JP2776932B2 - 車両用駆動装置 - Google Patents

車両用駆動装置

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JP2776932B2 JP1502850A JP50285089A JP2776932B2 JP 2776932 B2 JP2776932 B2 JP 2776932B2 JP 1502850 A JP1502850 A JP 1502850A JP 50285089 A JP50285089 A JP 50285089A JP 2776932 B2 JP2776932 B2 JP 2776932B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、エンジンによって駆動されるパワーシフト
可能な２段式変速機を有する、特にパワーショベルおよ
びそれに類似した建設機械等の駆動装置に関し、より詳
しくは、液圧式に切換自在な摩擦クラッチを用いて選択
的に投入および遮断できる２つの変速段と、変速機に圧
油および潤滑油を供給するための油ポンプとを備え、前
記摩擦クラッチが油圧によって解放されるばね付勢形ク
ラッチとして形成されている２段式変速機を有した車両
用駆動装置に関する。
〔背景技術〕
25km/h以上の速度で走行できる、例えばパワーショベ
ルおよびホイール・ローダ（Radlader）のような建設機
械については、ブレーキ・システムに関する種々の規制
および基準が設けられている。ブレーキ系統の油圧回路
が単一の場合には、常用ブレーキの他に非常用の補助ブ
レーキを設けなければならない。さらに、駐車ブレーキ
も必要とされる。
ヨーロッパ特許第B1-0070420号公報には、上述した特
徴を有するパワーショベル用駆動装置が開示されてい
る。この公知例では出力軸に、シュー・ブレーキとして
形成された駐車ブレーキが配置されている。かかるブレ
ーキは油圧によって動作する。そのためにブレーキを制
御する油圧配管が必要である。このブレーキ用油圧配管
は、例えばホイール形ショベルの場合には、上部車台か
ら回転ブッシュを通して下部車台まで導かねばならな
い。かかる駐車ブレーキは、どんな場合でも所定の組込
スペースを必要とするが、特にホイール・ローダおよび
パワーショベルの場合には、組込スペースは限られたも
のとなる。
〔発明の開示〕
本発明の目的は、冒頭に述べた形式の駆動装置を、パ
ワーショベルおよび類似の建設機械における限られた組
込スペースに適合させるとともに、ブレーキ構造および
ブレーキ用油圧配管の配置を簡単にすることにある。
この目的は、本発明の駆動装置によって達成される。
本発明の駆動装置は、ばねによって付勢されて摩擦係
合するとともに、制御油圧を負荷することによって摩擦
係合が解除される一対の摩擦クラッチを備える。
両摩擦クラッチは、変速段を切り換えるために用いら
れるばかりでなく、上述した補助ブレーキおよび駐車ブ
レーキとして用いられる。これにより、駐車ブレーキや
補助ブレーキを不要とすることができるばかりでなく、
これらのブレーキシステムを作動させるためのブレーキ
油圧配管を必要としない。
また、両摩擦クラッチは半径方向に重なるように配置
される。これにより、本発明の駆動装置は、その軸線方
向の長さが短縮される。
ゲレンデ走行とも呼ばれる第１変速段においては、半
径方向外側の大きな摩擦クラッチが閉じられ、半径方向
内側の摩擦クラッチは開かれる。このとき、半径方向外
側のクラッチは、入力トルクの数倍の大きさの駆動トル
クを受け止めることができる。また、半径方向内側の摩
擦クラッチは、走行速度が小さいの小さな制動エネルギ
ーを受け止めるだけで済む。
これに対して、半径方向内側の摩擦クラッチを閉じる
ことによって投入される第２変速段においては、半径方
向外側の摩擦クラッチは開いているので、高速で走行す
る建設車両のブレーキ制動の際に、大きな制動エネルギ
ーを受け止めることができる。また、半径方向内側の摩
擦クラッチは第２変速段における小さな入力トルクを受
け止めるだけでよく、小さく設計することができる。
ブレーキ制動によって生じる熱は、ハウジングを介し
て、若しくは意図的な潤滑によって駆動装置の外部に排
出される。
半径方向内側の小さな摩擦クラッチ、および半径方向
