JP3078903B2 - 電子増倍半導体デバイスおよびこれを用いた複合デバイス - Google Patents

電子増倍半導体デバイスおよびこれを用いた複合デバイス

Info

Publication number
JP3078903B2
JP3078903B2 JP03318043A JP31804391A JP3078903B2 JP 3078903 B2 JP3078903 B2 JP 3078903B2 JP 03318043 A JP03318043 A JP 03318043A JP 31804391 A JP31804391 A JP 31804391A JP 3078903 B2 JP3078903 B2 JP 3078903B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron multiplying
electron
semiconductor device
semiconductor
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP03318043A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05152588A (ja
Inventor
宜彦 水島
徹 廣畑
和利 中嶋
智子 鈴木
孝 飯田
禎久 藁科
賢一 杉本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hamamatsu Photonics KK
Original Assignee
Hamamatsu Photonics KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hamamatsu Photonics KK filed Critical Hamamatsu Photonics KK
Publication of JPH05152588A publication Critical patent/JPH05152588A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3078903B2 publication Critical patent/JP3078903B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内部電子増倍機能を有す
る電子増倍半導体デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】本願で基本的材料として用いられている
高抵抗半導体例えばGaAsは、300kV/cm以上
の電界を印加すれば、アバランシ効果により内部電子増
倍が生じる事は知られている。しかし、本願はそれより
遥か低電界領域で全く異なる電子増倍を生じさせたもの
であり、従来の半導体の概念とは全く相容れないもの
で、いわば今までに無い半導体を新規に作成した、と言
える状況にある。この現象は、本願発明者独自の研究に
より発見されたものである。本願は、この全く新しく形
成される増倍機能を有する半導体そのものに関するもの
である為に直接関係する先行技術はない。又、この新し
い半導体を用いて構成される内部電子増倍機能を有する
デバイスに関しては、従来の半導体概念を用いて構成さ
れる電子増倍デバイスを先行技術として挙げる事ができ
る。
【0003】従来の半導体電子増倍機能を有した素子に
於ては、増倍はアバランシダイオードの様に、電子エネ
ルギーにより半導体内でイオン化を生じさせ新たなキャ
リアを発生する事で増倍を行なうものや、バイポーラト
ランジスタなどの様に、3極構造を有しpn接合技術を
利用したもの等が有る。又、増倍される電子が光電子で
有る事に限れば、光導電利得等も利用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の内部電子増倍法
のうち、アバランシによる方法は300kV/cmとい
った極めて高い電界強度を得る必要が有り、そのため薄
いアバランシ層を作り込まなくてはならない。最近で
は、エピタキシャル技術の向上により比較的薄い層の制
御性も向上したが、簡単に得られる手法とは言い難い。
【0005】トランジスタはその増倍原理から、必ず複
数個のpn接合を有する事が必用であり、キャリアの拡
散長(概ね数μm)以下のベース層を形成する必要が有
る。その為に接合技術及び微細加工技術を要する。
【0006】又、光導電性物質は暗電流量が多くなる事
は避けられず、信号/雑音比は良くない。
【0007】本発明は、容易な条件設定により、内部電
