JP4000979B2 - インクジェット記録用紙 - Google Patents
インクジェット記録用紙 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4000979B2 JP4000979B2 JP2002298718A JP2002298718A JP4000979B2 JP 4000979 B2 JP4000979 B2 JP 4000979B2 JP 2002298718 A JP2002298718 A JP 2002298718A JP 2002298718 A JP2002298718 A JP 2002298718A JP 4000979 B2 JP4000979 B2 JP 4000979B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- recording paper
- fine particles
- polymer
- compound
- ink
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Ink Jet (AREA)
- Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高いインク吸収性とプリント濃度を有し、プリント保存後にも画像が滲みにくいインクジェット記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録は急速に画質が向上してきており、写真画質に迫りつつある。このような画質をインクジェット記録で達成するために、記録用紙の面からも技術開発が進んでおり、高平滑性の支持体上に微小な空隙を有するインク吸収層を設けた記録用紙は、高インク吸収性や高乾燥性であることから最も写真画質に近いもののひとつになりつつある。
【0003】
ところで、高平滑性支持体として一般的に用いられるのは、ポリエステルフィルムやポリオレフィンフィルム、あるいはポリオレフィンで被覆した紙支持体など、インクを吸収しない支持体である。このような非インク吸収性支持体にインク吸収性の空隙層を設けるに当たっては、十分な量のインクを吸収するに足る膜厚の空隙層を設ける必要がある。高い空隙容量を達成するためには塗布膜厚を増大させるのが最も効果的ではあるが、この場合には製造上コストが増大したりする不利があるだけでなく、固形分も一緒に増加するために皮膜のカールや脆弱性(特に低湿下のヒビワレや支持体に対する膜接着性)が大きく低下しやすい。通常、こうした非インク吸収性支持体上に空隙層を塗布する場合、乾燥膜厚として30μm以上、好ましくは35μm以上の膜厚で塗布することになる。
【0004】
空隙層の乾燥膜厚を30μm以上で塗布する場合には、塗布液の湿潤膜厚として少なくとも100μm以上、通常130μm以上で塗布する。このような厚い湿潤膜厚で水系塗布液を支持体上に塗布する場合の問題点として、乾燥に時間がかかること及び、乾燥時の液ヨリによるムラを起こしやすいため充分な空隙容量をもつインク吸収層を形成しづらい欠点がある。水系塗布液の主な溶媒である水は沸点が高いために、単に加熱処理だけで乾燥させる際には著しく長い乾燥時間及び膨大な乾燥ゾーンを必要とする。一方、このような長い時間をかけて乾燥している間、塗布された液は種々の原因で液が局所的に動き、いわゆる液ヨリを起こして不均一な塗布膜面になる。液ヨリが発生すると、塗膜面が不均一になるだけでなく、厚くなった部分は乾燥不良を起こし、巻き取られる時に重大な製造上のトラブルを起こしかねない。
【0005】
上記のような問題点を克服するため、少量の親水性バインダーと、多量の無機微粒子で構成される空隙型インクジェット塗工液に更に架橋剤を添加した塗工液の塗布手段が知られている。例えば、無機微粒子にシリカを用い、親水性バインダーとしてポリビニルアルコールと架橋剤に硼酸又はその塩からなる塗工液の低温に於ける大幅な増粘効果を示す塗工液の例(例えば、特許文献1、2参照)が示されている。この性質を利用して、塗工液を支持体上に塗布し、冷却増粘させた後、比較的低温(約20〜60℃)の強い風を吹き付けて乾燥することができ、高い空隙量を有するインク吸収層が得られる。
【0006】
従って、架橋剤を用いた高い低温増粘性を示す空隙型インクジェット塗工液の場合には、乾燥時間に伴う問題の発生が抑制され、更に高い空隙率を有するインク吸収層が得られる。しかしながら、高空隙のインク吸収層は脆弱になり易く、特に折り曲げなどによるひび割れが起きやすいという課題が生じてくる。殊に、硼酸などの架橋剤は、添加量の増大に伴いひび割れの課題が顕著になる傾向にあることが本発明者の検討によりわかってきた。
【0007】
本発明者らは、先に低温増粘性ポリマー微粒子と平均粒径が400nm以下の無機微粒子からなる塗工液を塗布乾燥することにより得られるインクジェット記録用紙において、高い空隙率による良好なインク吸収性を維持したまま、折り曲げ等によるひび割れ耐性の改善がなされ、更にカチオン定着剤を含有させることでプリント後の経時滲みが抑制されることを見出した。
【0008】
しかしながら、最近のプリンターにおけるプリント速度の向上と各種プリントモードに適性を持たせるという点において、インク吸収速度は必ずしも充分ではなく更なるインク吸収性の改善が望まれていた。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−27093号公報 (実施例1〜3)
【0010】
【特許文献2】
