JP3996063B2 - 切換式変速機 - Google Patents

Description

本発明は請求項１の上位概念で詳しく定義された種類の切換式変速機に関する。

上記類別に基づく切換式変速機は特に移動袋詰め機、ホイールローダ及び類似の作業機械で使用される。その場合変速機の個々の変速段は各々１個の摩擦クラッチによって交互に断続される。摩擦クラッチの少なくとも２つはスプリングブレーキとして構成され、圧油供給源が生じる油圧によって切断方向に制御される。とりわけ摩擦クラッチはブレーキとして構成され、漏油のない静的給油を有する。

このような切換式変速機が欧州特許第０４０８５９２号で開示されている。この場合第１の作動装置は給圧により切断方向に操作され、無圧切換えによりばね力で締結方向に操作され、第２の作動装置は給圧により切断方向に操作され、無圧切換えによりばね力で締結方向に操作される。２つの作動装置は互いに同軸に配列されている。２つの作動装置が無圧に切換えられ、こうして２つのクラッチが締結されると、変速機の出力部が制動されるから駐車ブレーキ位置になる。第１の操作装置のばね力は、第１の操作装置に属するクラッチが必要なトルクを伝達できるように設計されている。同様に第２の作動装置のばね力も、第２の作動装置に属するクラッチが必要なトルクを伝達することができるように設計されている。変速機の出力部の回転時、即ち車両の走行中に駐車ブレーキを挿入すれば、第１及び第２の作動装置が無圧に切換えられるから、２つのクラッチがばね力で締結方向に操作される。圧油供給源が故障のため必要な圧力レベルを供給しないか又は圧油供給路が損傷しているときも同様である。作動装置のばね力は必要なトルクを伝達できるように設計されているから、このような制動とともに急激な減速が起こり、このため車両は収拾のつかない状況に陥る恐れがある。

欧州特許第０４６６７４２号は、２つのクラッチが作動装置への給圧により切断方向に操作され、作動装置の無圧切換えにより締結方向に操作される切換式変速機を開示する。その場合２つの作動装置の無圧切換えとともに変速機の出力部が制動され、また圧油供給源はさらにアキュムレータにも圧油を供給し、このような制動の場合に変速機が車両を整然と制止するまで、アキュムレータが第１の作動装置に圧油を供給する。作動装置へのこのような圧油供給は大変面倒であり、費用がかかる。この変速機では一方の作動装置にしか静的給油がなく、第２の作動装置への給油は動的に構成されているから、非常制動時にアキュムレータは常に第１の作動装置に接続されることを保証しなければならない。変速機に静的及び動的給油が配置されているため、変速機ははなはだ多くの部材と密封部を有する。

欧州特許第０６５９２５０号及び欧州特許第０７４５１９９号はスプリングブレーキを有する切換式変速機を開示する。この場合一方向絞り弁を経て作動装置に圧油が給入され、こうして作動装置を急速に切断方向に操作することができるが、締結過程はゆるやかに進行する。このため常に一方のクラッチがまず切断され、その上で第２のクラッチが締結されることが保証される。

