JP2003028941A - 磁気測定方法と磁気センサ駆動回路 - Google Patents

磁気測定方法と磁気センサ駆動回路

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JP2003028941A
JP2003028941A JP2001216059A JP2001216059A JP2003028941A JP 2003028941 A JP2003028941 A JP 2003028941A JP 2001216059 A JP2001216059 A JP 2001216059A JP 2001216059 A JP2001216059 A JP 2001216059A JP 2003028941 A JP2003028941 A JP 2003028941A
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Osamu Shimoe
治 下江
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 MRセンサ特有なヒステリシス現象による外
部磁場測定の誤差を抑制する方法と駆動回路を提供する
こと。 【解決手段】 基板上に形成したMRセンサ素子の磁化
困難軸に対して、所定の交差角でバイアス磁界を印加で
きるシート状のバイアスコイルによる磁気センサを案出
した。一時的にバイアス磁界を強めて磁化飽和まで動作
点を持ち込んだ後、バイアス磁界を反転して磁化飽和以
下の領域で外部磁場を測定する方法によって、MRセン
サの動作点を常にリセットできるためMRセンサ素子の
ヒステリシスによる影響をなくすことが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低磁場の測定に好
適な磁気センサに係わり、特に検出素子としてのMRセ
ンサとバイアスコイルをそれぞれシート状に形成した積
層構造の磁気センサによる測定方法とその駆動回路に関
する。
【0002】
【従来の技術】地球磁場ベクトルを垂直な2成分として
検出し、電子回路によって信号処理と演算を加えて方位
を算定する電子コンパスが知られている。図12は、電
子コンパスの検出部を構成する磁気センサの一例で、特
開平5−126577号公報に開示される構造である。
同図(a)はその磁気センサの平面図を、また(b)には横断
面を示す。図示するように直交する2つのバイアスコイ
ル101および102は非磁性の巻き枠103に巻装さ
れているため、巻き枠103の中央に配置されるMRセ
ンサ105は45°の方向のバイアス磁界を受ける。M
Rセンサ素子の磁化困難軸はパターン方向と一致するこ
とから、バイアス磁界との交差角は45°である。な
お、MRセンサ素子は磁気抵抗効果型センサ素子とも称
する。
【0003】MRセンサ105は4個のMRセンサ素子
からなり、ブリッジ結線される。さらに、MRセンサ素
子のパターン方向は互いに直交するため、一定の大きさ
の外部磁場内で1回転させると、ブリッジのそれぞれの
中点電位は回転と共に正弦波状に変化し、且つ90°の
位相差を持つ。従って、ブリッジ出力を増幅し、tan
θを演算することによって、方位角θが得られる。しか
し、1個のバイアスコイルに対応して1成分を検出する
ため、xおよびyの2成分を得るにはバイアスコイル1
01,102を個々に異なる期間励磁する手順が必要で
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図13は、特開平7−
167656号公報に記載されている磁気検出方法であ
る。同図(a)にバイアスコイル101および102に流
す電流波形を示す。最初にパルス状の電流を流し、その
後に低い電流を保持しながら検出する方法である。この
電流の合成方法が同図(b)に示されている。3個のそ
れぞれ異なる電流波形を、タイミングをずらして適宜制
御することによって得られる旨が開示されているが、概
念的な方法が記載されているに過ぎず、実際に実施しよ
うとする場合、かなり困難であることは明らかである。
【0005】さて、このような波形の電流をバイアスコ
イルに流すと、MRセンサは一旦磁化飽和され、その
後、未飽和領域に移行して動作することになる。この発
明の目的は、再現性のある出力と、正確な方位検出であ
ることが明記されている。しかし、この方法によればM
Rセンサが有するヒステリス現象のため、感度の低下や
誤差の発生が考えられる。さらに、ヒステリシスループ
