JP2923462B2 - 光電陰極および電子管 - Google Patents

光電陰極および電子管

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JP2923462B2 JP31683295A JP31683295A JP2923462B2 JP 2923462 B2 JP2923462 B2 JP 2923462B2 JP 31683295 A JP31683295 A JP 31683295A JP 31683295 A JP31683295 A JP 31683295A JP 2923462 B2 JP2923462 B2 JP 2923462B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光子の入射によって
光電子を放出する光電陰極(光電子放出面)およびこれ
を用いた電子管に関するものである。電子管は、光電陰
極を用いて微弱光を検出する装置であり、光電子増倍管
(光電管)の他、これの均等物、すなわち、ストリーク
管(ストリークカメラ)やイメージ管等は電子管の範疇
に含まれる。
【0002】
【従来の技術】長波長用の光電子放出面は、例えば、米
国特許第3,958,143 号に示される。この光電子放出面で
は、入射光により発生した光電子は光電子放出面内部に
形成された電界によって加速され、より高いエネルギー
帯へ遷移させられた後、真空中へ放出させられる。この
遷移電子型光電子放出面の概略は図9の断面図に示され
る。半導体基板1上には光吸収層2および電子放出層3
が積層されている。さらにこの電子放出層3の表面には
50〜100オングストロームの厚さの薄膜ショットキ
電極4が形成されている。半導体基板1の裏面に形成さ
れたオーミック電極5とこの薄膜ショットキ電極4との
間にバイアス電圧が印加される。この電圧印加により、
薄膜ショットキ電極4の側から光吸収層2に向けて空乏
層が延び、光電子放出面内に所定の電界が形成される。
この電界により、光入射によって発生した光電子が加速
され、真空中へ放出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構造をした光電子放出面では薄膜ショットキ電極4
が50〜100オングストロームと薄いため、制御性良
くこの薄いショットキ電極4を再現し、製造することは
困難であった。このため、所望の特性を備えた光電子放
出面を再現性良く得ることは困難であった。一方、光電
子放出面の性能は上記の薄膜ショットキ電極4の特性に
強く影響され、特に光電感度や暗電流はこのショットキ
電極の特性によって決定されるといっても過言ではな
い。
【0004】このため、このような問題を解決し、ショ
ットキ電極を再現性良く形成するため、米国特許第5,04
7,821 号による光電子放出面が、また、特開平3-29971
号公報による光電子放出面が開示されている。これらの
発明ではショットキ電極の形状が所定のパターンに形成
されることにより、ショットキ電極を薄膜化する必要が
なくなっている。従って、これらの光電子放出面によれ
ば、上記の米国特許第3,958,143 号に示される光電子放
出面に比較し、容易に再現性良くショットキ電極を形成
できる。
【0005】しかし、これらの米国特許第5,047,821 号
および特開平3-29971 号公報による光電子放出面におい
ても、p型半導体上にショットキ電極が形成されている
点では米国特許第3,958,143 号による光電子放出面と根
本的に変わりはない。つまり、p型半導体上に形成され
たショットキ電極の特性は、ショットキ電極と光電子放
出面との界面の状態に非常に敏感で不安定である。この
ため、上記の米国特許第5,047,821 号および特開平3-29
971 号公報による光電子放出面においても、やはり再現
性良く所望の光電変換特性を得ることは困難であった。
特に、このような光電陰極を、入射光を電子放出側に受
ける、いわゆる反射型光電面として用いる場合、上記シ
ョットキ電極は入射光を遮るため、光電陰極の光電感度
は大幅に低下する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題
を解消するためになされたもので、入射した光に感応し
て電子を放出する光電陰極において、第1導電型の半導
体基板と、半導体基板上に形成された第1導電型の第1
半導体層(光吸収層)と、第1半導体層上に形成された
