JP3994912B2 - センサ回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、センサから出力される信号電圧に含まれるリップル成分を二値化するセンサ回路に関し、特に、半導体式磁気センサからの信号の二値化処理に好適に用い得るセンサ回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石の磁力を検出する磁気抵抗センサ(MRE)が、例えば、自動車用エンジンの回転位置を検出する回転位置検出装置に用いられている。係る回転位置検出装置では、エンジンと共に回転する回転体の周囲に異なる磁極の磁石が取り付けられ、該磁石の磁極を磁気抵抗センサにより検出し、磁気抵抗センサの信号電圧を閾値と比較して二値化することで、磁極、即ち、エンジンの回転位置を求めている。
【0003】
ここで、磁気に応じて抵抗値の変化する磁気抵抗センサは、一般的に一対の磁気抵抗センサを接地した状態で直列に接続し一定電位を印加して、両磁気抵抗センサの中点の信号電位を出力として用いている。この信号電位は、直流電位にリップル成分が含まれており、このリップル成分を設定した閾値と比較することで上述したように二値信号を得ている。ここで、リップル分が含まれる出力電位は、上述した磁石と磁気抵抗センサとの相対位置により異なってくる。具体的には、磁気抵抗センサの取り付け位置によってバラツキが出て、回転位置検出装置毎に出力電位値が異なる。このため、上述した二値化のための閾値のレベルは、回転位置検出装置毎に違った値になり、製造の段階で単体調整を行うか、回転位置検出装置にて自動設定を行う必要がある。この閾値を自動設定する方法として、例えば、特許文献1では、出力信号をサンプルホールド回路でピークホールド、ボトムホールドし、ピークホールド値、ボトムホールド値を基に閾値を設定していた。なお、特許文献2中には、流体の流れの方向に応じて、流量ゼロ時のオフセット値を記憶し、記憶したオフセット値に従って検出出力のゼロ補正を行う流量計が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平6-300584号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平11-190647号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1の方法では、ピークホールド、ボトムホールドを行うサンプルホールド回路にコンデンサ(キャパシタ)を用いており、高温で使用するとコンデンサで電荷リークが発生するので、使用温度に制限を受けていた。このため、高温(150℃以上)下で使用される磁気抵抗センサ(MRE)には、適応が困難であった。
【0007】
更に、サンプルホールド回路は、大容量のコンデンサ(キャパシタ)を使用するアナログ回路なので、回路を小型化することが困難であった。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ピークホールド及びボトムホールドを行うことなくリップル成分を二値化し得るセンサ回路を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段、および発明の作用・効果】
請求項1のセンサ回路で、閾値設定手段が、センサの信号電圧が一定の状態で、当該一定の状態(例えば、エンジン始動前のセンサ信号電圧が一定の状態)の信号電圧から所定電圧低い閾値と所定電圧高い閾値とを予め設定する。第1比較手段が、信号電圧と所定電圧低い閾値とを比較し二値化信号を出力し、第2比較手段が、信号電圧と所定電圧高い閾値とを比較し二値化信号を出力する。そして、選択手段が、閾値設定以降に、先に信号電圧が所定電圧低い閾値よりも低くなる際に第1比較手段の出力をセンサ回路の出力として選択し、先に信号電圧が所定電圧高い閾値よりも高くなる際に第2比較手段の出力をセンサ回路の出力として選択する。このため、リップル成分をピークホールドすることなく、所定状態の信号電圧から所定電圧低い閾値と所定電圧高い閾値とを設定し、この何れか適正な方を用いることで、リップル成分を二値化することができる。
