JPH09268968A - 熱磁気エンジン - Google Patents

熱磁気エンジン

Info

Publication number
JPH09268968A
JPH09268968A JP7912896A JP7912896A JPH09268968A JP H09268968 A JPH09268968 A JP H09268968A JP 7912896 A JP7912896 A JP 7912896A JP 7912896 A JP7912896 A JP 7912896A JP H09268968 A JPH09268968 A JP H09268968A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
magnet
rotary drum
test
heating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7912896A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Nishikawa
雅弘 西川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP7912896A priority Critical patent/JPH09268968A/ja
Publication of JPH09268968A publication Critical patent/JPH09268968A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Dynamo-Electric Clutches, Dynamo-Electric Brakes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱磁気エンジンに於けるロータの回転安定性
を高めると共に出力増を図り、温排水等の低質エネルギ
ーを経済的に有効利用できるようにする。 【解決手段】 感熱磁性材製の円筒体とその内方へ嵌合
した軸支自体と軸支自体に固定した回転支軸とから形成
され、支持体により回転自在に軸支された回転ドラム
と,前記回転ドラムの外方に該回転ドラムの外周面と対
向状に且つその円周方向に磁極を位置せしめて配設した
磁石と,回転ドラムを形成する円筒体の一部分を加熱す
る加熱領域と,回転ドラムを形成する円筒体の前記加熱
領域以外を冷却する冷却領域とから熱磁気エンジンを構
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所謂感温磁性材料
製の円筒状ロータに作用するマックスウェル応力を回転
駆動源とする熱磁気エンジンに関するものであり、主と
して工業用温排水や廃熱等の低質エネルギーの有効利用
に利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】図26に示すように、飽和磁束密度
1 、B2 の異なった二種類の強磁性材料A1 、A2
らなる板体Aを永久磁石Mの磁界Hによって磁気飽和さ
せると、両磁性材A1 、A2 の境界面A3 にマックスウ
ェル応力が作用し、板体Aに大きな飽和磁束密度B2
方から小さな飽和磁束密度B1 の方へ向う力F=1/2
▽(B・H)が生ずることは、広く知られた事象であ
る。
【0003】一方、近年所謂キュリー温度近傍で飽和磁
束密度が急激に減少すると云う温度・磁気特性を備えた
感温磁気材の開発が進み、例えばフェライトや整磁合金
材(サーマロイ等)の如く、その成分調整によってキュ
リー温度を広範囲に亘って任意に設定できるようにした
感温磁性材が出現して来た。
【0004】そのため、前記図26の板体Aを感温磁性
材により製作し、図27に示す如く感温磁性材から成る
板体Cの片側の端部C1 を加熱してその飽和磁束密度B
1 を小さくすると共に、他側の端部C2 を冷却してその
飽和磁束密度B2 を高め、これに永久磁石Mの磁界を与
えることにより、板体Cの力Fを発生させると云う機構
が着想された。
【0005】また、これを発展せしめて図28に示す如
く、回転自在に軸支したディスク体Dの外周端面に複数
個の感温磁性材から成るマグネット片Eを突設し、その
一部を加熱用油槽3内へ侵漬させると共に、ディスク体
Dの外周縁部の両側に永久磁石若しくは電磁石Kを配置
することにより、マグネット片Eに作用するマックスウ
ェル応力をディスク体Dの回転駆動力として利用するよ
