JP4001211B2 - エンドレスキャスティングベルトを案内し且つ安定させるための磁化されたフィン付きバックアップローラー - Google Patents

エンドレスキャスティングベルトを案内し且つ安定させるための磁化されたフィン付きバックアップローラー Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、移動モールドキャビティ又はモールド空間を構成するための1又は2以上のエンドレスで可撓性の熱伝導性移動キャスティングベルト、例えば、金属キャスティングベルトを使用するベルト型キャスティング機械に溶融金属を注ぎ込むことによる溶融金属の連続鋳造の分野のものであり、ベルトは、各ベルトの連続領域がモールドキャビティに入り、モールドキャビティに沿って移動し、引き続いて移動モールドキャビティから立ち去る。そのような連続鋳造の製品は、通常、連続スラブ、板、シート、ストリップ、又はほぼ長方形の連続棒である。
更に詳細には、本発明は、軟磁性の強磁性材料で形成された多数フィンを有するフィン付きバックアップローラーに関し、ベルトが、その表面が溶融材料からくる熱によって加熱され、その裏面が圧送された液体冷却材を流すことによって冷却されてモールドキャビティに沿って移動する間、ベルトが熱歪みをおこさないように案内し且つ安定させるために、ローラーはそれ自体に含まれる多数永久磁石によって磁化され、可撓性で厚さの薄い熱伝導性で軟磁性の強磁性移動キャスティングベルトに到達(reach-out)磁気吸引力を与える。
発明の背景
少なくとも1つの可撓性で厚さの薄い熱伝導性移動キャスティングベルト、例えば、金属キャスティングベルトを使用する機械における溶融金属の連続鋳造中、移動ベルトは、高温金属の存在、及びベルト裏面が適当な液体冷却材によって冷却された場合、ベルト表面に入る高温金属からの強い熱によってベルトに引き起こされて生じた熱応力にもかかわらず、ベルト自体の実質的な平滑即ち平坦さを要求する所定所望の経路に沿って移動したままであることが極めて重要である。少なくとも1つのそのようなキャスティングベルトを使用する機械における溶融金属の連続鋳造は、しばしば、キャスティングベルトの熱的に引き起こされたそり、ねじれ、よじれ、又は座屈(ここでは「歪み」と呼ばれる)によって影響されてきた。ヘイズレット(Hazelett)等は米国特許第3,937,270号、同第4,002,197号、及び同第4,082,101号の各々の特許の図8に、アリン(Allyn)等は米国特許第4,749,027号の図5に、そのようなキャスティングベルトに起った熱的に引き起こされた横方向のねじれ及びよじれを図示している。そのようなベルトには、熱的に引き起こされたそり又は座屈も起った。これらのベルトの歪みは、最初に排気された容器のふたを開き、空気が容器に急激に入り込むとき、容器のふたが突然ポンとなるように全く突然起ることがある。その上、ベルトがモールドキャビティに沿って移動するとき、歪み無しで平坦であるつもりであるキャスティングベルトの歪みの程度及びそれらの特定箇所に関して、これらの歪みは不規則で予測できない。
そのような熱的に引き起こされた歪みは、移動キャスティングベルトが移動モールドキャビティに導入される高温溶融金属の強い熱効果に最初に遭遇するモールドキャビティの入口領域の近くで、即ち移動モールドキャビティへの高温溶融金属の導入後すぐに、より起りやすい。入口領域の近くでは、溶融金属の最初の冷凍が起り又は始まっており、そのような冷凍中のベルトの歪みにより、合金成分の割れ、しみ又は分離を含むキャスティング製品になることがある。キャスティング製品のこれらの欠点は、強度、形成性、外観の問題を導く。
C.W.ヘイズレットは上下の冷硬バンドのための上下の冷却組立体を米国特許第2,640,235号(第7欄)で説明した。これらの冷却組立体は操作が全く同じであり、各冷却組立体は、電磁石の軟質コアを形成するある適当な容易に磁化される材料からなる板を有する。板を電流によって磁化させるとき、バンドを板自体に向って引張ることが板の機能であった。板に向ってのバンドのこの移動を阻止するために銅又は真鍮のスペーサーが使用され、これらのスペーサーはバンドと板との間の室の形成を可能にした。バンドを冷やすために、これらの室内に冷却水が導入された。たとえこの冷却水がかなりの圧力で、しかもバンドを通常ゆがめるに十分導入されたとしても、明細書は、バンドを剛性スペーサーに接触して堅く保持する磁石板の影響のためにそのようにならないことを述べている。このように、明細書は、バンドを歪まないように案内し且つ保持しながらバンドを冷却することができ、それにより、製品の正確な厚さを維持することを述べている。