上の動作点を適切に選択できないことから、線形動作領
域が狭まり、充分に磁気センサの性能を引き出せないこ
とが指摘できる。また、狭い線形領域のため非線形動作
に陥り易く、測定データの信頼性を著しく損なう恐れが
ある。上記の理由を図13(c)を用いて説明する。
【0006】一般に、MRセンサの印加磁界に対する電
気抵抗特性は、曲線AおよびBで示すようなヒステリシス
現象を多かれ少なかれ有する。13図(c)のヒステリ
シスループはMRセンサ素子の電気抵抗と印加バイアス
磁界の関係で、磁化困難軸とバイアス磁界の交差角が直
交する90°の場合を示す。第1象限において、電気抵
抗値はバイアスコイル磁界の増加に伴い特性曲線Aに沿
って飽和まで達する。磁化飽和後、バイアス磁界を減じ
ていくと破線で示す特性曲線B上を逆行してQ点に戻
る。さらに、バイアス磁界を反転して負方向に増加する
と、第2象限に移行して第1象限における同様なループ
を辿る。
【0007】バイアスコイル101または102に図1
3(a)の電流が流れると、ヒステリシスループ上のP
点が動作点に選ばれる。P点はバイアス磁界Hbの大き
さによって任意の位置に選ぶことができるが、特性曲線
A上で動作する場合と比べて特性曲線B上に移行するた
め、動作範囲が狭まる。また、特性曲線の傾斜が急峻な
部分、即ち高感度域が狭くなること、あるいは線形動作
範囲が限定されること等は、磁気センサとしての性能が
充分に発揮できないだけでなく、用途が限られ新奇な使
用方法を妨げてきた。本発明の目的は、前記問題点を解
決できる磁気測定方法と駆動回路を提供するものであ
る。なお、以下の図面において同一機能の部分には同じ
符号をつけるものとする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した問題点を解決す
るために、本発明では磁化困難軸と磁化容易軸を有する
MRセンサをシート状に形成すると同時に、所要の磁化
困難軸との交差角でバイアス磁界を印加できるシート状
バイアスコイルを積層した磁気センサを案出し、このセ
ンサに好適な測定方法と駆動回路を提供するものであ
る。また、シート状のMRセンサとバイアスコイルを組
合せることによって、従来技術の課題を解決できると共
に、磁気センサを100μm以下の超偏平化が可能とな
り、携帯機器への搭載が容易となる。さらに、MRセン
サ特有のヒステリシスループのバイアス磁界との交差角
の依存性を解明した結果、高感度領域でのセンサ動作が
可能となり、従来型センサに比較して極めて高い感度特
性と信頼性が得られる測定法とその駆動回路を提供す
る。
【0009】まず、本発明において最も重要な交差角と
MRセンサ素子のヒステリシスループの関係について言
及する。縦軸にMRセンサ素子の電気抵抗RMRを、横軸
にバイアス磁界Hをとると、MRセンサ素子のRMRとバ
イアス磁界Hとの関係は図1に示すヒステリシスループ
を描くことが観察される。図中、実線で示す特性曲線は
磁化困難軸とバイアス磁界との交差角が45°の場合で
ある。また、交差角が90°の場合を破線で併記した。
【0010】交差角90°場合、凸状曲線を横方向に平
行移動した特徴を有するが、90°以外の45°にする
とその様相が一変する。図中の矢印で軌跡の方向を示
す。バイアス磁界をゼロから出発させ次第にバイアス磁
界を強めていくと、まずRMRが楔状に大きな変化を生じ
る。さらに増加を続けると一定値となり飽和点に達す
る。飽和点を通過した後、バイアス磁界を増加から減少
に転じると、図示するように平坦な曲線上を移動して、
バイアス磁界ゼロで縦軸に交差する。バイアス磁界を反
転して同様な手順を繰り返すと、第1象限と同じ特性曲
線が観察される。図1には示してはないが、交差角が0
°、即ちバイアス磁界が磁化困難軸に平行なときは、バ
イアス磁界の増加過程では殆どRMRの変化が見られない
平坦な特性であるが、飽和磁界通過後、バイアス磁界を
弱めていく過程で、異方性磁界H付近でやや大きい楔
状の落ち込み部が観測される。交差角90°と0°の場
合のヒステリシスループが類似することから、交差角4
5°の場合のヒステリシス特性は、90°と0°の中間
的な特性で両者の特徴を兼ね備えたものと考えることが
できる。
【0011】以下、交差角45°の場合を例にとって本
発明の原理を説明するが、45°以外でも容易に実施可
能であることは、以後の記載から明らかであり、当然な
がら本発明の趣旨に含まれる。さて、ヒステリシスの影
響をなくし、測定結果に良好な再現性を保証する方法と
して、本発明ではMRセンサ素子を磁化飽和させた後、
