JP4002761B2 - 多層シームレスベルトの製造方法、及び該方法によって得られる多層シームレスベルト - Google Patents
多層シームレスベルトの製造方法、及び該方法によって得られる多層シームレスベルト Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、電子写真方式の複写機、プリンター、ファックス等に用いられる周長の寸法精度が良好で、表面粗さの小さい多層シームレスベルトの製造方法、ならびにその製造方法により得られる多層シームレスベルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、カラー電子写真技術の進歩により、フルカラー複写機、およびカラープリンターが実用化され、感光体上に形成されたトナー像を複写紙上へ転写するための中間転写体として、あるいは転写搬送用ベルトとして半導電性シームレスベルトが用いられるようになってきている。
このようなシームレスベルトには、様々な使用環境において常に鮮明な画像を得るために、体積抵抗率の範囲が1×105Ω・cm〜1×1014Ω・cmで、電気抵抗のバラツキが小さい、使用環境(温度、湿度)が変わっても電気抵抗の変化が小さい、電圧を繰返し印加しても電気抵抗の変化が小さい等の電気的特性の他に、周長の寸法精度が良好で、表面粗さが小さい等の特性が要求されている。
【0003】
すなわち、シームレスベルトの電気抵抗は画質に密接に関係し、電気抵抗のバラツキが大きければ部分的な画像の濃淡を生じ、また環境変化(温度、湿度)による電気抵抗の変動が大きいと使用環境の変化により画像全体の濃淡を生じるため、電気抵抗のバラツキが小さく、且つ使用環境(温度、湿度)の変化による電気抵抗の変化が小さいシームレスベルトが望まれている。さらに、複写機による複写やプリンターによる印刷を行なうと、その都度シームレスベルトに高い電圧が印加され、その繰返しによりシームレスベルトの電気抵抗が変化し、画像の濃度が変化するという問題があり、電圧印加繰返しによる電気抵抗の変化が小さい半導電性シームレスベルトが望まれている。
【0004】
熱可塑性合成樹脂へ半導電性を付与するには、熱可塑性合成樹脂へカーボンブラックや金属酸化物等の電子伝導性材料、あるいはポリエチレンオキサイド鎖を含有するポリマー、側鎖に4級アンモニウム塩を含有するポリマー、アルカリ金属を含有するアイオノマー、アルカリ金属塩等のイオン伝導性材料を添加する方法が知られている。
【0005】
なお本発明者等は、特開平8−165395号公報、特開平9−324133号公報、特開2000−143918号公報等によって、電気抵抗が均一で、使用環境の変化により電気抵抗の変化が小さく、電圧印加繰返しによる電気抵抗の変化が小さい半導電性樹脂組成物、および半導電性シームレスベルトを提案している。
【0006】
一方、シームレスベルトの周長精度や表面粗さも複写機、プリンター、ファックス等の画質に大きく影響を及ぼすものであり、鮮明な画像を得るために個々のシームレスベルトの巾方向における周長のバラツキを抑え、表面粗さを小さくすることが求められている。具体的には、周長精度が悪いシームレスベルトは、プリンター等に搭載して走行させた場合、ベルトの走行不良(蛇行)による印刷位置のズレや、弛みによる感光体と中間転写ベルト、あるいは転写搬送ベルトと紙との間に部分的隙間を生じ、画像に濃淡が発生するという不都合があった。さらにはベルトの蛇行によりベルトが破損するという不都合も生じる。また、表面粗さが大きい場合も感光体と中間転写ベルト、あるいは転写搬送ベルトと紙との間に部分的隙間を生じ、画像が部分的に薄くなるという不都合が生じる。
【0007】
通常、継ぎ目のないシームレスベルトを得るには、円筒状の金型内部、あるいは外部へディッピング、あるいは塗布により導電性材料を含有する合成樹脂溶液層を形成し、乾燥後金型より剥す方法と、環状のダイスより押出したチューブを所定長さに切断して得る方法とがある。これらのうち、ディッピング、あるいは塗布により導電性材料を含有する溶液層を金型上へ形成させる方法は、寸法精度に優れたシームレスベルトが得られるものの、所定厚みのベルトを得るのに何回もディッピング、あるいは塗布と乾燥を繰返す必要があり、製造にコストがかかるという欠点があった。
【0008】
一方、環状のダイスより押出したチューブを所定の長さに切断して得られたシームレスベルトは、安価に製造できる反面、周長のバラツキが大きく、またピンチロールにより挟持されることによって折目がついた原反の場合、折目に基づくベルトの表面最大高さRmaxが大きくなるという問題があった。
【0009】