第1導電型の第2半導体層(電子放出層)と、第2半導
体層上に形成された第2導電型の第3半導体層(コンタ
クト層)と、第3半導体層上に形成された表面電極と、
第2半導体層の露出表面に形成され、第2半導体層の仕
事関数を低下させる活性層と、基板に設けられた裏面電
極と、を備えることを特徴とする。
【0007】また、このような光電子放出面を用いて光
電子増倍管や、画像増強管およびストリーク管といった
光電変換管を構成することを特徴とするものである。
【0008】オーミック性接触の表面電極および裏面電
極に電圧がバイアスされることにより、コンタクト層お
よび電子放出層間のPN接合に逆バイアスがかかる。従
って、このPN接合部から光電子放出面内に空乏層が延
び、光電子放出面内に光電子を加速するための電界が形
成される。
【0009】また、コンタクト層が電子放出層をほぼ均
一に分布して露出するパターン形状を有するため、光吸
収層で励起された光電子は放出面近傍でその走行を妨げ
られることなく、効率よく真空中へ放出される。さら
に、上面(表面)電極はコンタクト層の微小領域のみに
形成されているので、表面電極は入射光を遮ることがな
く、したがって、入射光の透過率は低下せず、光電変換
効率を大幅に向上させることができる。微小領域の面積
は3mm2 よりも小さく、上面電極はこの微小点でのみ
コンタクト層と接している。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1の形態による
光電子放出面の概略を示す断面図である。また、図10
は、この光電陰極を用いた光電子増倍管を示す。
【0011】半導体基板11はIII −V族化合物半導体
材料であるInPからなり、その導電型はp+ 型になっ
ている。この半導体基板11上には入射光を吸収して光
電子を生成する光吸収層12が形成されている。この光
吸収層12は同じくIII −V族化合物半導体材料である
InGaAsPからなり、その導電型はp- 型になって
いる。さらに、この光吸収層12上には光電子が放出面
に向けて加速される電子放出層13が形成されている。
この電子放出層13もIII −V族化合物半導体材料であ
るInPからなり、その導電型はp- 型になっている。
また、この電子放出層13上には、この電子放出層13
とPN接合を形成するコンタクト層14が形成されてい
る。このコンタクト層14もIII −V族化合物半導体材
料であるInPからなり、その導電型はn+ 型になって
いる。
【0012】ここで、各層のキャリア濃度は、p+ −I
nPからなる半導体基板11が1018cm-3以上,p-
−InGaAsPからなる光吸収層12が5×1016
-3以下,p- −InPからなる電子放出層13が5×
1016cm-3以下,n+ −InPからなるコンタクト層
14が1018cm-3以上であることが望ましい。しか
し、各層のキャリア濃度は必ずしもこれに限定されるも
のではない。
【0013】コンタクト層14上にはこのコンタクト層
14にオーミック接触する表面電極15が形成されてい
る。この表面電極15はAuGe/Ni/Au合金から
なる。表面電極15およびコンタクト層14は、リソグ
ラフィー技術およびエッチング技術を用いて適当な間隔
のメッシュ(格子)パターン形状に同一に加工されてい
る。このメッシュパターンには格子窓が形成され、この
各格子窓から電子放出層13の表面が矩形状に露出して
いる。また、このメッシュパターンは電子放出層13の
表面に規則的に形成されているため、格子窓は電子放出
層13の表面にほぼ均一に分布している。従って、電子
放出層13の矩形状表面は、この格子窓を介してほぼ均
一に分布して露出している。また、露出したこの電子放
出層13の表面にはCs層16が薄く塗布されている。
このCs層16により電子放出層13の露出した表面の
仕事関数が低下させられており、光電子が真空中へ放出
されやすい構造になっている。また、半導体基板11の
裏面にはAuGe/Ni/Au合金からなる裏面電極1
7が形成されている。この裏面電極17は半導体基板1
1の裏面にオーミック接触している。
【0014】このような構造において、バッテリ18に
よって表面電極15と裏面電極17との間に所定のバイ
アス電圧が印加される。この電圧印加により、コンタク
ト層14と電子放出層13との間に形成されたpn接合
に逆バイアスがかかる。従って、このpn接合部から光
