JP4005303B2 - 自動変速機の再変速制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機の変速中に別の変速要求が発生した時の再変速を、再変速発生遅れ時間と再変速ショックとの兼ね合いにおいて、適切なタイミングで行わせるための自動変速機の再変速制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機は、複数のクラッチやブレーキ等の摩擦要素を選択的に油圧作動(締結)させることにより歯車伝動系の動力伝達経路(変速段)を決定し、締結作動させる摩擦要素を切り換えることにより他の変速段への変速を行うよう構成する。
【0003】
上記の変速に当たって好適変速段を決定するには一般的に、エンジンスロットル開度や車速などの車両運転情報からコントローラが予定のマップをもとに運転状態に符合した好適変速段を定め、これへの変速が行われるよう締結作動させる摩擦要素を切り換えるのが普通である。
これがため自動変速機は、変速中でも急なアクセルペダル操作などにより車両運転状態が変化すると、コントローラからの対応した再変速要求を受けて再変速を実行することとなる。
【0004】
しかるに変速中に再変速を強行すると、締結作動過程にある摩擦要素を解放したり、解放途中にある摩擦要素を締結させることになって、変速制御がでたらめになることから変速応答遅れが著しく長くなったり、大きな変速ショックを生ずる等の弊害を生ずる。
この問題解決のためには図9に破線で示すように再変速を行うことが考えられる。
【0005】
つまり、エンジンスロットル開度TVOの図9に示すような増大に伴って瞬時t1に第4速から第3速への変速が開始され、当該変速により変速機入力回転数であるタービン回転数Nt の変化傾向から明らかなように瞬時t2にイナーシャフェーズが開始されて実効ギヤ比(変速機入出力回転比)が変速前の第4速ギヤ比から変速後の第3速ギヤ比に向けて変化し始め、瞬時t4にイナーシャフェーズが終了して実効ギヤ比が変速後の第3速ギヤ比に到達し、イナーシャフェーズ中の瞬時t3に好適変速段が第3速から第2速に変化して第3速から第2速への再変速要求が発生した場合について説明するに、
再変速要求がイナーシャフェーズ中の瞬時t3に発生したことから、ここでは当該要求に対応した再変速(3→2変速)を実行させず、この再変速を破線で示すごとくイナーシャフェーズ終了瞬時t4に開始させ、タービン回転数Nt の破線で示す変化傾向から明らかなように瞬時t6で第3速から第2速への再変速を完了する。
【0006】
ところでイナーシャフェーズが終了した時には未だ、締結作動過程にある摩擦要素の作動油圧を制御する調圧系や、解放作動過程にある摩擦要素の作動油圧を制御する調圧系が、変速終了後の変速段を成立させる定常状態に至っていないことからこれら調圧系の出力油圧が不安定であり、図9の破線で示すごとくこのイナーシャフェーズ終了瞬時t4に再変速を開始させると、当該変速を制御するための調圧系が変速開始前の変速段を成立させる定常状態に至っていないのに再変速を開始することとなり、当該定常状態であることが前提の変速制御が結果として狙い通りの油圧をつくることができない等により、再変速の変速制御に不都合をもたらし、変速機出力トルクの破線で示す経時変化から明らかなごとく変速ショックが大きくなる。
しかして再変速の応答遅れ時間は短くすることができる。
【0007】
そこで従来、例えば特開平2−46352号公報に記載のごとく、上記の再変速を図9に実線で示すように行わせる技術も提案されている。
つまり、イナーシャフェーズ中の瞬時t3に第3速から第2速への再変速要求が発生した時は、イナーシャフェーズ終了瞬時t4から一定時間T0 が経過する瞬時t5までの間、対応する再変速を禁止して第3速を保持し、当該第3速から第2速への再変速を一定の遅延時間T0 の経過瞬時t5に開始させ、タービン回転数Nt の実線で示す変化傾向から明らかなように瞬時t7に第2速への再変速を完了する。
この場合、変速機出力トルクは図9に実線で示すごとくに時系列変化し、これと破線で示す変速機出力トルクの時系列変化との比較から明らかなように、再変速の応答遅れ時間が長くなるものの、上記の場合に問題となった変速ショックの改善を実現することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上記した従来の再変速制御装置ではイナーシャフェーズ終了瞬時t4から一定時間T0 中において再変速を禁止して遅延させるといえども、当該再変速の遅延時間T0 が一定であるため、変速中における再変速要求時期の早い遅いに関係なく全て同じタイミングで、すなわち、いずれの場合もイナーシャフェーズ終了から一定の遅延時間T0 が経過した瞬時t5に対応する再変速が実行されることとなり、以下に説明するような問題が生ずることを確かめた。
【0009】
つまり、変速中の比較的早い時期に再変速要求が発生した場合は、運転者が早期の再変速を希望する運転をしていることになり、再変速ショックを少し犠牲にしても再変速応答遅れ時間を短くしたい要求があり、極端に早い時期に再変速要求が発生した場合は、イナーシャフェーズ終了後に前記した調圧系が未だ完全な定常状態に至っておらず、調圧系が未だ少し不安定な状態状態である可能性のあるタイミングでも再変速を行わせるのが良いことすらある。