子増倍という機能を持った全く新しい半導体を実現させ
ることを目的としたものであり、また、その半導体を利
用した内部電子増倍機能を有する複合電子デバイスを提
供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に於ける電子増倍
は、上述した既成のアバランシ効果やトランジスタとは
全く別の機構による増倍を行なうものであり、その実現
手段も極めて簡単なものである。すなわち、本発明に於
ける増倍は、これら従来のものとは全く別の機構で動作
し、基本的には半導体に一対の電極を付け2.5kV/
cm以下の電界を印加するだけで良く、しかも電極間の
長さも、例えば400μmと桁違いに厚くても内部電子
増倍が行えるものである。
【0009】その為に、従来の微細加工における諸問題
が解決されるばかりではなく、様々なデバイスに容易に
応用することが出来る特徴が有る。又、増倍される電子
は特に限定されない為に、外部から注入された電子や光
電子の電子増倍に利用できるばかりでなく、この素子自
身で発生した光電子を増倍させる事ができる等、今まで
にない特徴を有するものである。更にはブロッキングコ
ンタクトを用いる事ができる為に、光検出に応用した場
合には雑音の少ない検出器を形成する事ができる。この
様に、本願の電子増倍は、ある特定のデバイス或いは特
定の構造を要求するものではなく、基本的な要件さえ満
たせば、どの様な使い方も許されるいわば新しい材料を
設計したと言えるものである。
【0010】
【作用】本発明者の研究により、半絶縁性のIII−V
族半導体たとえば半絶縁性GaAsに2.5kV/cm
以下の電界印加で流れる電子の散乱緩和時間が極めて長
くなる状況が実現でき、更にこの状況に於て、高抵抗半
導体は増倍機能を持つ事が分った。他にこの範疇に入る
物質には半絶縁性のInP,GaPなどがある。この電
子の散乱緩和時間が極めて長くなる通常の半導体では実
現されない状況で、全く新規な半導体が実現されている
と言える状況である。
【0011】先ず、増倍現象について説明する。高抵抗
の半導体、例えば、半絶縁性のGaAsに電極を形成し
電圧を印加しても、その抵抗値が極めて高い為に、電流
は殆ど流れない。しかし、電界強度として1kV/cm
程度の電界を印加した時の動作は異なる。この領域で
は、ある電界強度を境としてそれ以上の電界強度領域で
は素子を流れる電流は急増し、内部でキャリアの増倍が
生じている事を示している。この電流増倍が、よく知ら
れたアバランシ効果による増倍でないことは明らかであ
る。アバランシ効果は、100kV/cm程度以上の電
界領域で生じる効果であるのに、本発明の電流増倍は1
kV/cm程度の領域で発生するからである。なぜな
ら、増倍された電流は、電流ベクトルに対して数100
0ガウス程度の横方向磁界を印加すれば、カットオフさ
れてしまうからである。絶縁破壊やアバランシ効果につ
いてはこの様な作用はない。このローレンツ遮断磁界強
度から電子の散乱緩和時間を見積もることができ、本願
発明者の実験によれば、この値は概ね70ピコ秒であっ
た。更に明確な電子増倍の証拠は増倍される電子として
光電変換によりもたらされた光電子を増倍した例から得
られる。後述するように本願の増倍素子は、それ自身
於て光電変換を行うことができる。本願増倍素子から光
電流の量子効率を求めると容易に1を越え、電子増倍機
能があることが明らかになる。
【0012】更に電子の散乱緩和時間が極めて長くなっ
ている状況は、電子の輸送機構にとっても重要である。
即ち、電子の散乱緩和時間が長い事は、熱い電子として
の長距離走行や、電子の長い寿命を保証するものであ
り、増倍された電子は、容易に長い距離を走行する事が
できる。本願発明者の研究成果によれば、非平衡キャリ
アを400μmの長い距離を走行できる事が可能である
事が確認されている。
【0013】ここで述べた電子増倍のメカニズムは確定
されていない。しかし、増倍された電流は、横磁界印加
により容易にカットオフされることから電子の散乱緩和
時間が長くなっていることは明らかであり、その走行速
度も通常光学フォノンにより決定される飽和速度よりも
遥かに高速になっていることは容易に想像される。この
電子の散乱緩和時間が長くなった状況を実現するに必要
な電界は、概ね1kV/cm程度である。この電界強度
の上限は、この電界を印加する電極間距離にも依存する
が、更に高電界領域で生じるガン効果との区別を明確に
する為に、2.5kV/cmを本願の上限電界強度とす
る。下限については、光照射の場合には、この電界強度
が低下することが本願発明者の研究により明らかになっ
ている為に特に設定しないが、望ましくは0.5kV/