うにした熱磁気エンジン(若しくは熱磁気モータ)が開
発された(東北大学 Technogy Report
s Vol43 No2 1978等)。
【0006】しかし、前記図28の熱磁気エンジンは、
ディスク体Dの外周端面に突設したマグネット片Eをそ
の両側から磁石Kにより挾む構成としているため、磁石
Kの磁力によってディスク体Dに支軸方向の振れ(横振
れ)が生じてディスク体Dの回転が不安定になり易く、
特にエンジンを大型化した場合には、前記横振れによる
不安定がより顕著になって、実用に供し得ないと云う問
題がある。また、従前のこの種熱磁気エンジンは、一般
にエンジン容積に対する出力の割合(比出力)が極めて
低いため、経済性の点から実用化が図り難いと云う問題
がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従前のこの
種熱磁気エンジンに於ける上述の如き問題、即ち回転
ディスク体が、その軸方向(鉛直方向)に横振れを起し
易く、ディスク体の回転が不安定になること、及びエ
ンジン容量に対する出力の割合(比出力)が極めて低
く、経済性の点から実用化が図り難いこと等の問題を解
決せんとするものであり、感温磁性材の材質や磁石の材
質、ロータの構造、ロータと磁石の相互位置等に改良を
加えることにより、より安定したロータの回転性と高い
比出力の達成を可能とした熱磁気エンジンを提供せんと
するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本件発明は、感熱磁性材
製の円筒体1aとその内方へ回転子1bと回転子1bに
固定した回転支軸1cとから形成され、軸支持体4によ
り回転自在に軸支された回転ドラム1と,前記回転ドラ
ム1の外方に該回転ドラム1の外周面と対向状に且つそ
の円周方向に磁極2a、2bを位置せしめて配設した磁
石2と,回転ドラム1を形成する円筒体1aの一部分を
加熱する加熱領域5と,回転ドラム1を形成する円筒体
1aの前記加熱領域5以外の部分冷却する冷却領域6と
を発明の基本構成とするものである。
【0009】
【発明の実施の態様】図1は本発明に係る熱磁気エンジ
ンの作動原理の説明図であり、図2は本発明に係る熱磁
気エンジンの要部縦断面図であり、測定装置の配置関係
が図示されている。図1及び図2に於いて、1は回転ド
ラム、2は磁石、3はケース本体、4は軸支持体、5は
加熱領域、6は冷却領域である。前記図26の説明に於
いても述べたように、飽和磁束密度B1 、B2 の異なる
二種類の磁性材A1 、A2 の境界面A3 に作用するマッ
クスウェル応力Fは、次式により表わされる。 F=1/2▽(B・H) =1/2(dB/dX・H+dH/dX・B) =1/2(dB/dT・dT/dX・H+dH/dX・B) 但し、上式に於いてBは磁束密度(T)、Hは外部磁界
の強さ(A/m)、Xは回転体の周方向の距離(m)、
Fは応力(N)であり、また、式中のdB/dTは回転
ドラム1を形成する感温磁性体の温度変化による磁気特
性の変化(磁束密度Bの変化)を、dT/dXは感温磁
性体の温度分布を、dH/dXは磁気回路の形状による
外部磁界Hの分布を夫々示すものである。
【0010】尚、前記応力Fを回転ドラム1の全周に亘
って積分し、これにドラムの断面積を乗じたものが得ら
れる力を表わすことになり、前記dB/dT、dT/d
X、dH/dX等の値の大きいほうが、より大きな力F
を得ることが出来る。
【0011】本実施態様に於いては、回転ドラム1は、
図3に示す如く直径400mm、横幅100mm、厚さ
1mmの感熱磁性体から成る円筒体1aの内方へ、中央
部に軸挿通用リブ部を設けた耐熱合成樹脂製の回転子1
bを嵌合固定させ、これに回転支軸1cを挿通固定する
ことにより形成されている。
【0012】尚、前記円筒体1aを形成する感熱磁性体
としては、キュリー温度を常温近くに設定可能なこ
と、飽和磁束密度が大きく、温度に対する磁気特性変
化が急峻なこと、熱入力に対して応答が早いこと、及
び加工性がよく経年変化がないこと等の特性を具備す
るものが好都合である。また、熱磁気エンジンの熱源に
工業温排水を用いることを考えると、キュリー温度は5
0℃〜250℃、望しくは60℃〜100℃に設定する
のが望ましい。
【0013】一方、前記キュリー温度を制御することが
できる感温磁性体としては、フェライトや整磁材料があ
り、図4は代表的なフェライトと整磁材料の磁界が25
(Oe )での飽和磁束密度対温度の関係を示すものであ
