JP4002167B2 - 光電陰極 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光子の入射によって光電子を放出する光電陰極(光電子放射面)に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体上に光吸収層と電子放射層とを設け、これらの光吸収層と電子放射層に電界を印加する手段を設けた光電陰極として、たとえば特許2923462号公報(特許文献1)に開示されたものがある。この光電子陰極は、InPからなる基板上を有している。基板の上層には、厚さ2μmのInGaAsからなる光吸収層が形成され、光吸収層の上には厚さ0.7μmのp型InP電子放出層が形成されている。さらに、p型InP電子放出層の上層には、n型InP層とこのn型InP層に電位を与えるTi金属層からなるメッシュ状の電極が形成されている。
【0003】
また、n型InP層とp型InP電子放射層および光吸収層の間には、p/n接合が形成されており、電源および配線、AuZnからなる電極により光吸収層および電子放射層に電界を印加している。この光電子陰極では、メッシュ電極の幅は2μm、電極の間隔は4μmである。p型InP電子放射層の表面の露出部には酸化セシウムが塗布されており、p型InP電子放射層の表面の仕事関数を低下させている。また、この光電陰極は、真空に封じられ、光入射窓が形成された容器に収容されている。さらに、光電陰極から放出された電子は、別途設けられたコレクタ電極に対して放出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の光電陰極では、分光感度を良好にするとともに、信号対雑音比S/N比の低下を招かないようにすることが望まれるが、上記特許文献1に開示されている光電陰極では、低温時において問題がある。一般に、光電放射面における暗電子放射は、熱電子放射が支配的となっているため、光電陰極の温度を低下させることにより、S/N比の改善を図ることができる。
【0005】
ところが、光電陰極の温度を低下させると、分光感度の低下を招く。図7に光電陰極の分光感度の温度変化をグラフで示すが、図7からわかるように、光電陰極の温度が低くなるにしたがって、長波長側より分光感度が急激に低下している。このため、光電陰極の温度を低下させると、分光感度が低下してしまうことから、結局、光電陰極の冷却には限界があり、S/N比の改善を図ることができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、温度を低くした場合における分光感度の低下を抑制することにより、S/N比の改善を図ることができる光電陰極を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者らは、鋭意研究を重ね、光電陰極における諸元を調整しながら後述する実験を行った。その結果、本発明者らは、光電陰極における所定の諸元のパラメータを所定の範囲内に設定することにより、冷却した場合でも分光感度の低下を抑制することができる所定の諸元の範囲を知見し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明に係る光電陰極は、第1導電型の半導体基板と、半導体基板上に形成された第1導電型の第1半導体層と、第1半導体層上に形成された第1導電型の第2半導体層と、第2半導体層の表面の一部を露出させた状態で第2半導体層上に形成された第2導電型の第3半導体層と、第3半導体層上に形成された表面電極と、第2半導体層の露出表面に形成され、第2半導体層の仕事関数を低下させる活性層と、基板に設けられた裏面電極とを備え、入射した光に感応して電子を放出する光電陰極において、第2半導体層におけるすべての点において、その点とその点からもっとも近い第3半導体層との距離が0.9μm以下になるようにされていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る光電陰極では、第2半導体層におけるすべての点において、その点とその点からもっとも近い第3半導体層との距離が0.9μm以下になるようにされている。このため、後述する本発明の実施例における実験で説明するように、温度を低くした場合における分光感度の低下を抑制することができる。したがって、光電陰極を冷却してその温度を低くした場合であっても、分光感度の低下がほとんどなく、そのためS/N比の改善を図ることができる光電陰極とすることができる。
