JP4003007B2 - 酸化物透明導電性薄膜用組成物及び酸化物透明導電性薄膜の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子重合体配位子を用いた酸化物透明導電性薄膜の製造方法に関する。
特に高分子重合体配位子を金属に配位した高分子金属錯体の溶液を塗布し、焼成することを特徴とする製造方法であり、アミノ基を有する高分子重合体とカルボニル基を有する化合物との反応生成物または、β−ジケトン基を有する高分子重合体を金属に配位した高分子金属錯体を用いた酸化物透明導電性薄膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
透明導電性薄膜の製造方法には種々の方法があり、「透明導電膜の技術」((株)オーム社、日本学術振興会、透明酸化物光・電子材料第166委員会偏、1999年3月第1版発行)に詳しくまとめられている。代表的な薄膜の製造方法としては、スパッタリング法(DC、DCマグネトロン、RF)、真空蒸着法(電子ビーム加熱法、抵抗加熱法)、イオンプレーティング法、スプレー法、ディップ法、CVD法などの方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこれらの各方法では、真空設備などの大掛かりな設備が必要であり設備投資が必要なものや、適当な蒸気圧を持つ物質がないために酸化物透明導電性薄膜の作製法としては実用化には問題がある。
さらに、スパッタリング等の物理的作製法で成膜した酸化物透明導電性薄膜の中でも、スパッタリング法で成膜したものは膜性能がよいが、高性能を出すためにはスパッタリング中の酸素分圧、基板温度、放電方式(DCまたはRF)によって膜性能が左右され、製造条件に厳密な組成制御が必要となる。
【0004】
そこで本発明の目的は、高価な真空装置や厳密な製造条件の制御を必要とすることなく組成制御が可能な酸化物透明導電性薄膜の作製方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決すべく種々検討した結果、高分子重合体配位子を金属に配位した高分子金属錯体の溶液を塗布し、その塗膜を焼成することを特徴とする酸化物透明導電性薄膜の製造方法を見いだした。
【0006】
すなわち本発明の金属酸化物薄膜の製造方法及び金属酸化物薄膜用組成物は、下記(1)〜(7)により達成することができる。
(1)下記一般式(1)または(2)で表される重合体と、アルデヒド基と水酸基を有する芳香属化合物とを反応させて高分子重合体配位子を生成する工程と、前記高分子重合体配位子に金属化合物を作用させて高分子金属錯体を生成する工程と、前記高分子金属錯体の塗膜を基板に形成する工程と、前記塗膜を焼成する工程と、を有することを特徴とする酸化物透明導電性薄膜の製造方法。
【化1】
(式中、Xはメチレン基またはフェニル基を表す。mは0〜6の内の整数であり、nは100〜50万の内の整数である。)
(2)前記重合体は、前記一般式(1)においてXはフェニル基でmは1であるポリ−p−アミノスチレン、前記一般式(2)においてXはフェニル基でmは1であるポリ−p−アミノ−2−フェニルブタジエン、前記一般式(1)においてxはメチレン基でmは1であるポリアリルアミンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)に記載の酸化物透明導電性薄膜の製造方法。
(3)前記アルデヒド基と水酸基を有する芳香属化合物は、サリチルアルデヒド、ヒドロキシナフチルアルデヒド、ヒドロキシアントラセニルアルデヒド、ヒドロキシフルオレニルアルデヒドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)に記載の酸化物透明導電性薄膜の製造方法。
(4)前記高分子重合体配位子が感光性有機基を有することを特徴とする(1)に記載の酸化物透明導電性薄膜の製造方法。
(5)前記金属化合物は、In、Sn、Znのうちの少なくとも1種の金属イオンの塩またはIn、Sn、Znのうちの少なくとも1種の金属酸化物であることを特徴とする(1)に記載の酸化物透明導電性薄膜の製造方法。
