JP3999115B2 - インクジェット記録用シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録用シートに関し、さらに詳しくは、ポリビニルアルコールを含有したインク受理層と基材との密着強度が向上したインクジェット記録用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータ利用技術の普及により、コンピュータにより作成した資料をプリンターなどを用いてプリントアウトすることが頻繁に行われるようになってきた。その際使用されるプリンターとしては、ドットインパクトプリンター、レーザープリンター、サーマルプリンター、インクジェットプリンターなどが挙げられるが、プリントアウト時の機械的騒音がほとんどなく、かつプリントアウトに伴うランニングコストの低さから、インクジェットプリンターが広く利用されている。
【0003】
従来、基材上にインク受理層を設けてなるインクジェット記録用シートにおいては、基材とインク受理層が剥離しやすいという問題があり、これを解決するために、基材とインク受理層の中間にアンカーコート層を設け、その、アンカーコート層に炭酸カルシウムを含有させて密着強度をより向上させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、インク受理層とアンカーコート層との密着強度について検討はされていないが、インク受理層に、結着剤としてポリビニルアルコール、特に、シラノール変性ポリビニルアルコールとシリカの組み合わせてインク受理層の強度を高める技術が開示されている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、近年、インクジェット記録用シートの用途の多様化に伴い、密着強度向上に関する要求が益々高まっている。
例えば、印画後に表面保護の目的でラミネートフィルムを貼着して使用した場合、ラミネートフィルムを貼着する装置内で、貼着後の搬送やセパレーター除去の工程などにおいて、負荷が掛かって層間剥離が発生したり、また、ラミネートフィルムを貼着した後に垂れ幕等の形態で屋外で使用される場合、風に晒されてはためくことが繰り返され、層間剥離が発生する等の例があげられている。
そのため、市場からの要求として、インク受理層と基材間の密着強度に優れるインクジェット記録用シートが強く求められている。
また、インク受理層と基材間の密着強度を高めるために、アンカーコート層を設けると、剥離し得る箇所は、「基材−アンカーコート層」、「アンカーコート層−インク受理層」、「インク受理層−ラミネートフィルム層」間の3箇所になり、どこかの層間に一つでも密着強度の弱いところがあれば、要求性能を満足することが出来ず、当然ながら、3箇所とも、密着強度に優れている必要があり、これに伴って、インク受理層等の層内の凝集破壊強度を上げることも必要である。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−71624号公報(第1頁)
【特許文献2】
特開2002−254797号公報(第4頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況で、ポリビニルアルコールを含有したインク受理層とポリエチレンテレフタレートフィルムからなる基材との密着強度が向上したインクジェット記録用シートを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記の優れた機能を有するインクジェット記録用シートを開発すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリビニルアルコールを含有したインク受理層とポリエチレンテレフタレートフィルムからなる特定の基材間にアンカーコート層を設け、アンカーコート層に、特定量の炭酸カルシウム及び基材との溶解度パラメーターの差が0.5以下である樹脂含有させることで、前記目的に適合し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる基材上にアンカーコート層、インク受理層を設けてなり、該アンカーコート層が、アンカーコート層の全固形分重量に対して、炭酸カルシウムを20〜77重量%、アクリル系樹脂を20〜60重量%および前記基材との溶解度パラメーターの差が0.5以下であるポリエステル樹脂を3〜20重量%含有し、該インク受理層が、インク受理層の全固形分重量に対して、結着剤としてのポリビニルアルコールを5〜60重量%、填料を30重量%以上含有し、該填料の50重量%以上がシリカであることを特徴とするインクジェット記録用シートを提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録用シートは、基材の少なくとも一方の面に、インク受理層を有するものである。