米国特許第3,933,193号のウィリアムベーカー(William Baker)等は移動ベルト間で金属ストリップを連続鋳造するための装置を記載した。ベルトは、ベルトの反対側の大気以下の圧力状態によって達成される外部的に付与された吸引力又は同じ目的のために採用された磁気吸引力によって密に間隔を隔てた支持面に接触して保持される。
米国特許第4,190,103号(第2欄第38行乃至第44行)のオリビオシビロッチ(Olivio Sivilotti)等は、「かくして、上述の装置の実施形態では、ベルトは、水で充填したハウジング内の大気以下の圧力によって密に間隔を隔てられた支持面に接触して引張られている。変形の実施形態が、ベルトを所望経路に保持するために、強磁性ベルトの強磁性支持体を通して作用する磁気的手段を設けるべきである。」と記載した。
本発明の譲受人、ヘイズレット ストリップ−キャスティング(Hazellet Strip−Casting)社は、定置した電磁ベルトバックアップフィン付きプラテンを移動キャスティングベルトの裏面と摺動接触状態にして実験的に試作したが、それらの継続性を正当化するに十分満足する性能が過度の摩耗又は摩擦の観点でなかった。その上、これらの電磁石フィン付きプラテンは、移動キャスティングベルトを平らな状態に信頼できるように保持し又は安定させるのに失敗した。
開示の概要
上述の特許の中でC.W.ヘイズレット、シビロッチ等、ベーカー等によって説明されたような磁気装置の磁気吸引力、即ち、ベルト又はバンドに及ぼされる引張り力が、キャスティングベルト又はバンドと、移動ベルト又はバンドの熱歪みをおこした部分をその後ろ向きに引張って所定所望の平らな状態にするようになっている磁気装置との間の間隔(隙間)の関数としてあまりに急激に且つ/又はあまりに突然に減少したので、前記磁気装置は溶融金属の連続鋳造に工業的に使用されるようにならなかったことを我々は見つけた。キャスティングベルト又はバンドのこれらの従来の装置の磁気吸引力(引張り力)はかなりの隙間越しに到達せず、従って、熱的に引き起こされた歪みにより、所望の平らな状態から著しく押しのけられるようになったベルト又はバンドの部分を適切に引き戻さなかった。所謂「到達吸引力」がない又は不足しており、即ち「到達引張り力」がない又は不足している。
我々が所謂「到達吸引力」(即ち「到達引張り力」)の中で発見した決定的な重要性の、ベーカー等による開示も示唆もない。
軟磁性で強磁性の材料の薄厚ベルトのこの強力な到達吸引力(引張り力)は、アルニコ5でさえ、在来の材料で作られた磁石の作用と異なっており、ベルトと示し且つ説明したようなフィン付きバックアップローラーの磁化されたフィンとの間にかなりの隙間、例えば隙間1.5mm(0.060インチ)が発生するとき、これらの材料は多くのその引力即ち引張り力を失う。かくして、到達磁石によって磁化されたフィンは、移動キャスティングベルトの熱歪みをおこした部分を回転するフィンの方に引張ることができ、ベルトは、厳密な限界内に保持されたベルトを移動キャスティングベルトの所定所望の安定させられた平らな状態に保つために回転するフィンに沿って移動しており、移動キャスティングベルトを熱歪みをおこさないようにフィン付きバックアップローラーによって支持し且つ安定させる。
我々の発明では、この到達引張り力は、軟磁性の強磁性材料で形成された多数フィンを有するフィン付きバックアップローラーで説明するような磁気回路をなして配列された到達永久磁石に形成された、ここで説明する独特な永久磁石材料によってもたらされる。ベルトが、その表面が溶融金属からくる熱によって加熱され、その裏面が圧送された液体冷却材を流すことによって冷却されてモールドキャビティに沿って移動している間、これらのフィンは、可撓性で厚さの薄い熱伝導性で軟磁性の強磁性移動キャスティングベルトを熱歪みをおこさないように案内し且つ安定させるために、ローラー自体に含まれる多数の到達永久磁石によって磁化される。