る。図4からも明らかなように、整磁鋼のほうが飽和磁
束密度の値が大きく、またキュリー温度付近で急激に変
化している。変化する磁束密度の差が大きいほど発生す
る力も大きいということから考えると、熱磁気エンジン
には整磁材料が適していると考えられる。また整磁材料
は金属であることから、やの条件に対しても十分有
効である。
【0014】上述の如き観点から、本実施態様では回転
ドラム1用の感熱磁性材として整磁材料のサーマロイを
使用している。成分は鉄・ニッケルであって、他の材料
に比べて前記各条件の点で優れており、熱的・機械的シ
ョックにも強く、しかも耐食性もよいと云う特徴を有し
ている。また、Tc 1000は50℃〜250℃の範囲
で設定ができ、本実施態様では70℃と80℃のものを
使用する。但し、ここでTc 1000とは、磁界Hが2
50e に於ける感温磁性材料の飽和磁束密度が1000
Gになるときの温度のことであり、キュリー温度とは少
し異なる。尚、図5及び図6は、Tc 1000が70℃
及び80℃のサーマロイの飽和磁束密度対温度の特性を
示すものであり、また、当該サーマロイの物理特性はT
c1000…50〜250(℃)、密度…8.2(g/
cc)、硬さ…130(HV)、弾性係数…8500
(kg/mm)、熱膨張係数…0.00001(1/
℃)、比熱…0.12(Cal/g・℃)、熱伝導率1
3.6である。
【0015】前記回転ドラム1は図3に示す如く、軸支
持体4を介して回転自在に支持されており、後述するよ
うに下方部の一定領域が熱媒5b内へ侵漬されている。
尚、本実施態様では、軸支持体4を介して支軸1cを支
持する構成としているが、軸支持体4とケース本体3と
を兼用として、支軸1cをケース本体3へ軸支すること
も可能である。また、本実施態様では回転子1bを耐熱
性合成樹脂により形成しているが、固体断熱材と金属材
の組合わせから成る回転子1bとしてもよいことは勿論
である。
【0016】前記磁石2は図1及び図7に示す如くコバ
ルト・サマリウム永久磁石から成る磁極2a、2bとヨ
ーク2cとから形成されており、磁極2a、2bの外形
寸法は25mm×20mm×100mm(横幅)に、ま
たヨーク2cは25mm×122mm×100mm(横
幅)に、夫々選定されている。即ち、熱磁気エンジンの
磁極2a、2bとして永久磁石を使用する場合、磁気
特性が高いこと、温度変化による磁性への影響が小さ
いこと、機械的強度、耐食性がよいこと等の特性を具
備した永久磁石が好都合である。
【0017】
【表1】 一方、表1は実用磁石材料の主要磁気特性を示すもので
ある。
【0018】上記表1からも明らかなように、アルニコ
磁石は最大で8〜11(MGOe )の最大エネルギー積
をもつ。フェライト磁石は、残留磁束密度がアルニコ磁
石のほぼ1/2の0.4(T)と低く、最大エネルギー
積も2〜4.5(MGOe )であるが、保磁力は3〜5
倍と高い値である。高保磁力であることは、磁化が容易
に消えないことでもあり、アルニコ磁石は単に放置した
だけの状態では磁化が減衰する径年変化を示すが、フェ
ライトではこのような径年変化はほとんど起こらない。
また、希土類磁石にはコバルト・サマリゥム磁石とネオ
ジゥム・ 鉄・ボロン磁石とがあるが、コバルト・サマ
リゥム磁石は保磁力がフェライト磁石のほぼ2倍、残留
磁束密度はアルニコ系とほぼ同値で、ともに高く、最大
エネルギー積は30(MGOe )である。ネオジゥム・
鉄・ボロン磁石はさらに磁気特性が高く、現用磁石の
うちでもっとも強い磁石である。
【0019】次に温度による磁性への影響を検討する。
アルニコ磁石は、磁束密度の温度係数は通常−0.02
(%/℃)の程度で影響は少ない。フェライト磁石は、
磁束密度の温度係数は−0.18〜−0.19(%/
℃)で且つ保磁力の温度係数は0.35〜0.45(%
/℃)であり、温度による影響が著しい。希土類磁石の
コバルト・サマリゥム磁石は、温度係数は低くてアルニ
コ材のほぼ2倍程度である。ネオジゥム・鉄・ボロン磁
石は、温度の影響が比較的大きく、残留磁束密度の温度
係数はほぼフェライト磁石の半値を超える値で、また、
保磁力も温度の影響が大きいが、フェライトと異なり温
度係数は負値となる。また、機械的強度という点では、
どの磁石も硬くもろいので旋削、穴あけなどの機械加工
は難しく、希土類磁石は耐食性にも劣ている。
【0020】上述の如き観点から、本実施態様に於いて
は、磁極2a・2bとして磁気特性が高く、温度変化に
