗素子、平面コイルを駆動する回路構成の例を図4に示す。図2から判るように、平面コイル1に直流電流を流したとき、平面コイル面に平行な面には、コイルの内側から外へ、あるいは外から内側へ向いた直流磁界が生じるので、磁気抵抗素子対に直流磁界が印加されることになる。図3で平面コイル1に右回りの電流Ibが流れると磁気抵抗素子21,32にはx方向の磁界が、磁気抵抗素子22,31には−x方向の磁界が、磁気抵抗素子41,52にはy方向の磁界が、磁気抵抗素子42,51には−y方向の磁界が印加される。平面コイル1にそれとは反対方向の電流−Ibが流されると各磁気抵抗素子には先ほどと反対方向の磁界が印加される。要すれば、磁気抵抗素子21,22,31,32で一つのMRブリッジを形成し、磁気抵抗素子41,42,51,52で、もう一つのMRブリッジを形成している。
【0027】
磁気抵抗素子の長手方向に電流を流すときに、磁気抵抗素子面で長手方向と直角方向に磁界を印加した場合、磁気抵抗素子の抵抗は図17ように磁界の大きさに応じて減少し、その磁界の印加方向によって図21のようにヒステリシスが生じる。
【0028】
本発明のように、磁気抵抗素子を平面コイルの辺と45°で交差している場合は、長手方向の直角方向に対して45°の方向に外部磁界が印加されることになる。その場合磁気抵抗素子は長手方向に形状磁気異方性があり、形状磁気異方性磁界と外部磁界の合成ベクトルが磁気抵抗素子に印加されたのと同じになる。そのために、磁気抵抗素子に外部磁界を印加したときの外部磁界と抵抗の関係は図10に示すグラフのようになる。図10では正方向に大きな磁界を掛けておいて、徐々にその掛けている磁界の大きさを小さくしていったときの抵抗の変化(a)と、逆方向の変化(b)を示している。正方向に大きな磁界を掛けておいて徐々にその掛けている磁界の大きさを小さくしていったとき印加磁界が負になったときに極小の抵抗を持つので、負で所定の大きさの磁界を印加しているときに、印加磁界の変化に対する抵抗の変化率が最も大きくなる。負方向に大きな磁界を掛けておいて、次第に印加磁界を大きくしていった場合には、正で所定の大きさの磁界を印加しているときに、印加磁界の変化に対する抵抗の変化率が最も大きくなる。
【0029】
そこで本発明において、図1〜3に示す第一実施例の方位計を用いて方位を測定するに際して、平面コイル1に直流電流を図3で右回りに流して、磁気抵抗素子21〜52が長手方向と直角方向に飽和する大きさの直流磁界を磁気抵抗素子21〜52に印加し、その直流電流と反対向き(図3で左回り)で所定の大きさの直流電流をその平面コイル1に流して磁気抵抗素子の長手方向と直角方向にバイアス直流磁界を印加している間に、磁気抵抗素子対の各磁気抵抗素子の他方の端部同士間に測定用電圧Vccを印加して、接続されている端部から中間電位出力を取り出す。図3で右回りに直流電流を流して、磁気抵抗素子21〜52の長手方向と直角方向に飽和する大きさの直流磁界を磁気抵抗素子21〜52に印加すると、いずれの磁気抵抗素子も図10のグラフの右端の状態となる。直流電流を減少させるか、あるいは切って、その直流電流とは反対向き、図3で左回りであって、印加磁界に対する抵抗変化率が最大となる付近の大きさの磁界、すなわち、所定の大きさの直流電流による直流磁界を印加しておいて、磁気抵抗素子同士の接続されている端部から中間電位出力を取り出す。いま地磁気の水平成分の大きさをHeとして、その地磁気の水平成分Heのx軸となす角度をθとする。磁気抵抗素子21と磁気抵抗素子22の中間電位出力は、
Vcc ・(1/2 −1/(2・Rb) ・βHecos θ)
となる。なお、ここでβは抵抗の磁界に対する変化率であって、Rbはバイアス磁界Hbのみが印加されているときの磁気抵抗素子の抵抗である。