本発明によれば、本発明の側面の1つにおいて、軟磁性の強磁性材料を含有するエンドレスで可撓性で熱伝導性キャスティングベルトを案内するための細長いフィン付きバックアップローラーを提供する。そのようなバックアップローラーは多数フィンを有し、各々はローラーの回転軸線と同軸の円形周囲を有する。これらのフィンは軟磁性の強磁性材料で形成され、ローラーに沿って軸線方向に間隔を隔てられた位置でローラーに取付けられる。フィンは、その周囲がローラーに沿って順次交互のNとSの磁極性を有するように磁化され、各磁石が、移動キャスティングベルトを安定化させるのに適した3次元パターンをなしてフィンのリムから延び且つフィンのテーパ側面から延びる到達磁気吸引力をもたらすように、細長いローラーに取付けられた多数の到達永久磁石によって磁化される。
本発明の例示の実施形態では、軟磁性の強磁性材料からなるエンドレスで可撓性の熱伝導性キャスティングベルトを案内し且つ安定させるためのフィン付きバックアップローラーが、細長い回転可能な非磁性シャフトを有する。円形周囲を有する軟磁性の強磁性材料を含む多数の環状フィンが、連続フィン間に配置されるカラー形状の到達永久磁石を介在させてシャフトに嵌められる。フィン及び磁石はローラーの長さに沿って順次交互し、フィンは、その円形周囲がローラーに沿って順次交互のNとSの磁極性を有するように到達磁石によって磁化される。
本発明は、連続キャスティング機械のエンドレスで可撓性で厚さの薄い熱伝導性の移動キャスティングベルトの熱的に引き起こされた歪みによる上述した永続する問題にうまく取り組み、実質的に打ち勝ち、又はそれを実質的に減少させる。
ここで使用されるように、主にスチールで形成された熱伝導性キャスティングベルトに付加されるときの用語「薄厚」は、厚さが約10分の1インチ(約2.5mm)よりも小さい、そして通常、約0.070インチ(約2.0mm)よりも小さいキャスティングベルトを意味するものである。
軟磁性の強磁性材料の透磁率はB/Hとして定義され、ここで“B”は材料のガウスでの磁束密度であり、“H”は材料に付与されたエルステッドでの保磁力である。ここで使用するように、用語「軟磁性の強磁性材料」は、空気、水又は真空の透磁率の少なくとも約500倍の最大透磁率を有する材料であり、空気、水又は真空の透磁率は約1である。例えば、1985年乃至1986年の日付のCRCハンドブック・オブ・ケミストリー・アンド・フィジックス第66版E−115ページによれば、通常の変圧器用スチールは、磁束密度Bが約6,000ガウスで且つ保磁力Hが約1.1エルステッドで測定されるとき、最大透磁率約5,450である。この用語「軟磁性の強磁性材料」に使用されるときの言い回し「軟磁性」はそのような材料が比較的容易に磁化され又は消磁されることを意味する。かくして、形容詞「軟らかい」は、ここでは、磁化及び消磁されにくいような材料を磁化し又は消磁するための大きな保磁力を要求する磁性材料に付けられる形容詞「硬い」と対照的に使用されている。通常の変圧器用スチールそして、ツインベルト連続キャスティング機械に使用可能な薄厚キャスティングベルトを形成する際に通常採用されるクォーターハード圧延された(quarter-hard-rolled)低炭素シートスチールも「軟磁性の強磁性材料」のカテゴリー内にある。
アメリカ材料試験協会(ASTM)の指示、即ち磁気試験に関する符号及び定義の標準学術用語の第A 340−93ページには、「残留磁気、Br」は「磁性材料が対称でサイクリックな磁化条件を受けるときの磁界0に相当する磁束密度の値」と定義されている。
硬磁性材料の透磁率は、消磁曲線の有用な部分で測定されるときのΔB/ΔHであり、消磁曲線は、正規ヒステリシスループの第2(又は第4)象限に位置するB−Hヒステリシスループの部分、即ちB−Hループ又はB−H曲線として定義される。「正規ヒステリシスループ」は上記ASTMの指示に定義されている。
本発明の他の目的、側面、特徴及び利点は、例示として与えられ且つ本発明を限定するものでなく、必ずしも定倍率で描かれていないが本発明の原理を図示する明瞭のために描かれた添付図面に関連して配慮された現在の好ましい実施形態の以下の詳細な説明から理解されよう。参照番号の一致は種々の図を通じて同様の構成要素又は要素を指示するのに使用される。
【図面の簡単な説明】
図1は、エンドレスの可澆性キャスティングベルトを案内し且つ安定させるための多数の磁化されたフィンを有する細長いフィン付きバックアップローラーを示す図2の線1−1における側面図及び部分的な横断面図である。図1は又、ローラーに適したベアリングと係合して取付けるための端フィッティングを示す。
図2は、図1に示したバックアップローラーの端フィッティングの端面図を示す。
図3は、図1の平面3−3に沿ったローラーにおける横断面図である