逆方向のバイアス磁場を与えながらRMRあるいはRMR
変化による出力電圧を検出する。このようにバイアス磁
界の大きさと方向を適宜制御すれば、図中のP あるい
はPで示す動作点を選ぶことができる。この方法は、
MRセンサ素子が磁化飽和に達した後は、印加磁界をゼ
ロにしても必ず一定な動作点に戻り、それ以降は前歴に
依存しない性質を利用するものであり、所謂、MRセン
サの動作点をリセットする方法である。
【0012】しかしながら、45°以外の交差角を選ん
だ場合、図中のヒステリシスループの形状は変化する
が、前記のリセット方法は普遍性がある。したがって、
バイアス磁界と磁化困難軸との交差角に依存しない測定
が可能である。また、バイアス電流の正負を切り換える
リセット動作を2回以上行うことによって、その都度得
られるMRセンサ素子の出力電圧の平均値、あるいは前
回の測定との変動分が得られ、検出精度が高まると共
に、増幅回路や処理回路等が簡略化できる。通常、MR
センサは定電流駆動が基本検出回路であるが、ハーフブ
リッジ、またはハーフブリッジを2個並列に結線するブ
リッジ等は電圧駆動方式が一般的であるが、MR素子の
バラツキによるオフセット電圧が発生する。上記の方法
はオフセット電圧対策に有効である。特に、ブリッジ結
線の場合、ブリッジ印加電圧の極性を測定ごとに切り換
えると、前回の測定値との偏差をキャンセルしたアナロ
グ出力が得られ、回路構成の簡略化と共に測定の迅速化
が図れる。
【0013】また、図1に示すPあるいはP点は本
発明による動作点を表し、その動作域は図中のm-n
間とm-n間である。この範囲におけるヒステリ
シス曲線の勾配は、破断線で示す交差角90°の場合に
比べると急傾斜部分である。これはセンサ感度δRMR
δHが大きいことを意味し、90°の場合より格段に感
度を高められることを示唆する。しかし、m-n
あるいはm-n間を、90°の場合の最大勾配以上
と定義したが、90°を基準に取る必要性はなく任意の
交差角を基準に選ぶことは可能である。また、磁気セン
サの用途、使用目的あるいは回路構成上、一定の感度領
域を限定あるいは選択することも可能である。要する
に、磁気センサのリセット動作と同時に、バイアス電流
の適当な値に設定することにより、特殊な用途に使用可
能な磁気センサを提供できる。
【0014】(作用)上述したように本発明は、MR特
性の第1象限において一時的に磁化飽和まで動作点を持
ちこんだ後、第2象限の未飽和域を動作点に選ぶ方法で
あるため、MRセンサ素子特有のヒステリシスによる測
定誤差を最小限に抑制できる非常に有効な方法およびセ
ンサ駆動回路である。特に、バイアスコイル面とMRセ
ンサ素子面が平行で密着配置された場合のMR特性は、
図12に示すコイル面とセンサ面が垂直で且つ離れて配
置される従来構成のと比べると、MRセンサ素子に対する
バイアス磁界の印加状態がかなり異なるため、従来の知
見では予測できないMR特性である。しかし、バイアスコ
イルとMRセンサ素子が積層される構成に対して作用効果
を最もよく発揮できるが、従来構成に対しても同様な効
果を奏することが可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態について述べ
る。まず、本発明の第一の特徴であるシート状センサと
コイルの構成を、最初に触れておく。対象とする磁気セ
ンサは図2に示す積層構造体である。同図(a)の断面
図に示すように、磁気センサ10はガラスあるいはシリ
コンなどの非磁性材の基板11に形成されたMRセンサ
層21に、絶縁層31およびコイル層41を積重ねた扁
平構造である。従来、薄層磁界センサとして特開昭54
−128775号公報に記載があるように、基板上にコ
イルとセンサを多層構造で一体的に作製する方法が知ら
れている。このセンサはホトリソグラフィ技術を駆使し
てセンサとコイルを同時に製造するため、複雑な製造条
件と多段階の工程が必要であり、コストが嵩む等の欠点
があった。しかしながら、本発明ではセンサ部を形成し
た後、コイル部を絶縁層上に作製が可能であるためセン
サ製造工程とコイル製造工程を区別でき、複雑な製造過
程が単純化される。また、多数個取りが可能な基板にM
Rセンサとバイアスコイルを別々に作製し、基板を積層
組立後に切断を行えば安価に製造することができ、量産
性に優れた構成を有しているといえる。
【0016】また、センサ層およびコイル層を極めて薄
く、簡単な工程で製造が可能であるため、厚さ数百ミク
ロン以下の扁平小型である磁気センサを安価に製造でき