特開2000−218927号公報 (実施例1)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑みなされたものであり、高いインク吸収性とプリント濃度を併せ持ち、プリント保存後の滲み耐性に優れた高画質で高光沢なインクジェット記録用紙を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0013】
1.低温増粘性ポリマー微粒子と平均粒径が10〜400nmの無機微粒子および多価金属ポリマー化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
【0014】
2.多価金属ポリマー化合物がジルコニウム原子又はアルミニウム原子を含有する化合物であることを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録用紙。
【0015】
3.多価金属ポリマー化合物がポリ塩化アルミニウム化合物、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム化合物又はジルコニウム系活性無機ポリマーのいずれかであることを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録用紙。
【0016】
4.N置換(メタ)アクリルアミド誘導体モノマーを組成として有するポリマー微粒子と平均粒径が10〜400nmの無機微粒子および多価金属ポリマー化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
【0017】
5.多価金属ポリマー化合物がジルコニウム原子又はアルミニウム原子を含有する化合物であることを特徴とする前記4に記載のインクジェット記録用紙。
【0018】
6.多価金属ポリマー化合物がポリ塩化アルミニウム化合物、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム化合物又はジルコニウム系活性無機ポリマーのいずれかであることを特徴とする前記4に記載のインクジェット記録用紙。
【0019】
7.無機微粒子がシリカであることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
【0020】
本発明を更に詳しく説明する。プリント保存時の経時滲みを抑制する為に用いられるカチオン性ポリマーは、一般に水溶性ポリマーが用いられ、水溶性であるが故にインク中の水分によって素早く膨潤する性質を有している。そのため、インクジェット記録用紙中の微細な空隙構造の中で、水溶性ポリマーがインク用溶媒により膨潤することで、インクジェット記録用紙のインク吸収速度は低下しやすい傾向にある。インク吸収性を維持したまま滲み耐性を上げる手段としては、多価金属の使用によるカチオンポリマーの減量が効果的である。
【0021】
しかしながら、本発明の低温増粘性ポリマー微粒子と平均粒径が10〜400nmの無機微粒子からなるインク吸収層に、カチオン定着剤として多価金属塩を用いた場合、多価金属塩を含まない場合に比べプリント時の濃度が低下する問題があることが分かった。
【0022】
プリント濃度が低下する現象は、低温増粘性ポリマー微粒子と平均粒径が10〜400nmの無機微粒子からなる液に更に多価金属塩を含有する塗工液を支持体上に塗布乾燥して得られるインクジェット記録用紙において特に著しく、低温増粘性ポリマー微粒子と平均粒径が10〜400nmの無機微粒子からなる塗工液を塗布乾燥後、更にスプレー等の塗布手段により多価金属塩をオーバーコートした場合においても、程度は軽減するものの同様にプリント濃度低下が起きることがわかった。
【0023】
この理由としては現時点では未だ明確とはなっていないが、多価金属塩の添加による塩濃度の増加に伴い、塗工液中の低温増粘性ポリマー微粒子の分散状態が不安定化し凝集を引き起こすことによって皮膜透明性が下がることからプリント濃度が抑制されると考えている。また、低温増粘性ポリマー微粒子と無機微粒子からなる塗工液を塗布乾燥後、オーバーコートにより多価金属塩を付与した場合においても、オーバーコート時の湿潤状態において同様に低温増粘性ポリマー微粒子の凝集が起きるものと推定している。
【0024】
上記課題に対し鋭意検討を行った結果、多価金属塩として多価金属ポリマー化合物を使用した場合、高いプリント濃度と優れた滲み耐性が得られることを見出し本発明に至った。多価金属ポリマー化合物においては、フリーな塩の濃度が低い為に、低温増粘性ポリマー微粒子の凝集が起きにくいと考えている。
【0025】
本発明の低温増粘性を示すポリマー微粒子(以下、低温増粘微粒子)とは、40℃における粘度が5×10-3Pa・s±1×10-3Pa・sになるように濃度調整したポリマー微粒子の水分散液を10℃に冷却した場合の粘度が1×10-2Pa・s以上である特性を有するポリマー微粒子をいう。特に好ましくは10℃における粘度が3×10-2Pa・s以上になるポリマー微粒子である。ここでの粘度はB型粘度計により60rpmの回転数で測定した値を示す。本発明で好ましく用いられる低温増粘微粒子は、N置換(メタ)アクリルアミド誘導体やビニルメチルエーテル等のモノマーの単独重合体、該モノマーを組成として有する共重合体であり、より好ましいモノマーはN置換(メタ)アクリルアミド誘導体モノマーである。N置換(メタ)アクリルアミド誘導体としては、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピペリジンなどがある。特開平7−331224号には(メタ)アクリル系モノマーを含む共重合体よりなる芯部とN−イソプロピルアクリルアミド重合体の外殻部からなる低温増粘微粒子の例が記されている。
【0026】