図4は、上下のキャスティングベルトを案内し且つ安定させる複数のバックアップローラーを示す、ツインベルト連続キャスティング機械の移動モールドキャビティの一部分を貫通する側面からの横断面図である。ベルト冷却材付与装置及び冷却材自体が図4から省略されており、ローラーの横断面が図示の明瞭のために図3に比べて拡大されている。
図5は、軟磁性の強磁性材料で形成された可撓性の熱伝導性キャスティングベルトと関連して作用する本発明を具体化するフィン付きバックアップローラーによってもたらされた磁気回路を示すために、ローラーの一部分を図示する図4の線5−5における拡大図である。
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明を具体化する細長いフィン付きバックアップローラー8(図1乃至図3)が軸線方向シャフト10を含み、シャフト10は、各端がそのテーパ孔16にねじ込まれた機械ねじ14によってフィッティング12に連結される。端フィッティングのボス18がシャフト端ソケット20に挿入され、ボスとソケットは両方ともローラー8の回転軸線22と同軸である。連続キャスティング機械では、端フィッティング12はキャスティングベルトのへり領域に係合するローラーとして役立つことができる。これらの端フィッティングは、連続鋳造の技術で知られているようなローラー8をその軸線22を中心に自由に回転させるのに適当なベアリング要素と係合可能な取付けソケット24を有する。
軟磁性の強磁性材料、例えば、型式430クロムステンレススチールのような材料で形成された多数の環状フィン26がシャフト10に均等な間隔で取付けられる。例えば、シャフト10に沿ったこれらのフィンの中心−中心の間隔は約1インチ(約25ミリメートル)であるのが好ましく、約1 1/4インチ(約32mm)まで及んでも良い。これらの環状フィンは等しく、軸線22と同軸の中央開口27を有し、且つシャフト直径に応じた内径(I.D.)を有し、内径はシャフト10にぴったり嵌るように寸法決めされる。フィンは軸線22と同軸の円形周囲(リム)28(図3)を有し、このリムは平坦であり、即ちリム厚さTの円筒形態を有する(図5)。例えば、示した例示の実施形態では、リム厚さTは約0.08インチ(約2mm)である。フィンは、リムが薄く且つ中央開口26の近くで厚い本体を有するようにテーパする。例えば、示したようなフィンの本体はその中央開口の近くで厚さ約0.18インチ(約5mm)である。リム28の外径(O.D.)は約3.30インチ(約84mm)乃至約4インチ(約102mm)の範囲にあるのが良い。図示したようなより好ましい実施形態では、このリムの外径は約3.37インチ(約85.6mm)である。
連続フィン間のシャフト10には、多数の到達永久磁石30が取付けられる。シャフト10及び端フィッティング12はすべて非磁性材料、例えば型式304オーステナイトステンレススチールで作られる。各永久磁石30は円筒形ボア32を有する中空の円筒形カラーとして形成され、内径(I.D.)がシャフト10にぴったり嵌るように寸法決めされる。示すように、このシャフトは外径約2.30インチ(約58mm)乃至約3インチ(約76mm)の範囲にあり、図示したようなより好ましい実施形態では、シャフトは外径約2.34インチ(約59.4mm)である。これらの到達磁石カラー30の外径(O.D.)は約2.70インチ(約68.6mm)乃至約3.44インチ(約87mm)の範囲にあるのが良い。示すように、これらの到達磁石カラーは少なくとも約0.2インチ(約5mm)、より好ましくは少なくとも約0.22インチ(約5.6mm)の半径方向壁厚さを有する。示すように、これらのカラーは少なくとも約0.8インチ(約20mm)、より好ましくは、少なくとも約0.82インチ(約20.8mm)の軸線方向長さを有する。
又、当該技術で知られているように、適当な冷却材の流れ(図示せず)をベルトの裏面34に沿って付与することによってベルトの冷却を可能にするための十分な隙間空間をカラーの外面とキャスティングベルト40の裏面34との間に設けるために、リム28は少なくとも約1/4インチ(約6mm)、より好ましくは、少なくとも約0.29インチ(約7.4mm)の半径方向間隔“r”(図3及び図5)だけカラー30の外面を越えて半径方向外方に間隔を隔てられるのが好ましい。
可撓性で厚さの薄い熱伝導性移動キャスティングベルト40(図4及び図5)は、軟磁性の強磁性材料で形成され、例えば、それらはクォーターハード圧延された低炭素シートスチールのような金属材料で形成される。
