JP3433538B2 - 半導体光電陰極およびこれを用いた半導体光電陰極装置 - Google Patents

半導体光電陰極およびこれを用いた半導体光電陰極装置

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JP3433538B2 JP29298394A JP29298394A JP3433538B2 JP 3433538 B2 JP3433538 B2 JP 3433538B2 JP 29298394 A JP29298394 A JP 29298394A JP 29298394 A JP29298394 A JP 29298394A JP 3433538 B2 JP3433538 B2 JP 3433538B2
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J1/00Details of electrodes, of magnetic control means, of screens, or of the mounting or spacing thereof, common to two or more basic types of discharge tubes or lamps
    • H01J1/02Main electrodes
    • H01J1/34Photo-emissive cathodes

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  • Image-Pickup Tubes, Image-Amplification Tubes, And Storage Tubes (AREA)
  • Common Detailed Techniques For Electron Tubes Or Discharge Tubes (AREA)
  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光の入射により発生し
た電子を外部から電圧を印加することにより加速して放
出する半導体光電陰極および半導体光電陰極装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】外部バイアス電圧により、半導体内部に
電界を形成して光電子を放出面まで移送させて真空中に
放出させる光電陰極としては、米国特許3958143
号に示されているT.E.光電陰極がある。T.E.光
電陰極の動作機構はいくつかの文献で示されている通り
であり、簡単に説明するならばIII−V族半導体(p
- )表面全面にショットキ電極を形成して正の電位を与
えることにより、光電陰極内部に傾斜電場を形成して光
電子を形成して光電子を加速させ上位伝導帯に遷移させ
て表面障壁を越えさせ、真空中に放出させる。光応答波
長に関しては2.1μmまで確認されその有効性が示さ
れている。また、光電変換効率を向上させるためにショ
ットキ電極の形状を全面から格子状に工夫することで効
率の向上も図られた。
【0003】また、米国特許5047821号や特開平
4−269419号公報には、半導体光電陰極を安定し
て再現性よく製造する技術が示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の半導体光電陰極の量子効率は0.1%と通常の光検出
器と比較して低く、実用的な光検出器として用いるため
には、さらなる量子効率の向上が望まれる。この量子効
率の低さは、光電子の表面に形成されるショットキ電極
への捕獲に起因していると考えられる。
【0005】本発明は以上の問題に鑑みてなされたもの
であり、さらに量子効率を改善することができる半導体
光電陰極およびこれを用いた半導体光電陰極装置を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、入射した光に
感応して発生した電子を外部から電圧を印加することに
より加速して放出する半導体光電陰極およびこれを用い
た半導体光電陰極装置(光検出管、イメージ管、光電子
増倍管、ストリークカメラ、イメージインテンシファイ
アなど)を対象とするものである。そして、この半導体
光電陰極は、p型の第1半導体層(光吸収層)と、第1
不純物濃度を有して第1半導体層上に形成されたp型の
第2半導体層(電子移送層)と、開口を有し、第2半導
体層とショットキ接触を成して前記第2半導体層の表面
を覆うように形成されたショットキ電極と、第2半導体
層の仕事関数より小さな仕事関数を有し、ショットキ電
極の開口内に形成された第3半導体層(活性層)と、前
記第1不純物濃度よりも高い第2不純物濃度を有し、シ
ョットキ電極をその厚み方向に貫く延長線上であって、
第2半導体層の内部に配置されたp型の半導体部(チャ
ネル格子)とを具備し、 前記半導体部は、電子が前記
半導体部間の領域を通過するように設けられていること
とした。
【0007】また、このような半導体光電陰極の他の構
成として、p型の第1半導体層と、第1不純物濃度を有
して第1半導体層上に形成されたp型の第2半導体層
と、前記第1不純物濃度よりも高い第2不純物濃度を有
し、第2半導体層上に形成されたp型の半導体部と、開
口を有し、半導体部とショットキ接触を成して半導体部
の表面を覆うように形成されたショットキ電極と、第2
半導体層の仕事関数より小さな仕事関数を有し、ショッ
トキ電極の開口をその軸方向に貫く延長線上であって、
第2半導体層上に形成された第3半導体層とを備えるこ
ととしてもよい。また、これらの半導体部は第2半導体
層よりも広いエネルギーバンドギャップを有することと
してもよい。
【0008】そして、本発明は、このような半導体光電
陰極と陽極とを大気圧よりも低い圧力の環境を内部に提