cm程度である。
【0014】また、この様に高速にまで電子を加速する
為には、kスペース上で高エネルギーまでアッパー バ
ンド(upper band)が連続である事が必要で
ある。結晶軸上でこの様な方向は<100>方向であ
り、この方向に電界を印加し電子を加速することが望ま
しい。
【0015】ここで述べた増倍に与る電子は、特に限定
されない。外部から注入された電子や光電子であっても
良い。更には、本願素子内で発生した光電子であっても
良い。この場合には、本デバイス陰極付近に入射光が照
射されるような手段を附加する事が良い。つまり、どの
様な電子でも、普遍的に電子増倍を起こす事ができる。
この内部電子増倍は、従来全く知られていなかった現象
であり、GaAs半導体に対する従来の概念では、全く
説明が付けられないものである。この事は、本願は従来
にない特徴を有する新しい半導体を発見し、その半導体
を実現する手段を規定するものであると言える。
【0016】特に、光に対する応答性については、従来
存在しなかった赤外感度が高い受光デバイスを実現でき
るので、これについて述べる。本願で新しく構成された
半導体は、GaAsのバンドギャップエネルギーに相当
する波長よりも長波長の光に対しても、光電変換を行う
事ができ、当然これにより発生した光電子も電子増倍が
行われる。本願により実現できる増倍機能を有する半導
体が、バンドギャップエネルギーよりも長波長側に光感
度を持つ機構としては、一つは、半導体に含まれる欠陥
準位や不純物準位からのキャリアの励起である。GaA
sに於ける欠陥準位として代表的なものは、EL2レベ
ルと呼ばれる準位等が有る。又、不純物準位としては、
半絶縁性GaAsの場合には酸素に起因する準位やC
r、O(酸素)等のキャリア補償の不純物等が作る準位
が有名であるが、これらに限られる事はない。界面準位
であっても良い。これら、Cr等の深い準位のドーピン
グによりキャリアを補償した物を用いても、本発明の効
果は妨げられるものでは無い事が分っている。今一つの
機構としては、陰極からの内部光電子放射効果がある。
陰極と半絶縁性半導体の界面には、その接合がショット
キー性の接合であろうと、オーミック性の接合であろう
と必ずエネルギー障壁が形成される。
【0017】これらのエネルギー障壁の高さは陰極材料
にも依るが概ねバンドギャップエネルギーの1/2ない
し2/3倍である。陰極に光が照射されると、陰極内の
電子は光励起される。この障壁よりも高いエネルギーの
光子で励起された場合には、励起された電子は、障壁を
越えて半導体中へ注入される(内部光電子放射効果)。
エネルギー障壁の高さは、エネルギーギャップが1.4
3eV(室温)のGaAsの場合には、0.7eV程度
であり、波長として1770nmが長波長側の限界波長
となる。この様に、2通りの方法によって、本素子はバ
ンドギャップエネルギーよりも小さな光子エネルギーに
対して光電子を発生することができる。これら各々の機
構自身はすでに公知であるが、本願の特徴は、電界の作
用により、電子が散乱を殆ど受けない状況が実現されて
いる為に、発生した光電子は容易に電極間を走行し、光
電流として取り出せるように改良した事にある。
【0018】光電子を効率良く半導体内部へ取り出させ
るためには、電極金属膜が薄いことが必要である。これ
には1μm以下、好ましくは0.1μm程度にすること
が良い。このように薄いときは、光が透過することがあ
るので、その背面に別の反射鏡または干渉鏡のようなも
のを設けるごとき、通常行われる手段を組み合わせるこ
ともできる。
【0019】先に述べた様に、本発明の電子増倍素子に
於ける電極の主なる働きは、素子に1kV/cm程度の
電界を印加する事に有り、従って電極材は限定されな
い。しかし、たとえば陰極からの熱的な余分の電子注入
を避けたい場合には、ショットキー性の電子ブロッキン
グ電極とすれば良い。これに適する電極材としては、シ
ョットキー性のW−Si、Ti−Pt−Au、W、A
u、AlまたP+ 層とすること等が挙げられる。
【0020】また、電極としてオ−ミック性の電極を用
いることもできる。この場合には、オ−ミック接触とは
過剰少数キャリア等を吸収しうるものを指し、具体的に
は粗面に施したAuGeNi合金などである。この場
合、媒質は半絶縁性でなければ電界を支えることができ
ない。陰極をオーミック性電極とすれば、ナダレ注入に
よる電流増倍を容易にすることができる。また、陽極を
オーミック性とすると、直前の電界を高くして電子増倍
を容易にするためには、再結合速度の大きい電極が好ま
しい。表面再結合速度を大きくする手段を附加すること
もできる。これらはオーミック性を強化する電極であ
