JP2004216804A - インクジェット記録用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】画像濃度、画像の耐水性を維持し、優れたインク受理層の強度、にじみ防止性を同時に満足させたインクジェット記録用シートを提供すること。
【解決手段】基材上にインク受理層を設けてなり、該インク受理層が、(a)シリカを60重量%以上含む填料、(b)アクリル−スチレン共重合体を60重量%以上含む結着剤、(c)塩基性乳酸アルミニウム、(d)ジメチルアミンとエピクロロヒドリンの重合物、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、及びジアリルアミンとアリルアミンとの共重合物から選ばれた少なくとも1種からなるカチオン性樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録用シートとする。
【選択図】 なし
【解決手段】基材上にインク受理層を設けてなり、該インク受理層が、(a)シリカを60重量%以上含む填料、(b)アクリル−スチレン共重合体を60重量%以上含む結着剤、(c)塩基性乳酸アルミニウム、(d)ジメチルアミンとエピクロロヒドリンの重合物、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、及びジアリルアミンとアリルアミンとの共重合物から選ばれた少なくとも1種からなるカチオン性樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録用シートとする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録用シートに関し、さらに詳しくは、画像濃度、画像の耐水性を維持し、インク受理層の強度、にじみ防止に優れたインクジェット記録用シートであって、顔料インクに特に適し染料インクでも使用できるインクジェット記録用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印画方式の一つとして、インクジェット記録方式は、高画質のフルカラー画像が容易にえられること、ランニングコストが低いこと、等の利点により、多岐にわたる使用条件のもとで用途がひろがりつつある。
それに伴い、インクジェット記録用シートに対して、にじみの防止、耐水性、画像濃度およびインク受理層の強度等も含めその他の多くの性能を同時に、しかも高いレベルで満足することに対する要求が高まってきている。
本発明者は、インクジェット記録用シートにおいて、インク受理層に塩基性乳酸アルミニウムを含有させ、画像濃度を向上させると同時に画像のにじみを防止する技術を提案した(例えば、特許文献1参照)。
また、インク受理層にジメチルアミンとエピクロロヒドリンの重合物を含有させ、画像の耐水性を向上させ、また、画像のにじみを防止する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
以上のように、塩基性乳酸アルミニウムまたは、ジメチルアミンとエピクロロヒドリンの重合物をインク受理層に含有させることで、上記のような効果を得ることができるが、インク受理層の強度は向上しないという問題がある。
また、画像のにじみ防止効果も、インクの噴射量や併用する結着剤等の条件によっては不十分であった。
すなわち、従来、画像濃度、画像の耐水性を維持し、優れたインク受理層の強度、にじみ防止性を同時に充分に満足させることは困難であつた。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−52812号公報(第1頁)
【特許文献2】
特開2002−160440号公報(第1頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況で、画像濃度、画像の耐水性を維持し、優れたインク受理層の強度、にじみ防止性を同時に満足させたインクジェット記録用シートを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記の優れた機能を有するインクジェット記録用シートを開発すべく鋭意研究を重ねた結果、インク受理層に、特定の填料、結着剤及び添加剤を含有させることで、前記目的に適合し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、基材上にインク受理層を設けてなり、該インク受理層が、(a)シリカを60重量%以上含む填料、(b)アクリル−スチレン共重合体を60重量%以上含む結着剤、添加剤として(c)塩基性乳酸アルミニウム、及び添加剤として(d)ジメチルアミンとエピクロロヒドリンの重合物、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、及びジアリルアミンとアリルアミンとの共重合物から選ばれた少なくとも1種からなるカチオン性樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録用シートを提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録用シートは、基材の少なくとも一方の面に、インク受理層を有するものである。
本発明においては、基材は、シート状のものであればよく、特に限定されるものではない。紙、プラスチックフィルム、不織布等の、従来この種の目的に使用されていたもののいずれもが使用可能であるが、耐水性の点からプラスチックフィルムが特に好適である。
