JP3998821B2 - ハロゲン化テトラアザポルフィリン化合物を含む材料及びその材料の製造方法。 - Google Patents
ハロゲン化テトラアザポルフィリン化合物を含む材料及びその材料の製造方法。 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なハロゲン化テトラアザポルフィリン化合物及び(ハロゲン化)テトラアザポルフィリン化合物の製造方法に関し、詳しくは染料、顔料、光電機能材料、記録及び記憶材料等、特に光記録媒体用材料として有用なハロゲン化テトラアザポルフィリン化合物及び(ハロゲン化)テトラアザポルフィリン化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在の追記光型ディスクシステム(WORM、CD−R)では、使用レーザの発振波長が770nm〜790nmにあり、記録媒体は上記波長で記録、再生が可能なように構成されている。今後、情報量の増大に伴い記録媒体の大容量化への流れは必須である。従って、記録、再生に用いるレーザ波長が短波長化することも必然的に起ってくることが容易に予想される。
【0003】
ただ、フタロシアニン色素をデータ用追記光型ディスク記録材料として用いたものには、特開昭61−150243号、特開昭61−177287号、特開昭61−154888号、特開昭61−246091号、特開昭62−39286号、特開昭63−37791号、特開昭63−39888号各公報等があり、またフタロシアニン色素をコンパクトディスク記録材料として用いたものには、特開平1−176585号、特開平3−215466号、特開平4−113886号、特開平4−226390号、特開平5−1272号、特開平5−171052号、特開平5−116456号、特開平5−69860号、特開平5−139044号各公報等がある。しかしながら、耐光性、保存安定性に優れ、且つ700nm以下のレーザを用いた光ピックアップで記録、再生が可能な記録材料は、未だ開発されていないのが現状である。
【0004】
一方、α−置換フタロシアニンの製造方法については、特開平3−62878号、特開平3−215466号、特開平4−226390号、特開平4−348168号、特開平5−25177号各公報等に述べられており、またハロゲン化フタロシアニン及びその製造方法については、、特開平4−15263号、特開平4−15264号、特開平4−15265号、特開平4−15266号、特開平5−1272号、特開平5−17700号、特開平5−17477号、特開平5−25179号、特開平5−86301号、特開平5−171052号、特開平5−247363号各公報等に記載されている。
【0005】
また、フタロシアニンの類似化合物である無置換のテトラアザポルフィリンは、光や熱に安定であり、且つ高吸収である一方、有機溶剤への溶解性が乏しく薄膜化することは困難であった。なお、4置換アルキルテトラアザポリフィリンの合成については、J.Gen.Chem.USSR 1977,47,1954などに記載があるが、異性体の生成については述べられていない。また、前記したフタロシアニンの合成方法及びそのハロゲン化方法に関する公報には、テトラアザポルフィリンについての適用ならびにその可能性についての記述は全く見当たらない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は上記のような状況に鑑みてなされたものであって、上記従来システムに比べて、短波長に発振波長を有する半導体レーザを用いる高密度光ディスクシステムに適用可能な耐光性、保存安定性に優れた光記録媒体用の記録材料として有用な化合物及びその製造方法を提供すること目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、ハロゲン化テトラアザポルフィリン化合物を主成分とする記録層を設けることにより、発振波長700nm以下の半導体レーザを用いる高密度光ディスクシステムに適用可能なことを見出し、更には合成温度、有機塩基の添加、ハロゲン化の制御、等により上記化合物を効率よく製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明によれば、第一に、下記一般式(I)−b〜(I)−dで示される3種のうちの少なくとも1種以上を含む(下記一般式(I)−aを除く)ことを特徴とする材料が提供される。
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
〔式中、M、R 1 〜R 4 、X及びnは、それぞれ以下のものを表わす。
M:2個の水素原子、又は酸素原子若しくはハロゲン原子を有してもよい2価、3価若しくは4価の金属原子、又は置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、−(OPR 11 R 12 )t基、(−OPOR 13 R 14 )t基、−(OSiR 15 R 16 R 17 )t基、−(OCOR 18 )t基、−(OR 19 )t基、−(OCOCOOR 20 )t基、−(OCOCOR 21 )t基若しくは−(OCONR 22 R 23 )t基を有してもよい金属原子、
R 11 〜R 23 :それぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基又は置換若しくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、
t:0〜2の整数、
R 1 〜R 4 :それぞれ独立に水素原子又は置換若しくは未置換の直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、但し、R 1 〜R 4 の全てが水素原子である場合を除く、