【0010】
好適には、上記選択手段は、第1比較手段の二値化信号と第2比較手段の二値化信号とを監視し、先に反転する二値化信号の出力側を選択する。これにより、閾値設定以降に、先に信号電圧が所定電圧低い閾値よりも低くなる際に第1比較手段の出力を、先に信号電圧が所定電圧高い閾値よりも高くなる際に第2比較手段の出力を選択することができる。
【0011】
請求項3のセンサ回路では、閾値設定手段が、センサの信号電圧が一定の状態で、当該一定の状態(例えば、エンジン始動前のセンサ信号電圧が一定の状態)の信号電圧から所定電圧低い閾値と所定電圧高い閾値とを予め設定する。比較手段が、信号電圧と所定電圧低い閾値又は所定電圧高い閾値とを比較し二値化信号を出力する。ここで、比較手段により、信号電圧と所定電圧低い閾値、及び、信号電圧と所定電圧高い閾値とを時分割で交互に比較することで、閾値設定以降に先に信号電圧が所定電圧低い閾値よりも低くなるか所定電圧高い閾値よりも高くなるかを判断する。そして、選択手段が、低くなる際に比較手段にて所定電圧低い閾値と比較した出力をセンサ回路の出力として選択し、高くなる際に比較手段にて所定電圧高い閾値と比較した出力をセンサ回路の出力として選択する。このため、リップル成分をピークホールドすることなく、所定状態の信号電圧から所定電圧低い閾値と所定電圧高い閾値とを設定し、この何れか適正な方を用いることで、リップル成分を二値化することができる。特に、時分割で信号電圧と所定電圧低い閾値、及び、信号電圧と所定電圧高い閾値とを交互に比較するため、1の比較手段でセンサ回路を構成することができる。
【0012】
請求項4のセンサ回路では、閾値設定手段が、センサの信号電圧が一定の状態で、当該一定の状態(例えば、エンジン始動前のセンサ信号電圧が一定の状態)の信号電圧から所定電圧低い閾値と、所定電位よりも更に低い閾値と、所定電圧高い閾値とを予め設定する。第1比較手段が、信号電圧と所定電圧低い閾値とを比較し二値化信号を出力し、第2比較手段が、信号電圧と所定電圧高い閾値とを比較し二値化信号を出力する。検出手段が信号電圧が所定電圧よりも更に低い閾値よりも高いか否かを検出する。そして、選択手段が、閾値設定以降に、先に信号電圧が所定電圧低い閾値よりも低くなる際に第1比較手段の出力をセンサ回路の出力として選択し、先に信号電圧が所定電圧高い閾値よりも高くなる際に第2比較手段の出力をセンサ回路の出力として選択する。このため、リップル成分をピークホールドすることなく、所定状態の信号電圧から所定電圧低い閾値と所定電圧高い閾値とを設定し、この何れか適正な方を用いることで、リップル成分を二値化することができる。ここで、検出手段により信号電圧が所定電圧よりも更に低い閾値よりも高いことが検出された状態で、第1比較手段により信号電圧が所定電圧低い閾値よりも高い状態の二値化信号が出力されない場合に、閾値再設定手段が所定電圧低い閾値を更に低い値に設定する。このため、信号電圧のドリフト、オフセットが起きて信号電圧が所定電圧低い閾値を越えなくなっても、閾値を再設定することで、適正にリップル成分を二値化することができる。
【0013】
請求項5のセンサ回路では、閾値設定手段が、センサの信号電圧が一定の状態で、当該一定の状態(例えば、エンジン始動前のセンサ信号電圧が一定の状態)の信号電圧から所定電圧低い閾値と所定電圧高い閾値とを予め設定する。第1比較手段が、信号電圧と所定電圧低い閾値とを比較し二値化信号を出力し、第2比較手段が、信号電圧と所定電圧高い閾値とを比較し二値化信号を出力する。そして、選択手段が、閾値設定以降に先に信号電圧が所定電圧低い閾値よりも低くなる際に第1比較手段の出力をセンサ回路の出力として選択し、先に信号電圧が所定電圧高い閾値よりも高くなる際に第2比較手段の出力をセンサ回路の出力として選択する。このため、リップル成分をピークホールドすることなく、所定状態の信号電圧から所定電圧低い閾値と所定電圧高い閾値とを設定し、この何れか適正な方を用いることで、リップル成分を二値化することができる。ここで、第1比較手段が選択された際、第2比較手段により信号電圧が所定電圧高い閾値より高い状態の二値化信号が出力される場合に、閾値再設定手段が所定電圧低い閾値を更に高い値に設定する。このため、信号電圧のドリフト、オフセットが起きて信号電圧が所定電圧低い閾値よりも低くならなくなっても、閾値を再設定することで、適正にリップル成分を二値化することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明のセンサ回路の実施形態について図を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係るセンサ回路10の構成を示すブロック図であり、図2は、センサ回路での処理を示すフローチャートである。このセンサ回路10は、自動車用のエンジンの回転位置を検出する回転位置装置で用いられる。
エンジンの回転に伴い1/2の速度で回転するシャフト54には、円盤状の回転体50が固定されている。回転体50は、非磁性材料(例えば、オーステナイト系ステンレス)からなる磁石保持部56と、該磁石保持部56の周囲に固定された環状のフェライト磁石52から構成されている。フェライト磁石52の外周面には、異なる磁極(N極及びS極)が交互に、かつ、等間隔に着磁された着磁面52n、52sが設けられている。
【0015】
センサ回路10は、回転体50の着磁面52n、52sに対向配置された一対のMR素子(磁気抵抗センサ)12A、12Bを有している。MR素子12A、12Bは、直列に電源とアースとの間に接続されている。MR素子12A、12Bの中点11には、増幅器14が接続されている。MR素子12A、12Bは、回転体50の回転に伴う円周方向の磁気強度に応じて抵抗値を変化させる。その結果、MR素子12A、12Bの中点11の電位(信号電位)が変化し、後述するようにセンサ回路10から二値化信号が出力される。
【0016】
図2に示すように、センサ回路10では、イグニションがオンされると(S12:Yes)、エンジンの回転前に閾値を設定する(S14)。この際の回路動作について、図1を参照して説明する。
【0017】
増幅器14からの出力は、初期値設定部20、第1比較手段を構成する第1コンパレータ36、第2比較手段を構成する第2コンパレータ38に印加される。初期値設定部20は、コンパレータ22と、クロック24と、D−Aコンバータ26と、カウンタ28とからなり、回転体50の停止時(エンジンの始動前)の定状態の増幅器14からの出力電位と等しい電位を初期値として設定する。即ち、クロック24からのクロック信号がカウンタ28に印加され、カウンタ28の出力がD−Aコンバータ26に加えられ、D−Aコンバータ26の電位が徐々に高くなる。D−Aコンバータ26からの電位は、コンパレータ22に加えられる。コンパレータ22は、D−Aコンバータ26側の電位と上記増幅器14の電位とを比較し、D−Aコンバータ26側の電位の方が高くなると、クロック24側に停止信号を出力する。これにより、D−Aコンバータ26の出力電位が、増幅器14の電位と等しくなる。
【0018】
初期値設定部20に設定された初期値電位、即ち、D−Aコンバータ26からの電位は、閾値設定手段を構成する第1閾値設定部32及び第2閾値設定部34に印加される。第1閾値設定部32では、エンジン始動前の初期値電位よりも50mV低い閾値電位(所定電圧低い閾値)を設定し、第1コンパレータ36側に印加する。同様に、第2閾値設定部34では、初期値電位よりも50mV高い閾値電位(所定電圧高い閾値)を設定し、第2コンパレータ38側に印加する。なお、第1コンパレータ36及び第2コンパレータ38は、ヒステリシスを付けることで、後述する第1コンパレータ36及び第2コンパレータ38での出力の切り替わりを安定させ、チャタリングを防いでいる。
【0019】
図2に示すように、エンジンの始動後に(S16:Yes)、回転体50の回転による着磁面52n、52sの磁極の切り替わりに応じ増幅器14からの出力電位にリップル分が含まれるようになると、第1コンパレータ36及び第2コンパレータ38の出力反転を検出し、先に反転を発生したコンパレータを選択する(S18)。この処理は、図1中のロジック40で行われる。そして、選択した側のコンパレータからの出力をセンサ回路10の出力とし(S20)、これをイグニッションのオフまで続ける(S22:Yes)。
【0020】
この際の回路動作について、再び図1を参照して説明する。第1コンパレータ36は、第1閾値設定部32から印加されたエンジン始動前の初期値電位よりも50mV低い閾値電位(所定電圧低い閾値)と増幅器14からの出力電位とを比較し、増幅器14からの出力電位が高くなると、ハイレベルを出力する。同様に、第2コンパレータ38は、第2閾値設定部34から印加された初期値電位よりも50mV高い閾値電位(所定電圧高い閾値)と増幅器14からの出力電位とを比較し、増幅器14からの出力電位が高くなると、ハイレベルを出力する。ロジック40は、第1コンパレータ36及び第2コンパレータ38の出力の反転を監視しており、反転が先に発生した方のコンパレータに接続された第1スイッチ42、第2スイッチ44を選択する。即ち、第1コンパレータ36の出力の反転が先に起きた場合には、第1スイッチ42を、第2コンパレータ38の出力の反転が先に起きた場合には、第2スイッチ44を選択する。
【0021】
この第1コンパレータ36、第2コンパレータ38の選択について、図3のタイミングチャートを参照して説明する。
図3(A)は、エンジン始動前の初期値電位から、エンジン始動後にセンサ信号(増幅器14からの出力電位)が下がる場合を示している。時刻t0のイグニッションオンされた時点での初期値電位から、上述したように第1コンパレータ36側に50mV低い閾値電位(所定電圧低い閾値)が、第2コンパレータ38側に50mV高い閾値電位(所定電圧高い閾値)が設定される。時刻t1からエンジンが回転を始め、センサ信号が変化する。ここで、センサ信号(増幅器14からの出力電位)が下降し、時刻t3に、50mV低い閾値電位が設定されている第1コンパレータ36側の出力が反転する。これにより、第1スイッチ42側がロジック40により選択され、以降、第1コンパレータ36側の出力がセンサ回路10の出力として用いられる。
【0022】
図3(B)は、エンジン始動前の初期値電位から、エンジン始動後にセンサ信号(増幅器14からの出力電位)が上がる場合を示している。時刻t0のイグニッションオンされた時点での初期値電位から、上述したように第1コンパレータ36側に50mV低い閾値電位(所定電圧低い閾値)が、第2コンパレータ38側に50mV高い閾値電位(所定電圧高い閾値)が設定される。時刻t1からエンジンが回転を始め、センサ信号が変化する。ここで時刻t2に、50mV高い閾値電位が設定されている第2コンパレータ38側の出力が反転する。これにより、第2スイッチ44側がロジック40により選択され、以降、第2コンパレータ38側の出力がセンサ回路10の出力として用いられる。
【0023】
この第1実施形態のセンサ回路10では、ロジック40が、閾値設定以降に先に信号電圧が所定電圧低い閾値よりも低くなる際に第1コンパレータ36の出力を、先に信号電圧が所定電圧高い閾値よりも高くなる際に第2コンパレータ36の出力をセンサ回路10の出力として選択することができる。このため、リップル成分をピークホールドすることなく、所定状態の信号電圧から所定電圧低い閾値と所定電圧高い閾値とを設定し、この何れか適正な方を用いることで、リップル成分を二値化することができる。
【0024】
第1実施形態では、コンデンサを備えるサンプルホールド回路を用いないため、高温(150℃以上)下で使用される磁気抵抗センサ(MRE)に使用できる。また、大容量のコンデンサ(キャパシタ)を使用しないデジタル回路であるため、ウエハプロセスの微細化にも対応し小型化することが可能である。
【0025】
[第2実施形態]
以下、本発明のセンサ回路の第2実施形態について図を参照して説明する。
図4は、第2実施形態に係るセンサ回路10の構成を示すブロック図である。図1を参照して上述した第1実施形態では、第1コンパレータ36と第2コンパレータ38とが置かれた。これに対して、第2実施形態では、時分割方式で閾値の設定を行うことで、1つのコンパレータ36により回路を構成している。第1スイッチ42は第1閾値設定部32の前に置かれ、第2スイッチ44は第2閾値設定部34の前に置かれている。第1スイッチ42、第2スイッチ44を交互に接続することで、コンパレータ36に第1閾値設定部32からの50mV低い閾値電位(所定電圧低い閾値)と第2閾値設定部34からの50mV高い閾値電位(所定電圧高い閾値)とが時分割で交互に設定される。他の構成については、図1を参照して上述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。なお、第2実施形態では、比較手段がコンパレータ36に選択手段がロジック40に相当し得る。
【0026】
第1閾値設定部32、第2閾値設定部34の選択について、図5のタイミングチャートを参照して説明する。
図5(A)は、エンジン始動前の初期値電位から、エンジン始動後にセンサ信号(増幅器14からの出力電位)が下がる場合を示している。時刻t0のイグニッションオンされた時点での初期値電位から、上述したようにコンパレータ36に第1閾値設定部32からの50mV低い閾値電位(所定電圧低い閾値)と第2閾値設定部34からの50mV高い閾値電位(所定電圧高い閾値)とが時分割で交互に設定される。時刻t1からエンジンが回転を始め、センサ信号が変化する。ここで、センサ信号(増幅器14からの出力電位)が下降し、時刻t3に、50mV低い閾値電位が設定された状態でコンパレータ36の出力が反転する。これにより、第1スイッチ42側がロジック40により選択され、以降、第1閾値設定部32からの50mV低い閾値電位が設定された状態で、コンパレータ36側の出力がセンサ回路10の出力として用いられる。
【0027】
図5(B)は、エンジン始動前の初期値電位から、エンジン始動後にセンサ信号(増幅器14からの出力電位)が上がる場合を示している。時刻t0のイグニッションオンされた時点での初期値電位から、コンパレータ36に50mV低い閾値電位(所定電圧低い閾値)と50mV高い閾値電位(所定電圧高い閾値)とが時分割で交互に設定される。時刻t1からエンジンが回転を始め、センサ信号が変化する。ここで、一旦上昇したセンサ信号(増幅器14からの出力電位)が下降し、時刻t2に、50mV高い閾値電位が設定されている状態でコンパレータ36の出力が反転する。これにより、第2スイッチ44側がロジック40により選択され、以降、第2閾値設定部34からの50mV高い閾値電位が設定された状態で、コンパレータ36の出力がセンサ回路10の出力として用いられる。この第2実施形態では、コンパレータ38の数を減らすことが出来る利点がある。
【0028】
[第3実施形態]
以下、本発明のセンサ回路の第3実施形態について図を参照して説明する。
図6は、第3実施形態に係るセンサ回路10の構成を示すブロック図である。図1を参照して上述した第1実施形態では、第1コンパレータ36と第2コンパレータ38との2つのコンパレータが置かれた。これに対して、第3実施形態では、上述した初期値電位よりも75mV低い閾値電位(所定電圧更に低い閾値)を設定する第3閾値設定部35と、該75mV低い閾値電位と増幅器14からの出力電位とを比較し、増幅器14からの出力電位が高くなると、ハイレベルを出力する検出手段を構成得る第3コンパレータ39と、該第3コンパレータ39の出力が反転した状態で、第1コンパレータ36の出力が反転するか否かを判断し、出力が反転しない際には、閾値のレベルを更に下げる閾値再設定手段を構成し得るアラームフラグ46とを有する。即ち、第3実施形態では、初期値電位よりも50mV低い閾値電位を用いてセンサ信号を二値化を行っている状態で、信号レベルのドリフト、オフセット変動によりセンサ信号(増幅器14からの出力電位)が、初期値電位よりも50mV低い閾値電位を越えなくなった際に、閾値を下げる調整を行う。
【0029】
第3実施形態のセンサ回路による閾値を下げる調整について、図7のタイミングチャートを参照して説明する。
時刻t0のイグニッションオンされた時点での初期値電位から、上述したように第1コンパレータ36側に50mV低い閾値電位(所定電圧低い閾値)が、第2コンパレータ38側に50mV高い閾値電位(所定電圧高い閾値)が設定される。ここで、時刻t1からエンジンが回転を始め、センサ信号が変化する。ここで、センサ信号(増幅器14からの出力電位)が下降し、時刻t3に、50mV低い閾値電位が設定されている第1コンパレータ36側の出力が反転する。これにより、第1スイッチ42側がロジック40により選択され、以降、第1コンパレータ36側の出力がセンサ回路10の出力として用いられる。
【0030】
その後、センサ信号(増幅器14からの出力電位)が下側にドリフトし、50mV低い閾値電位を越えなくなった際に、以下のように動作する。
時刻t4にて、センサ信号(増幅器14からの出力電位)が、上述した初期値電位よりも75mV低い閾値電位(所定電圧更に低い閾値)を越えると、第3コンパレータ39の出力が立ち上がり、時刻t5にて、75mV低い閾値電位(所定電圧更に低い閾値)を下回ると、第3コンパレータ39の出力が立ち下がる。この時刻t4〜t5の間に、第1コンパレータ36での出力の反転がないと、センサ信号(増幅器14からの出力電位)が、50mV低い閾値電位(所定電圧低い閾値)を越えないようになったと判断する。この際には、図6に示すアラームフラグ46からの信号がカウンタ28に印加され、カウンタ28からの信号がD−Aコンバータ26の電位を下げさせる。これにより、第1閾値設定部32での50mV低い閾値電位(所定電圧低い閾値)が下がように再設定される。以降、センサ信号(増幅器14からの出力電位)が、再設定された50mV低い閾値電位(所定電圧低い閾値)を越えるようになることで(時刻t6,t7)、第1コンパレータ36からのパルス状の二値化信号が、センサ回路10から出力される。第3実施形態では、センサ信号(増幅器14からの出力電位)がドリフト、オフセットしても、適正に対応できる利点がある。
【0031】
[第4実施形態]
以下、本発明のセンサ回路の第4実施形態について図を参照して説明する。
図8は、第4実施形態に係るセンサ回路10の構成を示すブロック図である。図6を参照して上述した第3実施形態では、センサ信号(増幅器14からの出力電位)が下側にオフセットしても対応可能であった。これに対して、第4実施形態では、下側のみならず上側にシフトしても対応可能に構成されている。即ち、第1閾値設定部32での50mV低い閾値電位(所定電圧低い閾値)が選択された際に、増幅器14からの出力電位が第2閾値設定部34での50mV高い閾値電位(所定電位高い閾値)よりも高くなると、閾値のレベルを上げる閾値再設定手段を構成し得るロジック40を有する。ロジック40は選択手段にも相当し得る。
【0032】
第4実施形態のセンサ回路による閾値を上げる調整について、図9のタイミングチャートを参照して説明する。
時刻t0のイグニッションオンされた時点での初期値電位から、上述したように第1コンパレータ36側に50mV低い閾値電位(所定電圧低い閾値)が、第2コンパレータ38側に50mV高い閾値電位(所定電圧高い閾値)が設定される。ここで、時刻t1からエンジンが回転を始め、センサ信号が変化する。ここで、センサ信号(増幅器14からの出力電位)が下降し、時刻t3に、50mV低い閾値電位が設定されている第1コンパレータ36側の出力が反転する。これにより、第1スイッチ42側がロジック40により選択され、以降、第1コンパレータ36側の出力がセンサ回路10の出力として用いられる。
【0033】
時刻t9〜時刻t10の間、センサ信号(増幅器14からの出力電位)が、50mV高い閾値電位(所定電圧高い閾値)を越え、第2コンパレータ38から信号がロジック40に印加されると、ロジック40は、クロック24を介して開始信号をカウンタ28へ出力し、カウンタ28からの信号がD−Aコンバータ26の電位を上げさせる。これにより、第1閾値設定部32での50mV低い閾値電位(所定電圧低い閾値)が上がるように再設定される。以降、センサ信号(増幅器14からの出力電位)が、再設定された50mV低い閾値電位(所定電圧低い閾値)を越えるようになることで(時刻t12,t13)、第1コンパレータ36からのパルス状の二値化信号が、センサ回路10から出力される。第4実施形態では、センサ信号(増幅器14からの出力電位)が上側にドリフト、オフセットしても、適正に対応できる利点がある。
【0034】
なお、上述した実施形態では、センサとして磁気抵抗素子を用いる例を挙げたが、本発明は、他のセンサ、例えば、コイル、ホール素子等の種々のセンサからの信号電圧に含まれるリップル成分を二値化するセンサ回路に適用可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るセンサ回路の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係るセンサ回路での処理を示すフローチャートである。
【図3】(A)、(B)は、第1実施形態に係るセンサ回路でのセンサ信号、第1コンパレータ、第2コンパレータ、出力波形を示すタイミングチャートである。
【図4】第2実施形態に係るセンサ回路の構成を示すブロック図である。
【図5】(A)、(B)は、第2実施形態に係るセンサ回路でのセンサ信号、−50mV、+50mVが設定された際のコンパレータ出力、出力波形を示すタイミングチャートである。
【図6】第3実施形態に係るセンサ回路の構成を示すブロック図である。
【図7】第3実施形態に係るセンサ回路でのセンサ信号、第1コンパレータ、第2コンパレータ、第3コンパレータ、出力波形を示すタイミングチャートである。
【図8】第4実施形態に係るセンサ回路の構成を示すブロック図である。
【図9】第4実施形態に係るセンサ回路でのセンサ信号、第1コンパレータ、第2コンパレータ、出力波形を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
10 センサ回路
11 中点
12A、12B MR素子(センサ)
14 増幅器
20 初期値設定部
22 コンパレータ
24 クロック
26 D−Aコンバータ
28 カウンタ
32 第1閾値設定部(閾値設定手段)
34 第2閾値設定部(閾値設定手段)
35 第3閾値設定部
36 第1コンパレータ(第1比較手段、比較手段)
38 第2コンパレータ(第2比較手段)
39 第3コンパレータ(検出手段)
40 ロジック(選択手段)
42 第1スイッチ
44 第2スイッチ
46 アラームフラグ(閾値再設定手段)
48 ロジック(選択手段、閾値再設定手段)

Claims (5)

  1. センサから出力される信号電圧に含まれるリップル成分を二値化するセンサ回路において、
    センサの信号電圧が一定の状態で、当該一定の信号電圧から所定電圧低い閾値と所定電圧高い閾値とを予め設定する閾値設定手段と、
    前記信号電圧と前記所定電圧低い閾値とを比較し、二値化信号を出力する第1比較手段と、
    前記信号電圧と前記所定電圧高い閾値とを比較し、二値化信号を出力する第2比較手段と、