る。
【0021】これまで述べた電子増倍素子は全て、電子
を加速する為の電極と、増倍された電子を取り出す電極
とが同一である事を特徴とするものであった。しかし、
この事は本願の本質ではない。加速する電極を別途に構
成しても良い。つまり、本願は、今までに無い電子増倍
という機能を持つ別の半導体を形成する為の手段そのも
のであり、それにより実現できる増倍機能を有する半導
体を用いた電子デバイスとしては様々なものが考案され
る。
【0022】
【実施例】次に、具体的に本発明の一実施例による内部
電子増倍機能を有する半導体の構造と、その半導体を用
いた複合電子増倍素子とについて説明する。
【0023】図1には、内部電子増倍機能を有する本実
施例による電子増倍半導体デバイスの構造の一例を示
す。本実施例の半導体を実現する為には、高抵抗のGa
As半導体(半絶縁性III −V族化合物半導体)に、1
kV/cm以上の電界が印加する手段が有れば良い。そ
こで、図1の例では高抵抗のGaAsとしてCrOドー
プの半絶縁性GaAs1-1を用い、その両面にAuGe
によるオーミック接合を有する電極1-4を半導体厚み方
向に形成したものである。この電極間に加速電源3-1
より1kV/cm以上の電界を印加し、これに横磁界に
より容易にカットオフされる電流が電極間に流れる点に
動作点を設定する。この時、半導体1-1は内部電子増倍
機能を有する半導体へと変化する。この時、素子を流れ
る電流は増倍されている状況にあり、信号電流としてこ
の電極間に流れる電流とする事により、電子増倍素子を
実現する事ができる。これが本実施例の基本的な構造を
なしている。
【0024】図2は、半絶縁性半導体1-1の半導体平面
方向つまり同一表面内に電界印加用の電極1-4を設け、
先述の例と同様に動作点を設定する事により、電極間に
内部電子増倍機能を有する半導体を実現することができ
る。この時、両電極間を流れる電流は増倍されている状
況にあり、信号電流を電極間に流れる電流とする事によ
り、電子増倍素子を実現する事ができる。
【0025】本実施例の増倍機能を有する内部電子増倍
素子の更に具体的な実施例を挙げる。図3は、電子ビー
ム源4-4から発した電子ビーム4-3により半絶縁性半導
体1-1へ電子注入を行なったものである。この例でも電
源3-1により半導体1-1中には1kV/cm程度の電界
が印加されており、半導体1-1に増倍型半導体が実現さ
れている。その為、注入された電子ビームは電子増倍さ
れ、電極1-5,1-4間には増倍電流が流れる。
【0026】図4(a)は、本実施例の電子増倍半導体
を用いて、光電子増倍素子を実現した例の構造図を示
す。光電子の発生法としては、先に述べた半導体内の価
電子帯やバンド間準位からの励起、或いは陰極からの内
部電子放射による光電子を利用する事が可能となる。半
絶縁性GaAs1-1には、陰極1-4と光入射手段として
メッシュ状に加工された陽極1-6とが設けられている。
更に電源3-1により半導体1-1中には1kV/cm程度
の電界が印加されており、ここに増倍機能を有する新半
導体が実現されている。陽極面に照射された赤外光hν
は、半導体1-1のバンドギャップエネルギーよりも光子
エネルギーが低い為透過し、陽極1-4ヘ達する。ここで
は内部光電子放射により光電子4-1を発生し、半導体1
-1中へ電子注入が行なわれる。注入された光電子は、陽
極1-6へ向かって走行する間に、電極間に印加されてい
る1kV/cm程度の電界の作用により増倍され陽極へ
達する。即ち、電極間には増倍された光電流が流れる事
になり、光電子増倍素子が実現されている。この作用
は、電子増倍が生じるばかりでなく、増倍された電子が
容易に半導体の裏面から表面にまで走行できる状況、即
ち、電子の散乱緩和時間が極めて長くなっている状況が
実現されている為に初めて実現されるものである。この
例では、陽極1-6から光を照射しているが、これも本質
ではなく、陰極1-4側から光を照射しても良い。
【0027】図4(b)は本実施例の電子増倍機能を有
する半導体に、別途に光電子を発生させる為の半導体を
接合させることにより、別の半導体で発生した光電子を
本実施例の電子増倍型半導体で電子増倍を起こさせ、光
電子増倍素子を構成した実施例である。半絶縁性GaA
s1-1の一面には、光電子発生用の半導体として例えば
N型GaSb1-2がヘテロ接合されている。半導体1-1
の残る一面には、光入射手段としてメッシュ状に形成さ
れた陽極1-6が、半導体1-2の残る一面には陰極1-4
形成されている。そしてこれら電極間には電源3-1によ
り電界が印加されており、陰極1-4中の電界強度が0.