そこで環状のダイスより押出したチューブを所定の長さに切断して得られたシームレスベルトの周長精度を上げたり表面粗さを小さくするために、熱ロール、熱風等を用いて加熱処理を行う方法が数多く提案されている。しかしながらベルトの融点以上の温度で加熱処理を行う場合はシームレスベルトに伸びを生じたり、加熱処理の冶具として用いるロールやベルト等にシームレスベルトが融着したりするため条件の設定が難しく、またシームレスベルトの融点以下での加熱処理では周長精度を向上させるには限界があり、さらに熱による歪が生じ易い合成樹脂の場合、二次加工によってかえって弛みが生じて周長精度が低下するという問題がある。また、シームレスベルトの融点以下での加熱処理では折目によるベルトの表面最大高さRmaxは若干小さくなるものの満足ゆくものではなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような状況に鑑みなされたもので、環状のダイスより押出すことにより得られるにもかかわらず、周長誤差が少なく、その表面最大高さRmaxが小さいシームレスベルトの製造方法を提供すること、ならびにその製造方法によって得られるシームレスベルトを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決する手段】
本発明者らは鋭意研究を行った。この結果、外層を構成する主たる熱可塑性合成樹脂Aの流出開始温度TA(℃)が、最外層以外の各構成層を構成する各々の主たる熱可塑性合成樹脂のうち、最も流出開始温度の低い熱可塑性合成樹脂Bの流出開始温度TB(℃)よりも高い多層構成のチューブを、その内径を規制しつつ特定の温度条件で加熱処理して得られるシームレスベルトが前記課題を解決したものであることを見いだし本発明に到った。すなわち本発明は、
(1)最外層を構成する主たる熱可塑性合成樹脂Aが、フッ化ビニリデンの単独重合体、およびその共重合体の中から選ばれた一種以上であり、熱可塑性合成樹脂Aの流出開始温度TA(℃)が、最外層以外の各構成層を構成する各々の主たる熱可塑性合成樹脂のうち、最も流出開始温度の低い熱可塑性合成樹脂Bの流出開始温度TB(℃)よりも高く、且つ継ぎ目のない多層チューブを、その内径を規制しつつ下記条件を満たす加熱処理温度T(℃)で加熱処理することを特徴とする多層シームレスベルトの製造方法。
TB<T+10<TA
ここにおいて主たる熱可塑性合成樹脂とは、
(a)ある層において用いられる熱可塑性合成樹脂が一種である場合にはこの熱可塑性合成樹脂
(b)ある層において用いられる熱可塑性合成樹脂が複数種である場合においてこれらが非相溶系である場合はマトリクス相(海相)を形成する熱可塑性合成樹脂
(c)ある層において用いられる熱可塑性合成樹脂が複数種である場合においてこれらが相溶系を形成する場合はマトリクス相を形成する相溶した熱可塑性合成樹脂組成物
を意味する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、所定の流出開始温度差を有する複数種の層からなる継ぎ目のない積層チューブを加熱処理し、周長誤差が少なく、ベルトの表面最大高さRmaxが低い多層シームレスベルトの製造方法に関するものである。さらに該方法によって得られる多層シームレスベルトに関するものである。なお本発明でいう流出開始温度とは、毛細管型レオメーター(例えば(株)島津製作所製高化式フローテスターCFT−500型)を用いて、4℃/分の昇温速度で加熱された樹脂を、荷重100kgf/cm2のもとでピストンにより、内径1mm、長さ10mmのノズルから押し出すときに、ノズルから樹脂が流れ始める温度(℃)をいう。より詳細に説明すると、前記条件により測定を開始すると、まず樹脂ペレット間の間隙の閉塞によりピストンが降下する。その後樹脂の膨張によりピストンの降下が見られなくなる。そしてさらに昇温が進むと遂にはノズルより樹脂が流れ始めると同時に、ピストンの降下が観測されるようになる。この時の温度を本発明では流出開始温度と定義する。以下本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明の多層シームレスベルトの製造方法は、最外層を構成する主たる熱可塑性合成樹脂Aの流出開始温度TA(℃)が、最外層以外の構成層を構成する各々の主たる熱可塑性合成樹脂のうち、最も流出開始温度の低い熱可塑性合成樹脂Bの流出開始温度TB(℃)よりも高く、且つ継ぎ目のない多層チューブを、その内径を規制しつつ、TB<T+10<TAを満たす加熱処理温度T(℃)で加熱処理することを骨子とするものである。
すなわち、この条件を満たす加熱処理温度で多層チューブを加熱処理することにより、加熱処理温度T+10(℃)よりも低い流出開始温度を有する熱可塑性合成樹脂が溶融、あるいは加熱処理の前後において形態の変化を生じる程度にまで軟化する。この結果、溶融、軟化した熱可塑性合成樹脂から主として構成される層の周長精度が向上する。また加熱処理温度T+10(℃)よりも高い流出開始温度を有する熱可塑性合成樹脂から主として構成される層もこれに追従し、シームレスベルト全体としての周長精度が大幅に向上する。さらに、例えばインフレーション成形時チューブが折りたたまれることによって形成される折り目に起因するベルト表面の最大高さRmaxも、同様な作用により小さくすることができる。