【0030】
この実施例では、磁気抵抗素子対2と磁気抵抗素子対3の接続されている端部の中間電位出力の間の差を図3のVxとして取りだしているので、中間電位出力差Vxは
Vx(+)= Vcc・((1/2 −1/(2・Rb) ・βHecos θ) −(1/2+1/(2 ・Rb) ・βHecos θ))
= −Vcc ・1/Rb・βHecos θ
となる。
【0031】
同様にして、磁気抵抗素子対4と磁気抵抗素子対5の接続されている端部の中間電位出力の間の差を図3のVyとして取りだしているので、中間電位出力差Vyは
Vy(+)= Vcc・((1/2 −1/(2・Rb) ・βHesin θ) −(1/2+1/(2 ・Rb) ・βHesin θ))
= −Vcc ・1/Rb・βHesin θ
となる。
【0032】
次に、平面コイル1に前述した方向と反対向き(図3で左回り)に直流電流を流して、磁気抵抗素子21〜52が長手方向と直角方向に飽和する大きさの直流磁界を磁気抵抗素子21〜52に印加し、その直流電流とは反対向き(図3で右回り)で所定の大きさの直流電流をその平面コイル1に流して磁気抵抗素子の長手方向と直角方向にバイアス直流磁界を印加している間に、上と同様に磁気抵抗素子対の各磁気抵抗素子の他の端部同士間に測定用電圧Vccを印加して、接続されている端部から中間電位出力を取り出す。このときに印加する磁界の大きさは、絶対値で上とほぼ同じ大きさの磁界とすると、印加磁界に対する抵抗変化率が最大となる。
【0033】
この場合の磁気抵抗素子対2と磁気抵抗素子対3の接続されている部分の中間電位出力の間の差を図3のVxとして取り出すと、中間電位出力差Vxは
Vx(-)=Vcc ・1/Rb・βHecos θ
となる。また、磁気抵抗素子対4と磁気抵抗素子対5の接続されている端部の中間電位出力の間の差を図3のVyとして取り出すと、中間電位出力差Vyは
Vy(-)=Vcc ・1/Rb・βHesin θ
となる。
【0034】
これらの両中間電位出力差をx方向とy方向について差を求めると、
x方向のV=Vx(+)−Vx(-) =−2Vcc・1/Rb・βHecos θ
y方向のV=Vy(+)−Vy(-) =−2Vcc・1/Rb・βHesin θ
となるので、地磁気の水平成分がx軸となす角度θは
θ=tan−1(y方向のV/ x方向のV)
として求めることができる。
【0035】
以上の説明から明らかなようにある方向に直流電流を流しているときに、磁気抵抗素子対2と3及び磁気抵抗素子対4と5の2組ずつにx方向とy方向のバイアス磁界を印加したときの中間電位出力差を同時に求めることができるとともに、反対方向に直流電流を流しているときに、磁気抵抗素子対2と3及び磁気抵抗素子対4と5の2組ずつに−x方向と−y方向のバイアス磁界を印加したときの中間電位出力差を同時に求めることができる。
【0036】
以上の実施例の説明では、磁気抵抗素子と平面コイルの各辺とが交差する角度をπ/4すなわち45°として説明したが、この交差する角度は0°よりも大きく60°以内であれば方位を測定出来る。しかしながら、角度が小さすぎると図10の極小値近傍で抵抗の磁界に対する変化の大きい領域が狭まり、適当なバイアス磁界の設定が難しくなるため、45°のときが最も取り扱いやすい。
【0037】
また、平面コイル1の1辺と交差している2個の磁気抵抗素子の長手方向が互いに直角になっているもの、1組の磁気抵抗素子対の2個の磁気抵抗素子の長手方向が互いに直角となっているものについて上の実施例では説明したが、お互いが非平行であればよい。しかし、直角となっているものが最も扱いやすい。なお、磁気抵抗素子と辺の交差角度は、素子対においてミラーイメージ(鏡像)の関係にすることが好ましい。ミラーイメージの関係に近づけると出力のバラツキが低減されて正弦波状になる。そこで、磁気抵抗素子対において、磁気抵抗素子が各辺と交差する角度の差は±5°以内とする。さらに好ましくは、方位計の全ての磁気抵抗素子について、各々の磁気抵抗素子が各辺と交差する角度のバラツキを±5°以内とする。
