JP2004115659A - 真空紫外線励起発光素子用の蛍光体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式M1 2M2O4(式中のM1はMg、Ca、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上であり、M2はSiおよびGeからなる群より選ばれる1種以上である。)により表される化合物に付活剤としてLn(Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびMnからなる群より選ばれる1種以上)が含有されてなる真空紫外線励起発光素子用の蛍光体。一般式(Mx 1−aEua)MgSiO4(式中のM1はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上であり、aは0.001以上0.5以下である。)で表される化合物からなる前記記載の蛍光体。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下「PDP」という。)および希ガスランプなどの真空紫外線励起発光素子に好適な蛍光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
蛍光体はPDPや希ガスランプなどの真空紫外線励起発光素子に用いられている。真空紫外線によって励起して発光させる蛍光体はすでに知られている。例えば、ケイ酸塩蛍光体としては、Zn2SiO4:Mnが緑色蛍光体として、また例えば、アルミン酸塩蛍光体としては、BaMgAl10O17:Euが青色蛍光体として、BaAl12O19:Mnが緑色蛍光体として、また例えば、ホウ酸塩蛍光体としては、(Y,Gd)BO3:Euが赤色蛍光体として実用化されている。しかしながら、これら真空紫外線励起発光素子用の蛍光体にはさらなる輝度の向上が望まれている。
【0003】
そこで、真空紫外線励起発光素子用の蛍光体として、CaMgSi2O6:Euにより表わされるケイ酸塩蛍光体が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)が、輝度は十分ではなかった。
【0004】
【非特許文献1】
「イクステンディッド・アブストラクツ・オブ・ザ・シックスス・インターナショナル・コンファランス・オン・ザ・サイエンス・アンド・テクノロジー・オブ・ディスプレイ・フォスファーズ(Extended abstracts of the sixth international conference on the science and technology of display phosphors)」,(米国),ソサエティ フォア インフォメーション ディスプレイ(Society for information display),2000年11月6日,p.21−24
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の蛍光体より一層輝度の高い真空紫外線励起発光素子用の蛍光体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、斯かる状況下、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の組成を有するケイ酸塩および/またはゲルマン酸塩に付活剤が含有されてなる蛍光体が真空紫外線励起発光素子用として高い輝度を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、一般式M1 2M2O4(式中のM1はMg、Ca、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上であり、M2はSiおよびGeからなる群より選ばれる1種以上である。)により表される化合物に付活剤としてLn(Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびMnからなる群より選ばれる1種以上)が含有されてなる真空紫外線励起発光素子用の蛍光体を提供する。また本発明は、前記記載の蛍光体を含有してなる真空紫外線励起発光素子を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳しく説明する。
本発明の真空紫外線励起発光素子用の蛍光体は、一般式
M1 2M2O4 (I)
(式中のM1、M2は前記と同じ意味を有する。)により表される化合物に付活剤としてCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびMnからなる群より選ばれる1種以上であるLnが含有されてなる蛍光体である。M1、M2がそれぞれ上記の元素以外の元素である場合、または付活剤Lnが上記以外の元素である場合は、真空紫外線励起によって従来の蛍光体より一層高い輝度を示す蛍光体とならない。
【0009】
一般式(I)において、M1がMx(Ca、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上)とMgからなり、一般式
MxMgM2O4 (II)