5kV/cm以上になるように設定されている。従っ
て、半導体1-1は電子増倍機能を有する半導体になって
いる。
【0028】陽極1-6面に照射された赤外光hνは、半
導体1-1を透過し半導体1-2に照射される。半導体1-2
はバンドギャップエネルギーが小さい為に、光吸収が生
じ光電子4-1が発生する。光電子は電界ドリフトにより
半導体1-1へと導かれ電子増倍される為に、結果として
電極1-4と1-6間には、増倍された光電流が流れる事に
なり光電子増倍素子を実現する事ができる。本実施例の
内部電子増倍機能を有する半導体に於ては、電子はどん
な形で与えられても良い為、この様な構成が可能とな
る。別途半導体内で発生した光電子を増倍を行なう為の
半導体に注入する方法としては、様々な方法が利用でき
る。ここに示した例はその一例である。高抵抗のGaA
s1-1にGaSb半導体1-2をヘテロ接合した例では、
これら両者の半導体の電子親和力は、それぞれ4.07
eVと4.06eVである為、接合障壁は0.01eV
と殆ど無いに等しい。従って、GaSbに光を照射する
事により発生した光電子は拡散或いはドリフトによっ
て、容易に高抵抗GaAs内に輸送される。光電子はG
aSb中で発生する為に光感度の限界波長は、GaSb
のバンドギャップエネルギー0.7eVに対応する1.
7μmとなる。
【0029】今までの実施例は増倍された電流を取り出
す電極と増倍の為の加速電極とが同一であった。しか
し、これは本願の本質ではない。加速電極を別に設けた
例を図5に示す。ここでは、半導体表面に信号電流を注
入する電極と、電界を印加する電極とを設け、信号電流
の電子増倍をさせた例を示す。この構造の素子の加速電
界用電極1-4間に、加速用電源3-1で1kV/cm程度
の電界を印加する。この時、電極1-4間の領域には、電
子増倍領域が実現されている。信号電流注入用電極1-7
には非増倍信号が信号源3-3により印加されている。注
入された信号は半導体平面に設けられた電極1-4間に印
加される電界によって増倍され、増倍された電流が観測
される。この加速電界を別途に設ける手法は今までに説
明したもの全てに適用できるものであり、実施例はその
一例である。
【0030】複合化について述べておく。これまでに挙
げた実施例は、全て単体として動作する例であったが、
構成する半導体が素子分離が容易な高抵抗基板である為
に、同一基板上に複数個の素子を構成し、複合化させた
機能を持たせる事も容易に行なう事ができる事が本願素
子の特徴の一つでもある。集積化として、異なる機能を
有した電子増倍素子を同一基板上に集積する事も可能で
あることは言うまでもない。本願の単位素子を組合せた
集積複合デバイスには様々なものがあるが、特に有利な
例は、集積論理ゲートであり、内部増倍を利用してファ
ンアウトをもたすことができる。もう一つ有利な用途は
CCD等の撮像デバイスに応用する事であり、内部増倍
を利用して信号対雑音比を向上させる事が出来る。図6
は図4(a)に示した増倍型光検出器を二次元的に並べ
たもので、二次元的な光パターン入力の増倍検出を行な
うことができるものである。又、これに更にスイッチン
グ回路等を作り付け、時系列的に各検出器の出力を読み
出す事等もできる。
【0031】
【発明の効果】本願の素子は、簡易な構造によって構成
できる半導体電子増倍素子である。増倍される電子はど
の様にして与えられた電子であっても良い。例えば、外
部から注入された電子であっても良いし、本願の増倍素