【0038】
平面コイルについては、外寸2〜3mmで50〜100ターンの平面コイル
を作製したところ、十分な出力が得られた。一方、コイル寸法は消費電力を小さくするためにできるだけ小さい方がよい。
【0039】
低い電源電圧で必要な磁界を発生させるためには、コイルの抵抗を低くすることが最も効果的である。コイル抵抗は膜厚と線幅と長さで決まるが、長さはコイル寸法によるところが大きい。線幅と膜厚はできるだけ大きい方がよいが、膜厚は導体間スペースによって規定される。導体間スペースの制約の中で、膜厚は厚い方が好ましいが、製造上メッキ厚が厚すぎるのは好ましくない。そのために2〜5μmが適当である。また線幅はそれに伴い8〜20μmが適当である。
【0040】
平面コイルと磁気抵抗素子の間隔は、本発明では平面コイルの極近傍の磁界を利用するのでできるだけ近い方が好ましい。その間に挿入されている絶縁膜厚の絶縁性を考慮し、磁気抵抗素子と配線膜の膜厚の1.5倍程度とすると良い。この間隔は0.5〜2 μmが適当である。
【0041】
上で説明した各実施例は、基板上に磁気抵抗素子を設け、その上にコイルを積層している2層型である。磁気抵抗素子あるいはコイルを増やすこともできる。例えば、基板上に磁気抵抗素子/コイル/磁気抵抗素子の順に積層した3層型とすると、出力を2倍にできる。また、基板上にコイル/磁気抵抗素子/コイルの順に積層した3層型とすることもできる。更に、平面コイルのある平面と平行な複数の平面に磁気抵抗素子を設けることも可能である。
【0042】
コイルの形状には、平行四辺形状あるいは長方形、十字型がある。特に正方形の平面コイルを用いて本発明を以上説明したが、他の形状の平面コイル1でもよい。
【0043】
以下、磁気抵抗素子の駆動回路と磁気抵抗素子の作動について、更に詳細に説明をする。
図10は、先に説明したように、電流と印加磁界方向が45度の角度を持つ時の磁気抵抗素子の抵抗-印加磁界特性を示す図である。本発明では、本図に示す特性を使用する。
図11は、本発明の磁気抵抗素子の動作原理を説明する図である。14,16で示す動作点での印加磁界変化に対する曲線の傾き、すなわち感度は、図17に示した曲線の傾きより大きく、したがって素子の長手方向(電流方向)と45度をなすように使う事で、高い感度が得られることが分かる。番号で示した点での動作を以下に説明する。
A)負側に飽和磁化Hk以上に大きく磁界を印加する点を13で示した。ここでは、磁気抵抗素子の磁区を一方向にそろえることになる。
B) 正側にバイアスを印加する点を14で示した。外部磁界がゼロでは抵抗値20であが、外部磁界18があると抵抗値は21となる。
C)正側に飽和磁化Hk以上に磁界を印加する点が15であり、点13と反対側の向きに磁気抵抗素子の磁区をそろえることになる。
D)負側にバイアス磁界を印加する点が16である。外部磁界17(18と同じ向き同じ大きさ)があると抵抗値は19となる。
外部磁界の無い場合の抵抗値20に対して19と21の抵抗値の変化が得られる。この差が抵抗値22となる。MRブリッジ接続された4つの磁気抵抗素子のうち二つはこのように動作し、他の二つは外部磁界に対し向きが反対に配置され、符号が逆で22と同じ大きさの信号を得る事が出来る。
【0044】
図4は、本発明に使用する駆動回路の例を示すものである。
