JP4005983B2

JP4005983B2 - 抗菌性の化粧用器材とその製造方法

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Publication number: JP4005983B2
Application number: JP2004157351A
Authority: JP
Inventors: 憲司中村; 興司中村
Original assignee: 憲司中村; 興司中村
Priority date: 2004-04-15
Filing date: 2004-05-27
Publication date: 2007-11-14
Anticipated expiration: 2024-05-27
Also published as: EP1591010A2; US20050244440A1; JP2005334305A; JP2005323953A; US20080302385A1; JP4017613B2; EP1591010A3

Description

本発明は、抗菌効果の優れた化粧用器材に関する。
また、本発明は、立毛織物、立毛編物、パイル不織布又は植毛布より選ばれた素材、モノフィラメント、獣毛、ウィッグ素材、ポリウレタンスポンジ及びＮＢＲスポンジより選ばれた基材よりなり、手揉み洗濯後でも５mm以上の抗菌ハロー幅を示す抗菌性の化粧用器材に関する。
更に詳しくは、（Ａ）ベンジルアンモニウムクロライド系化合物と（Ｂ）ナフトキノン系化合物を加熱水液により吸着して含有させることにより、耐洗濯性に優れた抗菌ハロー効果５mm以上のハロー幅を示す化粧用器材とその製造方法に関する。

化粧用器材として、パイルパフ、アイラッシュ、かつら、多孔質パフ、多孔質チップ又は植毛チップ等があるが、これらの化粧用器材は、微生物の増殖により臭いの発生やかびの発生を招きやすい。また、いずれも肌に接して用いるので、可能な限り清潔面や衛生面を保つために、抗菌性を有する化粧用器材の要請が高まっている。しかしながら、清潔面や衛生面の維持が求められても、パイル素材の表面にバインダーにより抗菌剤を固定すると肌への感触が悪くなり、実施することができなかった。化粧用器材において、感触や柔軟機能性を低下させることなく、耐洗濯性の優れた抗菌ハロー効果を有する抗菌性パフを得ることはできなかった。

化粧用器材として、化粧用パフを例に挙げると、パフにはパイル布帛よりなる縫製パフと、スポンジ素材よりなる多孔質弾性パフの２つのタイプがある。前者はパウダリー化粧料に用いられ、後者はファンデーション化粧料に用いられている。多孔質弾性パフに抗菌性を付与するには、従来、パラオキシ安息香酸、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトサニウム又はグリコン酸クロルヘキシジン等の薬品の水溶液にスポンジを浸漬処理したものがあったが、一度水洗いすると、上記薬品が流出して耐洗濯性を得ることができなかった。

そこで特開昭６０−１３２５０４号公報では、チアベンダゾール、有機シリコーン第４級アンモニウム塩もしくは２，４，４−トリクロロ−２−ヒドロキシフェニルエーテルの１種又は２種以上をスポンジ製造時に混合するか、スポンジ体を上記抗菌剤水溶液に浸漬・乾燥することにより耐洗濯性を有する抗菌性のスポンジパフを得ている。しかし耐洗濯性の抗菌ハロー効果を得ることはできなかった。パイル素材よりなる縫製パフでは、パイル間の間隙に存在する成分や水分が多くて、抗菌効果を得るには抗菌ハローが必要とされている。

特開平０２−１１６３１１号公報によれば、第４級アンモニウム塩のシランカップリング剤を含むゴムラテックススポンジよりなる化粧用器材について記載されている。しかし、これらの技術では、パイル素材よりなる縫製パフに、耐洗濯性の抗菌ハロー効果を得ることができなかった。
特開２０００−０００１１５号公報では、獣毛及び／又は合成繊維より形成された化粧用塗布具において、無電解メッキにより、銀が0.05〜80重量％メッキされてなる抗菌性化粧用具が開示されているが、銀イオンによる抗菌ではハロー効果を得ることができないことと、銀メッキにより素材の色が黒く変色する欠点がある。白色、ベージュ、ピンク等の色が要求される縫製パフに用いることができない。

特開２０００−０４１７３０号公報により、ナイロン、ポリエステル、アクリル、又はポリウレタンよりなる繊維素材を、水に不溶性のパラオキシ安息香酸系化合物をアルコール溶液に含浸して吸収させて抗菌性を改善した化粧用ブラシがあるが、ハロー効果を得ることができず、特に耐洗濯性の抗菌ハロー効果を得るには、水溶性の抗菌剤により徐放性に吸着させる技術を開発する必要がある。

