JP2000005141A - 永久磁石磁気回路 - Google Patents

永久磁石磁気回路

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JP2000005141A JP10172754A JP17275498A JP2000005141A JP 2000005141 A JP2000005141 A JP 2000005141A JP 10172754 A JP10172754 A JP 10172754A JP 17275498 A JP17275498 A JP 17275498A JP 2000005141 A JP2000005141 A JP 2000005141A
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健 大橋
Koji Miyata
浩二 宮田
Yuji Doi
祐二 土井
Masaru Higuchi
大 樋口
Kazuyoshi Sumino
和義 角野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 永久磁石磁気回路の継鉄体積を増加させるこ
となく漏洩磁場を減少させる永久磁石磁気回路を提供す
る。 【解決手段】 空隙を介して一対の永久磁石が対向し、
各永久磁石の空隙側表面に整磁作用を有する磁性ヨーク
とコイルを配置し、該磁石を継鉄で結合してなる永久磁
石磁気回路において、 600℃以上 900℃以下で5分以上
保持された後 0.5〜10℃/分の冷却速度で冷却した継鉄
を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、永久磁石型MRI
装置のバイアス磁場発生用に用いて最適な永久磁石磁気
回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】永久磁石型磁気回路をバイアス磁場発生
用マグネットとして用いたMRI装置は、磁場発生のた
めの電力などのランニングコストが不要で、超電導マグ
ネットのように液体ヘリウムの補給も必要ないため、非
常に使用しやすい装置である。ただし、永久磁石型マグ
ネットによる磁場強度は超電導マグネットほど高くでき
ないため、相補的に使用される。永久磁石型マグネット
としては、磁石対向型とダイポールリング型が良く知ら
れている。ダイポールリング型は本質的に永久磁石のみ
により構成されているので、磁石構成が簡素化でき、全
体重量も小さくすることができる。しかし磁石対向型と
比較したとき、0.2 T前後まではダイポールリング型の
方が永久磁石の使用重量が多く、コスト面で不利にな
る。またダイポールリング型は円筒マグネット内部の空
間を使用するため、磁石対向型よりも、開放性の点で劣
っている。これらの点から、現在では磁石対向型の方が
主に用いられている。
【0003】MRIシステムのバイアス磁場発生に用い
られる磁石対向型マグネットの概略構成を図2に示す。
磁石対向型では磁場均一性を得るために、永久磁石5、
6の空隙側表面に整磁板7、8と呼ばれる軟磁性ヨーク
が用いられている。整磁板の一般的形状は円盤状で、外
周部に環状の突起(第1シムまたはローズシム)16を
有し、凹部(空隙側表面)にも必要に応じて段差を設け
ている。外周部の第1シムは、空隙空間における均一領
域の赤道部の磁場均一性を得るため必要である。また、
該整磁板のさらに空隙側表面に勾配コイル10が配置さ
れている。該勾配コイルには矩形波状のパルス電流が印
加され、空隙空間内に短時間の間、勾配磁場を発生させ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】該磁石対向型マグネッ
トは磁束の流れに関して閉磁路が形成された磁気回路で
あるため、空隙部を除いて外部への磁束の漏れが少な
く、磁気効率の良い回路である。しかし程度の問題はあ
れ磁束の漏洩は生じる。該マグネットにおいて磁束の漏
洩が起きやすい箇所は、上下部の平板継鉄から柱部に磁
束が流れ、柱部と平板継鉄が接する近傍の磁束が集中す
る部分である。磁束の外部への漏洩を低減するために
は、平板継鉄と柱部の厚みと断面積を充分大きく取って
磁束の通り道を確保し、継鉄の磁気飽和を抑えればよ
い。しかしむやみに継鉄体積を増やすとMRIマグネッ
ト全体の重量が大幅に増加するため、設置重量の制約、
搬送の問題やコストの点から望ましくない。従来は磁束
漏洩を低減するため、磁束集中部のみ継鉄体積を増やし
て、磁気回路全体重量の増加を抑制することが行なわれ
ていた。しかし漏洩磁場強度の制限が厳しくなってきた
ため、継鉄体積の更なる増加が避けられなくなってき
た。以上のような背景に鑑みて、継鉄重量をこれ以上増
加させることなく漏洩磁場を低減することが望まれてい