しかるに従来のように再変速遅延時間T0 を、前記した変速ショックの問題が生じないよう定めてこの値に固定する限り、当該要求を実現すること不可能である。
【0010】
かといって当該要求が満足されるよう再変速遅延時間T0 を短い、若しくは負の一定値としたのでは、変速中の比較的遅い時期に再変速要求が発生した場合に、さほど早期の再変速を希望していないにもかかわらず再変速を早期に行わせ、その結果として肝心の再変速ショックを犠牲にすることとなる。
【0011】
請求項1に記載の第1発明は、上記の問題がとりもなおさず、再変速遅延時間が再変速要求時期の早い遅いに関係なく一定であることに起因するとの事実認識に基づき、そして、変速中の比較的早い時期に再変速要求が発生した場合は変速ショックを少し犠牲にしても運転者が早期の再変速を希望しており、逆に変速中の比較的遅い時期に再変速要求が発生した場合は再変速応答遅れ時間が少し長くなっても運転者が変速ショックの改善を希望しているとの観点から、
再変速遅延時間を、再変速要求時期の早い遅いに応じて上記の要求が満足されるよう可変にし、これにより上記の問題解決を実現した自動変速機の再変速制御装置を提案することを目的とする。
【0012】
請求項2に記載の第2発明は、再変速遅延制御の開始タイミングを適切に定めて再変速の遅延が無駄に行われることのないようにした自動変速機の再変速制御装置を提案することを目的とする。
【0013】
請求項3に記載の第3発明は、変速中の極端に早い時期に再変速要求が発生した場合は要求に合わせ、イナーシャフェーズ終了直後における調圧系の不安定が未だ収まっていなくてこれに伴う変速ショックが発生する虞れがある、変速終了前の早いタイミングで再変速を行わせることすら可能にした自動変速機の再変速制御装置を提案することを目的とする。
【0014】
請求項4に記載の第4発明は、遅延させている再変速の許可タイミングを決める時の基準となる変速終了を、イナーシャフェーズ終了後に締結側作動油圧指令値が締結側摩擦要素の締結完了を指示する上限値となり、且つ、解放側作動油圧指令値が解放側摩擦要素の解放完了を指示する下限値となった後となし得るようにすることで、再変速を、調圧系が安定状態になるまでは確実に遅延させ、その後に行わせ得るようにした自動変速機の再変速制御装置を提案することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
これらの目的のため、先ず第1発明による自動変速機の再変速制御装置は、
複数の摩擦要素を選択的に締結作動させることにより対応変速段を選択可能で、締結作動させる摩擦要素を切り替えることにより他の変速段への変速を行うことができ、この変速中にアクセルペダル操作に起因して別の変速要求が発生しても対応する再変速を遅延させて、該再変速を変速終了から所定時間が経過した時に行わせるようにした自動変速機において、
前記別の変速要求が発生した時から、変速機入出力回転数比で表される実効ギヤ比が、最初の変速の終了によって達成される変速後ギヤ比に到達するイナーシャフェーズ終了時までの時間に応じ、該時間が長いほど前記遅延のための所定時間を短くするよう構成したことを特徴とするものである。
【0016】
第2発明による自動変速機の再変速制御装置は、第1発明において、
前記実効ギヤ比が変速前ギヤ比から変速後ギヤ比に向けて変化し始めるイナーシャフェーズ開始時またはトルクフェーズ開始時より前に前記別の変速要求が発生した時は、該別の変速要求に対応した再変速を直ちに実行させるよう構成したことを特徴とするものである。
【0017】
第3発明による自動変速機の再変速制御装置は、第1発明または第2発明において、
前記別の変速要求発生時からイナーシャフェーズ終了時までの時間が長い領域では前記遅延のための所定時間を負値とし、前記変速終了よりも前に該別の変速要求に対応した再変速を開始させるように構成したことを特徴とするものである。
【0018】
第4発明による自動変速機の再変速制御装置は、第1発明乃至第3発明のいずれかにおいて、
前記イナーシャフェーズ終了から設定時間が経過した時を前記変速終了とするよう構成したことを特徴とするものである。
【0019】
【発明の効果】
複数の摩擦要素のうち選択的に締結作動させる摩擦要素を切り替えることにより行う変速中にアクセルペダル操作に起因して別の変速要求が発生しても、当該変速中は対応する再変速を遅延させて、この再変速を変速終了から所定時間が経過した時に行わせる。
かかる再変速の遅延によれば、その分再変速の応答遅れ時間が発生するものの、変速中に再変速が行われてしまう時のような変速ショックを回避し得ると共に、イナーシャフェーズ終了直後における調圧系の不安定に伴う変速ショックを回避することができる。
【0020】
ここで第1発明においては特に、上記別の変速要求が発生した時から最初の変速に係わるイナーシャフェーズ終了時までの時間が長いほど上記再変速の遅延のための所定時間を短くする。
これがため、上記再変速の遅延のための所定時間、つまり再変速遅延時間を再変速要求時期の早い遅いに応じて変化させ、再変速要求時期が早いほど再変速遅延時間を長くすることになる。
従って、変速中の比較的早い時期に再変速要求が発生した場合は早期に再変速が開始され、変速ショックを少し犠牲にしても運転者が早期の再変速を希望している要求を満足させることができ、逆に変速中の比較的遅い時期に再変速要求が発生した場合は比較的遅くに再変速が開始され、早期に再変速を開始させることに対する運転者の要求が低い分、再変速応答遅れ時間を少し長くして運転者の望む良好な変速ショックに対する要求を満足させることができ、相反する2つの要求をともに満足する再変速制御を実現し得る。