よる磁性の変化も少ないコバルト・サマリゥム磁石を使
用する。尚、耐食性については、各種金属によるメッ
キ、塗装などの加工を行うことにより補う。また、本実
施態様で使用するコバルト・サマリゥム磁石の磁気特性
は、最大エネルギー積…26.69(MGOe ),残留
磁束密度…1.0669(KG)、B保持力…8.84
9(KOe )、J保持力…10.05(KOe )、磁束
密度の温度係数…3(%/℃)、リコイル比透磁率…
1.02、キュリー温度…820(℃)である。
【0021】更に、前記磁石2を形成するヨーク2bに
は、透磁率の高い純鉄等が用いられるが、本実施態様で
は強度、耐食性を考えてSUS430を使用した。
【0022】前記磁石2は、図1に示す如く回転ドラム
1の外周面と所定の間隔を置いて対向状に配設され、後
述する如く、磁石2の中心と回転ドラム1の中心とを結
ぶ線が水平線に対して所定の角度φを保持するように、
磁石支持体2dを介して支軸1cへ支持されている。
尚、本実施態様に於いては、磁石2を永久磁石製として
いるが、永久磁石に代えて電磁石を使用するようにして
もよいことは勿論である。また、本実施態様では、磁石
2を磁石支持体2dを介して支軸1cへ支持する構成と
しているが、ケース本体3へ支持固定することも可能で
ある。
【0023】前記ケース本体3は直方体状のBOXに形
成されており、その下方部には加熱域5を形成するため
の熱媒タンク5aが配設されており、該タンク5bの内
部には熱媒5として湯又は熱媒油が貯留されている。
尚、本実施態様では加熱域5の熱媒5bを70〜90℃
の湯としているが、熱媒5bとしては油やその他の液体
であっても、或いは廃蒸気等と水との混合体であっても
よく、更に熱媒タンク5a内を熱媒5bが流動する形態
とすることも可能である。又、円筒体1aの下方部は常
時加熱領域5を形成する熱媒タンク5a内へ浸漬されて
おり、図8に示す如く側面視に於いて、熱媒5bと円筒
体1a両側の各接触点と、円筒体1aの中心とを結ぶ二
つの直線のなす角度θは70〜80℃の間に設定されて
いる。
【0024】前記冷却領域6は、本体ケース3の内部上
方空間部に形成されており、シロッコファン6aからの
送風により、回転ドラム1の外表面を強制冷却する構成
となっている。尚、本実施態様では冷却領域6を風冷構
造としているが、別途に設けた冷却装置(図示省略)か
らの冷風又は冷水により、冷却領域6を間接的又は直接
的に冷却する構成とすることも可能である。また、冷却
領域6を自然冷却とすることも可能である。
【0025】次に、本発明に係る熱磁気エンジンの動特
性試験とその結果について説明する。動特性試験に際し
ては、前記図3に示す如く記録部7、温度測定部8、ト
ルク・回転速度測定部9、風量測定部10等を接続し、
保温を施した熱媒タンク5a内へ水を入れてヒータ(図
示省略)で加熱することにより、加熱冷領域5の温度を
上げると共にシロッコファン6aにより冷却領域6を強
制風冷する。次に、回転ドラム1の支軸1cとトルクメ
ータ9aとをユニバーサルジョイント9bを介して連結
し、トルクメータ9aにより回転ドラム1へ負荷トルク
をかけることによりトルク、回転速度を測定すると共
に、熱電対により冷却領域6の冷却温度、加熱領域5の
加熱温度、感温磁性材製円筒体1aの温度変化等を測定
した。
【0026】表2は、上記動特性試験の実施条件を示す
ものであり、また、表2の加熱領域5は図8の角度θ
で、磁石2の位置は図8の角度φで、ギャップGaは図
8のGaで夫々示される値である。
【0027】
【表2】
【0028】試験1〜試験6では、トルクメータ9aに
より負荷トルクを少しづつ変えながらかけ、その時のト
ルク、回転速度、温度分布を測定した。試験7〜試験9
では、磁石2の位置φとギャップGaを変化させなが
ら、且つ試験7ではトルクを一定にして回転速度、温度
分布の測定をし、試験8及び試験9では回転速度を一定
にしてトルク、温度分布の測定を行った。
【0029】以下に各試験の結果を示す。尚、試験1〜
試験6は、トルク・出力曲線とその各試験において回転
速度が最も速いときT1 、最も遅いときT2 、最高出力
を得たときTM の温度分布を示す。また、試験7〜試験
9は、磁石の位置に対して出力、トルク、回転速度を示
す。 [試験1]加熱温度を89℃、加熱領域5を69deg
で回転ドラム1を加熱し、冷却は上部よりシロッコファ
ンにより7m/sの送風て行った。冷却温度は16℃で
あった。また磁石位置φを70deg、ギャップGaは
