JP4002344B2 - 廃棄物処分施設 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業廃棄物及び一般廃棄物並びにこれらを焼却処理した焼却灰等の廃棄物(本明細書において、単に「廃棄物」という。)の処分設備に関し、特に、都市近郊に設けることができる廃棄物処分施設に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、産業廃棄物及び一般廃棄物並びにこれらを焼却処理した焼却灰等の廃棄物の処分設備(廃棄物処分場)として、臨海の埋立地のほか、山間の谷間や地盤を掘削して形成した凹地が利用されてきた。
【0003】
このうち、地下水等の環境汚染が問題となりやすい、山間の谷間や地盤を掘削して形成した凹地を利用した廃棄物処分設備においては、基盤上にゴム系や合成樹脂系の遮水シートを敷設することにより浸出水の漏出を防止する等して、周辺地域の環境汚染を防止するようにしている。
しかしながら、シートの下地となる基盤面の平滑性や遮水シートの保護が十分でない場合等においては、廃棄物の投棄等により遮水シートが損傷を受けて、浸出水が漏出し、環境汚染を引き起こす問題があることが指摘されている。
【0004】
ところで、この対策として、遮水シートを2重構造にしたり、遮水シートの上方又は下方に、コンクリート、土にセメント等の固化剤を混合したソイルセメント、合成繊維不織布等からなる保護層を設けるようにして、遮水シートが損傷を受けることを未然に防止するようにしたり、遮水シートを敷設した区域を複数に区画し、各区画に配置した電気配線等により漏水箇所を電気的に検知する等のモニタリングシステムを併設し、漏水があった場合、漏水箇所に、セメントミルク等の固化剤や水膨潤性の薬剤等を供給して、遮水シートの損傷を受けた箇所を閉鎖することが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの対策を講じるようにした廃棄物処分設備においても、廃棄物の投棄による地盤の不等沈下や地震に対する耐力は十分ではなく、また、モニタリングシステムにより漏水を検知しても、損傷を受けた遮水シートの修復に時間を要し、その間に浸出水が漏出し、環境汚染を完全には防止することができないという問題があった。
【0006】
また、従来の臨海の埋立地、山間の谷間や地盤を掘削して形成した凹地を利用する廃棄物処分場は、通常、廃棄物の発生地から離れた遠隔地にあるため、廃棄物の移送コストが増大するとともに、近年、環境汚染の問題点が指摘されるに至って、廃棄物処分場の絶対量が不足し、その確保が困難になってきている。
【0007】
本発明は、上記従来の廃棄物処分場の有する問題点に鑑み、安全性が高く、廃棄物の発生地に当たる都市近郊に設けることができる廃棄物処分施設を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本第1発明の廃棄物処分設備は、オープンケーソン工法により構築した筒形の鉄筋コンクリート躯体の底部に底版コンクリートを打設した地下処分槽からなる廃棄物処分施設であって、鉄筋コンクリート躯体内に、地下処分槽内の水を揚水するための排水パイプ及び地下処分槽内外の水位を測定するための水位測定用パイプを、鉄筋コンクリート躯体の構築時に埋め込むことにより設置し、地下処分槽内外の水位の測定値に基づいて、排水パイプを用いて地下処分槽内の水を揚水することにより、常に地下処分槽内の水位を地下処分槽外の水位より低く保って、地下処分槽内の水が地下処分槽外へ漏出しないようにしたことを特徴とする。
【0009】
この廃棄物処分施設は、オープンケーソン工法により構築した筒形の鉄筋コンクリート躯体の底部に底版コンクリートを打設した地下処分槽を備えるようにしているため、地下処分槽内の水位を地下処分槽外の水位より低く保って、地下処分槽内の水が地下処分槽外へ漏出しないように管理するために用いる地下処分槽内の水を揚水するための排水パイプ及び地下処分槽内外の水位を測定するための水位測定用パイプを、鉄筋コンクリート躯体の構築時に、鉄筋コンクリート躯体内に埋め込むことにより、簡易に、かつ正確に設置することができ、これにより、筒形の鉄筋コンクリート躯体を漏水や地震に対する信頼性の高い躯体構造とに対する信頼性が高いオープンケーソン工法により構築するようにしたことと相俟って、地下処分槽内の水が、地下処分槽外へ漏出することを確実に防止することができる。