子を構成する半導体内で光励起によって与えられた光電
子でも良い。従って、現在電子が利用されている様々な
用途に於て増倍機能を持たせる事が可能となり、その産
業界へ与える貢献は計り知れない物がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】増倍機能を有する本発明の一実施例による半導
体を示し、高抵抗半導体の両面に0.5kV/cm以上
の電界を印加する為の電極を構成した構成図である。
【図2】増倍機能を有する本発明の他の実施例による半
導体を示し、高抵抗半導体の片面に0.5kV/cm以
上の電界を印加する為の電極を構成した構成図である。
【図3】外部から照射される電子ビームを図1に示され
た実施例による電子増倍機構により増倍検出を行なうデ
バイスの構成図である。
【図4】本願増倍素子内で内部光電子放射効果を利用し
て赤外光の増倍検出を行なうデバイスの構成図、および
本願増倍素子の基本構造にヘテロ接合された半導体中で
長波長光検出を行ない発生した光電子を本願の増倍機構
により増倍する事により赤外光の増倍検出を行なうデバ
イスの構成図である。
【図5】増倍された電流を取り出す信号用電極と増倍の
為の加速電極とが異なる電極である場合の電子増倍デバ
イスの実施例を示す構成図である。
【図6】図4(a)に示した赤外光の増倍検出を行うデ
バイスを同一のGaAsウエハ上に形成し、集積化を行
い、2次元電子デバイスを構成した実施例を示す構成図
である。
【符号の説明】
-1…半絶縁性GaAs(本願増倍領域)、1-2…p型
GaSb、1-3…保護膜、1-4…電極、1-5…電子透過
薄膜電極、1-6…メッシュ電極、1-7…信号印加用電
極、2-1…エミッタ、2-2…ベース、3-1…加速電源、
-2…エミッタバイアス電源、3-3…信号源、3-4…増
倍電流検出用電流計、4-1…発生、注入された電子、4
-2…増倍された電子、4-3…電子ビーム、4-4…電子ビ
ーム源、5-1…インダクター,5-2…キャパシター。
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 智子 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松 ホトニクス株式会社内 (72)発明者 飯田 孝 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松 ホトニクス株式会社内 (72)発明者 藁科 禎久 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松 ホトニクス株式会社内 (72)発明者 杉本 賢一 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松 ホトニクス株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−14578(JP,A) 特開 昭56−43781(JP,A) 特開 昭49−91590(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 31/00 - 31/0392 H01L 31/107 H01L 29/861 - 29/885

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半絶縁性III −V族化合物半導体に一対
    の電極を設け、この電極間に2.5kV/cm以下0.