X:塩素、臭素又はヨウ素原子、
n:上記ハロゲン原子の置換数を表し、1〜4の整数。〕
第二に、下記一般式(III)−aで示されるアルキル置換マレオニトリル又は下記一般式(III)−bで示されるアルキル置換2,5−ジイミノピロール1〜4種と、金属又は金属誘導体とを、ジアザビシクロウンデセンおよびジアザビシクロノネンのうちの少なくとも一方の有機塩基を共存させて90℃以上〜150℃未満で反応させることを特徴とする下記一般式(II)−b〜(II)−dで示される少なくとも1種((II)−aを除く)の材料の製造方法が提供される。
【化21】
【化22】
(式中、R、R’はそれぞれ独立に水素原子又は置換若しくは未置換の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表す。但し、R、R’のうち少なくとも一方が水素原子であり、テトラアザポルフィリン化合物の生成時に8つの置換位置全てが水素原子になることはない。)
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
〔式中、M及びR 1 〜R 4 は、それぞれ以下のものを表わす。
M:2個の水素原子、又は酸素原子若しくはハロゲン原子を有してもよい2価、3価若しくは4価の金属原子、又は置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、−(OPR 11 R 12 )t基、(−OPOR 13 R 14 )t基、−(OSiR 15 R 16 R 17 )t基、−(OCOR 18 )t基、−(OR 19 )t基、−(OCOCOOR 20 )t基、−(OCOCOR 21 )t基若しくは−(OCONR 22 R 23 )t基を有してもよい金属原子、
R 11 〜R 23 :それぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基又は置換若しくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、
t:0〜2の整数、
R 1 〜R 4 :それぞれ独立に水素原子又は置換若しくは未置換の直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、但し、R 1 〜R 4 の全てが水素原子である場合を除く。〕
第三に、上記第二において、反応が有機溶媒中で行われることを特徴とする材料の製造方法が提供される。
第四に、上記第三において、有機溶媒がアルコールであることを特徴とする材料の製造方法が提供される。
第五に、上記第二〜四において、金属又は金属誘導体が遷移金属、遷移金属ハロゲン塩又は遷移金属カルボン酸塩であることを特徴とする材料の製造方法が提供される。
第六に、上記第二〜五において、使用する溶媒の量がアルキル置換マレオニトリル若しくはアルキル置換2,5ジイミノピロールに対して1〜100倍量であることを特徴とする材料の製造方法が提供される。
第七に、一般式(III)−aで示されるアルキル置換マレオニトリル又は下記一般式(III)−bで示されるアルキル置換2,5−ジイミノピロール1〜4種と、金属又は金属誘導体とを、ジアザビシクロウンデセンおよびジアザビシクロノネンのうち少なくとも一方の有機塩基を共存させて90℃以上〜150℃未満で反応させることにより、一般式(II)−b〜(II)−dで示されるテトラアザポルフィリンの1種以上((II)−aを除く)を得る工程と、前記一般式(II)−b〜(II)−dで示されるテトラアザポルフィリンの1種以上((II)−aを除く)を有機溶媒と水との混合溶媒中0〜90℃でハロゲン化剤と反応させる工程とを含むことを特徴とする材料の製造方法を提供される。
【化27】
【化28】
(式中、R、R’はそれぞれ独立に水素原子又は置換若しくは未置換の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表す。但し、R、R’のうち少なくとも一方が水素原子であり、テトラアザポルフィリン化合物の生成時に8つの置換位置全てが水素原子になることはない。)
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
〔式中、M及びR 1 〜R 4 は、それぞれ以下のものを表わす。
M:2個の水素原子、又は酸素原子若しくはハロゲン原子を有してもよい2価、3価若し くは4価の金属原子、又は置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、−(OPR 11 R 12 )t基、(−OPOR 13 R 14 )t基、−(OSiR 15 R 16 R 17 )t基、−(OCOR 18 )t基、−(OR 19 )t基、−(OCOCOOR 20 )t基、−(OCOCOR 21 )t基若しくは−(OCONR 22 R 23 )t基を有してもよい金属原子、
R 11 〜R 23 :それぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基又は置換若しくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、
t:0〜2の整数、
R 1 〜R 4 :それぞれ独立に水素原子又は置換若しくは未置換の直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、但し、R 1 〜R 4 の全てが水素原子である場合を除く。〕
第八に、上記第一において、Xが臭素であることを特徴とする材料が提供される。
第九に、上記第七において、有機溶剤が実質的に水と混合しないものであることを特徴とする材料の製造方法が提供される。