なお、本発明においてはしばしば、多層チューブの各構成層を構成する主たる熱可塑性合成樹脂の流出開始温度を問題とするが、この流出開始温度は次のような温度を意味するものである。すなわち、ある層において用いられる熱可塑性合成樹脂が一種である場合にはこの熱可塑性合成樹脂の流出開始温度を意味する。一方、ある層において用いられる熱可塑性合成樹脂が複数種である場合、これら熱可塑性合成樹脂はお互いに非相溶系を形成するか、あるいは相溶系を形成するが、いずれの系を形成した場合にあってもマトリクス相(海相)を形成する熱可塑性合成樹脂、あるいはマトリクス相を形成する相溶した熱可塑性合成樹脂組成物の流出開始温度を意味する。
【0021】
以下、より具体的に本発明の多層シームレスベルトの製造方法について説明する。まず本発明においては、熱可塑性合成樹脂、あるいは熱可塑性合成樹脂組成物により多層チューブを製造する。具体的には、熱可塑性合成樹脂、あるいは熱可塑性合成樹脂に各種添加剤が配合された熱可塑性合成樹脂組成物を、環状のダイスを付けた押出し機を用い多層チューブを得る。この際、環状多層ダイスを取り付けた共押出機を用いてもよい。また環状単層ダイスを取り付けた単層押出機を用い、各層を単独に所定厚みに押し出して得られるチューブを所定の構成に重ね合せるようにしてもよい。
そして、この多層チューブは前述したように、最外層を構成する主たる熱可塑性合成樹脂Aの流出開始温度TA(℃)は、最外層以外の各構成層を構成する各々の主たる熱可塑性合成樹脂のうち、最も流出開始温度の低い熱可塑性合成樹脂Bの流出開始温度TB(℃)よりも高く設定されていなければならない。
なお、多層チューブの最外層の厚みは5μm以上が好ましく、さらには8μm以上が好ましい。最外層の厚みが5μm未満では加熱処理時に最外層が破れたり、溶融した層が染み出したりする恐れがある。
【0022】
次いで、上記した条件を満たす多層チューブを加熱処置する。加熱処理温度T(℃)は、その温度よりも10℃高い温度であるT+10(℃)が、前記したTB(℃)よりも高く、しかもTA(℃)よりも低い温度に設定される。さらに好ましくは、T+10(℃)が、前記したTB(℃)よりも10℃高い温度であるTB+10(℃)よりもさらに高く、しかもTA(℃)よりも低い温度で行う。すなわち、TB<T+10<TAの条件、より好ましくはTB+10<T+10<TAの条件を満たす加熱処理温度T(℃)で多層チューブを加熱処理する。T+10(℃)がTA以上の場合は、多層チューブの表面が溶融してしまい本発明の目的を達成できない。一方、加熱処理温度T+10(℃)がTB(℃)以下の場合は、加熱処理による周長精度の向上が小さく、さらに多層チューブが折り目を有するものである場合、折目部に基づくベルトの表面最大高さRmaxもさほど低くならない。
なお、熱可塑性合成樹脂Aの流出開始温度TA(℃)と熱可塑性合成樹脂Bの流出開始温度TB(℃)の差は5℃以上に設定されることが好ましく、さらには10℃以上に設定されることが加熱処理温度の制御の容易性という観点からより好ましい。
【0023】
また、加熱処理温度をT(℃)とした場合、流出開始温度が、T+10(℃)よりも低い熱可塑性合成樹脂により主として構成される層の厚みの合計が、多層チューブの全体厚みの20〜90%、より好ましくは30〜90%、さらに好ましくは50〜90%となるようにすることが、周長精度の向上、また表面最大高さRmaxの低減化という観点から望ましい。このためには、各層に用いる熱可塑性合成樹脂を、その流出開始温度を考慮して適宜選定するほか、各層の厚み構成を前記条件が満たされるように設定する。また、各層に用いる熱可塑性合成樹脂の流出開始温度を考慮して加熱処理温度T(℃)を調整する。
【0024】
次に具体的な加熱処理の操作を説明する。本発明の多層シームレスベルトの製造方法における加熱処理操作では、多層チューブの内径を所望とする寸法に規制する。そして、多層チューブを、該チューブを構成する合成樹脂の温度が加熱処理温度T(℃)あるいは加熱処理温度T(℃)の極近傍の温度となるまで加熱処理する。より具体的には例えば、▲1▼多層チューブの内径より外径が若干大きい円筒状の金型へ多層チューブを伸ばしつつ被せるとことにより多層チューブに張力をかけ、加熱する方法、▲2▼円筒状の金型へ多層チューブを被せ、加熱したローラで外周面を処理しつつ平滑化させる方法、▲3▼円筒状金型に被せた多層チューブへ熱風を吹付けて加熱した後、コールドロールでチューブ表面の平滑化と冷却を行う方法、▲4▼複数の支持ロールで保持した多層チューブを加熱する方法、▲5▼複数の支持ロールで保持した多層チューブを回転させながら加熱したロールを当て、ベルトを加熱し平滑化する方法等がある。また周長精度をさらに向上させるにはベルトに張力をかけた状態で加熱した後、引き続き張力をかけた状態で冷却するのが好ましい。さらに、▲2▼、▲3▼、▲5▼のように加熱処理時、多層チューブの表面をロール等を用いて加圧する方法が、表面最大高さRmaxを小さくできるので好ましい。