【0010】
また、同じ目的を達成するため、本第2発明の廃棄物処分設備は、オープンケーソン工法により構築した筒形の鉄筋コンクリート躯体の底部に底版コンクリートを打設した地下処分槽からなる廃棄物処分施設であって、地下処分槽の内部又は表面に遮水材を、地下処分槽の構築時にコンクリートと一体となるように配設して、地下処分槽内の水が地下処分槽外へ漏出しないようにし、鉄筋コンクリート躯体内に、地下処分槽内の水を揚水するための排水パイプ及び地下処分槽内外の水位を測定するための水位測定用パイプを、鉄筋コンクリート躯体の構築時に埋め込むことにより設置し、地下処分槽内外の水位の測定値に基づいて、排水パイプを用いて地下処分槽内の水を揚水することにより、常に地下処分槽内の水位を地下処分槽外の水位より低く保つようにしたことを特徴とする。
【0011】
この廃棄物処分施設は、オープンケーソン工法により構築した筒形の鉄筋コンクリート躯体の底部に底版コンクリートを打設した地下処分槽を備えるようにしているため、地下処分槽の内部又は表面に配設する遮水材を、地下処分槽の構築時に、コンクリートと一体となるように配設することにより、簡易に、かつ正確に設置することができ、これにより、筒形の鉄筋コンクリート躯体を漏水や地震に対する信頼性の高い躯体構造とに対する信頼性が高いオープンケーソン工法により構築するようにしたことと相俟って、地下処分槽内の水が、地下処分槽外へ漏出することを確実に防止することができる。
【0012】
そして、鉄筋コンクリート躯体内に、地下処分槽内の水を揚水するための排水パイプ及び地下処分槽内外の水位を測定するための水位測定用パイプを、鉄筋コンクリート躯体の構築時に埋め込むことにより設置し、地下処分槽内外の水位の測定値に基づいて、排水パイプを用いて地下処分槽内の水を揚水することにより、常に地下処分槽内の水位を地下処分槽外の水位より低く保つようにすることにより、地下処分槽内の水が、地下処分槽外へ漏出することをより確実に防止することができる。
【0013】
そして、本第1発明及び第2発明の廃棄物処分設備において、鉄筋コンクリート躯体内に、地下処分槽内底部に空気を供給するための送気パイプ及び地下処分槽内の廃棄物が分解することにより発生したガスを含む空気を排出するガス抜きパイプを、鉄筋コンクリート躯体の構築時に埋め込むことにより設置することができる。
【0014】
これにより、地下処分槽内底部に空気を供給するための送気パイプ及び地下処分槽内の廃棄物が分解することにより発生したガスを含む空気を排出するガス抜きパイプを、鉄筋コンクリート躯体の構築時に、鉄筋コンクリート躯体内に埋め込むことにより、簡易に、かつ正確に設置することができ、廃棄物中への空気の供給及び廃棄物中が分解することにより発生したガスの排出を確実に行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の廃棄物処分施設の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1〜図2に、本発明の廃棄物処分施設の一実施例を示す。
この廃棄物処分設備は、公知のオープンケーソン工法により構築した、先端に刃口部11aを備え、リング形状の鉄筋コンクリート単位躯体11を順次打ち継ぎながら、沈設し、全体として筒形になるようにした鉄筋コンクリート躯体1と、この鉄筋コンクリート躯体1の底部に打設した底版コンクリート2とからなる地下処分槽Tで以て構成されている。
【0017】
この場合において、鉄筋コンクリート躯体1の断面形状は、円形、楕円形、矩形、多角形等、任意の形状に形成することができる。
【0018】
そして、地下処分槽Tを構成する鉄筋コンクリート躯体1内の上下方向には、地下処分槽T内の水を揚水するための排水パイプ12、地下処分槽T内外の水位を測定するための水位測定用パイプ13,14及び地下処分槽T内底部に空気を供給するための送気パイプ16を、地下処分槽Tの大きさに応じて、それぞれ複数本、特に限定されるものではないが、本実施例においては、等間隔に4本ずつ、鉄筋コンクリート躯体1の構築時に埋め込むことにより設置するようにする。
このように、各パイプ12,13,14,16を、オープンケーソン工法による鉄筋コンクリート躯体1の構築時に、鉄筋コンクリート躯体1内に埋め込むことにより、各パイプ12,13,14,16を、簡易に、かつ正確に鉄筋コンクリート躯体1内に設置することができるものとなる。
さらに、必要に応じて、地下処分槽T内の廃棄物Wが分解することにより発生したガスを含む空気を排出するガス抜きパイプ(図示省略)を、鉄筋コンクリート躯体1の構築時に埋め込むことにより設置し、このガス抜きパイプを、鉄筋コンクリート躯体1の高さ方向の複数箇所で、鉄筋コンクリート躯体1の内周面に開口するようにすることができる。
【0019】
排水パイプ12の下端には、鉄筋コンクリート躯体1の構築後に、ストレーナ12aを取り付け、このストレーナ12aを底版コンクリート2上に敷設した砕石層(フィルタ層)4中に埋設するようにする。
【0020】
この排水パイプ12内には、鉄筋コンクリート躯体1の構築時又は構築後に、排水パイプ12及びストレーナ12aの目詰まりを除去するための洗浄パイプ15を配設するようにする。
この洗浄パイプ15は、高圧空気のほか、ストレーナ12a等の目詰まりの原因となる炭酸カルシウム等からなるスケールを溶解する適宜の溶解剤を、目詰まりを起こした排水パイプ12及びストレーナ12aに供給することができるように構成する。
【0021】
地下処分槽T内の水位を測定するための水位測定用パイプ13は、その下端を、底版コンクリート2上に敷設した砕石層4に向けて開口するようにし、鉄筋コンクリート躯体1の構築後に、ストレーナ(図示省略)を鉄筋コンクリート躯体1の内周面から突出しないように取り付けるようにする。
一方、地下処分槽T外の水位を測定するための水位測定用パイプ14は、その下端を、地下処分槽T内の水位を測定するための水位測定用パイプ13に対応する位置において外に向けて開口するようにし、鉄筋コンクリート躯体1の構築時に、地上において、ストレーナ(図示省略)を鉄筋コンクリート躯体1の外周面から突出しないように取り付けるようにする。
【0022】
これにより、水位測定用パイプ13,14により、常時、地下処分槽T内外の水位を測定し、この地下処分槽T内外の水位の測定値に基づいて、排水パイプ12を用いて地下処分槽T内の水を揚水することにより、常に地下処分槽T内の水位WL1を地下処分槽T外の水位WL2より低く保って、万一地下処分槽T内外において水の流通があったとしても、地下処分槽T内の水が地下処分槽T外へ漏出しないようにする。
【0023】
この地下処分槽T内外の水位の測定、地下処分槽T内の揚水等をはじめとして、この廃棄物処分施設を稼働するために必要となる各種測定や駆動機構の制御は、制御装置(図示省略)により、自動的に行うように構成するようにする。
【0024】
また、排水パイプ12を用いて揚水した地下処分槽T内の水を、接続管12bを介して、水浄化設備6に導入し、この水浄化設備6により処理した水を、散水ノズル61から地下処分槽T内に投入した廃棄物W上に散水して、循環させるようにしている。
これにより、地下処分槽T内の廃棄物Wを散水することによって締め固め、減容化することができるとともに、廃棄物Wに含まれる水溶性の物質を水浄化設備6において回収して、地下処分槽T内の廃棄物Wに含まれる水溶性の物質を徐々に希釈化して、長期間の間に廃棄物Wを安定化することができるようにする。
なお、地下処分槽T内の廃棄物Wを締め固め、減容化するために、振動機構、転圧機構等の適宜の機械的な締固機構(図示省略)を併用することができる。
【0025】
また、この水浄化設備6により処理した水又は他の浄水を、地下処分槽Tの周囲に供給することにより、地下処分槽T外の水位WL2を地下処分槽T内の水位WL1より高く保持するようにすることができる。
これにより、地下処分槽T外の水位WL2が極めて低い場合等にも、積極的に地下処分槽T外の水位WL2を上昇させて、地下処分槽T内の水位WL1を地下処分槽T外の水位WL2より低く保つことができ、地下処分槽T内の水が、地下処分槽T外へ漏出することをより確実に防止することができるものとなる。
【0026】
地下処分槽T内底部に空気を供給するための送気パイプ16は、その下端を、底版コンクリート2上に敷設した砕石層4に向けて開口するようにし、鉄筋コンクリート躯体1の構築後に、空気供給用水平分岐管16aを取り付け、この空気供給用水平分岐管16aを底版コンクリート2上に敷設した砕石層4中に埋設するようにする。
この空気供給用水平分岐管16aの表面の適宜位置には、空気放出孔16bを穿設するとともに、この空気放出孔16bが目詰まりを起こさないように、空気放出孔16bを穿設した空気供給用水平分岐管16aの周囲をゴムパッキン16cにより覆い、空気放出孔16bから放出された空気を、空気放出孔16bと異なる位置のゴムパッキン16cに穿設した空気放出孔16dから放出するようにする。
これにより、空気放出孔16bの目詰まりを防止しながら、地下処分槽T内底部に空気を供給することにより、地下処分槽T内の廃棄物Wに含まれる好気的な物質の分解を促進し、長期間の間に廃棄物Wを安定化することができるようにする。そして、地下処分槽T内の廃棄物Wが分解することにより発生したガスは、鉄筋コンクリート躯体1の構築時に埋め込むことにより設置し、鉄筋コンクリート躯体1の高さ方向の複数箇所で、鉄筋コンクリート躯体1の内周面に開口するようにしたガス抜きパイプ(図示省略)を介して、地上に排出するようにする。
【0027】
また、地下処分槽Tの周囲に、下端にストレーナ5aを取り付けた地下水の観測パイプ5を設け、地下水の水位及び水質を、例えば、定期的に測定することにより、地下処分槽T内の水の地下処分槽T外への漏出の有無を検知することができ、これにより、廃棄物処分施設の信頼性を一層向上することができるものとなる。
【0028】
ところで、オープンケーソン工法において鉄筋コンクリート躯体1を沈下させるための沈下荷重を得るために鉄筋コンクリート躯体1の周囲に打設したグラウンドアンカー(図示省略)を、地下処分槽Tの浮き上がりを防止する反力部材として用いることができる。
これにより、地下処分槽Tの浮き上がりを、簡易に、かつコストをかけずに防止することができ、また、併せて鉄筋コンクリート躯体1を軽量化することが可能となり、鉄筋コンクリート躯体1の体積(厚み)を低減することにより、掘削体積に占める鉄筋コンクリート躯体1の内空体積(容積)を増大させ、廃棄物単位量当たりの地下処分槽の構築コストを低廉にすることができるものとなる。
【0029】
さらに、図3に示す本発明の廃棄物処分施設の変形例のように、地下処分槽Tを構成する鉄筋コンクリート躯体1の内周面の上下方向に、不織布等からなる通水・通気部材7を、地下処分槽Tの大きさに応じて、それぞれ複数本、特に限定されるものではないが、本実施例においては、等間隔に8本、設置するようにする。
通水・通気部材7は、鉄筋コンクリート躯体1の構築後に、鉄筋コンクリート躯体1に沿って設置するようにし、通水・通気部材7の下端を底版コンクリート2上に敷設した砕石層4中に埋設するようにする。
これにより、地下処分槽T内の廃棄物Wが締め固められても、廃棄物W中の水分及びガスの流通を良好に維持して、地下処分槽T内の水位WL1を低下させることができるとともに、廃棄物Wに含まれる物質の希釈化を促進することができるものとなる。
【0030】
以上説明したように、この廃棄物処分施設は、オープンケーソン工法により構築した筒形の鉄筋コンクリート躯体1の底部に底版コンクリート2を打設した地下処分槽Tを備えるようにしているため、地下処分槽T内の水位を地下処分槽T外の水位より低く保って、地下処分槽T内の水が地下処分槽T外へ漏出しないように管理するために用いる地下処分槽T内の水を揚水するための排水パイプ12及び地下処分槽内外の水位を測定するための水位測定用パイプ13,14を、鉄筋コンクリート躯体1の構築時に、鉄筋コンクリート躯体1内に埋め込むことにより、簡易に、かつ正確に設置することができるため、地下処分槽Tを構成する筒形の鉄筋コンクリート躯体1を漏水や地震に対する信頼性が高いオープンケーソン工法により構築するようにしたことと相俟って、地下処分槽T内の水が、地下処分槽T外へ漏出することを確実に防止することができ、環境汚染に対する安全性及び信頼性の高い廃棄物処分施設とすることができる。
このため、廃棄物処分施設を、廃棄物の発生地に当たる都市近郊、例えば、図4に示すように、廃棄物の焼却処理設備10に隣接して設けることができ、焼却処理設備10から出る焼却灰等の廃棄物を、クレーン91やコンベア92等の定置式の移送設備9を用いて直接地下処分槽T内に投入するように構成することができ、これにより、廃棄物の移送コストを低減できるとともに、環境汚染の問題から不足している廃棄物処分場の確保が容易となる。
【0031】
また、図4に示すように、地下処分槽Tの上部を覆蓋3により覆って地下処分槽Tを密閉し、地下処分槽T内への雨水の流入を防止し、さらに、必要に応じて、地下処分槽T内の空気を空気浄化設備8により処理することにより、地下処分槽T内の廃棄物Wの飛散を防止することができ、外部環境の汚染を防止して、外部環境の保全を図ることができる。
【0032】
ところで、上記各実施例においては、地下処分槽Tをコンクリート構造物からなる1層の遮水構造体として構成したが、図5及び図6に示す実施例のように、オープンケーソン工法により構築する筒形の鉄筋コンクリート躯体1及びその底部に打設する底版コンクリート2からなる地下処分槽Tの内部又は表面に、合成樹脂シート、薄鋼板等からなる遮水材18a,18bを、地下処分槽Tの構築時にコンクリートと一体となるように配設して、地下処分槽T内の水が地下処分槽T外へ漏出しないようにすることができる。
【0033】
この場合において、オープンケーソン工法により構築する筒形の鉄筋コンクリート躯体1に配設する遮水材18aは、図5に示すように、鉄筋コンクリート躯体1の内部に配設し、全体として3層の遮水構造体として構成したり、図6に示すように、鉄筋コンクリート躯体1の表面に配設し、全体として2層の遮水構造体として構成することができる。
一方、底版コンクリート2に配設する遮水材18bは、図5及び図6に示すように、底版コンクリート2上に敷設した砕石層(フィルタ層)4上に敷設するようにし、鉄筋コンクリート躯体1に配設した遮水材18aと一体化するようにする。
【0034】
そして、鉄筋コンクリート躯体1内の上下方向には、地下処分槽T外から地下処分槽T内に浸透してきた地下水を、砕石層(フィルタ層)4及びこの砕石層4に開口した排水ピット12aを介して揚水するための排水パイプ17を、地下処分槽Tの大きさに応じて、1本又は複数本、鉄筋コンクリート躯体1の構築時に埋め込むことにより設置するようにする。
このように、排水パイプ17を、オープンケーソン工法による鉄筋コンクリート躯体1の構築時に、鉄筋コンクリート躯体1内に埋め込むことにより、排水パイプ17を、簡易に、かつ正確に鉄筋コンクリート躯体1内に設置することができるものとなる。
これにより、地下処分槽T内に浸透した地下水の水圧によって、底版コンクリート2上に配設した遮水材18bが損傷を受けることを防止することができる。
【0035】
なお、本実施例において、地下処分槽Tの内外を遮水材18a,18bにより遮水することを前提として、さらに必要に応じて、上記他の実施例の構成を併設することができ、例えば、鉄筋コンクリート躯体1内に、地下処分槽T内の水を揚水するための排水パイプ及び地下処分槽T内外の水位を測定するための水位測定用パイプを、鉄筋コンクリート躯体1の構築時に埋め込むことにより設置し、地下処分槽T内外の水位の測定値に基づいて、排水パイプを用いて地下処分槽T内の水を揚水することにより、常に地下処分槽T内の水位を地下処分槽T外の水位より低く保つようにし、これにより、遮水材18a,18bが損傷を受けた場合に、地下処分槽T内の水が、地下処分槽T外へ漏出することを確実に防止することができるものとなる。
【0036】
ところで、地下処分槽Tを構成するオープンケーソン工法により構築した鉄筋コンクリート躯体1は、大きな支持力を有するため、この鉄筋コンクリート躯体1を、例えば、図7に示すように、廃棄物の焼却処理設備10、その他の地上施設の基礎として利用することができる。
これにより、この廃棄物処分施設のトータル的な構築コストを、低廉にすることができる。
この鉄筋コンクリート躯体1の基礎としての利用は、地下処分槽Tの稼働中でも、あるいは、廃棄物Wを完全に充填した後でも可能である。
【0037】
なお、廃棄物Wを完全に充填した後、地下処分槽T内の揚水、地下処分槽T内への散水、地下処分槽T内底部への空気の供給等によって、地下処分槽T内の廃棄物Wが安定化されたことを確認することができれば、地下処分槽T内外の水位の測定、地下処分槽T内の揚水、地下処分槽T内への散水、地下処分槽T内底部への空気の供給等をはじめとする、この廃棄物処分施設を稼働するために必要となる各種測定や駆動機構の制御を停止することができる。
【0038】
【発明の効果】
本第1発明の廃棄物処分施設によれば、オープンケーソン工法により構築した筒形の鉄筋コンクリート躯体の底部に底版コンクリートを打設した地下処分槽を備えるようにしているため、地下処分槽内の水位を地下処分槽外の水位より低く保って、地下処分槽内の水が地下処分槽外へ漏出しないように管理するために用いる地下処分槽内の水を揚水するための排水パイプ及び地下処分槽内外の水位を測定するための水位測定用パイプを、鉄筋コンクリート躯体の構築時に、鉄筋コンクリート躯体内に埋め込むことにより、簡易に、かつ正確に設置することができる。
これにより、筒形の鉄筋コンクリート躯体を漏水や地震に対する信頼性が高いオープンケーソン工法により構築するようにしたことと相俟って、地下処分槽内の水が、地下処分槽外へ漏出することを確実に防止することができ、環境汚染に対する安全性が高く、このため、廃棄物処分施設を、廃棄物の発生地に当たる都市近郊に設けることができ、廃棄物の移送コストを低減できるとともに、環境汚染の問題から不足している廃棄物処分場の確保が容易となる。
【0039】
また、本第2発明の廃棄物処分施設によれば、オープンケーソン工法により構築した筒形の鉄筋コンクリート躯体の底部に底版コンクリートを打設した地下処分槽を備えるようにしているため、地下処分槽の内部又は表面に配設する遮水材を、地下処分槽の構築時に、コンクリートと一体となるように配設することにより、簡易に、かつ正確に設置することができる。
これにより、筒形の鉄筋コンクリート躯体を漏水や地震に対する信頼性の高い躯体構造とに対する信頼性が高いオープンケーソン工法により構築するようにしたことと相俟って、地下処分槽内の水が、地下処分槽外へ漏出することを確実に防止することができ、環境汚染に対する安全性が高く、このため、廃棄物処分施設を、廃棄物の発生地に当たる都市近郊に設けることができ、廃棄物の移送コストを低減できるとともに、環境汚染の問題から不足している廃棄物処分場の確保が容易となる。
【0040】
そして、鉄筋コンクリート躯体内に、地下処分槽内の水を揚水するための排水パイプ及び地下処分槽内外の水位を測定するための水位測定用パイプを、鉄筋コンクリート躯体の構築時に埋め込むことにより設置し、地下処分槽内外の水位の測定値に基づいて、排水パイプを用いて地下処分槽内の水を揚水することにより、常に地下処分槽内の水位を地下処分槽外の水位より低く保つようにすることにより、地下処分槽内の水が、地下処分槽外へ漏出することをより確実に防止することができる。
【0041】
また、本第1発明及び第2発明の廃棄物処分設備において、鉄筋コンクリート躯体内に、地下処分槽内底部に空気を供給するための送気パイプ及び地下処分槽内の廃棄物が分解することにより発生したガスを含む空気を排出するガス抜きパイプを、鉄筋コンクリート躯体の構築時に埋め込むことにより設置することにより、地下処分槽内底部に空気を供給するための送気パイプ及び地下処分槽内の廃棄物が分解することにより発生したガスを含む空気を排出するガス抜きパイプを、鉄筋コンクリート躯体の構築時に、鉄筋コンクリート躯体内に埋め込むことにより、簡易に、かつ正確に設置することができ、廃棄物中への空気の供給及び廃棄物中が分解することにより発生したガスの排出を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の廃棄物処分施設の一実施例を示し、(a)は平面図、(b)はA−A線断面図、(c)は上部の詳細縦断面図、(d)は中間部の詳細横断面図、(e)は下部の詳細縦断面図である。
【図2】 同(a)は図1のB−B線断面図、(b)は中間部の詳細横断面図、(c)は下部の詳細縦断面図、(d)は送気パイプの空気放出部の詳細横断面図である。
【図3】 本発明の廃棄物処分施設の変形例を示し、(a)は平面図、(b)はC−C線断面図、(c)は上部の詳細縦断面図、(d)は中間部の詳細横断面図、(e)は下部の詳細縦断面図である。
【図4】 本発明の廃棄物処分施設の利用例を示す説明図である。
【図5】 本発明の廃棄物処分施設の変形例を示し、(a)は平面図、(b)は正面縦断面図、(c)は上部の詳細縦断面図、(d)は中間部の詳細横断面図、(e)は下部の詳細縦断面図である。
【図6】 本発明の廃棄物処分施設の変形例を示し、(a)は平面図、(b)は正面縦断面図、(c)は上部の詳細縦断面図、(d)は中間部の詳細横断面図、(e)は下部の詳細縦断面図である。
【図7】 本発明の廃棄物処分施設の他の利用例を示す説明図である。
【符号の説明】
T 地下処分槽
WL1 地下処分槽内の水位
WL2 地下処分槽外の水位
1 鉄筋コンクリート躯体
11 鉄筋コンクリート単位躯体
12 排水パイプ
13 地下処分槽内の水位測定用パイプ
14 地下処分槽内の水位測定用パイプ
15 洗浄パイプ
16 送気パイプ
17 排水パイプ
18a 遮水材
18b 遮水材
2 底版コンクリート
3 覆蓋
4 砕石層(フィルタ層)
5 地下水の観測パイプ
6 水浄化設備
7 通水・通気部材
8 空気浄化設備
9 移送設備
10 焼却処理設備
Claims (3)
- オープンケーソン工法により構築した筒形の鉄筋コンクリート躯体の底部に底版コンクリートを打設した地下処分槽からなる廃棄物処分施設であって、鉄筋コンクリート躯体内に、地下処分槽内の水を揚水するための排水パイプ及び地下処分槽内外の水位を測定するための水位測定用パイプを、鉄筋コンクリート躯体の構築時に埋め込むことにより設置し、地下処分槽内外の水位の測定値に基づいて、排水パイプを用いて地下処分槽内の水を揚水することにより、常に地下処分槽内の水位を地下処分槽外の水位より低く保って、地下処分槽内の水が地下処分槽外へ漏出しないようにしたことを特徴とする廃棄物処分施設。
- オープンケーソン工法により構築した筒形の鉄筋コンクリート躯体の底部に底版コンクリートを打設した地下処分槽からなる廃棄物処分施設であって、地下処分槽の内部又は表面に遮水材を、地下処分槽の構築時にコンクリートと一体となるように配設して、地下処分槽内の水が地下処分槽外へ漏出しないようにし、鉄筋コンクリート躯体内に、地下処分槽内の水を揚水するための排水パイプ及び地下処分槽内外の水位を測定するための水位測定用パイプを、鉄筋コンクリート躯体の構築時に埋め込むことにより設置し、地下処分槽内外の水位の測定値に基づいて、排水パイプを用いて地下処分槽内の水を揚水することにより、常に地下処分槽内の水位を地下処分槽外の水位より低く保つようにしたことを特徴とする廃棄物処分施設。
- 鉄筋コンクリート躯体内に、地下処分槽内底部に空気を供給するための送気パイプ及び地下処分槽内の廃棄物が分解することにより発生したガスを含む空気を排出するガス抜きパイプを、鉄筋コンクリート躯体の構築時に埋め込むことにより設置したことを特徴とする請求項1又は2記載の廃棄物処分施設。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP18889798A JP4002344B2 (ja) | 1998-07-03 | 1998-07-03 | 廃棄物処分施設 |
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