第十に、上記第九において、有機溶剤が飽和炭化水素、エーテル、ハロゲン化炭化水素から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする材料の製造方法が提供さえる。
第十一に、上記第七において、ハロゲン化剤が臭素であることを特徴とする材料の製造方法が提供される。
第十二に、上記第十一において、臭素の使用量がテトラアザポルフィリン化合物に対して1〜5モル比であることを特徴とする材料の製造方法が提供される。
【0009】
本発明の前記一般式(I)−a〜(I)−dで示されるハロゲン化テトラアザポルフィリンは、ハロゲン化しないものに比べ熱分解温度が低下し、しかも熱分解が急激に起こるという特徴があり、記録感度、及び記録ピット形状の均一性に優れた記録材料である。特に、一般式(I)−a〜(I)−dで示される異性体混合物である場合に、テトラアザポルフィリンが本来持つ安定性を損なうことなしに有機溶剤への溶解性が向上し、生産性の高い溶剤塗工可能なハロゲン化テトラアザポルフィリン化合物となる。詳しく述べると、一般式(I)−aで示される化合物は結晶性が高く、それ単体で溶剤塗工することは困難である。しかし、一般式(I)−b〜(I)−dで示される3つの異性体は、いずれも単体でも溶剤塗工が可能である。従って、4つの異性体混合物の場合でも、一般式(I)−aで示される異性体の含有量をできるだけ少なくした混合物が溶剤塗工で成膜する場合には有利である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。本発明では下記一般式(I)−b〜(I)−dで示される3種のうちの1種又は下記一般式(I)−a〜(I)−dで示される4種のうち2種以上の混合物からなるハロゲン化テトラアザポルフィリン化合物及びその製造方法に関する。
【0011】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【0012】
上記一般式(I)−a〜(I)−dにおいて、Mは2個の水素原子、又は酸素原子若しくはハロゲン原子を有してもよい2価、3価若しくは4価の金属原子、又は置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、−(OPR11R12)t基、(−OPOR13R14)t基、−(OSiR15R16R17)t基、−(OCOR18)t基、−(OR19)t基、−(OCOCOOR20)t基、−(OCOCOR21)t基若しくは−(OCONR22R23)t基を有してもよい金属原子を表す。R11〜R23はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基又は置換若しくは未置換の1価の芳香族炭化水素基を表し、tは0〜2の整数を表す。R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子又は置換若しくは未置換の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表す。但し、R1〜R4の全てが水素原子である場合は除かれる。また、Xは塩素、臭素又はヨウ素原子を表し、nは上記ハロゲン原子の置換数を表し、1〜4の整数である。
【0013】
更に、本発明は、前記一般式(I)−a〜(I)−dで示される化合物を得るための前駆体である無ハロゲン化テトラアザポルフィリンを得るために、その前駆体であるアルキル置換マレオニトリル又はアルキル置換2,5−ジイミノピロール1〜4種と、金属又は金属誘導体とを反応させることにより下記一般式(II)−a〜(II)−dを得る製造方法に関する。
【0014】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【0015】
上記一般式(II)−a〜(II)−dにおいて、Mは2個の水素原子、又は酸素原子若しくはハロゲン原子を有してもよい2価、3価若しくは4価の金属原子、又は置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、−(OPR11R12)t基、(−OPOR13R14)t基、−(OSiR15R16R17)t基、−(OCOR18)t基、−(OR19)t基、−(OCOCOOR20)t基、−(OCOCOR21)t基若しくは−(OCONR22R23)t基を有してもよい金属原子を表す。R11〜R23はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基又は置換若しくは未置換の1価の芳香族炭化水素基を表し、tは0〜2の整数を表す。R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子又は置換若しくは未置換の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表す。但し、R1〜R4の全てが水素原子である場合は除かれる。
【0016】
テトラアザポルフィリン環を合成する条件としては、一般式(III)−aで示されるアルキル置換マレオニトリル又は下記一般式(III)−bで示されるアルキル置換2,5−ジイミノピロール1〜4種と、金属又は金属誘導体とを、ジアザビシクロウンデセンおよびジアザビシクロノネンのうちの少なくとも一方の有機塩基を共存させて反応させる。
【0017】
【化41】
【化42】
【0018】
好ましい反応温度としては90〜220℃であり、90℃未満であると反応がなかなか進行せず、220℃を越えると分解物が多く生成してしまい、収率の低下を招く。更に、特筆すべきことは反応温度を150℃以上とすると、メタルフリー体の生成や一般式(II)−aで示される異性体成分の生成比が多くなり、高い溶解性を必要とする用途には好ましくなく、逆に結晶性を必要とする用途には好ましい生成物が得られるようになる。