シャフト10に対するカラー及びフィンの熱膨張の違いに順応するために、ばねのような弾力装置36がシャフト10に沿ったある箇所に取付けられる。好ましくは、この装置36は、示したように(図1)、端フィッティング12とシャフトの端の近くの磁石カラー30との間に配置されるように取付けられる。例えば、このばねのような装置36は、波形ワッシャー、面取りしたコイル状ガーターばね、又はエラストマーガスケットのような、ばねのような金属ワッシャーであるのが良い。
図4では、矢印41で示すように下流方向に移動している一対の間隔を隔てたキャスティングベルト40の間に構成された移動モールドキャビティCの一部分を横断面図で示す。ベルトは入口(図示せず)からモールドキャビティ、そこから出口(図示せず)に向って移動している。これらの2つのベルトは当該技術で知られているような機械によって支持され且つ駆動され、そのような機械はしばしばツインベルト連続キャスターと呼ばれる。ベルト40は、上下の移動ベルトを案内し且つ安定させている複数の上下のバックアップローラーのフィン26のリム28と転がり接触状態にある。図4の接触領域29は、移動ベルトの裏面34がそれぞれのリム28と接線方向の転がり接触状態にある小領域箇所である。
モールドキャビティC(図4)内に、溶融金属、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金を示す。この溶融金属は、ベルトの表面46に隣接した冷凍層44で凝固し始めている。移動ベルトの裏面34は、当該技術で知られている仕方で液体冷却材(図示せず)によって冷却されている。そのような液体冷却材は、例えば、当該技術で知られているような腐食防止剤を含有する水である。凝固するようになる溶融金属の量が増加するので、冷凍層の厚さが下流方向に徐々に厚くなることが注目される。隣接したローラー軸線22間の間隔S、即ちシャフトの中心−中心の間隔はフィン26の外径の約13/4倍よりも小さく、その結果、図4の隣接した接触領域29が移動ベルトに沿った長手方向にそれより大きい間隔だけ間隔を隔てられないのが好ましい。又、端フィッティング12(図1)の外径はフィンの外径と等しいので、これらの端フィッティングは移動ベルトのへりに沿って転がり接触状態にある。
図5では、破線50が到達磁石30によって賦勢された磁気回路を指示する。これらの磁気回路の各々を、永久磁石30のN極N’から始まり、フィン26内に進み、フィン内で半径方向外方に延びて、リム28とキャスティングベルト40の裏面34とが転がり接触状態にある接触領域29に至るまで追跡することができる。各回路50は、軟磁性の強磁性ベルト40の第1接触領域29から隣接したフィンの第2接触領域まで延びる。次いで、各回路50は隣接したフィン内を半径方向内方に延びて磁石のS極S’に至る。各磁気回路は磁石内で磁石のS極S’からN極N’に至り完結する。これらの到達カラー磁石30が軸線22と平行の方向に磁化されることが注目される。もしこれらのカラー磁石が腐食を受ける材料で形成されるならば、カラー磁石は耐腐食のために適当に被覆され、例えばニッケルメッキされる。
軟磁性の強磁性材料を含有する移動キャスティングベルト40の強力な到達吸引力(引張り力)を得るために、回路50(図5)を強力に磁化し且つ又全部のフィン26を強力に磁化する到達磁石30の各々の永久磁石材料は、一定の非常に重要な臨界特性を有する。(1)この永久磁石材料のサンプルが、約8,000ガウスと等しい、又はそれより大きい磁束密度の残留磁気Brを有する点でB軸と交わる正規ヒステリシスループ(B−Hループ)を有する。(2)この永久磁石材料のサンプルが、空気、冷却水又は真空の透磁率が1とおかれる場合、第2又は第4象限のループの部分の中間点に接する直線が、約4と等しい、又はそれより小さいΔガウス毎Δエルステッドでの中間点微分消磁透磁率を指示する傾きを有する正規ヒステリシスループ(B−Hループ)を有する。又、この永久磁石材料は大きい程度の永続性を有することが必要であり、即ち、おおざっぱにいえば、消磁しにくいことが必要であり、即ち、磁気的意味で「硬く」、即ち、非常に大きな消磁保磁力がこの永久磁石材料を消磁するために必要とされる。
ここで使用するように、用語永久磁石材料のサンプルの「中間点微分消磁透磁率」は、サンプルのB−Hループと第2又は第4象限にあるこのループの部分の中間点で接する直線のΔガウス毎Δエルステッドで表された傾きを意味する。サンプルのB/Hループが、B及びHの値がそれぞれ垂直軸及び水平軸に沿って目盛られた図に描かれ、その結果、この同じ図に描くとき、真空のB/H又はΔB/ΔH、即ち保磁力Hを真空に付加することになる磁束密度Bの傾きは常に1であり、言い換えれば、この同じ図に描くとき、真空のための保磁力を付加した状態での変化ΔHに対する磁束密度の変化ΔBの比は常に1であることを理解すべきである。以下の表では、これらの重要な臨界特性に関する我々の選択を述べる。
