JP3994607B2 - 空気調和方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、室内の空気調和を行う空気調和方法および空気調和装置および空気調和装置の制御方法に関し、特に外気を積極的に導入して、外気の状態に応じて最適な運転を行い、新鮮外気による健康と、外気の温度と湿度を利用したエネルギー消費の低減を図るものに関する。
【0002】
【従来の技術】
室内空気を新鮮な外気と換気する換気型の空気調和装置として、例えば特開平8−145432号公報に示されたものがある。図22はこの従来の空気調和機を示す構成図であり、111は空気調和機であり、天井に埋め込まれて設置されている室内ユニット1と室外に設置されている室外ユニットを有する。室内ユニット1は部屋2の天井等に埋設され、横流ファン等よりなる室内ファン5と室内熱交換器3等を内蔵している。そして室内に対面している化粧パネルに、室内熱交換器3の上流側と下流側において吸込みグリル80と吹出しグリル90とをそれぞれ開口させている。また、室内熱交換器3の上流側通風路には換気ファン100を介装している換気ダクト110を接続しており、この換気ファン100のオンオフ制御と、これに連動して開閉するダンパによって、換気ダクト110の先端開口より外気を選択的に導入する外気導入機構を構成している。
【0003】
次に動作について説明する。室内ユニット1は、その内部に室温を検出する室温センサ190と、マイクロプロセッサ等よりなる室内制御器とを内蔵している。そして、空調運転が自動運転モードの時、室内制御器は、室温センサ190により検出された室温検出値と、外気温センサ191により検出された外気温検出値とをそれぞれ読み込み、両検出値に応じて暖房や冷房、ドライ送風、単なる送風、運転停止などの適切な運転モードを自動的に選択すると共に、室温検出値をリモコンなどで設定された室温設定値にするために必要な運転指令周波数信号を例えばマイクロプロセッサ等よりなる室外制御器に与えるように動作している。この場合には外気温の変動に応じて適切な運転モードの種類を自動的に選択することで、季節の中間期などに新鮮な外気を室内ユニット1内に直接導入し、その外気を単に室内に送風することにより冷房し、消費電力の節減を図っている。
また、室内制御器はリモートコントローラー等により換気運転が選択された時に、オン信号を換気ファン100と換気ダクト110のダンパに与えて動作せしめ、新鮮な外気を室内ユニット1内へ導入するように動作する。この外気を導入する場合には、外気温検出値、室温検出値、外気導入量、室内への送風量に基づいて室温を補正し、導入した外気の温度変動に応じた適切な空調能力に制御するように図っている。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の空気調和装置は、自動運転モードの時には室内温度と外気温度に応じて適切な運転モードに設定するもので、外気導入の制御が外気温度と室内温度に応じて行われている。この時の運転モードの切換えは、例えば室内温度より外気温度が低い場合には送風によって冷房されると記載されている。即ち自動運転モードでの外気導入の時には、室内熱交換器3での冷媒との熱交換は行わず、送風のみの動作となっている。また、換気運転が要求された時には、外気導入と共に室内熱交換器3での冷媒との熱交換が行われるのであるが、この際外気温度で室内温度を補正し、この補正温度に応じて空調能力を制御している。
このような従来の空気調和装置では、外気温度と室内温度だけで外気の導入の制御が行なわれており、例えば、室内温度より外気温度が低くかつ室内湿度より外気湿度が高い場合に外気を導入すると、室内の湿度が上がってしまい、その湿度を下げるためには空気調和装置で無駄な仕事が行われることになるという問題があった。
また、外気を積極的に導入するのは、例えば冷房の場合に外気温度が室内温度よりも低い時に送風として利用しているだけであった。ところが梅雨の時期などで外気温度が室内温度よりも高くても外気湿度が室内湿度よりも低い場合には、低湿の外気を導入して室内を快適空間とすることに利用できるなど、もっと外気を積極的に利用してエネルギーの有効利用を図ることができる。
また、湿度に関係なく温度のみで空調能力の制御を行うため、特に梅雨などの湿度の高い時期には快適な室内空間を得ることができなかった。
また、換気ファンがオンオフ制御であるため、風量が固定してしまい、外気の状態によっては空気調和装置に無駄な仕事をさせることとなる。即ち、省エネルギーの観点からは無駄な仕事が行われるという問題点があった。
【0005】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間が得られるように空気調和を行うことができる空気調和方法を得ることを目的とするものである。
また、外気を積極的に利用する際の空気調和装置の動作および制御に際し、空気温度と共に空気湿度を関連させて制御し、快適な室内空間が得られるように空気調和を行うことができる空気調和方法を得ることを目的とするものである。
また、外気導入量を空調目標に最適な量とし、無駄な仕事をすることなく省エネルギー化を実現できる空気調和方法を得ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る空気調和方法は、空気調和装置で室内空気を冷房または暖房することで前記室内空気の温度または湿度を関連して変化させ、目標値である温度および湿度に接近するように室内の空気調和を行うステップと、外気の導入量を調整し得る外気導入手段で前記外気を室内に導入するステップと、を備え、外気のエンタルピーが室内空気のエンタルピーよりも小さく、かつ前記外気の温度と湿度が前記室内空気の温度と湿度から目標値である温度と湿度への変化の延長線よりも低温側である場合に、前記外気と前記室内空気を混合した混合空気の温度と湿度から前記目標値である温度と湿度へ接近させる際の、温度の変化量に対する湿度の変化量が大きくなるように外気の導入量を調整することを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に係る空気調和方法は、空気調和装置で室内空気を冷房または暖房することで前記室内空気の温度または湿度を関連して変化させ、目標値である温度および湿度に接近するように室内の空気調和を行うステップと、外気の導入量を調整し得る外気導入手段で前記外気を室内に導入するステップと、を備え、外気のエンタルピーが室内空気のエンタルピーよりも小さく、かつ前記外気の温度と湿度が前記室内空気の温度と湿度から目標値である温度と湿度への変化の延長線よりも低湿側である場合に、前記外気と前記室内空気を混合した混合空気の温度と湿度から前記目標値である温度と湿度へ接近させる際の、温度の変化量に対する湿度の変化量が小さくなるように外気の導入量を調整することを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に係る空気調和方法は、外気のエンタルピーが室内空気のエンタルピーよりも大きい場合に外気導入手段を閉止して外気の導入量を最小にすることを特徴とするものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1による空気調和方法および空気調和装置および空気調和装置の制御方法について説明する。図1は本発明の実施の形態1に係る空気調和装置を示す全体構成図であり、図2は、冷熱または温熱を得るための既存のエネルギー効率の高い蒸気圧縮式冷凍サイクルの構成の一例を示す冷媒回路図である。
本発明は、室内空気の温度または湿度を、目標値である温度および湿度に接近するように空気調和を行って室内空気を冷房または暖房する空気調和装置で、新鮮な室外空気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間が得られるように空気調和を行うものである。特に、外気を積極的に利用する際の空気調和装置の動作および制御に際し、空気温度と共に空気湿度を考慮することを特徴としている。この空気温度と空気湿度を関連させながら制御する際の基本となるものは、一般によく知られている湿り空気線図である。以下、この湿り空気線図について簡単に記載する。
図3は、文献(「冷凍および空気調和」第17版、昭和62年4月20日、養賢堂発行)の第199頁に記載されている湿り空気線図の骨子を示す図である。湿り空気線図は一般の空気である湿り空気の状態を示す図で、湿り空気のエンタルピiと絶対湿度xを斜交軸にとり、その上に多くの一定線を描いたもので、大気圧が760mmHgのときのものである。乾球温度を一定とすればiとxとは直線関係で表すことができ、等温度線(t線)は直線となる。等エンタルピー線(i線)がx線となす角度は、iとxとのメモリを適当に選んでt=0℃の線がx線に直交するように定めてある。曲線Hは飽和線と称するもので、相対湿度が100%のときの絶対湿度と温度を示している。この飽和線から右の領域では水蒸気は過熱蒸気の状態にあり、空気の温度が下がって過熱蒸気が冷却されると、飽和線にいたって凝縮をはじめることが解る。このように湿り空気線図では湿り空気の状態変化を簡単に知ることができるので、これに基づいて実際に検知した外気状態と室内空気状態から、外気を積極的に室内に導入して室内の空気調和に効果的に利用する。