特開昭６０−１３２５０４号公報特開平０２−１１６３１１号公報特開２０００−０００１１５号公報特開２０００−０４１７３０号公報

上述するように、立毛織物、立毛編物、パイル不織布又は植毛布より選ばれた素材、モノフィラメント、獣毛、ウィッグ素材、ポリウレタンスポンジ及びＮＢＲスポンジより選ばれた基材を用いた化粧用器材において、耐洗濯性の優れた抗菌加工を施した化粧用器材は存在しなかったことに鑑み、この課題を解決するために鋭意研究を行った結果、パイル素材の風合感触を変えることなく、抗菌加工に優れ、且つ、手揉み洗濯後においても５mm以上の抗菌ハロー幅を示す抗菌性の化粧用器材を提供することができた。本発明における化粧用器材としては、化粧用パフの外にパイルパフ、アイラッシュ、かつら、多孔質パフ、多孔質チップ又は植毛チップ等があげられる。

本発明は、以下の構成を基本とするものである。
（１）立毛織物、立毛編物、パイル不織布又は植毛布より選ばれた素材、モノフィラメント、獣毛、ウィッグ素材、ポリウレタンスポンジ及びＮＢＲスポンジより選ばれた基材に、（Ａ）ベンジルアンモニウムクロライド系化合物0.1〜5.0重量％と（Ｂ）ナフトキノン系化合物0.1〜5.0重量％とが、加熱水液処理によって吸着含有されてなることを特徴とする手揉み洗濯後でも５mm以上の抗菌ハロー幅を示す抗菌性の化粧用器材。
（２）立毛織物、立毛編物、パイル不織布又は植毛布より選ばれた素材、モノフィラメント、獣毛、ウィッグ素材、ポリウレタンスポンジ及びＮＢＲスポンジより選ばれた基材に、（Ａ）ベンジルアンモニウムクロライド系化合物と（Ｂ）ナフトキノン系化合物とが、シランカップリングを介して、加熱水液処理によって吸着含有されてなることを特徴とする（１）に記載の化粧用器材。

（３）化粧用器材が、パイルパフ、アイラッシュ、かつら、多孔質パフ、多孔質チップ又は植毛チップであることを特徴とする（１）又は（２）に記載の化粧用器材。
（４）繊維、糸、パイル布帛、獣毛、ウィッグ素材、ポリウレタンスポンジ又はＮＢＲスポンジより選ばれた基材を、（Ａ）ベンジルアンモニウムクロライド系化合物と（Ｂ）ナフトキノン系化合物を含有する水溶液に上記素材を浸漬し、加熱水液処理を行うことを特徴とする化粧用器材の製造方法。

（５）繊維、糸、パイル布帛、獣毛、ウィッグ素材、ポリウレタンスポンジ又はＮＢＲスポンジより選ばれた基材を、（Ａ）ベンジルアンモニウムクロライド系化合物と（Ｂ）ナフトキノン系化合物を含有する水溶液にキャリヤー剤を併用して、上記素材を加熱水液処理を行うことを特徴とする上記（４）に記載の化粧用器材の製造方法。
（６）上記キャリヤー剤として、安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸エチル、パラヒドロキシ安息香酸ブチル、ビスフェノールＡ、ビスフェノールＢ、２−ヒドロキシビスフェノール、パラビフェニルアミン、パラアミノサリチル酸又はオルソフェニルフェノールを用いることを特徴とする（５）に記載の化粧用器材の製造方法

なお、（Ａ）と（Ｂ）の吸着量は、処理前及び処理後のパイル素材の絶乾状態での重量増加率より求めることができる。

（Ａ）ベンジルアンモニウムクロライド系化合物としては、エチルベンザルコニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ドデシルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等を用いることができる。

（Ｂ）ナフトキノン系化合物には、１，４−ナフトキノン、２−ヒドロキシ３−クロロナフトキノン、２，３−デイクロロ１，４−ナフトキノン、２−アルコキシ３−クロロナフトキノン、ナフト［２，３Ｄ］チアゾール−４，９−デイオン、２−アルキル２，３−チアゾール４，９−デイオン等を用いることができる。

本発明の化粧用器材において、パイルパフに用いるパイル布帛では、立毛織物、立毛編物、パイル不織布、又は植毛布がある。植毛布及び植毛チップでは、植毛に供するカット繊維状態に適用できる。多孔質パフ又は多孔質チップでは、ポリウレタンスポンジ、ＮＢＲ（ニトリル・ブタジエン・ラバー）スポンジがある。アイラッシュでは、獣毛、モノフィラメントがあり、かつらでは、ウィッグ素材がある。これらの基材に、（Ａ）成分及び（Ｂ）成分を加熱水液処理により吸着させる際に、キャリヤー剤を併用することも有効である。該キャリヤー剤としては、安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸エチル、パラヒドロキシ安息香酸ブチル、ビスフェノールＡ、ビスフェノールＢ、２−ヒドロキシビスフェノール、パラビフェニルアミン、パラアミノサリチル酸、又はオルソフェニルフェノールがある。（Ａ）成分及び（Ｂ）成分と共に0.05〜0.15％Owf添加して加熱水液処理をすればよい。