(6)下記一般式(1)または(2)で表される重合体と、アルデヒド基と水酸基を有する芳香属化合物とを反応させた高分子重合体配位子と、金属化合物と、溶媒とを含有する酸化物透明導電性薄膜用組成物。
【化1】
(式中、Xはメチレン基またはフェニル基を表す。mは0〜6の内の整数であり、nは1 00〜50万の内の整数である。)
(7)前記金属化合物は、In、Sn、Znのうちの少なくとも1種の金属イオンの塩またはIn、Sn、Znのうちの少なくとも1種の金属酸化物であることを特徴とする(6)に記載の酸化物透明導電性薄膜用組成物。
【0007】
このような本発明の製造方法によれば、従来の真空蒸着法などで薄膜を製造する場合と比較すると低い温度で焼成できるため作業性が良い。また、大面積化や設備投資が容易であり、生産性が非常に良いことなどの多くの利点がある。さらに、必要な組成が容易に制御できることにある。これは複合金属の高分子金属錯体を用いる利点である。各金属が原子の状態で、しかも添加する量比のままに高分子錯体に取り込まれ、原子状態で分散でき、その高分子金属錯体を塗布し、焼成することにより組成の明確な酸化物透明導電性の薄膜が容易に得られるところにある。また種々の高分子金属錯体を製造し、溶液状態にて均一に混合することにより分子オーダーで分散した高分子金属錯体の溶液を調整し、塗布、焼成して酸化物透明導電性薄膜をさらに効率良く製造することもできる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、高分子重合体配位子が金属に配位されてなる高分子金属錯体の溶液を基板に塗布し、その塗膜を焼成する酸化物透明導電性薄膜の製造方法である。より具体的にはアミノ基を有する高分子重合体とカルボニル基を有する化合物との反応生成物(以下、「高分子配位子−A」と略す)、またはβ−ジケトン基を有する高分子重合体(以下、「高分子配位子−B」と略す)が金属に配位されてなる高分子金属錯体の溶液を基板に塗布し、その塗膜を焼成する酸化物透明導電性薄膜の製造方法である。
本発明で用いる高分子配位子−Aとしては、主鎖または側鎖にアミノ基を有する高分子重合体とカルボニル基を有する化合物との反応生成物として容易に製造することができる。さらに、感光性を有する基を導入することにより、容易に微細なパターンニング加工が行える。
【0009】
前記「高分子配位子−A」において、主鎖または側鎖にアミノ基を有する高分子重合体としては、下記の一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を10%以上含む重合体が好ましく用いられる。
【化1】
(式中、Xはメチレン基またはフェニル基を表す。mは0〜6の内の整数であり、n は100〜50万の内の整数である。)
【0010】
具体的には、ポリ塩化ビニルまたはポリクロロプレンの塩素を少なくとも10%以上アミノ化した重合体、ポリ-p-アミノスチレン、ポリ-p-アミノ-2-フェニルブタジエン、ポリアリルアミンなどを挙げることができる。
【0011】
カルボニル基を有する化合物としては、サリチルアルデヒド、ヒドロキシナフチルアルデヒド、ヒドロキシアントラセニルアルデヒド、ヒドロキシフルオレニルアルデヒドなどのアルデヒド基と水酸基を有する芳香族化合物、アセチルアセトン、1-フェニル-1,3-ブタンジオン、ジベンゾイルメタン、3-メチル-2,4-ペンタンジオン、1,1,1-トリフルオル-2,4-ペンタンジオン、4,4,4-トリフルオル-1-(2-チエニル)-1,3-ブタンジオン、2-メチル-1,3-ブタンジオンなどのβ−ジケトン化合物が挙げられる。これらの化合物にさらに炭化水素残基、ハロゲン原子、水酸基などの極性置換基がある化合物も含まれる。
【0012】
高分子配位子−Aはアミノ基を有する高分子重合体を水および/または有機溶媒に溶解し、カルボニル基を有する化合物の有機溶媒溶液と接触することにより容易に製造することができる。
【0013】