Figure 0004001211
Figure 0004001211
リムの接触領域29を通り抜ける磁気回路50の磁束によってもたらされた、ベルトを接触領域29でリム28に向って引張る磁気吸引力との援助関係において、到達磁石30は、空気及び/又は冷却水(図示せず)を通過し且つ接触領域29から片寄った多数箇所でベルトに入る、複数の破線f(図4及び図5)によって指示された追加の磁束を与えるのに適した独特の特徴を有する。この追加の到達磁束fは追加の磁気吸引力をベルトに付加して、ベルトをリム28に向って引張る。この到達磁束fがフィンのリム及びフィンのテーパ側面から案内し且つ安定させるべきベルトに向って延び、それにより、上流及び下流に延び(図4)且つ各フィンから左右の両方に向って横方向に延びる(図5)ことも含む3次元パターンをなすことを図4及び図5の両方を考慮することから理解すべきである。
上述した非常に重要な臨界特性を呈する永久磁石材料で作られた任意の永久磁石30が本発明の開示した実施形態での満足な実施が可能であることを、我々は想像する。例えば少なくとも1つの「希土類」化学元素(番号57乃至71が付けられた化学元素のランタン系列)を含む磁性材料からなる磁石のような、希土類磁性材料として商業的に知られている永久磁石材料を含有するカラー磁石30、例えば、好ましくは希土類化学元素ネオジム又はサマリウムからなる永久磁石材料を含有する磁石を使用するのを、我々は好む。例えば、約20MGOe(メガ−ガウス−エルステッド)の最大エネルギー効果を有するコバルトとサマリウムの化合物(Co5Sm)からなる永久磁石材料を含有する磁石を使用することができる、というのは、そのB−Hヒステリシスループは約9,000ガウスの残留磁気Brを有するからであり、約22乃至約28MGOeの範囲の最大エネルギー効果を有するCo17Sm2材料を含有する磁石を使用することができる、というのは、そのB−Hループが約9,000ガウス乃至約11,000ガウスの範囲の残留磁気Brを有するからである。
約20MGOeの最大エネルギー効果を有するCo5Sm永久磁石材料は、約1.08の中間点微分消磁透磁率を有する。約22乃至約28MGOeの範囲の最大エネルギー効果を有するCo17Sm2永久磁石材料は、約1.15乃至約1.0の範囲の中間点微分消磁透磁率を有する。
我々の現在の最も好ましい永久磁石30は、約25乃至約35MGOeの範囲の最大エネルギー効果を呈し、一般的にはネオジム−鉄−ホウ素、Nd−Fe−B、又はNdFeBとして知られている、鉄、ネオジム及びホウ素からなる3元素(3成分)化合物を基礎とする永久磁石材料を含有する。そのような磁石は「ネオ磁石」と呼ばれ、約32乃至約35MGOeのネオ磁石が現在もっとも好ましい。約25乃至約35MGOeの範囲の最大エネルギー効果を有するNdFeB永久磁石材料は、残留磁気Brが約10,700ガウス乃至約12,300ガウスの範囲にあるB−Hループを有し、且つ約1.15の中間点微分消磁透磁率を有する。ネオ磁石は耐腐食性が低いので、ニッケルメッキされる。
将来において、その他の永久磁石材料、例えば鉄−サマリウム−窒化物のような3成分化合物、その他のまだ知られていないような3成分永久磁石材料、及びまだ知られていないような他の4元素(4成分)永久磁石材料が商業的に利用できるようになり、それらは、残留磁気Brが表Iに示したように十分高いB−Hループを有し、且つ表IIに示したような本発明の実施形態に使用するのに適当であるに十分低い中間点微分消磁透磁率を呈することを、我々は想像する。
本発明の特定の現在の好ましい実施形態がここに詳細に開示されているけれども、本発明のこれらの例は例示の目的のために説明されていることを理解すべきである。軟磁性の強磁性材料を含むエンドレスで可撓性で熱伝導性の回転キャスティングベルトを適当な平滑さを有するように平らに保ち、且つ金属の連続鋳造中、連続キャスティング機械内ではたらかせるためのこれらの装置及び方法を適用するために、更に、種々の特定のベルト型連続キャスティング機械又は種々のベルト型キャスターの設置状況に有用であるために、説明した装置を、以下の請求の範囲の範囲から逸脱することなしに連続鋳造の当業者によって細部において、即ち均等な永久磁石材料に変えることができるので、この開示を本発明の範囲を限定するように解釈するつもりはない。