【0010】
表面電極と裏面電極とに印加する電圧を、第2半導体層における露出表面を挟む第3半導体層同士の間の距離で除した値が4(V/μm)以上である態様とすることもできる。
【0011】
また、第2半導体層の厚みD、第2半導体層の露出表面における第3半導体層からもっとも遠い点と第3半導体層との距離L、第2半導体層のキャリア濃度N、および表面電極と裏面電極に印加する電圧Vが、下記(1)式の関係にある態様とすることができる。
【0012】
D2+L2≦3.0(1+V)×109/N・・・(1)
さらに、第2半導体層の厚みD、第2半導体層の露出表面における第3半導体層からもっとも遠い点と第3半導体層との距離L、および表面電極と裏面電極に印加する電圧Vが、下記(2)式の関係にある態様とすることもできる。
【0013】
D2+L2≦6.0(1+V)×10-13・・・(2)
あるいは、第2半導体層の露出表面における第3半導体層からもっとも遠い点と第3半導体層との距離L、第2半導体層のキャリア濃度N、および表面電極と裏面電極に印加する電圧Vが、下記(3)式の関係にある態様とすることもできる。
【0014】
L2≦3.0(1+V)×109/N・・・(3)
また、第2半導体層の露出表面における第3半導体層からもっとも遠い点と第3半導体層との距離L、および表面電極と裏面電極に印加する電圧Vが、下記(4)式の関係にある態様とすることもできる。
【0015】
L2≦6.0(1+V)×10-13・・・(4)
さらに、第2半導体層の厚みD、第2半導体層の露出表面における第3半導体層からもっとも遠い点と第3半導体層との距離L、および第2半導体層のキャリア濃度Nが、下記(5)式の関係にある態様とすることもできる。
【0016】
D2+L2≦3.3×1010/N・・・(5)
そして、第2半導体層の厚みDおよび第2半導体層の露出表面における第3半導体層からもっとも遠い点と第3半導体層との距離Lが、下記(6)式の関係にある態様とすることもできる。
【0017】
D2+L2≦6.6×10-12・・・(6)
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る光電陰極の全体斜視図、図2はその側断面図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る光電陰極1は、p型InPからなり、キャリア濃度が1018cm-3以上の基板11を備えている。基板11の上層には、光吸収層12が形成されている。光吸収層12は、p型InGaAsPからなり、キャリア濃度が1016cm-3、厚みが2μmにされている。
【0021】
光吸収層12の上層には、光電子を放射面に向けて加速させる電子放出層13が形成されている。この電子放出層13はp型InPからなり、キャリア濃度が1016cm-3、厚みが0.7μmにされている。電子放出層13の上層には、コンタクト層14が形成されている。コンタクト層14は、複数の突条が平行に配置されたストライプ状をなしており、突条の幅(線幅)は1.4μmとされ、突条間の間隔(線間)は1.4μmにされている。コンタクト層14の表層にはTiからなる表面電極15が形成されている。この表面電極15の厚みは0.03μmにされている。
【0022】
また、ストライプ状に形成されたコンタクト層14の間からは、電子放出層13の一部が露出している。このコンタクト層14は、リソグラフィーによるパターニングによってストライプ状に形成されている。さらに、コンタクト層14における突条間から露出する電子放出層13の表面は、酸化セシウムからなる活性層(図示せず)によって被覆されており、仕事関数が低下させられている。そして、基板11の裏面には、AuZnからなる厚み0.03μmの裏面電極16が形成されている。
【0023】
さらに、表面電極15および裏面電極16は、それぞれコンタクト用のワイヤからなる配線21,21を介して電源22に接続されており、両電極の間には、たとえば5Vのバイアス電圧Vが印加されている。なお、図示の状態では、表面電極15と配線21は直接接続されているように描かれているが、実際には、表面電極15の一部に1mmφ程度に広げた部分が設けられており、この部分に配線21が接続されている。また、すべてのストライプ状に加工された表面電極15に電位Vが印加されるようになされている。
【0024】