【0034】
図1において、1は部屋の壁面に取り付けられた空気調和装置の室内ユニット、2は空調の対象となる部屋で以下では室内と称する。また、3は室内熱交換器、4は加熱手段、5は室内ファン、6は外気を室内の例えば室内ユニット1内に導入する外気導入手段であり、例えば部屋の壁面に貫通された開口に取り付けられ、外気を吸入するファン16と外気導入口開閉機構としてダンパ17を有する。室内ユニット1には室内熱交換器3、加熱手段4、室内ファン5、外気導入手段6を内蔵している。
加熱手段4は、本実施の形態では例えばヒータであり、図1に示すように室内熱交換器3の出口と室内ファン5の入口の間の空気流路に配設されている。室内熱交換器3の下流側の空気流路に設けられたヒータ4によって、室内熱交換器3で熱交換された空気の温度が低すぎる場合にその空気を加熱する。また外気導入手段6は、所定の時間間隔でダンパ17の開閉を行ったり、電気的にダンパ17の開度を段階的または連続的に変えて調節したり、ファン16の回転数を変化させてファンの速度を変えることで、外気導入量を可変に調整制御できる。
【0035】
また、7は冷媒配管、8は室外ユニットで、室外ユニット8で得た冷熱または温熱を冷媒配管7で室内熱交換器3に輸送する。ここでは例えば冷媒配管7、室外ユニット8、室内熱交換器3を含めて蒸気圧縮式冷凍サイクルで構成している。
【0036】
図2に示すように、室外ユニット8には、圧縮機21、流路切換手段である四方弁22、室外熱交換器23、室外ファン24、減圧手段である膨張弁25などが格納され、室外ユニット8と室内熱交換器3は冷媒配管7で接続されている。冷媒としては例えばHCFC冷媒であるR22を冷媒配管内に循環させる。
以下、この蒸気圧縮式冷凍サイクルで室内熱交換器3において室内の冷房を行う場合の冷媒流通の動作について説明する。室内を冷房する場合には室外熱交換器23を凝縮器、室内熱交換器3を蒸発器として動作させ、四方弁22は実線のように接続する。
圧縮機21で圧縮された高圧ガス冷媒は、圧縮機21の吐出口から四方弁22を介して室外熱交換器23へ流通し、ここで室外ファン24で吹きつけられる外気に放熱する。そして冷媒は凝縮し、高圧液冷媒となって室外熱交換器23から流出する。その後膨張弁25へ流通して断熱膨張され、低圧二相冷媒となる。さらに低圧二相冷媒は冷媒配管7を循環して室内熱交換器3へ流通し、ここで採熱して蒸発する際に室内空気と熱交換することによって室内を冷房する。そして冷媒は、室内熱交換器3から低圧ガス冷媒となって流出した後、冷媒配管7を通って室外ユニット8に流通し、四方弁22を介して圧縮機21の吸入口へと戻る。このような動作によって室内熱交換器3では冷熱が得られる。
この室内熱交換器3での冷媒の蒸発温度と室内空気の温度および湿度によって、室内空気の温度および湿度変化量が決まるのであるが、空気調和装置それぞれの構成や冷凍サイクルの能力によって、冷媒の蒸発温度には実現し得る温度の許容範囲がある。一般的に空気調和を行うための冷凍サイクルでは各機器の耐熱性や露対策などから蒸発温度の下限を10℃程度とし、この温度以上で信頼性のよい運転を行う。
【0037】
また、室内熱交換器3によって室内の暖房を行う場合の運転時の冷媒流通の動作について説明する。室内を暖房する場合には室外熱交換器23を蒸発器、室内熱交換器3を凝縮器として動作させ、四方弁22は冷房運転での冷媒回路を切換えて点線のように接続する。
圧縮機21で圧縮された高圧ガス冷媒は、圧縮機21の吐出口から四方弁22を介して冷媒配管7を通って室内ユニット1の室内熱交換器3へ流通し、ここで放熱して凝縮する際に室内空気と熱交換することによって室内を暖房する。そして冷媒は、室内熱交換器3から高圧液冷媒となって流出し、室外ユニット8の膨張弁25で断熱膨張されて低圧二相冷媒となり室外熱交換器23へ流入する。さらに冷媒は室外熱交換器23で室外ファン24によって吹きつけられる外気から採熱して蒸発し、低圧ガス冷媒となって流出した後、四方弁22を介して圧縮機21の吸入口へと戻る。このような動作によって室内熱交換器3で温熱が得られる。
【0038】
また、図1に示した空気調和装置には、外気、室内空気の空気状態を検知する手段が設けられている。9は室内空気温度検知手段、10は室内空気湿度検知手段で、それぞれ例えば室内ユニット1での室内空気の取込口に設けられており、室内2から室内ユニット1に取込まれた室内空気であるリターン空気の温度を室内空気温度検知手段9で検知し、室内2から室内ユニット1に取込まれた室内空気であるリターン空気の湿度を室内空気湿度検知手段10で検知する。11は外気温度検知手段、12は外気湿度検知手段で、それぞれ例えば室外で外気導入手段6への吸気口周辺に設けられており、外気温度検知手段11で室内ユニット1に取込まれる外気の温度を検知し、外気湿度検知手段12で室内ユニット1に取込まれる外気の湿度を検知する。13は吹出し空気温度検知手段、14は吹出し空気湿度検知手段で、それぞれ例えば室内ユニット1から室内への空気吹出口に設けられており、吹出し空気温度検知手段13で室内ユニット1から室内2へ吹出す空気の温度を検知し、吹出し空気湿度検知手段14で室内ユニット1から室内2へ吹出す空気の湿度を検知する。また、室内熱交換器3の冷媒配管に設けた室内熱交換器配管温度検知手段18によって例えば冷媒の蒸発温度を計測している。
また、15は室内ユニット1内に設けた電子箱で、例えば1つまたは複数のマイクロプロセッサが格納され、室内空調負荷検知手段と運転動作設定手段と外気量制御手段と運転動作制御手段の動作を行う。この動作については後で詳しく述べる。
【0039】
図4は、本実施の形態による空気調和装置に係わる室内熱交換器3付近の空気の流れを示す説明図である。ここで、Tは温度[℃]、Xは絶対湿度[kg/kg’]、Vは風量[m3 /h]を表している。
外気OA(温度TOA、湿度XOA、風量VOA)が室内ユニット1の吸込み側に導入され、リターン空気RA(温度TRA、湿度XRA、風量VRA)と混合されて吸込み空気KA(温度TKA、湿度XKA、風量VRA+VOA)として室内熱交換器3に流入している。室内熱交換器3には熱輸送手段である冷媒配管7を通る冷媒によって、温熱または冷熱が輸送され、室内熱交換器3内の冷媒配管の周囲を空気が流れる際に熱交換される。室内熱交換器3で蒸発温度ET[℃]の冷媒と熱交換した吸込み空気KAは、その温度または湿度の少なくともどちらか一方が変化し、場合によってはヒータ4で加熱されてまたはそのままの温度で室内ユニット1から吹出し空気SA(温度TSA、湿度XSA、風量VRA+VOA)として室内に流出する。この吹出し空気SAは室内2を循環する間に室内負荷の顕熱SH[kcal/h]、即ち温度を変化させるものと、潜熱LH[kcal/h]、即ち絶対湿度を変化させるものとによって、負荷を受けて再びリターン空気RAとなり、外気OAと混ざって室内熱交換器3に流入する。
【0040】
ここで、室内熱交換器3で熱交換して流出してくる空気を出口側空気と称し、吹出し空気とは室内ユニット1から室内2に吹出される空気のことで、例えばヒータ4を備えこれで加熱している場合には出口側空気と吹出し空気の温度は異なる。
また、室内は通常密閉されているわけではなく、余分な室内空気は部屋の隙間や排気口などから自然に室外へ流出する。その場合には室内2は加圧となるため、隣接している他の部屋からの匂いや塵埃などが流入するのを防止できる。また、外気を導入すると共に室内空気を換気扇などで機械的に排出するように部屋2を構成してもよい。その場合には室内圧のバランスを保つことができ、外気の導入もスムーズかつ確実に行うことができる。
【0041】
さらに、電子箱15のマイクロプロセッサには図5のブロック図に示すように、室内空調負荷検知手段31と運転動作設定手段32と外気量制御手段33と運転動作制御手段34がソフトウェアプログラムとして格納されている。
室内空調負荷検知手段31は室内空調負荷QLを検知するもので、例えばリターン空気の温度TRAとリターン空気の湿度XRAからリターン空気のエンタルピーiRAを求め、同様に吹出し空気の温度TSAと吹出し空気の湿度XSAから吹出し空気のエンタルピーiSAを求め、下記に示す式1に基づいて、室内空調負荷QL(SH、LH)、QL=SH+LHを検知する。例えば冷房時には室内空調負荷QLは式1によって演算で求められる。
QL = (VRA+VOA)・ρ・(iRA−iSA) …(1)
VRA :リターン空気風量
VOA :外気風量
ρ :密度
iRA :リターン空気のエンタルピ−
iSA :吹出し空気のエンタルピー
【0042】