供する密閉容器内に有する半導体光電陰極装置を対象と
するものである。この半導体光電陰極装置においては、
半導体基板と、半導体基板上に形成されたp型の第1半
導体層と、第1不純物濃度を有して第1半導体層上に形
成されたp型の第2半導体層と、開口を有し、第2半導
体層とショットキ接触を成して第2半導体層の表面を覆
うように形成されたショットキ電極と、第2半導体層の
仕事関数より小さな仕事関数を有し、ショットキ電極の
開口内に形成された第3半導体層と、前記第1不純物濃
度よりも高い第2不純物濃度を有し、ショットキ電極を
その厚み方向に貫く延長線上であって、第2半導体層の
内部に配置されたp型の半導体部と、ショットキ電極に
電気的に接続され、密閉容器を貫通する第1接続ピン
と、半導体基板またはp型第1半導体層に電気的に接続
され、密閉容器を貫通する第2接続ピンとを備え、陽極
は、この陽極に電気的に接続され、密閉容器を貫通する
第3接続ピンを備え、前記半導体部は、電子が前記半導
体部間の領域を通過するように設けられていることとし
た。
【0009】この半導体光電陰極装置は、半導体光電陰
極と陽極との間に配置された電子増倍器を含むこととし
てもよく、また、陽極は、蛍光物質を含む部材からなる
こととしてもよい。電子増倍器は、ダイノードなどから
構成されるものであり、半導体光電陰極から出力された
電子を増倍して陽極に入力する。この陽極が蛍光物質を
含む部材を含んでいる場合には、半導体光電陰極に入力
された光をこの蛍光物質に照射することにより、入射し
た光を蛍光に変換して半導体光電陰極装置から出力する
ことができる。
【0010】
【作用】本発明の半導体光電陰極は、まず、光や電磁波
がp型の第1半導体層に入射することによって、第1半
導体層では正孔電子対が発生する。このとき電子は伝導
帯のガンマ谷の下限のエネルギー準位(第1エネルギー
準位)に励起されている。そして、ショットキ電極には
第1半導体層よりも高い電位が与えられるので、これに
より発生した電界に力を受けて発生した電子はショット
キ電極方向へ走行する。第2半導体層は、第1半導体層
よりもその濃度が低い場合には、第2半導体層内には、
第1半導体層よりも広い範囲に空間電荷領域が発生す
る。この空間電荷領域には電界が生じており、走行中の
電子はエネルギーを受け取って伝導帯中のガンマ谷の下
限のエネルギー準位(第1エネルギー準位)よりもさら
に上の衛星谷(LまたはX)またはガンマ谷のより高い
エネルギー準位(第2エネルギー準位)に励起されてシ
ョットキ電極方向に走行する。
【0011】一方、第2半導体層の内部または表面に
は、ショットキ電極をその厚み方向に貫く延長線上に第
1不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する半導体部が
配置されているので、この半導体部の存在に起因して発
生するポテンシャル障壁により、走行中の電子の軌道は
曲げられて、電子はショットキ電極の開口方向へ走行す
る。ショットキ電極の開口内または開口を貫く軸の延長
線上には第3半導体層が形成されているので、電子はこ
の第3半導体層内に導入される。第3半導体層は、p型
第2半導体層の仕事関数よりも小さな仕事関数を有して
おり、電子は第3半導体層から容易に真空中へ放出され
る。この第3半導体層は、仕事関数が低いアルカリ金属
を主成分とする化合物半導体などで作られる。すなわ
ち、第3半導体層の材料としては、Cs−O、Cs−
I、Cs−Te、Sb−Cs、Sb−Rb−Cs,Sb
−K−Cs、Sb−Na−K、Sb−Na−K−Cs、
Ag−O−Csなどの組み合わせが列挙される。
【0012】また、この半導体部は環状の部分を有して
おり、この環状の部分内の面積は、ショトキ電極の開口
内の面積よりも小さいこととすれば、電子は半導体部に
よって効率よく開口方向へ集束される。さらに、このよ
うな環状の部分が複合してメッシュ形状を構成すること
とすれば、第3半導体層の表面から高い均一性で電子を
放出することができる。
【0013】また、このような半導体光電陰極と陽極と
を密閉容器内に配置して形成した半導体光電陰極装置
は、第1接続ピンと第2接続ピンとの間に第1接続ピン
の電位が第2接続ピンの電位よりも高くなるように電圧
を印加するとともに、第2接続ピンと第3接続ピンとの
間に第3接続ピンの電位が第1接続ピンの電位よりも高
くなるように電圧を印加して使用する。この状態で前述
の半導体光電陰極から放出された電子は陽極で収集され
る。したがって、この陽極に接続された第3接続ピンか
ら入射した光または電磁波に対応した電流を取り出すこ
とができる。なお、この半導体光電陰極と陽極との間
に、半導体光電陰極から放出された電子を増倍するため
のダイノードやマイクロチャンネルプレート(MCP)
をさらに配置することとしてもよい。
【0014】また、このような半導体光電陰極装置にお
いて、p型第1半導体層は、このp型第1半導体層と半
導体基板との界面近傍に、p型第1半導体層内のp型第
2半導体層側の領域のエネルギーバンドギャップと半導
体基板のエネルギーバンドギャップとの中間の広さのエ
ネルギーバンドギャップを有する第2グレーデッド層を
有することとすれば、半導体基板とp型第1半導体層と
の界面の結晶性を良好に保持してリーク電流や再結合電
流を減少させることができる。
【0015】また、p型第2半導体層は、このp型第2
半導体層とp型第1半導体層との界面近傍に、p型第2
半導体層内の第3半導体層側の領域のエネルギーバンド
ギャップと第1半導体層のエネルギーバンドギャップと
の中間の広さのエネルギーバンドギャップを有する第1
グレーデッド層を有することとしてもp型第2半導体層
とp型第1半導体層との界面の結晶性を良好に保持して