本発明では、上記（Ａ）成分又は（Ｂ）成分を単独に用いるよりも、併用することを基本的要件とするもので、その結果として耐洗濯性の抗菌性ハロー効果の優れた化粧用器材を得ることができる。

本発明の化粧用器材では、（Ａ）及び（Ｂ）を水溶液にしてパイル布帛、繊維、獣毛、ウィッグ素材、ポリウレタンスポンジ、又はＮＢＲスポンジより選ばれた基材を浸漬して、加熱して染色をするように吸着させて固着することにより、用いた繊維の本来の感触を変化させることなく、抗菌性を有し、この抗菌性は、手揉み洗濯耐性に優れた抗菌性５mm以上のハロー幅を得ることができる。しかしながら、（Ａ）成分と（Ｂ）成分を単独に用いて加熱水液吸着をした場合には耐洗濯性が不良である。
なお、（Ａ）成分及び（Ｂ）成分が、それぞれ0.1重量％以下（繊維重量基準）の吸着量では、ハロー効果が不十分で好ましくない。また、５重量％以上では、ハロー効果が吸着量に比例せず、経済性に欠ける。

（Ａ）成分及び（Ｂ）成分の吸着に際して、繊維の種類により、又は合成繊維の結晶化度や重合度により、上記の加熱水液吸着法で吸着が低い場合には、シランカップリング剤を介して（Ａ）成分及び（Ｂ）成分を吸着固定することができる。
例えば、シランカップリング剤は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−（２−アミノエチル）アミノプロピルトリメトキシシラン又はビニルトリアセトキシシランを用いることができる。

本発明における上記パイル布帛、繊維、獣毛、ウィッグ素材、ポリウレタンスポンジ又はＮＢＲスポンジの処理は、カット繊維、モノフィラメント、糸の状態であっても実施が可能であり、染色のように又は染色と同時に行うことができる。
繊維素材としては、綿、レーヨン、ナイロン、ＰＢＴ（ポリブチレンテレフタレート）、ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）、アクリル又はモダアクリルを用いることができるが、これらのポリマー材質に特定されるものではない。
繊維の例として、例えば表層が親水性ポリマーで、内部が疎水性ポリマーよりなる鞘芯型は、ブラシの機能弾性があって保液性に優れ、パフ機能は理想的に設定できる。このような素材は、鞘部にエチレンＰＶＡ共重合体で芯部にＰＥＴを配置した合成繊維は、パフ機能も他の合成繊維よりも優れている。このような合成繊維としては、例えば“ソフイスター”（登録商標、クラレ株式会社製品）がある。

本発明における手揉み洗濯による評価方法は、ＪＩＳ−Ｌ−１０４２に基づく中性洗剤0.1重量％の水溶液に40℃で30分間浸漬後100回の揉み洗いを行った後の評価である。
抗菌性試験は、ＪＩＳ−Ｌ−１９０２に基づく試験に基づいて、細菌の発育阻止幅（ハロー幅）を測定する。ハローの発生は、抗菌剤のブリードアウトによるものであるから、溶出が多ければ、耐洗濯性を得ることは困難であった。本発明によれば、加熱水液による吸着により染色のようにパイル素材に固定して徐々にブリードさせる点に特徴がある。
ハロー幅５mm以上を手揉み洗濯に耐える性能を保つことはできなかったが、本発明によれば、洗濯後も７〜８mmのハロー幅を呈する。

パイルパフ、アイラッシュ、かつら、多孔質パフ、多孔質チップ又は植毛チップ等の化粧用器材では、従来、耐洗濯性の優れた抗菌加工を施した化粧用器材は存在しなかったが、本発明によれば、パフの風合感触を変えることなく、抗菌加工に優れ、且つ、手揉み洗濯後においても５mm以上の抗菌ハロー幅を示す抗菌性の化粧用器材を得ることができる。