電子放出面内に空乏層が延び、電子放出層13と光吸収
層12の内部に光電子を加速する方向に電界が形成され
る。
【0015】図10の光電子増倍管について、さらに詳
しく説明する。図10に示す光電子増倍管は、その上に
入射した光に感応して電子を放出する光電陰極10を備
える。この光電陰極10は、基板11、第1層12、第
2層14、第3層14、活性層16、表面電極15およ
び裏面電極17を備える。
【0016】基板11は、キャリア濃度が1×1018
-3以上のp型InPである。第1半導体層12は、キ
ャリア濃度が5×1016cm-3以下のp型InGaAs
Pであり、基板11に接触している。第2半導体層13
は、キャリア濃度5×1016cm-3以下のp型InPで
あり、第1半導体層12に接触している。第3半導体層
14は、キャリア濃度が1×1018cm-3以上のn型I
nPであり、第2半導体層13に接触している。表面電
極15は、複数の開口を有し、第3半導体層14に接触
している。活性層16は、第2半導体層13の残りの露
出表面に接触しており、第2半導体層13の仕事関数を
低下させる。活性層は、Cs、CsO、CsFのいずれ
か1つから選択される。裏面電極17は開口を有し、基
板11の下面に接触している。
【0017】したがって、半導体基板11のエネルギー
バンドギャップは、第1半導体層12のエネルギーバン
ドギャップよりも大きく、且つ、第2半導体層13のエ
ネルギーバンドギャップは、第1半導体層12のエネル
ギーバンドギャップよりも大きい。
【0018】この光電子増倍管は、密閉容器V1を備え
る。容器V1は、ガラス管31および面板34を備え
る。ガラス管31と面板34とは、シール材SE1で接
着されており、光は、面板(所定部分)34を通過す
る。この所定部分の内側には、透明電極TR1が塗布さ
れている。光電陰極は、接着剤AD1で、ガラス管31
に固定されており、透明電極TR1と裏面電極17とは
接触している。透明電極TR1は、管31の内面をコー
ティングする導電膜CL2に接触しており、導電膜CL
2、ワイヤW1を介して、ピンP1に接続されている。
内部導電膜CL1は、集束電極FE1と光電陰極10と
の間の空間を囲むように、管31の内面をコーティング
している。また、この光電子増倍管は、容器V1を貫通
する複数のピンPSを有する。ピンP1およびP2を除
くそれぞれのピンは、容器V1内に配置された複数のボ
ックスアンドグリッド型ダイノードD1−D7、および
アノードA1に電気的に接続されている。アノードA1
は、最終段ダイノードD7の近傍に配置されており、こ
れらのダイノードD1−D7で増倍された電子を収集す
る。また、これらのダイノードD2−D7は、第1段ダ
イノードD1から連なっている。それぞれのダイノード
の内面には、二次電子放出体SE1が塗布されている。
【0019】この光電子増倍管を用いるときには、表面
電極15に裏面電極よりも高い電位を与え、また、アノ
ードA1には、表面電極15よりもさらに高い電位を与
える。ダイノードD1−D7には、後段になるほど高い
電位を与える。
【0020】図2はこの時の光電子放出面内のエネルギ
ー状態を示すバンド図である。同図に示すように、この
エネルギバンドは図の左側から半導体基板11、光吸収
層12および電子放出層13の各領域に対応している。
また、同図において、価電子帯の頂上のエネルギ準位は
VB、伝導帯の底のエネルギ準位はCB、フェルミ準位
はFLおよび真空準位はVLで示されている。いま入射
光hνが光吸収層12に吸収され、光電子−eがΓ伝導
帯の底へ励起されると、この光電子は上記の電界によっ
て放出表面に向けて加速される。光電子はこの電界加速
によってエネルギを得、電子放出層13内では伝導帯の
Γ谷の底からよりエネルギ準位の高いLまたはX伝導帯
の底へ遷移する。光電子はこのような高いエネルギを得
た状態で電子放出層13の表面から真空中へ放出され
る。なお、入射光は半導体基板11の側から入射して
も、また、電子放出層13の側から入射しても構わな
い。
【0021】このような本形態による光電子放出面にお
いては、上記のように、オーミック性接触の表面電極1
5および裏面電極17に電圧が印加されることにより、
pn接合部から光電子放出面内に空乏層が伸びて電界が
形成される。従って、光電子放出面に電圧を印加するた
めに従来必要とされた不安定なショットキ電極は不要と
なり、より安定なpn接合を用いることができる。この