リーク電流や再結合電流を減少させることができる。ま
た、半導体部は、ストライプ状に配置された半導体部分
を含むこととしてもよい。これらの半導体部は、互いに
交差する第1半導体部分(60a)と第2半導体部分
(60d)とを備えることとしてもよい。
【0016】
【実施例】以下、本発明に係る半導体光電陰極の一実施
例について添付図面を用いて説明する。なお、同一要素
には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略す
る。
【0017】図1は、第1実施例に係る半導体光電陰極
の斜視図である。
【0018】本実施例の半導体光電陰極CTは、まず、
半導体基板10上に光の入射に応答して電子を発生する
p型の第1半導体層20(光吸収層)が形成されてい
る。p型の第1半導体層20上には、第1半導体層20
よりも低い不純物濃度(第1不純物濃度)を有するp型
第2半導体層30(電子移送層)が形成されている。そ
して、第2半導体層30の表面を覆うように開口を有す
る網目状であって格子状のショットキ電極50が形成さ
れている。ショットキ電極50は、第2半導体層30と
ショットキ接触をなしている。
【0019】また、第2半導体層30の表面であって、
ショットキ電極50の開口内には第3半導体層40(活
性層)が形成されている。この第3半導体層40は、第
2半導体層30の仕事関数より小さな仕事関数を有して
いる。第2半導体層30の内部には、第1不純物濃度以
上の不純物濃度を有する第2不純物濃度のp型の半導体
部60(チャネル格子)が埋設されている。そして、半
導体部60は、ショットキ電極50をその厚み方向に貫
く延長線上に設置されている。
【0020】また、この半導体部60は格子形状(メッ
シュ形状)を有しており、この格子形状の1つの格子の
目で規定される環状の部分内の面積は、ショトキ電極5
0の開口内の面積よりも小さい。これにより、電子は半
導体部60によって効率よく開口方向へ曲げられ、ま
た、この電子は半導体部60が格子形状であるので、第
3半導体層の表面から高い均一性で放出されることにな
る。なお、第1半導体層20にはオーミック電極70が
設置されている。
【0021】本実施例においては、これらの半導体層の
構成材料や層厚は以下のように設定される。
【0022】半導体基板10は(100)p型InP半
導体基板であり、p型第1半導体層20は半導体基板1
0にエピタキシャル成長によって形成された不純物濃度
1×1018〜1020/cm3 のp型InGaAs半導体
である。そして、第1半導体層20の膜厚はこの層の電
子拡散長で決定される厚さ(例えば、1.5〜2.5μ
m)が適当である。p型の第2半導体層30は厚さ1.
0〜10μm、(第1)不純物濃度約1×1017/cm
3 〜1×1014/cm3 のp型InP半導体であり、半
導体部60は(第2)不純物濃度1×1018〜1020
cm3 程度のp+ のInP半導体である。第3半導体層
40は第2半導体層30の仕事関数より小さな仕事関数
を有する(Cs,O)半導体である。
【0023】また、第3半導体層の材料としては、Cs
−O、Cs−I、Cs−Te、Sb−Cs、Sb−Rb
−Cs,Sb−K−Cs、Sb−Na−K、Sb−Na
−K−Cs、Ag−O−Csなどの組み合わせが列挙さ
れる。
【0024】なお、これらの半導体層の材料は、以下の
物質も選択しうる。すなわち、[半導体基板10、p型
第1半導体層20(光吸収層)、p型第2半導体層30
(電子移送層)、半導体部60(チャネル格子)]の構
成材料の組み合わせは、各層の間で格子整合がとれるも
の同士の組み合わせが妥当であり、この格子整合は各層
の格子定数の差が±0.3%以内であることが望まし
い。したがって、このような構成材料の組み合わせの範
囲は以下の通りである。
【0025】それぞれ、半導体基板、第1半導体層、第
2半導体層、半導体部は、以下の表に示す構成材料の組
み合わせから選択しうる。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】但し、第2半導体層と半導体部とをホモ接
合とした場合には、ヘテロ接合と比較して、これらの格
子定数に違いはないのでヘテロ接合のミスフィットに起
因する再結合電流が発生することがない。
【0030】次に、この半導体光電陰極CTの動作につ
いて説明する。図2は、図1の半導体光電陰極CTを線
分A−Aに沿って切った断面図である。なお、同図に
は、第3半導体層40に対向して設置された陽極90が
示されている。同図に示すようにオーミック電極70と
ショットキ電極50との間には、ショットキ電極50が
オーミック電極70よりも高い電位になるような電圧
(例えば、3.5V)が印加されている。また、オーミ
ック電極70と陽極90との間には、陽極90が、オー
ミック電極70よりも高い電位になるような電圧(例え
ば、100V)が印加されている。なお、この半導体光
電陰極CTおよび陽極90は10-10 torr以下の環
境下に配置されている。この半導体光電陰極CTおよび
陽極90の配置される環境の圧力は、少なくとも大気圧
以下の圧力であって10-5torr以下であることが望
ましい。
【0031】このような条件下の半導体光電陰極CTに
光や電磁波が入射すると、まず、光や電磁波がp型の第
1半導体層20に入射することによって、第1半導体層
20では正孔電子対が発生する。このとき電子は伝導帯
のガンマ谷の下限のエネルギー準位(第1エネルギー準
位)に励起されている。そして、ショットキ電極50に
はp型第1半導体層よりも高い電位が与えられるので、
これにより発生した電界に力を受けて発生した電子はシ
ョットキ電極50方向へ走行する。第2半導体層30
は、第1半導体層20よりもその濃度が低いので、第2