本発明においては、基材は、耐水性の点からプラスチックフィルムが使用される。
プラスチックの素材としては、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート等の一般的な熱可塑性樹脂フィルム、生分解性プラスチック或いは、炭酸カルシウム等の無機粉末を内添させたもの、有機ピグメントを内添させたもの等から選択することが可能である。
本発明の特に好ましいプラスチッックフィルムとして、ポリエチレンテレフタレートフィルムが適用される。ポリエチレンテレフタレートフィルムは、強度、剛性、加工適性、耐熱性等に優れ、例えば、電飾看板などは、光源の熱により耐熱性を要求される場合が多いが、ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることで上記要求性能を満足することができる。
【0009】
また、発泡プラスチックフィルムも使用することができる。ここで、発泡プラスチックフィルムとは、フィルムの表面や内部に形成させる亀裂や欠所、或いは、細かな気泡や空洞などを有するプラスチックフィルムをいうが、これらの気泡や空洞などは、炭酸カルシウム等の無機粉末を含有したフィルムを延伸して無機粉末の周囲に発生させたり(ミクロボイドフィルム)、発泡剤を含有させたフィルムにおいて発泡剤を発泡させたりして形成したものなど、その名称や形成方法或いは気泡や空洞の生成形態は問わない。なお、ここでいうプラスチックフィルムには、合成紙と称されるものも含まれる。
【0010】
また、プラスチックフィルムから成る基材は、単層構造でも多層構造でもよく、多層構造としては、例えば、接着剤を介して層同士を貼り合せる方法、複数の押し出し機から複数の原料を押し出し合流させて製膜するいわゆる共押出方法、フィルムの上に押出機から直接フィルムを押し出しながら貼り合わせて積層するいわゆる押し出しラミネート方法など、公知の方法の何れで形成したものも用いることができる。また、プラスチックフィルムと異なる他のものが積層された基材であっても、プラスチックフィルムがアンカーコート層と接していれば、本発明に含まれる。
【0011】
さらに、基材として、アンカーコート層に接する面の濡れ指数が50〜200mN/mであるものを選択すると、基材とアンカーコート層間の密着強度がより向上するため、好ましい。
50mN/m未満では、密着強度の向上が少なく、また、200mN/mを超えるものを製造することは、製造上の制約を大きくすることになる。
濡れ指数を増大させる方法としては、基材の片面または両面に、酸化法や凹凸法などにより表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、熱風処理、などが挙げられ、また、凹凸法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。
これらの表面処理法は基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果および操作性などの面から好ましく用いられる。また、易接着処理を施すこともできる。
【0012】
本発明において、前記基材及び中間層であるアンカーコート層を介して少なくとも一方の面に設けられるインク受理層は、結着剤としてのポリビニルアルコールの他に、填料、添加剤等を含有する層である。
【0013】
インク受理層の結着剤としては、ポリビニルアルコールを使用することは必須であるが、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、他の結着剤を混合して用いても良い。
使用できる結着剤としては、ポリビニルブチラール、ゼラチン、ポリビニルアセタール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、アクリル、ウレタン、塩素化ポリプロピレン、バーサチック酸ビニル、これらの共重合物、スチレン−アクリル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびスチレン−ブタジエンゴム等が挙げられる。
これらの結着剤は一種又は、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
前記ポリビニルアルコールとして、特にシラノール変性ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。すなわち、シラノール変性ポリビニルアルコールを用いると、インク受理層の強度が向上する。これは、シラノール変性ポリビニルアルコールが、填料、特にシリカと強固に結合するからであると推定される。