【0021】
第2発明においては、イナーシャフェーズ開始時またはトルクフェーズ開始時より前に上記別の変速要求が発生した時は、これに対応した再変速を直ちに実行させるため、
再変速遅延制御の開始タイミングを、再変速の遅延が無駄に行われることのないよう適切に定め得ることとなって、当該無駄な再変速の遅延により運転フィーリングが悪化するのを防止することができる。
【0022】
第3発明においては、上記別の変速要求が発生した時からイナーシャフェーズ終了時までの時間が長い領域では上記遅延のための所定時間を負値とし、前記変速終了よりも前に該別の変速要求に対応した再変速を開始させるため、
変速中の極端に早い時期に再変速要求が発生した場合は、イナーシャフェーズ終了直後における調圧系の不安定が未だ収まっていなくて再変速時にこれに伴う変速ショックが発生する虞れがあっても変速終了前の早いタイミングで対応する再変速を行わせることすら可能となり、更なる早期の再変速を運転者が希望している要求をも満足させることができる。
【0023】
第4発明においては、イナーシャフェーズ終了から設定時間が経過した時を前記変速終了とするため、
遅延させている再変速の許可タイミングを決める時の基準となる変速終了を、イナーシャフェーズ終了後に締結側作動油圧指令値が締結側摩擦要素の締結完了を指示する上限値となり、且つ、解放側作動油圧指令値が解放側摩擦要素の解放完了を指示する下限値となった後となし得て、再変速を、調圧系が安定状態になるまでは確実に遅延させてその後に行わせるようにすることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明一実施の形態になる自動変速機の再変速制御装置を示し、1はエンジン、2は自動変速機である。
エンジン1は、運転者が操作するアクセルペダルに連動してその踏み込みにつれ全閉から全開に向け開度増大するスロットルバルブにより出力を加減され、エンジン1の出力回転はトルクコンバータ3を経て自動変速機2の入力軸4に入力されるものとする。
【0025】
自動変速機2は、同軸突き合わせ関係に配置した入出力軸4,5上にエンジン1の側から順次フロントプラネタリギヤ組6およびリヤプラネタリギヤ組7を載置して具え、これらを自動変速機2における遊星歯車変速機構の主たる構成要素とする。
エンジン1に近いフロントプラネタリギヤ組6は、フロントサンギヤSF 、フロントリングギヤRF 、これらに噛合するフロントピニオンPF 、および該フロントピニオンを回転自在に支持するフロントキャリアCF よりなる単純遊星歯車組とし、
エンジン1から遠いリヤプラネタリギヤ組7も、リヤサンギヤSR 、リヤリングギヤRR 、これらに噛合するリヤピニオンPR 、および該リヤピニオンを回転自在に支持するリヤキャリアCR よりなる単純遊星歯車組とする。
【0026】
遊星歯車変速機構の伝動経路(変速段)を決定する摩擦要素としてはロークラッチL/C、2速・4速ブレーキ2−4/B、ハイクラッチH/C、ローリバースブレーキLR/B、ローワンウエイクラッチL/OWC、およびリバースクラッチR/Cを、以下のごとく両プラネタリギヤ組6,7の構成要素に相関させて設ける。
つまり、フロントサンギヤSF はリバースクラッチR/Cにより入力軸4に適宜結合可能にすると共に、2速・4速ブレーキ2−4/Bにより適宜固定可能とする。
【0027】
フロントキャリアCF はハイクラッチH/Cにより入力軸4に適宜結合可能にする。
フロントキャリアCF は更に、ローワンウエイクラッチL/OWCによりエンジン回転と逆方向の回転を阻止すると共に、ローリバースブレーキLR/Bにより適宜固定可能とする。
そしてフロントキャリアCF と、リヤリングギヤRR との間を、ロークラッチL/Cにより適宜結合可能とする。
フロントリングギヤRF およびリヤキャリアCR 間を相互に結合し、これらフロントリングギヤRF およびリヤキャリアCR を出力軸6に結合し、リヤサンギヤSR を入力軸4に結合する。
【0028】
上記遊星歯車変速機構の動力伝達列は、摩擦要素L/C,2−4/B,H/C,LR/B,R/Cの図2に実線の〇印で示す選択的油圧作動(締結)と、ローワンウェイクラッチL/OWCの同図に実線の〇印で示す自己係合とにより、前進第1速(1st)、前進第2速(2nd)、前進第3速(3rd)、前進第4速(4th)の前進変速段と、後退変速段(Rev )とを得ることができる。
なお図2に点線の〇印で示す油圧作動(締結)は、エンジンブレーキが必要な時に作動させるべき摩擦要素である。
【0029】
図2に示す変速制御用摩擦要素L/C,2−4/B,H/C,LR/B,R/Cの締結論理は図1に示すコントロールバルブボディー8により実現し、このコントロールバルブボディー8には図示せざるマニュアルバルブの他に、ライン圧ソレノイド9、ロークラッチソレノイド10、2速・4速ブレーキソレノイド11、ハイクラッチソレノイド12、ローリバースブレーキソレノイド13などを挿置する。
【0030】
ライン圧ソレノイド9はそのON,OFFにより、変速制御の元圧であるライン圧を高低切り替えし、図示せざるマニュアルバルブは、希望する走行形態に応じて運転者により前進走行(D)レンジ位置、後退走行(R)レンジ位置、または駐停車(P,N)レンジ位置に操作されるものとする。