なお、加熱処理する時間は、多層チューブの厚み、加熱処理方法により異なるが、多層チューブを構成する熱可塑性合成樹脂全体の温度が加熱処理温度あるいはその極近傍の温度に達してからおよそ0.5〜10分間で十分である。
【0025】
以上説明した本発明の多層シームレスベルトの製造方法により得られる多層シームレスベルトは、周長精度が良好であり、また表面最大高さRmaxが小さいという特長を有している。
【0026】
次いで、本発明の多層シームレスベルトについて説明する。本発明の多層シームレスベルトは上記した方法により得られるものであり、周長誤差が0.5mm以内であり、しかも、ベルトの表面最大高さRmaxが10μm以下に抑えられているものである。本発明の多層シームレスベルトの各層を構成する熱可塑性合成樹脂は特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂:ポリフッ化ビニル、エチレン−テトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ABS系樹脂;ポリメチルメタクリレート;ポリカーボネート;さらには熱可塑性エラストマーと呼ばれている水添スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエーテルエステル、熱可塑性ポリウレタン等も用いることが出来る。これらの熱可塑性合成樹脂は単独で用いても良く、二種以上混合して各層に用いてもよい。
【0027】
上記した熱可塑性合成樹脂の中でも、フッ素系樹脂は、誘電率が高く、非粘着性、非汚染性、低摩擦性、耐薬品性、耐オゾン性等が優れているため、コピー機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真用部材として使用するのに特に適している。
フッ素系樹脂としては、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、三フッ化塩化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体、三フッ化塩化エチレン−フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−三フッ化塩化エチレン共重合体とポリフッ化ビニリデンとのグラフト共重合体、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体とポリフッ化ビニリデンとのグラフト共重合体、四フッ化エチレン−エチレン共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリ三フッ化塩化エチレン等が挙げられる。これらのうち、特にフッ化ビニリデン単独重合体、およびその共重合体が成形加工性の点で特に好ましい。
【0028】
一方、近年、カラーコピー機やカラープリンターの分野において印刷速度の高速化が追求されるようになっている。中間転写方式の場合、感光体から中間転写ベルトへ、中間転写ベルトから被印刷物へトナーの授受が行われる。またタンデム方式の場合、転写ロールから被印刷物へトナーの授受が行われる。ここにおいて、硬度の小さいベルトあるいはベルトが被覆された転写ロールを用いるとニップ幅が大きくなり、相手材との接触面積を大きくでき、トナー授受の時間を長くすることができ高速化に対応しやすくなる。さらに、硬度の小さいベルトは表面に凹凸のある被印刷物へも鮮明な画像を形成することが可能となる。
【0029】
カラーコピー機やカラープリンターの分野における、このような印刷速度の高速化への要求に答えるためには、引張り弾性率が3000kg/cm2以下で硬度の低い熱可塑性合成樹脂から主として構成される層を有する多層構造のシームレスベルトが好ましい。このような構成のシームレスベルトは、ニップ幅が大きく取れ、相手材との接触面積を大きくするという効果を発揮し、以て、印刷速度の高速化に応えるものである。