半導体層30内には、第1半導体層20よりも強い電界
が発生する。この強い電界により走行中の電子はエネル
ギーを受け取って伝導帯中のガンマ谷の下限のエネルギ
ー準位(第1エネルギー準位)よりもさらに上の衛星谷
(LまたはX)またはガンマ谷よりも高いエネルギー準
位(第2エネルギー準位)に励起されてショットキ電極
50方向に走行する。
【0032】ここで、第2半導体層30の内部には、シ
ョットキ電極50をその厚み方向に貫く延長線上に第3
不純物濃度の半導体部60が埋設されているので、この
半導体部60の存在に起因して発生するポテンシャル障
壁により、走行中の電子の軌道は曲げられて、電子はシ
ョットキ電極50の開口方向へ走行する。ショットキ電
極50の開口内には第3半導体層40が形成されている
ので、電子はこの第3半導体層40内に導入される。第
3半導体層40は、p型第2半導体層30の仕事関数よ
り小さな仕事関数を有しており、電子は第3半導体層4
0から容易に真空中へ放出される。放出された電子は、
陽極90方向に力を受けて、陽極90方向に進行する。
【0033】次に、この半導体光電陰極CTにおける電
子の走行について、エネルギーバンド図を用いて説明す
る。
【0034】図3(a)は、図1の半導体光電陰極CT
の線分A−Aおよび線分B−Bを含む部分を抜き出して
示した平面図である。また、同図(b)および(c)
は、それぞれ、同図(a)の線分A−A断面および線分
B−B断面における半導体光電陰極CTのエネルギーバ
ンド図である。なお、同図(b)および(c)は、半導
体光電陰極CTにバイアスを印加しない場合のエネルギ
ーバンド図である。
【0035】同図から明らかなように、半導体部60
は、第2半導体層30よりも高い不純物濃度を有してい
るので、半導体部60の伝導帯の下端のエネルギー準位
はp型の第2半導体層よりも正の方向へシフトしており
(ポテンシャルは負の方向へシフトしている)、半導体
光電陰極CT内部には、励起された電子がショットキ電
極50方向に進行しにくいポテンシャル障壁が形成され
ている。
【0036】次にこの半導体光電陰極CTにバイアスを
印加した場合の電子の振る舞いを図4を用いて説明す
る。
【0037】図4(a)は、図1の半導体光電陰極CT
の線分A−Aおよび線分B−Bを含む部分を抜き出して
示した平面図である。また、同図(b)および(c)
は、それぞれ、同図(a)の線分A−A断面および線分
B−B断面における半導体光電陰極CTのエネルギーバ
ンド図である。なお、図5は、図4に示した電子の挙動
をさらに分かりやすく説明するための説明図である。
【0038】図4(c)から明らかなように、バイアス
を印加した場合においても半導体部60は、第2半導体
層30よりも高い不純物濃度を有しているので、励起さ
れた電子がショットキ電極50方向に進行しにくいポテ
ンシャル障壁として機能する。このようなポテンシャル
障壁により、第2半導体層30中を走行する電子は、そ
の軌道を変化させられて半導体部60を避けて第3半導
体層40方向に進行する。
【0039】ショットキ電極50にバイアスが印加され
ると、電子E1は、その進行方向が第2半導体層30上
のショットキ電極50の形成されていない領域に形成さ
れた第3半導体層40方向に曲げられる。すなわち、電
子E1は半導体部60とこの半導体部60に隣接した半
導体部60との間の領域Rを通過するので、線分A−A
断面上を通過する電子流の密度は増加することになる
(図5参照)。この半導体層60によって挟まれた領域
Rを通過する際には、図4(b)のように、伝導帯Ec
のガンマ谷の下限のエネルギー準位に励起された状態で
第2半導体層30内を進行する電子E1は、第2半導体
層30内に発生させられた電界により加速されてエネル
ギーを得、このエネルギー準位よりもさらに高いエネル
ギー準位の衛星谷(LまたはX谷)またはガンマ谷のよ
り高いエネルギー準位に励起されている。電子が、半導
体層60で挟まれた領域Rを通過後、第3半導体層40
に進入するまでの間には、発散する方向の力が電子に働
くが、この間の距離を例えば0.5〜2.0μmとし、
また、半導体層60とショットキ電極50の幅を、半導
体層60の幅≧ショットキ電極50の幅となるように設
定すれば、現実的に半導体基板10、第1半導体層20
および第2半導体層30において発生した電子E1のほ
とんどは、ショットキ電極50に吸収されることなく第
3半導体層40に進入する。第3半導体層40の仕事関
数は第2半導体層30よりも小さく、図4(b)および
図5に示すように電子E1は効率よく真空中に放出され
る。
【0040】図6は、図1に示した半導体光電陰極CT
が密閉容器内に収納された半導体光電陰極装置を一部破
断して示す斜視図である。
【0041】本半導体光電陰極装置は、大気圧よりも低
い圧力(10-5torr以下であって望ましくは10
-10 torr以下の圧力)の環境を内部に提供する密閉
容器内に配置された半導体光電陰極と陽極とを備えてい
る。半導体光電陰極CTは、これに電気的に接続された
第1接続ピン1および第2接続ピン2を有しており、陽
極90はこれに電気的に接続された第3接続ピン90a
を有している。第1接続ピン1、第2接続ピン2および
第3接続ピン90aは密閉容器100を貫通している。
なお、半導体光電陰極CTの陽極90側には光や電磁波
が入射される入射窓110が配置されている。入射窓1
10は、容器100に接着することとしてもよい。
【0042】このような半導体光電陰極CTと陽極90
とを密閉容器100内に配置して形成した半導体光電陰
極装置は、第1接続ピン1と第2接続ピン2との間に第
1接続ピン1の電位が第2接続ピン2の電位よりも高く
なるように電圧を印加するとともに、第2接続ピン2と