Dレンジでマニュアルバルブは、上記のライン圧を元圧としてロークラッチソレノイド10、2速・4速ブレーキソレノイド11、ハイクラッチソレノイド12、ローリバースブレーキソレノイド13のデューティ制御により対応するロークラッチL/C、2速・4速ブレーキ2−4/B、ハイクラッチH/C、ローリバースブレーキLR/Bの作動油圧を個々に制御し得るようライン圧を所定の回路に供給し、当該各ソレノイドのデューティ制御により図2に示した第1速〜第4速の締結論理を実現するものとする。
但しRレンジでは、マニュアルバルブはリバースクラッチR/Cについてはライン圧を上記各ソレノイドのデューティ制御に依存することなく直接供給し、ローリバースブレーキLR/Bについては上記ローリバースブレーキソレノイド13によるデューティ制御圧を供給し、これらを締結作動させることにより図2に示した後退の締結論理を実現するものとする。
なおP,Nレンジでマニュアルバルブはライン圧をどの回路にも供給せず、全ての摩擦要素を解放状態にすることにより自動変速機を中立状態にする。
【0031】
ライン圧ソレノイド9のON,OFF制御、およびロークラッチソレノイド10、2速・4速ブレーキソレノイド11、ハイクラッチソレノイド12、ローリバースブレーキソレノイド13のデューティ制御はそれぞれ変速機コントローラ14により実行し、
そのために変速機コントローラ14には、エンジン1のスロットル開度TVOを検出するスロットル開度センサ15からの信号と、
トルクコンバータ3の出力回転数(変速機入力回転数)であるタービン回転数Nt を検出するタービン回転センサ16からの信号と、
自動変速機2の出力軸5の回転数NO を検出する出力回転センサ17からの信号と、
選択レンジを検出するインヒビタスイッチ18からの信号とをそれぞれ入力する。
【0032】
本発明が関与するDレンジでの自動変速作用を説明するに、変速機コントローラ14は図示せざる制御プログラムを実行して、予定の変速マップをもとにスロットル開度TVOおよび変速機出力回転数NO (車速)から、現在の運転状態において要求される好適変速段(図3〜図5にGPN で示す)を検索する。
次いで変速機コントローラ14は、当該好適変速段GPN への変速を許可すべきかどうかを判定し、許可すべきなら指令変速段GPS (図3〜図5参照)を上記のGPN に更新する。そして変速機コントローラ14は、現在選択中の現状変速段GPC (図3〜図5参照)が指令変速段GPS と一致しているか否かを判定し、不一致なら変速指令を発して指令変速段GPS (好適変速段GPN )への変速が実行されるよう、つまり図2の締結論理表にもとづき当該変速のための摩擦要素の締結、解放切換えが行われるようソレノイド10〜13のデューティ制御により、当該摩擦要素の作動油圧を変更する。
【0033】
ここで本発明による再変速制御を説明するために、先ずスロットル開度TVOが図3に示すように変化して好適変速段GPN が瞬時t1に第4速から第3速に切り替わるも、その後は好適変速段GPN が第3速のままで再変速要求がない場合の通常の4→3ダウンシフトを詳述する。
瞬時t1における好適変速段GPN の切り替えが変速中におけるものでない(再変速要求)でないことから、指令変速段GPS も直ちに第4速から第3速に切り替わり、瞬時t1に指令変速段GPS と現状変速段GPC (第4速)との不一致に呼応して4→3ダウンシフトが開始される。
【0034】
当該ダウンシフトは図2の締結論理から明らかなように、2速・4速ブレーキ2−4/Bを解放させると共にロークラッチL/Cを締結させる摩擦要素の切り替えにより行い、これがため2速・4速ブレーキ2−4/Bの作動油圧(2速・4速ブレーキ圧)P24B を例えば図3のごとくに低下させると共にロークラッチL/Cの作動油圧(ロークラッチ圧PLC)を同図に例示するごとくに上昇させる。
かかる2速・4速ブレーキ2−4/BおよびロークラッチL/C間における締結切り替えにより変速が進行すると、変速機入出力回転比(Nt /No )で表される実効ギヤ比iが図3の瞬時t2〜t3間において変速前ギヤ比(第4速ギヤ比)から変速後ギヤ比(第3速ギヤ比)へと変化する。
【0035】
実効ギヤ比iが変速前ギヤ比から変速後ギヤ比へ変化し始めるイナーシャフェーズ開始瞬時t2に再変速禁止フラグFLAGS をONにして再変速禁止を開始させ、実効ギヤ比iが変速後ギヤ比に到達するイナーシャフェーズ終了瞬時t3にイナーシャフェーズ終了判断フラグFLAGI をONにする。
タイマTM2 はイナーシャフェーズ終了瞬時t3からの経過時間を計測し、これがイナーシャフェーズ終了後の処理に必要なイナーシャフェーズ終了後処理時間TB を示すようになる瞬時t4に変速終了として現状変速段GPC を第3速にセットする。
【0036】
タイマTM2 が変速終了瞬時t4から更に所定時間TA の経過を計測する瞬時t5に再変速禁止フラグFLAGS をOFFにし、以後において再変速禁止を解除して再変速を許可する。
ここで上記の所定時間TA は後で詳述するが、図6に示すごとく後述のタイマTM1 の計測時間に応じて変化する変数とする。しかして所定時間TA の最大近辺の値(図6に示すようにタイマTM1 の計測時間が0に近い時の値)は、変速終了(瞬時t4)から、変速制御装置の調圧系が完全に変速終了後の変速段の状態で安定して長時間上記変速段の状態を保持した後、次の変速を行っても支障なく所定通りに制御油圧を作り出すことができるような状態に収まるのに必要な時間とする。