プラスチックフィルムの素材としては、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート等の一般的な熱可塑性樹脂、あるいは、炭酸カルシウム等の無機粉末を内添させたもの、有機ピグメントを内添させたもの等から選択することが可能である。
また、生分解性プラスチックのフィルムを使用することもできる。
【0007】
さらに、発泡プラスチックフィルムを使用してもよい。ここで、発泡プラスチックとは、フィルムの表面や内部に形成させる亀裂や欠所、或いは、細かな気泡や空洞などを有するプラスチックフィルムをいうが、これらの気泡や空洞などは、炭酸カルシウム等の無機粉末を含有したフィルムを延伸して無機粉末の周囲に発生させたり(ミクロボイドフィルム)、発泡剤を含有させて発泡させたりして形成したものなど、その名称や形成方法或いは気泡や空洞の生成形態は問わない。
なお、ここでいうプラスチックフィルムには、合成紙と称されるものも含まれる。
【0008】
基材は、単層構造でも多層構造でもよく、多層構造を形成する方法としては、例えば、接着剤を介して層同士を貼り合せる方法、複数の押し出し機から複数の原料を押し出し合流させて製膜する、いわゆる共押出方法、フィルムの上に押出機から直接フィルムを押し出しながら貼り合わせて積層するいわゆる押し出しラミネート方法など、公知の方法の何れで形成したものも用いることができる。
【0009】
基材には、インク受理層等との密着性や濡れ性を向上させるなどの目的で、所望により、基材の片面または両面に、酸化法や凹凸法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、熱風処理、などが挙げられ、また、凹凸法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果および操作性などの面から好ましく用いられる。また、易接着処理を施すこともできる。
【0010】
本発明において、前記基材の少なくとも一方の面に設けられるインク受理層は、填料、結着剤の他に、添加剤として特定量の(c)塩基性乳酸アルミニウムならびに(d)ジメチルアミンとエピクロロヒドリンの重合物、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、及びジアリルアミンとアリルアミンとの共重合物から選ばれた少なくとも1種からなるカチオン性樹脂等を含有する層である。
【0011】
インク受理層の填料としては、(a)成分としてシリカを使用することは必須であるが、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、他の填料を混合して用いてもよい。
この場合、使用できる填料は、有機、無機の制限はなく、例えば、炭酸カルシウム、タルク、クレー、けいそう土、水酸化アルミニウム、ポリスチレン、ポリメタクリレート、酸化チタン、焼成カオリン、含水マグネシウムシリケートなどが挙げられる。これらは単独、又は混合して使用できる。なお、填料中の(a)成分(シリカ)の量は60重量%以上であることが必要である。
(a)成分(シリカ)は、インク吸収スピード、画像にじみ防止性向上のために細孔容積が1.2〜2.2ml/gであるものが好ましい。
また、ドットの形状安定性の観点から(a)成分(シリカ)の粒度分布(d10/d90)が0.22以上のものが特に好ましい。(但し、d10は、粒子径が小さい方から足していき、その積算体積が全体の10%となった時の最大粒子径を意味し、d90は、粒子径が小さい方から足していきその積算体積が全体の90%となった時の最大粒子径を意味する。d10/d90は、d10をd90で除した値である。)
インク受理層中の填料の含有量は、インク受理層の全固形分含有量に対して、35〜68重量%、特に47〜57重量%、が好ましい。填料の含有量が、35重量%未満だとインク吸収性が低下しやすくなり、逆に、68重量%を超えると、インク受理層の強度が低下しやすくなる。
【0012】
インク受理層の結着剤としては、(b)成分としてアクリル−スチレン共重合体を使用することが必須であるが、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で他の結着剤を混合して用いても良い。
使用できる結着剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ゼラチン、ポリビニルアセタール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、アクリル重合体、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、バーサチック酸ビニルの単独又は共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、などが挙げられる。
これらの結着剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、結着剤中の(b)成分(アクリル−スチレン共重合体)の量は60重量%以上であることが必要である。
インク受理層中の結着剤の含有量は、インク受理層の全固形分含有量に対して、
24〜45重量%、特に33〜43重量%が好ましい。結着剤の含有量が24重量%未満だと、インク受理層の強度が低下しやすくなり、逆に、45重量%を超えると、インク吸収性が低下しやすくなる。