第3接続ピン90aとの間に第3接続ピン90aの電位
が第1接続ピン1の電位よりも高くなるように電圧を印
加して使用する。なお、図1に示した半導体光電陰極C
Tを参照すれば、ショットキ電極50およびオーミック
電極70は、それぞれ金などの金属50aおよび金属7
0aを介して第1接続ピン1および第2接続ピン2に接
続されており、陽極90は、これに接続された第3接続
ピン90aを備えている。
【0043】次に、図1に示した半導体光電陰極CTの
製造方法について説明する。
【0044】図7は、図1に示した半導体光電陰極CT
の製造方法を半導体光電陰極CTの断面構成を用いて説
明するための説明図である。
【0045】まず、半導体基板10を用意する。そし
て、この半導体基板上に、第1半導体層20、第2半導
体30a、半導体層60aおよびレジスト層200aを
順次積層する(図7(a))。各半導体層の積層には、
MBE(分子線エピタキシャル成長)法、MOCVD
(有機金属気相成長)法などのエピタキシャル成長法を
用いる。
【0046】その後、レジスト層200aを表面から半
導体層60aに到達するまでエッチンッグしてメッシュ
状のレジスト200を形成した(図7(b))。次に、
このレジスト200をマスクとして半導体層60aにp
型不純物となるイオンをイオン注入してメッシュ状の半
導体部60を形成した(図7(c))。しかる後、第2
半導体30aおよび半導体部60の表面を覆うように第
2半導体30aを構成する材料をこれらの第2半導体3
0aおよび半導体部60上に堆積して第2半導体層30
を形成した(図7(d))。さらに、第2半導体層30
上に図1のような配置になるようにショットキ電極50
を形成した(図7(e))。次に、大気よりも低圧の環
境下でこれを加熱して第2半導体層30を清浄化した
後,これらショットキ電極50および第2半導体層30
を覆うように第3半導体層40を堆積して図1に示した
半導体光電陰極を得た(図7(f))。なお、本実施例
では、半導体基板10、第1半導体層20および第2半
導体層30としてそれぞれInP,InGaPおよびI
nPを用い、厚さ200nmのレジスト膜200を用い
た。
【0047】第1半導体層20の不純物濃度(キャリア
濃度)はp+ (1×1018〜1×1019/cm3 )であ
る。この第1半導体層20の厚さは1.5〜2.5μm
が適当である。第2半導体層30の不純物濃度(キャリ
ア濃度)はp- (1×1017/cm3 以下)である。こ
の第2半導体層30の厚さは1.0〜10μmが適当で
ある。半導体部60の不純物濃度(キャリア濃度)はp
+ (1×1018〜1×1020/cm3 )である。この半
導体部60の厚さは1.0〜2.0μmが適当である。
また、ショットキ電極50は、Alなどの金属を用いた
真空蒸着法により第2半導体層30上に堆積することが
できる。また、本製造方法では、第3半導体層40をC
2 Oとし、Cs2 OはCs(セシウム)とO(酸素)
の交互蒸着またはこれらの材料を含む原料ガスを交互供
給することにより形成した。
【0048】なお、図1に示した半導体光電陰極CTの
p型の第1半導体層20は、図8に示すように、このp
型第1半導体層20と半導体基板10との界面近傍に、
p型第1半導体層20内のp型第2半導体層30側の第
1領域20aのエネルギーバンドギャップと半導体基板
10のエネルギーバンドギャップとの中間の広さのエネ
ルギーバンドギャップを有する第2グレーデッド層20
bを有することとしても良い。これにより、本半導体光
電陰極CT1において、半導体基板10とp型第1半導
体層20との界面の結晶性を良好に保持してリーク電流
や再結合電流を減少させることができる。また、ポテン
シャル障壁で光電子が反跳されて、効率よく第2半導体
層30に導かれる。
【0049】また、p型第2半導体層30は、このp型
第2半導体層30とp型第1半導体層20との界面近傍
に、p型第2半導体層30内の第3半導体層40側の第
2領域30aのエネルギーバンドギャップと第1半導体
層20のエネルギーバンドギャップとの中間の広さのエ
ネルギーバンドギャップを有する第1グレーデッド層3
0bを有することとしても第2半導体層30と第1半導
体層20との界面の結晶性を良好に保持してリーク電流
や再結合電流を減少させることができる。
【0050】すなわち、この第2グレーデッド層20b
は、第1領域20aの格子定数と半導体基板10の格子
定数との中間の格子定数を有し、第1グレーデッド層3
0bは、第2領域30aの格子定数と第1領域20aの
格子定数との中間の格子定数を有している。
【0051】また、図1に示した半導体光電陰極CTで
は、オーミック電極70を第1半導体層に設けたが、こ
れは、図9に示すように半導体基板70の裏面に設置さ
れることとしてもよい。このように、オーミック電極7
0が半導体基板70に設置されることとすれば、図1に
示した半導体光電陰極CTと比較してオーミック電極7
0を容易にこの半導体基板70に設置することができ
る。なお、本半導体光電陰極CT2も図8に示した半導
体光電陰極CT1と同様に第2グレーデッド層20bお
よび第1グレーデッド層30bを設けることとしてもよ
い。
【0052】なお、以上の図1、図8および図9を用い
て説明された半導体光電陰極(CT、CT1およびCT
2)は、図6に示した密閉容器100内に設置すること
ができる。
【0053】次に、半導体光電陰極の他の実施例につい
て説明する。
【0054】図10(a)は、本実施例に係る半導体光
電陰極の平面図であり、図10(b)は、図10(a)
のA−A´線分に沿って切った半導体光電陰極の断面図
であり、図10(c)は、図10(b)のB−B´線分
に沿って切った半導体光電陰極の断面図である。