インク受理層のポリビニルアルコールの含有量は、インク受理層全固形分含有量に対して、5〜60重量%、特に10〜30重量%が好ましい。ポリビニルアルコールの含有量が前記範囲内にあることで、インク受理層の強度が増し、インク受理層とアンカーコート層の密着力が高くなる。
【0015】
インク受理層の填料としては、従来インク受理層に填料として使用される公知の無機又は有機の物質の中から、任意の物を適宜選択して用いることができるが、インクの吸収スピード、画像にじみ防止性能向上およびポリビニルアルコールとの併用でインク受理層の強度を上げるシリカが、特に好ましい。
また、特性の異なるシリカ、例えば、吸油量の大きいシリカとしては、吸油量が180〜240ml/100g、好ましくは190〜200ml/100gであるシリカを、吸油量の小さいシリカとしては、吸油量が140〜170ml/100g、好ましくは150〜160ml/100gであるのシリカを重量比が1:2〜2:1で混合することによって、本発明の効果はもとより、画像に筋状のムラの発生しない、印画性能に優れた、インクジェット記録用シートを得ることができる。
シリカとしては、ゲル法により製造されたものが好ましい。
【0016】
また、本発明の効果を損なわない範囲で、インク受理層にはシリカ以外の填料を併用してもよい。使用できる填料としては、有機、無機の制限はなく、炭酸カルシウム、タルク、クレー、けいそう土、水酸化アルミニウム、ポリスチレン、ポリメタクリレート、酸化チタン、焼成カオリンなどが挙げられる。
但し、全填料中のシリカの含有量は、50重量%以上であることが好ましい。
また、填料の量としては、インク受理層の全固形分量の30重量%以上含有することが好ましい。
【0017】
さらに、インク受理層には、好ましい添加剤として塩基性乳酸アルミニウム及び水和アルミニウム酸化物が加えられる。塩基性乳酸アルミニウムは、特に画像濃度の面から好適な添加剤である。
インク受理層中の塩基性アルミニウムの含有量は、インク受理層の全固形分含有量に対して1〜7重量%、特に2〜5重量%が好ましい。塩基性アルミニウムの含有量が1重量%未満では、画像濃度が低下しやすく、逆に、7重量%を超えると、インク受理層の耐水性が低下する。
また、インク受理層に水和アルミニウム酸化物を、インク受理層の全固形分含有量に対し1〜6重量%程度含有させることにより、塗工液とした場合の安定性やインク受理層の強度を向上させることができる。
さらに、インク受理層には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ、発色を向上させるための、ジシアンジアミド等の水溶性のカチオン性物質や、消泡剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、防腐剤、顔料分散剤、増粘剤などの各種添加剤を含有させることができる。
【0018】
インク受理層の厚さ(乾燥時)は、10〜50μm、特に15〜30μmの範囲が好ましい。この範囲より薄いと、インク吸収容量が不足して、にじみが発生し易くなり、逆に、この範囲より厚いと、インク受理層の表層強度が低下しやすく、また、白抜けが発生しやすくなると共に経済性も悪くなる。なお、ここで言う白抜けとは、画像の点状の抜けであり不規則な位置に発生するものを云う。
【0019】
本発明において、前記基材と、少なくとも一方の面に設けられたインク受理層との中間に設けられるアンカーコート層は、填料として炭酸カルシウム、結着剤としてアクリル系樹脂、及び基材との溶解度パラメーター(以下SP値と省略する場合がある)の差が0.5以下である樹脂を含む層である。
アンカーコート層の填料としては、炭酸カルシウムを使用することが必須であるが、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で他の填料を混合して用いても良い。
使用できる填料としては、有機、無機の制限はなく、例えば、タルク、クレー、けいそう土、水酸化アルミニウム、ポリスチレン、ポリメタクリレート、酸化チタン、焼成カオリン、含水マグネシウムシリケートなどが挙げられる。これらの填料は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
アンカーコート層中の炭酸カルシウムの含有量は、アンカーコート層の全固形分重量に対して20〜77重量%であることが必要であり、特に45〜60重量%が好ましい。アンカーコート層に炭酸カルシウムが多量に存在すると、該コート層表面の平滑性が低下して凹凸を形成し、インク受理層塗工時、食い込んだり、ひっかかったりするため、密着強度が改良されると推定される。