【0037】
次にスロットル開度TVOを図4に示すように変化させた結果、好適変速段GPN が瞬時t1に第4速から第3速に切り替わり、これに伴う変速中の瞬時t6に好適変速段GPN が第3速から第2速に切り替わって再変速要求があった場合の再変速制御を説明する。
瞬時t1における好適変速段GPN の切り替えが変速中におけるものでない(再変速要求)でないことから、指令変速段GPS も直ちに第4速から第3速に切り替わり、瞬時t1に指令変速段GPS と現状変速段GPC (第4速)との不一致に呼応して図3につき前述したと同様に、つまり2速・4速ブレーキ圧P24Bの低下による2速・4速ブレーキ2−4/Bの解放と、ロークラッチ圧PLCの上昇によるロークラッチL/Cの締結とによって4→3ダウンシフトが開始される。
【0038】
ところで、かかる変速によるイナーシャフェーズが開始される前の瞬時t6に好適変速段GPN が第3速から第2速に切り替わって再変速要求が発生したため、つまり再変速禁止フラグFLAGS がONになる前に当該再変速要求が発生したため、変速中の再変速要求であっても変速の終了を待たずに対応する再変速を以下のように許可する。
つまり再変速要求瞬時t6に直ちに指令変速段GPS を第3速から第2速に切り替え、指令変速段GPS と現状変速段GPC (第4速)との不一致に呼応し、4→3ダウンシフトに代えて4→2飛び越しダウンシフトが開始される。
【0039】
当該飛び越しダウンシフトは図2の締結論理から明らかなように、そして図4のタイムチャートに示すように、ロークラッチL/Cをロークラッチ圧PLCの継続的な上昇により締結進行させたまま、低下中の2速・4速ブレーキ圧P24B を再上昇させて2速・4速ブレーキ2−4/Bを再締結させると共に、締結状態であったハイクラッチH/Cをその作動油圧(ハイクラッチ圧)PHCの低下により解放させて行う。
かかる4→2飛び越しダウンシフトの進行につれ、実効ギヤ比iが図4の瞬時t2〜t3間において変速前ギヤ比(第4速ギヤ比)から変速後ギヤ比(第2速ギヤ比)へと変化する。
【0040】
実効ギヤ比iが変速前ギヤ比から変速後ギヤ比へ変化し始めるイナーシャフェーズ開始瞬時t2に再変速禁止フラグFLAGS をONにして再変速禁止を開始させ、実効ギヤ比iが変速後ギヤ比に到達するイナーシャフェーズ終了瞬時t3にイナーシャフェーズ終了判断フラグFLAGI をONにする。
タイマTM2 はイナーシャフェーズ終了瞬時t3からの経過時間を計測し、これがイナーシャフェーズ終了後の処理に必要なイナーシャフェーズ終了後処理時間TB を示すようになる瞬時t4に変速終了として現状変速段GPC を第2速にセットする。
タイマTM2 が変速終了瞬時t4から更に所定時間TA の経過を計測する瞬時t5に再変速禁止フラグFLAGS をOFFにし、以後において再変速禁止を解除して再変速を許可する。
【0041】
次いでスロットル開度TVOを図5に示すように変化させた結果、好適変速段GPN が瞬時t1に第4速から第3速に切り替わり、これに伴う変速中の瞬時t7に好適変速段GPN が第3速から第2速に切り替わって再変速要求があった場合の再変速制御を説明する。
瞬時t1における好適変速段GPN の切り替えが変速中におけるものでない(再変速要求)でないことから、指令変速段GPS も直ちに第4速から第3速に切り替わり、瞬時t1に指令変速段GPS と現状変速段GPC (第4速)との不一致に呼応して図3につき前述したと同様に、つまり2速・4速ブレーキ圧P24Bの低下による2速・4速ブレーキ2−4/Bの解放と、ロークラッチ圧PLCの上昇によるロークラッチL/Cの締結とによって4→3ダウンシフトが開始される。
【0042】
かかる4→3ダウンシフトの進行につれ、実効ギヤ比iが図5の瞬時t2〜t3間において変速前ギヤ比(第4速ギヤ比)から変速後ギヤ比(第3速ギヤ比)へと変化する。
実効ギヤ比iが変速前ギヤ比から変速後ギヤ比へ変化し始めるイナーシャフェーズ開始瞬時t2に再変速禁止フラグFLAGS をONにして再変速禁止を開始させ、実効ギヤ比iが変速後ギヤ比に到達するイナーシャフェーズ終了瞬時t3にイナーシャフェーズ終了判断フラグFLAGI をONにする。
【0043】
ところで、かかる変速によるイナーシャフェーズが開始され、再変速禁止フラグFLAGS がONになって再変速が禁止された後の瞬時t7に好適変速段GPN が第3速から第2速に切り替わって再変速要求が発生したため、対応する再変速を以下のように禁止(遅延)し、変速の終了を待って当該再変速を行わせることとする。
つまり再変速禁止フラグFLAGS がONになっていることにより指令変速段GPS の書き換えが禁止されているため再変速要求瞬時t7に指令変速段GPSを第3速から第2速に切り替えず第3速のままに保ち、指令変速段GPS (第3速)と現状変速段GPC (第4速)との不一致に呼応して、4→3ダウンシフトを引き続き継続して行わさせる。
【0044】
一方で、上記のように再変速禁止フラグFLAGS がONになって再変速が禁止された後に(イナーシャフェーズ開始後)に再変速要求があった場合、タイマTM1 は図5に示すように当該瞬時t7からイナーシャフェーズ終了瞬時t3までの時間を計測し、当該タイマTM1 の計測時間(長いほど再変速要求タイミングが早い)をもとに図6の予定マップから再変速遅延用の所定時間TA を検索する。