前記、ポリマー微粒子以外にも前記のような粘度特性、すなわち40℃において、粘度を5×10-3Pa・s±1×10-3Pa・sになるように濃度調整したポリマー微粒子の分散液を、10℃に冷却した場合の粘度が1×10-2Pa・s以上になる特性を有するポリマー微粒子であれば特に制限はなく従来公知のポリマー微粒子から選択することができる。従来公知のポリマー微粒子の例示として、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニル系化合物、スチレン系化合物といったエチレン系単量体、ブタジエン、イソプレンといったジエン系化合物の単独重合体または共重合体が挙げられ、例えばアクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等が挙げられる。また、これら共重合体をカルボキシル基、アミノ基、4級アンモニウム塩基などの官能基含有モノマーで変性した官能基変性共重合体、ポリビニルアルコールおよび/又は変性ポリビニルアルコールの共存下に重合してなるポリマー微粒子などがある。ポリマー微粒子に用いられるモノマーの例としては、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、エチレン、イソプレン、ブタジエン、塩化ビニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸(2−エチルヘキシル)等のアクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルトリクロロシラン、トリメトキシシラン等の珪素含有モノマー、メタクリル酸グリシジルなどエポキシ基含有モノマー、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、およびそれらの塩、無水イタコン酸、無水マレイン酸の酸無水物などの不飽和二塩基酸誘導体モノマー、ジメタクリル酸エチレングリコール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、テトラメタクリル酸ペンタエリスリトールなどの架橋性ビニルモノマー、アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ビニルエチルケトン、2−ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテートなどカルボニル基含有モノマーなどが挙げられ、これら重合性モノマーは1種または2種以上使用できる。
【0027】
好ましい低温増粘微粒子の添加量は、無機微粒子の質量に対して0.05〜0.4、より好ましくは0.2〜0.35である。この範囲内であれば、空隙率の高い皮膜を形成しやすく良好なインク吸収性が得られる。また、低温増粘微粒子の好ましい粒径は5〜500nmであり、より好ましくは20〜300nmの範囲である。粒径が5nm以上であれば良好なインク吸収性を得やすく、500nm以下であることが皮膜透明性を得るのに好ましい。
【0028】
次に、本発明に用いられる無機微粒子について説明する。無機微粒子の例としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、「微粒子工学体系 第2巻,p463」に記載の界面活性剤をテンプレートとして合成されるメソ細孔を有するシリカ、アルミノシリケート等を挙げることが出来る。
【0029】
以上の様な無機微粒子は、1次粒子のまま用いても、また、2次凝集粒子を形成した状態でも使用できる。
【0030】
本発明に用いられる無機微粒子の平均粒径は、良好なインク吸収性と記録用紙表面の光沢を得る為10〜400nmである必要があり、10〜200nmの範囲がより好ましい。平均粒径が10nm以上であれば良好なインク吸収性が得やすい。無機微粒子の平均粒径は、空隙層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
【0031】
本発明に用いられる無機微粒子は、微細な空隙が形成出来る観点から、シリカが好ましく、特に気相法、湿式沈降法またはゲル法により合成されたシリカが好ましい。
【0032】
前記無機微粒子の使用量は記録用紙1m2当たり概ね3〜30g、好ましくは5〜25gである。
【0033】
本発明に係る多価金属ポリマー化合物としては、ジルコニウム原子またはアルミニウム原子を有する多価金属無機ポリマーであることが好ましく、その中でも、ポリ塩化アルミニウム化合物、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム化合物、またはジルコニウム活性無機ポリマーであることがより好ましい。
【0034】
ポリ塩化アルミニウム化合物は、下記一般式(1)、(2)、(3)で示されるものであり、例えば、〔Al6(OH)15〕3+、〔Al8(OH)20〕4+、〔Al13(OH)34〕5+などのような塩基性で、かつ高い陽電子を持った多核縮合イオン(高分子性)を有効成分として、安定に含んでいるポリ塩化アルミニウムである。
【0035】
一般式(1)
〔Al2(OH)nCl6-n〕m
一般式(2)
〔Al(OH)3〕nAlCl3
一般式(3)
Aln(OH)mCl(3n-m)
ポリ塩化アルミニウム化合物の市販品としては、例えば、浅田化学(株)製のポリ水酸化アルミニウム(Paho)、多木化学(株)製のポリ塩化アルミニウム(PAC)、(株)理研グリーン製のピュラケムWTが挙げられ、また他のメーカーからも水処理剤などの目的をもって市販されており、各種グレードのものが入手することができる。
【0036】
ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム化合物の市販品としては、日本軽金属(株)製のPASSが挙げられることができる。
【0037】