る。さらに、バイアスコイルをMRセンサ素子に密着す
る構成をとるため、従来必要とするバイアス磁界のアン
ペアターンを大幅に減らすことができ、バイアス回路の
小容量化につながる。小形のバイアスコイルでも同一効
果が得られることは、駆動回路側の負担が軽減され、発
熱あるいは温度上昇の問題がないばかりか、携帯機器の
電池寿命が延び、磁気センサの小型化に間接的な波及効
果がある。また、バイアスコイルはエッチングやメッキ
工程で大量に且つ安価に製造することができ、コイル巻
き枠に巻く従来のバイアスコイルと比較すると、その差
は歴然となる。
【0017】次に、MRセンサ層とバイアスコイル層の
パターン例を同図(b)および(c)に示す。8個のMRセ
ンサ素子Rx1からRx4およびRy1からRy4は、
正方形の基板11に成膜された強磁性膜をエッチング処
理等でパターニングされる。また、各MR素子は対称的
に配置され、クランク状で45°の傾斜をもつパターン
となっている。一方、バイアスコイル40は渦巻き状の
導体43と絶縁層31からなり、導体43はMRセンサ
素子のパターンと45°の角度で交差する。このため、
バイアスコイルに電流が流れると、各MRセンサ素子R
x1からRx4およびRy1からRy4はバイアス磁界
を受け、その角度は45°となる。(d)はブリッジに
結線した場合であり、xとy方向のブリッジが個々に構
成される。なお、xおよびy方向のブリッジを構成する
MRセンサ素子は、(b)の素子符号と対応する。
【0018】以上述べた磁気センサに好適な駆動回路の
実施例を次に説明する。図3は、バイアスコイルWの電
流をマルチプレクサ50によって制御する場合である。
図示するようにバイアスコイルWの発生する磁束Φは、
ブリッジxおよびyのMRセンサ素子と所定角度で交わ
るように分布する。ブリッジの出力は増幅器Ax,Ay
介してx出力およびy出力として得られる。以下の回路
説明は、ブリッジ構成の場合を例にとるが、ハーフブリ
ッジあるいはMRセンサ単体で構成する場合でも同じであ
る。
【0019】図4のタイミングチャートと真理値表か
ら、その動作は次のようである。まず、コンデンサCL
はVdd+Veeで初期充電される。ポートAおよびBはlo
wレベル(以下、Lと省略。)に保持し、次に時刻t
においてINHをhighレベル(Hと省略。)からLにす
ると、マルチプレクサ50のスイッチX,Yがオン
となり、バイアスコイルWには端子XからYに向かって
パルス状の放電電流が流れて、MRセンサ素子を磁化飽
和させる。時刻t2において、ポートBをLからHにす
ると、マルチプレクサ50のスイッチXとYがオン
し、バイアスコイルWは抵抗Rbを介して接地されるた
め、端子YからXに電流が流れる。この期間中、ブリッ
ジには抵抗Rbで制限されるバイアス磁界が与えられ、
ブリッジの出力電圧を検出することになる。これで1回
目の検出が終了したことになる。
【0020】さらに、時刻tでINHをHに戻してバ
イアスコイル電流を遮断する。この期間にコンデンサC
LはVdd+Veeに再充電される。ポートAをHにすると
共に、INHをLに選択すると、スイッチXとY
オンして、前述の負方向にパルス状放電電流が流れてM
Rセンサ素子を逆方向にリセットする。t時にポート
BをLにすると、XとYが接続され、測定時のバイ
アス電流が供給される。このときのブリッジ出力電圧を
検出すれば、2回目の検出データが得られる。tでI
NHをHにすると、すぺてのスイッチがオフされ、最初
の状態に戻る。なお、期間tからtのINHを省略
してポートAをLからHに制御するだけでも同様な結果
が得られる。
【0021】図3では、直流電源をVddおよびVeeの2
電源を使用する場合であるが、バイアスコイルWの電気
抵抗を適正化すれば、1電源とすることが可能である。
この場合の実施例が図5である。バイアスコイルWの両
端にコンデンサC、Cと抵抗RS1,RS2を図の
ように接続し、NORゲート52で駆動する構成であ
る。さらに、NORゲート52の出力ZZをブリッジの
電源に利用すれば、測定時だけブリッジに電圧を印加で
き、非測定時の省電力が可能である。図6はこの回路の
タイムチャートである。ポートAおよびBによってバイ
アスコイル電圧が制御され、図3と同じ動作が得られ
る。この駆動回路は、NORゲートを持つICで駆動す
る方法であり、5V以下の低電圧電源が適用でき、回路
が簡略化されて安価な磁気センサを提供できる。
【0022】図6において、ポートAをH、ポートBを
Lに初期設定する。時刻t1にポートAをLにすると、