本発明の根底にあるのは、作動装置の簡単な構造を特徴とし、費用のかかる油圧制御がない切換式変速機を提供する課題である。

主請求項の特徴を有する上記類別に基づく切換式変速機によって課題が解決される。

本発明によれば切換式変速機は給圧によって切断方向に、無圧切換えによりばねで締結方向に操作される少なくとも２個の作動装置を有する。これらの作動装置は次のように配列されている。即ち第１の作動装置は無圧状態でばね力によりブレーキを締結方向に操作する。同時に第２の作動装置がばね力に抗して切断方向に操作されるならば、第１の作動装置には第１の作動装置のばね力と、さらに第２の作動装置の給圧に基づく油圧力が作用する。第１の作動装置に圧力が働き、第２の作動装置が無圧に切換えられると、第２の作動装置のばねはこの作動装置を締結方向に操作する。両方の作動装置が無圧に切換えられると（これは非常制動過程に相当する）、第１の作動装置に第１の作動装置のばね力、第２の作動装置に第２の作動装置のばね力だけが作用する。こうして車両の動的制動が整然と行われるように、第１の作動装置のばね力を設計することが可能である。この場合はばね力にさらに第２の作動装置の油圧力が加わるから、ある段にシフトするときに第１の作動装置は必要な伝達トルクを伝達することができる。第１の作動装置はばねで操作されるピストンからなることが好ましい。ピストンは変速機のハウジングの中に配置され、変速機のハウジングは作動装置のシリンダの一部をなし、こうして静的給油が得られる。第２の作動装置のピストンは第１の作動装置のピストンと同軸に配列され、第１の作動装置のピストンは第２の作動装置のためのシリンダをなす。第２の作動装置のピストンへの圧油供給路は第１の作動装置のピストンを貫いて配列することが好ましい。それによって第２の作動装置も静的圧油供給を有する。動的非常制動、即ち両方の作動装置の無圧切換えの場合に、第２の作動装置に属するクラッチが締結され、動的制動時にクラッチディスクに回転数差がなく、動的制動は第１の作動装置に属するクラッチの回転数差の減少によって行われるように、第２の作動装置のばね力を設計することが好ましい。第１の作動装置のクラッチは第２の作動装置のクラッチの半径方向外側に配置することが好ましい。こうして半径方向に大型のディスクによって良好な排熱と熱容量が得られる。作動装置と所属のクラッチは軸方向に同じ区域に配置することが好ましい。

クラッチ又はブレーキと作動装置を軸方向に同じ区域に配置することにより変速機の小さな全長が得られる。第２の作動装置のピストンを第１の作動装置のピストンの内部に配置し、第１の作動装置のピストンが第２の作動装置のピストンのためのシリンダをなすことによって、作動装置をコンパクトに構成することが可能であり、第２の作動装置のピストンへの圧油供給が第１の作動装置のピストンを貫いて行われることによって、第１の作動装置も第２の作動装置も静的給油で操作することができる。第１の作動装置を無圧に切換え、第２の作動装置に給圧すれば、第１の作動装置のクラッチに第１の作動装置のばね力と第２の作動装置の油圧力が作用するので、ギヤチェンジの際に十分にトルクを伝達することが可能であり、非常制動即ち両方の作動装置の無圧切換えの場合は、車両を整然と制動することが可能である。従って費用のかかるアキュムレータと制御装置は不要である。またばね力が低減されるので、第１の作動装置のばねの取付け場所が縮小される。非常制動の際に第２の作動装置に属するクラッチに回転数差がないように第２の作動装置のばねを設計し、第２の作動装置に属するクラッチの半径方向外側に配置された、第１の作動装置に属するクラッチによって動的制動を行うことによって、十分な排熱が保証される。第１の作動装置に属するクラッチが締結されると１速が接続され、第２の作動装置に属するクラッチが締結されると２速が接続されるように変速機のギヤを配置すれば、非常制動時に常に２速に接続され、こうして非常制動時に２速から１速へ不当な制動が行われないことが保証される。なぜならこの変速段では減速があまりに大きいからである。