ため、より再現性よく所望の特性を持つ光電子放出面を
得ることが可能となる。また、n型コンタクト層14は
表面電極15と同じパターン形状に加工されているた
め、電子放出層13内で加速された光電子は放出表面近
傍でその走行を妨げられることはなく、効率よく容易に
真空中へ放出される。このように本形態によれば、従来
問題になった、ショットキ電極と光電子放出面との界面
状態に起因する光電変換特性の不安定性は解消され、安
定した光電変換特性が飛躍的に再現性よく得られるよう
になる。しかも、得られる光電子放出面の光電感度は高
い感度が得られるようになる。
【0022】また、上述したコンタクト層14は表面電
極15と同じ形状にパターニングされているが、もし
も、電子放出層13の表面に図3の断面図に示す均一な
コンタクト層14aが形成されている場合には、上記形
態のように高い光電感度は得られない。なお、同図にお
いて図1と同一部分には同一符号を付してその説明は省
略する。図4はこの構造の光電子放出面の電極間に所定
の電圧をバイアスした時のエネルギバンド図を示してい
る。コンタクト層14aが均一に積層されているこのよ
うな構造の光電子放出面においては、電子放出層13で
LまたはX伝導帯に遷移した光電子は、コンタクト層1
4aの領域に形成された伝導帯の谷間に落ちやすい。こ
のため、光hνの入射によって生じた光電子は本形態の
ように効率よく真空中へ放出されにくくなる。
【0023】なお、上記形態の説明においては、光電子
放出面の材料としてInP/InGaAsP化合物半導
体を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限
られるものではない。例えば、米国特許第3,958,143 号
に示されるCdTe,GaSb,InP,GaAsP,
GaAlAsSb,InGaAsSbといった材料、ま
たはこれらをいくつか組合わせたヘテロ構造及びGe/
GaAs,Si/GaP,GaAs/InGaAs等の
ヘテロ構造や、特開平5-234501号公報に示されるGaA
s/AlGaAs多層膜といった半導体多層膜材料等を
用いることも可能である。また、表面電極および裏面電
極についても上記形態の説明ではAuGe/Ni/Au
合金材料を用いた場合について説明したが、本発明はこ
れに限られるものではなく、下地となる半導体と電気的
に良好なオーミックコンタクトがとれる材料であればよ
い。これらの材料を用いて光電子放出面を形成しても、
上記本形態と同様な効果が奏される。
【0024】また、上記形態の説明においては、表面電
極15およびコンタクト層14のパターン形状をメッシ
ュ形状として説明したが、これに限られるものではな
く、それぞれ電子放出層13の表面がほぼ均一に分布し
て露出するパターン形状であればよい。例えば、ストラ
イプ形状またはスパイラル形状であってもよい。ストラ
イプ形状の場合には電子放出層13の表面が短冊状にほ
ぼ均一に分布して露出し、スパイラル形状の場合には電
子放出層13の表面が渦を巻く螺旋状にほぼ均一に分布
して露出する。
【0025】次に、本発明による光電子放出面を備えて
構成される光電変換管について説明する。
【0026】図5は本発明の第2の形態による光電変換
管の模式的な断面図である。この第2形態では、上記の
第1形態による光電子放出面10がサイドオン型光電子
増倍管の光電面に用いられている。つまり、光電子増倍
管のバルブ21内は真空状態に保たれており、入射光h
νによって光吸収層で励起された光電子は内部電界によ
って加速された後、光電子放出面10の表面から真空中
へ放出される。
【0027】放出された光電子は第1ダイノード22a
に入射し、この第1ダイノード22aで2次電子が生成
される。この2次電子群は再び真空中に放出されて第2
ダイノード22bに入射し、さらに2次電子群を増や
す。以後、同様にして各段のダイノード22c,22d
…において次々と光電子は2次電子増倍されていく。こ
の光電子は最終的に106 倍程度にまで増倍されて陽極
23に到達し、検出電気信号として外部に取り出され
る。
【0028】このように本発明による光電子放出面を光
電子増倍管に適用することにより、次の効果が得られ
る。つまり、従来の光電子放出面を光電子増倍管の光電
面に用いた場合には、光電子放出面内に電界を形成する
ための表面電極にショットキ電極が必要とされた。この
ため、光電子増倍管製造時におけるバルブ内の脱ガスや
ベーキング処理時の加熱温度の上限は250℃に制限さ