また、炭酸カルシウムの量が20重量%未満だと、インク受理層とアンカーコート層の間の密着強度が低下する。逆に、炭酸カルシウムの量が77重量%を超えると、結果として、他の成分を必要な量まで含有させる余地が無くなり性能のバランスが取れなくなる。
また、アンカーコート層中に炭酸カルシウムを含有させることにより、画像のにじみを防止する効果も生じる。
【0020】
アンカーコート層の結着剤としては、アクリル系樹脂を使用することが必須である。アクリル系樹脂は、インク受理層中のポリビニルアルコールとの接着力に優れ、インク受理層とアンカーコート層の密着強度を向上させる作用を持つ。
アクリル系樹脂としては、スチレン−アクリル共重合体、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの重合体又は共重合体、クロトン酸エステルの重合体又は共重合体、アクリル−ブタジエン共重合体等が挙げられる。
これらアクリル系の樹脂は、1種単独で用いても良く、2種以上組み合わせてもちいてもよい。アクリル系樹脂としては、スチレン−アクリル系共重合体が好ましい。
アンカーコート層中のアクリル系樹脂の含有量は、アンカーコート層の全固形分重量に対して20〜60重量%であることが必要であり、特に35〜45重量%が好ましい。アクリル系樹脂の量が20重量%未満だと、インク受理層とアンカーコート層の間の密着強度が低下する。逆に、アクリル系樹脂の量が60重量%を超えると、結果として、他の成分を必要な量まで含有させる余地が無くなり性能のバランスが取れなくなる。
【0021】
アンカーコート層の結着剤の第二の必須成分として、基材とのSP値の差が0.5以下である樹脂が適用される。該樹脂は基材のSP値の値によって、好ましい樹脂が、適宜選択される。
使用できる結着剤としては、ポリビニルブチラール、ゼラチン、ポリビニルアセタール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、バーサチック酸ビニルの単独又は共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、などが挙げられる。
【0022】
溶解度パラメーター(SP値)は、高分子同士の相溶性を示す値であり、SP値が近い高分子同士であれば相溶性が高いとされる物性値である。ここで言うSP値は、Smallの式(I)により計算した値である。
SP値=比重×(凝集エネルギー定数/ポリマーの分子量)・・・・・(I)
ここで、凝集エネルギー定数とは、1ユニットに存在する置換基の凝集エネルギーの総和である。なお、SP値の計算には、比重は実測値を、ポリマーの分子量は計算値を用いた。
【0023】
本発明においては、基材をポリエチレンテレフタレートとし、基材とのSP値の差が0.5以下である、アンカーコート層の結着剤の第二の成分をポリエステル樹脂とする組み合わせが特に好ましい。
この好ましい組み合わせの場合、SP値の差が0.5以下であるポリエステル樹脂は、一般的なポリエステル樹脂の中から入手しやすい。例えば、基材に東洋紡績社製のポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:コスモシャインA−8300、SP値10.5)を、アンカーコート層の結着剤の第二の成分の樹脂として、東洋紡績社製のポリエステル(商品名:バイロナールMD1200、SP値10,35)を選択すると、SP値の差は0.15となり、基材とのSP値の差が0.5以下という条件を満たすことができる。
アンカーコート層中の基材とのSP値の差が0.5以下である樹脂の含有量は、アンカーコート層の全固形分重量に対して3〜20重量%である必要があり、特に5〜10重量%が好ましい。基材とのSP値の差が0.5以下である樹脂の量が3重量%未満だと、アンカーコート層と基材の間の密着強度が低下する。逆に、基材とのSP値の差が0.5以下である樹脂の量が20重量%を超えると結果として、他の成分を必要な量まで含有させる余地が無くなり性能のバランスが取れなくなる。
さらに、アンカーコート層には、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、消泡剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、防腐剤、顔料分散剤、増粘剤などを添加してもよい。
【0024】
アンカーコート層の厚み(乾燥後)は、2〜10μm、特に4〜7μmであることが好ましい。このアンカーコート層の厚みはラミネート剥離強度と密接な関係があり、アンカーコート層が薄くとも、厚くともラミネート剥離強度は弱くなる。
【0025】