菱形は磁気抵抗素子4本からなるMRブリッジ回路である。出力をCMOS オペアンプで約100倍に増幅する。センサコイルのYからXに流れる電流を正電流とすると、図5の タイミングチャートに対応する。
A)左の枠内コンデンサは、抵抗(Isr set)を通してVdd0(正電圧)とVss(負電圧)の絶対値の合計電圧で充電されている。A,Bはlowレベルに保っておく。INHをlowレベルにするとマルチプレクサX,Y端子がそれぞれX0,Y0に接続され、コイルにはXからYに向かってパルス電流が流れる。
B)ポートBをhighレベルとすると今度はマルチプレクサX,Y端子がそれぞれX2,Y2に接続され、コイルにはYからXに向かって電流が流れる。ここで2つのMRブリッジの出力を取り出す。 INHをhighとしてバイアス電流を切る。この間にもコンデンサCは再充電されている。
C)ポートAをhighにする。そこでINHをlowにするとX3からY3にパルス電流が流れる。
D)ポートBをlowとするとX1,Y1が接続され、負方向に電流が流れる。再度2つのMRブリッジの出力を取り出す。INHをhighとしてコイル電流を切る。
2回の測定値をそれぞれ引き算して各方向の磁界の測定が行える。
実際の回路の電圧波形およびコイル電流の波形を図6に示す。
真中のINHをやめても同じ動作は可能であり、この場合のタイミングチャートを図9に示す。
【0045】
この図4で示した回路はコイル抵抗が大きいため電源電圧だけでは充分なリセット電流を流せないため、極性の異なる別電源が必要であった。この問題を解決するために改良した回路を図7に示す。MRブリッジ以降の構成は、図4と同じであるが、コイルの駆動法が異なる。動作を説明するタイミングチャートは図8に示した。
図4の回路ではVdd0とVssの2つの電源が必要であった。この点を改良した回路が図7で示すものである。電源を一つにするために、コンデンサに充電された電圧をもとの電圧に積み重ねて、高い電圧を簡単な回路で得ることが特徴である。マイコンのポートは2つ(A, B)必要であり、片方のポートAは通常はhighレベルに保つが、このセンサを使うときにはlowレベルとする。コイルの駆動はNORゲート4個(ICにして1個)、X出力はブリッジとオペアンプの電源のON/OFF出力となっている。接続法や動作は図4の回路と同じである。 B入力をlowにしておく。ここでAもlowにして、アンプとブリッジの電源を供給する。Y側はlowレベル、Z側はhighレベルとなる。Z側からRs2とコイル、Rs1を通ってY側に電流が流れる。このためRs1,Rs2、コイルには電圧が加わる。この電圧により、数十μ秒後には、C1のRs1側は負に,C2のRs2側は正に充電される。この電圧はYZ出力に対してコンデンサがたすきがけ(ブリッジ)となっているため、両コンデンサの絶対値電圧の合計は電源電圧と同等かややそれより大きい電圧となる。
B入力をhighとする。Y,Z出力とも反転し、Yがhighに、Zがlowとなる。このため、Y端子につながったC2のRs2側は、先ほどまで充電されていた電圧が加わり、電源電圧の1.5倍ほどの電圧となる。逆にZ側につながったC1では電源電圧の0.5倍ほどのマイナス電圧が発生している。コイルにはこの両者の差電圧、すなわち電源電圧の2倍程度が印加される。この結果コイルにMR素子の磁化を飽和させるに充分な磁界を発生させる事が出来る。図11で示す点13に相当する。コンデンサに蓄えられた電荷は約2μ秒で放電し、今度はYからZ方向にコイル電流が流れる。この電流値は図11の動作点14に相当し、Rs1、Rs2、コイルの抵抗値と電源電圧によって決定される。このとき先程とは逆向きにC1,C2に充電されている。この間に2つのMRブリッジ出力電圧を増幅測定する。測定が終わったら今度はB入力をlowとする。Yがlowに、Zがhighとなる。逆向きに充電されていた電荷は、逆向きにパルス電流を発生させる。図11の作用点15に相当する。放電が終わってから、Rs1,Rs2,コイル抵抗で決まる電流が、ZからYに流れる。動作点16に至る。ここで再び2つのMRブリッジの出力を測定する。測定が終了したら、Aをhighに戻す。図6に示した回路は動作を停止する。あとは、2つの方向の磁界に対応する2つの出力それぞれの差をとり、磁界の測定値を得る。その後演算を行い、方位表示を得る。