5mmで磁気回路を設置した。図9及び図10はその結
果を示すものである。
【0030】[試験2]試験2は、試験1の試験条件の
うち加熱温度のみ83℃変えて行った。図11及び図1
2は試験結果を示すものであり、試験1に比べ出力が低
いことがわかる。
【0031】[試験3]試験1の条件において冷却方法
のみ変えて試験を行った。冷却は自然冷却で行い、冷却
温度は30℃であった。図13及び図14の結果を見る
と、試験1に比べ出力は低く且つそのピークは回転速度
が遅いほうにシフトしているのがわかる。
【0032】[試験4]感温磁性材料(円筒体1a)と
してTc 1000が80.5℃のものを使用し、試験1
での試験条件のうち冷却方法を側面からシロッコファン
2基により冷却するように設定して試験を行なった。図
15及び図16はその結果を示すものであり、試験1と
比較すると出力は低くなり、温度サイクルが低温側にシ
フトしていることがわかる。
【0033】[試験5]試験4の条件から加熱温度のみ
80℃に変化させて試験を行った。図17及び図18は
その結果を示すものであるが、試験5と比べ出力に大き
な違いのないことがわかる。
【0034】[試験6]試験4の条件のうち、冷却方法
を自然冷却として実験を行った。図19及び図20はそ
の試験結果を示すものである。
【0035】[試験7]加熱温度89℃、加熱領域θ=
69deg、冷却は送風により冷却温度を16.5℃と
して行った。負荷トルクを一定にして、磁石位置φとギ
ャップGaを変化させて、回転速度を測定した。図21
及び図22はその結果を示すものである。
【0036】[試験8]及び[試験9]感温磁性材料
(円筒体1a)のTc 1000が70.5℃と80.5
℃のものについて、回転速度を一定にして磁石位置φ、
ギャップGaを変化させ、それぞれのトルクの測定を行
った。試験条件はTc 1000が70.5℃のときは加
熱温度85℃、Tc 1000が80.5℃のときは加熱
温度83℃で行った。冷却は送風で、冷却温度16.5
℃で行った。図23は試験8の、また図24は試験9の
結果を夫々示すものであり、ともに磁石位置φが75d
egの位置でトルクが最高になっている。
【0037】前記試験1乃至試験6の結果から、回転速
度が遅くなり、永久磁石2の動作域において感温磁性材
料(円筒体1a)に大きな温度差ができるほど、発生す
るトルクは大きくなったことがわかる。また、前記試験
1乃至試験6の結果から、いかに高回転時に、円筒体1
aに温度差を与えるかが、高出力を得るための要因にな
っていることがわかる。
【0038】試験7はトルクを一定にして磁石位置φを
変化させて、回転速度を測定したものであるが、トルク
が0.01kgcmと0.5kgcmときには、磁石位
置φが90degに近づくほど回転速度が速くなり、ト
ルクが0.1kgcmと0.15kgcmでは磁石位置
φが75deg付近で回転速度が速くなる。これは、回
転速度が速くなると、有効な温度差ができるポイントが
90deg方向にづれていくと考えられる。
【0039】試験8及び試験9は、感温磁性材料(円筒
体1a)のTc 1000が70.5℃と80.5℃のそ
れぞれについて、回転速度を一定にし、磁石位置φとギ
ャップGaを変化させてトルクを測定したものである。
回転速度が一定ということは、いつも感温磁性材料が同
じ温度分布をもつことを意味する。またギャップGaを
変化させることは、感温磁性材料にかける磁界を変化さ
せることになる。Tc 1000が70.5℃と80.5
℃のどちらの場合でも、磁石位置φが75degのと
き、及びギャップGaが2mmのときに、最大のトルク
が得られた。今回使用する磁気回路においては、φ=7
5degの近傍に円筒体1aに温度差を与えるのに有効
なポイントがあると考えられる。また感温磁性材料(円
筒体1a)にかける磁界は、強い程より高い出力が得ら
れることがわかる。
【0040】即ち、各試験の結果から磁石位置φは60
°〜90°の間に設定するのがよく、より望ましい設定
は75°である。また、円筒体1aを形成する感温磁性
材のキュリー温度は、回収利用する排熱や廃蒸気の温度
からして50℃〜250℃の間に設定するのがよく、よ
り望ましい設定は60℃〜95℃の間である。更に、円
筒体1aの加熱領域θは70°〜90°位に設定するの
が望ましい。加えて、本実施態様に於ける熱磁気エンジ
ンの静止トルクは約0.7Nであり、最高出力は回転速
度が12rpmのときに0.17Wであった。