引張り弾性率が3000kg/cm2以下で硬度の低い熱可塑性合成樹脂としては、熱可塑性エラストマーと呼ばれる前述の熱可塑性合成樹脂が好ましく、その中でも耐摩耗性にも優れる熱可塑性ポリウレタンが好ましい。熱可塑性ポリウレタンとしては、通常市販されている熱可塑性ポリウレタンを用いることができる。具体的には、ジイソシアナートとしてヘキサメチレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、水添ジフェニルメタンジイソシアナート、トルイレンジイソシアナート等を、長鎖ジオールとしては、ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコール、両末端に水酸基を有する脂肪族ポリエステル等を、短鎖ジオールとして、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジオール、エチレングリコール等を用いた熱可塑性ポリウレタンを挙げることができる。そして、その硬度は相手材との接触時にニップ幅を大きく取れるということから、ショアD硬度80以下のものが好ましい。
【0030】
さらに本発明の多層シームレスベルトは、上記した引張り弾性率が3000kg/cm2以下で硬度の低い熱可塑性合成樹脂から主として構成される層に加えて、引張り弾性率が7000kg/cm2以上の熱可塑性合成樹脂から主として構成される層を有することが好ましい。すなわち、引張り弾性率7000kg/cm2以上の熱可塑性合成樹脂から主として構成される層は、シームレスベルトをロール間に架張する際等、それが伸びるのを抑える効果を示す。引張り弾性率が7000kg/cm2以上の熱可塑性合成樹脂としては特に限定されるものではないが、前述したフッ素系樹脂が前述した理由により最適である。
【0031】
また本発明の積層シームレスベルトは、その少なくとも一層を、1×105Ω・cm〜1×1014Ω・cmの範囲の体積固有抵抗を有する半導電層とすることもできる。このような半導電層を付与することにより、本発明の積層シームレスベルトは中間転写ベルト、転写搬送ベルトとして、あるいは転写ロール用の表面資材として有用に使用できるようになる。
熱可塑性ポリウレタンエラストマーのようにそれ自体で半導電性を示すような熱可塑性合成樹脂もあるが、このような性質を示さない熱可塑性合成樹脂からなる層に半導電性を付与するためには該層に導電剤を配合する。導電剤としてカーボンブラック、グラフト化カーボンブラック、金属酸化物、金属粉末等の電子伝導性材料、ポリエチレンオキシド鎖を含有する高分子、側鎖にアンモニウム塩を有するポリマー、アルカリ金属含有アイオノマー、アルカリ金属塩、アルキル四級アンモニウムのフルオロほう酸塩、アルキル四級アンモニウム塩等のイオン伝導性材料を挙げることができ、これらを一種以上添加することによって上記熱可塑性合成樹脂へ半導電性を付与することができる。なお、電子伝導性材料の中では、少量の添加で抵抗が低下するためカーボンブラックが好ましい。また、イオン伝導性材料の中では、使用環境(温度、湿度)による電気抵抗への影響が小さいためポリエチレンオキシド鎖を含有する高分子が好ましい。
【0032】
上記したカーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等があげられるが、中でも少ない添加量で半導電性を付与できるという観点からアセチレンブラック、およびファーネスブラックの一種であるケッチェンブラックが好ましい。カーボンブラックの添加量は、カーボンブラックの種類によって異なるが、アセチレンブラックの場合、当該半導電層の全重量中の3〜25重量%を占めることが好ましく、ケッチェンブラックの場合には1〜10重量%を占めることが好ましい。上記範囲未満では該層へ半導電性を付与することができず、上記範囲を超えると押出し成形時加工性が悪いばかりでなく、製品の強度が低下するので好ましくない。
【0033】
また多層シームレスベルトの抵抗のバラツキを小さくするために、特開平7−113029号公報に記載のように、導電剤としてカーボンブラックとポリエチレンオキシド鎖を有する高分子とを併用することが好ましい。なお、カーボンブラックの添加量は、上記したと同様の範囲が好ましい。
【0034】
また同様の目的で、表面処理したカーボンブラック、例えば特開平11−29678号公報に記載のグラフト化カーボンブラックを用いることができる。なお、グラフト化カーボンブラックの場合もカーボンブラック重量換算で、上記範囲の添加量が好ましい。
【0035】
さらに同様の目的で、特開平8−165395号公報に記載のように、導電剤としてポリエチレンオキシド鎖を有する高分子(また、その共重合体も含む)と、過塩素酸リチウム等のアルカリ金属塩に代表されるイオン電解質を併用することも好ましい。ポリエチレンオキシド鎖を有する高分子の添加量は、当該半導電層の全重量中の0.1〜30重量%、さらには0.3〜25重量%を占めることが好ましい。一方イオン電解質がアルカリ金属塩である場合には、その添加量は、当該半導電層の全重量中の0.01〜5重量%、さらに0.05〜4重量%を占めることが好ましい。
【0036】