    5kV/cm以上の電界を印加する手段と、前記電極間
    に流れる電流が横磁界印加によりカットオフされるべき
    領域に前記電界強度を設定する手段と、信号入力電子を
    注入する手段とを備えることにより、内部電子増倍機能
    を持つ様に構成されたことを特徴とする電子増倍半導体
    デバイス。
  2. 【請求項2】 信号入力電極と電界印加用電極とが異な
    る電極であることを特徴とする請求項1記載の電子増倍
    機能を持つ電子増倍半導体デバイス。
  3. 【請求項3】 半絶縁性III −V族化合物半導体が半絶
    縁性GaAsであることを特徴とする請求項1記載の電
    子増倍機能を持つ電子増倍半導体デバイス。
  4. 【請求項4】 加速電界方向が<100>結晶方向であ
    ることを特徴とする請求項1記載の電子増倍機能を持つ
    電子増倍半導体デバイス。
  5. 【請求項5】 陰極側電極がブロッキング性電極である
    ことを特徴とする請求項1記載の電子増倍機能を持つ電
    子増倍半導体デバイス。
  6. 【請求項6】 陰極側電極がオーミック性電極であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の電子増倍機能を持つ電子
    増倍半導体デバイス。
  7. 【請求項7】 電極としてキャリヤ再結合速度が大きい
    ものを使用することを特徴とする請求項1記載の電子増
    倍機能を持つ電子増倍半導体デバイス。
  8. 【請求項8】 信号入力として光を照射する手段が附加
    され、これに対応して光電変換された電子が内部で増倍
    されることを特徴とする請求項1記載の電子増倍機能を
    持つ電子増倍半導体デバイス。
  9. 【請求項9】 信号入力として光を照射する手段が附加
    され、この光は半絶縁性III −V族化合物半導体のバン
    ドギャップエネルギーに相当する波長よりも長波長光で
    あり、これに対応して光電変換された電子が内部で増倍
    されることを特徴とする請求項1記載の電子増倍機能を
    持つ電子増倍半導体デバイス。
  10. 【請求項10】 光電子発生用の陰極側電極はその厚さ
    が1μm以下であることを特徴とする請求項1記載の電
    子増倍機能を持つ電子増倍半導体デバイス。
  11. 【請求項11】 信号入力として電子ビームを照射する
    手段が附加され、これに対応して発生した2次電子が内
    部で増倍されることを特徴とする請求項1記載の電子増
    倍機能を持つ電子増倍半導体デバイス。
  12. 【請求項12】 請求項1記載の電子増倍機能を持つ電
    子増倍半導体デバイスが同一半導体基板上に集積して構
    成されたことを特徴とする複合デバイス。
JP03318043A 1991-10-01 1991-12-02 電子増倍半導体デバイスおよびこれを用いた複合デバイス Expired - Fee Related JP3078903B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25370391 1991-10-01
JP3-253703 1991-10-01

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05152588A JPH05152588A (ja) 1993-06-18
JP3078903B2 true JP3078903B2 (ja) 2000-08-21

Family

ID=17254979

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP03318043A Expired - Fee Related JP3078903B2 (ja) 1991-10-01 1991-12-02 電子増倍半導体デバイスおよびこれを用いた複合デバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3078903B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3959188B2 (ja) * 1998-11-12 2007-08-15 株式会社東芝 ストリップ電極型放射線検出装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05152588A (ja) 1993-06-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2969509C (en) Avalanche photodiode
Stillman et al. III-V compound semiconductor devices: Optical detectors
US4731641A (en) Avalanche photo diode with quantum well layer
JP2012531753A (ja) 半導体アバランシェ増幅による低レベル信号検出
JP2845081B2 (ja) 半導体受光素子
JP2005516414A (ja) 充電制御アバランシェ・フォトダイオードおよびその製造方法
JP3287458B2 (ja) 超高速・低電圧駆動アバランシェ増倍型半導体受光素子
Forrest et al. Performance of In 0.53 Ga 0.47 As/InP avalanche photodiodes
JP3413241B2 (ja) 電子管
Beneking On the response behavior of fast photoconductive optical planar and coaxial semiconductor detectors
JPH06224463A (ja) 半導体受光装置
US5343054A (en) Semiconductor light-detection device with recombination rates
JP2002231992A (ja) 半導体受光素子
JPH038117B2 (ja)
JP3078903B2 (ja) 電子増倍半導体デバイスおよびこれを用いた複合デバイス
JPS61170079A (ja) 半導体受光素子
EP0109855B1 (en) Photodiode having heterojunction
JPH05121777A (ja) 受光素子
Sahai et al. Double-heterojunction photocathode devices
JP2798696B2 (ja) 光電子放射体
Ghosh et al. Multiple quantum barrier nano-avalanche photodiodes-Part II: Excess noise characteristics
Ing et al. A high gain silicon photodetector
JPH0479273A (ja) 光伝送電気信号増幅デバイス
JPH0738142A (ja) 赤外受光素子および装置
Sun et al. Punch through float-zone silicon phototransistors with high linearity and sensitivity

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees