JP3994775B2 - 真空紫外線励起発光素子用の蛍光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下「PDP」という。)および希ガスランプなどの真空紫外線励起発光素子に好適な蛍光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
真空紫外線によって励起して発光させる蛍光体はすでに提案されている。例えば、Ba、Mg、Al、Oと付活剤EuとからなるBaMgAl10O17:Euが青色蛍光体として、また例えば、Zn、Si、Oと付活剤MnとからなるZn2SiO4:Mnが緑色蛍光体として、また例えば、Y、Gd、B、Oと付活剤Euとからなる(Y,Gd)BO3:Euが赤色蛍光体として実用化されており、PDPや希ガスランプなどの真空紫外線励起発光素子として用いられている。
【0003】
しかしながら、これら真空紫外線励起発光素子用の蛍光体にはさらなる輝度の向上が望まれており、上記したようなアルミン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩からなる蛍光体が検討されている。ケイ酸塩からなる蛍光体としては、例えば、Extended abstracts of the sixth international conference on the science andtechnology of display phosphors,21−24には真空紫外線励起発光素子用の蛍光体としてCaMgSi2O6:Euが開示されているが、輝度が十分ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、真空紫外線励起発光素子用の輝度の高い蛍光体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく蛍光体の組成について鋭意研究を重ねた結果、ケイ酸塩またはケイ酸塩のSiをGeで置換したゲルマン酸塩蛍光体の中でも、Ca、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上と、MgおよびZnからなる群より選ばれる1種以上と、SiおよびGeからなる群より選ばれる1種以上と、Pと、Alと、酸素と、付活剤としてCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびMnからなる群より選ばれる1種以上を含有されてなる蛍光体が、真空紫外線励起で強い発光を示すことを見い出し、本発明を完成するに到った。
【0006】
すなわち本発明は、組成式mM1O・nM2O・(M3 2-2xPxAlx)O4(式中のM1はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上であり、M2はMgおよびZnからなる群より選ばれる1種以上であり、M3はSiおよびGeからなる群より選ばれる1種以上であり、mは0.5以上3.5以下であり、nは0.5以上2.5以下であり、xは0を超え0.2以下である。)で表わされる化合物と付活剤としてCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびMnからなる群より選ばれる1種以上とを含有してなる真空紫外線励起発光素子用の蛍光体を提供する。また本発明は、上記記載の蛍光体を含んでなる真空紫外線励起発光素子を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳しく説明する。
本発明の真空紫外線励起発光素子用の蛍光体は、組成式mM1O・nM2O・(M3 2-2xPxAlx)O4(式中のM1はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上であり、M2はMgおよびZnからなる群より選ばれる1種以上であり、M3はSiおよびGeからなる群より選ばれる1種以上であり、mは0.5以上3.5以下であり、nは0.5以上2.5以下であり、xは0を超え0.2以下である。)で表わされる化合物と付活剤としてCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびMnからなる群より選ばれる1種以上とを含む蛍光体である。前記組成式においてm=1およびn=1の場合の一つである組成式(M1 1-aEua)M2(M3 2-2yPyAly)O6(式中のM1はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上であり、M2はMgおよびZnからなる群より選ばれる1種以上であり、M3はSiおよびGeからなる群より選ばれる1種以上である。)で表される蛍光体がさらに好ましい。ここで、aは0.001以上0.5以下の範囲が好ましく、yは0を超え0.1以下の範囲が好ましい。aまたはyがこの範囲を超える場合は、真空紫外線励起による蛍光体の輝度が低くなるおそれがある。さらに前記一般式で表されるケイ酸塩またはゲルマン酸塩蛍光体の中でも、ディオプサイド(Diopside、透輝石)と同じ結晶構造を有する蛍光体が好ましい。M2としてはMg、M3としてはSiが好ましいので一般式(M1 1-bEub)Mg(Si2-2zPzAlz)O6で表される化合物からなる蛍光体がさらに好ましい。ここで、bは0.001以上0.5以下の範囲が好ましく、zは0を超え0.1以下の範囲が好ましい。bまたはzがこの範囲を超える場合は、真空紫外線励起による蛍光体の輝度が低くなる傾向がある。
【0008】
本発明の蛍光体の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、上記組成式に示された金属元素の化合物を混合して焼成することにより製造することができる。
本発明の蛍光体を製造するための原料となるカルシウム源、ストロンチウム源、バリウム源としては、高純度(99%以上)の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩など高温で分解して酸化物になりうるものか高純度(99%以上の)の酸化物が通常使用される。
マグネシウム源、亜鉛源となる原料としては、高純度(99%以上)の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩など高温で分解して酸化物になりうるものか高純度(99%以上)の酸化物が使用できる。
ケイ素源、ゲルマニウム源となるとなる原料としては、高純度(99%以上)の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩など高温で分解して酸化物になりうるものか高純度(99%以上)の酸化物が使用できる。リン源としては、高温で分解して酸化物になりうるリン酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウムなどのリン化合物か高純度(99%以上の)の酸化物が使用できる。
さらに、カルシウム源とリン源として第2リン酸カルシウム、アルミニウム源とリン源としてリン酸アルミニウムなどの複合酸化物も使用できる。
【0009】
付活剤となるCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbまたはMnを含む化合物としては、例えば高純度(99%以上)の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩など高温で分解して酸化物になりうるものかまたは高純度(99%以上)の酸化物が使用できる。
【0010】
上記原料を所定の組成となるように秤量して混合する。混合には、通常工業的に用いられているボールミル、V型混合機、または攪拌装置等を用いることができる。
【0011】
混合した後、例えば1000℃以上1500℃以下の温度範囲にて1から100時間焼成することにより本発明の蛍光体が得られる。原料に水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩など高温で分解して酸化物になりうるものを使用した場合には、本焼成の前に、例えば600℃から900℃の温度範囲にて仮焼することも可能である。焼成雰囲気としては、特に限定されるものではないが、例えば水素を0.1から10体積%含む窒素やアルゴン等の還元性雰囲気で焼成することが好ましい。さらに還元性の強い雰囲気で焼成するために適量の炭素を添加して焼成してもよい。仮焼の雰囲気は大気雰囲気、還元性雰囲気のいずれでもよい。また、焼成反応を促進するために適量のフラックスを添加してもよい。
【0012】
さらに上記方法にて得られる蛍光体は、例えばボールミル、ジェットミル等を用いて粉砕解砕することもできる。また、洗浄、分級することもできる。さらに得られる蛍光体は、例えば結晶性を高めるために再焼成することもできる。
【0013】
以上のようにして得られる本発明の蛍光体は、真空紫外線励起によって高い輝度が得られるため、PDPおよび希ガスランプなどの真空紫外線励起発光素子に好適である。
【0014】
本発明の真空紫外線励起発光表示素子用蛍光体を用いるPDPの作製方法としては、例えば、特開平10−195428号公報に開示されているような公知の方法が使用できる。すなわち、青色、緑色、赤色発光用のそれぞれの真空紫外線励起発光素子用蛍光体を、例えば、セルロース系化合物、ポリビニルアルコールのような高分子化合物および有機溶媒からなるバインダーと混合して蛍光物質ペーストを調製する。本発明の背面基板の内面の、隔壁で仕切られアドレス電極を備えたストライプ状の基板表面と隔壁面に、蛍光体ペーストまたは蛍光物質ペーストをスクリーン印刷などの方法によって塗布し、300〜600℃の温度範囲で焼成し、それぞれの蛍光体層を形成させる。これに、蛍光体層と直交する方向の透明電極およびバス電極を備え、内面に誘電体層と保護層を設けた表面ガラス基板を重ねて接着する。内部を排気して低圧のXeやNe等の希ガスを封入し、放電空間を形成させることにより、PDPを作製することができる。
