実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1による空気調和装置および空気調和方法について説明する。図1は本発明の実施の形態1に係る空気調和装置を示す全体構成図であり、図2は、冷熱または温熱を得るための既存のエネルギー効率の高い蒸気圧縮式冷凍サイクルの構成の一例を示す冷媒回路図である。本発明は、室内空気の温度または湿度を、目標値である温度および湿度に接近するように空気調和を行って室内空気を冷房または暖房する空気調和装置で、新鮮な室外空気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間が得られるように空気調和を行うものである。特に、外気を積極的に利用する際の空気調和装置の動作および制御に際し、空気温度と共に空気湿度を考慮することを特徴としている。この空気温度と空気湿度を関連させながら制御する際の基本となるものは、一般によく知られている湿り空気線図である。以下、この湿り空気線図について簡単に記載する。図3は、文献(「冷凍および空気調和」第17版、昭和62年4月20日、養賢堂発行)の第199頁に記載されている湿り空気線図の骨子を示す図である。湿り空気線図は一般の空気である湿り空気の状態を示す図で、湿り空気のエンタルピiと絶対湿度xを斜交軸にとり、温度などの関連するデータを、大気圧が760mmHg一定としてまとめたものものである。乾球温度を一定とすればiとxとは直線関係で表すことができ、等温度線(t線)は直線となる。等エンタルピー線(i線)がx線となす角度は、iとxとのメモリを適当に選んでt=0℃の線がx線に直交するように定めてある。絶対湿度と相対湿度の関係や、顕熱と潜熱の関係、等も記載されている。なお横軸は温度を取り、縦軸の絶対湿度とはほぼ直交する関係にある。曲線Hは飽和線と称するもので、相対湿度が100%のときの絶対湿度と温度を示している。この飽和線から右の領域では水蒸気は過熱蒸気の状態にあり、空気の温度が下がって過熱蒸気が冷却されると、飽和線にいたって凝縮をはじめることが解る。このように湿り空気線図では湿り空気の状態変化を簡単に知ることができるので、これに基づいて実際に検知した外気状態と室内空気状態から、外気を積極的に室内に導入して室内の空気調和に効果的に利用する。
図1において、1は部屋の壁面に取り付けられた空気調和装置の室内ユニット、2は空調の対象となる部屋で以下では室内と称する。また、3は室内熱交換器、4は加熱手段、5は室内ファン、6は外気を室内の例えば室内ユニット1内に導入する外気導入手段であり、例えば部屋の壁面に貫通された開口に取り付けられ、外気を吸入するファン31と外気導入口開閉機構としてダンパ67を有する。室内ユニット1には室内熱交換器3、加熱手段4、室内ファン5、外気導入手段6を内蔵している。加熱手段4は、本実施の形態では例えばヒータであり、図1に示すように室内熱交換器3の出口と室内ファン5の入口の間の空気流路に配設されている。室内熱交換器3の下流側の空気流路に設けられたヒータ4によって、室内熱交換器3で熱交換された空気の温度が低すぎる場合にその空気を加熱する。また外気導入手段6は、所定の時間間隔でダンパ67の開閉を行ったり、電気的にダンパ67の開度を段階的または連続的に変えて調節したり、ファン31の回転数を変化させてファンの速度を変えることで、外気導入量を可変に調整制御できる。
また、7は冷媒配管、8は室外ユニットで、室外ユニット8で得た冷熱または温熱を冷媒配管7で室内熱交換器3に輸送する。ここでは例えば冷媒配管7、室外ユニット8、室内熱交換器3を含めて蒸気圧縮式冷凍サイクルで構成している。
図2に示すように、室外ユニット8には、圧縮機22、流路切換手段である四方弁23、室外熱交換器25、室外ファン41、減圧手段である膨張弁26などが格納され、室外ユニット8と室内熱交換器3は冷媒配管7で接続されている。冷媒としては例えばHCFC冷媒であるR22を冷媒配管内に循環させる。以下、この蒸気圧縮式冷凍サイクルで室内熱交換器3において室内の冷房を行う場合の冷媒流通の動作について説明する。室内を冷房する場合には室外熱交換器25を凝縮器、室内熱交換器3を蒸発器として動作させ、四方弁23は実線のように接続する。圧縮機22で圧縮された高圧ガス冷媒は、圧縮機71の吐出口から四方弁23を介して室外熱交換器25へ流通し、ここで室外ファン41で吹きつけられる外気に放熱する。そして冷媒は凝縮し、高圧液冷媒となって室外熱交換器25から流出する。その後膨張弁26へ流通して断熱膨張され、低圧二相冷媒となる。さらに低圧二相冷媒は冷媒配管7を循環して室内熱交換器3へ流通し、ここで採熱して蒸発する際に室内空気と熱交換することによって室内を冷房する。そして冷媒は、室内熱交換器3から低圧ガス冷媒となって流出した後、冷媒配管7を通って室外ユニット8に流通し、四方弁23を介して圧縮機22の吸入口へと戻る。このような動作によって室内熱交換器3では冷熱が得られる。この室内熱交換器3での冷媒の蒸発温度と室内空気の温度および湿度によって、室内空気の温度および湿度変化量が決まるのであるが、空気調和装置それぞれの構成や冷凍サイクルの能力によって、冷媒の蒸発温度には実現し得る温度の許容範囲がある。一般的に空気調和を行うための冷凍サイクルでは各機器の耐熱性や露対策などから蒸発温度の下限を10℃程度とし、この温度以上で信頼性のよい運転を行う。
また、室内熱交換器3によって室内の暖房を行う場合の運転時の冷媒流通の動作について説明する。室内を暖房する場合には室外熱交換器25を蒸発器、室内熱交換器3を凝縮器として動作させ、四方弁23は冷房運転での冷媒回路を切換えて点線のように接続する。圧縮機22で圧縮された高圧ガス冷媒は、圧縮機22の吐出口から四方弁23を介して冷媒配管7を通って室内ユニット1の室内熱交換器3へ流通し、ここで放熱して凝縮する際に室内空気と熱交換することによって室内を暖房する。そして冷媒は、室内熱交換器3から高圧液冷媒となって流出し、室外ユニット8の膨張弁26で断熱膨張されて低圧二相冷媒となり室外熱交換器25へ流入する。さらに冷媒は室外熱交換器25で室外ファン41によって吹きつけられる外気から採熱して蒸発し、低圧ガス冷媒となって流出した後、四方弁23を介して圧縮機22の吸入口へと戻る。このような動作によって室内熱交換器3で温熱が得られる。
また、図1に示した空気調和装置には、外気、室内空気の空気状態を検知する手段が設けられている。9は吸込み温度検知手段である室内空気温度検知手段、10は吸込み湿度検知手段である室内空気湿度検知手段で、それぞれ例えば室内ユニット1での室内空気の取込口に設けられており、室内2から室内ユニット1に取込まれた室内空気であるリターン空気の温度を室内空気温度検知手段9で検知し、室内2から室内ユニット1に取込まれた室内空気であるリターン空気の湿度を室内空気湿度検知手段10で検知する。11は外気温度検知手段、12は外気湿度検知手段で、それぞれ例えば室外で外気導入手段6への吸気口周辺に設けられており、外気温度検知手段11で室内ユニット1に取込まれる外気の温度を検知し、外気湿度検知手段12で室内ユニット1に取込まれる外気の湿度を検知する。13は空調装置から吹出され室内に循環する空気の温度を検知する吹出し空気温度検知手段、14は同様に室内に循環する空気の湿度を検知する吹出し空気湿度検知手段で、それぞれ例えば室内ユニット1から室内への空気吹出口に設けられており、吹出し空気温度検知手段13で室内ユニット1から室内2へ吹出す空気の温度を検知し、吹出し空気湿度検知手段14で室内ユニット1から室内2へ吹出す空気の湿度を検知する。また、室内熱交換器3の冷媒配管に設けた室内熱交換器配管温度検知手段18によって室内熱交換器温度、即ち冷媒の蒸発温度を計測している。また、32は室内ユニット1内に設けた室内制御装置である電子箱で、例えば1つまたは複数のマイクロプロセッサが格納され、室内空調負荷検知手段と運転動作設定手段と外気量制御手段と運転動作制御手段の動作を行う。この動作については後で詳しく述べる。
図4は本発明の一実施例であるシステム系統の冷媒の流れと空気の流れの関係を説明する図で、1は室内2の壁面21に取り付けられた空気調和を行うエアコンの室内ユニットで、室内熱交換器3、加熱手段であるヒーター4、室内ファン5を内蔵している。32は図示されていないリモコン装置の指令により運転開始や停止、温度調整や設定値の変更などとともに室外制御装置33との情報伝達他を行う室内制御装置である。34は吹出しグリル、35は吸込みグリル、39は室内フィルターである。6は壁面21に貫通された開口より外気を取り入れる外気導入手段で、換気ファン31、室外フィルター40、シャッター15より構成されている。8は冷媒配管7により室内熱交換器3と接続されている室外ユニットで、冷凍サイクルを構成する圧縮機22、四方弁23、室外熱交換器25、膨張弁26、アキュムレーター24、室外ファン41を内蔵している。33は冷媒配管7の中を流れる冷媒16の物理状態を圧縮機2の回転数、四方弁23の切り替え、室外ファン41の回転数、膨張弁26の開度調整などを組み合わせて調整する制御装置である。9は吸込み口温度検知手段、10は吸込み口湿度検知手段、11は外気温度検知手段、12は外気湿度検知手段、13は吹出し口温度検知手段、14は吹出し口湿度検知手段である。
この構成において室外から外気である新鮮外気量x*Voを室内ユニット1の吸気側に換気扇である外気導入手段6の換気ファン31により取り入れている。この外気量x*Voと室内を循環して室内ユニット1の室内ファン5により吸込みグリル35に吸込まれるリターンされる空気であるリターンエアの室内リターンエア風量VRが室内ユニット1の吸気された空気の量である。吸気された空気は室内熱交換器3で冷却される。すなわち冷凍サイクルの圧縮機22で圧縮された冷媒が室外熱交換器25で凝縮して外部の空気で冷却され膨張弁26により圧力を下げられ室内熱交換器3により冷媒が蒸発して熱交換器のチューブを低温にする。この冷媒は再び圧縮機に戻されると言う冷凍サイクルを循環する。蒸発器である室内熱交換器はこれを通過する外気量x*Voと室内リターンエア風量VRとを冷却することにより室内を冷房することが出来る。なお冷凍サイクルに設けた四方弁23を切り替えて室内を暖房にすることも可能である。加熱手段4は暖房時など必要なときに動作させるもので、電気入力によるヒーターを示すが別の方式例えば冷媒再熱により空気を加熱しても良い。室外フィルター40は外気を処理するフィルターで塵埃などの除去のみならず花粉やNOX等の有害なガスも除去できる。これにより新鮮な、かつ、清浄な外気を取り入れることが出来る。室内フィルター39は室内からリターンする空気の汚れを除去するもので、塵埃やウィルス、煙草の匂いなど、室内で発生する汚れを除去可能である。
なお図中に示すTo,Xo等のTやXの記号は図に記載されているように温度や湿度を示すものである。但し湿度は絶対湿度で表している。Qeは冷却と除湿を含めた室内熱交換器の冷房能力、ETは蒸発器である室内熱交換器のチューブの温度である蒸発温度である。温度の計測は温度センサーで直接計測する構造を示しているが、特に室内温度と吹出し温度に付いてはいずれか一方を直接計測し他方は冷房能力や風量すなわち回転数等から演算して求める形でも良いことは当然である。湿度に関しては湿度センサーで計測するが、この場合はたいてい相対湿度を計測することになる。従って、相対湿度を計測した値と温度とで絶対湿度に制御装置に設けたマイコンで換算する必要がある。また室内や吹出しの温度、湿度を室内ユニットの内部に設けたセンサーで計測する説明をしているが室内ユニットの外部でもその役割が果たせる位置なら良いし、特に吹出し温度は室内に配置した別の温度計からデータを取ってもよい。
目標温度T*はゾーンとして設定する。但し目標温度のゾーン幅は使用するマイコンの分解能力から決まる±0.3−0.5゜C程度の領域を複数連続して設けたゾーンとして、±1−3゜Cぐらいの幅とする。すなわち一般に人の場合は外気温度が低くなると室内が同じ温度でもより温度が低いと感じるので、目標温度帯幅を切り替えられる様にする。あるいは目標値を広い幅のゾーンとする。これは、女性は男性より同じ温度でも低く感ずるし、年齢が高くなると同じ温度でも低く感ずる。この温度差の感覚は場合によっては3゜Cぐらいの差が存在するので、例えばこの目標温度帯に入ることで直ちにエネルギーをあまり要しない温度を維持する動作に圧縮機やファンなどの動作を切り替えることにより様々な人に対し快適感を与えながら効率の良い運転を行うことが出来る。あるいは常に目標温度帯のうちでの高い温度に到達してから温度を維持する動作に圧縮機などの動作を切り替えることにより特に女性や老人などの多い家庭内の空気調和に対し快適感を与える運転を行うことが出来る。このような温度帯幅を切り替えたり、温度帯幅に到達したときに冷凍サイクルや室内ファンの動作を切り替えることは、リモコンで設定を行う構成でも良いし、室内および室外のいずれかまたは両方の制御装置に設けたマイコンに記憶させ運転パターンや運転モードにより切り替えさせる。
目標湿度X*も同様にゾーンとして設定する。但し目標湿度のゾーン幅は使用するセンサーなどの精度から決まる範囲で区分けした複数の領域を連続させたゾーンとする。ここの例では相対湿度50−65%として設定する。すなわち季節により、例えば外気の湿度が非常に高い梅雨時期などでは外部との差を極端に大きくしなくとも快適に感じるので、目標ゾーンに到達したときに除湿動作を停止し効率の良い装置とすることが出来る。なお後で詳細に説明するごとく冷房動作との関係で温度と湿度を目標値にいれる運転の制御を一体で行うため相対湿度が65%に到達したからといって冷房動作が停止しない場合はさらに湿度は低下する。さらにこの湿度目標帯の幅を切り替えて使用するようにしても良い。例えば室内で洗濯物を乾燥させるときや冬場の露点対策などの時はさらに低い設定が出来るようにしたり、あるいは幅を小さくしても良いことは当然である。このような湿度目標ゾーン幅を切り替えたり、湿度目標帯幅に到達したときに冷凍サイクルや室内ファンの動作を切り替えることは、リモコン他の設定や室内および室外のいずれかまたは両方の制御装置に設けたマイコンに記憶させた運転パターンで容易に実施できる。
なお湿度センサーとして絶対湿度信号を出力する湿度センサーも存在するが一般には相対湿度を計測する。有機高分子タイプ湿度センサーは雰囲気の湿分が増加すると電離作用が容易と成り、可動イオン濃度が増大する。従って電圧を加える事により可動イオンの動きをインピーダンスの変化量として捉え湿度を検出する。セラミックスタイプの湿度センサーは水分子が表面に化学吸着しこの表面状態の変化を捉える。サーミスタ素子を湿度センサーとする場合は空気中の水蒸気の量に対応して湿り空気の熱伝導度が変化し、それによって加熱状態にあるサーミスタが冷却される度合いが変化しこれを利用して湿度を測定する。
図5は、本実施の形態による空気調和装置に係わる室内熱交換器3付近の空気の流れを示す説明図である。ここで、Tは温度[℃]、Xは絶対湿度[kg/kg']、Vは風量[m3 /h]を表している。外気OA(温度TOA、湿度XOA、風量VOA)が室内ユニット1の吸込み側に導入され、室内空気である吸い込み空気のリターン空気RA(温度TRA、湿度XRA、風量VRA)と混合されて混合空気KA(温度TKA、湿度XKA、風量VRA+VOA)として室内熱交換器3に流入している。室内熱交換器3には熱輸送手段である冷媒配管7を通る冷媒によって、温熱または冷熱が輸送され、室内熱交換器3内の冷媒配管の周囲を空気が流れる際に熱交換される。室内熱交換器3で蒸発温度ET[℃]の冷媒と熱交換した混合された吸込み空気KAは、その温度または湿度の少なくともどちらか一方が変化し、場合によってはヒータ4で加熱されてまたはそのままの温度で室内ユニット1から吹出し空気SA(温度TSA、湿度XSA、風量VRA+VOA)として室内に流出する。この吹出し空気SAは室内2を循環する間に室内負荷の顕熱SH[kcal/h]、即ち温度を変化させるものと、潜熱LH[kcal/h]、即ち絶対湿度を変化させるものとによって、負荷を受けて再びリターン空気RAとなり、外気OAと混ざって室内熱交換器3に流入する。
即ち図5は外気を室内ユニットの吸気側に導入する換気をエアコン内部に導入する構造でエアコンの室内ユニットと換気扇を一体にした構造の空調装置における温度と湿度を一体で制御して目標値に近づける制御の内容を説明する図で、まず室内の温度と湿度である吸込み口に吸込まれる温度と湿度に対する目標ゾーンとして温度を26゜C±1゜C、湿度を50−65%とし、梅雨の時期を想定して上限値は温度26゜C、湿度65%に設定する。この設定は事前に季節カレンダーを記憶させておいて制御装置内のタイマーで切り替えても良いし、リモコンの設定で行っても良い。例えばこの制御装置に記憶させたカレンダー機能と検出した外気温度によりマイコンにて既設の区分けを判断する。この1ポイントをねらう恒温恒湿制御を説明する。ヒーター4は冷やしすぎが無い限り動作しておらず、湿度は相対湿度を換算して絶対湿度で表す。室内から空調機へのリターンエアRAの温度TRAと湿度XRA,外気OAの温度TOAと湿度XOA,空調機から室内へのサプライエアSAの温度TSAと湿度XSAは各温度と湿度の検出手段により求める。今まで各温度、湿度の検出は各センサーにより説明を行って来たが、ほかの量から間接的に、例えば一部の温度に付いては冷凍サイクル等のデータなどから演算で間接的に求めても良いし、データを固定、例えば季節による天候が比較的一定している地方に採用する場合は、季節カレンダーを内蔵したマイコンを使う場合外気の温度と湿度の一方はその季節と他方のデータから、例えば乾燥した高温の時期に計測した湿度があがれば雨が降っているとして温度をマイコンに記憶されている平均温度より3゜C下げた値を検出値とするなど、推定して間接的にマイコンで演算した求めかたを検出手段としても良い。
図5で示すように、室内から空調機へのリターンエアRAの温度TRAと湿度XRA,外気OAの温度TOAと湿度XOA,混合空気KAの温度TKAと湿度XKA、空調機から室内へのサプライエアSAの温度TSAと湿度XSAの各温度と湿度の8データが必要であるが、外気の温度と湿度、吸込み、即ちリターンエアーの温度と湿度、吹出し、即ち室内へのサプライエアーであって室内空気の温度と湿度を検出する検出手段のようにセンサー6個で計測する事により、混合エアーの温度TKAと相対湿度φKAはリターンエアの風量VRAと外気風量VOAから計算で求めることが出来る。またこれとは逆に混合エアーの温度TKAと湿度XKAを計測し、リターンエアの風量VRAと外気風量VOAから外気OAの温度TOAと湿度XOAを求める方法も存在するが、後者より前者が望ましい。前者は、即ち外気を計測する方が、外気導入を判断する際に直接検出したデータを使用出来る。後者は一旦外気を導入し運転した後で外気の温度と湿度を求める形になる。しかも外気の温度の計測は例えば室外機に設けるケースがあり、この外気温度センサーで求めた検出値を使うことになる。サプライエアー温度TSAは室内熱交換器温度ETとほぼ同一とみなせる。従って、室内熱交換器温度を計測している場合はサプライエアー温度の計測はそれで代用するし、また、逆も言えることになる。更にサプライエアー湿度XSAにたいし、100%と仮定しても良い。日本の場合、これより下がることはより良い方向に向かうのでこの仮定を設けることにより計測を省くことが出来る。吸込み空気、即ちリターンエアーの湿度XRAは目標値を40−65%とすればこの数値を家庭することにより計測を省いても良い。しかしながら外気湿度XOAはこの発明では必ず必要になる。従って、マイコンなどに数字を記憶させるなどにより、最小必要な計測センサーはリターンエアー温度TRA、外気温度TOA、室内熱交換器温度Eまたはサプライエアー温度TSA、外気湿度センサーφOAの4つのデータを必要とする。
ここで、室内熱交換器3で熱交換して流出してくる空気を出口側空気と称し、吹出し空気とは室内ユニット1から室内2に吹出される空気のことで、例えばヒータ4を備えこれで加熱している場合には出口側空気と吹出し空気の温度は異なる。また、室内は通常密閉されているわけではなく、余分な室内空気は部屋の隙間や排気口などから自然に室外へ流出する。その場合には室内2は加圧となるため、隣接している他の部屋からの匂いや塵埃などが流入するのを防止できる。また、外気を導入すると共に室内空気を換気扇などで機械的に排出するように部屋2を構成してもよい。その場合には室内圧のバランスを保つことができ、外気の導入もスムーズかつ確実に行うことができる。
図6は制御装置を説明する図であり、電子箱15のマイクロプロセッサには図6のブロック図に示すように、室内空調負荷検知手段81と運転動作設定手段82と外気量制御手段83と運転動作制御手段84がソフトウェアプログラムとして格納されている。室内空調負荷検知手段81は室内空調負荷QLを検知するもので、例えばリターン空気の温度TRAとリターン空気の湿度XRAからリターン空気のエンタルピーiRAを求め、同様に吹出し空気の温度TSAと吹出し空気の湿度XSAから吹出し空気のエンタルピーiSAを求め、下記に示す式1に基づいて、室内空調負荷QL(SH、LH)、QL=SH+LHを検知する。例えば冷房時には室内空調負荷QLは式1によって演算で求められる。
QL=(VRA+VOA)・ρ・(iRA−iSA) …(1)
VRA:リターン空気風量
VOA:外気風量
ρ:密度
iRA:リターン空気のエンタルピ−
iSA:吹出し空気のエンタルピー
運転動作設定手段82は外気温度検知手段11および外気湿度検知手段12で検知した外気状態として外気温度および外気湿度(TOA、XOA)、室内空気温度検知手段9および室内空気湿度検知手段10で検知した室内空気状態としてリターン空気温度およびリターン空気湿度(TRA、XRA)、室内のリモートコントロールスイッチなどで設定されている目標室内空気状態として目標室内空気温度および目標室内空気湿度(Tt、Xt)、室内空調負荷検知手段81で検知した室内空調負荷QLなどを入力し、外気導入量VOAと空調能力Qeおよび蒸発温度ET、必要に応じて加熱手段であるヒータ4の加熱量W、室内熱交換器3を通過する空気の総風量VRA+VOAなどの情報を設定する。外気導入量VOAは、例えばリターン空気の風量VRAと外気の風量VOAの混合比x:y(x+y=1)を考慮して設定する。このときの設定の仕方は、後でフローチャートを基に詳しく記載する。また、吸込み空気と吹出し空気との温度および湿度の変化を示す空気線図上の制御ベクトルから室内熱交換器3を流れる冷媒の蒸発温度ETと空調能力Qeが設定される。
外気量制御手段83は、運転動作設定手段82で設定された外気導入量VOAになるように外気導入手段6の動作を制御する。具体的には、外気導入口開閉機構として例えばダンパ67の開閉制御、開度制御、または外気導入手段6に備えられているファン31の回転数を制御することで外気導入量を可変にできる。外気導入量は、例えばリターン空気RAと外気OAの給気量の比率x:yとして設定され、この比率になるように外気導入手段6での外気導入量VOAと室内ユニット1からの総風量VRA+VOAとを制御する。このとき、外気を総風量の100%、即ち外気のみを室内ユニット1に吸込む場合には、例えば外気導入手段のファン31を最大の高速運転、室内ファン5を超微風の低速運転とすることで、外気を100%の割合で室内に取り込むことができる。外気の取り込み量が100%以下の時には、外気導入量と室内ユニットから吹出す総風量を調整することで、余分な室内空気は部屋の隙間から自然に室外へ流出し、総風量に対する外気の割合を制御できる。室内ユニット1から吹出す総風量は、室内ファン5の回転数を変化させて制御できる。
運転動作制御手段84は、運転動作設定手段82で設定された空調能力Qeと蒸発温度ETになるように熱輸送手段である冷凍サイクルの動作を制御して、室内熱交換器3での所望の冷媒温度ETと空調能力Qeを得る。冷凍サイクルの動作は、具体的には室内側では室内ファン5の回転数制御であり、室外側では膨張弁75の開度制御や圧縮機71の周波数制御や室外ファン74の回転数制御などである。さらに設定された運転動作がヒータ4による加熱を含むとき、ヒータ4のオン/オフ制御を行う。下記に示す式2は冷凍サイクルの動作を制御する方法の一例として、冷凍サイクルの目標空調能力変更量ΔQe*と冷媒の目標蒸発温度変更量ΔET*から、圧縮機周波数変更量Δfzと室内ファン5の回転数変更量ΔNiを求める式である。この式の係数a,b,c,dは、実験データや理論値を加味して予めシミュレーションで求めてデータとして記憶させておけばよい。この制御は一般に行われているVPM(vector pattern maching)制御であり、圧縮機71の周波数fz、室内ファン5回転数Ni、空調能力Qe、蒸発温度ETの増加または減少の関係を示している。例えば周波数を上げると(Δfz>0)、空調能力は増加し(ΔQe*>0)、蒸発温度は下がる(ΔET*<0)。また、例えば冷房運転時に室内ファンの回転数を上げると(ΔNi>0)、空調能力は増加し(ΔQe*>0)、蒸発温度は上がる(ΔET*>0)。
上記説明を定性的に表現すると、下記に示す式3で表され、A>0,B>0,C>0,D>0となる。このA,B,C,Dの定量的な値は実験やシミュレーションで求められ、求めた後で式3を式2のように変形することにより、係数a,b,c,dの値が得られる。
上記の室内空調負荷検知手段81、運転動作設定手段82、外気量制御手段83、運転動作制御手段は84のそれぞれは、コンピュータプログラムとして全て1つのマイクロプロセッサに内蔵されていてもよいし、それぞれ別のマイクロプロセッサに内蔵されていてもよい。
本発明の特徴は、外気と室内空気の温度および湿度を検知し、湿り空気線図上に描いた温湿度をベクトルの状態として把握し、室内の空気温度や湿度を目標である温度や湿度に接近させる様に、冷凍サイクルや室内ファン等の空調装置、ヒーター、循環送風装置や換気装置を制御することにある。例えば外気を室内の空気調和に利用できる場合には外気導入手段6によって積極的に外気を室内に導入したりすることにある。
図7は、湿り空気線図上において、空気調和装置で室内空気の冷却および除湿を行った場合の室内空気の空気状態の変化の一例を示す説明図である。この図7前記の一般的な湿り空気線図を示すもので、縦軸は絶対湿度X[kg/kg´]、横軸は乾球温度T[℃]を示す。空気状態は、温度と湿度から湿り空気線図上では1点で表わされるが、ここではこの空気状態をその空気の温湿度と称する。外気温度検知手段11と外気湿度検知手段12で検知した外気温度と外気湿度から外気エンタルピーを算出し、室内温度検知手段9と室内湿度検知手段10で検知したリターン空気温度とリターン空気湿度からリターン空気エンタルピーを算出する。そして、外気エンタルピーとリターン空気エンタルピーとを比較し、外気エンタルピーの方がリターン空気エンタルピーよりも小さい場合には、外気導入手段6から外気(外気温湿度OA)を導入する。なお、本実施の形態において外気を導入するかどうかは、エンタルピーと利用者の換気要求によって決まるのであるが、ここでは外気を導入した場合の基本的な室内空気の温湿度の変化の様子について図5とともに説明する。
室内2から室内ユニット1に導入されるリターン空気(リターン空気温湿度RA)と外気(外気温湿度OA)が混合する混合空気である吸込み空気温湿度KAは、リターン空気温湿度RAと外気温湿度OAを結ぶ直線上の温湿度となり、外気の導入量に応じてその温湿度は変化する。リターン空気の給気量:外気の給気量=x:yとなるように外気を導入して吸込み空気温湿度KAとなった混合空気は、室内熱交換器3で冷媒と熱交換することにより冷却除湿される。室内熱交換器3の蒸発温度(室内熱交換器配管温度検知手段68で計測される冷媒配管の温度即ち管温)がETであるときには吸込み空気温湿度KAと蒸発温度ETを結ぶ直線上にある温湿度の空気である空気温湿度が室内熱交換器3の出口側空気として流出される。本実施の形態では室内熱交換器3の空気の出口側の空気流路にヒータ4を設けており、室内熱交換器3で除湿を行うために空気を冷却しすぎた場合には、このヒータ4で暖めることができる。ヒータ4を通過した空気は、吹出し空気(吹出し空気温湿度SA)となって室内ユニット1から室内へ吹出される。この後、室内ユニット1から吹出した空気には室内空調負荷QL(SH、LH)が加わり、再び室内ユニット1にリターン空気(リターン空気温湿度RA)として取り込まれる。なお、このリターン空気温湿度RAは初めのリターン空気温湿度とは多少状態が変化し、目標室内空気温湿度tに近づいているはずである。
ここで、初期運転で外気を導入せずにリターン空気のみを吸込み空気とし、冷媒の蒸発温度ETで運転したとき、吹出し空気温度と吹出し空気湿度から算出される吹出し空気エンタルピーと、リターン空気温度とリターン空気湿度から算出されるリターン空気のエンタルピー、即ち吸込み側のリターン空気エンタルピーとから室内空調負荷QLが推定される。この室内負荷の横軸方向変化分が顕熱負荷SHであり、縦軸方向変化分が潜熱負荷LHである。
最終的には、リターン空気温湿度RAを図7の目標室内空気温湿度tとするために、目標室内空気温湿度tと室内空調負荷QLから目標吹出し空気温湿度SA*が算出される。そして、空調能力Qeをできるだけ小さくしながら、この目標吹出し温湿度SA*を実現するように、吸込み空気温湿度KA、目標蒸発温度ET*を決定する。吸込み空気温湿度KAが決定されることで、室内2から室内ユニット1に取り込まれるリターン空気温湿度RAと外気温湿度OAの混合比が決定され、外気導入量が決定される。この外気導入量の制御は、外気導入手段6にて外気導入量を制御する。例えば蒸発温度ET*で目標吹出し温湿度SA*を実現するために、外気温湿度OAとリターン空気温湿度RAを混合して吸込み空気温湿度KAとする場合、室内熱交換器3への吸込み空気の総量(室内ユニットから室内へ吹出す総風量と一致)に対する外気導入量の割合は、
|KA―RA|/|OA−RA|=y/(x+y)
=VOA/(VOA+VRA)
で得られる。またこのときの蒸発温度ET*、空調能力Qeに従って冷凍サイクルを運転制御する。ここで、空調能力Qeをできるだけ小さくしているので、空気調和装置への入力を最小にでき、省エネルギーとなる。
ここで室内熱交換器3前後の空気状態を考え、吸込み空気温湿度KAの吸込み空気が室内熱交換器3に流入し、室内熱交換器3内で冷媒配管の外部を流れるあいだに、冷媒配管内を流れる蒸発温度ET*の冷媒と熱交換して、出口側空気温湿度SAとして室内熱交換器3から流出する。湿り空気線図上では、温湿度KAの点と飽和線上の温度ET*である点とを結ぶ直線上の点の温湿度SAの空気が室内熱交換器3の出口側空気として流出する。逆に言えば、温湿度KAの吸込み空気を室内熱交換器3に流入して温湿度SAの出口側空気を流出させたい場合には、湿り空気線図上で温湿度KAから温湿度SAへ変化するように、制御ベクトルの長さである空調能力Qeと、制御ベクトルを延長した直線と飽和線が交わる点の温度の冷媒を室内熱交換器3に循環させればよい。本発明では室内熱交換器3での運転動作を制御しやすくするため、目標室内空気温湿度tと室内空調負荷QLから吹出し空気の目標である目標吹出し空気温湿度SA*を設定し、室内熱交換器3からの吹出し空気温湿度が目標吹出し空気温湿度SA*に接近するように制御する。
ただし、実現できる制御ベクトルの傾きには限界があり、冷凍サイクルの顕熱比(SHF)の許容範囲内、SHFmin≦SHF≦SHFmax(最大1)でなければならない。ここで、顕熱比(SHF)とは、式4で表わされ、空気の温度を下げるために使われる全熱量Q[kcal/h](顕熱+潜熱)のうち、気体のH2Oを液体H2Oに凝縮させるのに使われる熱量QLH[kcal/h](潜熱)を差し引いたものの割合である。
SHF=(Q−QLH)/Q =顕熱/(顕熱+潜熱) …(4)
従って、SHFmaxでの運転は高顕熱運転、SHFminでの運転は最大除湿運転となる。例えば、除湿量が0ならSHF=1(高顕熱運転)であり、室温を全く下げないで除湿だけできればSHF=0(最大除湿運転)である。実際には除湿能力には限界があり、湿り空気線図で言えば、制御ベクトルの延長線と飽和線とが交わらない場合、除湿能力の限界を越えており、実現できない状態である。即ち、湿り空気線図上で室内熱交換器3への吸込み空気温湿度KAと出口側空気温湿度SAとを結ぶ直線を延長したとき、この直線と飽和線とが交差しない。このときには冷媒と熱交換しても室内熱交換器3の出口側では温湿度SAの空気は得られないことになる。また前にも記載したが一般的に空気調和を行うための冷凍サイクルでは各機器の耐熱性や露対策などから蒸発温度の下限を10℃程度とすることで、SHFの下限が制限されることもある。
以上のように空気の流れはリターンエアRAの風量VRAと外気OAの風量VOAが混合し、この混合比x:y(x+y=1)である混合エアの温湿度KAとなり、この混合エアの温湿度KAが蒸発器である室内熱交換器で冷却及び除湿されてサプライエアの温湿度SAとなる。この温度と湿度はエアコン吹出し口の吹出しグリル34付近に設けた吹出し口温度検出手段と吹出し口湿度検出手段にて計測できる。この現象の状態を空気線図の上で説明したものが図7の現象説明図である。図7においてリターンエアの温湿度RAと外気の温湿度OAとサプライエアの温湿度SAの状態を、横軸が温度、縦軸が絶対湿度として線図の上に取ることが出来る。図3の空気線図にエンタルピーiの軸が記載されているように、温度と絶対湿度とは次の関係でエンタルピーiの斜交軸が一義的に決められている。すなわち、i=0.24*温度+(597.5+0.441*温度)*絶対湿度である。従って温度と湿度を検出すればマイコンにてエンタルピーやエネルギーである負荷の大きさを演算することが出来る。逆に電算機室の様に負荷がコンピュータと照明が主体であれば、負荷の消費電力からマイコンに記憶させたデータを使用してエンタルピーを計算し温度とすることも出来る。この様に室内空気のエンタルピーが外部空気のエンタルピーより大きいこの例では、外気導入手段6から外気を導入する。
図7ではエンタルピーは図示していないがリターンエアの温湿度RAとサプライエアの温湿度SAの間は室内の負荷の顕熱SH、すなわち温度を変化させるものと、潜熱LH、すなわち絶対湿度を変化させるものにより、言い換えるとエネルギーであるエンタルピーの成分により図のように表されるとともに演算にて求めることが出来る。なお図7において空気線図のデータは相関性のある物理量であり、図表としてまたは式としてデータが記憶されているためこれらの演算はマイコンを使用した制御装置で簡単に行われる。この状態から換気手段や冷凍サイクル他を調整して室内温度と湿度を目標温湿度tにしなければならない。この目標温湿度の点をtとすると、リターンエアの温湿度RAを目標値の温湿度tにしなければならないので、図7の様に顕熱と潜熱で形成される破線で形成された形状を目標に合わせて並行移動することにより、目標サプライ温湿度SA*が得られる。
本発明の空気調和装置において、外気を積極的に導入して効果的に利用し、快適な室内空間を得るための運転方法の基本的な考え方についてここで記載する。
リターン空気温湿度RAと外気温湿度OAを混合した混合空気である吸込み空気温湿度KAは、吸込み空気温湿度KAと目標吹出し空気温湿度SA*のエンタルピー差が小さくなるように選ぶ。
吸込み空気温湿度KAから目標吹出し空気温湿度SA*への制御ベクトルの傾きが、冷凍サイクルの顕熱比(SHF)の許容範囲内で、上記1.のエンタルピー差の小さいものを選ぶ。
冷凍サイクルの最大除湿運転SHFminでも除湿が足りず制御ベクトルを実現できない時には、目標吹出し空気の温度を下げて湿度は満足するように運転し、室内熱交換器3から流出する出口側空気を加熱手段で加熱して目標吹出し空気温湿度SA*になるように制御する。即ち、目標吹出し空気の湿度となるように室内熱交換器3の冷媒温度を設定し、室内熱交換器3でその温度の冷媒と熱交換した出口側空気が目標吹出し空気の温度よりも低温である場合に目標吹出し空気の温度まで加熱する。
上記の考え方の1.でエンタルピー差ができるだけ小さくなるように設定しているので、空気調和装置の圧縮機71や室外ファン74や室内ファン5などへの入力の総和を最小にでき、無駄な動作を行うことなく省エネルギーとなる。さらに、上記の考え方の3.で加熱手段を用いる場合には、室内熱交換器で熱交換した空気を加熱手段で加熱する場合、室内熱交換器3での冷媒温度を得るための熱輸送能力と加熱量とのエネルギー総量が小さくなるように外気導入量を設定し、省エネルギーを図って運転制御を行う。即ち、空調能力Qeとヒータ4での入力エネルギーの総量が小さくなるように運転制御する。
このために、外気を室内の空気調和に利用できるかどうかの判断や、その判断に基づいて運転動作を設定するものが運転動作設定手段82で行う運転動作設定動作であり、この設定に従い、外気導入量制御手段83と運転動作制御手段84で行う運転制御動作によって実際に空気調和装置の各機器を動作させる。湿り空気線図上で外気状態に応じて3つの領域に分け、それぞれの領域に対して処理し、外気導入量と空調能力と加熱量を設定する。図8は湿り空気線図での各ゾーンの領域を示す説明図、図9は外気状態による外気利用方法のゾーン分けの部分の処理手順を示すフローチャートである。図8に示すように、リターン空気温湿度RAと、目標吹出し空気温湿度SA*と、外気温湿度OAx(x=1〜3)の状態により外気をどう使うかについて、空気線図が3つのゾーンに分けられる。ゾーン(1)は、リターン空気温湿度RAを通る等エンタルピー線(直線A)よりも上の領域で、外気温湿度OA1がリターン空気温湿度RAより高エンタルピーのときである。ゾーン(2)は、外気温湿度OA2がリターン空気温湿度RAより低エンタルピー、かつ、外気温度がリターン空気温度より低い領域で、リターン空気温湿度RAと目標吹き出し温湿度SA*を結ぶ線(直線B)より低温側の領域である。ゾーン(3)は、外気温湿度OA3がリターン空気温湿度RAより低エンタルピー、かつ、外気湿度がリターン空気湿度より低い領域で、RAとSA*を結ぶ線(直線B)より低湿側の領域である。
図9のフローチャートでは、室内温度である吸込み検知手段9と室内湿度である吸込み湿度検知手段10で検知したリターン空気の温度と湿度からリターン空気温湿度RAとリターン空気エンタルピーを算出し(ST1、ST2:室内空気温湿度検知ステップ)、外気温度検知手段11と外気湿度検知手段12で検知した外気の温度と湿度から外気温湿度OAと外気エンタルピーを算出する(ST3、ST4:外気温湿度検知ステップ)。次に目標温度および目標湿度から目標室内空気温湿度を算出する(ST5:目標室内空気温湿度設定ステップ)。次にST6(室内空調負荷検知ステップ)では、リターン空気温湿度RAと予め検知した室内空調負荷QLとから目標吹出し空気温湿度SA*を設定する。室内空調負荷は先に説明したように吹出し温湿度とリターン温湿度から簡単に求めることが出来る。ST7で外気エンタルピーとリターン空気エンタルピーとを比較し、外気エンタルピーの方がリターン空気エンタルピーよりも大きい場合には、ゾーン(1)の運転となる(ST9)。ST7で外気エンタルピーとリターン空気エンタルピーとを比較した結果、外気エンタルピーの方がリターン空気エンタルピーよりも小さいまたは同じ場合には、リターン空気温湿度RAと目標吹出し空気温湿度SA*を結ぶベクトルである直線Bを引き、外気温湿度OAがこの直線Bの上側か下側になるかを判断する(ST8)。外気温湿度OAが、直線Bの上側即ちリターン空気温湿度RAより低温側の領域にあるときにはゾーン(2)(ST10)、直線Bの下側即ちリターン空気温湿度RAより低湿側の領域にあるときにはゾーン(3)(ST11)とする。
実際には例えば平面上で2つの点の位置関係を知るにはその2点の外積を計算してその結果の符合で判断できる。外積とは、2つのベクトル、C(c1,c2)、D(d1、d2)において、
C x D = c1xd2 − d1xc2
の式で算出できる。これを利用して、外気温湿度OAが3つのどのゾーンに位置しているかを簡単に知ることができる。なお、C,Dはベクトルであり、大きさと方向を有する量である。なお、C*D>0の時はCがDより右回りに存在している。
次に、3つの領域のそれぞれにおける外気導入量と空調能力と加熱量を設定する処理について説明する。図10は図7の外気温湿度OA1がゾーン(1)の領域、即ち外気温湿度OA1がリターン空気温湿度RAより高エンタルピーであるときの処理手順を示すフローチャートである。この場合には、外気を導入することにより、空調負荷が増加してしまうため、省エネルギー効果を重視する場合は外気を導入しない。例えばダンパ67を閉止し、ファン31を停止することで、外気導入手段6を閉止して室内からのリターン空気のみを循環させる。ただし、利用者の要求などにより換気が必要な場合には外気を導入してもよい。また、外気を導入しないように設定しても、実際には壁の隙間などで外気導入量が0にならない場合もあり、外気導入手段6で外気導入量が最小になるように運転すればよい。
処理フローでは、ST21で換気が要求されているかどうかを判断し、換気が要求されている場合には、外気導入量を換気のための所定量、例えば外気導入手段6のダンパ17を全開としたりファン16の回転を高速にする(ST22)。そして室内熱交換器3の吸込み空気温湿度KAはリターン空気と外気が混合された混合空気の温湿度を設定する(ST23)。一方、換気が要求されていない場合には、外気導入手段6を閉として外気導入量を0とし(ST24)、室内熱交換器3の吸込み空気温湿度KAはリターン空気温湿度RAを設定する(ST25)。ST26では、制御ベクトルが実現できるかどうか、即ち冷凍サイクルのSHFの許容範囲かどうかを判断している。吸込み空気温湿度KAと目標吹出し空気温湿度SA*への制御ベクトルの延長線が飽和線と交差し蒸発温度の許容範囲内であれば、ST27の処理を行う。ST27では、湿り空気線図上で、吸込み空気温湿度KAと目標吹出し空気温湿度SA*から空調能力を決定する制御ベクトルを設定する。即ち吸込み空気温湿度KAと目標吹出し空気温湿度SA*を結ぶベクトルを設定すると共に、このベクトルの延長線と飽和線の交点の温度を室内熱交換器3の冷媒温度とする。ST26の判断で、制御ベクトルの延長線が飽和線と交差しない場合には許容範囲外であり、ST28でSHFmin運転で室内熱交換器3から目標湿度と同レベルの湿度の出口側空気を流出し、ヒータ4で目標温度にまで加熱して目標吹出し空気温湿度SA*を得るように空調能力や冷媒温度やヒータの加熱量を設定する。ST61(運転制御ステップ)は、外気量制御手段83によって設定された外気量の外気を室内ユニット1に導入し、運転動作制御手段84によって設定された制御ベクトルに基づいて冷凍サイクルを運転する。また必要に応じてヒータ4を動作させる。実際には、圧縮機71の運転周波数、膨張弁75の開度、室内ファン5および室外ファン24の回転数、ヒータ4、外気導入手段6など、空気調和装置を構成する各機器部品が運転される。ST21〜ST28、ST61を一定時間、例えば1分程度のサイクルで繰り返すことで、室内の空気状態は徐々に目標室内空気温湿度tになり、室内2の空気調和が行われる。
ゾーン(2)は、リターン空気温湿度RAより低エンタルピー、かつ、リターン空気温湿度RAと目標吹出し空気温湿度SA*を結ぶ線Bより低温側の領域、即ち直線Bより上側の領域であり、外気温湿度OA2がこのゾーン(2)に存在するときの制御について説明する。このゾーン(2)の領域は言いかえれば、外気エンタルピーがリターン空気エンタルピーよりも小さく、かつ外気の温度がリターン空気の温度よりも低い領域のうちで、外気とリターン空気の温度差に対する湿度差の変化率が、目標吹出し空気とリターン空気の温度差に対する湿度差の変化率よりも大きくなる外気温湿度を除く領域である。外気がゾーン(2)にあるときには外気の低温特性を利用して、外気を導入して主に室内空気の温度低下に利用し、冷凍サイクルを用いて室内熱交換器3での冷媒との熱交換によって主に室内空気の湿度を低下させる制御を行う。外気で下げる温度が足りない場合には、冷凍サイクルで温度を下げる。
図11は外気温湿度OA2がゾーン(2)の領域にあるときの処理手順を示すフローチャートであり、図12と図13はそれぞれ制御ベクトルの決め方を示す説明図である。ST31で、リターン空気温湿度RAと目標吹出し空気温湿度SA*とを結んで延長した線が飽和線と交わるかどうか、即ちこの延長線が許容範囲の冷媒温度を示す飽和線に至るかどうかを判断し、交わる場合の制御ベクトルの決め方をST32、ST33、図12で示している。交わる場合には除湿能力が最大である顕熱比SHFminで運転するように飽和線Hと延長線が接する点、或いは冷凍サイクルの許容範囲の下限値であるETを探し、この点に対応する延長線上で混合空気の温湿度KA2を設定し、吸込み空気温湿度KAとする(ST32)。外気を導入して室内空気と混合した吸込み空気の温湿度は、外気温湿度OA2とリターン空気温湿度RA間で外気の導入量に応じて温度と湿度とが関連して変化し、図12に示すように湿り空気線図でOA2とRAとを結ぶ直線上の温湿度になる。そこでこのOA2−RA上の点と、目標吹出し空気温湿度SA*と、飽和線上の許容範囲内の蒸発温度とを結ぶ制御ベクトルを考慮し、室内熱交換器温度が許す範囲で低い温度になるように、除湿能力が最大、即ち温度の変化に対する湿度の変化の大きい制御ベクトル、即ち飽和線Hと延長線が接する方向である延長線を選択すると、吸込み空気温湿度はKA2となる。このとき、RAとOA2の内分点KA2の比率で外気導入量を設定し(ST33)、その後ST39の処理を行う。
ここで、温度の変化量に対する湿度の変化量の大きい制御ベクトルを選択するということは、吸込み空気の温度が目標吹出し空気の温度に接近するように、または制御ベクトルの傾斜が大きくなるように選択することで、このとき外気の低温特性を最大限に利用することになる。
ST31で飽和線と交わらなかった場合の制御ベクトルの決め方を、ST34〜ST38、図13で示している。この場合にはリターン空気温湿度RAから目標吹出し空気温湿度SA*への延長線が許容範囲の冷媒温度を示す飽和線から外れた場合であり、リターン空気温湿度RAから目標吹出し空気温湿度SA*へ直接冷却除湿することができないため、冷凍サイクルのSHFの許容範囲内で冷却除湿を行なう。即ちOA2とRAを含むOA2−RA上の点と、目標吹出し空気温湿度SA*の湿度と同レベルの湿度(SA*を通り、横軸に平行な線上)と、飽和線上の許容範囲内の蒸発温度とを結んで制御ベクトルとして冷凍サイクルを運転し、冷却しすぎた場合にヒータ4によって室内熱交換器3から流出する出口側空気を加熱し、目標吹出し空気温湿度SA*を得る。このとき省エネルギーを重視する場合には、リターン空気温湿度RAを冷却して再熱するときと、外気温湿度OA2を冷却して再熱するときにおいて、空気調和装置への入力である空調能力と再熱時のヒータ4への入力の和を比較して、入力エネルギー総量が少ない方で運転する。ここで外気導入量が吸込み空気量の0%または100%に設定されることになるが、例えば外気導入量を0%または100%に設定しても実際には外気導入手段6の構成または設置状態によって完全に0%または100%にならないこともある。この場合には、外気導入手段6で外気を導入できる最小または最大になるように運転すればよい。
処理フローではST34でリターン空気温湿度RAを冷却除湿して再熱し目標吹出し空気温湿度SA*とするときの空調能力とヒータ4への入力エネルギーを計算してE(RA)とし、ST35で外気OA2を冷却除湿して再熱し目標吹出し空気温湿度SA*とするときの空調能力とヒータ4への入力エネルギーを計算してE(OA2)とする。ST36でE(RA)とE(OA2)を比較して、ST37、ST38で入力エネルギー総量の小さい方を選択し、外気導入量(0または100%:最小または最大)を設定すると共に、吸込み空気温湿度KA、ヒータ入力量などを設定する。
ST39では吸込み空気温湿度KAと目標吹出し温湿度SA*から運転制御を決定する制御ベクトルを得る。ST61(運転制御ステップ)は、外気量制御手段83と運転動作制御手段84で、決定した制御ベクトルに基づいて冷凍サイクルを運転する。また、必要に応じて加熱を行う。実際には、圧縮機の運転周波数、室内および室外ファンの回転数、ヒータ4の入力、外気導入量に応じて、空気調和装置を構成する各機器部品が運転される。ST31〜ST39、ST61を一定時間、例えば1分程度のサイクルで繰り返すことで、室内の空気状態は徐々に目標室内空気温湿度tになり、室内2の空気調和が行われる。
ゾーン(3)は、リターン空気温湿度RAより低エンタルピーで低湿度、かつ、リターン空気温湿度RAと目標吹出し空気温湿度SA*を結ぶ線Bより低湿側の領域、即ち直線Bより下側の領域であり、外気温湿度OA3がこのゾーン(3)に存在するときの制御について説明する。このゾーン(3)の領域は言いかえれば、外気エンタルピーがリターン空気エンタルピーよりも小さく、かつ外気の湿度がリターン空気の湿度よりも低い領域のうちで、外気とリターン空気の温度に対する湿度の変化率が、目標吹出し空気とリターン空気の温度に対する湿度の変化率よりも小さくなる外気温湿度を除く領域である。外気がゾーン(3)にあるときには外気の低湿特性を利用して、外気を導入して主に室内空気の湿度低下に利用し、冷凍サイクルを用いて室内熱交換器3での冷媒との熱交換によって主に室内空気の温度を低下させる制御を行う。外気で下げる湿度が足りない場合には、冷凍サイクルで湿度を下げる。
図14は外気温湿度OA3がゾーン(3)の領域にあるときの処理手順を示すフローチャートであり、図15と図16と図17はそれぞれ制御ベクトルの決め方を示す説明図である。この場合に吸込み空気温湿度KAは外気温湿度OA3と同一の時が最もエンタルピーが小さい。そこでST41で、外気温湿度OA3と目標吹出し空気温湿度SA*とを結んで延長した線が飽和線と交わるかどうか、即ちこの延長線が許容範囲の冷媒温度を示す飽和線に至るかどうかを判断し、交わる場合の制御ベクトルの決め方をST42〜ST45、図15、図16で示している。この場合には外気の低湿特性を利用し、冷凍サイクルは顕熱比SHFmaxで運転するように設定する。外気を導入して室内空気と混合した吸込み空気の温湿度は、外気温湿度OA3とリターン空気温湿度RA間で外気の導入量に応じて温度と湿度とが関連して変化し、図15,図16に示す湿り空気線図でOA3とRAとを結ぶ直線上の温湿度になる。そこでこのOA3−RA上の点と、目標吹出し空気温湿度SA*と、飽和線上の許容範囲内の蒸発温度とを結ぶ制御ベクトルを考慮し、除湿能力が最小、即ち温度の変化に対する湿度の変化の小さい制御ベクトルを選択すると、図15の場合にはOA3、図16の場合にはSA*と同じ湿度であるKA3が吸込み空気温湿度KAとなる。
処理フローでは、ST42で外気の絶対湿度と目標吹出し空気の絶対湿度とを比較し、外気の絶対湿度の方が大きい場合には、図15に示すように外気導入量を100%とし、吸込み空気温湿度KAに外気温湿度OA3を設定する(ST43)。このとき外気導入量を実際に100%にできない場合には、外気導入手段6で導入できる最大導入量とする。即ち出来るだけ多くの外気を導入する。ST42の比較で目標吹出し空気の絶対湿度のほうが外気よりも大きい場合には、図16に示すように、顕熱比SHFmax、この場合には湿り空気線図上で規定されているほぼ1となる温湿度KA3を吸込み空気温湿度KAに設定する(ST44)。このときRAとOA3の内分点KA3の比率で外気導入量を設定し(ST45)、その後ST51の処理を行う。
ここで、温度の変化量に対する湿度の変化量の小さい制御ベクトルを選択するということは、吸込み空気の湿度が目標吹出し空気の湿度に接近するように、または制御ベクトルの傾斜が小さくなるように選択することで、このとき外気の低湿特性を最大限に利用することになる。
ST41で飽和線と交わらなかった場合の制御ベクトルの決め方を、ST46〜ST50、図17で示している。この場合には外気温湿度OA3から目標吹出し空気温湿度SA*への延長線が許容範囲の冷媒温度を示す飽和線から外れた場合であり、外気温湿度OA3から目標吹出し空気温湿度SA*へ直接冷却除湿することができないため、冷凍サイクルのSHFの許容範囲内で冷却除湿を行なう。即ちOA3とRAを含むOA3−RA上の点と、目標吹出し空気温湿度SA*の湿度と同レベルの湿度(SA*を通り、横軸に平行な線上)と、飽和線上の許容範囲内の蒸発温度とを結んで制御ベクトルとして冷凍サイクルを運転し、冷却しすぎた場合にヒータ4によって室内熱交換器3から流出する出口側空気を加熱し、目標吹出し空気温湿度SA*を得る。このとき省エネルギーを重視する場合には、リターン空気温湿度RAを冷却して再熱するときと、外気温湿度OA3を冷却して再熱するときにおいて、空気調和装置への入力である空調能力と再熱時のヒータ4への入力の和を比較して、入力エネルギー総量が少ない方で運転する。
処理フローではST46でリターン空気温湿度RAを冷却除湿して再熱し目標吹出し空気温湿度SA*とするときの空調能力とヒータ4への入力エネルギーを計算してE(RA)とし、ST47で外気OA3を冷却除湿して再熱し目標吹出し空気温湿度SA*とするときの空調能力とヒータ4への入力エネルギーを計算してE(OA3)とする。ST48でE(RA)とE(OA3)を比較して、ST49、ST50で入力エネルギー総量の小さい方を選択し、外気導入量(0または100%:最小または最大)を設定すると共に、吸込み空気温湿度KA、ヒータ入力量などを設定する。
ST51では吸込み空気温湿度KAと目標吹出し温湿度SA*から運転制御を決定する制御ベクトルを得る。ST61(運転制御ステップ)は、外気量制御手段83と運転動作制御手段84で、決定した制御ベクトルに基づいて冷凍サイクルを運転する。また必要に応じて加熱を行う。実際には、圧縮機の運転周波数、室内および室外ファンの回転数、ヒータ4の入力、外気導入量に応じて、空気調和装置を構成する各機器部品が運転される。ST41〜ST51、ST61を一定時間、例えば1分程度のサイクルで繰り返すことで、室内の空気状態は徐々に目標室内空気温湿度tになり、室内2の空気調和が行われる。
上記では、ゾーン(1)とそれ以外のゾーン(2)、ゾーン(3)とで外気を導入するかしないかに分けられる。一方のゾーン(1)の場合には外気エンタルピーがリターン空気エンタルピーよりも大きいので、外気を導入しないで冷凍サイクルで空調を行い、他方のゾーン(2)、(3)の場合には外気エンタルピーがリターン空気エンタルピーよりも小さいので、外気をできるだけ導入して室内空調に利用している。また、ゾーン(2)とゾーン(3)とで冷凍サイクルの空調能力で除湿能力の大きい運転を行うか高顕熱運転を行うかに分けられる。一方のゾーン(2)の場合には外気の低温特性を利用して冷凍サイクルは除湿能力の大きい運転を行う。他方のゾーン(3)の場合には外気の低湿特性を利用して冷凍サイクルは高顕熱運転を行う。このように室内空気の温湿度状態に対する外気の温湿度状態でゾーンに分け、それぞれに適した制御を設定することで、外気導入量を空調目標に最適な量とし、無駄な仕事をすることなく、外気を最大限に利用し、省エネルギー化を図ることができる。
以上のように、室内の空気状態に対する室外の空気状態に応じて外気を積極的に導入して効果的に空気調和に利用し、かつ、空気調和装置が熱処理する空気のエネルギーを最小限に制御するため、新鮮外気を導入しつつ、省エネルギーを実現することができる。特に外気や室内空気の温度だけでなく湿度も共に考慮して細かい制御を行っているので、さらに快適な室内空間を得ることができる。また、温度と湿度を関連して変化させながら制御しつつ目標の室内空気状態に接近させるので、より速く目標の室内空間が得られ、省エネルギー化を図ることができる。また、新鮮な外気で室内の空気を新鮮に保つことで、質的にも良好な室内空気を確保でき、室内の人または動植物の健康状態にも良い影響をもたらすと期待できる。
上記までの説明は部屋2の室内を中心として屋外である室外との換気を主体に説明して来た。また換気には吸気と排気と言う2つの作用がありこれを自然流によるか送風機によるかで分類するが主として室外からの外気をファンによる、即ち機械換気、或いは強制換気とし排気は自然に排気される構成で説明して来ている。この発明ではどこに焦点を当てて制御するかの都合上以上の説明をして来たが、屋外でない室外、例えばサニタリールームや地下室のように別の部屋で温湿度状態が異なる部屋や、複数のへ夜間の温湿度状態を合わせる場合等にこの発明の制御を使用しても良いことは当然である。更に換気の種類として吸気、排気を強制的に行っても良いし、また特定の温湿度環境、例えば常に外気導入量が決まった値の環境では換気用のファン31を設けずに換気用の開口を設け室内ファンで換気するなどの構成でも良い。また本発明では空気線図上で説明して来たが、これらはマイコンに記載させた空気線図上のベクトル演算で簡単に求めることが出来る。或いは先に述べたごとく空気線図は物理量相互の関係を図面にまとめたもので各物理量の間は演算で求めることが出来る。例えば設定された目標温湿度t*を得るために冷凍サイクルや送風機、換気扇等をどのように運転すればよいかの制御内容において、現状のリターンエア温湿度RAの状態で現状の能力のままではサプライエアの温度と湿度SAが維持され、この状態での室内の負荷の大きさであるQL[Kcal/h]の絶対値は、風量*密度*サプライエアとリターンエアの間のエンタルピーの差、で表される。すなわち、|QL|=(VRA+VOA)*ρa*(iRA-iSA)である。この負荷状態に対する潜熱と顕熱の負荷比率は、LH[g]/SH[℃]=(Xra-Xsa)/(Tra-Tsa)であり、この様に負荷の状態等、この発明の演算は空気線図を全く使わないで演算式の組み合せでも把握することが出来る。
エアコンの使用は春から秋にかけての冷房と、主として冬に暖房として使用されるが、能力一杯の負荷を掛けることは例えば夜は温度が下がるなどのためあまり無いのが実状である。例えば関東地区では平均負荷率は13.3%との報告がある。図18に外気温湿度分布説明図を示す。冷房を主体に運転を行う5月から9月までの昼と夜のすべての時間での東京の外気の温度と湿度の状況で、横軸に温度、縦軸に絶対湿度をとり、基準値である温度26度、湿度50%で区分けした時間数が記載してある。aは5月分の744時間のうち基準値よりも温度と湿度が低い時間が595時間、温度が低く湿度が高い時間が140時間であることを示している。bは6月で温度が低く湿度が高い時間が458時間、温度湿度共低い時間が203時間、温度湿度とも高い時間が59時間を示している。cは7月で温度が低く湿度が高い時間が420時間、温度湿度とも高い時間が280時間、温度湿度とも低い時間が40時間を示している。dは8月で温度湿度とも高い時間が430時間、温度が低く湿度が高い時間が312時間を示している。eは9月で温度が低く湿度が高い時間が363時間、温度湿度とも高い時間が187時間、温度湿度とも低い時間が170時間を示している。fは5月から9月までの総計の時間を示している。
5月から9月までの5ヶ月の範囲で温度湿度とも室内温度と湿度の目標値より高い外気は26%にすぎないことが分かる。さらに温度が低くとも湿度が高い時間が非常に多いことも分かる。当然ながらエアコンでは室内で発生する熱の負荷や湿気を除去する必要があり、外気の低い温度の利用が非常に有効であることがこの図からも大まかに判断できる。更に室内負荷は所定の係数*室内面積*温度差で求めることが出来、この負荷量を上述した各温度分布で求めて平均化するとエアコンの平均年間負荷率は冷房最大能力のわずか13.3%に過ぎないので外気による換気を有効に利用して冷房能力と再加熱能力を出来るだけ小さくすることが出来る。もちろん地域性や気象の変動によりこの関係は変化するが、外気の湿度などを計測して外気を利用しすなわち年間の換気を有効に利用して換気、冷却、除湿、冷えすぎ防止を少ないエネルギーで行うことが出来る。これによりエアコン夜間冷房等の小容量負荷のオンとオフの繰り返しを外気導入で避けることが出来、エネルギーの低減だけでなく、騒音を減らし、かつ、体にも冷えすぎを起こさせないなどの効果が得られる。春秋などの中間期の冷房ニーズにも同様に有効に対応できる。従来換気扇は室内汚染空気の換気を主体に考えられていたが導入する外気の温度と湿度を正確に活用してエネルギーの低減が得られる。
上記に述べたように空気線図はエンタルピー差の大小や温度と湿度の位置関係を求めるときにわかりやすいため採用したもので特に空気線図を使わなくとも良く、各物理量はそれぞれ相関関係があるので演算により求められるが、温度と湿度の関係を図表としてマイコン内に記憶させてもよい。この発明は、以上のように外気を導入して温度と湿度を調整するが、ディジタル制御を使えば連続的に同時処理も可能である。また室内の温度の熱時定数による遅れを考慮して間欠的な処理により演算や操作を行っても良い。また、この処理のために検出された温度と湿度を一つのパラメータとして取り扱って目標値の設定や能力などの操作量を求め、このデータにより機器を操作するものを説明したが、温度と湿度を別々のパラメータとして個々のパラメータを組み合わせる演算も可能である。即ち温湿度状態を把握しながら湿度は所定の範囲に或場合は制御せずに冷凍サイクルや換気装置を温度制御だけで行っても良いことは、湿度が大きく変わらない時などには既に述べているように有効なことは当然である。この発明は以上のように、室内に吸込み口と吹出し口を有するエアコン室内ユニットの室内ファンにより室内空気を吸込み口から吸込んで吹出し口から吹出して循環させる室内空気の温度および湿度の少なくとも一方を変化させて空気調和を行う構造に関するもので、この室内ユニットの吸い込み側に換気用のファンと室外から室内に外気を導入または室内から室外へ空気を排気する開口およびこの開口を開閉するシャッターや、通風量を調整する装置、例えばファンの回転数を調整するか、あるいはシャッターの角度を変えて通風調整をしても良い、を設けている。これによりエアコンの室内熱交換器では吸込み口から吸込まれた室内からの戻りの空気と換気用のファンにて導入される外気の両方が冷却または加熱される。この外気の温度と湿度が検出されるとともに、エアコンへ室内から吸込む空気の温度と湿度、および、エアコンから吹出され室内に循環する空気の温度と湿度も検出されて、室内空気の温度および湿度、すなわちエアコンに戻される温度と湿度を目標値である温度および湿度に接近させるように、エアコンの冷凍サイクルを調整したり、室内ファンの回転数を変えたり、換気ファンの回転数やシャッターを調整している。
またこの発明は各部の温度と湿度を検出するが、温度は室内の負荷量や風量とも関係しており、直接計測しても良いが間接的に求めることも出来る。また湿度も季節や天候などに左右されるし、室内の空気調和に対し厳密な計測を必ずしも必要としない場合もあることから記憶されたデータや外気の温度などのパラメータにより間接的に検出しても良い。あるいは、遠方から検出するデータを電話線や電灯線に乗せて情報として送り、この情報に基づき機器の運転停止のみならず温度湿度の制御に関する動作を行うことも可能である。
この発明の装置により夏の温度と湿度の両方が高い時は外気による換気がほとんど行われないが、温度が比較的低く湿度が低い時、温度も湿度も低い時、温度は高いが湿度が低い時は、換気量が空調に使用するエネルギーが少なくなるように設定される。省エネルギー効果の一例として、外気温湿度がゾーン(2)で低温高湿の場合、外気の低温を利用して室内を冷却し、冷凍サイクルで最大除湿運転を行うとしたときの負荷について概算してみる。通常6月に頻度が高く現れる外気温21℃、絶対湿度12g/kg(相対湿度77%程度)の場合で、8畳程度の室内の目標室内温湿度を26℃、12.8g/kg(相対湿度60%程度)でこの室内に人が2名いるとする。顕熱比SHFminとなるのは、リターン空気と外気の導入比率が0.65:0.35の時で、エンタルピーによる負荷比率(吸込み空気と目標吹出し空気のエンタルピー差)/(リターン空気と目標吹出し空気のエンタルピー差)は、0.5となる。即ち、本実施の形態のように外気を積極的に導入、例えば室内ユニットの総風量の35%の分だけ外気を導入して空気調和を行った場合、従来のように外気を導入しないで室内からのリターン空気のみを吸込み空気として循環させて空気調和を行う場合の半分のエネルギーで空気調和できる。
上記では、省エネルギー重視運転の場合の制御を説明したが、所定の換気量が必要な場合には、その換気量を確保した上で、同様の制御を行うことも可能である。また、ヒータ4は必ずしも必要ではなく、特に備えていなくてもよい。この場合冷凍サイクルの最大除湿運転SHFminでも除湿が足りず制御ベクトルを実現できない時には、目標吹出し空気の湿度を上げて温度は満足するように運転し、室内熱交換器3から流出する出口側空気を除湿する除湿手段を設けて目標吹出し空気温湿度SA*になるように制御することもできる。さらに加熱手段4は室内ユニット1の内部に設けていなくてもよく、室内熱交換器3の下流側の空気流路、即ち室内熱交換器3から流出する空気の出口と目標室内空気温湿度としたい領域、例えば人の居住領域の間の空気流路を流れる空気を加熱する位置にあればよい。
また、外気導入手段6の外気導入口の全面に外気処理フィルターを設けて、外気に混入している花粉やちりやほこりなどが室内に取り込まれるのを防止すると、室内空間をさらに健康的で快適に保つことができる。また、この外気処理フィルターとして、その少なくとも一部を悪臭などを吸着させる材料で構成すると、ごみ収集日などに外気に混ざっている悪臭が室内に入り込むのを防止できる。
既に述べたように、室内を空気調和する際に制御に関与する空気状態は、室内空気であるリターン空気(RA)、外気(OA)、吸込みである混合空気(KA)、室内に循環する空気である吹出し空気(SA)のそれぞれの温度と湿度であるが、これらの空気状態には互いに関連性がある。このため、これら全ての値を実際に検知しなくても演算で求めてもよい。また他の方法、例えば圧縮機の周波数や蒸発温度や管温やファンの回転速度などの情報から演算によって求めてもよい。例えば室内空気状態としてリターン空気、吹出し空気、外気の温度と湿度を計測によって検知し、混合空気の温度と湿度は演算する。また、外気の温度と湿度を計測によって検知する代わりに、外気とリターン空気とが混合した吸込み空気の温度と湿度を計測して検知し、この検知値と外気風量VOAとリターン空気風量VRAから外気の温度と湿度を演算してもよい。さらに、温度は室内の負荷量や風量とも関係しており、これらから間接的に求めることもできる。また、湿度は季節や天候などに左右されたり、室内の空気調和を行う際にそれほど厳密な計測を必要としないこともあり、予め季節の平均湿度を記憶しておいてこのデータを使用したり、他のパラメータから間接的に推測や計算によって検出してもよい。また、リターン空気と吹出し空気の状態はどちらも計測するように構成すると、室内空調負荷を正確に把握できるのであるが、この室内空調負荷が冷凍サイクルの動作状態などの他の情報から推測できる場合には、リターン空気と吹出し空気のどちらか一方の空気状態を計測によって検知し、他方を推測するようにしてもよい。また、室内空気状態として、リターン空気の温度と湿度を検知したが、リターン空気に限るものではなく吹出し空気や他の室内空間の空気、例えば室内の所定の場所に設けたセンサーでその場所の温度と湿度を検知し、これを用いてもよい。室内の所定の場所の場合には、室内空調負荷を受けている途中の空気状態を検知することになるが、その計測場所からの室内空調負荷を把握していれば、同様に制御できる。
実施の形態2.
実施の形態1では外気導入手段6を室内ユニット1と一体に構成し、これによって外気を室内ユニット1内に導入し、室内空気が循環して室内ユニット1内に取り込まれたリターン空気と混合して室内熱交換器3への吸込み空気となる構成であった。本実施の形態では外気導入手段6を室内ユニット1と一体ではなく分離して別々に配設し、外気を室内2に取込む構成としたものである。但し、空気調和装置、冷凍サイクル、換気装置の運転を室外や室内の空気の温湿度状態を検出し、空気線図上、または空気線図に示される各物理量の相関関係を利用して温湿度状態をベクトル的に取り扱い、エンタルピーなどを演算し、使用するエネルギーを少なくする制御を行うことは実施の形態1と同様で、更にこのような構成、動作のみならず同様な効果が得られることも実施の形態1と同様である。
図19は、本実施の形態による空気調和装置の室内に配置された室内ユニット1近傍の構成を示す部分構成図である。実施の形態1で説明した図面に記載されている符号と同一の符号は同一のものを示す。外気導入手段6は室内の例えば壁面に取り付けられており、室外の新鮮な空気を室内に取込むことができる。この外気導入手段6には、外気導入口開閉機構として例えばダンパ67、および外気を吸込むためのファン31を有し、ダンパ67の開閉、または開度を調節、またはファン31の回転速を変化させることで、室内への外気導入量を制御することができる。また、69は制御信号線であり、室内ユニット1内に設置されている電子箱32内のマイクロプロセッサに接続されている。例えばマイクロプロセッサ内の外気量制御手段83からの制御信号が外気導入手段6に送信され、実際にダンパ67の開閉制御や開度制御やファン31の回転数制御を行う。
図19、図20は本発明の別の形態の空調装置の構成および動作を説明する図であり、実施の形態1とは外気を取り入れる換気扇6をエアコンの室内機すなわち室内ユニット1とは一体とせずに別の位置に設けたもので、上記説明と同一符号は同一のものを示す。図20は室内ユニットと換気扇を別体にした構造の空調装置における温度と湿度を一体で制御して目標値に近づける制御の内容を説明する図である。図19、図20に示すごとく、室内ユニット1の中の室内熱交換器3に戻る室内空気である吸込み空気、即ちリターンエアは、冷凍サイクルを循環する冷媒により熱交換器3の中で冷却及び除湿されて、室内ファン5の回転により吹出し空気即ちサプライエアとして室内へ供給される。リターンエアとサプライエアの風量は同一でVRAである。この室内ユニットとは別の位置例えばエアコンの吹出し口がある下部の壁面でエアコンに隣接して設けられた外気導入手段である換気扇6は同じ室内へ外気を供給する。サプライエアと外気の各風量は加算されて、すなわちリターンエア風量VRAと外気風量VOAがVRA+VOAである混合エアとなり室内を循環するが、実施の形態1の説明と同様に自然または強制的に排気される分があり、室内ファンの回転数が一定の場合はほぼ一定のリターンエアーが確保される。マイコンのメモリーにファンの回転数と風量の関係を記憶させておけば、風量比に於ける各風量や式1で負荷を計算する時の風量は簡単に演算出来る。この室内に循環する混合エアの温湿度KAは負荷QLの顕熱分SHと潜熱分LHにより昇温増湿等されてリターンエア温湿度RAの温湿度状態となる。
図中に示すTOA,XOA等のTやXの記号は先の説明のように温度や湿度を示すもので湿度は絶対値である。温度と湿度を計測する検出手段おいて、吸込み口温度検出手段9、吸込み口湿度検出手段10は図1のごとくエアコンの吸込みグリル35の位置に取り付けられる。また、図1に記載されているように換気扇である外気導入手段6は図1とは異なる位置であるが、外気温度検出手段11、外気湿度検出手段12は図1と同様に換気ファン31の側の室内側に取り付けられる。また吹出し口温度検出手段13と吹出し湿度検出手段14も図1のごとくエアコンの吹出し口に設けられる。但し図1の構成では、吹出し口温度検出手段13と吹出し湿度検出手段14は、エアコンの吹出しグリル34の内側に混合エアの温度を計測するように取り付けられていたが、この実施の形態での吹出し口からの空気はリターンエアであって、混合エア、すなわち室内に循環する空気の温度と湿度は、吹出し口のグリル近傍で計測された温度と湿度と、換気ファンの出口で計測された温度と湿度にたいし、それぞれの位置での風量を室内ファン及び換気ファンの回転数から求め、風量比に応じた平均値として求めている。もちろん吹出し口温度検出手段13と吹出し口湿度検出手段14を、エアコン室内ユニットと換気扇を隣接して配置し室内ユニットから下側に吹出す構造にすれば室内ユニット1の下部の外側の両方の空気が混合する位置に配置して、混合エアの温度と湿度を検出する検出器52および53で直接計測しても良い。もしエアコンの室内ユニット1と換気扇が離れた位置にあったとしても、混合される位置に混合エアの温度と湿度を計測する検出器を設ければ良い。
実施の形態1では外気とリターン空気の混合空気が室内に循環して室内熱交換器3への吸込み空気となって、室内熱交換器3を流れる冷媒と熱交換する。吹出し空気の温湿度SAが室内に循環して室内で熱負荷を受けて帰ってくるリターンエアの温湿度RAとなり、温湿度SAとRAにより負荷QLを知ることが出来る。即ち空気線図において温湿度SAに負荷QLのベクトルを加えたものが温湿度RAとなる。この負荷QLベクトルが分かったのでリターンエアーの温湿度RAが目標点の温湿度tへ重なるように負荷QLベクトルを平行移動させて目標吹出し空気の温湿度SA*を得ることができる。サプライエアーの温湿度SAは検出されるか、或いは室内負荷より分かっている。この状態で混合エアーの温湿度KAが外気温湿度OAとリターンエアー温湿度RAの線分上のどこにあれば混合エアーの温湿度KAのエンタルピーとサプライエアーの温湿度SAのエンタルピーの差が最小になるかと言う判断、即ちi(KA*−SA*)minimumを得ればエネルギーの最も小さいKA*がえられる。一方、本実施の形態2では、リターン空気のみが吸込み空気となって冷媒と熱交換され、室内ユニット1からの吹出し空気と外気とが混合されることになる。従って本実施の形態2は、外気の温湿度OAと風量VOA、吹出し空気の温湿度SAと風量VSAが検出され、或いは検出された値から求めることが出来る。同様に空気線図上で外気の温湿度OAと吹出し空気の温湿度SAを結ぶ線上で、且つ、風量比で案分された点に混合エア、即ち室内に循環する循環空気の温湿度KAが求められる。この混合エアの温湿度KAが室内を循環して負荷QLを受けてリターンエアRAとして空調装置に帰ってくる。即ち空気線図において演算された或いは計測されて得られた温湿度KAに負荷QLのベクトルを加えたものが温湿度RAとなる。この負荷QLベクトルが分かったのでリターンエアーの温湿度RAが目標点の温湿度tへ重なるように負荷QLベクトルを平行移動させて目標混合エアの温湿度KA*を得ることができる。この状態で吹出し空気の温湿度SAが外気温湿度OAと室内に循環する混合エアー温湿度KA*の線分上でどこにあればリターンエアの温湿度RAのエンタルピーとサプライエアーの温湿度SAのエンタルピーの差が最小になるかと言う判断、即ちi(RA−SA*)minimumを得ればエネルギーの最も小さいSA*がえられる。
実施の形態1ではi(KA*−SA*)minimumの求め方として、KAはOAとRAの内分点のどこかにある、冷却除湿負荷=蒸発器能力=i(KA*−SA*)×風量である、ことから、KA*がRAとOAの線分上でi(KA*−SA*)が小さいほど能力は小さくなる。但し外気OAがいろいろな場合があり、図8のゾーン(1)ではRA=KAの時、KA*−SA*が最小になり、外気を導入しない方がエネルギーが小さくなる。また図8のゾーン(2)ではOAとRAの内分点上にあるKAとSA*を通るベクトル線が飽和線Hと接する交点をもつ混合エアの温湿度KA*が、KA*−SA*は最小になる。また図8のゾーン(3)ではOAとRAの内分点上にあるKAとSA*を通るベクトル線が飽和線Hと交点を有するがSHF=1となる混合エアの温湿度KA*が、KA*−SA*は最小になる。一方、本実施の形態2では、リターン空気の温湿度RAが冷却除湿されて吹出し空気の温湿度SAになり、吹出し空気の温湿度SAと外気の温湿度OAが混合して室内に循環する循環空気の温湿度KAになり、混合エアの温湿度KAに室内負荷QLが加わりリターンエアの温湿度RAとなるので、実施の形態2ではi(RA−SA*)minimumの求め方として、混合エアKAは外気OAと吹出し空気SA*の内分点のどこかにある、冷却除湿負荷=蒸発器能力=i(RA−SA*)×風量である、ことから、混合エアの温湿度KA*は外気の温湿度OAとサプライエアの温湿度SA*の線分上でi(RA−SA*)が小さいほど能力は小さくなる。但し分かっているものはリターンエアと混合エアであり、外気OAがいろいろな場合がある。
本実施の形態2のi(RA−SA*)minimumの求め方を図21、図22、図23の空気線図に示す。図21はゾーン(1)の説明図であって、図のハッチングの部分がゾーン(1)の範囲を示す。図においてリターンエア温湿度RAと目標混合エア温湿度KA*によって分類されるゾーンによって、新鮮外気の利用方法が異なる。図21の外気の温湿度OA1が目標混合エアの温湿度KA*よりも高エンタルピー側外気は利用しない方が望ましい。目標混合エアの温湿度KA*と挟んで外気の温湿度OA1と反対側に空気調和装置の吹出し空気の温湿度SAを作らねばならず、冷凍サイクルのエネルギーを増やすことになる。冷凍サイクルのエンタルピー差i(RA−SA*)minimumはSA*=KA*のとき最小となる。図22はゾーン(2)の説明図であって、図のハッチングの部分がゾーン(2)の範囲を示す。外気の温湿度OA2がKA*のエネルギーより低く、ベクトルRA−KA*より温度が低い状態にあるゾーン(2)の範囲では外気の低温特性を最大限利用し冷凍サイクルは除湿能力をフル運転させる。これにより省エネルギーを計るが除湿能力に限界があり、例えばベクトルRA−SA*の延長線が飽和線Hに接する事が出来なかったり、室内熱交換器温度ETが許容範囲より小さくなる場合には可能な顕熱比の最小値、即ちベクトルRA−SA*の傾きの限界であるSHFRminimumを選択する。ゾーン(2)では目標混合エアの温湿度KA*と挟んで外気の温湿度OA1と反対側に空気調和装置の吹出し空気の温湿度SAがくるので、ベクトルRA−SA*の延長線が飽和線Hに接する点を有する目標吹出し空気の温湿度SAを選択すれば冷凍サイクルのエンタルピー差RA−SA*が最も小さくなる目標サプライエア温湿度SA*が求まる。
図23はゾーン(3)の説明図であって、図のハッチングの部分がゾーン(3)の範囲を示す。外気の温湿度OA3がKA*よりエネルギーが低く、且つ、低い湿度で、ベクトルRA−KA*より湿度が低い状態にあるゾーン(3)の範囲では外気の低湿特性を利用し冷凍サイクルは高顕熱運転を行う。目標混合エアの温湿度KA*と挟んで外気の温湿度OA1と反対側に設定する空気調和装置の吹出し空気の温湿度SAはリターンエアの温湿度RAとこの吹出し空気の温湿度SA*が空気線図で水平になるところ、即ちSHF=1が冷凍サイクルのエンタルピー差RA−SA*が最も小さくなる。実施の形態2の構成によるゾーン(1)の外気利用が望ましくない範囲は実施の形態1の一体の構成に比べ増加する。以上の実施の形態2の構成の場合の制御動作を図24でまとめて説明する。、負荷の大きさはQL=(VRA+VOA)×密度×エンタルピー差で得られ、この負荷はリターンエアの温湿度RAと混合エアの温湿度KAのエンタルピー差で、顕熱負荷SHと潜熱負荷LHに分けられる。室内を目標温湿度tにするにはリターンエアの温湿度RAを目標温湿度tにしなければならず、負荷を平行移動させて目標混合エアKA*が決まる。この目標混合エアの温湿度KA*に対し外気の温湿度状態によりエネルギーが少ない、即ちリターンエアの温湿度と目標サプライエアの温湿度のエンタルピー差が最小になる条件を図21、図22、図23のように選ぶことになる。図24の外気の温湿度がベクトルRA−KA*より湿度が低い状態にあるゾーン(3)の範囲では外気の低湿特性を利用し冷凍サイクルは高顕熱運転即ちSHF=1の運転を行う。この様に各空気の温湿度の状態が決まることにより、顕熱比が許容範囲内の室内熱交換器温度ET*が求められる。更に冷凍サイクル能力Qe即ちベクトルRA・SA*が決定される。また温湿度OAとKA*の線分上でSA*が決まりこの案分比率x*とy*でサプライエアと外気の風量比率も決定される。この様に冷凍サイクルのSHFの許容範囲等を考慮しながら温湿度の変化のエンタルピー差をできるだけ最少とする基本的な考え方は実施の形態1と同様で、空気調和装置の省エネルギー運転が可能になる。
図3の空気線図にエンタルピーiの軸が記載されているように、温度と絶対湿度とは次の関係でエンタルピーiの斜交軸が一義的に決められている。すなわち、i=0.24*温度+(597.5+0.441*温度)*絶対湿度である。従って温度と湿度を検出すればマイコンにてエネルギーである室内負荷の大きさと潜熱・件熱の負荷比率を演算することが出来る。室内の負荷の大きさであるQl[Kcal/h]の絶対値は、風量*密度*混合エアとリターンエアの間のエンタルピの差、で表される。この負荷状態に対する潜熱と顕熱の負荷比率は、LH[g]/SH[℃]=(Xra-Xka)/(Tra-Tka)、であり、負荷の状態は演算で把握することが出来る。なおx:yの風量比の算定は、例えばファンの回転数と風量の関係が制御装置のマイコンに記憶させてあるので決められており、サプライエアの温湿度SAは外気温湿度OAと混合エアの温湿度KAと風量比からOAとKAの延長線上に得られる。リターンエアの温湿度RAと得られたサプライエアの温湿度SAを直線で結ぶ間のエンタルピーが空調機の能力Qeである。さらに、この延長線が相対湿度100%の飽和線と交わる点が蒸発温度ETとみなされる。空気線図のデータが記憶されているためこれらの演算は制御装置のマイコンで簡単に行われる。
空調能力Qeの増加にたいし圧縮機の周波数を増加させる考えは式2などで詳細を説明しているが、空調能力Qeがベクトル(RA,SA)より決まるのでその増加分ΔQeは(Qe+ΔQe)/Qe=[i(RA−SA*)]/[i(RA−SA)]で求められる。これに対し現在の周波数をfzとすると、周波数の増分は空調能力の増加分に対応した(fz+Δfz)/fzというように得られる。本実施の形態のように、外気導入手段6を室内ユニット1と分離して独立に設けた場合には、省エネルギーとなる外気利用範囲は、一体に設けた場合よりも狭くなるが、やはり外気を積極的に利用しない従来の場合と比べて、省エネルギー効果はあり、新鮮な外気を導入することによる健康上への効果も大きい。また、このような構成では、現在広く用いられている室内ユニットからの構成変更が少なく、例えば外気導入手段6へ信号線69によって制御信号を送信するように変更すればよいので、比較的簡単に実現できる。さらに一体ではないので外気導入手段6の部分だけの清掃やメンテナンスなども手軽に行うことができる。
さらに、外気導入手段6として室内ユニット1とは独立しているので、この外気導入手段6として従来の換気扇のような作用も兼ね備えたものとすることもできる。即ち、例えばファンを反転させるなどして室内空気を室外へ導出できるように構成すれば、換気機能の大きい空気調和を行うことができる。この例を図25にて説明する。図25は室内ユニット1の中の室内熱交換器3や室内ファン5と、外気導入手段である換気扇6を設ける構成は同一であり、31は換気ファン、32は室内制御装置である。リターンエア、サプライエアなど各空気の温湿度を基にエンタルピー差のか少ない運転を設定する内容は上記説明と同一であるが外気導入手段6は換気ファン31により室内空気を排気することが異なり、したがってリターンエアの温湿度は室内空気から排気がベクトル的に減算された形になる。換気ファン31の運転は室内制御装置32からの信号により制御される。別の構成の例を図26に示す。図26も空調装置と外気導入手段6とは別体に設ける構成であるが、外気導入手段6に全熱熱交換器と給気用ファン44、排気用ファン43を設け、外気を導入する吸気に室内空気を排気する際の熱を伝達して室内の熱エネルギーを無駄にしない構成である。給気用ファン44、排気用ファン43の運転は室内制御装置32からの信号により制御される。この構成に対しても外気導入手段6の給気とは域の温湿度を含めたベクトル演算を必要とするが、上述の様に温湿度のエンタルピー差を利用した低エネルギーの運転設定が可能であり、より一層の省エネルギーが計れることになる。図25、図26では外気導入手段の運転などは室内制御装置の中のマイコンにて制御する例を示したがリモコンなど別の制御装置により運転を制御しても良いことは当然であるし、この信号は信号線を設け伝達する構成にしてあるが、電力とともに電灯線にて信号を搬送したり、電波などの信号線無しの構成でも良い。
一体型の構成にしろ、別体型の構成にしろ、蒸発温度である室内熱交換器温度ETに付いては、許容範囲が存在することと、例として下限値として10゜Cで説明してきた。この下限値を空調装置の性能の面から求めた例を、図27および図28に示す。図27は室内熱交換器温度ETを空気線図上で設定する説明図で、Pは室内熱交換器3へ吸込まれる空気の温湿度で、温度24゜C、相対湿度50%とする。これは一体構造では目標混合エアの温湿度KA*であり、別体構造ではリターン空気の温湿度RAである。顕熱比SHFが異なる直線と飽和線Hの交点をそれぞれET=1゜C、5゜C、10゜Cとする。図28は横軸に蒸発温度を取り、図28の縦軸として、(a)は顕熱比、(b)は空調装置の成績係数COPである。図28の(a)からは室内熱交換器温度が低下するに伴いあの値以下では顕熱比は差が出ないことになる。一方(b)からは室内熱交換器温度ETを下げていけば比例して成績係数COPが低下し能力が低下する。従って図のように室内熱交換器温度ETの下限値を5゜C程度より下げてもエネルギー低減を得る効果がなくなるのでETの下限値としてこの飽和する約5゜Cを採用する。すなわち、図27のP点からETに引く直線はET=1の点で接点となり、それより下がるとSHFは上昇してしまう。本発明では第1に室内負荷を求めて室内に循環する空気、例えば一体型では空調装置の吹出し空気、また別体装置では室内に循環する空調装置と外気との混合エアの温湿度の目標値を設定した。更に第2に外気を含めた各空気の温湿度を基に、室内熱交換器に直接吸込まれる空気と吹出す空気のエンタルピー差が小さくなるように、即ち冷凍サイクルのエネルギーを少なくする蒸発温度ETを求めている。但しこの時、外気の温度が室内の各空気の温度との関係にたいしどのゾーンにあるかで制御を行う説明をしてきた。ゾーン(1)や(2)の様にSFHminを求める演算ではでは最初から上記で説明した飽和値、例えば5゜Cの様なこの固定された下限値を使用すれば飽和線Hと接する点を求める必要がなく、制御がより簡単になる。この制御は一体型換気制御にしろ、別置き型換気制御にしろ、空調装置のおかれた地域や室内の条件、或いは運転の要求により除湿運転が必要であれば換気する風量の比率に関らず先ず室内熱交換器で目一杯除湿する、即ち、SFHmin運転を行うと言う考えで、そのため性能低下を考慮した蒸発温度下限値である固定置5゜Cで固定された条件で運転することが制御が簡単で効率の良い運転が行えることになる。
更にこのような空調装置と換気装置の組み合せに対し、一体型換気制御にしろ、別置き型換気制御にしろ高温多湿状態が存在する場合は除湿が必要であり
、もっと簡単な固定値を使用した制御を行うことが出来る。既に説明したように一体型換気制御の場合はリターンエアのエンタルピーiRAよりも外気のエンタルピーiOAが小なら外気導入手段にて外気を導入する。別置き型換気制御の場合は空調装置からの吹出し空気と外気を混合した混合エアのエンタルピーiKAより外気のエンタルピーiOAが小なら外気導入手段にて外気を導入する。この外気の導入にあたりエンタルピー差を算出する場合厳密な数値でなくとも、効果的な除湿が行える。すなわち空調装置と換気装置の組み合せに関係なく、空調装置に戻るリターンエアの室内空気の温湿度iRAと外気のエンタルピーiOAとの関係を、iRA−iOA<αとする。この説明を図29に示す。図29の空気線図において、φは各温度に於ける相対湿度を示す。室内空気の温湿度をRA、外気の温湿度をOAとし、このエンタルピー差をもとめ、図のようにiRA−iOA<αとなり、若干の差が存在することを検出する。これによりファン回転数が一定である換気扇を運転して、この時の外気の風量と室内空気の風量の関係から、室内空気の温湿度と外気の温湿度の線分に風量比から熱交換器に直接吸込まれる空気の温湿度Kが設定される。このK点と固定された蒸発温度5゜Cを結ぶ線と、目標とする室内温度Ttとの交点が目標温湿度tとなって、この値に制御される。この結果、室内温湿度のエンタルピーiRAと目標温湿度tのエンタルピーitの差より、K点でのエンタルピーiKと目標温湿度tのエンタルピーitの差の方が小さく、冷却除湿すべき負荷が小さく省エネルギーとなる。この様にiRA−iOA<αという条件で換気扇を動作させるだけで目標温度に到達する時には除湿も行われると言う簡単な制御になる。
上記の説明では、加熱手段4としてヒータを有する構成としたが、この加熱手段4は例えば空気を数℃〜20℃程度加熱できるものであればよく、ヒータに限るものではない。図30は加熱手段として一般に再熱方式と称されているものであり、冷媒との熱交換によって空気を加熱するものの、構成の一例を示す説明図である。図において、3a、3bは2台の室内熱交換器、26bは冷凍サイクルの室外ユニット8に置かれた膨張弁とは異なる減圧手段である膨張弁である。
図において、例えば実施の形態1の冷房運転の時で外気温湿度がゾーン(1)または(2)の領域にあり、リターン空気温湿度RAから目標吹出し空気温湿度SA*へのベクトルの延長線が飽和線と交差しない時、または外気温湿度がゾーン(3)の領域にあり、外気温湿度OA3から目標吹出し空気温湿度SA*へのベクトルの延長線が飽和線と交差しない時、冷凍サイクルで目標吹出し空気温湿度SA*を実現するのは不可能であった。このとき冷凍サイクルによって湿度は目標と一致させて温度の低い出口側空気とし、この空気を加熱して目標吹出し空気温湿度SA*を実現出来る。図30のように2台の室内熱交換器3a、3bを備え、一方の室内熱交換器3aを凝縮器、他方の室内熱交換器3bを蒸発器として動作させる。蒸発器として動作する室内熱交換器3bを例えば空気流路の上流側に配置し、凝縮器として動作する室内熱交換器3aを例えば空気流路の下流側に配置する。この2台の室内熱交換器3a、3bの間には、膨張弁26bを設けている。
以下、図30に示した冷凍サイクルの冷房運転時の動作について説明する。圧縮機で圧縮された高圧ガス冷媒は、圧縮機の吐出口から四方弁を介して室外熱交換器へ流通し、ここで室外ファンで吹きつけられる外気に放熱する。そして冷媒は凝縮し、高圧液冷媒となって室外熱交換器から流出する。その後室外機に設けられた膨張弁26で中間圧まで減圧し、一部ガスとなって冷媒配管を流通して室内ユニット1の室内熱交換器3aへ流入する。この室内熱交換器3aで冷媒はさらに凝縮すると共に室内熱交換器3aの冷媒配管の周囲を流れる空気を加熱する。その後室内熱交換器3aから流出した冷媒は膨張弁26bで低圧にまで減圧され、低圧二相冷媒となる。さらに低圧二相冷媒は室内熱交換器3bへ流通し、ここで採熱して蒸発する際に周囲を流れる空気と熱交換することによって室内空気を冷却除湿する。そして冷媒は、室内熱交換器3bから低圧ガス冷媒となって流出した後、冷媒配管7を通って室外ユニット8に流通し、四方弁22を介して圧縮機の吸入口へと戻る。このような動作によって室内熱交換器3aは加熱手段となり、室内熱交換器3bでは冷熱が得られる。
このような再熱方式の加熱手段を用いることで、空気調和装置の冷媒に例えば炭化水素やR290などの可燃性冷媒を用いても、冷媒が燃焼することがなく、安全な空気調和装置とすることができる。近年、地球環境保全の観点から、オゾン層を破壊せず、温暖化係数も0である冷媒を用いる要求が高まっている。R290はこの条件を満足するものであるが、問題点はその性質が可燃性を有することである。本実施の形態のように構成すれば、新鮮な外気を積極的に効果的に利用でき、省エネルギーであり、健康にも良好で、さらに可燃性を有する冷媒でも安全に使用することができる空気調和装置が得られる。またこの発明において、送風機により循環する空気に加熱または冷却または加湿または除湿を行う熱交換器は、既に説明してきたように冷媒を循環させる冷媒サイクルに設けられ空気の温度および空気中の水蒸気成分量を変化可能な熱交換器であっても良いし、空気の温度だけを変化させることが出来るオイルヒータのような単なるヒータでも良いし、主として空気中の水蒸気成分を変化させることが出来る吸着式の除湿機、或いはこれらの組み合せでも室内を循環させる空気の温湿度に影響を与える複数の種類の装置を設けた場合でも本発明が成り立つことは明らかである。
図31は空調装置を説明する図であって、天井20には吸込みグリル35から吸込んだ空気をダクト48を介して別の個所へ補助グリルの吹出しグリル34を設けた室内の空気を空調する空調機1とダクト36で外気を吸気する天井埋め込み換気扇46が設けられている。この様に空調機にダクトを介して補助グリルや循環送風機等を設け、室内の他の場所や穂かの部屋へ一つの空調機により空調された空気を送風することも出きる。室内に温調された空気を循環させる方法としては空調機の存在する部屋の中で扇風機を運転する方法等があるが部屋の部分的空気を利用しての循環にとどまり冷房や暖房の効果が限定され、かつ、あまり広い範囲では効果がなくなったり別の部屋を一緒に行うことも出来ないが、本発明の装置ではダクトを介して循環送風機等で必要な場所に温調された空気を効果的にしかも低騒音で循環させることが出来る。ダクトを通じて別の部屋の空調や、複数の部屋や廊下などの調温を簡単な設備で行うことが出来る。各部屋の空調は本発明の湿度調整する装置を設け湿度調整された空気調和を行ってもよいことは当然である。更に室内には、室内の空気の温湿度に影響する加湿器50やヒーター51が設けられていても検出したり制御する空気の温湿度の数が増えるだけでエンタルピーなどによる制御は本発明の制御で行うことが出来る。
この発明は、空気調和装置で室内空気を冷房または暖房することで室内空気の温度または湿度を関連して変化させ、目標値である温度および湿度に接近するように室内の空気調和を行い、外気の導入量を調整し得る外気導入手段で外気を室内に導入し、外気の温度および湿度、室内空気の温度および湿度、並びに室内空気の目標値である温度および湿度に基づいて、外気の導入量を変えることにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができる。
またこの発明は、外気のエンタルピーが室内空気のエンタルピーよりも大きい場合に外気導入手段を閉止して外気の導入量を最小にすることにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができ、さらに無駄な仕事をすることなく省エネルギー化を実現できる。
またこの発明は、外気のエンタルピーが室内空気のエンタルピーよりも小さく、かつ外気の温度と湿度が前記室内空気の温度と湿度から目標値である温度と湿度への変化の延長線よりも低温側である場合に、外気と室内空気を混合した混合空気の温度と湿度から目標値である温度と湿度へ接近させる際の、温度の変化量に対する湿度の変化量が大きくなるように外気の導入量を調整することにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができ、さらに無駄な仕事をすることなく省エネルギー化を実現できる。
またこの発明は、外気のエンタルピーが室内空気のエンタルピーよりも小さく、かつ外気の温度と湿度が室内空気の温度と湿度から目標値である温度と湿度への変化の延長線よりも低湿側である場合に、外気と室内空気を混合した混合空気の温度と湿度から目標値である温度と湿度へ接近させる際の、温度の変化量に対する湿度の変化量が小さくなるように外気の導入量を調整することにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができ、さらに無駄な仕事をすることなく省エネルギー化を実現できる。
またこの発明は、熱輸送手段によって輸送された温熱または冷熱と吸込み空気とを熱交換して吸込み空気の温度と湿度の少なくともどちらか一方を変化させる室内熱交換器と、この室内熱交換器による熱交換後の空気を吹出し空気として室内に吹出す室内ファンと、室外から外気を導入する外気導入手段と、外気の温度を検知する外気温度検知手段と、外気の湿度を検知する外気湿度検知手段と、室内空気の温度を検知する室内温度検知手段と、室内空気の湿度を検知する室内湿度検知手段と、室内の空調負荷を検知する室内空調負荷検知手段と、外気の温度と湿度から得られた外気状態、室内空気の温度と湿度から得られた室内空気状態、室内空調負荷検知手段で得られた室内空調負荷、目標室内空気温度と目標室内空気湿度とから得られた目標室内空気状態、の外気状態、室内空気状態、室内空調負荷、目標室内空気状態に基づいて外気を室内に取り込む外気導入量並びに室内熱交換器での吸込み空気から吹出し空気への間の温度および湿度の変化量を設定する運転動作設定手段と、運転動作設定手段で設定した外気導入量になるように外気導入手段を運転制御する外気量制御手段と、運転動作設定手段で設定した吸込み空気から吹出し空気への間の温度および湿度の変化量を得るように熱輸送手段の運転動作を制御する運転動作制御手段を備えたことにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができる。
またこの発明は、運転動作設定手段で、外気温度検知手段で検知した外気温度と外気湿度検知手段で検知した外気湿度とから求める外気エンタルピーが、室内空気温度検知手段で検知した室内空気温度と室内空気湿度検知手段で検知した室内空気湿度とから求める室内空気エンタルピーよりも小さいときに、外気を導入するように設定することにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができ、さらに無駄な仕事をすることなく省エネルギー化を実現できる空気調和装置が得られる
またこの発明は、運転動作設定手段で、湿り空気線図において、外気の温湿度が、室内空気温湿度と目標室内空気温湿度を結ぶ線よりも低温側のとき、外気を導入して主に室内空気の温度を低下させ、室内熱交換器での冷媒との熱交換よって主に室内空気の湿度を低下させるように設定することにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができ、さらに無駄な仕事をすることなく省エネルギー化を実現できる空気調和装置が得られる
またこの発明は、運転動作設定手段で、湿り空気線図において、外気の温湿度が、室内空気温湿度と目標室内温湿度を結ぶ線よりも低湿側のとき、外気を導入して主に室内空気の湿度を低下させ、室内熱交換器での冷媒との熱交換よって主に前記室内空気の温度を低下させるように設定することにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができ、さらに無駄な仕事をすることなく省エネルギー化を実現できる。
またこの発明は、室内熱交換器の下流側の空気流路に設けられ、前記室内熱交換器から流出した空気を加熱する加熱手段を備えたことにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができ、さらに無駄な仕事をすることなく省エネルギー化を実現できる空気調和装置が得られる。
またこの発明は、加熱手段を、ヒータ、または冷媒との熱交換によって空気を加熱するものとしたことにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができ、さらに無駄な仕事をすることなく省エネルギー化を実現できる。
またこの発明は、外気導入手段を少なくとも外気導入口開閉機構を有するものとし、外気導入口開閉機構を開閉することにより、または外気導入口開閉機構の開度を調節することにより、外気導入量を可変にしたので、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができ、さらに細かく制御を行って省エネルギー化を実現できる。
またこの発明は、熱輸送手段を、圧縮機と熱源側熱交換器と減圧手段と利用側熱交換器とを冷媒配管によって連結し冷媒を循環させる冷凍サイクルを備え、室内熱交換器を前記利用側熱交換器で構成して冷媒配管を流れる冷媒によって室内熱交換器に冷熱または温熱を輸送するものとしたことにより、もしくは室内熱交換器を利用側熱交換器とは別の熱交換器で構成して利用側熱交換器での冷熱または温熱を前記別の熱交換器に輸送する循環路を有するものとしたことにより、既存のエネルギー効率の高い冷凍サイクルを利用して、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができる。
またこの発明は、湿り空気線図上で、外気の温湿度と室内空気の温湿度間で前記外気の導入量に応じて変化する温湿度の空気を吸込み空気とし、目標吹出し空気として設定された温湿度の空気を吹出し空気とし、吸込み空気から吹出し空気への温湿度の変化を制御ベクトルとし、制御ベクトルの延長が冷媒温度の許容範囲から制限される範囲の飽和線の温湿度に至るように吸込み空気の温湿度と許容範囲内の冷媒温度とを設定することにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用でき、さらに外気を積極的に利用する際の空気調和装置の制御に際し、空気温度と共に空気湿度を関連させて快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができる空気調和装置の制御方法が得られる。
またこの発明は、制御ベクトルの延長が冷媒温度の許容範囲から制限される範囲の飽和線の温湿度に至るように、かつ空気調和装置の入力が最小となるように、吸込み空気の温湿度と許容範囲内の冷媒温度とを設定することにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用でき、さらに省エネルギー化を実現できる。
またこの発明は、吸込み空気のエンタルピーが室内空気のエンタルピー以下となるように吸込み空気の温湿度を設定して外気の導入量を制御することにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができ、さらに無駄な仕事をすることなく省エネルギー化を実現できる。
またこの発明は、外気の温湿度が、室内空気から目標吹出し空気への温湿度の変化の延長線よりも低温側の領域の場合、吸込み空気の温度が目標吹出し空気の温度に接近するように、または制御ベクトルの傾斜が大きくなるように、外気の導入量を制御することにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができ、さらに無駄な仕事をすることなく省エネルギー化を実現できる。
またこの発明は、外気の温湿度が、室内空気から目標吹出し空気への温湿度の変化の延長線よりも低湿側の領域の場合、吸込み空気の湿度が目標吹出し空気の湿度に接近するように、または制御ベクトルの傾斜が小さくなるように、外気の導入量を制御することにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができ、さらに無駄な仕事をすることなく省エネルギー化を実現できる。
またこの発明は、湿り空気線図上で、外気の温湿度と室内空気の温湿度間で外気の導入量に応じて変化する温湿度の空気を吸込み空気とし、目標吹出し空気として設定された温湿度の空気を吹出し空気としたときの、吸込み空気から吹出し空気への温湿度の変化の延長が冷媒温度の許容範囲から制限される範囲の飽和線の温湿度から外れる場合、吹出し空気の湿度の目標値と同レベルの湿度の空気を吹出し空気としたときの、吸込み空気から吹出し空気への温湿度の変化を制御ベクトルとし、制御ベクトルの延長が冷媒温度の許容範囲から制限される範囲の飽和線の温湿度に至るように吸込み空気の温湿度と許容範囲内の冷媒温度とを設定し、吹出し空気の温度が目標吹出し空気の温度よりも低い場合に加熱して目標吹出し空気の温度とするように加熱量を設定することにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用でき、さらに外気を積極的に利用する際の空気調和装置の制御に際し、空気温度と共に空気湿度を関連させて快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができる。
またこの発明は、制御ベクトルの延長が冷媒温度の許容範囲から制限される範囲の飽和線の温湿度に至るように、かつ空気調和装置の入力が最小となるように、吸込み空気の温湿度と許容範囲内の冷媒温度とを設定することにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用でき、さらに省エネルギー化を実現できる。
またこの発明は、外気の温湿度と室内空気の温湿度間で吸込み空気の温湿度を変更し、または、目標吹出し空気の湿度と同レベルである湿度で吹出し空気の温度を変更し、制御ベクトルの長さである空調能力と加熱量とのエネルギー総量が小さくなるように制御ベクトルを設定することにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用でき、無駄な仕事をすることなく省エネルギー化を実現できる。
またこの発明は、外気のエンタルピーが室内空気のエンタルピーよりも大きい外気の領域と、外気のエンタルピーが室内空気のエンタルピーよりも小さい外気の領域と、の領域に応じて外気の導入量を設定することにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用でき、さらに外気を積極的に利用する際の空気調和装置の制御に際し、空気温度と共に空気湿度を関連させて快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができ、制御しやすい。
またこの発明は、外気の温湿度が室内空気から目標吹出し空気への温湿度の変化の延長線よりも低温側である領域と、外気の温湿度が室内空気から目標吹出し空気への温湿度の変化の延長線よりも低湿側である領域と、の領域に応じて、冷凍サイクルの空調能力を設定することにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができ、さらに無駄な仕事をすることなく省エネルギー化を実現できる。
またこの発明は、外気のエンタルピーが室内空気のエンタルピーよりも大きい外気の領域と、外気のエンタルピーが室内空気のエンタルピーよりも小さく、かつ外気の温湿度が室内空気から目標吹出し空気への温湿度の変化の延長線よりも低温側である領域と、外気のエンタルピーが室内空気のエンタルピーよりも小さく、かつ外気の温湿度が室内空気から目標吹出し空気への温湿度の変化の延長線よりも低湿側である領域と、の3つの領域に応じて、外気の導入量並びに冷凍サイクルの空調能力および冷媒温度を設定することにより、室外の空気状態に応じて外気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間を得るように空気調和を行うことができ、さらに無駄な仕事をすることなく省エネルギー化を実現できる。
またこの発明は上記のように再熱をヒーターや冷凍サイクルの熱交換器を利用して行う説明をしてきたが、図29で説明した運転方法に検出値をさらに簡略させて設定温度を若干、たとえば−2゜C程度下げて除湿を有効に行うことができる。まずセンサーとして、外気温度TOAとリターンエアーの吸い込み温度TRAの2点を実際に計測する。外気の温湿度におけるエンタルピーiOAを得るためには、外気の湿度が必要であるが、外気湿度検出手段としてこれは演算にて求められる。たとえば年間気象データ頻度表から、平均相対湿度をマイコンに記憶させることができる。さらに湿度の値の精度を上げるため、標準気象データの温湿度データを利用し外気湿度として、φOA=φ(TOA)としてもよい。すなわち検出した外気温度に応じて外気湿度の平均値を変えて求めた値を外気湿度として、外気の温湿度を得て、外気のエンタルピーiOA=f(TOA,φOA)が演算できる。
次に吸い込み空気の湿度は目標湿度、たとえば相対湿度60%とする。検出された吸い込み温度TRAと目標湿度を吸い込み空気の検出湿度に置き換える演算により吸い込み空気の温湿度が演算されて、吸い込み空気のエンタルピーiRA=f(TRA,60%)が演算できる。このように外気温度センサー、吸い込み空気温度センサー、外気湿度演算手段、吸い込み空気湿度演算手段殻得たデータにより、外気エンタルピー演算手段、吸い込み空気エンタルピー演算手段で各エンタルピーを求め、図29で説明した、iRA−iOA<αという判定手段にて、この条件を満足するときに換気扇を動作させる信号が発せられる。この結果簡単な検出センサーを用いるだけで、目標温度と目標湿度を設定し、外気及び吸い込み空気の温湿度からエンタルピーを演算するとともにこのエンタルピーにより前記空気調和手段および前記換気手段を制御する制御手段により、設定された温度への空調装置の運転が行われ、目標温度に到達するときに図29で説明したように温湿度データを基にした除湿が行える。さらに、外気を利用した効果的な除湿も一緒に行うことができて、温度と湿度の空調をエアコンと換気扇を利用して少ないエネルギーで行うことができ、快適な室内空気の状態を簡単な装置と簡単な制御で効率よく行うことができる。
以上のように、本発明によれば、室内に吸込み口と吹出し口を有し、送風機により室内空気を吸込み口から吸込んで前記吹出し口から吹出して循環させる室内空気の温度および湿度を変化させて空気調和を行う空気調和手段と、室外から室内に外気を導入または室内から室外へ空気を排気する開口およびこの開口を開閉する開閉手段または通風量を調整する通風調整手段を有する換気手段と、換気手段から導入される外気の温度を検出する外気温度検出手段と、換気手段から導入される外気の湿度を検出する外気湿度検出手段と、空気調和手段へ室内から吸込む空気の温度を検出する吸込み温度検出手段と、空気調和手段の室内熱交換器温度を検出する室内熱交換器温度検出手段及び室内に循環する空気の温度を検出する室内温度検出手段の少なくともどちらかと、外気温度検出手段、外気湿度検出手段、吸込み温度検出手段、及び、室内熱交換器温度検出手段と室内温度検出手段の少なくともいずれか、から検出した温度および湿度により空気調和手段および換気手段を制御する制御手段と、を備え、室内空気の温度を目標値である温度に接近させるようにするので、外気を有効に活用出来、運転時のエネルギーを押さえた空気調和装置が得られる。
また、本発明によれば、室内に吸込み口と吹出し口を有し、送風機により室内空気を前記吸込み口から吸込んで前記吹出し口から吹出して循環させる室内空気の温度および湿度を変化させて空気調和を行う空気調和手段と、室外から室内に外気を導入または室内から室外へ空気を排気する開口およびこの開口を開閉する開閉手段または通風量を調整する通風調整手段を有する換気手段と、換気手段から導入される外気の温度を検出する外気温度検出手段と、換気手段から導入される外気の湿度を検出する外気湿度検出手段と、空気調和手段へ室内から吸込む空気の温度を検出する吸込み温度検出手段と、空気調和手段へ室内から吸込む空気の湿度を検出する吸込み湿度検出手段と、室内に循環する空気の温度を検出する室内温度検出手段と、室内に循環する空気の湿度を検出する室内湿度検出手段と、外気温度検出手段、外気湿度検出手段、吸込み温度検出手段、吸込み湿度検出手段、室内温度検出手段、および室内湿度検出手段の検出した温度および湿度により空気調和手段および換気手段を制御する制御手段、を備え、室内空気の温度と湿度を目標値である温度と湿度に接近させるようにするので、外気を有効に活用して健康的な空気調和が、エネルギーの少ない状態で得られる。
また、本発明によれば、制御手段は検出した各空気の温度と湿度を関連させながら、制御するので、温度と湿度を同時に効率よく制御出来る空気調和装置が得られる。
また、本発明によれば、室内に循環する空気の温度を検出する室内温度検出手段と、および、室内に循環する空気の湿度を検出する室内湿度検出手段と、の少なくとも一方は、吹出し口近傍にて室内に循環する空気の温度および湿度の少なくとも一方を検出するので、確実な制御が可能な空気調和装置が得られる。
また、本発明によれば、室内を循環する空気の温度を検出する室内温度検出手段と、および、室内を循環する空気の湿度を検出する室内湿度検出手段と、の少なくとも一方は、換気手段から導入される空気と吹出し口から吹出される空気との混合した空気の温度および湿度の少なくとも一方を検出するので、確実な制御が可能な空気調和装置が得られる。
また、本発明によれば、室外から室内への換気および室内から室外への排気の両方が可能な送風手段を備えているので、室内の良好な環境を維持し易い空気調和装置が得られる。
また、本発明によれば、換気手段は、熱交換可能な換気扇であるので、更に省エネルギーを達成出来る空気調和装置が得られる。
また、本発明によれば、室内に吸入口と吹出し口を有し、送風機により室内空気を吸入口から吸込んで吹出し口から吹出させる空気調和装置にて室内空気を循環させて室内の温度および湿度を変化させて空気調和を行うステップと、室外から室内に外気を導入または室内から室外へ空気を排気する開口およびこの開口を開閉する開閉手段またはこの開口を通風する通風量を調整する通風調整手段とを有する換気手段にて室外と室内間の換気を行うステップと、外気の温度と外気の湿度と前記空気調和装置へ室内から吸込む空気の温度と、及び、空気調和装置の室内熱交換器の温度または室内に循環する空気の温度と、を検出するステップと、を備え、検出した温度および湿度により空気調和手段および換気手段を制御して、室内空気の温度および湿度を目標値である温度および湿度に接近させるように、温度と湿度を一体で変化させるので外気を有効に活用出来、運転時のエネルギーの少ない空気調和方法が得られる。
また、本発明によれば、外気のエンタルピーと空気調和装置へ室内から吸込む空気のエンタルピーを求め両方のエンタルピーを比較するステップと、外気のエンタルピーが空気調和装置へ室内から吸込む空気のエンタルピより低い場合は換気手段にて外気を室内に導入するとともに冷凍サイクルを所定の条件で運転させるステップと、を備えたので、簡単な方法でエネルギーの少ない空気調和方法が得られる。
また、本発明によれば、室内に循環する空気のエンタルピーと空気調和装置へ室内から吸込む空気のエンタルピーを求め両方のエンタルピーから室内負荷を求めるステップと、この室内負荷と室内空気の温度と湿度の目標値と空気調和装置へ室内から吸込む空気の温度と湿度から、目標とする室内に循環する空気の温度と湿度を求めるステップと、換気手段にて外気を室内に導入するとともに冷凍サイクルを所定の条件で運転させるステップと、を備えたので、外気を利用して効果的な省エネルギー運転が可能な空気調和方法が得られる。
また、本発明によれば、室内に吸入口有し、送風機により室内空気を前記吸入口から吸込んで空気調和を行う空調機の吸込んだ空気の温度と湿度を検出するステップと、空調機の室内への吹出し口から吹出させ室内に循環させる空気の温度と湿度を検出するステップと、室外から室内に外気を導入する外気の温度と湿度を検出するステップと、室内空気の目標値である温度と湿度を設定するステップと、室内空気の目標値を達成させ、且つ、冷凍サイクルのエネルギーを小さくするため、室内熱交換器に直接吸込む室内空気と外気が混合された空気の温湿度の目標値を設定するステップと、を備えたので、信頼性が高く、且つ、エネルギーの少ない空気調和方法が得られる。
また、本発明によれば、室内に吸入口有し、送風機により室内空気を前記吸入口から吸込んで空気調和を行う空調機の吸込んだ空気の温度と湿度を検出するステップと、空調機の室内への吹出し口から吹出させ室内に循環させる空気の温度と湿度と風量を検出するステップと、室外から室内に外気を導入する外気の温度と湿度と風量を検出するステップと、室内空気の目標値である温度と湿度を設定するステップと、室内空気の目標値を達成させ、且つ、冷凍サイクルのエネルギーを小さくするため、室内熱交換器から直接吹出す空気の温湿度の目標値を設定するステップと、を備えたので、使い勝手が良く無駄なエネルギーを利用しない空気調和方法が得られる。
また、本発明によれば、冷凍サイクルの蒸発温度を所定の値に設定して、または、顕熱比を所定の値に設定して、空気調和装置を運転させるステップと、を備えたので、確実な制御が可能で、省エネルギーを確実に達成出来る空気調和方法が得られる。
また、本発明によれば、室内熱交換器に直接吸込まれる空気の温湿度と室内熱交換器から直接吹出される空気の温湿度の両者のエンタルピーの差が小さくなるように冷凍サイクルを運転するので、省エネルギーを確実に達成出来る空気調和方法が得られる。。
また、本発明によれば、室内に吸入口と吹出し口を有し、送風機により室内空気を吸入口から吸込んで吹出し口から吹出して循環させる室内空気の温度および湿度を変化させて室内熱交換器により空気調和を行う空気調和手段と、室外から室内に外気を導入または室内から室外へ空気を排気する開口およびこの開口を開閉する開閉手段またはこの開口を通風する通風量を調整する通風調整手段を有する換気手段と、換気手段から導入される外気の温度を検出する外気温度検出手段と、換気手段から導入される外気の湿度を検出する外気湿度検出手段と、空気調和手段へ室内から吸込まれる空気の温度を検出する吸込み温度検出手段と、室内空気の温度目標値を設定する室内吸い込み温度設定手段と、室内空気の湿度目標値を設定する室内吸い込み湿度設定手段と、外気及び吸い込み空気の温湿度からエンタルピーを演算するとともに演算されたエンタルピーにより空気調和手段および換気手段を制御する制御手段と、を備え、室内空気の温度を目標値である温度に接近させるので、簡単な装置で快適な空調と、省エネルギーを達成できる空気調和装置が得られる。
また、本発明によれば、室内に吸入口と吹出し口を有し、送風機の回転により室内空気を吸入口から吸込んで吹出し口から吹出させ、室内の温度および湿度を熱交換器の能力により変化させて冷房や暖房などの運転を行う空気調和手段と、空気調和手段に接続され、送風機の回転および熱交換器の能力を調整して室内の温度および湿度を目標値である温度および湿度の少なくとも一つに接近させるように設定する目標値設定手段と、目標値設定手段の設定する目標値を複数の帯域からなるゾーンとし、空気調和手段の運転の状態に応じて目標値の複数の帯域からゾーンの幅を選択可能とするので、快適な室内の空気調和が得られる。
また、本発明によれば、室内に吸入口と吹出し口を有し、送風機の回転により室内空気を前記吸入口から吸込んで吹出し口から吹出させ、室内の温度および湿度を熱交換器の能力により変化させて冷房や暖房などの運転を行う空気調和手段と、室内と室外の間を通風可能な開口およびこの通風を行う換気ファンを有し室内の換気を行う換気手段と、空気調和手段および換気手段に接続され、送風機の回転および熱交換器の能力および換気ファンの回転を調整して室内の温度および湿度を目標値である温度および湿度に接近させるように制御する制御手段と、を備え、空気調和手段または前記換気手段からダクトを介して他の個所または他の部屋へ送風可能にするとともに、送風手段および換気手段を制御手段にて温度と湿度を一体に制御するので、多くの個所やお奥の部屋を一括して効率の良い空気調和を可能にする。