また、前記(b)成分(アクリル−スチレン共重合体)のガラス転移温度が−70℃〜0℃の範囲内であることが好ましい。ガラス転移温度が上記範囲内にあることによって、インク受理層の強度がより向上し、さらにカールの防止性能も持つ。
【0013】
本発明において、インク受理層に含有させる添加剤として、(c)成分として塩基性乳酸アルミニウムが、必須成分として加えられる。塩基性乳酸アルミニウムは、特に画像濃度性の面から好適な添加剤である。
インク受理層中の(c)成分の含有量は、インク受理層の全固形分含有量に対して、1〜7重量%、特に2〜5重量%が好ましい。(c)成分の含有量が1重量%未満では、画像濃度が低下しやすく、逆に、7重量%を超えると、インク受理層の耐水性が低下する。
【0014】
さらに、本発明において、インク受理層に含有させる添加剤として、(d)成分としてジメチルアミンとエピクロロヒドリンの重合物、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、及びジアリルアミンとアリルアミンとの共重合物から選ばれた少なくとも1種からなるカチオン性樹脂が必須成分として加えられる。前記カチオン性樹脂のなかでも、ポリジアリルアミンとポリアリルアミンの混合物は、ジアリルアミンとアリルアミンとの共重合物を用いると、画像にじみ(マイグレーション)の防止に優れるので好ましい。特にポリアリルアミンとポリジアリルアミンの混合物を用いると画像の耐光性が向上するので好ましい。ポリジアリルアミンとポリアリルアミンとの混合物は、それぞれ水溶性のポリアリルアミン塩、ポリジアリルアミン塩の形態が取り扱い易い。
なお、ポリジアリルアミンとポリアリルアミンからなる混合物の量比は1/9〜9/1の範囲が好ましい。
(d)成分は、インク受理層を形成するための塗工液に内添して用いてもよく、インク受理層を塗工乾燥させた後、(d)成分を含む液体を塗工し含浸させる方法によって含有させてもよい。
ここで、インク受理層中の(d)成分の含有量は、インク受理層の全固形分含有量に対して、2〜13重量%が好ましく、3〜8重量%が特に好ましい。(d)成分の含有量が2重量%未満では、にじみが発生し易く、印画部の耐水性が低下する。逆に、8重量%を超えると、耐光性が低下し、さらに印画部の耐水性が低下する。
上記本発明におけるインク受理層は、顔料インクでの印画に特に適するが、染料インクでも使用できる。
【0015】
さらに、インク受理層には、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、消泡剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、防腐剤、顔料分散剤、増粘剤などを添加してもよい。
【0016】
インク受理層の厚み(乾燥後)は、20〜40μm、特に25〜35μmであることが好ましい。インク受理層の厚みが20μm未満であると、インクの吸収容量が不足し、インク乾燥速度が低下する。
逆に、40μmを超えると、インク受理層の強度が低下し、バンディング(スジ状の抜け)が発生する。
【0017】
本発明のインクジェット記録用シートは、インク受理層を少なくとも1層有するものであり、基材の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。また、必要に応じ、基材の1つの面に2層以上設けてもよい。
さらに、インク受理層以外の層も設けてもよい。
例えば、インク受理層と基材の中間に、密着力を向上させる目的でアンカーコート層を設けてもよく、インクの溶剤の吸収を補助する層を設けてもよい。また、隠蔽性を向上させる目的で、不透明度が高い層を設けてもよく、紫外線吸収層を設けてもよい。
【0018】
かかる本発明のインクジェット記録用シートのインク受理層は、次のようにして形成することができる。
インク受理層、アンカーコート層などは、必要な成分を分散させたり、溶解させた塗工液を塗工して乾燥させることなどによって形成することができ、塗工は、リバースロールコート、エアナイフコート、グラビアコート、ブレードコート等の従来公知の種々の方法を用いることが可能である。
【0019】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、インクジェット記録用シートの性能は、以下に示す方法に従って評価した。
また、印画は、セイコーエプソン社製の、水性の顔料タイプのインク用の、インクジェットプリンター(機種名:MC9000)で、色材として純正の水性の顔料タイプのインクを使用して行った。
【0020】
(1)にじみの防止性能
以下の画像を印画した。
・シアン、イエローの混色グリーンベタ白抜き文字パターン。インク噴射量170%。
・マゼンタ、イエローの混色レッドベタ白抜き文字パターン。インク噴射量170%。
白抜き文字へのインクのにじみ出し度合を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎・・・にじみなし。
○・・・にじみが若干発生したが実用上支障なし。
△・・・にじみが発生し、実用上支障あり。
×・・・にじみの発生が多く実用上支障あり。
(2)インク受理層強度
インク受理層上にセロハンテープ(ニチバン社製「CT405A−18」、長さ10cm)を2kgの圧着ロール3往復で貼り付け、45°の角度で逆行する向きに剥離したときの剥がれ具合を下記の基準で評価した。
○・・・セロハンテープに付着した塗工層の面積が30%以下。
△・・・セロハンテープに付着した塗工層の面積が30%超60%以下。
×・・・セロハンテープに付着した塗工層の面積が60%超。
(3)画像色彩性