(M2は前記と同じ意味を有する。)により表される化合物に付活剤としてLn(Lnは前記と同じ意味を有する。)が含有されてなる蛍光体が、真空紫外線励起により高い輝度を示すので、好ましい。
【0010】
付活剤Lnとしては、EuとMnから選ばれる1種以上である場合において、蛍光体が、真空紫外線励起により高い輝度を示すので好ましい。
【0011】
また前記一般式(II)において、M2がSiであり、付活剤LnがEuであり、一般式
(Mx 1−aEua)MgSiO4 (III)
(式中のMxは前記と同じ意味を有する。)で表される化合物からなる蛍光体が真空紫外線励起発光素子用としてさらに好ましい。aは0.001以上0.5以下の範囲がより好ましく、0.01以上0.2以下の範囲がさらに好ましい。
【0012】
次に本発明の蛍光体を製造する方法について説明する。
本発明の蛍光体の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、所定の金属化合物の混合物を焼成することにより製造することができる。所定の金属化合物の混合物は、焼成により一般式M1 2M2O4(式中のM1、M2は前記と同じ意味を有する。)により表される化合物に付活剤としてLn(Lnは前記と同じ意味を有する。)が含有されてなる蛍光体になりうる混合物である。
【0013】
例えば、本発明の蛍光体の例として、組成式Ca0.95Eu0.05MgSiO4で表される蛍光体を挙げると、該蛍光体は、CaCO3、Eu2O3、MgO、SiO2をCa:Eu:Mg:Siのモル比が0.95:0.05:1:1になるように秤量して混合した後、大気中で例えば1200℃で焼成することにより製造することができる。
【0014】
本発明の蛍光体を製造するためのカルシウム化合物、ストロンチウム化合物、バリウム化合物、マグネシウム化合物、ケイ素化合物、ゲルマニウム化合物としては、高純度(99%以上)の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩など高温で分解し酸化物になりうるものかまたは高純度(99%以上)の酸化物が使用できる。
【0015】
付活剤となるセリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、マンガンを含む化合物としては、高純度(99%以上)の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩など高温で分解し酸化物になりうるものかまたは高純度(99%以上)の酸化物が使用できる。
【0016】
これらの化合物の混合には、通常工業的に用いられているボールミル、V型混合機、攪拌装置等を用いることができる。
【0017】
混合した後、例えば900℃以上1500℃以下の温度範囲にて1〜100時間保持して焼成することにより本発明の蛍光体が得られる。金属化合物として水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩など高温で分解し酸化物になりうるものを用いた場合、これらの化合物を酸化物としたり水分を除去するために、焼成の前に、例えば600℃以上900℃未満の温度範囲にて仮焼することもできる。
【0018】
焼成雰囲気としては、特に限定されるものではなく、窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気;空気、酸素、酸素含有アルゴン、酸素含有窒素などの酸化性雰囲気;水素含有窒素、水素含有アルゴンなどの還元性雰囲気のいずれも用いることができる。付活剤としてEuおよび/またはMnを用いる場合は、例えば、窒素やアルゴン等に水素を0.1〜10体積%含有させた還元性雰囲気で焼成することが好ましい。また仮焼の雰囲気は、不活性雰囲気、酸化性雰囲気、還元性雰囲気のいずれでもよい。また、結晶性を高めるために、適量のフラックスを金属化合物に添加してもよい。
【0019】
さらに上記方法にて得られる蛍光体を、例えばボールミル、ジェットミル等を用いて粉砕することができる。また、洗浄、分級することができる。得られる蛍光体の結晶性を高めるために、再焼成を行うこともできる。
【0020】
以上のようにして得られる本発明の蛍光体は真空紫外線励起により、すなわち200nmより短い波長の紫外線の励起により、高い輝度を示し、PDPおよび希ガスランプなどの真空紫外線励起発光素子に好適である。
【0021】
ここで、本発明の蛍光体を用いてなる真空紫外線励起発光素子の例としてPDPを挙げ、その製造方法について説明する。PDPの製造方法としては、例えば、特開平10−195428号公報に開示されているような公知の方法が使用できる。すなわち、青色、緑色、赤色発光用のそれぞれの真空紫外線励起発光素子用の蛍光体を、例えば、セルロース系化合物、ポリビニルアルコールのような高分子化合物からなるバインダーおよび有機溶媒と混合して蛍光体ペーストを調製する。この蛍光体ペーストをスクリーン印刷などの方法によって背面基板の内面の隔壁で仕切られアドレス電極を備えたストライプ状の基板表面と隔壁面に塗布した後、300〜600℃の温度範囲で熱処理し、それぞれの蛍光体層を形成させる。これに、蛍光体層と直交する方向の透明電極およびバス電極を備え、内面に誘電体層と保護層を設けた表面ガラス基板を重ねて接着する。内部を排気して低圧のXeやNe等の希ガスを封入し、放電空間を形成させることにより、PDPを製造することができる。