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような問題を解決す
るため、本発明者らは、鋭意検討した結果、熱処理した
継鉄を永久磁石磁気回路に用いると、残留ひずみによる
継鉄の磁気特性劣化が改善され、磁束漏洩が低減される
ことを見いだし、本発明に到達した。すなわち本発明
は、空隙を介して一対の永久磁石が対向し、各永久磁石
の空隙側表面に整磁作用を有する磁性ヨークとコイルを
配置し、該磁石を継鉄で結合してなる永久磁石磁気回路
において、該継鉄が 600℃以上 900℃以下で5分以上保
持された後 0.5℃/分以上10℃/分以下の冷却速度で冷
却したものであることを特徴とする。以下に、これをさ
らに詳述する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の永久磁石磁気回路の基本
構造は、図1に示すように継鉄の上下平板1、2と該平
板をつなぐ柱3、4よりなり、空隙中に希土類永久磁石
5、6と整磁板7、8が配置され、整磁板中に勾配コイ
ル9、10が固着されている一般的な磁石対向型磁気回路
である。図1は二本柱型であるが、柱または壁の数が一
本以上の複数であってもよい。平板1、2の柱と接する
端部付近に付加鉄板11、12、13、14が設置されている。
永久磁石5、6より発生した磁束Bは平板1、2を通っ
て、柱3、4に分配され集中する。したがって平板の柱
と接する近傍は磁束が集中し、漏洩が起きやすいため付
加鉄板11、12、13、14を設置して継鉄断面積を確保し、
磁束集中の度合いを緩和している。付加鉄板は必ずしも
図1のような単純な形状である必要はなく、厚みが変化
しているものや、より三次元的な複雑形状をしたものも
磁気回路の飽和の分布により用いられる。
【0007】本発明においては、継鉄を熱処理して製造
時や加工時に生じた残留ひずみによる継鉄の磁気特性劣
化、とりわけ保磁力と透磁率を改善することが重要であ
る。この場合の熱処理は継鉄の歪みを取り除き高い軟磁
気特性を得るために有効であり、熱処理により継鉄の軟
磁気特性が大きく改善されることは図3(a)に示す継
鉄(SS400) の熱処理前および図3(b)に示す熱処理後
のヒステリシス曲線に示すところからも明らかである。
熱処理により、軟磁性特性が向上し、磁束集中しても透
磁率の大幅な低下が起きないので、磁束漏洩が低減でき
る。
【0008】熱処理は継鉄全体に施すことが望ましい
が、処理体積・重量が多くなるので、磁束の集中する近
傍の継鉄部分のみを熱処理してもよい。図3(b)は図
1の平板1、2の四つの端部、付加鉄板11、12、13、14
と柱3、4を熱処理した場合の同組成サンプルのヒステ
リシス曲線を示したものである。ただし平板1、2の端
部のみ部分的に熱処理することは簡単ではないため、付
加鉄板11、12、13、14と柱3、4のみでもよい。この場
合付加鉄板の厚みと平板の厚み比率を、漏洩磁場の仕様
に合わせ最適化する必要がある。例えば、付加鉄板の厚
みを平板の総厚みの30〜70%とすればよい。熱処理を施
す必要があるか否かは継鉄中の磁束密度で判断すればよ
く、概ね継鉄中の磁束密度が 10,000 G以上の部分に熱
処理を行なうことが望ましい。継鉄中の磁束密度分布を
測定することは簡単ではないが、有限要素法(FEM) のよ
うな数値的電磁界解析法により継鉄中の磁束密度を見積
もればよい。数値計算の結果は実測値とよく対応するこ
とが知られている。付加鉄板11、12、13、14の形状もFE
M 等で最適化することができる。
【0009】継鉄の熱処理は、 600℃以上 900℃以下の
温度範囲で5分以上保持し、その後炉中で冷却する。熱
処理が 600℃未満の温度では磁気特性の改善度合いが低
下し、 900℃を超えると継鉄の酸化や変形が増加して好
ましくない。望ましくは、鉄のキュリー温度を挟んだ 7
00℃から 800℃の温度範囲で、継鉄が当該温度に達して
から1時間程度保持した後、平均的に 0.5℃/分以上で
かつ10℃/分以下の速度で冷却することが望ましい。
0.5℃/分未満では熱処理に時間がかかりすぎ、10℃/
分を超えると磁気特性の改善度合いが低下する。より望
ましくは1℃/分から5℃/分の冷却速度である。また
保持時間は5分未満では継鉄部材の温度が一定になら
ず、1時間を超えると熱処理時間が長くなる問題があ
る。
【0010】継鉄は純鉄もしくは低炭素鋼(SS400 、S1
0Cなど)でよく、熱処理で加工歪みなどが取り除かれる
ことにより軟磁気特性に改善が見られる。熱処理後の継
鉄の炭素含有量は 0.8%以下 0.01 %以上が好ましい。
0.8%を超えると飽和磁化が低下し、保磁力が増加し、
透磁率も悪くなる。炭素量は少ないほど望ましいが、0.