【0015】
本発明によって得られる真空紫外励起発光素子用の蛍光体を例えばPDPなどの真空紫外励起発光素子に用いると、高い発光輝度を有する素子を製造することができる。
【0016】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0017】
比較例1
炭酸カルシウムCaCO3、酸化ユーロピウムEu2O3、水酸化マグネシウムMg(OH)2、酸化珪素SiO2各原料をCaCO3:Eu2O3:Mg(OH)2:SiO2のモル比が0.98:0.01:1:2になるように配合、混合した後に2体積%H2含有Ar気流中で1200℃の温度で4時間焼成した。ここで得られた1回焼成品をメノウ乳鉢で粉砕し、再度2体積%H2含有Ar気流中で1200℃の温度で2時間焼成を行った。このようにして、組成式がCa0.98Eu0.02MgSi2O6で表される蛍光体を得た。この蛍光体についてX線回折により結晶構造を調べた結果、ディオプサイド(Diopside、透輝石)と同じ結晶構造であった。この蛍光体に、6.7Pa(5×10-2Torr)以下の真空槽内で、得られた蛍光体にエキシマ146nmランプ(ウシオ電機社製、H0012型)を用いて真空紫外線を照射したところ、青色の発光を示し、得られた輝度を100とした。
【0018】
実施例1
炭酸カルシウムCaCO3、酸化ユーロピウムEu2O3、水酸化マグネシウムMg(OH)2、酸化珪素SiO2、リン酸アルミニウムAlPO4各原料をCaCO3:Eu2O3:Mg(OH)2:SiO2:AlPO4のモル比が0.98:0.01:1:1.9:0.05になるように配合、混合した後に2体積%H2含有Ar気流中で1200℃の温度で4時間焼成した。ここで得られた1回焼成品をメノウ乳鉢で粉砕し、再度2体積%H2含有Ar気流中で1200℃の温度で2時間焼成を行った。このようにして、組成式がCa0.98Eu0.02MgSi1.9Al0.05P0.05O6で表される蛍光体を得た。この蛍光体について、X線回折により結晶構造を調べた結果、ディオプサイド(Diopside、透輝石)と同じ結晶構造であった。この蛍光体に、6.7Pa(5×10-2Torr)以下の真空槽内で、得られた蛍光体にエキシマ146nmランプ(ウシオ電機社製、H0012型)を用いて真空紫外線を照射したところ、青色の強い発光を示した。また、この蛍光体の輝度は、比較例1の輝度に対して210であった。
【0019】
比較例2
比較例1と同様にして製造した蛍光体に、6.7Pa(5×10-2Torr)以下の真空槽内で、得られた蛍光体にエキシマ172nmランプ(ウシオ電機社製、H0016型)を用いて真空紫外線を照射したところ、青色の発光を示し、得られた輝度を100とした。
【0020】
実施例2
実施例1と同様にして製造した蛍光体に、6.7Pa(5×10-2Torr)以下の真空槽内で、得られた蛍光体にエキシマ172nmランプ(ウシオ電機社製、H0016型)を用いて真空紫外線を照射したところ、青色の強い発光を示した。また、この蛍光体の輝度は、比較例2の輝度に対して200であった。
【0021】
【発明の効果】
本発明の蛍光体は真空紫外線励起による発光の輝度が高く、特にPDPや希ガスランプなどの真空紫外線励起発光素子用に好適であり、高輝度の真空紫外線励起発光素子が実現できるので工業的に極めて有用である。
Claims (5)
- 組成式mM1O・nM2O・(M3 2-2xPxAlx)O4(式中のM1はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上であり、M2はMgおよびZnからなる群より選ばれる1種以上であり、M3はSiおよびGeからなる群より選ばれる1種以上であり、m=1、n=1であり、xは0を超え0.2以下である。)で表わされる化合物と付活剤としてCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびMnからなる群より選ばれる1種以上とを含有してなることを特徴とする真空紫外線励起発光素子用の蛍光体。
- 組成式(M1 1-aEua)M2(M3 2-2yPyAly)O6(式中のM1、M2およびM3は前記と同じ意味を有する。aは0.001以上0.5以下であり、yは0を超え0.1以下である。)で表される化合物からなる請求項1に記載の真空紫外線励起発光素子用の蛍光体。
- 結晶構造がディオプサイド(Diopside、透輝石)と同じである請求項1または2記載の真空紫外線励起発光素子用の蛍光体。
- M2がMgでありM3がSiである請求項1〜3のいずれかに記載の蛍光体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の蛍光体を含んでなることを特徴とする真空紫外線励起発光素子。
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