【0041】尚、上述した実施態様では図2及び図3に
示す如く、ドラム幅を100mm及び永久磁石を1個
(加熱・冷却サイクル数=1)としているため、最高出
力は0.17W程度であるが、ドラム幅の増加、加熱・
冷却サイクル数の増加や冷却方法の改良により、出力増
を達成し得ることが確認されている。
【0042】図25は永久磁石を4個とし(従って、加
熱・冷却サイクル数は4となる)た場合の熱磁気エンジ
ンの横断面の概要を示すものであり、円筒状の回転ドラ
ム1の外周面に4個の永久磁石2と4組の加熱・冷却領
域5,6が夫々90度の間隔で配置されている。
【0043】即ち、前記回転ドラム1を形成する感熱磁
性体製円筒体1aは4区画に分割されて居り、各分割片
1a′の相互の間は熱絶縁材1b′等により熱的に絶縁
された状態で夫々回転子1bへ固定されている。尚、回
転子1bは合成樹脂等の伝熱抵抗の高い物質により形成
されている。
【0044】また、加熱域5及び冷却域6は、前記各永
久磁石2に対して夫々一組設けられて居り、合計4組の
加熱・冷却領5,6が、回転ドラム1の外周面にその円
周方向に沿って配置されている。尚、加熱域5及び冷却
域6の形成方法は如何なる方法であってもよいが、図2
5の実施態様にあっては温風及び冷風を円筒体の分割片
1a′の外周面に沿ってドラム軸方向に流すことによ
り、加熱域5及び冷却域6を形成している。
【0045】
【発明の効果】本発明は前述の通り、感温磁気材料から
成る円筒体1aと回転子1bとを組み合せて回転ドラム
1を形成すると共に、回転ドラム1の下方部外周面と対
向状に且つ円周方向に磁極2a、2bを位置せしめて磁
石2を配置し、回転ドラム1に作用するマクスウェル応
力を利用してドラム1を回転させる構成としている。そ
の結果、従前のディスク形の回転体を利用する熱磁気エ
ンジンの場合のように、磁石2の磁力によって回転ドラ
ム1に支軸方向の横振れを生じるようなことが一切発生
せず、回転ドラム1は極めて安定した回転を行なうこと
ができる。また、回転ドラム1の横幅長さや永久磁石数
(加熱・冷却数)を増すこと等により、熱磁気エンジン
の出力増を容易に図ることができ、工業用温排水等の低
質エネルギーの経済的な回収が可能となる。本発明は上
述の通り、優れた実用的効用を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱磁気エンジンの作動説明図であ
る。
【図2】熱磁気エンジンの要部縦断面図である。
【図3】回転ドラムの断面概要図である。
【図4】フェライト及び整磁鋼の飽和磁束密度・温度の
特性曲線である。
【図5】永久磁石(サーマロイ)の磁束密度・温度特性
を示すものである。
【図6】永久磁石(サーマロイ)の他の磁束密度・温度
特性を示すものである。
【図7】永久磁石の横断面図である。
【図8】磁石の取付位置φ及び円筒体と熱媒との位置関
係θを示す説明図である。
【図9】試験1の試験結果を示す線図である(トルク・
出力曲線)。
【図10】試験1の試験結果を示す線図である(温度サ
イクル曲線)。
【図11】試験2の試験結果を示す線図である(トルク
・出力曲線)。
【図12】試験2の試験結果を示す線図である(温度サ
イクル曲線)。
【図13】試験3の試験結果を示す線図である(トルク
・出力曲線)。
【図14】試験3の試験結果を示す線図である(温度サ
イクル曲線)。
【図15】試験4の試験結果を示す線図である(トルク
・出力曲線)。
【図16】試験4の試験結果を示す線図である(温度サ
イクル曲線)。
【図17】試験5の試験結果を示す線図である(トルク
・出力曲線)。
【図18】試験5の試験結果を示す線図である(温度サ
イクル曲線)。
【図19】試験6の試験結果を示す線図である(トルク
・出力曲線)。
【図20】試験6の試験結果を示す線図である(温度サ
イクル曲線)。
【図21】試験7の試験結果を示す線図である(磁石位
置・出力曲線)。
【図22】試験7の試験結果を示す線図である(磁石位
置・回転速度曲線)。
【図23】試験8の試験結果を示す線図である(磁石位
置・トルク曲線)。
【図24】試験9の試験結果を示す線図である(磁石位
置・トルク曲線)。
【図25】磁石数を4個とした加熱磁気エンジンの要部
を示す横断面概要図である。
【図26】磁性材に作用するマックスウェル応力の説明
図である。
【図27】感温磁性材に作用するマックスウェル応力の
説明図である。
【図28】従前の熱磁気エンジンの縦断面概要図であ
る。