【0055】この半導体光電陰極は、半導体基板31
0、半導体基板310上に形成された第1半導体層32
0、第1半導体層320上に形成された第2半導体層3
30、第2半導体層330上に形成された第3半導体層
(活性層)340、第2半導体層330内に埋設された
半導体部360、第2半導体層330上に形成されたシ
ョットキ電極350を備えている。詳説すれば、半導体
基板310上には、光の入射に応答して電子を発生する
p型の第1半導体層320(光吸収層)が形成されてい
る。この第1半導体層320は、第1不純物濃度を有し
ている。この第1半導体層320上には、第1不純物濃
度よりも低い不純物濃度を有する第2不純物濃度のp型
の第2半導体層330(電子移送層)が形成されてい
る。そして、第2半導体層330の表面を覆うようなス
トライプ状(櫛型状)のショットキ電極350が形成さ
れている。すなわち、ショットキ電極350は、ストラ
イプ状の半導体部分を含んでいる。ショットキ電極35
0は、第2半導体層330とショットキ接触をなしてい
る。
【0056】第2半導体層330の表面であって、スト
ライプ(縞)状のショットキ電極350の隙間には第3
半導体層340(活性層)が形成されている。この第3
半導体層340は、第2半導体層330の仕事関数より
小さな仕事関数を有している。第2半導体層330の内
部には、第2不純物濃度程度もしくはこれ以上の不純物
濃度を有する第3不純物濃度の半導体部360(チャネ
ル格子)が埋設されている。半導体部360は、ショッ
トキ電極350をその厚み方向に貫く延長線上に設置さ
れている。本実施例の半導体部360は、ストライプ形
状を有している。この半導体光電陰極に光が入射するこ
とによって、半導体光電陰極内において発生した電子
は、半導体光電陰極内の電界によって第1半導体層32
0から活性層340方向に走行する。第2半導体層33
0内には、櫛形の半導体部360が埋設されているの
で、この電子は半導体部360によって効率よくストラ
イプ350の隙間方向へ曲げらる。ストライプ350の
隙間には活性層340が配置されているので、この電子
が第3半導体層340の表面から高い均一性で放出され
ることになる。なお、半導体基板310にはこの基板3
10にバイアスを印加するためのオーミック電極370
が設置されている。
【0057】次に、本発明の他の実施例について説明す
る。図11は、実施例に係る半導体光電陰極を一部破断
して示す斜示図である。この半導体光電陰極は、図1に
示したショットキ電極50をショットキ電極50a,5
0b…に分割したものである。ショットキ電極50aと
ショットキ電極50bとは電気的に絶縁されているの
で、電極50aにはショットキ電極50bと独立した電
位を印加することができる。なお、他の要素(10,2
0,30,40,60,70)の構成材料および不純物
濃度は、図1に示した要素と同じである。
【0058】次に、本発明の他の実施例について説明す
る。図12は、この実施例にかかる半導体光電陰極を一
部破断して示す斜示図である。図13(a)は、図12
に示した半導体光電陰極の平面図であり、図13(b)
は、図13(a)の半導体光電陰極を線分A−A´に沿
って切った半導体光電陰極の断面図である。なお、図1
3(a)は、この半導体光電陰極の構造を分かりやすく
説明するため、図13(b)に示される活性層40が省
略されて描かれている。この半導体光電陰極は、図11
に示したショットキ電極50a,50bに夫々リード電
極50a´,50b´を接続したものである。リード電
極50a´の終端部分は、ショットキ電極50aに電位
を与えるための端子を構成しており、リード電極50b
´の終端部分は、ショットキ電極50bに電位を与える
ための端子を構成している。電極50aおよび電極50
bと電極50cおよび電50極dとの間にリード電極が
配置されており、このリード電極50a´または50b
´が活性層40から放出された電子の通過を邪魔するこ
とがない。なお、他の要素(10,20,30,40,
60,70)の構成材料および不純物濃度は、図1に示
した要素と同じである。
【0059】次に、図12および図13に示した半導体
光電陰極における電子放出の制御について説明する。以
下では、光が半導体光電陰極に入射することにより電子
を半導体光電陰極内に蓄積する「蓄積モード」、この電
子を放出する「放出モード」について説明する。
【0060】(蓄積モード)図14(a)は、図12お
よび図13に示した半導体光電陰極に陽極90を接続し
た半導体光電陰極装置の断面図である。同図内におい
て、電極70は、半導体基板10に取り付けられてお
り、符号901、902、501は、オーミック電極を
表している。電極70とアノード90との間には電源V
1 が接続されており、電極70の電位よりもアノード9
0の電位はV1 (ボルト)高い。電極70とショットキ
電極50c、50dとの間には電源V2 が接続されてお
り、電極70の電位よりもショットキ電極50c、50
dの電位の方がV2 (ボルト)高い。電位V2 は電位V
1 よりも低く、この電圧源V2 は可変である。なお、こ
こでは、ショットキ電極50cとショットキ電極50d
とは接続されており、これらの電極50c、50dには
共通の電位が与えられることとする。
【0061】図14(b)は、図14(a)のX−X´
を結ぶ線上の半導体光電陰極のエネルギーバンド図であ
る(V2 =0〜1ボルト)。第1半導体層20に光hν
が入射されることにより、この第1半導体層20内にお
いて発生した電子eは、第1半導体層20内部の電界に
力を受けて第2半導体層30内にはいる。図14(a)
の一点鎖線より上(図面の上)の領域は、半導体部60
と第2半導体層30との濃度差により形成された空乏領