酸塩化ジルコニウム系無機ポリマーの市販品としては、第一希元素化学工業(株)製のジルコゾールZC−2を挙げることができ、登録特許第2944143号公報に記載されている化合物を用いることもできる。
【0038】
上記ジルコニウム原子またはアルミニウム原子を含む化合物は、インク吸収層を形成する塗布液に添加してから塗布乾燥しても良いし、多孔質層を一旦塗布乾燥した後、インク吸収層にオーバーコート法により添加しても良い。
【0039】
上記ジルコニウム原子またはアルミニウム原子を含む化合物を、インク吸収層を形成する塗布液に添加する場合、水や有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒に均一に溶解して添加すること、あるいはサンドミルなどの湿式粉砕法や乳化分散などの方法により微細な粒子に分散して添加することができる。インク吸収層が複数の層から構成される場合には、1層のみ添加してもよく、2層以上の層あるいは全ての層を形成する塗布液に添加することもできる。
【0040】
また、多孔質インク吸収層を一旦形成した後、オーバーコート方法により添加する場合には、均一な溶液に溶解して添加するのが好ましい。
【0041】
ジルコニウム原子またはアルミニウム原子を含む化合物は、インクジェット記録用紙1m2当たり、通常0.01〜5g、好ましくは0.05〜2g、特に好ましくは0.1〜1gの範囲で用いられる。
【0042】
上記化合物は2種以上を併用しても良く、この場合、ジルコニウム原子を含む化合物を2種以上を併用することも、アルミニウム原子を含む化合物を2種以上併用することも、更には、ジルコニウム原子とアルミニウム原子を含む化合物を併用することもできる。
【0043】
本発明においては、多価金属ポリマー化合物を用いることが特徴であるが、本発明の目的効果を達成する範囲において、それらの化合物と共に、カチオン性ポリマーを併用することを妨げるものではない。
【0044】
カチオン性ポリマーの例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、エピクロルヒドリン−ジアルキルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−SO2共重合物、ポリビニルイミダゾール、ビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合物、ポリビニルピリジン、ポリアミジン、キトサン、カチオン化澱粉、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド重合物、(2−メタクロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロライド重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物、などが挙げられる。
【0045】
また、化学工業時報平成10年8月15,25日に述べられるカチオン性ポリマー、三洋化成工業株式会社発行「高分子薬剤入門」に述べられる高分子染料固着剤が例として挙げられる。
【0046】
本発明のインクジェット記録用紙のインク吸収層及び必要に応じて設けられるその他の層には、上述した以外の各種添加剤を使用することができる。例えば、アニオン、カチオン、非イオン、両性の各界面活性剤、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、カゼイン、澱粉、寒天、カラギーナン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール等の水溶性ポリマー、ホウ酸またはその塩、エポキシ系架橋剤(例えば、ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系架橋剤(例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系架橋剤(例えば、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(例えば、1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミ明礬、イソシアネート系化合物等の架橋剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0047】
本発明のインクジェット記録用紙の支持体としては、吸水性又は非吸水性の支持体を用いることができるが、非吸水性支持体の方が、プリント後にシワの発生が無く、画像に平滑性の差が生ぜずに高品位のプリントが得られるために好ましい。
【0048】
吸水性支持体としては、紙支持体が一般的であるが、布あるいは多孔質のフィルム支持体も含まれる。
【0049】
また、非吸水性支持体としてはポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアセテート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料からなるフィルム等、金属やガラス、さらにはポリエチレン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆるRCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに白色顔料を添加したホワイトペットなどが挙げられる。
【0050】
その中でも原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られる為に特に好ましい。
【0051】
以下、本発明で特に好ましい支持体である紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体について説明する。