(1)と同様の画像を印画した。目視により、反射濃度、バンディング及び色目を総合的に観察し、下記の判定基準で評価した。
◎・・・画像にバンディングが無く完全にクリアーに見える。
○・・・画像がクリアーに見える。
△・・・ややかすみがかかったようにくすんで見えるが実用可能。
×・・・白っぽく彩度が低下している。
(4)画像の耐水性(滴下)
(1)と同様の画像を印画した。印画5分後に印画部にスポイドで蒸留水を一滴垂らし、蒸留水が完全に吸収されたときのインク流出の度合いを目視で観察し,下記の判定基準で評価した。
○・・・流出が殆どない。
△・・・流出が発生し、実用上支障あり。
×・・・流出が多く発生し、実用上支障あり。
【0021】
実施例1
基材として、厚さ80μmの発泡プラスチックフィルム[東洋紡社製、商品名「トヨパールP4258」]を用いた。
アンカーコート層用塗工液として、次の成分の均一混合物を用いた。
A)アクリル樹脂[BASFディスパージョン社製「アクロナールYJ−6221D」、固形分濃度49%、アニオン性]60重量部
B)炭酸カルシウム[白石中央研究所社製「カルライトSA」、固形分濃度100%、アラゴナイト質]10重量部
C)水30重量部
【0022】
インク受理層用塗工液として、次の成分の均一混合物を用いた。
1)填料としてのシリカ[富士シリシア化学社製「サイリシア440」、固形分濃度100重量%、細孔容積1.25ml/g d10/d90=0.35]38.46重量部
2)結着剤としてのアクリル−スチレン共重合樹脂[日栄化工社製「ライフボンド XN−101」、固形分濃度41重量%、ガラス転移温度−35℃ カチオン性]68.68重量部
3)ジメチルアミンとエピクロロヒドリンの重合物[日華化学社製「ネオフィックスRE」、固形分濃度41重量% ]11.23重量部
4)塩基性乳酸アルミニウム[多木化学社製「タキセラムM160L」、固形分濃度25重量%]9.06重量部
5)蛍光増白剤[バイエル社製「BLANKPHOR UW liquid(ブランクフォーUWリキッド)」、固形分濃度100重量%]0.14重量部
6)消泡剤[サンノプコ社製「SNデフォーマー480」、固形分濃度100重量%]0.20重量部
7)水90.50重量部
【0023】
基材の一方の面に、アンカーコート層用塗工液を乾燥後の厚みが3μmになるように塗工し、乾燥処理後、このアンカーコート層上にインク受理層用塗工液を乾燥後の厚みが30μmになるように塗工し、乾燥処理することにより、インク受理層を設けインクジェット記録用シートを作製した。
【0024】
実施例2
実施例1におけるインク受理層用塗工液中の「ライフボンド XN−101」を、アクリル−スチレン共重合樹脂[中央理科工業社製「リカボンド FK−820」、固形分濃度39%、ガラス転移温度−35℃ カチオン性]72.18重量部に代えた以外は、実施例1と同様な操作を行い、インクジェット記録用シートを作製した。
【0025】
実施例3
実施例1におけるインク受理層用塗工液中の「ネオフィックスRE」を、ポリジアリルアミン塩とポリアリルアミン塩の混合水溶液[日華化学社製「ネオフィックスRX−100」、固形分濃度19重量%]24.22重量部に代え、水の量を76.16重量部に代えた以外は、実施例1と同様な操作を行い、インクジェット記録用シートを作成した。
【0026】
比較例1
実施例1におけるインク受理層用塗工液中の「ライフボンド XN−101」を、アクリル酸エステル共重合樹脂[昭和高分子社製「ポリゾール OLZ−1030」、固形分濃度34.4%、ガラス転移温度0℃ ノニオン性]91.57重量部に代えた以外は、実施例1と同様な操作を行い、インクジェット記録用シートを作製した。
【0027】
比較例2
実施例1におけるインク受理層用塗工液中の「ライフボンド XN−101」を、アクリル酸エステル共重合樹脂[昭和高分子社製「ポリゾール AE−830」、固形分濃度51%、ガラス転移温度−38℃ カチオン性]63.34重量部に代えた以外は、実施例1と同様な操作を行い、インクジェット記録用シートを作製した。
【0028】
比較例3
実施例1におけるインク受理層用塗工液中の「ライフボンド XN−101」を、アクリル酸エステル共重合樹脂[昭和高分子社製「ポリゾールAE−803」、固形分濃度45%、ガラス転移温度−15℃ カチオン性]71.79重量部に代えた以外は、実施例1と同様な操作を行い、インクジェット記録用シートを作製した。
【0029】
比較例4
実施例1におけるインク受理層用塗工液中の「ライフボンド XN−101」を、脂肪族ウレタン樹脂[楠本化成社製「ネオレッツ R9320」、固形分濃度40%、ガラス転移温度−37℃ ノニオン性」96.15重量部に代えた以外は、実施例1と同様な操作を行い、インクジェット記録用シートを作製した。
【0030】
上記実施例1〜2及び比較例1〜4で得られたインクジェット記録用シートそれぞれについて、(1)にじみの防止性能、(2)インク受理層強度、(3)画像色彩性及び(4)画像の耐水性(滴下)を評価した結果を第1表に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】