このような構成を有する本実施形態に係る光電陰極1では、電子放出層13を通過し光吸収層12に照射された光は、光吸収層12で吸収され光電子を発生させる。光吸収層12、電子放出層13とコンタクト層14との間には、p/n接合が形成されているため、電極間に印加されたバイアス電圧により発生した電界の作用で、光電子は電子放出層13内に輸送され、活性層によって仕事関数が低下した電子放出層13の表面から真空中に放射される。
【0025】
光電陰極1では、電界が強い領域を広くするために、電子放出層13のキャリア濃度が、コンタクト層14のキャリア濃度に比べて十分低くなるようになされているので、電子放出層13の電気抵抗は大きくなっている。ここで、光電陰極1の温度を下げると、さらに電子放出層13の電気抵抗は大きくなる。電子放出層13の表面からは電子が放射されるものの、すべての電子が放射されるわけではなく、その電子が放射される確率はおおむね10分の1程度である。放射されず電子放出層13に残った光電子は、電子放出層13の露出表面を介してコンタクト層14および表面電極15へと導かれて放電される。しかし、電子が電子放出層13に残ってしまうと、電子放出層13からの電子放射を抑制し、結果として光電子放射感度の低下となる。このような分光感度の低下を避けるためには、放出されなかった光電子が容易にコンタクト層14へと導かれるようにしなければならない。
【0026】
この点、本実施形態に係る光電陰極1では、電子放出層13の上層に形成されているストライプ状のコンタクト層14の線間は1.4μmにされている。このため、光電陰極1の露出表面におけるコンタクト層14からもっとも遠い点とコンタクト層14との距離は0.7μmであり、光電陰極1の露出表面におけるすべての点とコンタクト層14との距離は、いずれも0.7μm以下と近い位置関係にある。したがって、光電陰極1の温度を低くした場合であっても、電子放出層13において放射されなかった光電子を容易にコンタクト層14に誘導することができるので、電子放出層13における光電子の残存を好適に防止することができ、もって分光感度の低下を防止することができる。
【0027】
このように光電陰極1の温度を低くした場合でも、分光感度の低下を防止することができるので、光電陰極1の温度を低くすることにより、分光感度の低下を招くことなく、S/N比の改善を図ることができる。
【0028】
さらに、本発明者らは、上記実施形態で示したように、光電陰極の温度を低くした場合であっても、分光感度の低下を招かないようにする条件を求めるべく実験を行い、本発明についてさらに探求した。以下、実施例においてその詳細について説明する。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。光電陰極における温度を低くした場合であっても、分光感度の低下を招かない範囲を探るべく、本発明者らは、次の実験を行った。
【0030】
まず、ストライプ形状をなすコンタクト層における突条間の距離2Lを、4.0μm、2.5μm、1.8μm、および1.4μmに調整した光電陰極を試作した。こうして試作した各光電陰極のうちの1.4μmに調整した光電陰極における分光感度の温度変化の例を図3に示す。図3からわかるように、長波長限界付近、たとえば1500nm付近の感度を見ると、−80℃での感度に対して−160℃での感度の低下が少なく、先に見たコンタクト層における突条間の距離2Lが4.0μmの場合に比べて、低温での感度の低下が改善されていることがわかる。
【0031】
次に、上記の距離2Lにそれぞれ調整したコンタクト層を有する光電陰極について、−80℃での感度に対する−160℃の感度を、波長1500nmのもと、いくつかの試料で比較した。その結果として、−80℃での感度に対する−160℃の感度を図4および表1に示す。また、光電陰極に印加する電圧と光電子放射感度比率(−160℃感度/−80℃感度)を図5に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