【0022】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0023】
比較例1
炭酸カルシウム(和光純薬工業(株)製、CaCO3)、酸化ユーロピウム(信越化学工業(株)製、Eu2O3)、炭酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、MgCO3)、酸化珪素(和光純薬工業(株)製、SiO2)各々をCaCO3:MgCO3:Eu2O3:SiO2のモル比が0.97:1:0.015:2になるように秤量し、混合した後、2体積%H2含有Ar雰囲気中で1400℃の温度で2時間保持して焼成した。このようにして、組成式が(Ca0.97Eu0.03)MgSi2O6で表される蛍光体を得た。この蛍光体に、6.7Pa(5×10−2Torr)以下の真空槽内で、得られた蛍光体にエキシマ146nmランプ(ウシオ電機社製、H0012型)を用いて紫外線を照射したところ、青色の発光を示し、得られた輝度を100とした。
【0024】
実施例1
組成式がCa0.95Eu0.05MgSiO4で表される化合物からなる蛍光体を得るべく、炭酸カルシウム(和光純薬工業(株)製、CaCO3)、酸化ユーロピウム(信越化学工業(株)製、Eu2O3)、塩基性炭酸マグネシウム(和光純薬工業(株)製、(MgCO3)4Mg(OH)2・5H2O)、酸化珪素(和光純薬工業(株)製、SiO2)各々をCaCO3:Eu2O3:(MgCO3)4Mg(OH)2・5H2O:SiO2のモル比が0.95:0.025:0.2:1になるように秤量、混合した後、H2を2体積%含有するAr雰囲気中において、1200℃の温度で2時間保持して焼成した。空気の圧力が6.7Pa(5×10−2Torr)以下の真空槽内で、得られた蛍光体にエキシマ146nmランプ(ウシオ電機社製、H0012型)を用いて真空紫外線を照射したところ、比較例1に比べ相対輝度115の青色発光を示した。
【0025】
【発明の効果】
本発明の蛍光体は真空紫外線励起による輝度が従来の蛍光体より一層高く、特にPDPや希ガスランプなどの真空紫外線励起発光素子用に好適であり、高輝度の真空紫外線励起発光素子が実現できるので、工業的に極めて有用である。
Claims (5)
- 一般式M1 2M2O4(式中のM1はMg、Ca、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上であり、M2はSiおよびGeからなる群より選ばれる1種以上である。)により表される化合物に、付活剤としてLn(Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびMnからなる群より選ばれる1種以上)が含有されてなることを特徴とする真空紫外線励起発光素子用の蛍光体。
- 一般式M1 2M2O4により表される化合物が、該一般式においてM1がMx(Ca、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上)とMgからなり、一般式MxMgM2O4(M2は前記と同じ意味を有する。)により表される化合物である請求項1記載の蛍光体。
- LnがEuおよびMnからなる群より選ばれる1種以上である請求項1または2に記載の蛍光体。
- 一般式(Mx 1−aEua)MgSiO4(式中のMxは前記と同じ意味を有し、aは0.001以上0.5以下である。)により表される化合物からなる請求項1〜3のいずれかに記載の蛍光体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の蛍光体を含有してなることを特徴とする真空紫外線励起発光素子。
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JP2002281219A JP2004115659A (ja) | 2002-09-26 | 2002-09-26 | 真空紫外線励起発光素子用の蛍光体 |
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JP2007231165A (ja) * | 2006-03-01 | 2007-09-13 | Canon Inc | 緑色蛍光体及びその製造方法 |
JP2009541521A (ja) * | 2006-06-21 | 2009-11-26 | テジュ エレクトロニック マテリアルズ カンパニー リミテッド | 白色発光ダイオード用ツリウム含有蛍光物質及びその製造方法 |
US8920676B2 (en) | 2005-09-30 | 2014-12-30 | The Regents Of The University Of California | Cerium based phosphor materials for solid-state lighting applications |
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