れていた。しかし、本発明による光電子放出面の電極に
はオーミック電極が採用されているため、かかる温度の
上限は350℃にまで緩和される。このため、本発明に
よる光電子放出面を採用することにより、バルブ内の脱
ガスやベーキングは従来よりも高い温度で処理すること
が可能となる。よって、光電子増倍管のバルブ内はより
清浄化されるため、光電子放出面自体の光電感度の向上
とあいまって光電子増倍管の光電感度はさらに向上す
る。実際に上記本形態による光電子増倍管の光電感度を
従来のものと比較した結果、光電感度は従来のものより
も約3倍増加した。
【0029】図6は本発明の第3の形態による光電変換
管の模式的な断面図である。この第3形態では、前記の
第1形態による光電子放出面10がヘッドオン型光電子
増倍管の光電面に用いられている。つまり、光電子増倍
管のバルブ31内は真空状態に保たれており、光hνは
入力面34を介して光電子放出面10の半導体基板側か
ら入射し、励起された光電子は電子放出層側から真空中
へ放出される。放出された光電子は上記のサイドオン型
光電子増倍管と同様に第1ダイノード32aに入射し、
2次電子が生成される。この2次電子群は再び真空中に
放出されて第2ダイノード32bに入射し、さらに2次
電子群を増やす。以後、同様にして各段のダイノード3
2c,32d…において次々と光電子は2次電子増倍さ
れ、陽極33に到達して電気信号として検出される。
【0030】このような第3形態による光電子増倍管に
おいても上記の第2形態による光電子増倍管と同様な効
果が奏され、光電子増倍管のバルブ内がより清浄化され
て光電子増倍管の光電感度は向上する。
【0031】なお、サイドオン型光電子増倍管の場合は
いわゆる反射型光電子放出面が用いられ、ヘッドオン型
光電子増倍管の場合はいわゆる透過型光電子放出面が用
いられるのが一般的であるが、必ずしもこれに限られる
訳ではない。
【0032】図7は本発明の第4の形態による光電変換
管の模式的な断面図である。この第4形態では、前記の
第1形態による光電子放出面10が画像増強管の光電面
に用いられている。つまり、入力光は入力面41を介し
て光電子放出面10の半導体基板側から入射し、励起さ
れた光電子は電子放出層側から真空中へ放出される。放
出された光電子は、上記各形態の場合と異なり、ダイノ
ードではなくてマイクロチャネルプレート(MCP)4
2によって2次電子増倍される。2次電子増倍された光
電子は蛍光体43において発光する。この発光出力は出
力面44を介して検出されるが、この像はMCP42に
よって増強されたものとなっている。このような画像増
強管では2次元の位置情報が得られるが、本質的には上
述した光電子増倍管の場合と同様な原理に基づいて動作
している。
【0033】本形態においても、上記第2および第3の
各形態と同様な効果が奏される。つまり、光電子放出面
10の表面電極はオーミック電極であるため、高い温度
で脱ガス、ベーキングの処理が行え、画像増強管の内部
はより清浄化される。このため、光電子放出面10から
効率よく光電子が放出されると共に、入力像は汚染物質
の影響を受けることなく2次電子増倍される。よって、
この画像増強管によって得られる増強画像は、入力像に
対応して正確にかつ鮮明に得られるようになる。
【0034】図8は本発明の第5の形態による光電変換
管の模式的な断面図である。この第5形態では、前記の
第1形態による光電子放出面10がストリーク管の光電
面に用いられている。つまり、光電子放出面10から放
出された光電子は加速電極51によって加速され、集束
電極52によって集束された後、アノード電極53にお
いてさらに加速される。このように加速された光電子
は、偏向板電極54によって形成される偏向場を通過し
た後、位置補正電極55,ウォールアノード56および
コーン電極57によってMCP入力58に導かれ、MC
P59に入射する。MCP59に入射した光電子は電子
増倍され、MCP出力60を介して蛍光体61上に出力
される。この結果、蛍光体61上にストリーク像が結像
される。偏向電極54には偏向場に入射する電子と同期
した高速、高電圧の掃引電圧が印加されているため、電
子が光電子放出面10から放出された時間によってその
偏向角、つまり蛍光体61上の位置が決定される。従っ
て、入射光の時間tが蛍光体61上の縦軸yに変換さ
れ、また、そのストリーク像の強度は入射光強度に比例
したものになる。