本発明のインクジェット記録用シートは、インク受理層とアンカーコート層を、それぞれ少なくとも1層有するものであり、基材の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。
さらに、それ以外の層も設けてもよい。
例えば、隠蔽性を向上させる目的で、不透明度が高い層を設けてもよく、紫外線吸収層を設けてもよい。さらに又、インク受理層の上に、透明で、インクを透過させ、色材が画像の出来映えに影響しない程度に残留してもよい表面保護層を設けてもよい。
【0026】
かかる本発明のインクジェット記録用シートのインク受理層は、次のようにして形成することができる。
インク受理層、アンカーコート層などは、必要な成分を分散させたり、溶解させた塗工液を塗工して乾燥させることなどによって形成することができ、塗工は、リバースロールコート、エアナイフコート、グラビアコート、ブレードコート等の従来公知の種々の方法を用いることが可能である
【0027】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、印画方法及び各種の性能評価の方法は、次の如くである。
(1)印画
顔料タイプのインク及びセイコーエプソン社製の顔料タイプのインクジェットプリンター(機種名MC9000)を使用した。
(2)密着強度
マゼンタ100%・イエロー80%のレッドの混色ベタ印画を行ない、印画部分を試験被着体とした。
25mm幅の試験被着体にラミネートフィルム(リンテック社製 商品名:PVCカットグロス)をラミネーターで貼り付け、23℃50%RH雰囲気下で12時間放置後、東洋精機(株)製万能試験機(機種名:ストログラフV1−B)にて180°方向に1000mm/minの速度で剥がした際の剥離強度を測定した。
【0028】
(3)にじみの防止性能
シアンのベタ印画とイエローのベタ印画を隣接させ、境界部のインクのにじみ出し度合いを目視で観察した。
◎・・・にじみなし
○・・・にじみが若干発生したが実用上支障無し
△・・・にじみが発生し、実用上支障有り
×・・・にじみの発生が多く実用上支障が大きい
(4)破壊の状態
上記の密着強度の試験において剥離させた試験片の状態を観察し、下記のように分類した。尚、インク受理層、アンカーコート層、基材のそれぞれ自体の破壊は殆ど発生しなかった。また、剥離後の基材を観察すると、1つの試験片の基材の中に、基材が剥き出しになっている部分とアンカーコート層が残っている部分があり、1つの試験片の中でも異なる位置での剥離が発生したことが判明した。
ア.インク受理層とアンカーコート層の界面での剥離と、アンカーコート層と基材の界面での剥離が、同程度の面積であった。
イ.主に、インク受理層とアンカーコート層の界面で剥離していた。
ウ.主に、アンカーコート層と基材の界面で剥離していた。
【0029】
実施例1
基材として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績社製、商品名「コスモシャインA−8300」SP値10.5]にコロナ処理を施したものを用いた。コロナ処理後の濡れ指数を測定したところ、70〜80mN/mであった。
アンカーコート層用塗工液として、次の成分の均一混合物を用いた。
(1)炭酸カルシウム〔白石工業(株)製、商品名:Brilliant S15、固形分濃度60重量%〕55重量部
(2)アクリル系樹脂(スチレン−アクリル共重合体)〔BASFディスパージョン社製、商品名:アクロナールYJ6221D、固形分濃度49重量%、SP値15〜17〕45重量部
(3)ポリエステル〔東洋紡績(株)製、商品名:バイロナールMD1200、固形分濃度35重量%、SP値10.35〕10重量部
【0030】
インク受理層用塗工液として、次の成分の均一混合液を用いた。
(1)シリカ(填料)〔富士シリシア化学(株)製、商品名:サイリシア450、固形分濃度100重量%、吸油量200ml/100g〕5.59重量部
(2)シリカ(填料)〔富士シリシア化学(株)製、商品名:サイリシア550、固形分濃度100重量%、吸油量160ml/100g〕5.59重量部
(3)二酸化チタン(填料)〔石原産業(株)製、商品名:タイペークR−780(2)、固形分濃度100重量%〕4.47重量部
(4)シラノール変性ポリビニルアルコール(結着剤)〔クラレ(株)製、商品名:クラレRポリマーR−1130、固形分濃度100重量%〕3.91重量部
(5)塩基性乳酸アルミニウム(添加剤)〔多木化学(株)製、商品名:タキセラムM160−L、固形分濃度21重量%〕4.10重量部
(6)水和アルミニウム酸化物(添加剤)〔日産化学工業(株)製、商品名:アルミナゾル200、固形分濃度10重量%〕7.83重量部
(7)カチオン性高分子(添加剤)〔昭和高分子(株)製、商品名:ポリフィックス700、固形分濃度60重量%〕2.57重量部