域である。したがって、第1半導体層20から活性層4
0方向への電子の通り道は、この空房領域によりカット
される(ピンチオフ状態)。
【0062】図14(c)は、図14(a)のY−Y´
を結ぶ線上の半導体光電陰極のエネルギーバンド図であ
る(V2 =0〜1ボルト)。図14(b)および図14
(c)に示すように、第1半導体層10内において発生
した電子eは、第2半導体層30内に蓄積される。
【0063】(放出モード)図14(d)は、図14
(a)のX−X´を結ぶ線上の半導体光電陰極のエネル
ギーバンド図である(V2 =2〜数10ボルト)。この
ように、第2半導体層30内に蓄積された電子eは、シ
ョットキ電極50cと電極70との間に2〜数10ボル
トの電圧を加えることにより、半導体光電陰極から放出
される。
【0064】図15は、図12に示した半導体光電陰極
を用いた半導体光電陰極装置の断面図である。遮光材料
から構成される筒状の外側ケースCA1の内壁には、透
明材料から構成される密閉容器(内側ケース)CA2が
嵌まっている。外側ケースCA1の開口付近には、レン
ズL1が固定されている。半導体光電陰極装置の外側か
らこの半導体光電陰極装置内に入力された光は、レンズ
L1で集光されて、密閉容器CA2内に配置された半導
体光電陰極CT5上に像を結ぶ。半導体光電陰極CTの
電極70とリード電極50cとの間には電圧源V2 が接
続されている。また、密閉容器CA2内には、入射した
電子に感応する2次元イメージセンサIM配置されてい
る。2次元イメージセンサIMは、このイメージセンサ
IMの表面から入力された電子をリード線RE4から取
り出す装置である。イメージセンサIMは、入射して電
子に感応する層IM2と層IM2の裏面に設けられたバ
ックコンタクトIM1とを備えており、バックコンタク
トIM1にはリードRE2が接続されている。リードR
E2とリードRE1との間には、電圧源V1 が接続され
ており、リードRE1には電極70が接続されているの
で、半導体光電陰極CT5から出射された電子はアノー
ドIM方向に進行する。なお、密閉容器内の圧力は、大
気圧よりも低い圧力であり、10-5torr以下の圧力
であって、10-10 torr以下の圧力であることが望
ましい。したがって、図面の左側から半導体光電陰極装
置(微弱光検出管)に入力された光は、電気信号として
検出することができる。なお、カソードCT5とアノー
ドIMとの間には、マイクロチャンネルプレートを配置
することとしてもよい。
【0065】以上、説明したように、本発明に係る半導
体光電陰極は、光を検出する機器に適用することができ
る。上記では半導体光電陰極を用いたイメージ管につい
て説明したが、これは、電子増倍管やストリークカメラ
にも適用することが可能である。すなわち、半導体光電
陰極を利用した装置は、マイクロチャンネルプレート
(MCP)やダイノードあるいは二次電子増倍部をアノ
ードとカソードとの間に設けることとしてもよく、電子
の軌道を偏向する偏向電極をアノードとカソードとの間
に設けることとしてもよい。さらには、アノードには蛍
光塗料を塗布した蛍光部材を用いることとしてもよく、
蛍光材料を含んだ蛍光板を用いることとしてもよい。
【0066】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、第2半導
体層の内部または表面には、半導体部が配置されている
ので、電子はショットキ電極の開口方向へ走行する。シ
ョットキ電極の開口内または開口を貫く軸の延長線上に
は第3半導体層が形成されているので、電子はこの第3
半導体層内に導入される。このように電子はショットキ
電極をさけて第3半導体層から真空中へ放出されるので
ショットキ電極でこの電子が吸収される割合が減少す
る。したがって、入射した光のエネルギーに対して陽極
で収集される電子の量が増加し、このような半導体光電
陰極を用いた半導体光電陰極は高い検出感度を保持する
ことができる。また、半導体部を配置することで、開口
率100%で構造上の画素分離が不要となり、また、信
号の変調を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る半導体光電陰極の斜視図であ
る。
【図2】図2は、図1の半導体光電陰極CTを線分A−
Aに沿って切った断面図である。
【図3】図1の半導体光電陰極CTの線分A−Aおよび
線分B−Bを含む部分を抜き出して示した平面図
(a)、同図(a)の線分A−A断面における半導体光
電陰極CTのエネルギーバンド図(b)および線分B−
B断面における半導体光電陰極CTのエネルギーバンド
図(c)である。なお、同図(b)および(c)は、半
導体光電陰極CTにバイアスを印加しない場合のエネル
ギーバンド図である。
【図4】図1の半導体光電陰極CTの線分A−Aおよび
線分B−Bを含む部分を抜き出して示した平面図
(a)、同図(a)の線A−A断面における半導体光電
陰極CTのエネルギーバンド図(b)および線分B−B
断面における半導体光電陰極CTのエネルギーバンド図
(c)である。なお、同図(b)および(c)は、半導
体光電陰極CTにバイアスを印加した場合のエネルギー
バンド図である。
【図5】図5は、図4に示した電子の挙動をさらに分か
りやすく説明するための説明図である。
【図6】図1に示した半導体光電陰極CTが密閉容器内
に収納された半導体光電陰極装置を一部破断して示す斜
視図である。
【図7】図1に示した半導体光電陰極CTの製造方法を
半導体光電陰極CTの断面構成を用いて説明するための
説明図である。
【図8】第1実施例に係る半導体光電陰極の他の構成を
厚み方向に切った断面を用いて示す断面図である。
【図9】第1実施例に係る半導体光電陰極の他の構成を
厚み方向に切った断面を用いて示す断面図である。