【0046】
実際のコイル電流の測定値を図14に示す。正負の大きなパルスが図11の作用点15,13に対応する。正負の平らな部分が作用点14,16に対応する。
ここで増幅されたアナログ電圧をそれぞれの方向で合計4回測定する。図15はその最初の部分の拡大図である。負の大きなパルスが図11の点13に相当する。コイル抵抗は200Ω、電源電圧は3Vであり、23mA流れている。コイル電圧は電源電圧以上の4.6Vかかっていた事になる。
パルス幅はC1,C2によって変えられ、大きい方が確実な効果があるが、時間がかかり電流消費も大きい。実験的にはC1、C2=22000pFを用い、約2μ秒の時が良かった。
【0047】
更なる改良を次に説明する。
IC出力の反転に時間がかかる場合があるが、そのときには、コンデンサの蓄えられた電荷が、必要としているコイル以外にRs1,Rs2にも流れてしまう。抵抗は電圧に対して電流が比例して増加することが 原因であるから、電圧が上昇しても電流の増加しない双方向の定電流素子をRs1,Rs2の代わりに入れればよい。具体的には図16の回路で、その特性を図22に示した。使用した接合型電界効果トランジスタは、2SK170、抵抗 は33Ωであった。約4mAの定電流特性である。この結果、Rs1,Rs2を用いたときは、ICを流れるピーク電流値が約48mAであったものが32mAとなった。
なお、得られたX,Yの磁界強度から方位を計算する際、逆正接演算が必要であるが、逆正接の主値は−90度から+90度、この繰り返しのため、切り替わるところではXの値が小さいので誤動作しやすい。X,Yの絶対値の大きい+/-45度、+/-135度で関数を区切って計算することが好ましい。
【0048】
図23及び図24はアナログ出力が必要な場合の回路例である。D.F.F.(Dタイプ-フリップ・フロップ)出力で、コンデンサと抵抗からなるブリッジ回路を通してコイルを駆動し、図11の動作点13、14,15,16を用いることは前記回路と同様であるが、この方式では、AD変換を行なった後でデジタルで引き算を行なうことができないため、アナログ的に引き算を行なった。すなわち、MRブリッジにもコイルの駆動電圧と同じく、D.F.F.の出力を接続し、動作点14に対してMRブリッジが正の出力の場合、動作点16に対して負の出力が得られるよう、MRブリッジの印加電圧を反転して加えた。このときMRブリッジ出力は無信号時には本来出力が現れないわけであるが、通常MRブリッジはわずかな抵抗値の不一致から来るオフセット電圧が発生している。この結果、ブリッジに印加する正負の電圧の時間比を正確に1:1とすることにより、その平均値である出力電圧の基準点は電源電圧の中点となり、正確な測定が行なえるようになる。外部磁界がある場合には、正方向にMRブリッジ電圧が加えられているとき、バイアス電圧も正とすると、動作点は14となり、21のレベルの抵抗に対応する電圧が発生する。DFFが反転すると、バイアス磁界は反転し動作点は16となる。ところがブリッジ電圧も反転しているため、19に対応する電圧が反転して現れる。すなわち、この図では正の外部磁界にたいし、MRブリッジに印加される電圧の極性に依らず常にMRブリッジ出力はとに負電圧を発生し、その平均値(積分値)も負となる。このようにして連続的に外部磁界に対応するアナログ電圧を得ることができる。