本発明の多層シームレスベルトは、上記した組成の他に多層シームレスベルトに悪影響を及ぼさない範囲で合成樹脂の加工の際通常用いられる酸化防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、加工助剤、顔料等を添加することができる。また、必要に応じて、シームレスベルトの表面エネルギーを低下させる目的でその表面にフッ素系、あるいはシリコーン系の塗料を塗布してもよい。さらに帯電特性を変更する目的でポリアミド、アクリル樹脂を添加したり、シームレスベルトの特性を改良するために他の合成樹脂を少量添加することもできる。
【0037】
一方、本発明の多層シームレスベルトの全体厚みは、30〜2000μmが好ましく、さらには50〜1000μmがより好ましい。多層シームレスベルトの全体厚みが30μm未満では、多層シームレスベルトをロール間へ架張し、張力をかけ駆動した場合、多層シームレスベルトが伸びて色ずれを起こしたり、しわが発生しやすくなるので好ましくない。また、2000μmを超えると多層シームレスベルトが硬くなり柔軟性を失うので好ましくない。
【0038】
本発明の多層シームレスベルトは、そのままで中間転写ベルトや転写搬送ベルトとして使用することができる。また、ドラムへ被せ中間転写ドラムとして紙搬送転写ドラムとして使用することができる。ドラムの芯材としては、ドラムとしての形態を保持するのに必要な強度を有するものであればどのような材質のものでも良く、具体的にはステンレス鋼製、アルミニウム合金製、銅合金製等の金属の棒状体や筒状体が挙げられ、径や長さも大小様々なものが用途に応じて用いられる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
多層シームレスベルトの各性能は以下のようにして評価した。
<周長誤差>
ベルトを巾方向に切り開き、23℃、50%RHの条件下で、ベルト1本当たり5ヶ所の周長を1級鋼尺とルーペを用いて測定し、その最大値と最小値との差を求めた。
<ベルトの表面最大高さRmax>
表面粗さ形状測定機サーフコム570A((株)東京精密製)を用い、ベルトの表面最大高さRmaxを測定した。
<電気抵抗の測定>
23℃、50%RH条件下で、三菱化学(株)製ハイレスタを用い、HRSプローブ、印加電圧500Vで体積抵抗率を測定した。
【0041】
多層シームレスベルト製造のための合成樹脂として以下のものを用いた。なお、各樹脂の流出開始温度は、毛細管型レオメーター((株)島津製作所製高化式フローテスターCFT−500型)を用いて、4℃/分の昇温速度で加熱された樹脂を、荷重100kgf/cm2のもとでピストンにより、内径1mm、長さ10mmのノズルから押し出し、ノズルから樹脂が流れ始める温度(℃)を測定することにより求めた。
・PVDF−1:ポリフッ化ビニリデンの単独重合体、Solef1008(ソルベイ社製)、流出開始温度187℃
・PVDF−2:ポリフッ化ビニリデンの共重合体、KYNAR2820(アトフィナ社製)、流出開始温度154℃
・PVDF−3:ポリフッ化ビニリデンの単独重合体、KYNAR710(アトフィナ社製)、流出開始温度179℃
・TPU:熱可塑性ポリウレタン:E660MZAA(日本ミラクトラン(株)製)、流出開始温度143℃、ショア硬度A60
・EO−PO:エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、CP−2000(住友精化(株)製)、融点35〜43℃、
・PEEA:ポリエーテルエステルアミド、トヨラックPAS−40T(東レ(株)製)
【0042】
<チューブの作成>
【0043】
[製造例1〜7]
リップ径120mmの環状ダイスを装着した50mm押出し機を用いて、折径261mm、厚み25μm、40μm、60μm、100μmのポリフッ化ビニリデン単独重合体PVDF−1のチューブを、また、折径261mm、厚み40μm、60μm、100μmのポリフッ化ビニリデン共重合体PVDF−2のチューブを製造した。なお、チューブの引き取りにはピンチロールを用いた。得られたチューブの周長誤差、折目を伸ばして測定したベルトの表面最大高さRmaxを表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
<各種コンパウンドの作成>
【0046】
[製造例8]
PVDF−3:EO−PO:過塩素酸リチウム=90:9:1(重量比)の混合物を35mm二軸混錬機で混錬、ペレット化し、コンパウンドI−1を得た。
【0047】
[製造例9]
PVDF−1:EO−PO:過塩素酸リチウム=95:4.5:0.5(重量比)の混合物を35mm二軸混錬機で混錬、ペレット化し、コンパウンドI−2を得た。
【0048】
[製造例10]