運転動作設定手段32は外気温度検知手段11および外気湿度検知手段12で検知した外気状態として外気温度および外気湿度(TOA、XOA)、室内空気温度検知手段9および室内空気湿度検知手段10で検知した室内空気状態としてリターン空気温度およびリターン空気湿度(TRA、XRA)、室内のリモートコントロールスイッチなどで設定されている目標室内空気状態として目標室内空気温度および目標室内空気湿度(Tt、Xt)、室内空調負荷検知手段31で検知した室内空調負荷QLなどを入力し、外気導入量VOAと空調能力Qeおよび蒸発温度ET、必要に応じて加熱手段であるヒータ4の加熱量W、室内熱交換器3を通過する空気の総風量VRA+VOAなどの情報を設定する。外気導入量VOAは、例えばリターン空気の風量VRAと外気の風量VOAの混合比x:y(x+y=1)を考慮して設定する。このときの設定の仕方は、後でフローチャートを基に詳しく記載する。また、吸込み空気と吹出し空気との温度および湿度の変化を示す制御ベクトルから室内熱交換器3を流れる冷媒の蒸発温度ETと空調能力Qeが設定される。
【0043】
外気量制御手段33は、運転動作設定手段32で設定された外気導入量VOAになるように外気導入手段6の動作を制御する。具体的には、外気導入口開閉機構として例えばダンパ17の開閉制御、開度制御、または外気導入手段6に備えられているファン16の回転数を制御することで外気導入量を可変にできる。外気導入量は、例えばリターン空気RAと外気OAの給気量の比率x:yとして設定され、この比率になるように外気導入手段6での外気導入量VOAと室内ユニット1からの総風量VRA+VOAとを制御する。
このとき、外気を総風量の100%、即ち外気のみを室内ユニット1に吸込む場合には、例えば外気導入手段のファン16を最大の高速運転、室内ファン5を超微風の低速運転とすることで、外気を100%の割合で室内に取り込むことができる。外気の取り込み量が100%以下の時には、外気導入量と室内ユニットから吹出す総風量を調整することで、余分な室内空気は部屋の隙間から自然に室外へ流出し、総風量に対する外気の割合を制御できる。室内ユニット1から吹出す総風量は、室内ファン5の回転数を変化させて制御できる。
【0044】
運転動作制御手段34は、運転動作設定手段32で設定された空調能力Qeと蒸発温度ETになるように熱輸送手段である冷凍サイクルの動作を制御して、室内熱交換器3での所望の冷媒温度ETと空調能力Qeを得る。冷凍サイクルの動作は、具体的には室内側では室内ファン5の回転数制御であり、室外側では膨張弁25の開度制御や圧縮機21の周波数制御や室外ファン24の回転数制御などである。さらに設定された運転動作がヒータ4による加熱を含むとき、ヒータ4のオン/オフ制御を行う。
下記に示す式2は冷凍サイクルの動作を制御する方法の一例として、冷凍サイクルの目標空調能力変更量ΔQe*と冷媒の目標蒸発温度変更量ΔET*から、圧縮機周波数変更量Δfzと室内ファン5の回転数変更量ΔNiを求める式である。この式の係数a,b,c,dは、実験データや理論値を加味して予めシュミレーションで求めてデータとして記憶させておけばよい。
この制御は一般に行われているVPM(vector pattern maching)制御であり、圧縮機の周波数fz、室内ファンの回転数Ni、空調能力Qe、蒸発温度ETの増加または減少の関係を示している。例えば周波数を上げると(Δfz>0)、空調能力は増加し(ΔQe*>0)、蒸発温度は下がる(ΔET*<0)。また、例えば室内ファンの回転数を上げると(ΔNi>0)、空調能力は増加し(ΔQe*>0)、蒸発温度は上がる(ΔET*>0)。
【0045】
【数1】
【0046】
上記の室内空調負荷検知手段31、運転動作設定手段32、外気量制御手段33、運転動作制御手段は34のそれぞれは、コンピュータプログラムとして全て1つのマイクロプロセッサに内蔵されていてもよいし、それぞれ別のマイクロプロセッサに内蔵されていてもよい。
【0047】
本実施の形態の特徴は、外気と室内空気の温度および湿度を検知し、湿り空気線図に基づいて外気を室内の空気調和に利用できる場合には外気導入手段6によって積極的に外気を室内に導入することにある。
【0048】
図6は、湿り空気線図上において、空気調和装置で室内空気の冷却および除湿を行った場合の室内空気の空気状態の変化の一例を示す説明図である。この図は前記の一般的な湿り空気線図を示すもので、縦軸は絶対湿度X[kg/kg´]、横軸は乾球温度T[℃]を示す。空気状態は、温度と湿度から湿り空気線図上では1点で表わされるが、ここではこの空気状態をその空気の温湿度と称する。
外気温度検知手段11と外気湿度検知手段12で検知した外気温度と外気湿度から外気エンタルピーを算出し、室内温度検知手段9と室内湿度検知手段10で検知したリターン空気温度とリターン空気湿度からリターン空気エンタルピーを算出する。そして、外気エンタルピーとリターン空気エンタルピーとを比較し、外気エンタルピーの方がリターン空気エンタルピーよりも小さい場合には、外気導入手段6から外気(外気温湿度OA)を導入する。なお、本実施の形態において外気を導入するかどうかは、エンタルピーと利用者の換気要求によって決まるのであるが、ここでは外気を導入した場合の基本的な室内空気の温湿度の変化の様子について説明する。
【0049】
室内2から室内ユニット1に導入されるリターン空気(リターン空気温湿度RA)と外気(外気温湿度OA)が混合する混合空気である吸込み空気温湿度KAは、リターン空気温湿度RAと外気温湿度OAを結ぶ直線上の温湿度となり、外気の導入量に応じてその温湿度は変化する。リターン空気の給気量:外気の給気量=x:yとなるように外気を導入して吸込み空気温湿度KAとなった混合空気は、室内熱交換器3で冷媒と熱交換することにより冷却除湿される。室内熱交換器3の蒸発温度(室内熱交換器配管温度検知手段18で計測される冷媒配管の温度即ち管温)がETであるときには吸込み空気温湿度KAと蒸発温度ETを結ぶ直線上にある温湿度の空気、例えば空気温湿度SAが室内熱交換器3の出口側空気として流出される。
本実施の形態では室内熱交換器3の空気の出口側の空気流路にヒータ4を設けており、室内熱交換器3で除湿を行うために空気を冷却しすぎた場合には、このヒータ4で暖めることができる。ヒータ4を通過した空気は、吹出し空気(吹出し空気温湿度SA)となって室内ユニット1から室内へ吹出される。この後、室内ユニット1から吹出した空気には室内空調負荷QL(SH、LH)が加わり、再び室内ユニット1にリターン空気(リターン空気温湿度RA)として取り込まれる。なお、このリターン空気温湿度RAは初めのリターン空気温湿度とは多少状態が変化し、目標室内空気温湿度tに近づいているはずである。
【0050】
ここで、初期運転で外気を導入せずにリターン空気のみを吸込み空気とし、冷媒の蒸発温度ETで運転したとき、吹出し空気温度と吹出し空気湿度から算出される吹出し空気エンタルピーと、リターン空気温度とリターン空気湿度から算出されるリターン空気のエンタルピー、即ち吸込み側のリターン空気エンタルピーとから室内空調負荷QLが推定される。この室内負荷のx軸方向変化分が顕熱負荷SHであり、y軸方向変化分が潜熱負荷LHである。
【0051】
最終的には、リターン空気温湿度RAを目標室内空気温湿度tとするために、目標室内空気温湿度tと室内空調負荷QLから目標吹出し空気温湿度SA*が算出される。そして、空調能力Qeをできるだけ小さくしながら、この目標吹出し温湿度SA*を実現するように、吸込み空気温湿度KA、目標蒸発温度ET*を決定する。吸込み空気温湿度KAが決定されることで、室内2から室内ユニット1に取り込まれるリターン空気温湿度RAと外気温湿度OAの混合比が決定され、外気導入量が決定される。この外気導入量の制御は、外気導入手段6にて外気導入量を制御する。例えば蒸発温度ET*で目標吹出し温湿度SA*を実現するために、外気温湿度OAとリターン空気温湿度RAを混合して吸込み空気温湿度KAとする場合、室内熱交換器3への吸込み空気の総量(室内ユニットから室内へ吹出す総風量と一致)に対する外気導入量の割合は、
で得られる。またこのときの蒸発温度ET*、空調能力Qeに従って冷凍サイクルを運転制御する。
ここで、空調能力Qeをできるだけ小さくしているので、空気調和装置への入力を最小にでき、省エネルギーとなる。
【0052】
ここで室内熱交換器3前後の空気状態を考え、吸込み空気温湿度KAの吸込み空気が室内熱交換器3に流入し、室内熱交換器3内で冷媒配管の外部を流れるあいだに、冷媒配管内を流れる蒸発温度ET*の冷媒と熱交換して、出口側空気温湿度SAとして室内熱交換器3から流出するとする。湿り空気線図上では、温湿度KAの点と飽和線上の温度ET*である点とを結ぶ直線上の点の温湿度SAの空気が室内熱交換器3の出口側空気として流出する。逆に言えば、温湿度KAの吸込み空気を室内熱交換器3に流入して温湿度SAの出口側空気を流出させたい場合には、湿り空気線図上で温湿度KAから温湿度SAへ変化するように、制御ベクトルの長さである空調能力と、制御ベクトルを延長した直線と飽和線が交わる点の温度の冷媒を室内熱交換器3に循環させればよい。
本実施の形態では室内熱交換器3での運転動作を制御しやすくするため、目標室内空気温湿度tと室内空調負荷QLから吹出し空気の目標である目標吹出し空気温湿度SA*を設定し、室内熱交換器3からの吹出し空気温湿度が目標吹出し空気温湿度SA*に接近するように制御する。
【0053】
ただし、実現できる制御ベクトルの傾きには限界があり、冷凍サイクルの顕熱比(SHF)の許容範囲内、SHFmin≦SHF≦SHFmax(最大1)でなければならない。ここで、顕熱比(SHF)とは、式3で表わされ、空気の温度を下げるために使われる全熱量Q[kcal/h](顕熱+潜熱)のうち、気体のH2Oを液体H2Oに凝縮させるのに使われる熱量QLH[kcal/h](潜熱)を差し引いたものの割合である。
SHF=(Q−QLH)/Q =顕熱/(顕熱+潜熱) …(3)
従って、SHFmaxでの運転は高顕熱運転、SHFminでの運転は最大除湿運転となる。例えば、除湿量が0ならSHF=1(高顕熱運転)であり、室温を全く下げないで除湿だけできればSHF=0(最大除湿運転)である。実際には除湿能力には限界があり、湿り空気線図で言えば、制御ベクトルの延長線と飽和線とが交わらない場合、除湿能力の限界を越えており、実現できない状態である。即ち、湿り空気線図上で室内熱交換器3への吸込み空気温湿度KAと出口側空気温湿度SAとを結ぶ直線を延長したとき、この直線と飽和線とが交差しない。このときには冷媒と熱交換しても室内熱交換器3の出口側では温湿度SAの空気は得られないことになる。また前にも記載したが一般的に空気調和を行うための冷凍サイクルでは各機器の耐熱性や露対策などから蒸発温度の下限を10℃程度とすることで、SHFの下限が制限されることもある。
【0054】
本実施の形態による空気調和装置において、外気を積極的に導入して効果的に利用し、快適な室内空間を得るための運転方法の基本的な考え方についてここで記載する。
リターン空気温湿度RAと外気温湿度OAを混合した混合空気である吸込み空気温湿度KAは、吸込み空気温湿度KAと目標吹出し空気温湿度SA*のエンタルピー差が小さくなるように選ぶ。
吸込み空気温湿度KAから目標吹出し空気温湿度SA*への制御ベクトルの傾きが、冷凍サイクルの顕熱比(SHF)の許容範囲内で、上記1.のエンタルピー差の小さいものを選ぶ。
冷凍サイクルの最大除湿運転SHFminでも除湿が足りず制御ベクトルを実現できない時には、目標吹出し空気の温度を下げて湿度は満足するように運転し、室内熱交換器3から流出する出口側空気を加熱手段で加熱して目標吹出し空気温湿度SA*になるように制御する。即ち、目標吹出し空気の湿度となるように室内熱交換器3の冷媒温度を設定し、室内熱交換器3でその温度の冷媒と熱交換した出口側空気が目標吹出し空気の温度よりも低温である場合に目標吹出し空気の温度まで加熱する。
【0055】
上記の考え方の1.でエンタルピー差ができるだけ小さくなるように設定しているので、空気調和装置の圧縮機21や室外ファン24や室内ファン5などへの入力の総和を最小にでき、無駄な動作を行うことなく省エネルギーとなる。
さらに、上記の考え方の3.で加熱手段を用いる場合には、室内熱交換器で熱交換した空気を加熱手段で加熱する場合、室内熱交換器3での冷媒温度を得るための熱輸送能力と加熱量とのエネルギー総量が小さくなるように外気導入量を設定し、省エネルギーを図って運転制御を行う。即ち、空調能力Qeとヒータ4での入力エネルギーの総量が小さくなるように運転制御する。
【0056】
このために、外気を室内の空気調和に利用できるかどうかの判断や、その判断に基づいて運転動作を設定するものが運転動作設定手段32で行う運転動作設定ステップであり、この設定に従い、外気導入量制御手段33と運転動作制御手段34で行う運転制御ステップによって実際に空気調和装置の各機器を動作させる。
本実施の形態では、湿り空気線図上で外気状態に応じて3つの領域に分け、それぞれの領域に対して処理し、外気導入量と空調能力と加熱量を設定する。図7は湿り空気線図での各ゾーンの領域を示す説明図、図8は外気状態による外気利用方法のゾーン分けの部分の処理手順を示すフローチャートである。図7に示すように、リターン空気温湿度RAと、目標吹出し空気温湿度SA*と、外気温湿度OAx(x=1〜3)の状態により外気をどう使うかについて、3つのゾーンに分けられる。ゾーン▲1▼は、リターン空気温湿度RAを通る等エンタルピー線(直線A)よりも上の領域で、外気温湿度OA1がリターン空気温湿度RAより高エンタルピーのときである。ゾーン▲2▼は、外気温湿度OA2がリターン空気温湿度RAより低エンタルピー、かつ、リターン空気温湿度RAと目標吹き出し温湿度SA*を結ぶ線(直線B)より低温側の領域である。ゾーン▲3▼は、外気温湿度OA3がリターン空気温湿度RAより低エンタルピー、かつ、RAとSA*を結ぶ線(直線B)より低湿側の領域である。
【0057】
図8のフローチャートでは、室内温度検知手段9と室内湿度検知手段10で検知したリターン空気の温度と湿度からリターン空気温湿度RAとリターン空気エンタルピーを算出し(ST1、ST2:室内空気温湿度検知ステップ)、外気温度検知手段11と外気湿度検知手段12で検知した外気の温度と湿度から外気温湿度OAと外気エンタルピーを算出する(ST3、ST4:外気温湿度検知ステップ)。次に目標温度および目標湿度から目標室内空気温湿度を算出する(ST5:目標室内空気温湿度設定ステップ)。次にST6(室内空調負荷検知ステップ)では、リターン空気温湿度RAと予め検知した室内空調負荷QLとから目標吹出し空気温湿度SA*を設定する。
ST7で外気エンタルピーとリターン空気エンタルピーとを比較し、外気エンタルピーの方がリターン空気エンタルピーよりも大きい場合には、ゾーン▲1▼の運転となる(ST9)。ST7で外気エンタルピーとリターン空気エンタルピーとを比較した結果、外気エンタルピーの方がリターン空気エンタルピーよりも小さいまたは同じ場合には、リターン空気温湿度RAと目標吹出し空気温湿度SA*を結ぶ直線Bを引き、外気温湿度OAがこの直線Bの上側か下側になるかを判断する(ST8)。外気温湿度OAが、直線Bの上側即ちリターン空気温湿度RAより低温側の領域にあるときにはゾーン▲2▼(ST10)、直線Bの下側即ちリターン空気温湿度RAより低湿側の領域にあるときにはゾーン▲3▼(ST11)とする。
【0058】
実際には例えば平面上で2つの点の位置関係を知るにはその2点の外積を計算してその結果の符合で判断できる。外積とは、2つのベクトル、C(c1,c2)、D(d1、d2)において、
C x D = c1xd2 − d1xc2
の式で算出できる。これを利用して、外気温湿度OAが3つのどのゾーンに位置しているかを簡単に知ることができる。なお、C,Dはベクトルであり、大きさと方向を有する量である。
【0059】
次に、3つの領域のそれぞれにおける外気導入量と空調能力と加熱量を設定する処理について説明する。
図9は外気温湿度OA1がゾーン▲1▼の領域、即ち外気温湿度OA1がリターン空気温湿度RAより高エンタルピーであるときの処理手順を示すフローチャートである。この場合には、外気を導入することにより、空調負荷が増加してしまうため、省エネルギー効果を重視する場合は外気を導入しない。例えばダンパ17を閉止し、ファン16を停止することで、外気導入手段6を閉止して室内からのリターン空気のみを循環させる。ただし、利用者の要求などにより換気が必要な場合には外気を導入してもよい。また、外気を導入しないように設定しても、実際には壁の隙間などで外気導入量が0にならない場合もあり、外気導入手段6で外気導入量が最小になるように運転すればよい。
【0060】
処理フローでは、ST21で換気が要求されているかどうかを判断し、換気が要求されている場合には、外気導入量を換気のための所定量、例えば外気導入手段6のダンパ17を全開としたりファン16の回転を高速にする(ST22)。そして室内熱交換器3の吸込み空気温湿度KAはリターン空気と外気が混合された混合空気の温湿度を設定する(ST23)。一方、換気が要求されていない場合には、外気導入手段6を閉として外気導入量を0とし(ST24)、室内熱交換器3の吸込み空気温湿度KAはリターン空気温湿度RAを設定する(ST25)。ST26では、制御ベクトルが実現できるかどうか、即ち冷凍サイクルのSHFの許容範囲かどうかを判断している。吸込み空気温湿度KAと目標吹出し空気温湿度SA*への制御ベクトルの延長線が飽和線と交差し蒸発温度の許容範囲内であれば、ST27の処理を行う。ST27では、湿り空気線図上で、吸込み空気温湿度KAと目標吹出し空気温湿度SA*から空調能力を決定する制御ベクトルを設定する。即ち吸込み空気温湿度KAと目標吹出し空気温湿度SA*を結ぶベクトルを設定すると共に、このベクトルの延長線と飽和線の交点の温度を室内熱交換器3の冷媒温度とする。ST26の判断で、制御ベクトルの延長線が飽和線と交差しない場合には許容範囲外であり、ST28でSHFmin運転で室内熱交換器3から目標湿度と同レベルの湿度の出口側空気を流出し、ヒータ4で目標温度にまで加熱して目標吹出し空気温湿度SA*を得るように空調能力や冷媒温度やヒータの加熱量を設定する。
ST61(運転制御ステップ)は、外気量制御手段33によって設定された外気量の外気を室内ユニット1に導入し、運転動作制御手段34によって設定された制御ベクトルに基づいて冷凍サイクルを運転する。また必要に応じてヒータ4を動作させる。実際には、圧縮機21の運転周波数、膨張弁25の開度、室内ファン5および室外ファン24の回転数、ヒータ4、外気導入手段6など、空気調和装置を構成する各機器部品が運転される。
ST21〜ST28、ST61を一定時間、例えば1分程度のサイクルで繰り返すことで、室内の空気状態は徐々に目標室内空気温湿度tになり、室内2の空気調和が行われる。
【0061】
ゾーン▲2▼は、リターン空気温湿度RAより低エンタルピー、かつ、リターン空気温湿度RAと目標吹出し空気温湿度SA*を結ぶ線Bより低温側の領域、即ち直線Bより上側の領域であり、外気温湿度OA2がこのゾーン▲2▼に存在するときの制御について説明する。
このゾーン▲2▼の領域は言いかえれば、外気エンタルピーがリターン空気エンタルピーよりも小さく、かつ外気の温度がリターン空気の温度よりも低い領域のうちで、外気とリターン空気の温度差に対する湿度差の変化率が、目標吹出し空気とリターン空気の温度差に対する湿度差の変化率よりも大きくなる外気温湿度を除く領域である。
外気がゾーン▲2▼にあるときには外気の低温特性を利用して、外気を導入して主に室内空気の温度低下に利用し、冷凍サイクルを用いて室内熱交換器3での冷媒との熱交換によって主に室内空気の湿度を低下させる制御を行う。外気で下げる温度が足りない場合には、冷凍サイクルで温度を下げる。
【0062】
図10は外気温湿度OA2がゾーン▲2▼の領域にあるときの処理手順を示すフローチャートであり、図11と図12はそれぞれ制御ベクトルの決め方を示す説明図である。
ST31で、リターン空気温湿度RAと目標吹出し空気温湿度SA*とを結んで延長した線が飽和線と交わるかどうか、即ちこの延長線が許容範囲の冷媒温度を示す飽和線に至るかどうかを判断し、交わる場合の制御ベクトルの決め方をST32、ST33、図11で示している。この場合には除湿能力が最大である顕熱比SHFminで運転するように混合空気の温湿度KA2を設定し、吸込み空気温湿度KAとする(ST32)。
外気を導入して室内空気と混合した吸込み空気の温湿度は、外気温湿度OA2とリターン空気温湿度RA間で外気の導入量に応じて温度と湿度とが関連して変化し、図11に示すように湿り空気線図でOA2とRAとを結ぶ直線上の温湿度になる。そこでこのOA2−RA上の点と、目標吹出し空気温湿度SA*と、飽和線上の許容範囲内の蒸発温度とを結ぶ制御ベクトルを考慮し、除湿能力が最大、即ち温度の変化に対する湿度の変化の大きい制御ベクトルを選択すると、吸込み空気温湿度はKA2となる。このとき、RAとOA2の内分点KA2の比率で外気導入量を設定し(ST33)、その後ST39の処理を行う。
【0063】
ここで、温度の変化量に対する湿度の変化量の大きい制御ベクトルを選択するということは、吸込み空気の温度が目標吹出し空気の温度に接近するように、または制御ベクトルの傾斜が大きくなるように選択することで、このとき外気の低温特性を最大限に利用することになる。
【0064】
ST31で飽和線と交わらなかった場合の制御ベクトルの決め方を、ST34〜ST38、図12で示している。
この場合にはリターン空気温湿度RAから目標吹出し空気温湿度SA*への延長線が許容範囲の冷媒温度を示す飽和線から外れた場合であり、リターン空気温湿度RAから目標吹出し空気温湿度SA*へ直接冷却除湿することができないため、冷凍サイクルのSHFの許容範囲内で冷却除湿を行なう。即ちOA2とRAを含むOA2−RA上の点と、目標吹出し空気温湿度SA*の湿度と同レベルの湿度(SA*を通り、x軸に平行な線上)と、飽和線上の許容範囲内の蒸発温度とを結んで制御ベクトルとして冷凍サイクルを運転し、冷却しすぎた場合にヒータ4によって室内熱交換器3から流出する出口側空気を加熱し、目標吹出し空気温湿度SA*を得る。
このとき省エネルギーを重視する場合には、リターン空気温湿度RAを冷却して再熱するときと、外気温湿度OA2を冷却して再熱するときにおいて、空気調和装置への入力である空調能力と再熱時のヒータ4への入力の和を比較して、入力エネルギー総量が少ない方で運転する。
ここで外気導入量が吸込み空気量の0%または100%に設定されることになるが、例えば外気導入量を0%または100%に設定しても実際には外気導入手段6の構成または設置状態によって完全に0%または100%にならないこともある。この場合には、外気導入手段6で外気を導入できる最小または最大になるように運転すればよい。
【0065】
処理フローではST34でリターン空気温湿度RAを冷却除湿して再熱し目標吹出し空気温湿度SA*とするときの空調能力とヒータ4への入力エネルギーを計算してE(RA)とし、ST35で外気OA2を冷却除湿して再熱し目標吹出し空気温湿度SA*とするときの空調能力とヒータ4への入力エネルギーを計算してE(OA2)とする。ST36でE(RA)とE(OA2)を比較して、ST37、ST38で入力エネルギー総量の小さい方を選択し、外気導入量(0または100%:最小または最大)を設定すると共に、吸込み空気温湿度KA、ヒータ入力量などを設定する。
【0066】
ST39では吸込み空気温湿度KAと目標吹出し温湿度SA*から運転制御を決定する制御ベクトルを得る。ST61(運転制御ステップ)は、外気量制御手段33と運転動作制御手段34で、決定した制御ベクトルに基づいて冷凍サイクルを運転する。また、必要に応じて加熱を行う。実際には、圧縮機の運転周波数、室内および室外ファンの回転数、ヒータ4の入力、外気導入量に応じて、空気調和装置を構成する各機器部品が運転される。
ST31〜ST39、ST61を一定時間、例えば1分程度のサイクルで繰り返すことで、室内の空気状態は徐々に目標室内空気温湿度tになり、室内2の空気調和が行われる。
【0067】
ゾーン▲3▼は、リターン空気温湿度RAより低エンタルピー、かつ、リターン空気温湿度RAと目標吹出し空気温湿度SA*を結ぶ線Bより低湿側の領域、即ち直線Bより下側の領域であり、外気温湿度OA3がこのゾーン▲3▼に存在するときの制御について説明する。
このゾーン▲3▼の領域は言いかえれば、外気エンタルピーがリターン空気エンタルピーよりも小さく、かつ外気の湿度がリターン空気の湿度よりも低い領域のうちで、外気とリターン空気の温度に対する湿度の変化率が、目標吹出し空気とリターン空気の温度に対する湿度の変化率よりも小さくなる外気温湿度を除く領域である。
外気がゾーン▲3▼にあるときには外気の低湿特性を利用して、外気を導入して主に室内空気の湿度低下に利用し、冷凍サイクルを用いて室内熱交換器3での冷媒との熱交換によって主に室内空気の温度を低下させる制御を行う。外気で下げる湿度が足りない場合には、冷凍サイクルで湿度を下げる。
【0068】
図13は外気温湿度OA3がゾーン▲3▼の領域にあるときの処理手順を示すフローチャートであり、図14と図15と図16はそれぞれ制御ベクトルの決め方を示す説明図である。
この場合に吸込み空気温湿度KAは外気温湿度OA3と同一の時が最もエンタルピーが小さい。そこでST41で、外気温湿度OA3と目標吹出し空気温湿度SA*とを結んで延長した線が飽和線と交わるかどうか、即ちこの延長線が許容範囲の冷媒温度を示す飽和線に至るかどうかを判断し、交わる場合の制御ベクトルの決め方をST42〜ST45、図14、図15で示している。この場合には外気の低湿特性を利用し、冷凍サイクルは顕熱比SHFmaxで運転するように設定する。外気を導入して室内空気と混合した吸込み空気の温湿度は、外気温湿度OA3とリターン空気温湿度RA間で外気の導入量に応じて温度と湿度とが関連して変化し、図14,図15に示す湿り空気線図でOA3とRAとを結ぶ直線上の温湿度になる。そこでこのOA3−RA上の点と、目標吹出し空気温湿度SA*と、飽和線上の許容範囲内の蒸発温度とを結ぶ制御ベクトルを考慮し、除湿能力が最小、即ち温度の変化に対する湿度の変化の小さい制御ベクトルを選択すると、図14の場合にはOA3、図15の場合にはSA*と同じ湿度であるKA3が吸込み空気温湿度KAとなる。
【0069】
処理フローでは、ST42で外気の絶対湿度と目標吹出し空気の絶対湿度とを比較し、外気の絶対湿度の方が大きい場合には、図14に示すように外気導入量を100%とし、吸込み空気温湿度KAに外気温湿度OA3を設定する(ST43)。このとき外気導入量を実際に100%にできない場合には、外気導入手段6で導入できる最大導入量とする。ST42の比較で目標吹出し空気の絶対湿度のほうが外気よりも大きい場合には、図15に示すように、顕熱比SHFmax、この場合にはほぼ1となる温湿度KA3を吸込み空気温湿度KAに設定する(ST44)。このときRAとOA3の内分点KA3の比率で外気導入量を設定し(ST45)、その後ST51の処理を行う。
【0070】
ここで、温度の変化量に対する湿度の変化量の小さい制御ベクトルを選択するということは、吸込み空気の湿度が目標吹出し空気の湿度に接近するように、または制御ベクトルの傾斜が小さくなるように選択することで、このとき外気の低湿特性を最大限に利用することになる。
【0071】
ST41で飽和線と交わらなかった場合の制御ベクトルの決め方を、ST46〜ST50、図16で示している。
この場合には外気温湿度OA3から目標吹出し空気温湿度SA*への延長線が許容範囲の冷媒温度を示す飽和線から外れた場合であり、外気温湿度OA3から目標吹出し空気温湿度SA*へ直接冷却除湿することができないため、冷凍サイクルのSHFの許容範囲内で冷却除湿を行なう。即ちOA3とRAを含むOA3−RA上の点と、目標吹出し空気温湿度SA*の湿度と同レベルの湿度(SA*を通り、x軸に平行な線上)と、飽和線上の許容範囲内の蒸発温度とを結んで制御ベクトルとして冷凍サイクルを運転し、冷却しすぎた場合にヒータ4によって室内熱交換器3から流出する出口側空気を加熱し、目標吹出し空気温湿度SA*を得る。
このとき省エネルギーを重視する場合には、リターン空気温湿度RAを冷却して再熱するときと、外気温湿度OA3を冷却して再熱するときにおいて、空気調和装置への入力である空調能力と再熱時のヒータ4への入力の和を比較して、入力エネルギー総量が少ない方で運転する。
【0072】
処理フローではST46でリターン空気温湿度RAを冷却除湿して再熱し目標吹出し空気温湿度SA*とするときの空調能力とヒータ4への入力エネルギーを計算してE(RA)とし、ST47で外気OA3を冷却除湿して再熱し目標吹出し空気温湿度SA*とするときの空調能力とヒータ4への入力エネルギーを計算してE(OA3)とする。ST48でE(RA)とE(OA3)を比較して、ST49、ST50で入力エネルギー総量の小さい方を選択し、外気導入量(0または100%:最小または最大)を設定すると共に、吸込み空気温湿度KA、ヒータ入力量などを設定する。
【0073】
ST51では吸込み空気温湿度KAと目標吹出し温湿度SA*から運転制御を決定する制御ベクトルを得る。ST61(運転制御ステップ)は、外気量制御手段33と運転動作制御手段34で、決定した制御ベクトルに基づいて冷凍サイクルを運転する。また必要に応じて加熱を行う。実際には、圧縮機の運転周波数、室内および室外ファンの回転数、ヒータ4の入力、外気導入量に応じて、空気調和装置を構成する各機器部品が運転される。
ST41〜ST51、ST61を一定時間、例えば1分程度のサイクルで繰り返すことで、室内の空気状態は徐々に目標室内空気温湿度tになり、室内2の空気調和が行われる。
【0074】
上記では、ゾーン▲1▼とそれ以外のゾーン▲2▼、ゾーン▲3▼とで外気を導入するかしないかに分けられる。一方のゾーン▲1▼の場合には外気エンタルピーがリターン空気エンタルピーよりも大きいので、外気を導入しないで冷凍サイクルで空調を行い、他方のゾーン▲2▼、▲3▼の場合には外気エンタルピーがリターン空気エンタルピーよりも小さいので、外気をできるだけ導入して室内空調に利用している。
また、ゾーン▲2▼とゾーン▲3▼とで冷凍サイクルの空調能力で除湿能力の大きい運転を行うか高顕熱運転を行うかに分けられる。一方のゾーン▲2▼の場合には外気の低温特性を利用して冷凍サイクルは除湿能力の大きい運転を行う。他方のゾーン▲3▼の場合には外気の低湿特性を利用して冷凍サイクルは高顕熱運転を行う。
このように外気の温湿度状態でゾーンに分け、それぞれに適した制御を設定することで、外気導入量を空調目標に最適な量とし、無駄な仕事をすることなく、外気を最大限に利用し、省エネルギー化を図ることができる。
【0075】
以上のように、室外の空気状態に応じて外気を積極的に導入して効果的に空気調和に利用し、かつ、空気調和装置が熱処理する空気のエネルギーを最小限に制御するため、新鮮外気を導入しつつ、省エネルギーを実現することができる。
特に外気や室内空気の温度だけでなく湿度も共に考慮して細かい制御を行っているので、さらに快適な室内空間を得ることができる。また、温度と湿度を関連して変化させながら制御しつつ目標の室内空気状態に接近させるので、より速く目標の室内空間が得られ、省エネルギー化を図ることができる。
また、新鮮な外気で室内の空気を新鮮に保つことで、質的にも良好な室内空気を確保でき、室内の人または動植物の健康状態にも良い影響をもたらすと期待できる。
【0076】
省エネルギー効果の一例として、外気温湿度がゾーン▲2▼で低温高湿の場合、外気の低温を利用して室内を冷却し、冷凍サイクルで最大除湿運転を行うとしたときの負荷について概算してみる。通常6月に頻度が高く現れる外気温21℃、絶対湿度12g/kg(相対湿度77%程度)の場合で、8畳程度の室内の目標室内温湿度を26℃、12.8g/kg(相対湿度60%程度)でこの室内に人が2名いるとする。顕熱比SHFminとなるのは、リターン空気と外気の導入比率が0.65:0.35の時で、エンタルピーによる負荷比率(吸込み空気と目標吹出し空気のエンタルピー差)/(リターン空気と目標吹出し空気のエンタルピー差)は、0.5となる。即ち、本実施の形態のように外気を積極的に導入、例えば室内ユニットの総風量の35%の分だけ外気を導入して空気調和を行った場合、従来のように外気を導入しないで室内からのリターン空気のみを吸込み空気として循環させて空気調和を行う場合の半分のエネルギーで空気調和できる。
【0077】
上記では、省エネルギー重視運転の場合の制御を説明したが、所定の換気量が必要な場合には、その換気量を確保した上で、同様の制御を行うことも可能である。
また、ヒータ4は必ずしも必要ではなく、特に備えていなくてもよい。この場合冷凍サイクルの最大除湿運転SHFminでも除湿が足りず制御ベクトルを実現できない時には、目標吹出し空気の湿度を上げて温度は満足するように運転し、室内熱交換器3から流出する出口側空気を除湿する除湿手段を設けて目標吹出し空気温湿度SA*になるように制御することもできる。
さらに加熱手段4は室内ユニット1の内部に設けていなくてもよく、室内熱交換器3の下流側の空気流路、即ち室内熱交換器3から流出する空気の出口と目標室内空気温湿度としたい領域、例えば人の居住領域の間の空気流路を流れる空気を加熱する位置にあればよい。
【0078】
外気導入手段6のファン16は必ずしも備えていなくてもよく、少なくともダクト17のような外気導入口開閉機構を備えていれば、導入量を調整し得る外気導入手段6が構成される。
また、外気導入手段6の外気導入口の全面に外気処理フィルターを設けて、外気に混入している花粉やちりやほこりなどが室内に取り込まれるのを防止すると、室内空間をさらに健康的で快適に保つことができる。
また、この外気処理フィルターとして、その少なくとも一部を悪臭などを吸着させる材料で構成すると、ごみ収集日などに外気に混ざっている悪臭が室内に入り込むのを防止できる。
【0079】
また、上記の説明では湿り空気線図を参考に説明してきたが、これは空気状態として温度と湿度を共に把握しやすいために採用したものであり、特に湿り空気線図を使わなくても良いことは当然であり、各物理量はそれぞれ相関関係があるので演算により求めることもできる。また、温度と湿度の関係を図表として予めマイクロプロセッサのメモリに記憶させておいてもよい。
【0080】
本実施の形態において、室内を空気調和する際に制御に関与する空気状態は、リターン空気(RA)、外気(OA)、吸込み空気(KA)、吹出し空気(SA)のそれぞれの温度と湿度であるが、これらの空気状態には互いに関連性がある。このため、これら全ての値を実際に検知しなくても演算で求めてもよい。また他の方法、例えば圧縮機の周波数や蒸発温度や管温やファンの回転速度などの情報から演算によって求めてもよい。
上記説明では、室内空気状態としてリターン空気、吹出し空気、外気の温度と湿度を計測によって検知し、吸込み空気の温度と湿度は計測値を用いて演算して検知している。また、外気の温度と湿度を計測によって検知する代わりに、外気とリターン空気とが混合した吸込み空気の温度と湿度を計測して検知し、この検知値と外気風量VOAとリターン空気風量VRAから外気の温度と湿度を演算してもよい。
さらに、温度は室内の負荷量や風量とも関係しており、これらから間接的に求めることもできる。また、湿度は季節や天候などに左右されたり、室内の空気調和を行う際にそれほど厳密な計測を必要としないこともあり、予め季節の平均湿度を記憶しておいてこのデータを使用したり、他のパラメータから間接的に推測や計算によって検出してもよい。
また、リターン空気と吹出し空気の状態はどちらも計測するように構成すると、室内空調負荷を正確に把握できるのであるが、この室内空調負荷が冷凍サイクルの動作状態などの他の情報から推測できる場合には、リターン空気と吹出し空気のどちらか一方の空気状態を計測によって検知し、他方を推測するようにしてもよい。
【0081】
また、室内空気状態として、リターン空気の温度と湿度を検知したが、リターン空気に限るものではなく吹出し空気や他の室内空間の空気、例えば室内の所定の場所に設けたセンサーでその場所の温度と湿度を検知し、これを用いてもよい。室内の所定の場所の場合には、室内空調負荷を受けている途中の空気状態を検知することになるが、その計測場所からの室内空調負荷を把握していれば、同様に制御できる。
【0082】
実施の形態2.
実施の形態1では蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって温熱または冷熱を室内熱交換器3に供給しているが、本実施の形態は他の構成によって室内熱交換器3に温熱または冷熱を供給するようにしたものである。室外ユニット8または他の場所に熱源装置として例えば蒸気圧縮式の冷凍サイクルを備え、この熱源装置による温熱または冷熱を室内熱交換器3に熱輸送手段によって輸送する構成としたものである。
【0083】
図17は、本実施の形態による熱輸送手段の構成を示す冷媒回路図である。図において、圧縮機21、四方弁22、熱交換器23、ファン24、減圧手段で例えば膨張弁25、熱交換器26を順に冷媒配管で接続して、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成している。この冷凍サイクルを熱源側冷媒サイクルとして用い、さらに利用側冷媒サイクルとして熱交換器26、流体搬送手段であるポンプ27、室内熱交換器3を冷媒配管7で接続した構成とする。この熱源側冷媒サイクルを構成している一方の熱交換器23は気体−液体熱交換器であり、他方の熱交換器26は液体−液体熱交換器、例えば二重管式熱交換器などで構成されている。熱交換器26内で、熱源側冷媒サイクルを循環する例えばR22などの冷媒と、利用側冷媒サイクルを循環する利用側の冷媒、例えば水やエチレングリコールなどの不凍液とが熱交換し、利用側冷媒サイクルの冷媒はポンプ27によって冷媒配管7を通って室内熱交換器3に輸送され、ここで室内の空気調和に利用される。
【0084】
ここでは、利用側冷媒サイクルの冷媒と熱源側冷媒サイクルの冷媒とを分離して、利用側冷媒サイクルには例えば顕熱を利用して熱輸送する冷媒、熱源側冷媒サイクルには例えば潜熱を利用して熱輸送する冷媒というように異なるもので構成している。そして、熱源側にエネルギー効率のよい冷媒を用い、利用側にオゾン層破壊や地球温暖化において使用に問題のない顕熱を利用する冷媒を用いることにより、空気調和装置全体で、エネルギー効率はよいが使用に問題のある冷媒の使用量を極力少なくしている。
また、熱源側冷媒サイクルの冷媒には例えばR290などの可燃性冷媒を用い、利用側冷媒サイクルの冷媒には水や不凍液などの安全な冷媒を用いれば、室内から遠くで火気のない所に熱源側冷媒サイクルを設置でき、より安全性が高まる。
【0085】
もちろん熱源側冷媒サイクルの冷媒として、利用側冷媒サイクルの冷媒と同じもの、即ち、水などの自然冷媒などを用いたり、不凍液例えばエチレングリコール,プロピレングリコール,およびD−ソルビトールのうちのいずれか1つまたは複数を重量比で数十%以下含んだ水溶液を用いてもよい。この場合にはエネルギー効率は低下するが、前述の地球環境保全や取扱の点で全く問題のない空気調和装置を構成できる。
なお、熱源側冷凍サイクルの一方の熱交換器23を気体−液体熱交換器で構成したが、これに限るものではない。
【0086】
また、以下のことは図2および図17に示した熱輸送手段の構成に共通して言えることであるが、空気調和装置に用いる冷媒として、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)冷媒やHFC(ハイドロフルオロカーボン)などのフロン系冷媒、HC(炭化水素系)冷媒、アンモニア冷媒などを用いる。具体的には、例えばHCFC冷媒であるR22やHFC冷媒であるR134aなどの単一冷媒、HFC冷媒であるR410Aなどの擬似共沸混合冷媒、HFC冷媒であるR407Cなどの非共沸混合冷媒、HC冷媒であるプロパンやイソブタン、アンモニアを用いる。
特に、冷凍サイクルを循環する冷媒として、R22より温度勾配の小さい冷媒、例えば、R410A、R407C、R134a、R32、R290などを用いることで、熱交換器での表面温度勾配が小さくなる。このため熱交換器での蒸発温度や凝縮温度を検知する際、温度検知手段の検知値に、その温度検知手段を設置した位置に対するばらつきが少なくなり、精度よく制御できると共に制御しやすくなる。このため、早く目標の室内空気温湿度になるように運転制御でき、省エネルギー効果も奏する。
同様に、冷凍サイクルを循環する冷媒として、R22より圧力損失の少ない冷媒、例えば、R410A、R32、R290などを用いることで、室内負荷検出手段や各検出値の精度が向上し、全体的な制御の精度が向上する。
【0087】
また、冷凍サイクルを循環する冷媒として、R22より高圧冷媒、例えば、R410A、R32などを用いることで、冷凍サイクルを構成する上で高圧側と低圧側の圧力差が低減でき、圧縮機や減圧手段の負担を低減できるので、信頼性を向上でき省エネルギー効果も奏する。
【0088】
実施の形態3.
実施の形態1では外気導入手段6を室内ユニット1と一体に構成し、これによって外気を室内ユニット1内に導入し、室内空気が循環して室内ユニット1内に取り込まれたリターン空気と混合して室内熱交換器3への吸込み空気となる構成であった。本実施の形態では外気導入手段6を室内ユニット1と一体ではなく分離して別々に配設し、外気を室内2に取込む構成としたものである。
【0089】
図18は、本実施の形態による空気調和装置の室内ユニット1近傍の構成を示す部分構成図である。外気導入手段6は室内の例えば壁面に取り付けられており、室外の新鮮な空気を室内に取込むことができる。この外気導入手段6には、外気導入口開閉機構として例えばダンパ17、および外気を吸込むためのファン16を有し、ダンパ17の開閉、または開度を調節、またはファン16の回転速を変化させることで、室内への外気導入量を制御することができる。
また、19は制御信号線であり、室内ユニット1内に設置されている電子箱15内のマイクロプロセッサに接続されている。例えばマイクロプロセッサ内の外気量制御手段33からの制御信号が外気導入手段6に送信され、実際にダンパ17の開閉制御や開度制御やファン16の回転数制御を行う。
【0090】
実施の形態1では外気とリターン空気の混合空気が室内熱交換器3への吸込み空気となって、室内熱交換器3を流れる冷媒と熱交換するのであるが、本実施の形態では、リターン空気のみが吸込み空気となって冷媒と熱交換され、室内ユニット1からの吹出し空気と外気とが混合されることになる。従って本実施の形態では、空調能力を設定する際の制御ベクトルの基点はリターン空気温湿度RAであり、RA−SA*のエンタルピー差ができるだけ最小になるように冷凍サイクルのSHFの許容範囲を考慮しながら、制御ベクトルの終点である目標吹出し空気温湿度SA*を設定する。冷凍サイクルのSHFの許容範囲を考慮しながら温湿度の変化のエンタルピー差をできるだけ最少とする基本的な考え方は実施の形態1と同様である。
本実施の形態では目標吹出し空気温湿度SA*を設定するとき、目標混合空気温湿度を考慮する必要がある。この混合空気は室内の空調負荷が加わった後、室内ユニットにリターン空気として吸込まれるため、目標混合空気温湿度はリモートコントローラなどで利用者などによって設定されている目標室内温湿度と室内空調負荷から設定することができる。
【0091】
本実施の形態のように、外気導入手段6を室内ユニット1と分離して独立に設けた場合には、省エネルギーとなる外気利用範囲は、一体に設けた場合よりも狭くなるが、やはり外気を積極的に利用しない従来の場合と比べて、省エネルギー効果はあり、新鮮な外気を導入することによる健康上への効果も大きい。
【0092】
また、このような構成では、現在広く用いられている室内ユニットからの構成変更が少なく、例えば外気導入手段6へ信号線19によって制御信号を送信するように変更すればよいので、比較的簡単に実現できる。さらに一体ではないので外気導入手段6の部分だけの清掃やメンテナンスなども手軽に行うことができる。
【0093】
さらに、外気導入手段6として室内ユニット1とは独立しているので、この外気導入手段6として従来の換気扇のような作用も兼ね備えたものとすることもできる。即ち、例えばファンを反転させるなどして室内空気を室外へ導出できるように構成すれば、換気機能の大きい空気調和を行うことができる。
【0094】
実施の形態4.
実施の形態1では、加熱手段4としてヒータを有する構成としたが、この加熱手段4は例えば空気を数℃〜20℃程度加熱できるものであればよく、ヒータに限るものではない。本実施の形態に係る加熱手段は一般に再熱方式と称されているものであり、冷媒との熱交換によって空気を加熱するものである。図19は本実施の形態による空気調和装置を示す全体構成図、図20は本実施の形態に係わる冷凍サイクルの一例を示す冷媒回路図である。
図において、3a、3bは2台の室内熱交換器、25a、25bは減圧手段である膨張弁である。
【0095】
実施の形態1における運転制御において、例えば冷房運転の時で外気温湿度がゾーン▲1▼または▲2▼の領域にあり、リターン空気温湿度RAから目標吹出し空気温湿度SA*へのベクトルの延長線が飽和線と交差しない時、または外気温湿度がゾーン▲3▼の領域にあり、外気温湿度OA3から目標吹出し空気温湿度SA*へのベクトルの延長線が飽和線と交差しない時、冷凍サイクルで目標吹出し空気温湿度SA*を実現するのは不可能であった。このとき冷凍サイクルによって湿度は目標と一致させて温度の低い出口側空気とし、この空気を加熱して目標吹出し空気温湿度SA*を実現していた。本実施の形態では、2台の室内熱交換器3a、3bを備え、一方の室内熱交換器3aを凝縮器、他方の室内熱交換器3bを蒸発器として動作させる。蒸発器として動作する室内熱交換器3bを例えば空気流路の上流側に配置し、凝縮器として動作する室内熱交換器3aを例えば空気流路の下流側に配置する。この2台の室内熱交換器3a、3bの間には、膨張弁25bを設けている。
【0096】
以下、図20に示した冷凍サイクルの冷房運転時の動作について説明する。圧縮機21で圧縮された高圧ガス冷媒は、圧縮機21の吐出口から四方弁22を介して室外熱交換器23へ流通し、ここで室外ファン24で吹きつけられる外気に放熱する。そして冷媒は凝縮し、高圧液冷媒となって室外熱交換器23から流出する。その後膨張弁25aで中間圧まで減圧し、一部ガスとなって冷媒配管を流通して室内ユニット1の室内熱交換器3aへ流入する。この室内熱交換器3aで冷媒はさらに凝縮すると共に室内熱交換器3aの冷媒配管の周囲を流れる空気を加熱する。その後室内熱交換器3aから流出した冷媒は膨張弁25bで低圧にまで減圧され、低圧二相冷媒となる。さらに低圧二相冷媒は室内熱交換器3bへ流通し、ここで採熱して蒸発する際に周囲を流れる空気と熱交換することによって室内空気を冷却除湿する。そして冷媒は、室内熱交換器3bから低圧ガス冷媒となって流出した後、冷媒配管7を通って室外ユニット8に流通し、四方弁22を介して圧縮機21の吸入口へと戻る。このような動作によって室内熱交換器3aは加熱手段となり、室内熱交換器3bでは冷熱が得られる。
【0097】
このような再熱方式の加熱手段を用いることで、空気調和装置の冷媒に例えばR290などの可燃性冷媒を用いても、冷媒が燃焼することがなく、安全な空気調和装置とすることができる。
近年、地球環境保全の観点から、オゾン層を破壊せず、温暖化係数も0である冷媒を用いる要求が高まっている。R290はこの条件を満足するものであるが、問題点はその性質が可燃性を有することである。本実施の形態のように構成すれば、新鮮な外気を積極的に効果的に利用でき、省エネルギーであり、健康にも良好で、さらに可燃性を有する冷媒でも安全に使用することができる空気調和装置が得られる。
【0098】
図21は室内ユニット内の熱交換器の配置の一例を示す説明図であり、横長の室内ユニット1の縦断面をみた図である。この室内ユニットは上側と正面側から空気を吸込んで、下から空気を吹出す構成としている。そして、凝縮器として動作する室内熱交換器3aと蒸発器として動作する室内熱交換器3bをそれぞれ2つに分割し、室内ファン5の周囲に配設している。このように構成すれば、室内ユニット1の全体の大きさをコンパクトにでき、1つの室内ファン5で吸込み空気を2台の熱交換器の周囲に流通させ、さらに吹出し空気として室内ユニット1から室内に吹出させることができる。
【0099】
なお、実施の形態1〜実施の形態4のそれぞれの空気調和装置において、冷凍サイクルを用いた場合の圧縮機の潤滑油として、循環している冷媒と相互溶解性の高い相溶油を用いると、圧縮機から潤滑油が流れ出ても冷媒と混ざって再び圧縮機に戻ってくるので、圧縮機の故障を防ぐことができ、圧縮機の信頼性を向上できる。相溶油として、例えばHCFC冷媒に対しては、ナフテン系、パラフィン系、アルキルベンゼン系などの潤滑油が用いられる。また例えば、HFC冷媒に対しては、親水基をもつポリアルキルグリコール系、エーテル系、フッ素油系などの潤滑油が用いられる。
【0100】
また、この圧縮機の潤滑油として、循環している冷媒にはわずかしか溶解しない弱相溶油を用いると、冷凍サイクルを構成する冷媒配管の内側にスラッジがつきにくく、配管内外の温度差が大きくなるのを防ぐことができる。このため温度に基づいた制御の信頼性が向上し、全体的な制御の精度を向上することができる。弱相溶油として、例えばHFC冷媒に対しては、鉱油、アルキルベンゼン系油、HAB油などの潤滑油が用いられる。
【0101】
また、上記では冷房運転を行った時の制御方法について記載したが、暖房運転においても温度と湿度を関連させて制御を行うことで、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができ、室内空気を新鮮に保ち、さらに室内を短い時間で目標の室内空気状態とすることで省エネルギー化を図ることができる。
【0102】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、空気調和装置で室内空気を冷房または暖房することで前記室内空気の温度または湿度を関連して変化させ、目標値である温度および湿度に接近するように室内の空気調和を行うステップと、外気の導入量を調整し得る外気導入手段で前記外気を室内に導入するステップと、を備え、外気のエンタルピーが室内空気のエンタルピーよりも小さく、かつ前記外気の温度と湿度が前記室内空気の温度と湿度から目標値である温度と湿度への変化の延長線よりも低温側である場合に、前記外気と前記室内空気を混合した混合空気の温度と湿度から前記目標値である温度と湿度へ接近させる際の、温度の変化量に対する湿度の変化量が大きくなるように外気の導入量を調整することにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができ、さらに無駄な仕事をすることなく省エネルギー化を実現できる空気調和方法が得られる。
【0103】
また、請求項2に係る発明によれば、空気調和装置で室内空気を冷房または暖房することで前記室内空気の温度または湿度を関連して変化させ、目標値である温度および湿度に接近するように室内の空気調和を行うステップと、外気の導入量を調整し得る外気導入手段で前記外気を室内に導入するステップと、を備え、外気のエンタルピーが室内空気のエンタルピーよりも小さく、かつ前記外気の温度と湿度が前記室内空気の温度と湿度から目標値である温度と湿度への変化の延長線よりも低湿側である場合に、前記外気と前記室内空気を混合した混合空気の温度と湿度から前記目標値である温度と湿度へ接近させる際の、温度の変化量に対する湿度の変化量が小さくなるように外気の導入量を調整することにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができ、さらに無駄な仕事をすることなく省エネルギー化を実現できる空気調和方法が得られる。
【0104】
また、請求項3に係る発明によれば、外気のエンタルピーが室内空気のエンタルピーよりも大きい場合に外気導入手段を閉止して外気の導入量を最小にすることにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができ、さらに無駄な仕事をすることなく省エネルギー化を実現できる空気調和方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1による空気調和装置を示す全体構成図である。
【図2】 実施の形態1に係わる冷凍サイクルを示す冷媒回路図である。
【図3】 一般的な湿り空気線図を示す説明図である。
【図4】 実施の形態1に係わる室内の空気の流れを示す説明図である。
【図5】 実施の形態1に係わる制御の流れを示すブロック図である。
【図6】 実施の形態1に係わり、湿り空気線図で空気状態の変化を示す説明図である。
【図7】 実施の形態1に係わり、湿り空気線図上での外気状態による外気利用方法のゾーン分けを説明する説明図である。
【図8】 実施の形態1に係わり、外気状態による外気利用方法のゾーン分け処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】 実施の形態1に係わる外気状態がゾーン▲1▼である場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】 実施の形態1に係わる外気状態がゾーン▲2▼である場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】 実施の形態1に係わり、外気状態がゾーン▲2▼である場合の湿り空気線図上での制御ベクトルを説明する説明図である。
【図12】 実施の形態1に係わり、外気状態がゾーン▲2▼であり、ヒータを用いる場合の湿り空気線図上での制御ベクトルを説明する説明図である。
【図13】 実施の形態1に係わる外気状態がゾーン▲3▼である場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】 実施の形態1に係わり、外気状態がゾーン▲3▼である場合の湿り空気線図上での制御ベクトルを説明する説明図である。
【図15】 実施の形態1に係わり、外気状態がゾーン▲3▼である場合の湿り空気線図上での制御ベクトルを説明する説明図である。
【図16】 実施の形態1に係わり、外気状態がゾーン▲3▼であり、ヒータを用いる場合の湿り空気線図上での制御ベクトルを説明する説明図である。
【図17】 本発明の実施の形態2による空気調和装置に係わる熱輸送手段の構成を示す冷媒回路図である。
【図18】 本発明の実施の形態3による空気調和装置に係わる室内ユニット近傍の構成を示す説明図である。
【図19】 本発明の実施の形態4による空気調和装置を示す全体構成図である。
【図20】 実施の形態4に係わる冷凍サイクルを示す冷媒回路図である。
【図21】 実施の形態4に係わる室内ユニット内の室内熱交換器の配置を示す説明図である。
【図22】 従来の空気調和装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1 室内ユニット、2 部屋、3、3a、3b 室内熱交換器、4 加熱手段、5 室内ファン、6 外気導入手段、7 冷媒配管、8 室外ユニット、9 室内空気温度検知手段、10 室内空気湿度検知手段、11 外気温度検知手段、12 外気湿度検知手段、13 吹出し空気温度検知手段、14 吹出し空気湿度検知手段、16 外気導入手段のファン、17 外気導入手段のダンパ、18 室内熱交換器配管温度検知手段、21 圧縮機、22 流路切換手段、23室外熱交換器、24 室外ファン、25、25a、25b 減圧手段、26 熱交換器、27 流体搬送手段、 31 室内空調負荷検知手段、32 運転動作設定手段、33 外気量制御手段、34 運転動作制御手段。
Claims (3)
- 空気調和装置で室内空気を冷房または暖房することで前記室内空気の温度または湿度を関連して変化させ、目標値である温度および湿度に接近するように室内の空気調和を行うステップと、外気の導入量を調整し得る外気導入手段で前記外気を室内に導入するステップと、を備え、外気のエンタルピーが室内空気のエンタルピーよりも小さく、かつ前記外気の温度と湿度が前記室内空気の温度と湿度から目標値である温度と湿度への変化の延長線よりも低温側である場合に、前記外気と前記室内空気を混合した混合空気の温度と湿度から前記目標値である温度と湿度へ接近させる際の、温度の変化量に対する湿度の変化量が大きくなるように外気の導入量を調整することを特徴とする空気調和方法。
- 空気調和装置で室内空気を冷房または暖房することで前記室内空気の温度または湿度を関連して変化させ、目標値である温度および湿度に接近するように室内の空気調和を行うステップと、外気の導入量を調整し得る外気導入手段で前記外気を室内に導入するステップと、を備え、外気のエンタルピーが室内空気のエンタルピーよりも小さく、かつ前記外気の温度と湿度が前記室内空気の温度と湿度から目標値である温度と湿度への変化の延長線よりも低湿側である場合に、前記外気と前記室内空気を混合した混合空気の温度と湿度から前記目標値である温度と湿度へ接近させる際の、温度の変化量に対する湿度の変化量が小さくなるように外気の導入量を調整することを特徴とする空気調和方法。
- 外気のエンタルピーが室内空気のエンタルピーよりも大きい場合に外気導入手段を閉止して外気の導入量を最小にすることを特徴とする請求項1または請求項2記載の空気調和方法。
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