図4および表1からわかるように、コンタクト層における突条間の距離2Lが短くなるにつれて、より低い結晶印加バイアス電圧Vで、−160℃における感度が−80℃のときの感度なみに出てきている。結晶に印加するバイアス電圧Vが高くなると、図5に示した例のように暗電流放射が増加しS/N比が劣化するという現象が見られるため、8V以上の電圧印加は避けるべきである。したがって、−160℃での感度が−80℃での感度の10分の1になるのを限界と考えると、コンタクト層における突条間の距離2Lは1.8μm以下でなければならないことがわかる。また、簡便に光電陰極を作成するという観点から、半導体リソフラフィーの精度に鑑み、コンタクト層の突条間の距離2Lは0.2μm以上とする必要がある。突条間の距離2Lが0.2μm以上1.8μm以下であるということは、第2半導体層の露出表面におけるコンタクト層からもっとも遠い点とコンタクト層との距離Lが、0.1μm以上0.9μm以下であることが必要となる。
【0034】
さらに、−160℃での分光感度が−80℃での分光感度の10分の1になるのを限界として結晶印加バイアス電圧Vを整理すると、表2のようになる。
【0035】
【表2】
【0036】
この表2から、バイアス電圧とコンタクト層における突条間の距離2Lとの比を見ると、バイアス電圧(V)/突条間の距離2L(μm)≧2となる条件が、暗電流の増加を見ずに低温での感度低下を抑制できる条件となっていることがわかる。したがって、光電陰極内部に印加する電圧V(V)を、第2半導体層の露出表面におけるコンタクト層からもっとも遠い点とコンタクト層との距離L(μm)で除した値が4以上となるようにされていることで、光電陰極の感度低下を招かないようにすることができる。
【0037】
ここで、光電陰極の感度低下を招いている原因について考えてみる。光電陰極へのバイアス電圧の印加において、結晶内では空乏層がコンタクト層内部と電子放出層の界面から電子放出層内部、さらには光吸収層内部に広がる。この広がりは横方向と同時に縦方向に広がる、空乏層の中は真空同様の状態であり、空乏層内の光電子はすぐに表面へ輸送されるが、空乏化されていない領域では、冷却による半導体の高抵抗化で電子が取り残されてしまい、空間電化を形成し、後の光電子放射の妨げとなる。したがって、空乏層の広がりと冷却により感度低下の間にはある関係があると考えられる。そこで、電子放出層13の厚みD、コンタクト層における突条間の距離2Lとして、下記(1−1)式で示すというパラメータRを定義する。
【0038】
R=(D2+L2)1/2・・・・(1−1)
また、空乏層の広がりWは、物性的には比誘電率ε、真空の誘電率ε0、素電化q、キャリア濃度N、フラットバンド電位Vf、バイアス電圧Vとして、下記(1−2)次式で表すことができる。
【0039】
W=(2εε0(Vf+V)/qN)1/2・・・・(1−2)
上記(1−1)式、(1−2)式で示すパラメータRと空乏層の広がりWとの関係を求めた。なお、(1−2)式においては、空乏層の広がりWを求めるために、−160℃の感度が−80℃の感度の1/10以上になるのに必要なバイアス電圧Vの値を代入した。その結果を整理して表2に示す。
【0040】
表2からわかるように、およそR/W≦1.5となることが、感度低下を招かない条件となっている。ここで、εの値は半導体材料に固有に値であるがおおむね12程度であり、フラットバンド電位Vfはおおむね1V程度である。したがって、上記(1−1)式および(1−2)式を整理して、感度低下を招かない条件として、下記(1)式を得ることができる。
【0041】
D2+L2≦3.0(1+V)×109/N・・・(1)
さらには、キャリア濃度は低いほど空乏層が伸びやすくなるが、現実的には5E21m2程度以下に制御するのは難しい。そのため、(1)式にキャリア濃度N=5E21(m2)を代入して、下記(2)式を条件とすることもできる。
【0042】
D2+L2≦6.0(1+V)×10-13・・・(2)
さらに、電子放出層13の厚みDが限りなく0に近づいた場合を想定することもでき、このような場合でも感度低下を招かない条件を満たすことになる。そのため、上記(1)式に電子放出層の厚みD=0(μm)を代入して、下記(3)式を条件とすることもできる。
【0043】
L2≦3.0(1+V)×109/N・・・(3)
また、この場合も、キャリア濃度Nの制限を考慮し、(3)式にキャリア濃度N=5E21(m2)を代入して、下記(4)式を条件とすることもできる。
【0044】
L2≦6.0(1+V)×10-13・・・(4)
さらに、結晶に印加するバイアス電圧Vが高すぎると、暗電流が増えて使えなくなる。このため、バイアス電圧V=10をmaxの制限として考えることができる。この条件を付した場合、上記(1)式にV=10を代入して下記(5)式を条件とすることができる。
【0045】
D2+L2≦3.3×1010/N・・・(5)