外側の大きな摩擦クラッチは、最小の寸法においてその
都度伝達すべきトルクに合わせられる。
２段式変速機と平歯車段との間に分離クラッチを配置
することによって、建設車両が非常時あるいは移動する
ために牽引されるとき、駆動系の接続を遮断することが
できる。分離クラッチによって、駆動系の負荷側からの
駆動は平歯車段までに限定され、２段式変速機の遊星歯
車セットと摩擦クラッチおよび駆動エンジンは連れ回り
することがない。
本発明は請求の範囲の特徴事項に限定されるものでは
ない。当業者において各請求の範囲の特徴事項を目的に
則して組み合わせることができる。
以下図面に示した実施例を参照して本発明を詳細に説
明する。
〔図面の簡単な説明〕
第１図は本発明に基づく駆動装置の概略断面図、 第２図は第１図の一部拡大詳細図、 第３図は本発明をショベルカーに採用した場合の第１
図の一部拡大詳細図である。
〔発明を実施するための最良の形態〕
ハウジング１の中に入力軸２が回転自在に支持されて
いる。この入力軸２は概略的に図示した駆動エンジン３
によって駆動される。駆動エンジン３は出発回転数零か
ら無段階に回転数およびトルクを変更できる。そのため
に特に流体モータが適用される。しかし電動機を使用す
ることもできる。
ハウジング１内に配置された２段式変速機４は遊星歯
車装置として形成されている。遊星歯車装置のサンギヤ
５は入力軸２に固着されている。さらに２段式変速機４
には、リングギヤ６および遊星歯車ホルダー８に保持さ
れた多数の遊星歯車７が属している。
２段式変速機４の変速段は２つの摩擦クラッチ9,10を
用いて切り換えられる。両摩擦クラッチ9,10は半径方向
に重なるように配置され、軸線方向の長さはほぼ等しく
されている。両摩擦クラッチ9,10は多板クラッチとして
形成されている。半径方向内側の小さい摩擦クラッチ９
は内側ディスク11を有し、この内側ディスク11はディス
クホルダー12を介して入力軸２に相対回転不能に結合さ
れている。内側摩擦クラッチ９の外側ディスク13および
半径方向外側の大きな摩擦クラッチ10の内側ディスク14
は、共通のディスクホルダー15によってリングギヤ６に
対して相対回転不能に結合されている。外側摩擦クラッ
チ10の外側ディスク16は、ハウジング１に固着されたデ
ィスクホルダー17に相対回転不能に保持されている。
図２に示したように、内側摩擦クラッチ９は、ピスト
ン20を介した皿ばね18の押圧力によって閉じられるとと
もに、シリンダ室23に導入される油圧によって開かれ
る。また、外側摩擦クラッチ10は、ピストン22を介した
皿ばね21の押圧力によって閉じられるとともに、シリン
ダ室24に導入される油圧によって開かれる。
遊星歯車ホルダー８は、ハウジング１内に支持されて
いる歯車軸25上に支持されている。歯車軸25は平歯車27
にかみ合う平歯車26を支持している。両平歯車26,27は
ともに平歯車段28を形成している。平歯車27は出力軸30
上に固定され、この出力軸30を介して建設機械の車輪が
駆動される。
２段式変速機４と平歯車段28との間に分離クラッチ31
が組み込まれており、この分離クラッチ31によって２段
式変速機４と平歯車段28との間の接続および切り離しが
行われる。
次に、この駆動装置の作用について説明する。
走行車が停止した状態においては、ばね付勢形クラッ
チとして形成されている両摩擦クラッチ9,10は、皿ばね
18,21の力によって閉じられている。これによって２段
式変速機４の歯車はロックされている。これにより、本
発明の駆動装置は駐車ブレーキとして作用する。
第１変速段に投入するために、半径方向内側の摩擦ク
ラッチ９が、シリンダ室23に圧油が供給されることによ
って開かれる。これによってピストン20は皿ばね18の押
圧力に抗して左側に移動される。２段式変速機４が例え
ば1:4の伝達比で設計されているとき、半径方向外側の
摩擦クラッチ10は入力トルクの３倍の値に相当する駆動
トルクを受け止める。閉鎖した分離クラッチ31を介して
平歯車段28および従って出力軸30に接続されている遊星
歯車ホルダー８において、入力トルクの４倍の大きさの
駆動トルクが出力される。
第２変速段に投入するために、内側摩擦クラッチ９が
閉じられ、同時に外側摩擦クラッチ10が開かれる。この
切換の実施例において入力トルクは２つに分岐され、入
力トルクの75％が閉鎖した内側摩擦クラッチ９、ディス
クホルダー15、リングギヤ６、遊星歯車７を介して遊星
歯車ホルダー８に導かれる。入力軸２の入力トルクの25
％はサンギヤ５および遊星歯車７を介して遊星歯車ホル
ダー８に導かれる。遊星歯車ホルダー８は、合計駆動ト
ルクを平歯車段28および出力軸30に出力する。
高速走行に相応した第２変速段においては、リングギ
ヤ６とサンギヤ５とは一体に回転する。常用ブレーキが
失陥した場合には、走行車をブレーキ制動しようとする
とき、シリンダ室24内の圧油がブレーキ弁（図示せず）
を介して空にされ、外側摩擦クラッチ10は連続的して永
続的に閉じられる。摩擦クラッチ10を外側に配置するこ
とによって外側ディスク16の直径を大きくすることがで
き、高い走行速度の場合に生ずる大きな制動エネルギー
は良好に受け止められる。第１変速段での走行において
走行車をブレーキ制動する場合、その制動は内側摩擦ク
ラッチ９を介して行われる。しかしながら、第１変速段
での走行速度は第２変速段での走行速度の一部に過ぎな
いので、内側の小さな摩擦クラッチ９は僅かな制動エネ
ルギーしか受けない。これにより、本発明の駆動装置は
補助ブレーキとして作用する。
決められた最大速度からの全ブレーキ制動、即ち第２
変速段が投入されている場合の全ブレーキ制動は、本発
明に基づいて摩擦クラッチ9,10が半径方向に重なるよう
に配置されている場合に有利に実施される。何故なら
ば、外側摩擦クラッチ10の大きなディスクが大きな摩擦
作用および制動作用を行い、その際に生ずる多量の熱が
ハウジング１に良好に導かれるからである。
走行車を非常時においてあるいは移動させるために牽
引しようとするとき、分離クラッチ31が開かれる。これ
によって駆動エンジン３および２段式変速機４は、平歯
車段28から分離される。走行車の車輪側からの駆動は平
歯車段28までしか行われない。２段式変速機４の遊星歯
車セットおよび摩擦クラッチ9,10は、連れ回りすること
なく停止している。
本発明に基づく駆動装置は、上述した利点の他に次の
利点を有している。即ち、両摩擦クラッチ9,10はディス
クホルダー12,15に設けられた孔32,33通して、両摩擦ク
ラッチ9,10によって形成された補助ブレーキがほとんど
摩耗なしに作用するように、良好に潤滑される。
本発明の駆動装置をパワーショベルに利用する場合、
補助ブレーキ用の別個のブレーキ配管を自在継手を介し
て導く必要がない。両摩擦クラッチ9,10の一方を開放す
るためにほんの僅かな油量しか必要とされないので、停
止状態からの始動は、非常に小さな油ポンプを使用して
小さな回転数でも行える。すなわち、摩擦クラッチ9,10
のディスクを緩めるために、約0.2mmの非常に小さなス
トロークで済む。
安全性を考慮して、本発明に基づいて形成された駆動
装置は、走行車は分離クラッチが閉じられることなしに
始動できないという利点がある。これによって補助ブレ
ーキおよび駐車ブレーキが完全に機能することが保証さ
れる。
パワーショベルに本発明の駆動装置を組み込む場合、
第３図に示すように、入力軸２とハウジング１との間に
軸封シールリング34を配置することが目的に適し有利で
ある。これによって圧油接続口35においてハウジング１
と入力軸２との間のシリンダ室23に流出する漏油は、第
３図において軸封シールリング34の左側に設けられてい
るハウジング室36に限定される。ハウジング室36の中で
は入力軸２および駆動エンジン３の結合部分２のような
円筒状部品しか回転しない。例えば歯付き部品による油
の旋回は生じない。ハウジング室36からの漏油は登り管
37を介して、パワーショベルの上部台車に配置された油
槽に自動的に排出される。漏油集合室として使用され２
段式変速機４に対してシールされているハウジング室36
を設けることによって、別個の吸出しポンプは不要とな
る。
〔符号の説明〕