その他の特徴は図の説明で明らかである。

単一の図は切換え式２段変速機及び所属の油圧制御の部分図を示す。図示しない駆動機関が入力軸１を駆動する。駆動機関は内燃機関又は油圧モータ又は電動モータである。入力軸１は一方ではクラッチ２のディスクと、他方では遊星歯車装置４の内側中心歯車３と結合されている。遊星歯車装置４のプラネットキャリア５は変速機の出力部をなし、外側中心歯車６は一方ではクラッチ２のディスクと、他方ではブレーキ７のディスクと結合されている。ブレーキ７のアウタディスクはハウジング８と結合され、ブレーキ７のインナディスクは外側中心歯車６と結合されている。室１０の圧油がばね１２のばね力に抗してピストン１１を移動することによって、第１の作動装置９が切断方向に操作される。室１０が無圧に切換えられ、ばね１２のばね力がピストンをブレーキ７に押し付けることによって、第１の作動装置９のピストン１１が締結方向に操作される。圧油がピストン１１を通って室１４に送られ、ばね１６のばね力に抗してピストン１５を移動することによって、第２の作動装置１３が切断方向に操作される。室１４が無圧であれば、ピストン１５はばね１６のばね力でクラッチ２に押し付けられる。油圧駆動装置の場合は油圧駆動装置の供給ポンプでもある圧油供給源１７が圧油を駐車ブレーキ弁１８に送り、そこから圧力弁１９を経てギヤシフト弁２０に給送することによって、変速機の１速が接続される。１速でギヤシフト弁はばね力に抗して左へ逆転されるから、圧油は管路２１と一方向絞り弁２２を経てピストン１１を通り、室１４に到達する。それによってピストン１５はばね１６のばね力に抗して一方の末端に移動させられ、クラッチ２を切断する。同時に圧油は管路２３により室１０及びアキュムレータ２４から一方向絞り弁２５及びギヤシフト弁２０を経て圧油タンクに送られる。こうしてピストン１１はばね１２のばね力と室１４の圧力によりブレーキ７に向かって移動し、これを締結する。そこでピストン１１はばね１２の力と室１４の圧油力の総和力により、ブレーキ７のディスクを押圧する。ばね１２の力と室１４の面積は、ブレーキ７が必要なトルクを伝達することができるように設計されている。２速を接続するときは、ギヤシフト弁２０が逆転され、それによって油圧が管路２３を経て室１０に到達し、ばね１２のばね力に抗してピストン１１を移動する。こうしてブレーキ７が切断される。同時に圧油が室１４から一方向絞り弁２２及び管路２１を経て圧油タンクに排出される。ピストン１５はばね１６のばね力によりクラッチ２を締結する。例えば欧州特許第０６５９２５０号に記載されているように、ダウンシフトですこぶる良好なシフト挙動を得るために、同時にアキュムレータ２４に再び圧油が充填される。非常制動を開始するときは（これは例えば圧油供給源１７の故障又は駐車ブレーキ弁１８の手動逆転又は圧力弁１９の逆転によって起こる）、管路２１及び管路２３が無圧である。例えば２つの管路の破損によってこれが起こることがある。管路２１及び２３が無圧であれば、一方向絞り弁２２及び２５により室１４及び１０の圧力も解消するから、ピストン１１及び１５はクラッチ２及びブレーキ７を締結する。ところがピストン１１にばね１２のばね力しか働かなくても、ばね１２のばね力と給圧された室１４の油圧との和によって変速段のために必要なトルクが得られるようにばね１２が設計されているから、ブレーキ７への接触圧が小さいため車両は整然と制動される。この場合クラッチ２のディスクに回転数差がないように、ばね１６のばね力が設計されているから、制動はもっぱらブレーキ７のディスクの回転数差によって得られる。こうして生じた熱をブレーキ７により排出することが可能である。重量の相違に基づき種々の車両のために異なるトルクが要求される場合は、ばね１２のばね力を変え又はブレーキ７のディスク数を変えることによってトルクを変更することができる。変速機の制御は簡単であるから、弁ブロック２６とアキュムレータ２４並びに一方向絞り弁２２及び２５を変速機ハウジングに取付け又は組込むことが可能であり、こうしてコンパクトで保守不要な装置が生じる。また弁ブロック２６に前車軸遮断装置２７を配置することができる。また駆動力を遮断せずにギヤチェンジを行うことも可能である。クラッチ２とブレーキ７を比例弁で圧力調整して締結することが可能である。変速機に配置された圧力調整弁と車載電子装置又は変速機に固設された電子装置により圧力調整を行うことができる。室１４及び１０に圧油が充填されているが無圧であり、クラッチ２及びブレーキ７が締結されている故障車両を牽引するために、外部からの圧油供給により作動装置を切断方向に操作することが可能である。

この場合は室１４への供給路を閉鎖し、圧油供給装置により圧油を室１０に送り込む。室１４の圧油は逃失することができないから、ピストン１５はピストン１１の運動によって同じく切断方向に操作され、その際圧油供給装置から室１０のための圧油量だけが供給される。こうしてこの操作のための圧油供給装置を小型に設計することができる。

本発明の切換え式２段変速機及び所属の油圧制御装置の部分図である。

符号の説明

１ 入力軸
２ クラッチ
３ 内側中心歯車
４ 遊星歯車装置
５ プラネットキャリア
６ 外側中心歯車
７ ブレーキ
８ ハウジング
９ 第１の作動装置
１０ 室
１１ ピストン
１２ ばね
１３ 第２の作動装置
１４ 室
１５ ピストン
１６ ばね
１７ 圧油供給源
１８ 駐車ブレーキ弁
１９ 圧力弁
２０ ギヤシフト弁
２１ 管路
２２ 一方向絞り弁
２３ 管路
２４ アキュムレータ
２５ 一方向絞り弁
２６ 弁ブロック
２７ 前車軸遮断装置

Claims (9)

1. −第１のばね（１２）の力により締結方向に、給圧により切断方向に操作される第１の作動装置（９）及び
   −第２のばね（１６）の力により締結方向に、給圧により切断方向に操作される第２の作動装置（１３）を有し、
   −締結方向に操作された第１の作動装置（９）及び切断方向に操作された第２の作動装置（１３）により１速が接続され、
   −締結方向に操作された第２の作動装置（１３）及び切断方向に操作された第１の作動装置（９）により２速が接続され、
   −締結方向に操作された第１及び第２の作動装置（９、１３）によって変速機の出力部が制動され、その際第１の操作装置（９）に第１のばね（１２）のばね力だけが、第２の作動装置（１３）に第２のばね（１６）のばね力だけが作用する
   少なくとも２段の切換式変速機において、
   −１速に接続するときに第１の作動装置（９）の作動力が第１のばね（１２）のばね力及び第２の作動装置（１３）の給圧によって生じる油圧力からなる
   ことを特徴とする切換式変速機。
2. ２速に接続するときに締結方向に操作された第２の作動装置（１３）の作動力が第２の作動装置（１３）のばね力だけからなることを特徴とする請求項１に記載の切換式変速機。
3. 第１の作動装置（９）のピストン（１１）が第２の作動装置（１３）のピストン（１５）と同軸に配列され、第１の作動装置（９）のピストン（１１）が第２の作動装置（１３）のピストン（１５）のためのシリンダをなすことを特徴とする請求項１に記載の切換式変速機。
4. 第２の作動装置（１３）の圧油供給が第１の作動装置（９）のピストン（１１）を貫いて行われることを特徴とする請求項３に記載の切換式変速機。
5. 作動装置（９、１３）が多板クラッチ（２、７）に作用することを特徴とする請求項１に記載の切換式変速機。
6. 出力部の回転時に２つの作動装置（９、１３）が無圧に切換えられると、半径方向外側のクラッチ（７）がこのクラッチ（７）のディスクの回転数差の減少により出力部を制動し、半径方向内側のクラッチのディスクが制動時に回転数差がないように、作動装置（９、１３）のばね力が設定されていることを特徴とする請求項１に記載の切換式変速機。
7. 圧油が、圧油供給源（１７）からギヤシフト弁（２０）によりアキュムレータ（２４）及び一方絞り弁（２５）を経て第１の作動装置（９）に接続されるか、又は一方絞り弁（２２）を経て第２の作動装置（１３）に接続されることを特徴とする請求項１に記載の切換式変速機。
8. 圧油供給源（１７）とギヤシフト弁（２０）の間に圧力弁（１９）及び駐車ブレーキ弁（１８）が配置され、圧力弁（１９）及び駐車ブレーキ弁（１８）によってギヤシフト弁（２０）と圧力供給源を接続又は切断することができることを特徴とする請求項７に記載の切換式変速機。
9. 第２の作動装置（１３）への圧油供給を閉鎖し、第１の作動装置（９）に圧油を給入することによって、第１及び第２の作動装置（９、１３）が切断方向に操作されることを特徴とする請求項１に記載の切換式変速機。

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