    前記閾値設定手段による閾値設定以降に、先に信号電圧が前記所定電圧低い閾値よりも低くなる際に前記第1比較手段の出力をセンサ回路の出力として選択し、先に信号電圧が前記所定電圧高い閾値よりも高くなる際に前記第2比較手段の出力をセンサ回路の出力として選択する選択手段と、を備えることを特徴とするセンサ回路。
  2. 前記選択手段は、前記第1比較手段の二値化信号と前記第2比較手段の二値化信号とを監視し、先に反転する二値化信号の出力側を選択することを特徴とする請求項1のセンサ回路。
  3. センサから出力される信号電圧に含まれるリップル成分を二値化するセンサ回路において、
    センサの信号電圧が一定の状態で、当該一定の信号電圧から所定電圧低い閾値と所定電圧高い閾値とを予め設定する閾値設定手段と、
    前記信号電圧と前記所定電圧低い閾値又は所定電圧高い閾値とを比較し、二値化信号を出力する比較手段と、
    前記比較手段により、前記信号電圧と前記所定電圧低い閾値、及び、前記信号電圧と所定電圧高い閾値とを時分割で交互に比較することで、前記閾値設定手段による閾値設定以降に先に信号電圧が前記所定電圧低い閾値よりも低くなるか前記所定電圧高い閾値よりも高くなるかを判断し、低くなる際に前記比較手段にて前記所定電圧低い閾値と比較した出力をセンサ回路の出力として選択し、高くなる際に前記比較手段にて前記所定電圧高い閾値と比較した出力をセンサ回路の出力として選択する選択手段と、を備えることを特徴とするセンサ回路。
  4. センサから出力される信号電圧に含まれるリップル成分を二値化するセンサ回路において、
    センサの信号電圧が一定の状態で、当該一定の信号電圧から所定電圧低い閾値と、前記所定電位よりも更に低い閾値と、所定電圧高い閾値とを予め設定する閾値設定手段と、
    前記信号電圧と前記所定電圧低い閾値とを比較し、二値化信号を出力する第1比較手段と、
    前記信号電圧と前記所定電圧高い閾値とを比較し、二値化信号を出力する第2比較手段と、
    前記信号電圧が前記所定電圧よりも更に低い閾値よりも高いか否かを検出する検出手段と、
    前記閾値設定手段による閾値設定以降に、先に信号電圧が前記所定電圧低い閾値よりも低くなる際に前記第1比較手段の出力をセンサ回路の出力として選択し、先に信号電圧が前記所定電圧高い閾値よりも高くなる際に前記第2比較手段の出力をセンサ回路の出力として選択する選択手段と、
    前記検出手段により前記信号電圧が前記所定電圧よりも更に低い閾値よりも高いことが検出された状態で、前記第1比較手段により前記信号電圧が前記所定電圧低い閾値よりも高い状態の二値化信号が出力されない場合に、前記所定電圧低い閾値を更に低い値に設定する閾値再設定手段と、を備えることを特徴とするセンサ回路。
  5. センサから出力される信号電圧に含まれるリップル成分を二値化するセンサ回路において、
    センサの信号電圧が一定の状態で、当該一定の信号電圧から所定電圧低い閾値と所定電圧高い閾値とを予め設定する閾値設定手段と、
    前記信号電圧と前記所定電圧低い閾値とを比較し、二値化信号を出力する第1比較手段と、
    前記信号電圧と前記所定電圧高い閾値とを比較し、二値化信号を出力する第2比較手段と、
    前記閾値設定手段による閾値設定以降に、先に信号電圧が前記所定電圧低い閾値よりも低くなる際に前記第1比較手段の出力をセンサ回路の出力として選択し、先に信号電圧が前記所定電圧高い閾値よりも高くなる際に前記第2比較手段の出力をセンサ回路の出力として選択する選択手段と、
    前記第1比較手段が選択された際、前記第2比較手段により前記信号電圧が前記所定電圧高い閾値より高い状態の二値化信号が出力される場合に、前記所定電圧低い閾値を更に高い値に設定する閾値再設定手段と、を備えることを特徴とするセンサ回路。
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