JP3996440B2 - スイッチング電源 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、昇圧チョッパとDC/DCコンバータを組み合わせて力率改善と出力電圧を安定化するスイッチング電源に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、入力電流の導通角を広げて力率改善を図るスイッチング電源としては、昇圧チョッパとDC/DCコンバータを組み合わせた例えば図3のものがある(特開2002−10643)。
【0003】
図3のスイッチング電源は、交流電源ACからの入力を整流回路11で整流し、続いてインダクタンス素子LをダイオードD2を介してDC/DCコンバータ20に接続することで昇圧チョッパを構成している。
【0004】
DC/DCコンバータ20は、平滑コンデンサで平滑された電圧を入力として、高周波スイッチングにより電圧変換を行う。平滑コンデンサは直列接続されたコンデンサC1及びコンデンサC2で構成される。
【0005】
この平滑コンデンサC1,C2はダイオードD1〜D4を介して昇圧チョッパとDC/DCコンバータ20との間に接続される。即ち、整流回路11の正の出力と第2の平滑コンデンサC2の正極との間に第1のダイオードD1を介して直列にインダクタンス素子Lが接続し、またインダクタンス素子LをダイオードD2を介してDC/DCコンバータ20に接続する。また整流回路11の正の出力と平滑コンデンサC1の正極をダイオードD3を介して接続し、更に、平滑コンデンサC2にダイオードD4を並列に接続する。
【0006】
このような従来のスイッチング電源にあっては、昇圧チョッパの出力側に設ける平滑コンデンサとして、入力電圧のピーク電圧を受け持つコンデンサC1と、昇圧分を受け持つコンデンサC2に分割すると共に、コンデンサC1,C2をダイオードD1〜D4を用いて接続することにより、コンデンサ・インプット型のスイッチング電源に用いる平滑コンデンサと同程度の低い耐圧のコンデンサを用いることができるようにし、製造コストの低減を図っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のスイッチング電源にあっては、入力平滑用のコンデンサC1と昇圧チョッパの出力に設けたコンデンサC2とを直列接続していたため、コンデンサの耐圧を低くすることはできるが、DC/DCコンバータ20の入力電圧が2つのコンデンサC1,C2の電圧の和となることで高くなっており、DC/DCコンバータ20の回路素子として耐圧の高い回路素子が必要となり、コンデンサの低耐圧化による分を超えて回路が大型化し、コストも高くなる問題がある。
【0008】
本発明は、DC/DCコンバータに加わる昇圧による平滑電圧を抑えて回路の小型化とコスト低減を図るスイッチング電源を提供することを目的とする。
【0009】
また本発明は、交流電源投入時の突入電流を低減し、同時に停電時の出力保持時間を長くするスイッチング電源を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。まず本発明は、交流電源からの入力を整流する整流回路と、その整流電圧を平滑する平滑コンデンサと、その平滑された電圧を入力として、高周波スイッチングにより電圧変換を行うDC/DCコンバータを有するスイッチング電源を対象とする。
【0011】
このようなスイッチング電源につき本発明にあっては、平滑コンデンサを構成する第1の平滑コンデンサ(C1)及び第2の平滑コンデンサ(C2)と、整流回路の正の出力と第1の平滑コンデンサ(C1)の正極との間に第1のダイオード(D1)を介して直列に接続される昇圧チョッパ用のインダクタンス素子(L)と、インダクタンス素子(L)を第2のダイオード(D2)を介して励磁する高周波交流電圧源と、整流回路の正の出力と第2の平滑コンデンサ(C2)の正極を接続する第3のダイオード(D3)と、第2の平滑コンデンサ(C2)の正極と第1の平滑コンデンサ(C1)の正極を接続するに第4のダイオード(D4)とを備えたことを特徴とする。
【0012】
このように本発明は、平滑コンデンサを構成する2つのコンデンサをDC/DCコンバータの入力側で並列に接続したことで、DC/DCコンバータの入力電圧を低く抑え、DC/DCコンバータの耐圧を低くして回路の小型化とコストダウンを実現する。
【0013】