【0052】
本発明に係る支持体で用いられる紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレン等の合成パルプあるいはナイロンやポリエステル等の合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSP及び/またはLDPの比率は10〜70%が好ましい。上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0053】
紙中には、例えば、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤等を適宜添加することができる。
【0054】
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS P 8207に規定される24メッシュ残分と42メッシュ残分の和が30〜70%が好ましい。なお、4メッシュ残分は20%以下であることが好ましい。
【0055】
紙の坪量は50〜250gが好ましく、特に、70〜200gが好ましい。紙の厚さは50〜210μmが好ましい。
【0056】
紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。紙密度は0.7〜1.2g/m3(JIS P 8118)が一般的である。更に原紙剛度はJIS P 8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては前記原紙中に添加できるのと同様のサイズ剤を使用できる。
【0057】
紙のpHは、JIS P 8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、pH5〜9であることが好ましい。
【0058】
次に、この紙の両面を被覆するポリオレフィン樹脂について説明する。この目的で用いられるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンが挙げられるが、プロピレンを主体とする共重合体等のポリオレフィン類が好ましく、ポリエチレンが特に好ましい。
【0059】
以下、特に好ましいポリエチレンについて説明する。紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0060】
特に、塗布層側のポリオレフィン層は、ルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをその中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリオレフィンに対して概ね1〜20%、好ましくは2〜15%である。
【0061】
ポリオレフィン層中には、白地の調整を行うための耐熱性の高い着色顔料や蛍光増白剤を添加することができる。
【0062】
着色顔料としては、例えば、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、マンガンブルー、セルリアン、タングステンブルー、モリブデンブルー、アンスラキノンブルー等が挙げられる。
【0063】
蛍光増白剤としては、例えば、ジアルキルアミノクマリン、ビスジメチルアミノスチルベン、ビスメチルアミノスチルベン、4−アルコキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸−N−アルキルイミド、ビスベンズオキサゾリルエチレン、ジアルキルスチルベン等が挙げられる。
【0064】
紙の表裏のポリエチレンの使用量は、インク吸収層の膜厚やバック層を設けた後で低湿及び高湿下でのカールを最適化するように選択されるが、一般にはポリエチレン層の厚さはインク吸収層側で15〜50μm、バック層側で10〜40μmの範囲である。表裏のポリエチレンの比率はインク受容層の種類や厚さ、中紙の厚み等により変化するカールを調整する様に設定されるのが好ましく、通常は表と裏のポリエチレンの比率は、厚みで概ね3:1〜1:3である。
【0065】
更に、上記ポリエチレンで被覆紙支持体は、以下(1)〜(7)の特性を有していることが好ましい。
(1)引っ張り強さ:JIS P 8113で規定される強度で縦方向が19.6〜294N、横方向が9.8〜196Nであることが好ましい。
(2)引き裂き強度:JIS P 8116で規定される強度で縦方向が0.20〜2.94N、横方向が0.098〜2.45Nが好ましい。
(3)圧縮弾性率:9.8kN/cm2が好ましい。
(4)不透明度:JIS P 8138に規定された方法で測定したときに80%以上、特に85〜98%が好ましい。
(5)白さ:JIS Z 8727で規定されるL*、a*、b*が、L*=80〜96、a*=−3〜+5、b*=−7〜+2であることが好ましい。
(6)クラーク剛直度:記録用紙の搬送方向のクラーク剛直度が50〜300cm3/100である支持体が好ましい。
(7)原紙中の水分は、中紙に対して4〜10%が好ましい。
(8)インク受容層を設ける光沢度(75度鏡面光沢度)は10〜90%が好ましい。
【0066】
塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,681,294号記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
【0067】
塗布液温度は通常は25〜60℃であり、35〜50℃が好ましく、36〜48℃の液を使用するのが特に好ましい。冷却は塗布後の膜面温度が20℃以下、好ましくは15℃以下になるようにして一定時間(好ましくは5秒間以上)冷却ゾーンを通過させる。この冷却時点ではあまり強い風を吹き付けないことが、液ヨリの発生を抑えるという観点において好ましい。