PVDF−2:EO−PO:過塩素酸リチウム=80:18:2の混合物(重量比)を35mm二軸混錬機で混錬、ペレット化し、コンパウンドI−3を得た。
【0049】
[製造例11]
PVDF−1:EO−PO:過塩素酸リチウム=98:1.8:0.2(重量比)の混合物を35mm二軸混錬機で混錬、ペレット化し、コンパウンドI−4を得た。
【0050】
[製造例12]
5重量%のカーボンブラック(ケッチェンブラックEC:ケッツエンブラックインターナショナル製)を含有するPVDF−3へ、エチルメタクリレートとグリシジルメタクリレートとの共重合体(3:1)を5重量%添加し、二軸混錬機を用いてグラフト化カーボンブラックのマスターバッチ(g−CB・MB)を作製した。
得られたg−CB・MB 35重量部、PVDF−2 60重量部、PEEA5重量部の混合物を35mm二軸混錬機で混錬、ペレット化し、コンパウンドC−1を得た。
【0051】
製造例8〜10で製造した各種コンパウンドを、リップ径120mmの環状ダイスを装着した50mm押出し機に供給し、表2に示す厚みで、折径が260mmのチューブを得た。なおチューブの引き取りにはピンチロールを用いた。得られたチューブの体積固有抵抗を表2に示す。
また、製造例11、12で得られたコンパウンドを190℃で3分間プレスし厚み150μmのシートを得た。得られたシートの体積抵抗率を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
<TPUチューブの製造>
【0054】
[製造例13]
リップ径120mmの環状ダイスを装着した50mm押出し機を用いて、厚み500μm、折径260mmのTPUのチューブを製造した。なお、チューブの引き取りにはピンチロールを用いた。得られたチューブは導電剤を配しないにもかかわらず2.3×1011Ω・cmの体積抵抗率を示し、半導電性を有していた。
【0055】
<多層エンドレスベルトの製造>
【0056】
[実施例1〜7]
製造例1〜10、13で製造したチューブを、長さ400mmに切断し表3に示す層構成で重ね合わせた後、直径169mmの円筒状金型に被せることによりその内径を規制した。そして165℃で60分間加熱後、冷却し、金型より取り外した。得られた多層シームレスベルトの周長誤差、表面最大高さRmaxを表3に併せて示す。
【0057】
[比較例1、2]
製造例3、4で製造したチューブを長さ400mmに切断し、それぞれ直径169mmの円筒状金型に被せることによりその内径を規制した。そして165℃で60分間加熱、冷却後、金型より取り外した。得られたベルトの周長誤差、表面最大高さRmaxを表3に併せて示す。
【0058】
[比較例3]
製造例1、3、および7で製造したチューブを長さ400mmに切断し表3の層構成で重ね合わせた後、直径169mmの円筒状金型に被せることによりその内径を規制した。そして135℃で60分間加熱、冷却後、金型より取り外した。得られたベルトの周長誤差、表面最大高さRmaxを表3に併せて示す。
【0059】
【表3】
【0060】
実施例1〜5は最外層、内層としてPVDF−1を、中間層として最外層より流出開始温度の低いPVDF−2を用い、加熱処理温度T+10(℃)がPVDF−1の流出開始温度とPVDF−2の流出開始温度との間となる条件で加熱処理を行っているため周長誤差が小さく、さらにベルトの表面最大高さRmaxが小さくなっており、寸法精度に優れたベルトが得られることがわかる。
実施例6は最外層としてPVDF−1を、中間層として最外層より流出開始温度が低く半導電性を有するTPUを、内層としてPVDF−3をベース樹脂とする半導電性コンパウンドI−1を配し、加熱処理温度T+10(℃)がPVDF−1の流出開始温度とTPUの流出開始温度との間となる条件で加熱処理したものである。また、実施例7は中間層としてPVDF−2をベース樹脂とする半導電性コンパウンドI−3を、最外層および内層としてPVDF−1をベース樹脂とするI−2を配し、加熱処理温度T+10(℃)がPVDF−1の流出開始温度とPVDF−2の流出開始温度との間となる条件で加熱処理したものである。実施例6、7ともに周長誤差が小さく、さらにベルトの表面最大高さRmaxが小さいことがわかる。
また、実施例4、5と実施例1、6、7を比較すると、加熱処理温度をT(℃)とした場合、流出開始温度が、T+10(℃)よりも低い熱可塑性合成樹脂により主として構成される層の厚み合計の割合が高い方がベルトの表面最大高さRmaxをより低く抑えられることがわかる。
一方、比較例1、2は単層構成であり、また比較例3は加熱処理温度をT(℃)とした場合、T+10(℃)が中間層を構成するPVDF−2の流出開始温度よりも低く本発明の構成要件を満足していないため、周長精度の向上が不充分で、ベルトの表面最大高さRmaxも大きい。
【0061】
[実施例8〜10]