NORゲート52の出力端子ZZがHとなり、ブリッジ
およびアンプに直流電源Vddが供給され始める。同時
に、XXはLに、YYはHに遷移するからYY側からR
S2を通ってXX側に電流が流れる。数十マイクロ秒
(CとRS1による時定数の数倍程度)経過後、C
とRS1側は負に、CとRS2側は正に充電される。
このときの充電電圧は電源電圧と同じ僅かにそれより高
い値をとる。
【0023】次に、時刻tにてポートBをHとする。
XX,YY共に電圧が反転してXXがHに、YYがLに
変化する。このため、XXにつながったCとRS2
は先程まで充電されていた電圧が加わり、電源電圧の
1.5倍ほどの電圧となる。反対に、YY側のCは電
源電圧の半分程度の負電圧を保持している。バイアスコ
イルWにはこの両者の差電圧(電源電圧Vddの約2
倍)が印加され、MRセンサ素子を磁化飽和状態に導
く。コンデンサに蓄えられた電荷は約2マイクロ秒で放
電し、その後はXXからYYに向かってRS1とバイア
スコイル抵抗で制限される一定電流が流れる。この期間
にブリッジ出力を増幅測定する。また、CとCは逆
極性に充電される。
【0024】1回目の検出を行った後、時刻tでポー
トBをLにすると、XXとYYの電圧が逆転する。パル
ス状電流でリセットして放電が終了すると、逆方向にバ
イアス電流が流れ、計測状態に入る。ブリッジ出力電圧
を測定した後、tでポートAをHにして計測を終了す
る。同時に、ZZはLとなり、ブリッジおよびアンプに
は電圧が印加されない。上記の測定例では、電源電圧3
V、バイアスコイル抵抗200Ω、C1,C2=220
00pFで構成した。この時のパルス電流のピーク値は
23mAで、バイアスコイルのX,Y間には最大4.6Vの電
位差が観測された。また、この回路定数の組合せが安定
して測定でき、データの再現性も良好であった。コンデ
ンサとバイアスコイルで構成する放電回路の時定数は、
1マイクロ秒(μs)より小さい範囲では、磁化飽和領
域に動作点を引込むことが充分でなく、センサ動作が安
定化しない。したがって、1マイクロ秒以上が動作可能
範囲であり、2〜10マイクロ秒が好ましい。これは高
速の測定が可能であり、携帯機器等への搭載に適してい
る。また、上記の値は、磁壁移動およびバイアス磁界の
確立状態等によって決まるもので、従来では達成できな
い高速性を有し、本発明の構成による独特な定数範囲で
ある。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、2
〜10とは2以上且つ10以下と同義の用語として用い
た。
【0025】また、アナログ出力を得る回路例を図7お
よび8に示す。いずれの回路例であってもDFF(デュ
アル型フリップフロップ)51,54を使用する場合
で、AD変換後の値をデジタル的に引き算することは、
回路の複雑化を招くばかりかコスト高となる。このた
め、アナログ的に処理を行う方法を摸索し、図7,8に
示す回路構成を案出した。この回路において重要な点
は、ブリッジに印加する正負の電圧の時間比を正確に
1:1にする必要がある。そのため、DFF51および
54のCK端子にはそのような信号を発生する発振回路
を接続している。
【0026】携帯機器に組み込まれた磁気センサでは、
コマンドがきた時に測定動作に入ればシステム的には問
題が生じないが、X,Y磁界成分を連続的にアナログ出
力として利用したい場合がある。例えば、大型のブラウ
ン管の地磁気キャンセル回路等が対象となる。このよう
な要求を満たす回路例が図7および8である。図9はマ
ルチプレクサ55を使用する場合である。また、同様な
機能を持つものとして、図10に示すコントロールロジ
ック56を用いることができる。なお、図8はブリッジ
印加電圧の極性がバイアス電流の流入方向と共に変わる
特徴がある。
【0027】次に、本発明の磁気センサを用いた磁気測
定システムの概要構成を図11に示す。センサ動作点の
最適化、各種用途に対する機能と特性の付与等ソフト的
に対応できることを目的にしたシステムである。したが
って、制御演算回路63とメモリ64の接続が本システ
ムの基本構成を支配している考え方である。マイコン等
が制御演算回路63に相当し、そのプログラムおよびデ
ータを格納するためにメモリ64が必要となる。さら
に、この考えを推し進めると、シリコン基板上に磁気セ
ンサとその制御回路を形成でき、ワンチップ化の高集積
回路が実現可能である。GPSアンテナの併用によっ
て、より高機能システムが提供できる。
【0028】
【発明の効果】本発明によって、従来問題となってMR