【符号の簡単な説明】
1…回転ドラム、1a…感熱磁性体製円筒体、1b…回
転子、1c…回転支軸、2…磁石、2a・2b…磁極、
2c…ヨーク、2d…磁石支持体、3…ケース本体、4
…軸支持体、5…加熱冷域、5a…熱媒タンク、5b…
熱媒、6…冷却領域、6a…シロッコファン、7…記録
部、8…温度測定部、9…トルク・回転速度測定部、9
a…トルクメータ、9b…ユニバーサルジョイント、1
0…風量測定部。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感熱磁性材製の円筒体(1a)とその内
    方へ嵌合した回転子(1b)と回転子(1b)に固定し
    た回転支軸(1c)とから形成され、軸支持体(4)に
    より回転自在に軸支された回転ドラム(1)と,前記回
    転ドラム(1)の外方に該回転ドラム(1)の外周面と
    対向状に且つその円周方向に磁極(2a)、(2b)を
    位置せしめて配設した磁石(2)と,回転ドラム(1)
    を形成する円筒体(1a)の一部分を加熱する加熱領域
    (5)と,回転ドラム(1)を形成する円筒体(1a)
    の前記加熱領域(5)以外の部分を冷却する冷却領域
    (6)とから構成したことを特徴とする熱磁気エンジ
    ン。
  2. 【請求項2】 回転ドラム(1)の外周面と対向状に且
    つその円周方向にほぼ等間隔でもって複数個の磁石
    (2)を配設すると共に、回転ドラム(1)を形成する
    円筒対(1a)の各磁石(2)が対向する各区画内に、
    加熱領域(5)と冷却領域(6)を夫々設ける構成とし
    た請求項1に記載の熱磁気エンジン。
  3. 【請求項3】 円筒体(1a)を形成する感熱磁性材を
    フェライト又はサーマロイとすると共に、当該フェライ
    ト又はサーマロイのキュリー温度を50℃〜95℃に設
    定するようにした請求項1又は請求項2に記載の熱磁気
    エンジン。
  4. 【請求項4】 磁石(2)をコバルト・サマリウム磁石
    とするようにした請求項1又は請求項2に記載の熱磁気
    エンジン。
  5. 【請求項5】 加熱領域(5)の加熱源を温排水若しく
    は廃蒸気とした請求項1又は請求項2に記載の熱磁気エ
    ンジン。
  6. 【請求項6】 磁石(2)の取付位置を、側面視に於い
    て磁石(2)の中央と円筒体(1a)の中心を結ぶ線
    と、水平線とが成す角度φが60〜90°となるように
    設定した請求項1に記載の熱磁気エンジン。
JP7912896A 1996-04-01 1996-04-01 熱磁気エンジン Pending JPH09268968A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7912896A JPH09268968A (ja) 1996-04-01 1996-04-01 熱磁気エンジン

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7912896A JPH09268968A (ja) 1996-04-01 1996-04-01 熱磁気エンジン

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09268968A true JPH09268968A (ja) 1997-10-14

Family

ID=13681316

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7912896A Pending JPH09268968A (ja) 1996-04-01 1996-04-01 熱磁気エンジン

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09268968A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001289045A (ja) * 2000-04-07 2001-10-19 Masahiro Nishikawa 熱磁気回転装置を利用したエンジン冷却水の冷却方法
CN1111255C (zh) * 2000-07-31 2003-06-11 刘立峰 转动式温差发动机
JP2012229634A (ja) * 2011-04-25 2012-11-22 Denso Corp 熱磁気エンジン装置、および可逆熱磁気サイクル装置