また、この場合も、キャリア濃度Nの制限を考慮し、(5)式にキャリア濃度N=5E21(m2)を代入して、下記(6)式を条件とすることもできる。
【0046】
D2+L2≦6.6×10-12・・・(6)
このような条件式(1)〜(6)のいずれかを満たすように光電陰極を製造することにより、光電陰極を冷却して、光電陰極の分光感度を低下させることなく、熱電子放射を抑制してS/N比を改善することができるので、より微弱な光まで検出することが可能となった。図6は、従来の光電陰極と、本発明による光電陰極それぞれを光電子増倍管に組み込んだ際に得られた最小検出光パワーを光電陰極の温度の関数として比較した結果である。図6に示すように、本発明に係る光電陰極では、検出能力が大幅に向上するものとなった。
【0047】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記形態の説明においては、コンタクト層をストライプ形状に形成したが、たとえばメッシュ(格子)形状、またはスパイラル形状などとすることもできる。
【0048】
また、上記実施形態では、光電陰極の材料としてInP/InGaAs化合物半導体を用いた場合について説明したが、InP/InGaAsP化合物半導体は勿論たとえば米国特許第3958143号に示されるCdTe,GaSb,InP,GaAsP,GaAlAsSb,InGaAsSbといった材料、またはこれらをいくつか組み合わせたヘテロ構造及びGe/GaAs,Si/GaP,GaAs/InGaAs等のヘテロ構造や、特開平5−234501号公報に示されるGaAs/AlGaAs多層膜といった半導体多層膜材料等を用いることもができる。
【0049】
さらに、表面電極および裏面電極についても上記形態の説明ではAuGe/Ni/Au合金材料を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、下地となる半導体と電気的に良好なオーミックコンタクトがとれる材料であればよい。これらの材料を用いて光電子放出面を形成しても、上記本形態と同様な効果が奏される。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明のとおり、本発明によれば、温度を低くした場合における分光感度の低下を抑制することにより、S/N比の改善を図ることができる光電陰極を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光電陰極の全体斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光電陰極の側断面図である。
【図3】光電陰極における分光感度の温度変化の例を示すグラフである。
【図4】光電陰極に印加する電圧と、光電子放射感度の比率(−160℃感度/−80℃感度)を示すグラフである。
【図5】光電陰極に印加する電圧と暗電流との関係を示すグラフである。
【図6】従来の光電陰極と、本発明に係る光電子陰極それぞれを光電子増倍管に組み込んだ際に得られた最小検出光パワーを光電子陰極の温度の関数として比較した結果を示すグラフである。
【図7】従来の光電陰極における分光感度の温度変化をグラフである。
【符号の説明】
1…光電陰極、2…電子放出層、11…基板、12…光吸収層、13…電子放出層、14…コンタクト層、15…表面電極、16…裏面電極、21…配線、22…電源。
Claims (1)
- 第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板上に形成された第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層上に形成された第1導電型の第2半導体層と、前記第2半導体層の表面の一部を露出させた状態で前記第2半導体層上に形成された第2導電型の第3半導体層と、前記第3半導体層上に形成された表面電極と、前記第2半導体層の露出表面に形成され、前記第2半導体層の仕事関数を低下させる活性層と、前記基板に設けられた裏面電極とを備え、入射した光に感応して電子を放出する光電陰極において、
前記第2半導体層におけるすべての点において、その点とその点からもっとも近い第3半導体層との距離が0.9μm以下になるようにされていることを特徴とする光電陰極。
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