センサのヒステリシス現象に伴う外部磁場の測定値の再
現性、あるいは誤差等をなくすことができ、測定データ
の信頼性向上に寄与する。さらに、本発明による磁気セ
ンサは偏平小型化が可能であるため、携帯機器に搭載で
き本発明の測定方法および駆動回路によって飛躍的な性
能改善が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の動作原理図である。
【図2】本発明の磁気センサの構成である。
【図3】本発明による駆動回路の基本構成図である。
【図4】図3のタイムチャートである。
【図5】本発明による駆動回路の第1の実施例である。
【図6】図5のタイムチャートである。
【図7】本発明によるアナログ出力が得られる第2の実
施例である。
【図8】本発明によるアナグロ出力用の第3の実施例で
ある。
【図9】本発明による第4の実施例である。
【図10】本発明による第5の実施例である。
【図11】本発明を適用したシステム構成例である。
【図12】従来の磁気センサの構成である。
【図13】従来の磁気センサのバイアス電流とその波形
である。
【符号の説明】
10 磁気センサ、11 基板、21 MRセンサ層、3
1 絶縁層、40 バイアスコイル、41 バイアスコ
イル層、43 導体、50 マルチプレクサ、51,5
4 デュアル型フリップフロップ、52 NORゲー
ト、55 マルチプレクサ、56 コントロールロジッ
ク、61 磁気測定システム、62 A/B変換器、6
3 制御演算回路、64 メモリ、65 切り換え手
段、66 磁気センサ部、67 磁気センサ装置、68
演算表示部、102,102 バイアスコイル、10
3 巻き枠、105 MRセンサ素子

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成した複数のMRセンサ素子
    と該MRセンサ素子の磁化困難軸に対して所要の交差角
    でバイアス磁界を与えるように配設したバイアスコイル
    とを有する磁気センサにおいて、絶縁層上に形成した前
    記バイアスコイルに磁化飽和以上の電流を一時的に流し
    た後、逆方向に磁化飽和以下の電流を流しながらMRセ
    ンサ素子で外部磁界を検出することを特徴とする磁気測
    定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記の測定手順を少
    なくとも2回以上繰り返し、測定毎の出力電圧とその差
    電圧もしくは平均電圧を得ることを特徴とする磁気測定
    方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2のいずれかにおいて、
    バイアス電流の適宜な選択によって、交差角90°の時
    の最大感度と同等以上の感度を交差角90°より低い角
    度で得ることを特徴とする磁気測定方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、交差角を45°付近
    に選ぶことを特徴とする磁気測定方法。
  5. 【請求項5】 基板上に形成した複数のMRセンサ素子
    と該MRセンサ素子の磁化困難軸に対して所要の交差角
    でバイアス磁界を与えるように配設したバイアスコイル
    を有する磁気センサにおいて、前記バイアスコイルに磁
    化飽和以上の電流を一時的に流し、さらに逆方向に磁化
    飽和以下のバイアス電流を流す手段を備えてなることを
    特徴とする磁気センサ駆動回路。
  6. 【請求項6】 請求項5において、前記手段はパルス状
    および一定電流の通流、断続あるいは方向の切り換えを
    外部入力によって制御できる機能を有することを特徴と
    する磁気センサ駆動回路。
  7. 【請求項7】 請求項5または6のいずれかにおいて、
    前記手段はコンデンサおよびアナログスイッチもしくは
    デジタルスイッチとその制御回路で構成することを特徴
    とする磁気センサ駆動回路。
  8. 【請求項8】 請求項5から7のいずれかにおいて、5
    V以下の直流電源で駆動することを特徴とする磁気セン
    サ駆動回路。
  9. 【請求項9】 請求項8において、前記コンデンサとバ
    イアスコイルで構成する放電回路の時定数は1マイクロ
    秒以上であることを特徴とする磁気センサ駆動回路。
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