塩基性乳酸アルミニウム及びエピクロロヒドリンの重合物、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、及びジアリルアミンとアリルアミンとの共重合物から選ばれた少なくとも1種からなるカチオン性樹脂を併用し、填料としてシリカ、結着剤として、特にアクリル−スチレン共重合体をインク受理層に含有させるという構成により、画像濃度、画像の耐水性等を維持し、インク受理層の強度、にじみの防止性能に優れるインクジェット記録用シートを得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録用シートに関し、さらに詳しくは、画像濃度、画像の耐水性を維持し、インク受理層の強度、にじみ防止に優れたインクジェット記録用シートであって、顔料インクに特に適し染料インクでも使用できるインクジェット記録用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印画方式の一つとして、インクジェット記録方式は、高画質のフルカラー画像が容易にえられること、ランニングコストが低いこと、等の利点により、多岐にわたる使用条件のもとで用途がひろがりつつある。
それに伴い、インクジェット記録用シートに対して、にじみの防止、耐水性、画像濃度およびインク受理層の強度等も含めその他の多くの性能を同時に、しかも高いレベルで満足することに対する要求が高まってきている。
本発明者は、インクジェット記録用シートにおいて、インク受理層に塩基性乳酸アルミニウムを含有させ、画像濃度を向上させると同時に画像のにじみを防止する技術を提案した(例えば、特許文献1参照)。
また、インク受理層にジメチルアミンとエピクロロヒドリンの重合物を含有させ、画像の耐水性を向上させ、また、画像のにじみを防止する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
以上のように、塩基性乳酸アルミニウムまたは、ジメチルアミンとエピクロロヒドリンの重合物をインク受理層に含有させることで、上記のような効果を得ることができるが、インク受理層の強度は向上しないという問題がある。
また、画像のにじみ防止効果も、インクの噴射量や併用する結着剤等の条件によっては不十分であった。
すなわち、従来、画像濃度、画像の耐水性を維持し、優れたインク受理層の強度、にじみ防止性を同時に充分に満足させることは困難であつた。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−52812号公報(第1頁)
【特許文献2】
特開2002−160440号公報(第1頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況で、画像濃度、画像の耐水性を維持し、優れたインク受理層の強度、にじみ防止性を同時に満足させたインクジェット記録用シートを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記の優れた機能を有するインクジェット記録用シートを開発すべく鋭意研究を重ねた結果、インク受理層に、特定の填料、結着剤及び添加剤を含有させることで、前記目的に適合し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、基材上にインク受理層を設けてなり、該インク受理層が、(a)シリカを60重量%以上含む填料、(b)アクリル−スチレン共重合体を60重量%以上含む結着剤、添加剤として(c)塩基性乳酸アルミニウム、及び添加剤として(d)ジメチルアミンとエピクロロヒドリンの重合物、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、及びジアリルアミンとアリルアミンとの共重合物から選ばれた少なくとも1種からなるカチオン性樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録用シートを提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録用シートは、基材の少なくとも一方の面に、インク受理層を有するものである。
本発明においては、基材は、シート状のものであればよく、特に限定されるものではない。紙、プラスチックフィルム、不織布等の、従来この種の目的に使用されていたもののいずれもが使用可能であるが、耐水性の点からプラスチックフィルムが特に好適である。
プラスチックフィルムの素材としては、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート等の一般的な熱可塑性樹脂、あるいは、炭酸カルシウム等の無機粉末を内添させたもの、有機ピグメントを内添させたもの等から選択することが可能である。
また、生分解性プラスチックのフィルムを使用することもできる。
【0007】
さらに、発泡プラスチックフィルムを使用してもよい。ここで、発泡プラスチックとは、フィルムの表面や内部に形成させる亀裂や欠所、或いは、細かな気泡や空洞などを有するプラスチックフィルムをいうが、これらの気泡や空洞などは、炭酸カルシウム等の無機粉末を含有したフィルムを延伸して無機粉末の周囲に発生させたり(ミクロボイドフィルム)、発泡剤を含有させて発泡させたりして形成したものなど、その名称や形成方法或いは気泡や空洞の生成形態は問わない。
なお、ここでいうプラスチックフィルムには、合成紙と称されるものも含まれる。
【0008】
基材は、単層構造でも多層構造でもよく、多層構造を形成する方法としては、例えば、接着剤を介して層同士を貼り合せる方法、複数の押し出し機から複数の原料を押し出し合流させて製膜する、いわゆる共押出方法、フィルムの上に押出機から直接フィルムを押し出しながら貼り合わせて積層するいわゆる押し出しラミネート方法など、公知の方法の何れで形成したものも用いることができる。
【0009】