【0019】
溶媒に使用量としてはアルキル置換マレオニトリル又はアルキル置換2,5−ジイミノピロールの1〜100重量倍、好ましくは5〜15重量倍である。
溶媒としては、沸点が100℃以上であれば良いが、好ましくは沸点が135℃以上であれば良い。具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリドン、1−クロロナフタレン、テトラヒドロナフタレン、ベンジルアルコール、キノリン、N,N−ジメチルアミノエタノールなどが挙げられるが、特に好ましい例としては脂肪族のアルコール、即ちn−アミルアルコール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチルヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール等である。
【0020】
反応に用いる金属又は金属誘導体としては、Al、Si、Ca、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Mo、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Pt、Pb、Mg及びそのハロゲン化物、カルボン酸誘導体、硫酸塩、硝酸塩、カルボニル化合物、酸化物、錯体等が挙げられる。好ましくは、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、酢酸銅、塩化ニッケル、臭化ニッケル、酢酸ニッケル、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、塩化白金、塩化亜鉛、臭化白金、酢酸亜鉛、三塩化バナジウム、四塩化ケイ素、アセチルアセトンバナジウム等である。
【0021】
アルキル置換マレオニトリルの合成については、J.Gen.Chem.USSR 1977,47,1954などに記載されており、アルキル置換2,5−ジイミノピロールについては、フタロニトリルから1,3−ジイミノイソインドリンを得る方法をそのまま応用できる。即ち、相当するマレオニトリルをナトリウムの存在下、アルコール中でアンモニアを作用させることにより、目的の置換2,5−ジイミノピロールが得られる。
【0022】
テトラアザポルフィリン環形成の際、有機塩基の添加により、反応時間の短縮及び合成収率の向上が計れ、非常に有効であることがわかった。即ち、有機塩基を無添加の場合、反応温度を上昇させるか、反応時間を多くとらないとなかなか反応が終点まで進行せず、前者の場合、メタルフリー体及び分解物の生成により収率低下を招き、後者の場合、有機塩基添加に比べて、反応温度が高温でなければならないこと、更に反応時間が3〜10倍かかり、生産性の低下を招く。
有機塩基としては1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(以下DBUと略す)、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕−5−ノネン(以下DBNと略す)が好ましく、これらの使用量は原料のアルキル置換マレオニトリル又はアルキル置換2,5−ジイミノピロールに対して、0.5〜2.5モルあれば良く、好ましくは0.7〜1.5モルである。
【0023】
更に、本発明は、光学特性を最適化しながらテトラアザポルフィリンに必要数のハロゲン原子(1〜4個)を導入することに特徴を有する。即ち、テトラアザポルフィリンにハロゲン原子が導入されると吸収波長が長波長化され、その長波長化の度合いはハロゲン導入率が上がれば上がるほど長波長移動する。本発明によればハロゲン導入率を制御できるため、波長整合の点で非常に優れたものとなる。
【0024】
具体的なハロゲン導入法としては、一般式(II)−a〜(II)−dで示されるテトラアザポルフィリン化合物を、有機溶媒と水との混合溶媒中、0〜90℃でハロゲン化剤と反応させ、一般式(I)−a〜(I)−dで示されるハロゲン化テトラアザポルフィリン化合物を得るものである。本発明では、水と実質的に混合しない有機溶剤と水との混合溶媒中でテトラアザポルフィリン化合物とハロゲン化剤とを反応させることにより、反応副生成物のハロゲン化水素あるいはハロゲン化剤の塩などが水に溶けだすために、テトラアザポルフィリン化合物が反応溶媒である有機溶剤中から反応副生成物とともに析出することを防いでいる。ハロゲン化率を高めた(3〜4置換)テトラアザポルフィリンをより多く得ようとするには、水の存在は重要であり、水の存在がない場合、分解物が多く生成するとともに、ハロゲン化率の高い生成物が効率良く得られない。
【0025】
一般式(I)−a〜(I)−dで示されるハロゲン化テトラアザポルフィリン化合物のXはハロゲンを表すが、ハロゲン原子としてはF、Cl、Br、Iが挙げられ、好ましくはBrである。ハロゲン化剤の具体例としては、塩素、臭素、沃素、塩化スルフリル、塩化チオニル、塩化アンチモン、FeCl3、五塩化リン、オキシ塩化リン、次亜塩素酸t−ブチル、N−ブロムコハク酸イミド、一塩化沃素、臭化第二銅、4級アンモニウムブロマイド、N−クロロコハク酸イミド、4級アンモニウムヨウダイド、三ヨウ化カリウムなどが挙げられ、このうち最も好ましいのが臭素である。
【0026】
反応温度としては、0〜90℃、好ましくは20〜60℃である。反応温度が20℃よりも低いと反応がうまく進行せず、また90℃を越えるとハロゲン化率を制御するのが難かしくなってくるとともに、分解物の生成が多くなってきて収率の低下を引き起こす。ハロゲン化剤を作用させる割合としては、テトラアザポルフィリンに対して1〜5モル作用させることでハロゲン化率を制御できる。即ち、作用させるハロゲン化剤が4モル以下の場合、得られるハロゲン化テトラアザポルフィリンのハロゲン化率は1〜4の混合物として得られ、ハロゲン化剤を4モル以上作用させると、ハロゲン化率の高い3〜4あるいは4のみの高置換率ハロゲン化テトラアザポルフィリンの生成ができる。ハロゲン化剤は5モル越えて作用させても4置換体しか得られず、テトラアザポルフィリン自体を分解することもあり、収率の低下をもたらす場合がある。