また交流投入時のインダクタンス素子を介して第1の平滑コンデンサに流れる突入電流を、並列接続した第2の平滑コンデンサにバイパスして流すことで緩和し、インダクタンス素子の飽和やDC/DCコンバータのスイッチング素子に加わるサージ電圧を低減することもできる。
【0014】
更に本発明は、第4のダイオード(D4)と並列に抵抗を接続したことを特徴とする。この抵抗の並列接続により、第1の平滑コンデンサの平滑電圧が第2の平滑コンデンサの平滑電圧より高いときに、抵抗を介して平滑電圧の低いほうの第2の平滑コンデンサを平滑電圧の高い第1の平滑コンデンサにより充電してエネルギー量を増加しておき、これによって停電時の第2の平滑コンデンサからのエネルギーによる出力保持時間を長くすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明によるスイッチング電源1の実施形態の回路図である。図1において、スイッチング電源1は、交流電源2から供給される交流電圧を整流回路3で整流した後、平滑コンデンサCiで平滑して整流電圧Vinを生成している。この整流電圧Vinは第1の電力変換部4及び第2の電力変換部5を通すことにより、力率を改善し、安定な直流電圧Voを発生させる他励式のスイッチングレギュレータを構成している。
【0016】
第1の電力変換部4は、インダクタンス素子L、平滑コンデンサ(以下単に「コンデンサ」という)C1,C2、ダイオードD1〜D4,MOS−FETを用いたスイッチング素子7、及びパルス幅制御回路8を備える。また第2の電力変換部5は、高周波トランス6、ダイオードD5、平滑コンデンサCoに加え、スイッチング素子7及びパルス幅制御回路8を含む。
【0017】
第1の電力変換部4は、昇圧チョッパ用のインダクタンス素子LをダイオードD1を介して高周波トランス6の1次巻線L1の正極側に接続し、ここに平滑コンデンサC1の正極を接続している。またインダクタンス素子LをダイオードD2を介してDC/DCコンバータを構成するスイッチング素子7側に接続し、これによって昇圧チョッパ回路を構成している。
【0018】
これに加え本発明にあっては、整流回路3の正極出力とコンデンサC1の正極との間に、ダイオードD3,D4を介して平滑コンデンサC2の正極を並列的に接続している。
【0019】
次に図1の実施形態の動作を説明する。パルス幅制御回路8による制御でスイッチング素子7がオンになると、整流電圧Vinがインダクタンス素子L、ダイオードD1,高周波トランス6の1次巻線L1の直列回路に加わり、1次電流が流れることでインダクタンス素子Lにエネルギーが蓄積される。
【0020】
続いてスイッチング素子7がオフになると、インダクタンス素子Lに蓄積されていたエネルギーにより、ダイオードD2、高周波トランス6の1次巻線L1及びコンデンサC1を通して電流が流れる。
【0021】
このようなスイッチング素子7のオン、オフ動作を繰り返すことによって、高周波トランス6の2次巻線L2に誘起された電圧がダイオードD5と平滑コンデンサCoで整流平滑され、直流電圧Voを発生して負荷9に電力を供給する。
【0022】
更に、パルス幅制御回路8が出力電圧Voの変動を検出し、誤差をなくすようにスイッチング素子7のオン期間を制御することにより、出力電圧Voを一定電圧に安定化させる。
【0023】
また第2の電力変換部5を構成するDC/DCコンバータからみてコンデンサC1,C2は入力側に並列的に接続されているため、平滑電圧の加算は行われず、DC/DCコンバータに加わる入力平滑電圧を低減し、低耐圧の回路素子により小型化とコストダウンを図ることができる
更に、コンデンサC2は交流電源2の投入時にインダクタンス素子Lに流れる突入電流をバイパスする。交流電源2の投入時、コンデンサC1に電荷はなく、インダクタンス素子Lを通してコンデンサC1に突入電流が流れ、これによるサージ電圧がスイッチング素子7に加わる。
【0024】
しかし、同時にダイオードD3を介してコンデンサC2にも突入電流が流れ、コンデンサC1が単独の場合の突入電流に比べ、コンデンサC2に並列的に流れる分がバイパスされ、コンデンサC1に流れる突入電流を低減することができる。
【0025】
このようにインダクタンス素子Lに流れる突入電流を小さくするため、コンデンサC2の容量をコンデンサC1の容量に対し大きな容量としている。
【0026】
更にコンデンサC1,C2の並列接続により平滑コンデンサの合計容量は(C1+C2)となり、停電時の出力保持時間をコンデンサC2を並列接続している分、長くすることができる。即ち、停電時には、コンデンサC2のエネルギーがスイッチング素子7のオン、オフ動作によって2次側に送られ、停電時の出力保持時間を長くする。
【0027】
このため停電時に必要な出力保持時間を満足できるように、コンデンサC2の容量を決めておけばよく、これによってC1<C2の関係が必然的に成立し、このため交流電源投入時の突入電流のバイパス割合を高め、インダクタンス素子Lに流れる突入電流を十分に抑制できる。
【0028】
図2は本発明の他の実施形態であり、この実施形態にあっては、コンデンサC2の正極をコンデンサC1の正極に接続しているダイオードD4と並列に抵抗R1を接続したことを特徴とする。
【0029】
この抵抗R1の並列接続により、昇圧チョッパのパルス電圧を平滑するコンデンサC1の平滑電圧Vc1がコンデンサC2の平滑電圧Vc2より高いときに、抵抗R1を介してコンデンサC1の高い方の平滑電圧Vc1によりコンデンサC2の低い方の平滑電圧Vc2を充電し、エネルギー量を増加しておく。これによって停電時のコンデンサC2からのエネルギーによる出力保持時間を長くすることができる。
【0030】
また停電時の出力保持に必要なコンデンサC2のエネルギー量を一定とする場合には、エネルギーJとの間には、
J=CV2/2
の関係があり、抵抗R1を介して高い電圧に充電されることで、コンデンサC2の容量を小さくし、コンデンサC2を小型化できる。
【0031】
尚、図1,図2の入力平滑用のコンデンサCiは省略してもよい。またスイッチング素子7としては、MOS−FET以外にトランジスタなど適宜の素子を使用できる。また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含む。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、平滑コンデンサを構成する2つのコンデンサをDC/DCコンバータの入力側で並列に接続したことで、DC/DCコンバータの入力電圧を低く抑え、DC/DCコンバータの耐圧を低くして回路の小型化とコストダウンを実現する。
【0033】
また交流電源投入時のインダクタンス素子を介して第1の平滑コンデンサに流れる突入電流を、並列接続した第2の平滑コンデンサにバイパスして流すことで緩和し、インダクタンス素子の飽和やDC/DCコンバータのスイッチング素子に加わるサージ電圧を低減することもできる。
【0034】
また突入電流のバイパス用に設けた第2のコンデンサの容量を大きくすることで、突入電流の低減と停電時の出力保持時間の確保が同時にできる。
【0035】
更に本発明は、2つの平滑コンデンサの正極同士を接続するダイオードと並列に抵抗を接続することにより、抵抗を介して高い平滑電圧で低い方の平滑電圧を充電して平滑コンデンサのエネルギー量を増加しておき、停電時の平滑コンデンサからのエネルギーによる出力保持時間を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示した回路図
【図2】本発明の他の実施形態を示した回路図
【図3】従来例を示した回路図
【符号の説明】
1:スイッチング電源
2:交流電源
3:整流回路
4:第1の電力変換部
5:第2の電力変換部
6:高周波トランス
7:スイッチング素子
8:パルス幅制御回路
9:負荷
L:インダクタンス素子(昇圧チョッパ用)
Ci,C1〜C4:平滑コンデンサ
D1〜D4:ダイオード
L1:1次巻線
L2:2次巻線
R1:抵抗
Claims (2)
- 交流電源からの入力を整流する整流回路と、その整流電圧を平滑する平滑コンデンサと、その平滑された電圧を入力として、高周波スイッチングにより電圧変換を行うDC/DCコンバータを有するスイッチング電源に於いて、
前記平滑コンデンサを構成する第1の平滑コンデンサ及び該第1の平滑コンデンサより大きな容量の第2の平滑コンデンサと、
前記整流回路の正の出力と前記第1の平滑コンデンサの正極との間に第1のダイオードを介して直列に接続される昇圧チョッパ用のインダクタンス素子と、
前記インダクタンス素子を第2のダイオードを介して励磁する高周波交流電圧源と、
前記整流回路の正の出力と前記第2の平滑コンデンサの正極を接続する第3のダイオードと、
前記第2の平滑コンデンサの正極と前記第1の平滑コンデンサの正極を接続する第4のダイオードと、
を備えたことを特徴とするスイッチング電源。 - 請求項1記載のスイッチング電源において、前記第4のダイオードと並列に抵抗を接続したことを特徴とするスイッチング電源。
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