【図10】一実施例の半導体光電陰極の平面図(a)、
同図(a)中の線分A−A´に沿って切った断面図
(b)、同図(b)中の線分B−B´に沿って切った断
面図である。
【図11】一実施例の半導体光電陰極を一部破断して示
す斜示図である。
【図12】一実施例の半導体光電陰極を一部破断して示
す斜示図である。
【図13】図12に示した半導体光電陰極の平面図
(a)、同図(a)の線分A−A´に沿って切った断面
図(b)である。
【図14】半導体光電陰極および陽極の断面図(a)、
同図(a)中の線分X−X´に沿ったエネルギーバンド
図(b)、同図(a)中の線分Y−Y´に沿ったエネル
ギーバンド図(電子蓄積時)(c)、同図(a)中の線
分Y−Y´に沿ったエネルギーバンド図(電子放出時)
(d)である。
【図15】半導体光電陰極CT5を実装した半導体光電
陰極装置の断面図である。
【符号の説明】
10…半導体基板、20…第1半導体層、30…第2半
導体層、40…第3半導体層、50…ショットキ電極、
60…半導体部、70…オーミック電極、90…陽極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 1/34 H01J 1/35 H01J 1/308 H01J 1/78 H01J 29/38 H01J 40/06

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入射される光に感応して発生した電子を
    外部から電圧を印加することにより加速して放出する半
    導体光電陰極において、 p型の第1半導体層と、 第1不純物濃度を有して前記第1半導体層上に形成され
    たp型の第2半導体層と、 開口を有し、前記第2半導体層とショットキ接触を成し
    て前記第2半導体層の表面を覆うように形成されたショ
    ットキ電極と、 前記第2半導体層の仕事関数より小さな仕事関数を有
    し、前記ショットキ電極の開口内に形成された第3半導
    体層と、 前記第1不純物濃度よりも高い第2不純物濃度を有し、
    前記ショットキ電極をその厚み方向に貫く延長線上であ
    って、前記第2半導体層の内部に配置されたp型の半導
    体部と、を備え、前記半導体部は、電子が前記半導体部間の領域を通過す
    るように設けられていることを特徴とする 半導体光電陰
    極。
  2. 【請求項2】 前記半導体部は環状の部分を有してお
    り、この環状の部分内の面積は、前記ショトキ電極の前
    記開口内の面積よりも小さいことを特徴とする請求項1
    に記載の半導体光電陰極。
  3. 【請求項3】 前記半導体部はメッシュ形状を有してい
    ることを特徴とする請求項2に記載の半導体光電陰極。
  4. 【請求項4】 前記第2半導体層は、この第2半導体層
    と前記第1半導体層との界面近傍に、前記第2半導体層
    内の前記第3半導体層側の領域のエネルギーバンドギャ
    ップと前記第1半導体層のエネルギーバンドギャップと
    の中間の広さのエネルギーバンドギャップを有する第1
    グレーデッド層を有することを特徴とする請求項1に記
    載の半導体光電陰極。
  5. 【請求項5】 前記半導体部は、ストライプ状に配置さ
    れた半導体部分を含むことを特徴とする請求項1に記載
    の半導体光電陰極。
  6. 【請求項6】 大気圧よりも低い圧力の環境を内部に提
    供する密閉容器内に配置された半導体光電陰極と陽極と
    を備える半導体光電陰極装置において、 前記半導体光電陰極は、 半導体基板と、 第1不純物濃度を有して前記半導体基板上に形成された
    p型の第1半導体層と、 前記第1半導体層上に形成されたp型の第2半導体層
    と、 開口を有し、前記第2半導体層とショットキ接触を成し
    て前記第2半導体層の表面を覆うように形成されたショ
    ットキ電極と、 前記第2半導体層の仕事関数より小さな仕事関数を有
    し、前記ショットキ電極の開口内に形成された第3半導
    体層と、 前記第1不純物濃度よりも高い第2不純物濃度を有し、
    前記ショットキ電極をその厚み方向に貫く延長線上であ
    って、前記第2半導体層の内部に配置されたp型の半導
    体部と、 前記ショットキ電極に電気的に接続され、前記密閉容器
    を貫通する第1接続ピンと、 前記半導体基板または前記p型第1半導体層に電気的に
    接続され、前記密閉容器を貫通する第2接続ピンと、を
    備え、 前記陽極は、 この陽極に電気的に接続され、前記密閉容器を貫通する
    第3接続ピンを備え、前記半導体部は、電子が前記半導体部間の領域を通過す
    るように設けられていることを特徴とする 半導体光電陰
    極装置。
  7. 【請求項7】 前記第1半導体層は、 この第1半導体層と前記半導体基板との界面近傍に、前
    記第1半導体層内の前記第2半導体層側の領域のエネル
    ギーバンドギャップと前記半導体基板のエネルギーバン
    ドギャップとの中間の広さのエネルギーバンドギャップ
    を有する第2グレーデッド層を有することを特徴とする
    請求項6に記載の半導体光電陰極装置。
  8. 【請求項8】 前記半導体光電陰極装置は、前記半導体
    光電陰極と前記陽極との間に配置された電子増倍器を含
    むことを特徴とする請求項6に記載の半導体光電陰極装
    置。
  9. 【請求項9】 前記陽極は、蛍光物質を含む部材を含む
    ことを特徴とする請求項6に記載の半導体光電陰極装
    置。
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