本発明で用いるβ−ジケトン基を有する高分子配位子−Bとしては、主鎖または側鎖にハロゲン原子を含有する炭化水素ポリマーとβ−ジケトンのNa体との反応生成物として容易に製造できる。
【0014】
主鎖または側鎖にハロゲン原子を有するポリマーとしては下記の一般式(3)〜(8)で表される繰り返し単位の化合物を10%以上含む重合体である。
【化2】
(式中、Yはハロゲン基を表す。nは100〜50万の内の整数である。)
【0015】
具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリクロロプレン、ポリ-p-クロルスチレン、ポリ-(p-クロル)-2-フェニルブタジエン、ポリ-p-クロルメチルスチレンまたはポリ-(p-クロルメチル)-2-フェニルブタジエンなどのハロゲン含有ポリマーとβージケトンとの反応生成物などを挙げることができる。
【0016】
β−ジケトンとしてはアセチルアセトン、1-フェニル-1,3-ブタンジオン、ジベンゾイルメタン、3-メチル-2,4ペンタンジオン、1,1,1-トリフルオル-2,4-ペンタンジオン、4,4,4-トリフルオロ-1-(2-チエニル)-1,3-ブタンジオン、2-メチル-1,3-ブタンジオンなどが挙げられる。これらの化合物にさらにアルキル、フッ素、塩素、シュウ素、有機残基などの置換基を持つ化合物も含まれる。
【0017】
高分子配位子−Bは主鎖または側鎖にハロゲン原子を含有する炭化水素ポリマーを有機溶媒に溶解し、β−ジケトンのNa体を接触することにより容易に製造することができる。
【0018】
使用する金属化合物としてはIn、Sn、Znの陰イオンの塩、酸化物などが用いられる。特に好ましくは、これらの金属の陰イオンの塩を水溶液の状態で使用する。陰イオンとしては、−Cl、−Br、−I、−NO3、−SO4、−CO3、−OOCCH3などが用いられる。これらの金属化合物は2種以上を混合して使用することができる。本発明の高分子金属錯体の最大のメリットは2種以上の金属を容易に配位させることができることである。各金属が原子の状態で、しかも添加する量比のままに高分子錯体に取り込まれ原子状態で分散できるところにある。これらの金属化合物の選択は使用目的により異なる。
【0019】
高分子金属錯体を安定化するため1個または複数個の配位子を使用することができる。配位子としては、1座ないし4座配位子を用いることができる。1座配位子としてはR−、RO−、RS−、RCOO−、NH2−、RNH−、R2N−などの有機、無機残基を有する化合物が挙げられる。ここにRは炭素数が1から12の炭化水素を表す。具体的には、メチル基、エトキシ基、エチルメルカプト基、酢酸基、プロピルアミン基、ジブチルアミン基などである。
【0020】
2座配位子としては、N,Nで配位する化合物、例えばビピリジル、1,8−ナフチリジン、1,10−フェナントロンなどがある。また、O,Nで配位する化合物としては、例えば8−キノリノール、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾール、サリチルアルデヒドとアニリンの縮合物、N,N−ジメチルアミノエタノールがある。O,Oで配位する化合物には、例えば、アセチルアセトン、1−フェニル−1,3−ブタンジオン、ジベンゾイルメタン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、1,1,1−トリフルオル−2,4−ペンタンジオン、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオン、2−メチル−1,3−ブタンジオンなどが挙げられる。
【0021】
また、3座配位子としては2,2’,2”−テルピリジルなどの化合物が挙げられる。
【0022】
さらに、4座配位子としてはビス(ベンゾイルアセトン)エチレンジアミン、N,N’−ジサリチリデントリメチレンジアミンなどが挙げられる。その他の配位子としてシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、トリカルバリル酸などのジカルボン酸化合物、トリカルボン酸化合物などが挙げられる。
【0023】