【0068】
その後の乾燥は20℃以上の風を吹き付けて行うのが均一な膜面を得る点から好ましい。特に20℃以上の風を吹き付けてから徐々に風の温度を上げるのが好ましい。乾燥時間は湿潤膜厚にもよるが概ね10分以内、特に5分以内にするのが好ましい。
【0069】
本発明のインクジェット記録用紙の記録面の膜面pHは3.0〜7.5が好ましい。膜面pHが3.0以上の場合にはインクジェットで記録した際に染料が析出して金属状に光沢が変化するいわゆるブロンジングを引き起こしにくく、また、膜面pHが7.5以下であれば、十分な滲み耐性を発揮することができる。
本発明に係る記録面の膜面pHの測定はJ.TAPPI紙パルプ試験方法No.49に記載の方法に従って、蒸留水を用い、30秒後に測定した。
【0070】
本発明において記録面の膜面pHは、記録面を形成する塗布液のpHを調整することにより所定の範囲にすることができる。また、記録面を形成した後、適当なpH調整剤をオーバーコートすることにより所定の範囲にすることもできる。pH調整剤としては適当な酸やアルカリの水溶液を用いることもでき、この場合、使用する酸やアルカリの種類、濃度は、調整するpHの幅によって適宜選択することができる。
【0071】
なお、本発明のインクジェット記録用紙は特に水溶性染料インクを用いたインクジェット記録において特に効果が大きく好ましいが、顔料インクを用いたインクジェット記録でも使用することが出来る。
【0072】
本発明のインクジェット記録用紙を用いて画像記録する際には、水性インクを用いた記録方法が好ましく用いられる。
【0073】
上記水性インクとは、下記着色剤及び液媒体、その他の添加剤を有する記録液体である。着色剤としては、インクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料あるいは食品用色素等の水溶性染料あるいは水分散性顔料が使用できる。
【0074】
水性インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。中でも、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル等は好ましいものである。
【0075】
その他の水性インクの添加剤としては、例えば、pH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤及び防錆剤、等が挙げられる。
【0076】
水性インク液は記録用紙に対する濡れ性を良好にするために、20℃において、通常、0.025〜0.06N/m、好ましくは0.03〜0.05N/mの範囲内の表面張力を有するのが好ましい。上記インクのpHは、好ましくは5〜10であり、特に好ましくは6〜9である。
【0077】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中で記載の「%」は、特に断りのない限り質量%を表す。
【0078】
《低温増粘微粒子の作製》
本例の低温増粘微粒子は、下記(メタ)アクリル系モノマーを含む共重合体よりなる芯部の外殻にN−イソプロピルアクリルアミドの共重合体を形成させてなる粒子を特開平7−331224号の実施例1に記載の方法に準じて合成した。得られた粒子の固形分濃度が13%になるように濃縮し分散液Eとした。
【0079】
芯部モノマー組成
メチルメタクリレート:スチレン:n−ブチルアクリレート:2−ヒドロキシエチルアクリレート:エチレングリコールジメタクリレート=46:20:12:21:1
この方法で得られた分散液Eの40℃における粘度が5×10-3Pa・sになるように固形分濃度を調整した液の10℃における粘度は12×10-3Pa・sであった。
【0080】
《記録用紙の作製》
〔記録用紙1の作製:比較例〕
予め均一に分散されている気相法シリカ(商品名:アエロジル200、日本アエロジル(株)製、一次粒子の平均粒径 12nm)の23%の分散液A1(pH2.8、エタノール1質量%含有)の400gに、下記一般式(4)に示すカチオン性ポリマーの28%水溶液Dを40g添加し、ディゾルバーでプレ分散し、この分散液のpHが4.5に調整する量のりん酸緩衝溶液を加えた。更にサンドミル分散機にて周速9m/秒の条件で30分間分散した。この分散液の全量を630mlに仕上げて、ほぼ透明な分散液B1を得た。得られた分散液B1を、アドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行った。
【0081】
ろ過後、分散液B1を40℃で攪拌しながら前記分散液Eを177ml加え、更に界面活性剤(サポニン)2mlを添加攪拌後、全体の液が1000mlになるように純水を加えて、半透明状の塗布液C1を得た。
【0082】
【化1】
【0083】
式中、Xはアニオン基を表し、nは50〜1,000の正の整数を表す。
次に、坪量180g/m2の原紙両面をポリエチレンで被覆した支持体(厚さ250μm、記録面側のポリエチレン層中に6質量%のアナターゼ型チタン含有)の記録面側に、上記の塗布液C1を湿潤膜厚で180μmになるように塗布し、5℃で20秒間冷却した後、吹かれによる液寄りが生じない程度の弱い温風で乾燥させて記録用紙1を得た。
【0084】
〔記録用紙2の作製:比較例〕
前記分散液B1の作製において、カチオン性ポリマー水溶液Dの添加量を27gに変えた以外同様にして分散液B2を得た。
【0085】
分散液B2を、40℃で攪拌しながら前記分散液Eを177ml加え、更に界面活性剤(サポニン)2mlを添加攪拌後、全体の液が1000mlになるように純水を加えて半透明状の塗布液C2を得た。この塗布液を用いて記録用紙1と同様の支持体、塗布乾燥方法により記録用紙2を作製した。