ここで所定時間TA は、タイマTM1 により計測した再変速要求瞬時t7からイナーシャフェーズ終了瞬時t3までの時間が長いほど、つまり、変速中における再変速要求が早期に発生した時ほど短くし、再変速要求タイミングが極端に早くてイナーシャフェーズ開始直後に再変速要求が発生した時などは、再変速遅延用の所定時間TA を負値とする。
【0045】
なお、再変速遅延用の所定時間TA の長さと、変速ショックの大きさとの関係は図9につき前述した通り図6に示すような関係にあり、再変速遅延用の所定時間TA が長いと再変速応答遅れが大きくなる反面、変速ショックを小さくすることができ、再変速遅延用の所定時間TA が短いと再変速応答遅れが少ない反面、変速ショックが大きくなる。
従って、タイマTM1 の計測時間(再変速要求タイミングの早さ)に対して如何ような再変速遅延用の所定時間TA を与えるかを示す図6の予定マップは、当該再変速要求タイミングの早さごとに運転者が如何なる再変速応答遅れと変速ショックとの兼ね合いを要求しているかに応じて定めることとする。
【0046】
図5の場合においても、図3および図4におけると同様に、イナーシャフェーズ終了瞬時t3からイナーシャフェーズ終了後処理時間TB と再変速遅延用の所定時間TA との合計時間が経過したことをタイマTM2 が示した瞬時t8に再変速禁止フラグFLAGS をOFFにして再変速の禁止を解除し、再変速を許可すると共に、変速終了に呼応して現状変速段GPC に第3速をセットする。
ここで瞬時t8の再変速禁止解除(FLAGS =OFF)により、指令変速段GPS を第3速から好適変速段GPN と同じ第2速に切り替え、指令変速段GPS (第2速)と現状変速段GPC (第3速)との不一致に呼応して対応する再変速(3→2ダウンシフト)を以下のように行わせる。
【0047】
つまり、当該再変速(3→2ダウンシフト)は図2の締結論理から明らかなように、そして図5のタイムチャートに示すように、ロークラッチL/Cをロークラッチ圧PLCの保持により締結状態に保ったまま、排除した2速・4速ブレーキ圧P24B を再上昇させて2速・4速ブレーキ2−4/Bを再締結させると共に、締結状態であったハイクラッチH/Cをハイクラッチ圧PHCの低下により解放させて行う。
かかる再変速(3→2ダウンシフト)の進行につれ、実効ギヤ比iが図5の瞬時t8以後において変速前ギヤ比(第3速ギヤ比)から変速後ギヤ比(第2速ギヤ比)へと変化し、当該変速によるイナーシャフェーズ終了瞬時からイナーシャフェーズ終了後処理時間(前記TB )が経過した変速終了時に現状変速段GPCを第2速とする。
【0048】
ところで本実施の形態においては図5に示すように、4→3変速のイナーシャフェーズ開始瞬時t2よりも後に別の変速(3→2)要求(再変速要求)が発生した場合は、対応する再変速を遅延させてこの再変速を変速終了(イナーシャフェーズ終了瞬時t3よりもイナーシャフェーズ終了後処理時間TB だけ遅い瞬時)から所定時間TA が経過した瞬時t8に行わせるために、
その分再変速の応答遅れ時間が発生するものの、変速中に再変速が行われてしまう時のような変速ショックを回避し得ると共に、イナーシャフェーズ終了直後における調圧系の不安定に伴う変速ショックを回避することができる。
【0049】
そして本実施の形態においては特に、上記再変速要求が発生した時t7からイナーシャフェーズ終了時t3までの時間(タイマTM1 の計測時間)が長いほど上記再変速の遅延のための所定時間TA を図6に例示するごとく短くしたことから、
上記再変速の遅延のための所定時間TA 、つまり再変速遅延時間を再変速要求タイミングt7の早い遅いに応じて変化させ、再変速要求時期が早いほど再変速遅延時間を短くすることになる。
従って、変速中の比較的早い時期に再変速要求が発生した場合は早期に再変速が開始され、変速ショックを少し犠牲にしても運転者が早期の再変速を希望している要求を満足させることができ、逆に変速中の比較的遅い時期に再変速要求が発生した場合は比較的遅くに再変速が開始され、早期に再変速を開始させることに対する運転者の要求が低い分、再変速応答遅れ時間を少し長くして運転者の望む良好な変速ショックに対する要求を満足させることができ、相反する2つの要求をともに満足させる再変速制御を実現し得る。
【0050】
また本実施の形態においては、図4に示すようにイナーシャフェーズ開始時t2より前(図4では瞬時t6)に再変速要求が発生した時は、これに対応した再変速を直ちに実行させるため、
再変速遅延制御の開始タイミングt2を、再変速の遅延が無駄に行われることのないよう適切に定め得ることとなって、当該無駄な再変速の遅延により運転フィーリングが悪化するのを防止することができる。
【0051】
更に本実施の形態においては、図5に示すように再変速要求発生瞬時t7からイナーシャフェーズ終了時t3までの時間(タイマTM1 の計測時間)が長い場合は、再変速の遅延のための所定時間TA を図6に示すごとく負値とし、前記の変速終了(図3および図4のt4)よりも前の瞬時t8(図5参照)に該再変速要求に対応した再変速を開始させるため、