基材には、インク受理層等との密着性や濡れ性を向上させるなどの目的で、所望により、基材の片面または両面に、酸化法や凹凸法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、熱風処理、などが挙げられ、また、凹凸法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果および操作性などの面から好ましく用いられる。また、易接着処理を施すこともできる。
【0010】
本発明において、前記基材の少なくとも一方の面に設けられるインク受理層は、填料、結着剤の他に、添加剤として特定量の(c)塩基性乳酸アルミニウムならびに(d)ジメチルアミンとエピクロロヒドリンの重合物、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、及びジアリルアミンとアリルアミンとの共重合物から選ばれた少なくとも1種からなるカチオン性樹脂等を含有する層である。
【0011】
インク受理層の填料としては、(a)成分としてシリカを使用することは必須であるが、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、他の填料を混合して用いてもよい。
この場合、使用できる填料は、有機、無機の制限はなく、例えば、炭酸カルシウム、タルク、クレー、けいそう土、水酸化アルミニウム、ポリスチレン、ポリメタクリレート、酸化チタン、焼成カオリン、含水マグネシウムシリケートなどが挙げられる。これらは単独、又は混合して使用できる。なお、填料中の(a)成分(シリカ)の量は60重量%以上であることが必要である。
(a)成分(シリカ)は、インク吸収スピード、画像にじみ防止性向上のために細孔容積が1.2〜2.2ml/gであるものが好ましい。
また、ドットの形状安定性の観点から(a)成分(シリカ)の粒度分布(d10/d90)が0.22以上のものが特に好ましい。(但し、d10は、粒子径が小さい方から足していき、その積算体積が全体の10%となった時の最大粒子径を意味し、d90は、粒子径が小さい方から足していきその積算体積が全体の90%となった時の最大粒子径を意味する。d10/d90は、d10をd90で除した値である。)
インク受理層中の填料の含有量は、インク受理層の全固形分含有量に対して、35〜68重量%、特に47〜57重量%、が好ましい。填料の含有量が、35重量%未満だとインク吸収性が低下しやすくなり、逆に、68重量%を超えると、インク受理層の強度が低下しやすくなる。
【0012】
インク受理層の結着剤としては、(b)成分としてアクリル−スチレン共重合体を使用することが必須であるが、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で他の結着剤を混合して用いても良い。
使用できる結着剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ゼラチン、ポリビニルアセタール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、アクリル重合体、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、バーサチック酸ビニルの単独又は共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、などが挙げられる。
これらの結着剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、結着剤中の(b)成分(アクリル−スチレン共重合体)の量は60重量%以上であることが必要である。
インク受理層中の結着剤の含有量は、インク受理層の全固形分含有量に対して、
24〜45重量%、特に33〜43重量%が好ましい。結着剤の含有量が24重量%未満だと、インク受理層の強度が低下しやすくなり、逆に、45重量%を超えると、インク吸収性が低下しやすくなる。
また、前記(b)成分(アクリル−スチレン共重合体)のガラス転移温度が−70℃〜0℃の範囲内であることが好ましい。ガラス転移温度が上記範囲内にあることによって、インク受理層の強度がより向上し、さらにカールの防止性能も持つ。
【0013】
本発明において、インク受理層に含有させる添加剤として、(c)成分として塩基性乳酸アルミニウムが、必須成分として加えられる。塩基性乳酸アルミニウムは、特に画像濃度性の面から好適な添加剤である。
インク受理層中の(c)成分の含有量は、インク受理層の全固形分含有量に対して、1〜7重量%、特に2〜5重量%が好ましい。(c)成分の含有量が1重量%未満では、画像濃度が低下しやすく、逆に、7重量%を超えると、インク受理層の耐水性が低下する。
【0014】
さらに、本発明において、インク受理層に含有させる添加剤として、(d)成分としてジメチルアミンとエピクロロヒドリンの重合物、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、及びジアリルアミンとアリルアミンとの共重合物から選ばれた少なくとも1種からなるカチオン性樹脂が必須成分として加えられる。前記カチオン性樹脂のなかでも、ポリジアリルアミンとポリアリルアミンの混合物は、ジアリルアミンとアリルアミンとの共重合物を用いると、画像にじみ(マイグレーション)の防止に優れるので好ましい。特にポリアリルアミンとポリジアリルアミンの混合物を用いると画像の耐光性が向上するので好ましい。ポリジアリルアミンとポリアリルアミンとの混合物は、それぞれ水溶性のポリアリルアミン塩、ポリジアリルアミン塩の形態が取り扱い易い。