【0035】このような第5形態によるストリーク管に
おいても上記の各形態による光電変換管と同様な効果が
奏され、ストリーク管のバルブ内がより清浄化されてス
トリーク管の光電感度は向上する。
【0036】なお、本発明の光電陰極は、上記に態様に
限定されるものではない。すなわち、図11に示すよう
に、複数の直線電極15をストライプ形状に配置しても
よい。この光電陰極を光電子増倍管に適用する場合、電
気的に分離したそれぞれの電極15ごとに、ワイヤW2
〜W5を接続し、それぞれのワイヤW2〜W5を図12
に示す光電子増倍管の導電膜CL1に接続してもよい。
【0037】さらに、上記実施例では、表面電極は、第
3半導体層(コンタクト層)14の全面に設けることと
したが、これは、図13に示すように、第3半導体層1
4の一部に設けることとしてもよい。すなわち、格子形
状の第3半導体層14と、表面電極15とは、微小点の
みで接触していてもよい。図14は、図13の光電陰極
の斜視図である。図14に示すように、表面電極15
は、光電子増倍管のピンP1に電気的に接続され、裏面
電極17は、ピンP2に電気的に接続される。入射光h
νを光電子放出面側から受光する、いわゆる反射型光電
子放出面に図1の形状の表面電極15を有する光電陰極
を適用する場合、入射光の大部分は電極15で吸収さ
れ、光吸収層12に到達する入射光量は不十分である。
しかしながら、図14に示すように、表面電極15はコ
ンタクト層14の微小領域のみに形成されているので、
入射光の透過率を低下させることがなく、光電変換効率
を大幅に向上する。
【0038】また、第3半導体層14の形状は、図15
に示すように、スパイラル形状であってもよい。さら
に、第3電極14の形状は、図16に示すように、同心
状に配置された方形を相互に接続した形状であってもよ
い。
【0039】さらに、第3半導体層14の形状は、図1
7に示すように、基幹および基幹から延びた複数の分岐
からなる層の形状、所謂、魚の骨の形状であってもよ
い。なお、上記光電陰極10は、上述の全ての電子管に
適用することができる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、オ
ーミック性接触の表面電極および裏面電極に電圧がバイ
アスされることにより、コンタクト層および電子放出層
間のPN接合に逆バイアスがかかる。従って、このPN
接合部から光電子放出面内に空乏層が伸び、光電子放出
面内に光電子を加速するための電界が形成される。従っ
て、光電子放出面に電圧を印加するために従来必要とさ
れたショットキ電極は不要となる。このため、このショ
ットキ電極と光電子放出面との界面状態によって光電変
換特性が不安定になるという従来の問題は解消される。
【0041】また、コンタクト層および表面電極が電子
放出層をほぼ均一に分布して露出するパターン形状を有
するため、光吸収層で励起された光電子は放出面近傍で
その走行を妨げられることなく、効率よく真空中へ放出
される。このため、高い光電感度の光電子放出面が得ら
れる。特に、表面電極がコンタクト層の微小領域に形成
されている場合には、表面電極は入射光を遮ることがな
いので、入射光の透過率が低下せず、光電変換効率を大
幅に向上させることができる。
【0042】よって、このような本発明によれば、光電
変換特性の安定性および再現性と高い光電感度とが両立
させられる。
【0043】また、このような本発明による光電子放出
面を光電変換管の光電面に適用することにより、光電変
換管の製造時に管内部をより清浄化することが可能とな
り、高い光電感度を持つ光電変換管を実現することが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の形態による光電子放出面の断面
図である。
【図2】第1の形態による光電子放出面に電圧がバイア
スされた時のエネルギーバンド図である。
【図3】第1の形態による光電子放出面の有効性を確認
するためにこれと比較される他の光電子放出面の断面図
である。
【図4】図3に示された光電子放出面に電圧がバイアス
された時のエネルギーバンド図である。
【図5】第1の形態による光電子放出面がサイドオン型
光電子増倍管の光電面に適用された本発明の第2の形態
による光電変換管の断面図である。
【図6】第1の形態による光電子放出面がヘッドオン型
光電子増倍管の光電面に適用された本発明の第3の形態
による光電変換管の断面図である。