図5に示すように、イナーシャフェーズ開始直後のような変速中の極端に早い時期t7に再変速要求が発生した場合は、イナーシャフェーズ終了(t3)直後における調圧系の不安定が未だ収まっていなくてこれに伴う変速ショックが発生する虞れがあっても変速終了(図3および図4のt4)よりも前の早いタイミングt8(図5参照)で対応する再変速を行わせることすら可能となり、更なる早期の再変速を運転者が希望している要求をも満足させることができる。
【0052】
なお、イナーシャフェーズ終了t3から設定のイナーシャフェーズ終了後処理時間TB が経過した時を変速終了とするため、遅延させている再変速の許可タイミングt8(図5参照)を決める時の基準となる変速終了(図3および図4のt4)を例えば、イナーシャフェーズ終了後に締結側作動油圧指令値が締結側摩擦要素の締結完了を指示する上限値となり、且つ、解放側作動油圧指令値が解放側摩擦要素の解放完了を指示する下限値となった後となし得て、再変速を、調圧系が安定状態になるまでは確実に遅延させ、その後の変速ショックの少ない一層実情にマッチした好適なタイミングで行わせることができる。
【0053】
上記のような作用効果を奏する図3〜図5の変速制御は、一定時間ΔTごとの定時割り込みにより実行される図7および図8に示すプログラムにより実現することができる。
先ず図7において、ステップ21ではスロットル開度TVOおよび車速VSPから予定の変速マップをもとに、現在の運転状態に適切な好適変速段GPN を検索する。
ステップ22では、再変速禁止フラグFLAGS がOFF(再変速許可状態)か否かをチェックし、再変速許可状態ならステップ23で指令変速段GPS に好適変速段GPN をセットし、再変速禁止状態ならステップ23をスキップして指令変速段GPS の変更を行わずに現在のままに保持する。
【0054】
次のステップ24では、上記のようにして決定した指令変速段GPS と現状変速段GPC との対比により、両者が異なっていればステップ25において現状変速段GPC から指令変速段GPS への変速指令を発して変速制御を実行する。
しかして指令変速段GPS と現状変速段GPC とが一致していれば、ステップ26で変速制御終了(図3および図4の瞬時t4に至ったとの)判断を行い、ステップ27において再変速禁止フラグFLAGS がON(再変速禁止状態)と判定する限りにおいて、ステップ28でタイマTM2 のインクリメントにより当該瞬時t4からの経過時間を計測し、ステップ29で当該タイマTM2 が再変速遅延用の所定時間TA を示していると判定した時に(図3および図4の瞬時t5に至った時に)、ステップ30で再変速禁止フラグFLAGS をOFFして再変速許可状態にする。
なお、ステップ30で再変速禁止フラグFLAGS をOFFした後はステップ27がステップ28〜30をスキップする。
【0055】
以上の後は制御が図8のステップ31に進み、ここで、ステップ25における変速指令が存在するか否かをチェックし、変速指令がなければ制御をそのまま終了する。
変速指令が存在する場合、ステップ32において通常通りの変速制御を実行させ、ステップ33において再変速禁止条件が成立しているか否かを、つまり図3〜図5の場合イナーシャフェーズが開始されているか否かを判定する。
ただし再変速禁止条件は、運転者に変速が実際に起こったことを感じさせるフェーズの発生を意味し、トルクフェーズの開始である場合もある。
条件が成立していればステップ34において、再変速禁止フラグFLAGS をONにして再変速を禁止する。
【0056】
次いでステップ35において、好適変速段GPN と指令変速段GPS とが不一致か否かをチェックし、再変速禁止中に再変速要求が有ったか否かを判定する。ステップ35において再変速禁止中に再変速要求が有ったと判定する場合は、ステップ36においてタイマTM1 のインクリメントにより当該再変速要求からの経過時間を計測した後、制御をステップ37に進める。
なお、ステップ33で再変速禁止条件が成立していないと判定したり、ステップ35で再変速要求がなかったと判定する場合はステップ34,36をスキップし、ステップ48でタイマTM1 を0にリセットした後、制御をステップ37に進める。
【0057】
次のステップ37では、変速機入出力回転比(Nt /No )で表される実効ギヤ比iが変速後ギヤ比に到達したか否かによりイナーシャフェーズが終了したか否かをチェックする。
イナーシャフェーズが終了していなければ制御をそのまま終了し、イナーシャフェーズが終了したらステップ38において、上記タイマTM1 の計測時間から図6のマップをもとに再変速遅延用の所定時間TA を読み込み、次いでステップ39において、イナーシャフェーズ終了後処理時間TB を読み込み、更にステップ40でタイマTM2 のインクリメントによりイナーシャフェーズ終了時からの経過時間を計測する。
【0058】
ステップ41では当該タイマTM2 の計測時間(イナーシャフェーズ終了時からの経過時間)が、イナーシャフェーズ終了後処理時間TB および再変速遅延用の所定時間TA の合計時間を示しているか否かをチェックし、ステップ42ではタイマTM2 の計測時間(イナーシャフェーズ終了時からの経過時間)がイナーシャフェーズ終了後処理時間TB を示しているか否かをチェックする。
タイマTM2 の計測時間(イナーシャフェーズ終了時からの経過時間)がイナーシャフェーズ終了後処理時間TB にも満たなければ制御をそのまま終了し、イナーシャフェーズ終了後処理時間TB を示すようになった時は、ステップ43において変速制御終了判断を行うと共に、ステップ44において好適変速段GPNを現状変速段GPC にセットする。