(8)消泡剤〔サンノプコ社製、商品名:SNデフォーマー480、固形分濃度100重量%〕0.11重量部
(9)水 65.64重量部
【0031】
基材の一方の面に、アンカーコート層用塗工液を乾燥後の厚みが5μmになるように塗工し乾燥処理後、このアンカーコート層上にインク受理層用塗工液を乾燥後の厚みが25μmになるように塗工し、乾燥処理することにより、インク受理層を設けインクジェット記録用シートを作製した。
【0032】
実施例2
実施例1におけるアンカーコート層用塗工液を、次のように変更した。それ以外は、実施例1と同様な操作を行い、インクジェット記録用シートを作製した。
(1)炭酸カルシウム〔白石工業(株)製、商品名:Brilliant S15、固形分濃度60重量%〕58重量部
(2)アクリル系樹脂(スチレン−アクリル共重合体)〔BASFディスパージョン社製、商品名:アクロナールYJ6221D、固形分濃度49重量%〕29重量部
(3)ポリエステル〔東洋紡績(株)製、商品名:バイロナールMD1200、固形分濃度35重量%、SP値10.35〕29重量部
【0033】
実施例3
実施例1において基材にコロナ処理を施さなかった。それ以外は、実施例1と同様な操作を行い、インクジェット記録用シートを作製した。
コロナ処理を施さない基材の濡れ指数を測定したところ、30〜50mN/mであった。
【0034】
実施例4
実施例2において基材にコロナ処理を施さなかった。それ以外は、実施例2と同様な操作を行い、インクジェット記録用シートを作製した。
【0035】
比較例1
実施例1におけるアンカーコート層用塗工液を、次のように変更した。それ以外は、実施例1と同様な操作を行い、インクジェット記録用シートを作製した。
(1)炭酸カルシウム〔白石工業(株)製、商品名:Brilliant 15、固形分濃度100重量%〕22重量部
(2)アクリル系樹脂(スチレン−アクリル共重合体)〔BASFディスパージョン社製、商品名:アクロナールYJ6221D、固形分濃度49重量%〕147.28重量部
(3)水 29.48重量部
【0036】
比較例2
実施例1におけるアンカーコート層用塗工液を、次のように変更した。それ以外は、実施例1と同様な操作を行い、インクジェット記録用シートを作製した。
(1)炭酸カルシウム〔白石工業(株)製、商品名:Brilliant 15、固形分濃度100重量%〕22重量部
(2)ポリエステル〔東洋紡績社製、商品名:バイロナールMD1200、固形分濃度35重量%、SP値10.35〕147.28重量部
(3)水 29.48重量部
【0037】
上記実施例1〜4及び比較例1〜2で得られたインクジェット記録用シートそれぞれについて印画を行い、密着強度及びにじみの防止性能の評価を行った。
それらの結果を第1表に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0003999115
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、インクジェット記録用シートに、アンカーコート層を設け、該層に多量の炭酸カルシウムを含有させることで、インク受理層との密着強度を向上させ、基材とのSP値の差が0.5以下である樹脂を含有させることで、基材との密着強度を向上させることが可能となり、インク受理層とプラスチックフィルムからなる基材との密着強度が向上したインクジェット記録用シートを提供することができる。

Claims (3)

  1. ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる基材上にアンカーコート層、インク受理層を設けてなり、該アンカーコート層が、アンカーコート層の全固形分重量に対して、炭酸カルシウムを20〜77重量%、アクリル系樹脂を20〜60重量%および前記基材との溶解度パラメーターの差が0.5以下であるポリエステル樹脂を3〜20重量%含有し、該インク受理層が、インク受理層の全固形分重量に対して、結着剤としてのポリビニルアルコールを5〜60重量%、填料を30重量%以上含有し、該填料の50重量%以上がシリカであることを特徴とするインクジェット記録用シート。
  2. アンカーコート層中の、炭酸カルシウムの重量をFとし、アクリル系樹脂及び基材との溶解度パラメーターの差が0.5以下である樹脂の重量の合計重量をRとしたときの、F/Rの値が1.0から2.0である請求項記載のインクジェット記録用シート。
  3. 基材の濡れ指数が50〜200mN/mである請求項1又は2記載のインクジェット記録用シート。
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