01 %未満にすることはコストがかかりすぎる。
【0011】
【実施例】次に、本発明の実施例を挙げる。 (実施例)図1に示す磁石対向型永久磁石磁気回路にお
いて、空隙距離50cmで中心磁場2000G、空隙中心を均一
磁場空間15中の中心としてφ40cmの中で 40ppmの磁場均
一度を実現した。なお、継鉄1、2、3、4、11、12、
13、14はSS400 を用い、継鉄中の磁束密度は FEMによれ
ば 10,000G以上であった。該継鉄のうち付加鉄板11、
12、13、14(厚み8cm)は、 750℃で1時間保持した
後、平均5℃/分の速度で冷却したもの(炭素量 0.4
%)を用いて該磁気回路を組み上げた。該付加鉄板の厚
みは上下平板1、2の総厚みの40%に相当する。永久磁
石5、6は NdFeB系磁石(信越化学工業社製、製品名 N
42)、整磁板7、8のベースと第1シムにSS400 を、勾
配コイル9、10に接する部分にはソフト磁性材料(3%
Si珪素鋼板の 0.3mm厚みの積層板)を用いた。空隙中心
から上方向に2mのところで漏洩磁場を測定したとこ
ろ、4.5 Gであった。
【0012】(比較例)実施例と同寸法の付加鉄板を、
熱処理せず加工したままで用いた以外は、実施例と同一
の磁気回路を用いて同様に測定を行なった。同じ位置で
の漏洩磁場は 6.1Gであった。以上から、継鉄の熱処理
が漏洩磁場の減少に有効であることがわかる。
【0013】
【発明の効果】本発明によれば、永久磁石磁気回路にお
いて継鉄体積を増加させることなく漏洩磁場を減少させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁石対向型永久磁石磁気回路の縦断面概略図で
ある。
【図2】磁石対向型永久磁石磁気回路の斜視概略図であ
る。
【図3】(a)は SS400の熱処理前のヒステリシス曲線
の一例を示すグラフである。(b)は(a)の熱処理後
の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1、2‥‥‥‥‥‥ 継鉄平板 3、4‥‥‥‥‥‥ 継鉄柱 7、8 ‥‥‥‥‥ 整磁板 5、6 ‥‥‥‥‥ 希土類永久磁石 9、10 ‥‥‥‥‥ 勾配コイル 11、12、13、14‥‥ 継鉄付加鉄板 15‥‥‥‥‥‥‥‥ 均一磁場空間 16‥‥‥‥‥‥‥‥ 環状突起
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土井 祐二 福井県武生市北府2丁目1番5号 信越化 学工業株式会社磁性材料研究所内 (72)発明者 樋口 大 福井県武生市北府2丁目1番5号 信越化 学工業株式会社磁性材料研究所内 (72)発明者 角野 和義 福井県武生市北府2丁目1番5号 信越化 学工業株式会社磁性材料研究所内 Fターム(参考) 4C096 AB32 CA08 CA16 CA38 CA70

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空隙を介して一対の永久磁石が対向し、
    各永久磁石の空隙側表面に整磁作用を有する磁性ヨーク
    とコイルを配置し、該磁石を継鉄で結合してなる永久磁
    石磁気回路において、該継鉄が 600℃以上 900℃以下で
    5分以上保持された後 0.5℃/分以上10℃/分以下の冷
    却速度で冷却したものであることを特徴とする永久磁石
    磁気回路。
  2. 【請求項2】 主に継鉄中の磁束密度が 10,000 G以上
    の部分が該条件で熱処理される請求項1記載の永久磁石
    磁気回路。
  3. 【請求項3】 該継鉄中の炭素含有量が 0.8%以下 0.0
    1 %以上である請求項1記載の永久磁石磁気回路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN100342464C (zh) * 2004-11-29 2007-10-10 沈阳东软波谱磁共振技术有限公司 永磁体温度稳定性的老化处理方法

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