【0049】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明では平面コイルを磁気抵抗素子に飽和磁界とバイアス磁界を印加するのに用いているので、薄膜でコイルを作製することが出来て、方位計を薄く且つ面積を小さくすることができる。
【0050】
本発明の方位計によれば、x方向とy方向について同時にバイアス磁界を印加して方位を測定することができるので、方位の測定を従来の半分の回数で行うことができる。
【0051】
また本発明の方位の測定方法によれば、印加する飽和磁界とバイアス磁界の方向を反対方向にして所定の大きさのバイアス磁界を印加しているので、出力を大きくすることができる。
【0052】
本発明の方位計は、携帯電話あるいはPDA等モバイル機器に搭載することによって、特に改良されたナビゲーション機能を備えたモバイル機器を提供する事ができる。携帯電話でも、グルメガイド、ホテルガイド等、街の地図を表示するアプリケーションソフトが実用化されている。従来は、この場合、地図を表示する場合には、表示画面と実際の方位とは固定されていた。たとえば、表示画面の上側を北の方角とするものである。このために、表示画面の上側が実際の北の方角に向いてない場合には、携帯者が携帯電話の表示画面を回転させて、実際の北の方角に表示画面の上側を向ける必要があり、携帯者には煩わしい作業を強いるものであった。本発明の方位計を利用すれば、携帯電話等の表示画面の向いている方向の如何に拘らず、実際の地理的方位と画面上で表示される地図の方位とを一致させて表示することが可能としたナビゲーション付モバイル機器を提供することができる。仰角による出力変動対策については、仰角を検出する部品と補正演算回路を付加すれば可能である。方位計を3次元のものとする事によっても対策できる。本発明の方位計を組み込んだナビゲーション付携帯電話の外観を図12示す。100はナビゲーション付携帯電話本体、200は液晶表示部(LCD)である。
【0053】
比較のため、従来例を図13に示した。図12同一部品は同一記号で示す。携帯者の現在位置は×印206で示される。図12の本発明によるナビゲーション付携帯電話では、実際の方位400と地図の方位300を一致して表示する事ができる。これは、内蔵する本発明の方位計に依って得る方位情報を利用することにより可能とした。図13の従来例では、小型の方位素子を組み込む事ができず、このために地図の方位N極300は表示画面204上側に固定され、実際の方位400と一致しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施例の正面模式図である。
【図2】本発明による実施例の展開斜視模式図である。
【図3】本発明の実施例に利用できる磁気抵抗効果素子の結線例を示す図である。
【図4】本発明の方位計を駆動する回路構成例を説明する図である。
【図5】本発明の方位計を駆動するタイミングチャートである。
【図6】本発明の方位計を駆動する回路の電圧波形およびコイル電流波形を示す図である。
【図7】本発明の方位計を駆動する他の回路である。
【図8】本発明の方位計を駆動するタイミングチャートである。
【図9】本発明の方位計を駆動するタイミングチャートである。
【図10】外部磁界と電気抵抗の関係を説明する図である。
【図11】本発明の磁気抵抗効果素子の動作原理を説明する図である。
【図12】本発明の方位計を組み込んだナビゲーション付き携帯電話の外観図である。
【図13】従来のナビゲーション付き携帯電話の外観図である。
【図14】本発明の方位計のコイル電流の測定値である。
