JP3997012B2 - 帯電防止性塩化ビニール樹脂組成物 - Google Patents
帯電防止性塩化ビニール樹脂組成物 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明品は、帯電防止性の改善された塩化ビニール樹脂組成物に関するものである。さらに詳しくは、潮解性を有する塩の性質を利用した床タイル材等の建築資材として有用な塩化ビニール樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、床タイル材等の建築資材においては、摩擦等によってポリマー表面に静電気が生じる帯電現象は、厄介な問題とされている。
特に多量の増量剤又は充填剤を含む塩化ビニル樹脂は、多くの場合、床タイル材等の建築資材に用いられており、帯電防止が重要な課題となっており、例えば、静電気の発生は電子機器の作動に影響を与える恐れがある一方、静電気の発生は汚れの原因となって、空気中のチリ等を付着させるために、病院、電子部品工場等においてこれを避けようとすれば、特に帯電防止処理の必要がある。また、一般のビル等においても帯電防止対策を施すことが望ましいが、主としてコストの面から、必要最小限の帯電防止処理に留まっているのが現状である。
【0003】
現在、帯電を防止するためには大別して二つの方法がある。その一つはポリマー表面に導電性物質をコーティングする方法であり、他の一つは帯電防止効果を有する物質を基材ポリマー中に混練する方法である。
前者の方法では導電性物質のコーティング直後には帯電防止効果があるが、コーティングが剥がれると効果を失うこととなり、また異物の導電性物質が表面に存在することから別の面での障害があった。
後者の混練法には主として界面活性剤が用いられるが、耐熱性、機材との親和性、適切なブリーディング等の問題が発生する外、安全上の考慮、環境上の配慮等により界面活性剤の選択には多くの制約を受ける。
しかし、最も重大な問題は、コストパ−フォ−マンスであり、後者の方法で用いる界面活性剤は、帯電防止機能の優れたものの多くは複雑な分子構造の化合物であり、これを製造するには複雑反応工程が必要であり、このために高価なものとなり、これが帯電防止剤使用上の大きな障害となっている。
【0004】
ポリ塩化ビニールは、汎用性の高い樹脂として非常に多くの場所で使用されるが、多くの場合可塑剤、安定剤等の添加剤が添加される。
塩化ビニル樹脂は一般に充填剤、増量剤や可塑剤を使用して成形するが、床タイル材等の建築資料に使用される場合にも、同様に増量剤や可塑剤とともに使用されるが、この増量剤には最も一般的には安価な炭酸カルシウムが使用される。
このような建築資材においても、帯電防止が望まれるところであるが、界面活性剤は高価なため、これを添加すると、重大なコスト押上げ原因となるため、極く一部の特殊なケースを除いて、未だほとんど使用されていない。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は、主として床タイル材等の建築資材を成形するための、増量剤を用いた塩化ビニール樹脂組成物の帯電を防止することを課題とする。
特に、現在帯電防止剤として用いられている高価な界面活性剤の使用を省き、床タイル材等の建築資材への使用の用途を拡大するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明では、基本的にはカルシウム又はマグネシウムの炭酸塩増量剤を含有するポリ塩化ビニール樹脂組成物において、該増量材の10〜100wt% を潮解性の無機塩で置換することを特徴とするものである。
また、本発明では、上記潮解性の無機塩を可塑剤の中に浸し、可塑剤中で平均粒径0.3mm 以下に微粒化し、微粒子表面が可塑剤でコーティングされた状態で塩化ビニ−ル樹脂に添加することを特徴とするものである。
本発明の潮解性を有する無機塩は、無水塩化マグネシウム、無水塩化カルシウム、無水硝酸マグネシウム、無水硝酸カルシウム及びこれらの水和物を含むものであるが、具体的には、Mgcl2 ・2H2O 、Mgcl2 ・4H2O 、Mgcl2 ・6H2O 、Mgcl2 ・12H2O、Cacl2 ・ H2O 、Cacl2 ・2H2O 、Cacl2 ・6H2O 、Mg(NO3)2・2H2O 、Mg(NO3)2・4H2O 、Mg(NO3)2・6H2O 、Ca(NO3)・H2O 、Ca(NO3)・2H2O、Ca(NO3)2・4H2O 等が挙げられる。
本発明品で使用する上記塩は、既に食品等でも広く使用されており、安全性並びに環境面でも何ら問題がないことは実証済みである。
【0007】
一般に、床タイル材等の建築資材に使用されている塩化ビニール樹脂には、増量剤の他に可塑剤、安定剤が添加され、この他にアスベスト、鉛白、顔料、カオリン、チタン白等がその目的に応じて添加されるが、本発明ではこれらの添加物は必要に応じて適宜の使用は可能で、増量剤又は充填剤の一部又は全部を上記潮解性を有する無機塩に換えることにより、帯電防止効果が発揮される。
これらの各種添加物とともに上記潮解性を有する無機塩を基材に混練する方法は、普通は特別の方法を必要とせず、混練工程の前に、増量剤又は充填剤の一部を上記塩で置き換えることにより実施される。
【0008】
しかし、成形された塩化ビニール樹脂の均一性に対する要求度あるいは表面の状態から、添加される塩の種類によっては、次の方法により、より良好な塩の添加が実施される。
すなわち、ポリ塩化ビニールに添加されるべき可塑剤中に、上記潮解性を有する塩を長時間空気中に触れることなく浸し、可塑剤中で平均粒径0.3mm φ以下に微粒化し、微粒の表面が可塑剤でコーティングされた状態でポリマーに添加し、混練、成形するものである。この微粒子の混練装置への供給は可塑剤と一緒に供給しても何ら支障はない。
【0009】
上記の方法によって、より均一な製品が得られるものとしては、無水塩化マグネシウム及び無水塩化カルシウムが挙げられるが、その他の塩についても、従来の方法で問題がある場合には、本方法でより均一な製品を得ることができる。
上記潮解性塩の混練、成形工程において、従来の方法でもロール及びプレスには何ら腐食の形跡は見られないが、上記可塑剤中に微粒化する方法により、腐食の問題もなく、上記潮解性塩の混練、成形工程において、塩酸ガス等のガスの発生はまったく見られない。
【0010】
本発明を次の実施例によってより具体的に説明する。
【実施例】
【実施例1】
床タイルの成形;
塩化ビニル樹脂に対して、Mgcl2(無水) 、Mgcl2 ・6H2O、Cacl2(無水) 及びCacl2 ・6H2Oを添加し、その帯電防止効果をみた。
配合処方を表1に示す。
増量剤である炭酸カルシウムの10wt%を上記4種類の塩に換えた。上記無機塩は試薬として購入したものをそのまま用い、150℃の熱ロールで約5分間混練りした。プレスシートは160℃で5分間余熱し、1分加圧後冷却プレスに移してサンプルを作成し、試験に供した。
各サンプルについて、表面抵抗率試験、摩擦帯電圧試験及び半減試験の物性試験を行なった。
試験結果を表1に示す。
【0011】
【比較例1】
対照として、上記塩を添加することなく、同様の物性試験を行い、実施例1と比較した。
配合割合及び試験結果を表1に示した。
【0012】
【表1】
【0013】
[注]
1.使用量は重量部
2.全試験とも無機塩の混練には購入試薬をそのまま用い、従来の混練方法によった。
3.表面状態; ○は良好、△はやや不良
【0014】
【実施例2】
実施例1の表面の状態をより良くするために、潮解性の無機塩の塩化ビニル樹脂への混練り前に次の予備処理を実施した。
先ず、購入試薬を空気に長時間触れることなく、可塑剤ジオクチルフタレ−ト(DOP)を予め入れてある乳鉢に移し、乳鉢中で30分間微粒化し、乳鉢中のDOPとともに混練装置に移した。
得られた微粒子の粒径は、顕微鏡写真から算出した結果、算術平均で0.15mmφであった。
無機塩の配合割合及び試験結果を比較例1と比較して表2に示した。
【0015】
【表2】
【0016】
[注]
1.使用量は重量部
2.全試験とも無機塩をDOPに浸し、0.3mm 以下の粒径に微粒化し、PVCに添加した。
3.表面状態; ○は良好、△はやや不良
【0017】
【実施例3】
実施例1及び実施例2の結果に基づき、潮解性無機塩の添加量をPVC100 重量部に対し、100 重量部まで増加した。
なお、無水の塩の場合は実施例2と同様の予備処理を行い、6水和塩の場合は試薬(購入品)をそのまま塩化ビニール樹脂に練込んだ。
無機塩の配合割合及び試薬結果を比較例1と対比して表3に示した。
【0018】
【表3】
【0019】
【実験の評価】
実施例1、実施例2及び実施例3並びに比較例1から、次のようなことがわかった。
(1)テストしたすべての潮解性無機塩について、明確な帯電防止効果が見られる。
(2)潮解性無機塩の添加量の増加によって、帯電防止効果が増す。
(3)従来の汎用混練方法でもかなり良好な表面の状態が得られるが、本発明の請求項3に準じた混練方法によりさらに改善される。これらの効果は、無水塩の場合に特にこの効果が著しい。
(4)特に実施例3の結果からみると、基材塩化ビニル樹脂と等量の潮解性無機塩を添加することにより、表面抵抗値が1017から105 まで低下させることが可能である。
上記結果から、本発明の使用によって主として床タイル材等の建築資材に有用な塩化ビニール樹脂組成物の提供が可能であることがわかった。
【0020】
【本発明の効果】
本発明で得られる塩化ビニル樹脂組成物は、表面抵抗率試験、摩擦帯電圧試験及び半減試験においてすぐれた物性を発揮するので、これら組成物より成形された床タイル等の建築資材は、静電気発生の多発する場所に使用しても問題なく、特に病院、電子部品工場等において有用に使用できる。
また、本発明の塩化ビニル樹脂は、多量の増量剤又は充填剤の一部又は全部を潮解性の安価な塩に置換するものであるから、帯電防止効果発揮のコストパ−フォ−マンスにおいて従来の帯電防止の手段に比して数段優れている。
Claims (3)
- カルシウムもしくはマグネシウムの炭酸塩増量剤又は充填剤を用いたポリ塩化ビニール樹脂組成物において、該増量剤又は充填剤の10〜100wt%を、潮解性の無機塩で置換した塩化ビニール樹脂組成物からなるタイル。
- 潮解性の無機塩を可塑剤の中に浸し、可塑剤中で平均粒径0.3mm以下に微粒化し、微粒子表面が可塑剤でコーティングされた状態で塩化ビニール樹脂に添加し、混練されてなる請求項1の塩化ビニール樹脂組成物からなるタイル。
- 潮解性の無機塩が、無水塩化マグネシウム、無水塩化カルシウム、無水硝酸マグネシウム又は無水硝酸カルシウム及びこれらの水和物より選択されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の塩化ビニール樹脂組成物からなるタイル。
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