タイマTM2 の計測時間(イナーシャフェーズ終了時からの経過時間)が、イナーシャフェーズ終了後処理時間TB および再変速遅延用の所定時間TA の合計時間をも示すようになった時は、ステップ45において変速制御終了判断を行うと共に、ステップ46において好適変速段GPN を現状変速段GPC にセットし、更にステップ47において再変速禁止フラグFLAGS のOFFにより再変速を許可する。
【0059】
図7および図8に示す上記の変速制御によれば、4→3変速指令に伴う変速中に再変速要求が発生しない場合、図3につき前述した4→3ダウンシフトを通常通りに行わせることができ、また同じ4→3変速指令に伴う変速中のイナーシャフェーズ開始前に3→2再変速要求が発生した場合、図4につき前述した通りに再変速を遅延させずに4→2飛び越しダウンシフトを行わせることができ、更に同じ4→3変速指令に伴う変速中のイナーシャフェーズ開始後に3→2再変速要求が発生した場合、図5につき前述した通りに再変速を遅延させて4→3→2ダウンシフトを行わせることができ、前記した特異な作用効果を達成することができる。
【0060】
なお上記各実施の形態においては、自動変速機が摩擦要素の作動油圧を個々のソレノイドで直接的に制御されるようにした直動弁式である場合について、また当該自動変速機がダウンシフト変速を行う場合について説明したが、本発明はこれら自動変速機の型式や変速の種類に限定されるものではなく、他の型式の自動変速機や他の変速に対しても同様の考え方により適用可能で、これらの場合も同様の作用効果を奏し得ること勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態になる再変速制御装置を具えた自動変速機の伝動列、およびその変速制御システムを示す概略系統図である。
【図2】 同自動変速機の選択変速段と、摩擦要素の締結論理との関係を示す図である。
【図3】 同実施の形態における再変速制御装置が、再変速要求なし故に通常の4→3ダウンシフトを行う場合の動作タイムチャートである。
【図4】 同実施の形態における再変速制御装置が、イナーシャフェーズ開始前の再変速要求に呼応して再変速を即座に開始させた結果、4→2飛び越しダウンシフトを行う場合の動作タイムチャートである。
【図5】 同実施の形態における再変速制御装置が、イナーシャフェーズ開始後の再変速要求に呼応して再変速を遅延させた結果、4→3→2ダウンシフトを行う場合の動作タイムチャートである。
【図6】 同実施の形態において用いる再変速遅延用の所定時間に係わる変化特性を、発生する変速ショックとの関連において示す線図である。
【図7】 図3〜図5の変速制御を行うためのプログラムの前半部分を示すフローチャートである。
【図8】 同変速制御プログラムの後半部分を示すフローチャートである。
【図9】 従来装置において行われる再変速制御を示す動作タイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 自動変速機
3 トルクコンバータ
4 入力軸
5 出力軸
6 フロントプラネタリギヤ組
7 リヤプラネタリギヤ組
8 コントロールバルブ
9 ライン圧ソレノイド
10 ロークラッチソレノイド
11 2速・4速ブレーキソレノイド
12 ハイクラッチソレノイド
13 ローリバースブレーキソレノイド
14 変速機コントローラ
15 スロットル開度センサ
16 タービン回転センサ
17 出力回転センサ
18 インヒビタスイッチ
L/C ロークラッチ
2-4/B 2速・4速ブレーキ
H/C ハイクラッチ
LR/B ローリバースブレーキ
R/C リバースクラッチ
L/OWC ローワンウエイクラッチ
Claims (4)
- 複数の摩擦要素を選択的に締結作動させることにより対応変速段を選択可能で、締結作動させる摩擦要素を切り替えることにより他の変速段への変速を行うことができ、この変速中にアクセルペダル操作に起因して別の変速要求が発生しても対応する再変速を遅延させて、該再変速を変速終了から所定時間が経過した時に行わせるようにした自動変速機において、
前記別の変速要求が発生した時から、変速機入出力回転数比で表される実効ギヤ比が、最初の変速の終了によって達成される変速後ギヤ比に到達するイナーシャフェーズ終了時までの時間に応じ、該時間が長いほど前記遅延のための所定時間を短くするよう構成したことを特徴とする自動変速機の再変速制御装置。 - 請求項1において、前記実効ギヤ比が変速前ギヤ比から変速後ギヤ比に向けて変化し始めるイナーシャフェーズ開始時またはトルクフェーズ開始時より前に前記別の変速要求が発生した時は、該別の変速要求に対応した再変速を直ちに実行させるよう構成したことを特徴とする自動変速機の再変速制御装置。
- 請求項1または2において、前記別の変速要求発生時からイナーシャフェーズ終了時までの時間が長い領域では前記遅延のための所定時間を負値とし、前記変速終了よりも前に該別の変速要求に対応した再変速を開始させるよう構成したことを特徴とする自動変速機の再変速制御装置。
- 請求項1乃至3のいずれか1項において、前記イナーシャフェーズ終了から設定時間が経過した時を前記変速終了とするよう構成したことを特徴とする自動変速機の再変速制御装置。
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