【図15】本発明の方位計のコイル電流の測定値の部分拡大図である。
【図16】本発明の方位計を駆動する他の回路である。
【図17】電気抵抗と印加する磁界強度との関係を説明する図である。
【図18】方位計のMRブリッジの説明図である。
【図19】方位計のMRブリッジの断面模式図である。
【図20】従来の方位計の外観図である。
【図21】印加する磁界強度と電気抵抗のヒステリシスを説明する図である。
【図22】本発明の回路特性を説明する図である。
【図23】本発明のアナログ出力回路図である。
【図24】本発明の他のアナログ出力回路図である。
【符号の説明】
1 平面コイル
11,12,13,14 (コイルの)辺
21,22,31,32,41,42,51,52 磁気抵抗素子
Claims (8)
- 直交する2軸に対称な形状に巻回した平面コイルと、その平面コイルの面にほぼ平行に、少なくとも2群の薄膜磁気抵抗効果素子群を配置し、前記磁気抵抗効果素子群の各々が、偶数個の磁気抵抗抵抗素子を導通してMRブリッジを構成するようにすると共に、地磁気の直交2成分を検知して出力し、これら出力値から方位情報を得るものにおいて、平面コイルに所定方向の電流を流して前記磁気抵抗効果素子の磁化が飽和する以上の磁場を印加した後、これとは逆方向の一定のバイアス磁界を印加し、次に前記所定方向とは逆方向に磁気抵抗効果素子の磁化が飽和する以上の磁場を印加した後、これとは逆方向の一定のバイアス磁界を印加する手段と、前記バイアス磁界印加に合わせて薄膜磁気抵抗効果素子群に磁場測定電流を流す手段を備えたことを特徴とする方位計。
- 電源電圧を印加して磁気抵抗効果素子の磁化が飽和する以上の磁場を印加する場合に、事前に当該電源からの電流を分流して充電しておいたコンデンサ電荷による放電電圧を重畳して平面コイルに電圧を印加する回路構成とした請求項1記載の方位計。
- 平面コイル形状が四角形であり、各磁気抵抗効果素子長手方向と交差する平面コイルの一辺とのなす角度βが、sinβ*cosβ≠0となるものであり、磁気抵抗効果素子の印加磁場に対する電気抵抗値変化が極小となる近傍の印加磁場特性を利用することを特徴とする請求項1記載の方位計。
- 1群の薄膜磁気抵抗効果素子群が、前記四角形の対辺に各々2個ずつをその辺に交差するように配置した磁気抵抗効果素子を導通して構成したものであり、他の1群の薄膜磁気抵抗効果素子群が、前記対辺とは別の対辺に各々2個ずつをその辺に交差するように配置した磁気抵抗効果素子を導通して構成したものであり、同一の辺に配置する2個の磁気抵抗効果素子の長手方向同士は、ほぼ直交するものとした請求項1記載の方位計。
- βが、約45度、約135度、約225度、あるいは、約315度のいずれかである請求項3記載の方位計。
- 各磁気抵抗効果素子について、その磁気抵抗効果素子長手方向が各辺と交差する角度のバラツキが±5°以内であることを特徴とする請求項2記載の方位計。
- 地磁気の直交2成分を各々で検知して出力し、これら出力値から方位情報を得るものにおいて、正方向にバイアスを印加して得た出力と負正方向にバイアスを印加して得た出力との差を出力する回路を付加した請求項1記載の方位計。
- 平面コイルに所定方向の電流を流して前記磁気抵抗効果素子の磁化が飽和する以上の磁場を印加した後、これとは逆方向の一定のバイアス磁界を印加して磁場を測定し出力を得て、次に前記所定方向とは逆方向に磁気抵抗効果素子の磁化が飽和する以上の磁場を印加した後、これとは逆方向の一定のバイアス磁界を印加して磁場を測定して出力を得ることを2回以上行ない、これら出力値から方位情報を得るものとした請求項1記載の方位計。
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