また、上述するように、パイルパフ、アイラッシュ、かつら、多孔質パフ、多孔質チップ、植毛チップ等の化粧用器材は、微生物の増殖が顕著な製品であり、顔に用いることから清潔をモットーにされることで従来から抗菌性の耐洗濯性を熱望されていたが、得られなかった。本発明により、耐洗濯性の優れた抗菌性が得られ、しかもハロー試験で５mm以上に明確に示されるのである。これにより従来細菌の増殖により問題であった臭いの発生や、かびの発生を防止することができるようになった。

本発明の実施は、繊維の染色に用いている染色釜で80℃以上、好ましくは100℃で処理する。更に好ましくは120℃で処理してもよい。作業工程的には染色と同時に行っても良いし、染色の後で処理してもよい。
本発明の方法は、パイルパフ、アイラッシュ、かつら、多孔質弾性パフ等の化粧用器材に用いることができる。
本発明について実施例により具体的に説明する。

化粧用器材の素材重量に対して、15倍の処理液量（浴比１：15）で、表１に記載の配合液を用いて、パイル素材を浸漬し、96℃で、60分間加熱して水洗、乾燥した。
シランカップリングは、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン（品番ＳＨ６０３０、トーレ・シリコーン株式会社製品）１重量％水溶液に70℃で、60分処理した。
パイル素材の細菌に対するハロー試験は、ＪＩＳ−Ｌ−１９０２に基づきStaphylococcus Aureusを用いて試験した。
次いで、耐洗濯性の試験は、ＪＩＳ−Ｌ−１０４２に基づいて、40℃の洗濯試験液に30分浸漬した後に100回手揉みを、２回繰り返して水洗乾燥した。

実施例及び比較例に用いた素材又は基材は、（１）綿、（２）馬毛、（３）アクリル、（４）レーヨン、（５）ナイロン、（６）ポリウレタン、（７）ＮＢＲ、（８）ＰＥＴ、（９）ＰＢＴの９種類である。
ハロー試験の結果は、表２及び表３の通りである。

表２（本発明実施例）、表３（比較例）を対比すれば、（Ａ）成分及び（Ｂ）成分を併用する本発明のパフは、洗濯後もハロー効果のあることを明確に確認することができ、耐洗濯性の優れた抗菌性を有していた。一方、（Ａ）成分又は（Ｂ）成分を単独で用いた場合には耐洗濯性が得られないことは明らかである。

Claims

立毛織物、立毛編物、パイル不織布又は植毛布より選ばれた素材、モノフィラメント、獣毛、ウィッグ素材、ポリウレタンスポンジ及びＮＢＲスポンジより選ばれた基材に、（Ａ）ベンジルアンモニウムクロライド系化合物0.1〜5.0重量％と（Ｂ）ナフトキノン系化合物0.1〜5.0重量％とが、加熱水液処理によって吸着含有されてなることを特徴とする手揉み洗濯後でも５mm以上の抗菌ハロー幅を示す抗菌性の化粧用器材。
立毛織物、立毛編物、パイル不織布又は植毛布より選ばれた素材、モノフィラメント、獣毛、ウィッグ素材、ポリウレタンスポンジ及びＮＢＲスポンジより選ばれた基材に、（Ａ）ベンジルアンモニウムクロライド系化合物と（Ｂ）ナフトキノン系化合物とが、シランカップリングを介して、加熱水液処理によって吸着含有されてなることを特徴とする請求項１に記載の化粧用器材。
化粧用器材が、パイルパフ、アイラッシュ、かつら、多孔質パフ、多孔質チップ又は植毛チップであることを特徴とする請求項１又は２に記載の化粧用器材。
繊維、糸、パイル布帛、獣毛、ウィッグ素材、ポリウレタンスポンジ及びＮＢＲスポンジより選ばれた基材を、（Ａ）ベンジルアンモニウムクロライド系化合物と（Ｂ）ナフトキノン系化合物を含有する水溶液に上記素材を浸漬し、加熱水液処理を行うことを特徴とする化粧用器材の製造方法。
繊維、糸、パイル布帛、獣毛、ウィッグ素材、ポリウレタンスポンジ又はＮＢＲスポンジより選ばれた基材を、（Ａ）ベンジルアンモニウムクロライド系化合物と（Ｂ）ナフトキノン系化合物を含有する水溶液にキャリヤー剤を併用して、上記素材を加熱水液処理を行うことを特徴とする請求項４に記載の化粧用器材の製造方法。
上記キャリヤー剤として、安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸エチル、パラヒドロキシ安息香酸ブチル、ビスフェノールＡ、ビスフェノールＢ、２−ヒドロキシビスフェノール、パラビフェニルアミン、パラアミノサリチル酸又はオルソフェニルフェノールを用いることを特徴とする請求項５に記載の化粧用器材の製造方法。