なお、ポリジアリルアミンとポリアリルアミンからなる混合物の量比は1/9〜9/1の範囲が好ましい。
(d)成分は、インク受理層を形成するための塗工液に内添して用いてもよく、インク受理層を塗工乾燥させた後、(d)成分を含む液体を塗工し含浸させる方法によって含有させてもよい。
ここで、インク受理層中の(d)成分の含有量は、インク受理層の全固形分含有量に対して、2〜13重量%が好ましく、3〜8重量%が特に好ましい。(d)成分の含有量が2重量%未満では、にじみが発生し易く、印画部の耐水性が低下する。逆に、8重量%を超えると、耐光性が低下し、さらに印画部の耐水性が低下する。
上記本発明におけるインク受理層は、顔料インクでの印画に特に適するが、染料インクでも使用できる。
【0015】
さらに、インク受理層には、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、消泡剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、防腐剤、顔料分散剤、増粘剤などを添加してもよい。
【0016】
インク受理層の厚み(乾燥後)は、20〜40μm、特に25〜35μmであることが好ましい。インク受理層の厚みが20μm未満であると、インクの吸収容量が不足し、インク乾燥速度が低下する。
逆に、40μmを超えると、インク受理層の強度が低下し、バンディング(スジ状の抜け)が発生する。
【0017】
本発明のインクジェット記録用シートは、インク受理層を少なくとも1層有するものであり、基材の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。また、必要に応じ、基材の1つの面に2層以上設けてもよい。
さらに、インク受理層以外の層も設けてもよい。
例えば、インク受理層と基材の中間に、密着力を向上させる目的でアンカーコート層を設けてもよく、インクの溶剤の吸収を補助する層を設けてもよい。また、隠蔽性を向上させる目的で、不透明度が高い層を設けてもよく、紫外線吸収層を設けてもよい。
【0018】
かかる本発明のインクジェット記録用シートのインク受理層は、次のようにして形成することができる。
インク受理層、アンカーコート層などは、必要な成分を分散させたり、溶解させた塗工液を塗工して乾燥させることなどによって形成することができ、塗工は、リバースロールコート、エアナイフコート、グラビアコート、ブレードコート等の従来公知の種々の方法を用いることが可能である。
【0019】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、インクジェット記録用シートの性能は、以下に示す方法に従って評価した。
また、印画は、セイコーエプソン社製の、水性の顔料タイプのインク用の、インクジェットプリンター(機種名:MC9000)で、色材として純正の水性の顔料タイプのインクを使用して行った。
【0020】
(1)にじみの防止性能
以下の画像を印画した。
・シアン、イエローの混色グリーンベタ白抜き文字パターン。インク噴射量170%。
・マゼンタ、イエローの混色レッドベタ白抜き文字パターン。インク噴射量170%。
白抜き文字へのインクのにじみ出し度合を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎・・・にじみなし。
○・・・にじみが若干発生したが実用上支障なし。
△・・・にじみが発生し、実用上支障あり。
×・・・にじみの発生が多く実用上支障あり。
(2)インク受理層強度
インク受理層上にセロハンテープ(ニチバン社製「CT405A−18」、長さ10cm)を2kgの圧着ロール3往復で貼り付け、45°の角度で逆行する向きに剥離したときの剥がれ具合を下記の基準で評価した。
○・・・セロハンテープに付着した塗工層の面積が30%以下。
△・・・セロハンテープに付着した塗工層の面積が30%超60%以下。
×・・・セロハンテープに付着した塗工層の面積が60%超。
(3)画像色彩性
(1)と同様の画像を印画した。目視により、反射濃度、バンディング及び色目を総合的に観察し、下記の判定基準で評価した。
◎・・・画像にバンディングが無く完全にクリアーに見える。
○・・・画像がクリアーに見える。
△・・・ややかすみがかかったようにくすんで見えるが実用可能。
×・・・白っぽく彩度が低下している。
(4)画像の耐水性(滴下)
(1)と同様の画像を印画した。印画5分後に印画部にスポイドで蒸留水を一滴垂らし、蒸留水が完全に吸収されたときのインク流出の度合いを目視で観察し,下記の判定基準で評価した。
○・・・流出が殆どない。
△・・・流出が発生し、実用上支障あり。
×・・・流出が多く発生し、実用上支障あり。
【0021】
実施例1
基材として、厚さ80μmの発泡プラスチックフィルム[東洋紡社製、商品名「トヨパールP4258」]を用いた。
アンカーコート層用塗工液として、次の成分の均一混合物を用いた。
A)アクリル樹脂[BASFディスパージョン社製「アクロナールYJ−6221D」、固形分濃度49%、アニオン性]60重量部
B)炭酸カルシウム[白石中央研究所社製「カルライトSA」、固形分濃度100%、アラゴナイト質]10重量部
C)水30重量部
【0022】
インク受理層用塗工液として、次の成分の均一混合物を用いた。
1)填料としてのシリカ[富士シリシア化学社製「サイリシア440」、固形分濃度100重量%、細孔容積1.25ml/g d10/d90=0.35]38.46重量部