【0086】
〔記録用紙3〜7の作製〕
記録用紙2に、表1に示す多価金属化合物をアルミニウムまたはジルコニウム原子の質量換算で300mg/m2になるようにスプレーコート法によりオーバーコートし、記録用紙3〜7を作製した。
【0087】
【表1】
【0088】
〔記録用紙8の作製:比較例〕
分散液B2を40℃で攪拌しながら前記分散液Eを177ml加え、更に硝酸ジルコニウムの10%水溶液62mlと界面活性剤(サポニン)2mlを添加攪拌後、全体の液が1000mlになるように純水を加えて半透明状の塗布液を得た。この塗布液を用いて記録用紙2と同様の支持体、塗布乾燥方法により記録用紙8を得た。
【0089】
〔記録用紙9の作製:本発明〕
記録用紙8の作製において、硝酸ジルコニウムの10%水溶液に代えてジルコニウム系活性ポリマー水溶液(ジルコゾールZC−2:第一希元素化学工業(株)製、Zr23%)を7ml添加した以外同様にして記録用紙9を得た。
【0090】
以上のようにして得られた記録用紙1〜9について、以下の項目について評価した。
【0091】
(1)インク吸収性
各インクジェット記録用紙を、エプソン社製インクジェットプリンターPM900Cで緑のベタ印字を行い、印字直後の印字部分を指でこすって画像の乱れを目視評価した。評価は以下の4段階で行った。
◎:指でこすってもまったく画像の乱れがない
○:指でこするとわずかに画像が乱れるが実用上問題ないレベル
△:やや画像がこすれて汚れるが、実用可能
×:画像がこすれて汚れてしまい、実用上許容範囲外。
【0092】
(2)プリント画像の滲み
セイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM900CでM(マゼンタ)、K(黒)の各ラインを幅約0.3mmでプリントし、10分放置後クリヤファイルに入れて60日間保存した。保存後各ラインの線幅をマイクロデンシトメータで測定し、線幅の広がり率(保存後線幅/保存前線幅)を求めた。
【0093】
(3)プリント濃度
各インクジェット記録用紙を、セイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM900Cで黒色ベタ印字を行い、反射濃度を測定した。
【0094】
【表2】
【0095】
表2に示す結果のとおり本発明のインクジェット記録用紙は、高いインク吸収性とプリント濃度を満足し、プリント保存後の滲み耐性に優れていることがわかる。一方、比較例のインクジェット記録用紙は滲み耐性が不十分であったり、滲み耐性とプリント濃度を両立しないものであった。
【0096】
【発明の効果】
本発明により、高いインク吸収性とプリント濃度を満足し、プリント保存後の滲み耐性に優れた高画質で高光沢なインクジェット記録用紙を提供することができた。
Claims (7)
- 低温増粘性ポリマー微粒子と平均粒径が10〜400nmの無機微粒子および多価金属ポリマー化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
- 多価金属ポリマー化合物がジルコニウム原子又はアルミニウム原子を含有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
- 多価金属ポリマー化合物がポリ塩化アルミニウム化合物、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム化合物又はジルコニウム系活性無機ポリマーのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
- N置換(メタ)アクリルアミド誘導体モノマーを組成として有するポリマー微粒子と平均粒径が10〜400nmの無機微粒子および多価金属ポリマー化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
- 多価金属ポリマー化合物がジルコニウム原子又はアルミニウム原子を含有する化合物であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録用紙。
- 多価金属ポリマー化合物がポリ塩化アルミニウム化合物、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム化合物又はジルコニウム系活性無機ポリマーのいずれかであることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録用紙。
- 無機微粒子がシリカであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002298718A JP4000979B2 (ja) | 2002-10-11 | 2002-10-11 | インクジェット記録用紙 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002298718A JP4000979B2 (ja) | 2002-10-11 | 2002-10-11 | インクジェット記録用紙 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004130711A JP2004130711A (ja) | 2004-04-30 |
JP4000979B2 true JP4000979B2 (ja) | 2007-10-31 |
Family
ID=32288045