これらの有機配位子は単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。さらに、有機配位子に感光性を有する有機基を導入した化合物も用いることができる。この感光性の有機基を導入した化合物を溶媒に溶解し、スピンコート法などで成膜した後、必要なパターンの開口部を有するマスクを通して、光を当てゲル化して硬化させ有機溶媒に不溶化させる。その後、硬化していない部分を溶媒で洗い流すことにより、非常に微細なパターニングが可能となる。感光させる光は可視光でも、紫外光でもよく、これらの光に感光する感光性基としては不飽和炭化水素基、ケイ皮酸基、アジド基、アゾ基、ニトリル基などがあげられる。具体的には芳香族ビスジアジド、ジアゾナフトキノン等があげられる。また、これらの量はこの化合物の主構成物である高分子配位子及び/または有機配位子の1%〜80%が好ましい。この感光性基は主鎖となる高分子配位子及び/または有機配位子に導入できる。
【0024】
得られた高分子金属錯体は溶媒溶解性が高く種々の溶媒に溶解することができる。鉱酸、有機酸の水溶液、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチケトン、アセチルアセトンなどのケトン化合物、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチルなどのエステル化合物、ジエチルエ−テル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド化合物、N−メチルピロリドンなどの窒素化合物などがあげられる。高分子金属錯体の溶媒に対する溶解度は1)高分子重合体配位子の種類、分子量、2)金属化合物の種類、3)有機配位子の種類によって異なるため使用する高分子金属錯体毎に最良の溶媒を選択する必要がある。具体的には好ましい例を挙げるならば、金属としてSnを選び高分子配位子としてポリアリルアミンとサリチルアルデヒドの反応生成物を、配位子として1,1,1−トリフルオル−2,4−ペンタンジオンを選び製造した高分子金属錯体の場合にはN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドに代表されるアミド化合物またはクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、または鉱酸、有機酸の水溶液が挙げられる。
【0025】
本発明において、前記高分子金属錯体はその目的により2種以上を溶液状態で混合して使用することもできる。
【0026】
また、本発明の酸化物透明導電性薄膜の製造方法において、高分子金属錯体溶液の基板への製膜方法は限定されるものではなく、スピンコート法、バーコート法、スクリーン印刷法など通常用いられる種々の方法により製膜することができる。
【0027】
焼成温度は用いる高分子金属錯体の金属、配位子の種類、組成などにより異なるが、200℃〜2000℃の範囲、好ましくは300℃〜1800℃の範囲で行われる。
【0028】
また、焼成時間についても用いる高分子金属錯体の金属、配位子の種類、組成により異なるが、通常は1〜50時間、好ましくは2〜30時間の範囲で焼成される。
【0029】
焼成時の雰囲気は空気中で充分であるが、窒素と酸素を追加し雰囲気を変えることもできる。すなわち、焼成の初期には窒素の組成を高くして高分子金属錯体を熱分解した後、高酸素雰囲気下で焼成し目的の金属酸化物とする方法が好ましい。
【0030】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0031】
[高分子配位子−A−1の製造例]
回転子を入れた1000mlのフラスコにサリチルアルデヒド21gを精秤し、メタノール500mlを加えた。これに、ポリアリルアミン(日東紡製、PAA-HCl-3L、分子量約1万、50wt%水溶液)32mlを純水100mlに希釈し、ゆっくりと添加したところ、添加開始と同時に黄色結晶が生成した。添加終了後約1時間撹拌し、析出した結晶を濾過後、洗浄、乾燥して28gの黄色結晶を得た。収量はほぼ100%であった。以後この生成物をPAA・Salと略す。
【0032】
[高分子配位子−A−2の製造例]
回転子を入れた1000mlのフラスコにアセチルアセトン17gを精秤し、メタノール500mlを加えた。ポリアリルアミン(日東紡製、PAA−HCl−3L、分子量約1万、50wt%水溶液)の32mlを100mlの純水に希釈し、ゆっくりと添加した。添加開始と同時に黄色結晶が生成した。添加終了後約1時間撹拌した。濾過、乾燥し22gの黄色結晶を得た。収量はほぼ100%であった。以後この生成物をPAA・acacと略す。
【0033】
[高分子配位子−A−3の製造例]
回転子を入れた500mlのフラスコにサリチルアルデヒド4.1gを精秤し、メタノール100mlを加えた。2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(以下、「AIBN」と略す)を開始剤に用いてp−アミノスチレンを重合して得た分子量約3500のポリ−p−アミノスチレン4gを水50mlに溶解しゆっくりと添加した。添加終了後1時間撹拌を続けると黄色結晶が生成した。濾過し乾燥して7.3gの黄色結晶を得た。収量はほぼ100%であった。以後この生成物をPStA・Salと略す。
【0034】
[高分子配位子−Bの製造例]
回転子を入れた500mlのフラスコにp-クロルメチルスチレンの重合体(p-クロルメチルスチレンをAIBNを開始剤に用いて重合。ポリスチレン換算の分子量は約110,000である。)を20g精秤し、乾燥したテトラヒドロフラン200mlに溶解した。次に1.5mol/Lのブチルリチウムのヘキサン溶液88ml(0.13mol)をゆっくりと滴下した。添加終了後、室温にて2時間撹拌し反応を完結させた。次にアセチルアセトン13g(0.13mol)のテトラヒドロフラン溶液を滴下した。続いて室温で2時間攪拌し反応を完結させた。これを300mlのメタノール中に投入し、析出したポリマーを濾別、乾燥して18gの白色のポリマーを得た。以後この生成物をPMSt-acacと略す。
【0035】
[実施例1](ITO(Indium Tin Oxide)薄膜の製造)
500mlのフラスコに上記で製造したPAA・Sal(17.5mmol,2.8g)を純水200mlと濃塩酸1mlに加えて溶解し、この溶液にInCl3・4H2O(17.5mmol,5.1g)を水100mlに溶解して加え、更にアセチルアセトン(35mmol,3.5g)を10%の塩酸水溶液100mlに溶解して加えた。その後、均一で澄明な淡黄色の溶液が得られた。この系に25%のアンモニア水をゆっくりと加えると、淡黄色の沈殿が生成した。pH9までアンモニアを加えて、2時間撹拌した後、生成した沈殿をろ過、水洗、乾燥して、8.1gの黄色粉末を得た。収量はほぼ定量的であった。
続いて、得られた高分子金属錯体500mgを50%の酢酸水溶液5mlに溶解し、この溶液を耐熱ガラス板上にスピンコーターにて塗布した後、40℃にて真空乾燥した。乾燥後、電気炉に入れ、空気中で300℃で30分、600℃で1時間焼成しITOの薄膜を得た。膜厚は68オングストロームであった。また、可視光透過率は85%以上であり、比抵抗率は7.8×10-4Ωcmであった。
【0036】
[実施例2](SnO2:F薄膜の製造)
500mlのフラスコに上記で製造したPAA・Sal(17.5mmol,2.8g)を純水200mlと濃塩酸1mlを加えて溶解し、(CH3)2SnCl2(17.5mmol,3.8g)を水100mlに溶解して加えた。1,1,1-トリフルオル−2,4−ペンタンジオンの17.5mmol,2.7gを10%の塩酸水溶液100mlに溶解して加えた。均一で澄明な淡黄色の溶液が得られた。この系に25%のアンモニア水をゆっくりと加えると、淡黄色の沈殿が生成した。pH9までアンモニアを加えて、2時間撹拌した後、生成した沈殿をろ過、水洗、乾燥して、7.9gの黄色粉末を得た。収量はほぼ定量的であった。