【0027】
ハロゲン化に際して、用いる有機溶媒としては実質的に水と混和しない、即ち水と2層を形成するものであり、一般式(I)−a〜(I)−dで示されるハロゲン化テトラアザポルフィリンを溶解し得る溶媒であり、好ましくは飽和炭化水素、エーテル、ハロゲン化炭化水素から選ばれる1種あるいは2種以上である。更に好ましくはn−ヘキサン、n−ペンタン、n−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、テトラヒドロフラン、n−ブチルエーテル、n−プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタンから選ばれる1種又は2種以上である。
【0028】
有機溶媒の量としては、原料のテトラアザポルフィリンに対して3〜350重量倍、好ましくは4〜50重量倍であるが、テトラアザポルフィリンを完全に溶解することが必要で、その量が3倍以下であると反応途中で固形物が析出し易くなり、反応進行を妨げ、350倍を越えると反応が遅くなりすぎて生産性の低下を招く。
また、水の量としては、有機溶剤に対して0.1〜10重量倍、好ましくは0.5〜3重量倍であり、水と有機溶剤との界面を多く形成する比率であることが必要である。水の添加量が0.1重量倍よりも少ないと、水を添加した効果がなく、反応途中で固形物が析出して、反応の進行の妨げとなる。また、10重量倍を越え添加すると、溶剤の量が多くなりすぎて反応効率の低下を招く。
【0029】
一般式(I)−a〜(I)−d及び(II)−a〜(II)−d中、R1〜R4のアルキル基の具体例としては、例えば、次のものが挙げられる。なお、これらのアルキル基は、ハロゲン原子等の置換基で置換されていてもよい。
メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソアミル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、n−オクチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基等の一級アルキル基;イソプロピル基、sec−ブチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルヘプチル基、1−プロピルブチル基、1−イソプロピル−2−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルブチル基、1−プロピル−2−メチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、1−イソプロピルぺンチル基、1−イソプロピル−2−メチルブチル基、1−イソプロピル−3−メチルブチル基、1−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−プロピルヘキシル基、1−イソブチル−3−メチルブチル基等の二級アルキル基;tert−ブチル基、tert−ヘキシル基、tert−アミル基、tert−オクチル基等の三級アルキル基;シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、4−(2−エチルヘキシル)シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基、アダマンタン基等のシクロアルキル基等。
また、不飽和のアルキル基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキセン基、オクテン基、ドデセン基、シクロヘキセン基、ブチルヘキセン基などが挙げられる。
【0030】
また、一般式(I)−a〜(I)−d及び(II)−a〜(II)−dにおけるR11〜R23の定義中、1価の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基等のアルキル基や、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基等のアルケニル基などが挙げられる。1価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ベンジル基などが挙げられる。また、それらの置換基としては、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子、三フッ化炭素基、シアノ基、エステル基などが挙げられる。
【0031】
前記一般式(I)−aで表される化合物の具体例としては、例えば表1に示されるものが挙げられる。なお、表1に示す化合物は異性体については記述していないが、実際には前述したような4つの異性体が存在する。
【0032】
【表1】
【0033】
【実施例】
以下、実施例について本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
実施例1
1,2−ジシアノ−3,3−ジメチル−1−ブテン6.03g(45mmol)を15gのDryペンタノールに分散し、温度を上昇させる。温度約70℃程度でDBU5.47g(45×0.8mmol)を加え、更に温度を上昇させる。温度90℃になった時点で塩化第一銅1.12g(45/4mmol)添加して、温度120℃〜125℃で20時間加熱撹拌を継続する。反応物を冷却の後、クロロホルムに不溶な成分を瀘別し、クロロホルムを留去、これに水/メタノール=1/1(容量比)を650ml加え、結晶を瀘取、水/メタノール=1/1で洗浄して乾燥後、これをヘキサン/クロロホルム=4/1シリカゲルカラムにて精製、紫色の4成分を得た。この4成分の合計の収量は4.26gであり、収率63.2%であった。