CN103326542A (zh) * 2012-03-23 2013-09-25 台达电子工业股份有限公司 磁热装置
WO2022185723A1 (ja) * 2021-03-02 2022-09-09 健二 香取 エネルギー変換素子

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001289045A (ja) * 2000-04-07 2001-10-19 Masahiro Nishikawa 熱磁気回転装置を利用したエンジン冷却水の冷却方法
JP4486212B2 (ja) * 2000-04-07 2010-06-23 雅弘 西川 熱磁気回転装置を利用したエンジン冷却水の冷却装置
CN1111255C (zh) * 2000-07-31 2003-06-11 刘立峰 转动式温差发动机
JP2012229634A (ja) * 2011-04-25 2012-11-22 Denso Corp 熱磁気エンジン装置、および可逆熱磁気サイクル装置
CN103326542A (zh) * 2012-03-23 2013-09-25 台达电子工业股份有限公司 磁热装置
US20130247572A1 (en) * 2012-03-23 2013-09-26 Delta Electronics, Inc. Magnetic thermal device
WO2022185723A1 (ja) * 2021-03-02 2022-09-09 健二 香取 エネルギー変換素子
JP2022133562A (ja) * 2021-03-02 2022-09-14 健二 香取 エネルギー変換素子

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4555310B2 (ja) 永久磁石組立体
KR101938717B1 (ko) 자기 재생기 유닛과 이를 갖는 자기 냉각 시스템
JP3746664B2 (ja) 永久磁石式リラクタンス型回転電機
JP2006203173A (ja) 永久磁石の着磁方法
US6313553B1 (en) Rotating electromagnetic actuator comprising at least one magnet embedded in ferromagnetic material
JP2006304475A (ja) 磁性部材、モータ装置、着磁方法、及び記憶装置
JP5126218B2 (ja) 特に巻取り/巻出し装置用のヒステリシスを有する磁気カップリング
JPH09268968A (ja) 熱磁気エンジン
US2391313A (en) Pyromagnetic motor
JP3661978B2 (ja) 可動コイル形リニアモータ
JP2007272998A (ja) 永久磁石磁気回路、軸対称磁場形成方法、および、垂直磁気記録媒体の製造方法
JP2000104655A (ja) 熱磁気エンジン
JP4218762B2 (ja) 磁場中熱処理装置
JP4486212B2 (ja) 熱磁気回転装置を利用したエンジン冷却水の冷却装置
US8789378B2 (en) Magnetic flux detection apparatus
JP4264940B2 (ja) 超電導磁気軸受装置
JP2020038026A (ja) 磁気冷凍装置
DE59913563D1 (de) Elektromagnetische hystereseeinheit
JPH06141572A (ja) 磁性体エンジン
JP2002343541A (ja) 誘導加熱装置
JP2006128234A (ja) 磁気装置
Han et al. Design and experiment of a rotary room temperature permanent magnet refrigerator
JPS5832476Y2 (ja) ボイスコイル形モ−タ
JPS6127465B2 (ja)
JPS5828465Y2 (ja) 往復駆動装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20070801

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070927

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080630