続いて、得られた高分子金属錯体500mgを50%の酢酸水溶液5mlに溶解し、この溶液を耐熱ガラス板上にバーコーターにて塗布した後、40℃にて真空乾燥した。乾燥後、電気炉に入れ、空気中で300℃で30分、600℃で1時間焼成しSnO2:Fの薄膜を得た。膜厚は48オングストロームであった。また、可視光透過率は80%以上であり、比抵抗率は3.3×10-3Ωcmであった。
【0037】
[実施例3](ZnO:Ga薄膜の製造)
500mlのフラスコに上記で製造したPAA・Sal(17.5mmol,2.8g)を純水200mlと濃塩酸1mlに溶解して加えた。この溶液にZnCl2(15.75mmol,2.1g)とGaCl3(1.75mmol,0.3g)を水100mlに溶解して加え、さらにアセチルアセトン(35mmol,3.5g)を10%の塩酸水溶液100mlに溶解して加え、均一で澄明な淡黄色の溶液が得られた。この系に25%のアンモニア水をゆっくりと加えると、淡黄色の沈殿が生成した。pH9までアンモニアを加えて、2時間撹拌した後、生成した沈殿をろ過、水洗、乾燥して、5.2gの黄色粉末を得た。収量はほぼ定量的であった。
続いて、得られた高分子金属錯体500mgを50%の酢酸水溶液5mlに溶解し、この溶液を耐熱ガラス板上にスピンコーターにて塗布した後、40℃にて真空乾燥した。乾燥後、電気炉に入れ、空気中で300℃で30分、600℃で1時間焼成しZnO:Gaの薄膜を得た。膜厚は55オングストロームであった。また、可視光透過率は80%以上であり、比抵抗率は4.2×10-3Ωcmであった。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の製造方法によれば、高分子重合体配位子と有機化合物配位子とを金属に配位した高分子金属錯体の溶液を基板に塗布し、その塗膜を焼成することにより酸化物透明導電性薄膜を得ることができる。
本発明の酸化物透明導電性薄膜を用いる最大のメリットは、高分子金属錯体を使用することで2種以上の金属を容易に配位させることができる点にある。つまり、高分子金属錯体は、各金属が原子の状態で、しかも添加する量比のままに取り込まれており、その原子状態で分散したまま溶解させた溶液を基板に塗布し、その塗膜を焼成するため、組成の明確且つ均一な酸化物透明導電性薄膜を容易に製造することができる。
【0039】
最近、液晶の大型化、高精細化、太陽電池の大面積化など酸化物透明導電性薄膜の低抵抗化、簡便な大面積膜作成法が求められており、本発明の酸化物透明導電性薄膜の製造方法を提供できることの意義は大きく、それを完成した技術的価値は非常に大きいものである。
Claims (7)
- 前記重合体は、前記一般式(1)においてXはフェニル基でmは1であるポリ−p−アミノスチレン、前記一般式(2)においてXはフェニル基でmは1であるポリ−p−アミノ−2−フェニルブタジエン、前記一般式(1)においてxはメチレン基でmは1であるポリアリルアミンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物透明導電性薄膜の製造方法。
- 前記アルデヒド基と水酸基を有する芳香属化合物は、サリチルアルデヒド、ヒドロキシナフチルアルデヒド、ヒドロキシアントラセニルアルデヒド、ヒドロキシフルオレニルアルデヒドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物透明導電性薄膜の製造方法。
- 前記高分子重合体配位子が感光性有機基を有することを特徴とする請求項1に記載の酸化物透明導電性薄膜の製造方法。
- 前記金属化合物は、In、Sn、Znのうちの少なくとも1種の金属イオンの塩またはIn、Sn、Znのうちの少なくとも1種の金属酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物透明導電性薄膜の製造方法。
- 前記金属化合物は、In、Sn、Znのうちの少なくとも1種の金属イオンの塩またはIn、Sn、Znのうちの少なくとも1種の金属酸化物であることを特徴とする請求項6に記載の酸化物透明導電性薄膜用組成物。
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