2)結着剤としてのアクリル−スチレン共重合樹脂[日栄化工社製「ライフボンド XN−101」、固形分濃度41重量%、ガラス転移温度−35℃ カチオン性]68.68重量部
3)ジメチルアミンとエピクロロヒドリンの重合物[日華化学社製「ネオフィックスRE」、固形分濃度41重量% ]11.23重量部
4)塩基性乳酸アルミニウム[多木化学社製「タキセラムM160L」、固形分濃度25重量%]9.06重量部
5)蛍光増白剤[バイエル社製「BLANKPHOR UW liquid(ブランクフォーUWリキッド)」、固形分濃度100重量%]0.14重量部
6)消泡剤[サンノプコ社製「SNデフォーマー480」、固形分濃度100重量%]0.20重量部
7)水90.50重量部
【0023】
基材の一方の面に、アンカーコート層用塗工液を乾燥後の厚みが3μmになるように塗工し、乾燥処理後、このアンカーコート層上にインク受理層用塗工液を乾燥後の厚みが30μmになるように塗工し、乾燥処理することにより、インク受理層を設けインクジェット記録用シートを作製した。
【0024】
実施例2
実施例1におけるインク受理層用塗工液中の「ライフボンド XN−101」を、アクリル−スチレン共重合樹脂[中央理科工業社製「リカボンド FK−820」、固形分濃度39%、ガラス転移温度−35℃ カチオン性]72.18重量部に代えた以外は、実施例1と同様な操作を行い、インクジェット記録用シートを作製した。
【0025】
実施例3
実施例1におけるインク受理層用塗工液中の「ネオフィックスRE」を、ポリジアリルアミン塩とポリアリルアミン塩の混合水溶液[日華化学社製「ネオフィックスRX−100」、固形分濃度19重量%]24.22重量部に代え、水の量を76.16重量部に代えた以外は、実施例1と同様な操作を行い、インクジェット記録用シートを作成した。
【0026】
比較例1
実施例1におけるインク受理層用塗工液中の「ライフボンド XN−101」を、アクリル酸エステル共重合樹脂[昭和高分子社製「ポリゾール OLZ−1030」、固形分濃度34.4%、ガラス転移温度0℃ ノニオン性]91.57重量部に代えた以外は、実施例1と同様な操作を行い、インクジェット記録用シートを作製した。
【0027】
比較例2
実施例1におけるインク受理層用塗工液中の「ライフボンド XN−101」を、アクリル酸エステル共重合樹脂[昭和高分子社製「ポリゾール AE−830」、固形分濃度51%、ガラス転移温度−38℃ カチオン性]63.34重量部に代えた以外は、実施例1と同様な操作を行い、インクジェット記録用シートを作製した。
【0028】
比較例3
実施例1におけるインク受理層用塗工液中の「ライフボンド XN−101」を、アクリル酸エステル共重合樹脂[昭和高分子社製「ポリゾールAE−803」、固形分濃度45%、ガラス転移温度−15℃ カチオン性]71.79重量部に代えた以外は、実施例1と同様な操作を行い、インクジェット記録用シートを作製した。
【0029】
比較例4
実施例1におけるインク受理層用塗工液中の「ライフボンド XN−101」を、脂肪族ウレタン樹脂[楠本化成社製「ネオレッツ R9320」、固形分濃度40%、ガラス転移温度−37℃ ノニオン性」96.15重量部に代えた以外は、実施例1と同様な操作を行い、インクジェット記録用シートを作製した。
【0030】
上記実施例1〜2及び比較例1〜4で得られたインクジェット記録用シートそれぞれについて、(1)にじみの防止性能、(2)インク受理層強度、(3)画像色彩性及び(4)画像の耐水性(滴下)を評価した結果を第1表に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】
塩基性乳酸アルミニウム及びエピクロロヒドリンの重合物、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、及びジアリルアミンとアリルアミンとの共重合物から選ばれた少なくとも1種からなるカチオン性樹脂を併用し、填料としてシリカ、結着剤として、特にアクリル−スチレン共重合体をインク受理層に含有させるという構成により、画像濃度、画像の耐水性等を維持し、インク受理層の強度、にじみの防止性能に優れるインクジェット記録用シートを得ることができる。
Claims (4)
- 基材上にインク受理層を設けてなり、該インク受理層が、(a)シリカを60重量%以上含む填料、(b)アクリル−スチレン共重合体を60重量%以上含む結着剤、添加剤として(c)塩基性乳酸アルミニウム、及び添加剤として(d)ジメチルアミンとエピクロロヒドリンの重合物、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、及びジアリルアミンとアリルアミンとの共重合物から選ばれた少なくとも1種からなるカチオン性樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録用シート。
- (b)成分であるアクリル−スチレン共重合体のガラス転移温度が−70℃〜0℃である請求項1記載のインクジェット記録用シート。
- (d)成分であるカチオン性樹脂がポリジアリルアミンとポリアリルアミンとの混合物である請求項1又は2記載のインクジェット記録用シート。
- 前記インク受理層の全固形分重量に対して、填料を35〜68重量%、結着剤を24〜45重量%、(c)塩基性乳酸アルミニウムを1〜7重量%、(d)カチオン性樹脂を2〜13重量%含有する請求項1〜3いずれかに記載のインクジェット記録用シート。
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