【図7】第1の形態による光電子放出面が画像増強管の
光電面に適用された本発明の第4の形態による光電変換
管の断面図である。
【図8】第1の形態による光電子放出面がストリーク管
の光電面に適用された本発明の第5の形態による光電変
換管の断面図である。
【図9】光電子放出面の断面図である。
【図10】本発明の第1形態に係る光電陰極を備えた光
電子増倍管の断面図である。
【図11】第6の形態による光電陰極の断面図である。
【図12】本発明の第6形態に係る光電陰極を備えた光
電子増倍管の断面図である。
【図13】第7の形態による光電陰極の断面図である。
【図14】第7の形態による光電陰極の斜視図である。
【図15】第8の形態による光電陰極の斜視図である。
【図16】第9の形態による光電陰極の斜視図である。
【図17】第10の形態による光電陰極の斜視図であ
る。
【符号の説明】 11…半導体基板、12…光吸収層、13…電子放出
層、14…コンタクト層、15…表面電極、16…Cs
層、17…裏面電極、18…バッテリ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 正美 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松 ホトニクス株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01J 1/34

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入射した光に感応して電子を放出する光
    電陰極において、 第1導電型の半導体基板と、 前記半導体基板上に形成された第1導電型の第1半導体
    層と、 前記第1半導体層上に形成された第1導電型の第2半導
    体層と、 前記第2半導体層上に形成された第2導電型の第3半導
    体層と、 前記第3半導体層上に形成された表面電極と、 前記第2半導体層の露出表面に形成され、前記第2半導
    体層の仕事関数を低下させる活性層と、 前記基板に設けられた裏面電極と、を備えることを特徴
    とする光電陰極。
  2. 【請求項2】 前記半導体基板のエネルギーバンドギャ
    ップが、前記第1半導体層のエネルギーバンドギャップ
    よりも大きく、且つ、前記第2半導体層のエネルギーバ
    ンドギャップが、前記第1半導体層のエネルギーバンド
    ギャップよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載
    の光電陰極。
  3. 【請求項3】 前記第3半導体層のエネルギーバンドギ
    ャップが、前記第2半導体層のエネルギーバンドギャッ
    プと同じであることを特徴とする請求項1に記載の光電
    陰極。
  4. 【請求項4】 前記第3半導体基板のキャリア濃度は、
    1×1018cm-3よりも大きいことを特徴とする請求項
    1に記載の光電陰極。
  5. 【請求項5】 前記基板は、キャリア濃度1×1018
    -3以上のp型InPであり、 前記第1半導体層は、キャリア濃度5×1016cm-3
    下のp型InGaAsPであり、 前記第2半導体層は、キャリア濃度5×1016cm-3
    下のp型InPであり、 前記第3半導体層は、キャリア濃度1×1018cm-3
    上のn型InPであることを特徴とする請求項1に記載
    の光電陰極。
  6. 【請求項6】 前記活性層は、セシウム、セシウムと酸
    素の化合物、または、セシウムとふっ素の化合物のいず
    れかより選択されることを特徴とする請求項1に記載の
    光電陰極。
  7. 【請求項7】 前記第3半導体層は、格子形状を有して
    いることを特徴とする請求項1に記載の光電陰極。
  8. 【請求項8】 前記第3半導体層は、渦巻き形状を有し
    ていることを特徴とする請求項1に記載の光電陰極。
  9. 【請求項9】 前記第3半導体層と前記表面電極とは、
    点接触していることを特徴とする請求項1に記載の光電
    陰極。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし9のいずれか1項に記
    載の光電陰極を備えた電子管。
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