【0035】
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
【0036】
上記4つの成分は(1)〜(4)に示す4つの異性体であり、カラムの際の展開比から約(1):(2):(3):(4)=20:75:5:5である。なお、この4つの異性体混合物のクロロホルム中λmaxは585nmで、ε=110000であった。
また、上記化合物の元素分析結果は、次の通りであった。
【表2】
上記化合物のIRスペクトルを図1に示す。
【0037】
実施例2
1,2−ジシアノ−3,3−ジメチル−1−ブテン6.03g(45mmol)を20gのDryn−ヘキサノールに分散し、温度を上昇させる。温度約70℃程度でDBN6.71g(45×1.2mmol)を加え、更に温度を上昇させる。温度85℃になった時点で塩化パラジウム(II)2.00g(45/4mmol)添加して、温度120℃〜130℃で20時間加熱撹拌を継続する。反応物を冷却の後、クロロホルムに不溶な成分を瀘別し、クロロホルムを留去、これに水/メタノール=1/1(容量比)を650ml加え、結晶を瀘取、水/メタノール=1/1で洗浄して乾燥後、これをヘキサン/クロロホルム=4/1シリカゲルカラムにて精製、紫色の4成分を得た。この4成分の合計の収量は4.19gであり、収率55.5%であった。
【0038】
【化47】
【化48】
【化49】
【化50】
【0039】
上記4つの成分は(5)〜(8)に示す4つの異性体であり、カラムの際の展開比から約(5):(6):(7):(8)=15:80:5:0である。なお、この4つの異性体混合物のクロロホルム中λmaxは576nmで、ε=108000であった。
また、上記化合物の元素分析結果は、次の通りであった。
【表3】
上記化合物のIRスペクトルを図2に示す。
【0040】
実施例3
3−ブチル−2,5−ジイミノピロール6.89g(45mmol)を25gのDryエチレングリコールに分散し、温度を上昇させる。温度約70℃程度でDBU6.71g(45×1.2mmol)を加え、更に温度を上昇させる。温度85℃になった時点でアセチルアセトンバナジウム2.98g(45/4mmol)添加して、温度120℃〜135℃で24時間加熱撹拌を継続する。反応物を冷却の後、クロロホルムに不溶な成分を瀘別し、クロロホルムを留去、これに水/メタノール=1/1(容量比)を700ml加え、結晶を瀘取、水/メタノール=1/1で洗浄して乾燥後、これをヘキサン/クロロホルム=3/2シリカゲルカラムにて精製、青緑色の4成分を得た。この4成分の合計の収量は4.56gであり、収率67.2%であった。
【0041】
【化51】
【化52】
【化53】
【化54】
【0042】
上記4つの成分は(9)〜(12)に示す4つの異性体であり、カラムの際の展開比から約(9):(10):(11):(12)=15:80:5:0である。なお、この4つの異性体混合物のクロロホルム中λmaxは596nmで、ε=109000であった。
また、上記化合物の元素分析結果は、次の通りであった。
【表4】
【0043】
参考例4
1,2−ジシアノ−3,3−ジメチル−1−ブテン6.03g(45mmol)を10gのDry
1−クロロナフタレンに分散し、温度を上昇させる。温度90℃になった時点で塩化第一銅1.12g(45/4mmol)添加して、温度155℃〜175℃で72時間加熱撹拌を継続する。反応物を冷却の後、クロロホルムに不溶な成分を瀘別し、クロロホルムを留去、これに水/メタノール=1/1(容量比)を850ml加え、結晶を瀘取、水/メタノール=1/1で洗浄して乾燥後、これをヘキサン/クロロホルム=4/1シリカゲルカラムにて精製、紫色の4成分を得た。この4成分の合計の収量は2.36gであり、収率35.0%であった。
【0044】
【化55】
【化56】
【化57】
【化58】
【0045】
上記4つの成分は(1)〜(4)に示す4つの異性体であり、カラムの際の展開比から約(1):(2):(3):(4)=40:45:10:5であった。本実施例では反応系にDBUを添加しなかったことにより、実施例1と比べ、反応温度を高くし且つ反応時間が長くなった上に収率が低かった。
【0046】
実施例5
前述の(1)〜(4)の混合物800mg(1.33mmol)を1,1,2−トリクロロエタン/ヘキサン/水=80g/8g/90gの混合溶媒に溶解し、温度40℃〜45℃にて1,1,2−トリクロロエタン10gに溶解した臭素0.85g(1.33×4mmol)を30分以上かけてゆっくりと滴下する。滴下終了後45℃〜50℃にて30分撹拌し、冷却する。これをトルエン500mlにあけ、亜硫酸水素ナトリウム10%水溶液200g、次いで炭酸水素ナトリウム5%水溶液200gで洗浄して、水洗いを2回した後、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、トルエンを留去してトルエン/ヘキサン=2/3シリカゲルカラムにて精製し、青紫結晶1.19gを得た。(臭素化率を4とした収率は97.4%)
【0047】
なお、得られた4つの異性体混合物のクロロホルム中λmaxは601nmで、ε=112000であった。
また、上記化合物の元素分析結果は、次の通りであった。
【表5】
上記化合物のIRスペクトルを図3に示す。
【0048】
実施例6