Claims (20)

  1. 軟磁性の強磁性材料を含むエンドレスで可撓性の熱伝導性キャスティングベルトを案内するための細長いフィン付きバックアップローラーであって、
    各々が前記バックアップローラーの回転軸線と同軸の、円形状を有する多数のフィンを有し、
    前記フィンは軟磁性の強磁性材料で形成され、且つ前記バックアップローラーに沿って軸線方向に間隔を隔てた位置に配置され、
    各永久磁石は、少なくとも約9,000ガウス残留磁気を有し、且つ各々が約4Δガウス/Δエルステッドと等しい又はそれより小さい中間点微分消磁透磁率を有する多数の永久磁石を更に有し、
    前記永久磁石は、前記フィンの周囲が前記バックアップローラーに沿って交互のN及びS磁極を有するように前記フィンを磁化する、
    前記細長いフィン付きバックアップローラー。
  2. 更に、前記軸線と同軸の非磁性シャフトを有し
    前記フィンおよび前記永久磁石は、前記非磁性シャフトに沿って軸線方向に間隔を隔てた位置で前記非磁性シャフトの上に取付けられる、
    請求の範囲第1項に記載の細長いフィン付きバックアップローラー。
  3. 隣接したフィンの間に少なくとも1つの前記永久磁石が位置決めされるように、前記永久磁石は、前記フィンの間前記非磁性シャフトに取付けられる、
    請求の範囲第2項に記載の細長いフィン付きバックアップローラー。
  4. 前記永久磁石は隣接したフィンの間前記非磁性シャフトを取り囲み、
    前記永久磁石は、各永久磁石の両軸端がN及びS磁極を有するように軸線と平行な方向に磁化され、
    同様の極性の磁極はフィンの両側に向って面する、
    請求の範囲第3項に記載の細長いフィン付きバックアップローラー。
  5. 前記永久磁石は、前記非磁性シャフトに嵌るボアを有するカラーであり、
    前記フィンは形状が環状であり、且つ各フィンが連続する永久磁石カラー間に位置決めされるように前記非磁性シャフトに嵌る中央開口を有する、
    請求の範囲第4項に記載の細長いフィン付きバックアップローラー。
  6. 前記永久磁石カラーおよび前記フィンを前記非磁性シャフトに保持するように前記各非磁性シャフトの端に取付けられ端フィッティングを更に有し
    前記端フィッティングの各々に、前記永久磁石カラーの1つが隣接し、
    前記端フィッティングは非磁性材料で作られ、
    前記非磁性シャフトに対する前記永久磁石カラー及び前記フィンの熱膨張の違いに順応するために、前記永久磁石カラーの1つの端に隣接して位置決めされる弾力装置を更に有する
    請求の範囲第5項に記載の細長いフィン付きバックアップローラー。
  7. 前記永久磁石は、少なくとも約10,700ガウスの残留磁気を有するネオジム−鉄−ホウ素として一般的に知られている材料で形成される、
    請求の範囲第1項に記載の細長いフィン付きバックアップローラー。
  8. 前記永久磁石は、少なくとも約10,700ガウスの残留磁気を有するネオジム−鉄−ホウ素として一般的に知られている材料で形成され、
    前記永久磁石は少なくとも約0.8インチ(約20mm)の長さを有する、
    請求の範囲第4項に記載の細長いフィン付きバックアップローラー。
  9. 前記永久磁石カラーは、半径方向に少なくとも約0.2インチ(約5mm)の肉厚を有し、
    前記永久磁石カラーは少なくとも約0.8インチ(20mm)の軸線方向長さを有する、
    請求の範囲第5項に記載の細長いフィン付きバックアップローラー。
  10. 前記永久磁石カラーは、少なくとも約10,000ガウス残留磁気を有する永久磁石材料で形成され
    前記永久磁石材料は、最大値が約2.5Δガウス毎Δエルステッドを超えない中間点微分消磁透磁率を有する、
    請求の範囲第9項に記載の細長いフィン付きバックアップローラー。
  11. 前記フィンの円形周囲は、前記永久磁石カラーから少なくとも約1/4インチ(約6mm)の距離“r”だけ半径方向外方に間隔を隔てられる、
    請求の範囲第9項に記載の細長いフィン付きバックアップローラー。
  12. 軟磁性の強磁性材料を含むエンドレスで可撓性の熱伝導性キャスティングベルトを案内するための細長いフィン付きバックアップローラーであって、
    回転軸線を有する細長い回転可能な非磁性シャフトと、