１……ハウジング ２……入力軸 ３……駆動エンジン ４……２段式変速機 ５……サンギヤ ６……リングギヤ ７……遊星歯車 ８……遊星歯車ホルダー 9,10……摩擦クラッチ 11……内側ディスク 12……ディスクホルダー 13……外側ディスク 14……内側ディスク 15……ディスクホルダー 16……外側ディスク 17……ディスクホルダー 18……皿ばね 20……ピストン 21……皿ばね 22……ピストン 23,24……シリンダ室 25……歯車軸 26,27……平歯車 27……平歯車段 30……出力軸 31……分離クラッチ 32,33……孔 34……軸封シールリング 35……圧油接続口 36……ハウジング室 37……登り管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 シュテュッツレ，ジークフリート ドイツ連邦共和国フリードリッヒスハー フェン、ゾンネンベルクシュトラーセ、 34 (56)参考文献 特開 昭58−211058（ＪＰ，Ａ) 特公 昭40−29090（ＪＰ，Ｂ１) 実公 昭61−604（ＪＰ，Ｙ２) (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) F16H 3/44

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】入力軸から入力される駆動力を変速し、走
    行手段を回転駆動する出力軸に出力する車両用駆動装置
    であって、 一対の摩擦クラッチ（9,10）を用いて二つの変速段を切
    り換え可能な遊星歯車機構を有した２段式変速機と、 前記一対の摩擦クラッチをそれぞれ個別に油圧作動させ
    る一対の油圧シリンダ（23,24）と、 これらの油圧シリンダの作動を制御する制御弁と、 これらの構成部品を収納するハウジング（１）とを備
    え、 前記遊星歯車機構は、サンギヤ（５）が前記入力軸
    （２）と一体に回転するとともに、リングギヤ（６）が
    一方の摩擦クラッチ（10）によって選択的に前記ハウジ
    ング（１）に係止可能とされ、かつ前記サンギヤ（５）
    と前記リングギヤ（６）とが他方の摩擦クラッチ（９）
    によって選択的に接続されて一体に回転可能とされ、 前記一対の摩擦クラッチは、押圧ばねの押圧力によって
    摩擦係合するとともに前記油圧シリンダの作動によって
    摩擦係合が解除するようにされ、 前記制御弁は、車両が停止したときに前記一対の油圧シ
    リンダ内の圧油を排出することにより前記一対の摩擦ク
    ラッチを同時に摩擦係合させて前記一対の摩擦クラッチ
    を駐車ブレーキとして作用させるとともに、車両が走行
    するときには、摩擦係合していない側の摩擦クラッチの
    係合を制御して前記車両の走行をブレーキ制動する非常
    用補助ブレーキとして作動させる ことを特徴とする車両用駆動装置。
  2. 【請求項２】前記一対の摩擦クラッチ（9,10）は、前記
    入力軸の回転軸線に対して半径方向に重なるように配置
    されるとともに、前記一方の摩擦クラッチ（10）が大径
    に形成され、かつ前記他方の摩擦クラッチが小径に形成
    されることを特徴とする請求項１に記載の車両用駆動装
    置。
  3. 【請求項３】前記一対の摩擦クラッチ（9,10）は、多板
    クラッチとして形成されるとともに共通のディスクホル
    ダー（15）を有し、前記他方の摩擦クラッチ（10）が前
    記ディスクホルダー（15）の半径方向外側に配置されて
    その内側ディスクが前記ディスクホルダーと回転方向に
    係合し、前記他方の摩擦クラッチ（９）が前記ディスク
    ホルダー（15）の半径方向内側に配置されてその外側デ
    ィスクが前記ディスクホルダーと回転方向に係合し、前
    記ディスクホルダー（15）が前記遊星歯車機構のリング
    ギヤ（６）と一体に形成されていることを特徴とする請
    求項２に記載の車両用駆動装置。
JP1502850A 1988-03-11 1989-03-08 車両用駆動装置 Expired - Lifetime JP2776932B2 (ja)

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CN (1) CN1015398B (ja)
DE (1) DE58900673D1 (ja)
ES (1) ES2012271A6 (ja)
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