前述の(5)〜(8)の混合物964mg(1.5mmol)をテトラヒドロフラン/ヘキサン/水=45g/45g/90gの混合溶媒に溶解し、温度40℃〜50℃にてテトラヒドロフラン10gに溶解した臭素0.72g(1.5×3mmol)を30分以上かけてゆっくりと滴下する。滴下終了後45℃〜55℃にて30分撹拌し、冷却する。これをトルエン500mlにあけ、亜硫酸水素ナトリウム10%水溶液200g、次いで炭酸水素ナトリウム5%水溶液200gで洗浄して、水洗いを2回した後、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、トルエンを留去してトルエン/ヘキサン=2/3シリカゲルカラムにて精製し、青紫結晶1.28gを得た。(臭素化率を3とした収率は97.0%)
【0049】
なお、得られた4つの異性体混合物のクロロホルム中λmaxは590nmで、ε=111000であった。
また、上記化合物の元素分析結果は、次の通りであった。
【表6】
上記化合物のIRスペクトルを図4に示す。
【0050】
実施例7
前述の(9)〜(12)の混合物904mg(1.5mmol)をクロロホルム/ヘキサン/水=80g/10g/90gの混合溶媒に溶解し、温度40℃〜50℃にてクロロホルム10gに溶解した臭素0.72g(1.5×4mmol)を30分以上かけてゆっくりと滴下する。滴下終了後45℃〜55℃にて30分撹拌し、冷却する。これをトルエン500mlにあけ、亜硫酸水素ナトリウム10%水溶液200g、次いで炭酸水素ナトリウム5%水溶液200gで洗浄して、水洗いを2回した後、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、トルエンを留去してトルエン/ヘキサン=3/2シリカゲルカラムにて精製し、青黒結晶1.30gを得た。(臭素化率を4とした収率は94.4%)
【0051】
なお、得られた4つの異性体混合物のクロロホルム中λmaxは611nmで、ε=110000であった。
また、上記化合物の元素分析結果は、次の通りであった。
【表7】
【0052】
実施例1の無臭素化物と実施例5の臭素化物のTG−DTAチャートを図5と図6にそれぞれ示す。また、実施例2の無臭素化物と実施例6の臭素化物のTG−DTAチャートを図7と図8にそれぞれ示す。図5と図6、図7と図8から、臭素化物の方が無臭素化物に比べ、分解温度が低下し、熱分解挙動も急激に起こることがわかる。
【0053】
【発明の効果】
請求項1のハロゲン化テトラアザポルフィリン化合物は、前記一般式(I)−b〜(I)−dで示される3種のうちの少なくとも1種以上を含む(下記一般式(I)−aを除く)ものであり、高密度光デイスクシステムに適用可能な耐光性、保存安定性に優れた光記録媒体用の記録材料として有用なものである。
【0054】
請求項2の材料の製造方法は前記一般式(III)−aで示されるアルキル置換マレオニトリル又は前記一般式(III)−bで示されるアルキル置換2,5−ジイミノピロール1〜4種と、金属又は金属誘導体とを、ジアザビシクロウンデセンおよびジアザビシクロノネンのうちの少なくとも一方の有機塩基を共存させて90℃以上〜150℃未満で反応させるものとしたことから、本製造方法によると容易に請求項1の前駆体である前記一般式(II)−a〜(II)−dで示される少なくとも1種((II)−aを除く)の材料を得ることができる。前記材料の製造方法は、反応系に有機塩基、特にジアザビシクロウンデセン又はジアザビシクロノネンを共存させたことから、より低温で、特に結晶性の高い異性体の生成を抑え、高溶解性の目的物を効率良く得ることができる。
【0055】
請求項3及び4の材料の製造方法は、請求項2の反応を溶媒中又はアルコール中で実施するものとしたことから、より温和な条件で目的物を得ることができる。
【0056】
請求項5の材料の製造方法は、金属(誘導体)として遷移金属、遷移金属ハロゲン塩又は遷移金属カルボン酸塩を用いたことから、より容易に目的物を得ることができる。
【0057】
請求項6の材料は、溶媒量を原料に対して1〜100倍量としたことから、より効率良く目的物を得ることができる。
【0060】
請求項7の材料の製造方法は、前記一般式(II)−a〜(II)−dで示されるテトラアザポルフィリンの1種以上((II)−aを除く)を有機溶剤と水との混合溶剤中0〜90℃でハロゲン化剤と反応させるものとしたことから、容易に高収率で目的物を得ることができる。
【0061】
請求項8のハロゲン化テトラアザポルフィリン化合物を含む材料は、ハロゲンが臭素であることから、熱分解挙動の点で最も好ましいものとなる。
【0062】
請求項9及び10の材料の製造方法は、有機溶剤として実質的に水と混和しないもの、特に飽和炭化水素、エーテル又はハロゲン化炭化水素を使用したことから、より効率良く目的物を得ることができる。
【0063】
請求項11及び12の材料の製造方法は、ハロゲン化剤として、臭素を使用し、特に原料に対し1〜5モル比量使用したことから、物性の良好な目的物をより効率良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた化合物のIRスペクトル図である。
【図2】実施例2で得られた化合物のIRスペクトル図である。
【図3】実施例5で得られた化合物のIRスペクトル図である。
【図4】実施例6で得られた化合物のIRスペクトル図である。
【図5】実施例1で得られた化合物のTG−DTAチャートである。
【図6】実施例5で得られた化合物のTG−DTAチャートである。
【図7】実施例2で得られた化合物のTG−DTAチャートである。
【図8】実施例6で得られた化合物のTG−DTAチャートである。
Claims (12)
- 下記一般式(I)−b〜(I)−dで示される3種のうちの少なくとも1種以上を含む(下記一般式(I)−aを除く)ことを特徴とする材料。