    各々が円形リムを有し且つ各々がリムと同軸で前記非磁性シャフトに嵌るように寸法決めされた開口を有する、軟磁性の強磁材料からなる多数の環状フィンと、
    多数の永久磁石と、を有し、
    前記永久磁石はカラーとして形成され、各々が前記非磁性シャフトに嵌るように寸法決めされたボアを有し、且つ各々が、各カラーにN及びS磁極をその両端に与えるように前記ボアと平行に磁化され、
    前記カラーおよび前記フィンは、同じ極性の磁極がフィンを磁化するように各フィンの両側に隣接するように順次交互に前記非磁性シャフトに組立てられ、
    前記フィンは前記カラーを越えて半径方向に突出し、且つ前記バックアップローラーに沿って交互のN及びS磁極性を有し、
    前記永久磁石カラーは、少なくとも約8,000ガウスの残留磁気を有し、且つ、約4Δガウス毎Δエルステッドと等しい又はそれよりも小さい中間点微分消磁透磁率を有する、
    前記細長いフィン付きバックアップローラー。
  13. 前記非磁性シャフトのカラー及びフィンを保持するように前記非磁性シャフトの各端に且つ前記非磁性シャフトと同軸に連結された端フィッティングを更に有し
    前記端フィッティングは非磁性材料で作られ、
    前記非磁性シャフトに対する前記カラー及び前フィンの熱膨張の違いに順応するために前記カラーの端に隣接し前記非磁性シャフトを取り囲む弾力装置を更に有する
    請求の範囲第12項に記載の細長いフィン付きバックアップローラー。
  14. 前記永久磁石カラーは、少なくとも約9,000ガウス残留磁気を有する、
    請求の範囲第12項に記載の細長いフィン付きバックアップローラー。
  15. 前記永久磁石カラーは、少なくとも約9,000ガウス残留磁気を有し、
    前記永久磁石カラーは、最大値が約2.5Δガウス毎Δエルステッド撚りも大きくない中間点微分消磁透磁率を有する、
    請求の範囲第13項に記載の細長いフィン付きバックアップローラー。
  16. 前記永久磁石カラーは少なくとも約0.8インチ軸線方向長さを有し、
    前記永久磁石カラーは少なくとも約10,700ガウスの残留磁気を有するネオ磁石である、
    請求の範囲第12項に記載の細長いフィン付きバックアップローラー。
  17. 軟磁性の強磁性材料を含むエンドレスで可撓性の熱伝導性キャスティングベルトを案内するための細長いフィン付きバックアップローラーであって、
    回転軸線を有する細長い回転可能な非磁性シャフトと、
    各々が円形リムを有し且つ各々がリムと同軸で前記非磁性シャフトに嵌るように寸法決めされた開口を有する、軟磁性の強磁性材料からなる多数の環状フィンと、
    各々が前記非磁性シャフトに嵌るように寸法決めされたボアを有する多数の永久磁石カラーと、を有し、
    前記永久磁石カラーは、各々が各カラーの両端にN及びS磁極を得るように前記ボアと平行に磁化され、
    前記永久磁石カラーおよび前記環状フィンは、同じ極性の磁極がフィンを磁化するように各環状フィンの両側に隣接するように順次交互にして前記非磁性シャフトに組立てられ、
    前記環状フィンは、そのリムよりもその中央開口近くが厚く、
    前記環状フィンは、前記永久磁石カラーを越えて半径方向外方に突出し、且つ前記バックアップローラーに沿って交互のN及びS磁極性を有し、
    前記永久磁石カラーは、少なくとも約8,000ガウスの残留磁気を有し、且つ、約4Δガウス毎Δエルステッドと等しい又はそれよりも小さい中間点微分消磁透磁率を有する、
    前記細長いフィン付きバックアップローラー。
  18. 前記環状フィンは、そのリムの2倍より大きい厚さである、前記永久磁石カラーの磁極に隣接した厚さを有する、
    請求の範囲第17項に記載の細長いフィン付きバックアップローラー。
  19. 前記環状フィンは前記永久磁石カラーを越えて少なくとも約1/4インチ(6mm)半径方向外方に突出する、
    請求の範囲第18項に記載の細長いフィン付きバックアップローラー。
  20. 前記永久磁石カラーは少なくとも約10,000ガウス残留磁気を有し、
    前記永久磁石カラーは約2.5Δガウス毎Δエルステッドと等しい又はそれよりも小さい中間点微分消磁透磁率を有する、
    請求の範囲第17項に記載の細長いフィン付きバックアップローラー。
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