リップ径50mmの環状ダイスを装着した三層共押出し機を用いて、表4に示すような層構成の三層チューブを製造した。これを長さ400mmに切断し、直径80mmの円筒状金型に被せることによりその内径を規制した。そして165℃で60分間加熱、冷却後、金型より取り外した。得られた多層シームレスベルトの周長誤差、表面最大高さRmaxを表4に示す。
【0062】
[実施例11]
リップ径50mmの環状ダイスを装着した20mm三層共押出し機を用いて、最外層にPVDF−1が、中間層と内層に半導電性コンパウンドC−1が配された、厚みが150μmで折径120mmの実質的には二層構造のチューブを製造した。これを長さ400mmに切断し、直径80mmの円筒状金型に被せることによりその内径を規制した。そして165℃で60分間加熱、冷却後、金型より取り外した。得られた多層シームレスベルトの周長誤差、表面最大高さRmaxを表4に示す。
【0063】
[比較例4〜6]
実施例8〜10で得られた三層チューブを長さ400mmに切断し、直径80mmの円筒状金型に被せることによりその内径を規制した。そして130℃で60分間加熱、冷却後、金型より取り外した。得られた多層シームレスベルトの周長誤差、表面最大高さRmaxを表4に併せて示す。
【0064】
【表4】
【0065】
表4より明らかなように、実施例8〜10は最外層にPVDF−1およびPVDF−1をベース樹脂とする半導電性コンパウンドI−4、I−2を配し、中間層にPVDF−2をベース樹脂とする導電性コンパウンドI−3を配し、また、内層としてPVDF−1およびPVDF−3をベース樹脂とする導電性コンパウンドI−1、I−2を配し、そして加熱処理温度T+10(℃)がPVDF−1の流出開始温度とPVDF−2の流出開始温度との間となる条件で加熱処理を行っているため、周長精度が良好で、ベルトの表面最大高さRmaxが小さく抑えられている。さらに、実施例11も同様に、最外層にPVDF−1を配し、内層にPVDF−2をベース樹脂とした半導電性コンパウンドC−1を配し、加熱処理温度T+10(℃)がPVDF−1の流出開始温度とPVDF−2の流出開始温度との間となる条件で加熱処理を行っているため、周長精度が良好で、ベルトの表面最大高さRmaxも小さい。
一方、比較例4〜6はそれぞれ実施例8〜10と同様の層構成の多層チューブを加熱処理したものであるが、加熱処理温度をT(℃)とした場合、T+10(℃)が中間層を主として構成するPVDF−2の流出開始温度よりも低いため周長精度の改善効果が小さく、ベルトの表面最大高さRmaxも非常に大きく、シームレスベルトとして不適であった。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の多層シームレスベルトの製造方法により得られる多層シームレスベルトは、周長精度が大幅に向上しているとともに、ベルトの表面最大高さRmaxも小さいものである。このような特長を有する多層シームレスベルトは、中間転写ベルトや転写搬送ベルトとして用いると、走行不良がなく、弛みを生じないため感光体や転写搬送ベルト上の紙との間に隙間を生じず、色ずれのない均一な濃度の画像を形成することができる。さらに、本発明の多層シームレスベルトは、多層構造であるため表面抵抗率と体積抵抗率とを任意に設定することが可能であり、トナーのチリ(本来印刷すべき箇所以外へトナーが飛散し付着する現象)を防止でき、常に鮮明な画像を得ることができる。
このような特長を有する本発明の多層シームレスベルトは、これらの特性が要求される電子写真方式の複写機、プリンター、ファックス等の部材として好適に使用されるものである。
Claims (1)
- 最外層を構成する主たる熱可塑性合成樹脂Aが、フッ化ビニリデンの単独重合体、およびその共重合体の中から選ばれた一種以上であり、熱可塑性合成樹脂Aの流出開始温度TA(℃)が、最外層以外の各構成層を構成する各々の主たる熱可塑性合成樹脂のうち、最も流出開始温度の低い熱可塑性合成樹脂Bの流出開始温度TB(℃)よりも高く、且つ継ぎ目のない多層チューブを、その内径を規制しつつ下記条件を満たす加熱処理温度T(℃)で加熱処理することを特徴とする多層シームレスベルトの製造方法。
TB<T+10<TA
ここにおいて主たる熱可塑性合成樹脂とは、
(a)ある層において用いられる熱可塑性合成樹脂が一種である場合にはこの熱可塑性合成樹脂
(b)ある層において用いられる熱可塑性合成樹脂が複数種である場合においてこれらが非相溶系である場合はマトリクス相(海相)を形成する熱可塑性合成樹脂
(c)ある層において用いられる熱可塑性合成樹脂が複数種である場合においてこれらが相溶系を形成する場合はマトリクス相を形成する相溶した熱可塑性合成樹脂組成物
を意味する。
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