M:2個の水素原子、又は酸素原子若しくはハロゲン原子を有してもよい2価、3価若しくは4価の金属原子、又は置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、−(OPR11R12)t基、(−OPOR13R14)t基、−(OSiR15R16R17)t基、−(OCOR18)t基、−(OR19)t基、−(OCOCOOR20)t基、−(OCOCOR21)t基若しくは−(OCONR22R23)t基を有してもよい金属原子、
R11〜R23:それぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基又は置換若しくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、
t:0〜2の整数、
R1〜R4:それぞれ独立に水素原子又は置換若しくは未置換の直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、但し、R1〜R4の全てが水素原子である場合を除く、
X:塩素、臭素又はヨウ素原子、
n:上記ハロゲン原子の置換数を表し、1〜4の整数。〕 - 下記一般式(III)−aで示されるアルキル置換マレオニトリル又は下記一般式(III)−bで示されるアルキル置換2,5−ジイミノピロール1〜4種と、金属又は金属誘導体とを、ジアザビシクロウンデセンおよびジアザビシクロノネンのうちの少なくとも一方の有機塩基を共存させて90℃以上〜150℃未満で反応させることを特徴とする下記一般式(II)−b〜(II)−dで示される少なくとも1種((II)−aを除く)の材料の製造方法。
M:2個の水素原子、又は酸素原子若しくはハロゲン原子を有してもよい2価、3価若しくは4価の金属原子、又は置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、−(OPR11R12)t基、(−OPOR13R14)t基、−(OSiR15R16R17)t基、−(OCOR18)t基、−(OR19)t基、−(OCOCOOR20)t基、−(OCOCOR21)t基若しくは−(OCONR22R23)t基を有してもよい金属原子、
R11〜R23:それぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基又は置換若しくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、
t:0〜2の整数、
R1〜R4:それぞれ独立に水素原子又は置換若しくは未置換の直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、但し、R1〜R4の全てが水素原子である場合を除く。〕 - 請求項2において、反応が有機溶媒中で行われることを特徴とする材料の製造方法。
- 請求項3において、有機溶媒がアルコールであることを特徴とする材料の製造方法。
- 請求項2〜4において、金属又は金属誘導体が遷移金属、遷移金属ハロゲン塩又は遷移金属カルボン酸塩であることを特徴とする材料の製造方法。
- 請求項2〜5において、使用する溶媒の量がアルキル置換マレオニトリル若しくはアルキル置換2,5ジイミノピロールに対して1〜100倍量であることを特徴とする材料の製造方法。
- 一般式(III)−aで示されるアルキル置換マレオニトリル又は下記一般式(III)−bで示されるアルキル置換2,5−ジイミノピロール1〜4種と、金属又は金属誘導体とを、ジアザビシクロウンデセンおよびジアザビシクロノネンのうち少なくとも一方の有機塩基を共存させて90℃以上〜150℃未満で反応させることにより、一般式(II)−b〜(II)−dで示されるテトラアザポルフィリンの1種以上((II)−aを除く)を得る工程と、
前記一般式(II)−b〜(II)−dで示されるテトラアザポルフィリンの1種以上((II)−aを除く)を有機溶媒と水との混合溶媒中0〜90℃でハロゲン化剤と反応させる工程と
を含むことを特徴とする材料の製造方法。
M:2個の水素原子、又は酸素原子若しくはハロゲン原子を有してもよい2価、3価若しくは4価の金属原子、又は置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、−(OPR11R12)t基、(−OPOR13R14)t基、−(OSiR15R16R17)t基、−(OCOR18)t基、−(OR19)t基、−(OCOCOOR20)t基、−(OCOCOR21)t基若しくは−(OCONR22R23)t基を有してもよい金属原子、
R11〜R23:それぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基又は置換若しくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、
t:0〜2の整数、
R1〜R4:それぞれ独立に水素原子又は置換若しくは未置換の直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、但し、R1〜R4の全てが水素原子である場合を除く。〕 - 請求項1において、Xが臭素であることを特徴とする材料。
- 請求項7において、有機溶剤が実質的に水と混合しないものであることを特徴とする材料の製造方法。
- 請求項9において、有機溶剤が飽和炭化水素、エーテル、ハロゲン化炭化水素から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする材料の製造方法。
- 請求項7において、ハロゲン化剤が臭素であることを特徴とする材料の製造方法。
- 請求項11において、臭素の使用量がテトラアザポルフィリン化合物に対して1〜5モル比であることを特徴とする材料の製造方法。
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