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002298718A Expired - Fee Related JP4000979B2 (ja) | 2002-10-11 | 2002-10-11 | インクジェット記録用紙 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4000979B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4885241B2 (ja) * | 2006-02-17 | 2012-02-29 | フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド | ペリクルを用いて層をパターニングする方法 |
-
2002
- 2002-10-11 JP JP2002298718A patent/JP4000979B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004130711A (ja) | 2004-04-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2002067492A (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP3876146B2 (ja) | インクジェット被記録媒体及びその製造方法 | |
US20060204688A1 (en) | Ink-jet recording sheet | |
JP3767235B2 (ja) | インクジェット記録用紙及びこれを用いたインクジェット記録方法 | |
EP1459903B1 (en) | Ink-jet recording sheet | |
JP2000355160A (ja) | インクジェット記録媒体 | |
JP3736195B2 (ja) | 記録用紙及びその製造方法、並びに水系塗布組成物の塗布方法及び塗設物 | |
JP3716561B2 (ja) | インクジェット記録用紙およびその製造方法 | |
JP4000979B2 (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP4032858B2 (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP2003312133A (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP3756011B2 (ja) | インクジェット記録シート | |
JP2000296667A (ja) | 記録用紙及びインクジェット記録用紙 | |
JP2004314321A (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP3928305B2 (ja) | インクジェット光沢紙 | |
JP2004130535A (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP2003326832A (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP4014387B2 (ja) | インクジェット被記録媒体の製造方法 | |
JP2004148780A (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP3849354B2 (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP2004154982A (ja) | インクジェット記録用紙および、その製造方法 | |
JP2004314320A (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP2004001239A (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP2004188769A (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP2004050785A (ja) | インクジェット記録用紙の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050921 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070718 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070724 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070806 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100824 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100824 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110824 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110824 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120824 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130824 Year of fee payment: 6 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |