JP2006275509A - 空気調和装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 外気導入手段6で外気を室内に導入し、室内熱交換器3で室内空気と外気が混合した吸込み空気と冷媒とを熱交換して室内に吹出し、目標室内空気の温湿度に近づける。室内に導入する外気導入量と室内熱交換器3での空調能力及び冷媒温度を、外気温湿度検知手段11、12で検知した外気温湿度と、室内空気温湿度検知手段9、10で検知した室内空気温湿度と、室内空調負荷検知手段で検知した室内空調負荷と、目標室内空気温湿度と、に基き設定する。設定した外気導入量になるように外気導入手段6を制御し、設定した空調能力及び冷媒温度となるように熱輸送手段7、8、室内ファン5の運転動作を制御する。
【選択図】 図1
Description
また、室内制御器はリモートコントローラー等により換気運転が選択された時に、オン信号を換気ファン100と換気ダクト110のダンパに与えて動作せしめ、新鮮な外気を室内ユニット1内へ導入するように動作する。この外気を導入する場合には、外気温検出値、室温検出値、外気導入量、室内への送風量に基づいて室温を補正し、導入した外気の温度変動に応じた適切な空調能力に制御するように図っている。
このような従来の空気調和装置では、外気温度と室内温度だけで外気の導入の制御が行なわれており、例えば、室内温度より外気温度が低くかつ室内湿度より外気湿度が高い場合に外気を導入すると、室内の湿度が上がってしまい、その湿度を下げるためには空気調和装置で無駄な仕事が行われることになるという問題があった。
また、外気を積極的に導入するのは、例えば冷房の場合に外気温度が室内温度よりも低い時に送風として利用しているだけであった。ところが梅雨の時期などで外気温度が室内温度よりも高くても外気湿度が室内湿度よりも低い場合には、低湿の外気を導入して室内を快適空間とすることに利用できるなど、もっと外気を積極的に利用してエネルギーの有効利用を図ることができる。
また、湿度に関係なく温度のみで空調能力の制御を行うため、特に梅雨などの湿度の高い時期には快適な室内空間を得ることができなかった。
また、換気ファンがオンオフ制御であるため、風量が固定してしまい、外気の状態によっては空気調和装置に無駄な仕事をさせることとなる。即ち、省エネルギーの観点からは無駄な仕事が行われるという問題点があった。
また、外気を積極的に利用する際の空気調和装置の動作および制御に際し、空気温度と共に空気湿度を関連させて制御し、快適な室内空間が得られるように空気調和を行うことができる空気調和装置の制御方法を得ることを目的とするものである。
また、外気導入量を空調目標に最適な量とし、無駄な仕事をすることなく省エネルギー化を実現できる空気調和装置の制御方法を得ることを目的とするものである。
以下、本発明の実施の形態1による空気調和方法および空気調和装置および空気調和装置の制御方法について説明する。図1は本発明の実施の形態1に係る空気調和装置を示す全体構成図であり、図2は、冷熱または温熱を得るための既存のエネルギー効率の高い蒸気圧縮式冷凍サイクルの構成の一例を示す冷媒回路図である。
本発明は、室内空気の温度または湿度を、目標値である温度および湿度に接近するように空気調和を行って室内空気を冷房または暖房する空気調和装置で、新鮮な室外空気を導入しこれを効果的に利用して快適な室内空間が得られるように空気調和を行うものである。特に、外気を積極的に利用する際の空気調和装置の動作および制御に際し、空気温度と共に空気湿度を考慮することを特徴としている。この空気温度と空気湿度を関連させながら制御する際の基本となるものは、一般によく知られている湿り空気線図である。以下、この湿り空気線図について簡単に記載する。
図3は、文献(「冷凍および空気調和」第17版、昭和62年4月20日、養賢堂発行)の第199頁に記載されている湿り空気線図の骨子を示す図である。湿り空気線図は一般の空気である湿り空気の状態を示す図で、湿り空気のエンタルピiと絶対湿度xを斜交軸にとり、その上に多くの一定線を描いたもので、大気圧が760mmHgのときのものである。乾球温度を一定とすればiとxとは直線関係で表すことができ、等温度線(t線)は直線となる。等エンタルピー線(i線)がx線となす角度は、iとxとのメモリを適当に選んでt=0℃の線がx線に直交するように定めてある。曲線Hは飽和線と称するもので、相対湿度が100%のときの絶対湿度と温度を示している。この飽和線から右の領域では水蒸気は過熱蒸気の状態にあり、空気の温度が下がって過熱蒸気が冷却されると、飽和線にいたって凝縮をはじめることが解る。このように湿り空気線図では湿り空気の状態変化を簡単に知ることができるので、これに基づいて実際に検知した外気状態と室内空気状態から、外気を積極的に室内に導入して室内の空気調和に効果的に利用する。
加熱手段4は、本実施の形態では例えばヒータであり、図1に示すように室内熱交換器3の出口と室内ファン5の入口の間の空気流路に配設されている。室内熱交換器3の下流側の空気流路に設けられたヒータ4によって、室内熱交換器3で熱交換された空気の温度が低すぎる場合にその空気を加熱する。また外気導入手段6は、所定の時間間隔でダンパ17の開閉を行ったり、電気的にダンパ17の開度を段階的または連続的に変えて調節したり、ファン16の回転数を変化させてファンの速度を変えることで、外気導入量を可変に調整制御できる。
以下、この蒸気圧縮式冷凍サイクルで室内熱交換器3において室内の冷房を行う場合の冷媒流通の動作について説明する。室内を冷房する場合には室外熱交換器23を凝縮器、室内熱交換器3を蒸発器として動作させ、四方弁22は実線のように接続する。
圧縮機21で圧縮された高圧ガス冷媒は、圧縮機21の吐出口から四方弁22を介して室外熱交換器23へ流通し、ここで室外ファン24で吹きつけられる外気に放熱する。そして冷媒は凝縮し、高圧液冷媒となって室外熱交換器23から流出する。その後膨張弁25へ流通して断熱膨張され、低圧二相冷媒となる。さらに低圧二相冷媒は冷媒配管7を循環して室内熱交換器3へ流通し、ここで採熱して蒸発する際に室内空気と熱交換することによって室内を冷房する。そして冷媒は、室内熱交換器3から低圧ガス冷媒となって流出した後、冷媒配管7を通って室外ユニット8に流通し、四方弁22を介して圧縮機21の吸入口へと戻る。このような動作によって室内熱交換器3では冷熱が得られる。
この室内熱交換器3での冷媒の蒸発温度と室内空気の温度および湿度によって、室内空気の温度および湿度変化量が決まるのであるが、空気調和装置それぞれの構成や冷凍サイクルの能力によって、冷媒の蒸発温度には実現し得る温度の許容範囲がある。一般的に空気調和を行うための冷凍サイクルでは各機器の耐熱性や露対策などから蒸発温度の下限を10℃程度とし、この温度以上で信頼性のよい運転を行う。
圧縮機21で圧縮された高圧ガス冷媒は、圧縮機21の吐出口から四方弁22を介して冷媒配管7を通って室内ユニット1の室内熱交換器3へ流通し、ここで放熱して凝縮する際に室内空気と熱交換することによって室内を暖房する。そして冷媒は、室内熱交換器3から高圧液冷媒となって流出し、室外ユニット8の膨張弁25で断熱膨張されて低圧二相冷媒となり室外熱交換器23へ流入する。さらに冷媒は室外熱交換器23で室外ファン24によって吹きつけられる外気から採熱して蒸発し、低圧ガス冷媒となって流出した後、四方弁22を介して圧縮機21の吸入口へと戻る。このような動作によって室内熱交換器3で温熱が得られる。
また、15は室内ユニット1内に設けた電子箱で、例えば1つまたは複数のマイクロプロセッサが格納され、室内空調負荷検知手段と運転動作設定手段と外気量制御手段と運転動作制御手段の動作を行う。この動作については後で詳しく述べる。
外気OA(温度TOA、湿度XOA、風量VOA)が室内ユニット1の吸込み側に導入され、リターン空気RA(温度TRA、湿度XRA、風量VRA)と混合されて吸込み空気KA(温度TKA、湿度XKA、風量VRA+VOA)として室内熱交換器3に流入している。室内熱交換器3には熱輸送手段である冷媒配管7を通る冷媒によって、温熱または冷熱が輸送され、室内熱交換器3内の冷媒配管の周囲を空気が流れる際に熱交換される。室内熱交換器3で蒸発温度ET[℃]の冷媒と熱交換した吸込み空気KAは、その温度または湿度の少なくともどちらか一方が変化し、場合によってはヒータ4で加熱されてまたはそのままの温度で室内ユニット1から吹出し空気SA(温度TSA、湿度XSA、風量VRA+VOA)として室内に流出する。この吹出し空気SAは室内2を循環する間に室内負荷の顕熱SH[kcal/h]、即ち温度を変化させるものと、潜熱LH[kcal/h]、即ち絶対湿度を変化させるものとによって、負荷を受けて再びリターン空気RAとなり、外気OAと混ざって室内熱交換器3に流入する。
また、室内は通常密閉されているわけではなく、余分な室内空気は部屋の隙間や排気口などから自然に室外へ流出する。その場合には室内2は加圧となるため、隣接している他の部屋からの匂いや塵埃などが流入するのを防止できる。また、外気を導入すると共に室内空気を換気扇などで機械的に排出するように部屋2を構成してもよい。その場合には室内圧のバランスを保つことができ、外気の導入もスムーズかつ確実に行うことができる。
室内空調負荷検知手段31は室内空調負荷QLを検知するもので、例えばリターン空気の温度TRAとリターン空気の湿度XRAからリターン空気のエンタルピーiRAを求め、同様に吹出し空気の温度TSAと吹出し空気の湿度XSAから吹出し空気のエンタルピーiSAを求め、下記に示す式1に基づいて、室内空調負荷QL(SH、LH)、QL=SH+LHを検知する。例えば冷房時には室内空調負荷QLは式1によって演算で求められる。
QL = (VRA+VOA)・ρ・(iRA−iSA) …(1)
VRA :リターン空気風量
VOA :外気風量
ρ :密度
iRA :リターン空気のエンタルピ−
iSA :吹出し空気のエンタルピー
このとき、外気を総風量の100%、即ち外気のみを室内ユニット1に吸込む場合には、例えば外気導入手段のファン16を最大の高速運転、室内ファン5を超微風の低速運転とすることで、外気を100%の割合で室内に取り込むことができる。外気の取り込み量が100%以下の時には、外気導入量と室内ユニットから吹出す総風量を調整することで、余分な室内空気は部屋の隙間から自然に室外へ流出し、総風量に対する外気の割合を制御できる。室内ユニット1から吹出す総風量は、室内ファン5の回転数を変化させて制御できる。
下記に示す式2は冷凍サイクルの動作を制御する方法の一例として、冷凍サイクルの目標空調能力変更量ΔQe*と冷媒の目標蒸発温度変更量ΔET*から、圧縮機周波数変更量Δfzと室内ファン5の回転数変更量ΔNiを求める式である。この式の係数a,b,c,dは、実験データや理論値を加味して予めシュミレーションで求めてデータとして記憶させておけばよい。
この制御は一般に行われているVPM(vector pattern maching)制御であり、圧縮機の周波数fz、室内ファンの回転数Ni、空調能力Qe、蒸発温度ETの増加または減少の関係を示している。例えば周波数を上げると(Δfz>0)、空調能力は増加し(ΔQe*>0)、蒸発温度は下がる(ΔET*<0)。また、例えば室内ファンの回転数を上げると(ΔNi>0)、空調能力は増加し(ΔQe*>0)、蒸発温度は上がる(ΔET*>0)。
外気温度検知手段11と外気湿度検知手段12で検知した外気温度と外気湿度から外気エンタルピーを算出し、室内温度検知手段9と室内湿度検知手段10で検知したリターン空気温度とリターン空気湿度からリターン空気エンタルピーを算出する。そして、外気エンタルピーとリターン空気エンタルピーとを比較し、外気エンタルピーの方がリターン空気エンタルピーよりも小さい場合には、外気導入手段6から外気(外気温湿度OA)を導入する。なお、本実施の形態において外気を導入するかどうかは、エンタルピーと利用者の換気要求によって決まるのであるが、ここでは外気を導入した場合の基本的な室内空気の温湿度の変化の様子について説明する。
本実施の形態では室内熱交換器3の空気の出口側の空気流路にヒータ4を設けており、室内熱交換器3で除湿を行うために空気を冷却しすぎた場合には、このヒータ4で暖めることができる。ヒータ4を通過した空気は、吹出し空気(吹出し空気温湿度SA)となって室内ユニット1から室内へ吹出される。この後、室内ユニット1から吹出した空気には室内空調負荷QL(SH、LH)が加わり、再び室内ユニット1にリターン空気(リターン空気温湿度RA)として取り込まれる。なお、このリターン空気温湿度RAは初めのリターン空気温湿度とは多少状態が変化し、目標室内空気温湿度tに近づいているはずである。
|KA―RA|/|OA−RA| = y/(x+y)
= VOA/(VOA+VRA)
で得られる。またこのときの蒸発温度ET*、空調能力Qeに従って冷凍サイクルを運転制御する。
ここで、空調能力Qeをできるだけ小さくしているので、空気調和装置への入力を最小にでき、省エネルギーとなる。
本実施の形態では室内熱交換器3での運転動作を制御しやすくするため、目標室内空気温湿度tと室内空調負荷QLから吹出し空気の目標である目標吹出し空気温湿度SA*を設定し、室内熱交換器3からの吹出し空気温湿度が目標吹出し空気温湿度SA*に接近するように制御する。
SHF=(Q−QLH)/Q =顕熱/(顕熱+潜熱) …(3)
従って、SHFmaxでの運転は高顕熱運転、SHFminでの運転は最大除湿運転となる。例えば、除湿量が0ならSHF=1(高顕熱運転)であり、室温を全く下げないで除湿だけできればSHF=0(最大除湿運転)である。実際には除湿能力には限界があり、湿り空気線図で言えば、制御ベクトルの延長線と飽和線とが交わらない場合、除湿能力の限界を越えており、実現できない状態である。即ち、湿り空気線図上で室内熱交換器3への吸込み空気温湿度KAと出口側空気温湿度SAとを結ぶ直線を延長したとき、この直線と飽和線とが交差しない。このときには冷媒と熱交換しても室内熱交換器3の出口側では温湿度SAの空気は得られないことになる。また前にも記載したが一般的に空気調和を行うための冷凍サイクルでは各機器の耐熱性や露対策などから蒸発温度の下限を10℃程度とすることで、SHFの下限が制限されることもある。
リターン空気温湿度RAと外気温湿度OAを混合した混合空気である吸込み空気温湿度KAは、吸込み空気温湿度KAと目標吹出し空気温湿度SA*のエンタルピー差が小さくなるように選ぶ。
吸込み空気温湿度KAから目標吹出し空気温湿度SA*への制御ベクトルの傾きが、冷凍サイクルの顕熱比(SHF)の許容範囲内で、上記1.のエンタルピー差の小さいものを選ぶ。
冷凍サイクルの最大除湿運転SHFminでも除湿が足りず制御ベクトルを実現できない時には、目標吹出し空気の温度を下げて湿度は満足するように運転し、室内熱交換器3から流出する出口側空気を加熱手段で加熱して目標吹出し空気温湿度SA*になるように制御する。即ち、目標吹出し空気の湿度となるように室内熱交換器3の冷媒温度を設定し、室内熱交換器3でその温度の冷媒と熱交換した出口側空気が目標吹出し空気の温度よりも低温である場合に目標吹出し空気の温度まで加熱する。
さらに、上記の考え方の3.で加熱手段を用いる場合には、室内熱交換器で熱交換した空気を加熱手段で加熱する場合、室内熱交換器3での冷媒温度を得るための熱輸送能力と加熱量とのエネルギー総量が小さくなるように外気導入量を設定し、省エネルギーを図って運転制御を行う。即ち、空調能力Qeとヒータ4での入力エネルギーの総量が小さくなるように運転制御する。
本実施の形態では、湿り空気線図上で外気状態に応じて3つの領域に分け、それぞれの領域に対して処理し、外気導入量と空調能力と加熱量を設定する。図7は湿り空気線図での各ゾーンの領域を示す説明図、図8は外気状態による外気利用方法のゾーン分けの部分の処理手順を示すフローチャートである。図7に示すように、リターン空気温湿度RAと、目標吹出し空気温湿度SA*と、外気温湿度OAx(x=1〜3)の状態により外気をどう使うかについて、3つのゾーンに分けられる。ゾーン1は、リターン空気温湿度RAを通る等エンタルピー線(直線A)よりも上の領域で、外気温湿度OA1がリターン空気温湿度RAより高エンタルピーのときである。ゾーン2は、外気温湿度OA2がリターン空気温湿度RAより低エンタルピー、かつ、リターン空気温湿度RAと目標吹き出し温湿度SA*を結ぶ線(直線B)より低温側の領域である。ゾーン3は、外気温湿度OA3がリターン空気温湿度RAより低エンタルピー、かつ、RAとSA*を結ぶ線(直線B)より低湿側の領域である。
ST7で外気エンタルピーとリターン空気エンタルピーとを比較し、外気エンタルピーの方がリターン空気エンタルピーよりも大きい場合には、ゾーン1の運転となる(ST9)。ST7で外気エンタルピーとリターン空気エンタルピーとを比較した結果、外気エンタルピーの方がリターン空気エンタルピーよりも小さいまたは同じ場合には、リターン空気温湿度RAと目標吹出し空気温湿度SA*を結ぶ直線Bを引き、外気温湿度OAがこの直線Bの上側か下側になるかを判断する(ST8)。外気温湿度OAが、直線Bの上側即ちリターン空気温湿度RAより低温側の領域にあるときにはゾーン2(ST10)、直線Bの下側即ちリターン空気温湿度RAより低湿側の領域にあるときにはゾーン3(ST11)とする。
C x D = c1xd2 − d1xc2
の式で算出できる。これを利用して、外気温湿度OAが3つのどのゾーンに位置しているかを簡単に知ることができる。なお、C,Dはベクトルであり、大きさと方向を有する量である。
図9は外気温湿度OA1がゾーン1の領域、即ち外気温湿度OA1がリターン空気温湿度RAより高エンタルピーであるときの処理手順を示すフローチャートである。この場合には、外気を導入することにより、空調負荷が増加してしまうため、省エネルギー効果を重視する場合は外気を導入しない。例えばダンパ17を閉止し、ファン16を停止することで、外気導入手段6を閉止して室内からのリターン空気のみを循環させる。ただし、利用者の要求などにより換気が必要な場合には外気を導入してもよい。また、外気を導入しないように設定しても、実際には壁の隙間などで外気導入量が0にならない場合もあり、外気導入手段6で外気導入量が最小になるように運転すればよい。
ST61(運転制御ステップ)は、外気量制御手段33によって設定された外気量の外気を室内ユニット1に導入し、運転動作制御手段34によって設定された制御ベクトルに基づいて冷凍サイクルを運転する。また必要に応じてヒータ4を動作させる。実際には、圧縮機21の運転周波数、膨張弁25の開度、室内ファン5および室外ファン24の回転数、ヒータ4、外気導入手段6など、空気調和装置を構成する各機器部品が運転される。
ST21〜ST28、ST61を一定時間、例えば1分程度のサイクルで繰り返すことで、室内の空気状態は徐々に目標室内空気温湿度tになり、室内2の空気調和が行われる。
このゾーン2の領域は言いかえれば、外気エンタルピーがリターン空気エンタルピーよりも小さく、かつ外気の温度がリターン空気の温度よりも低い領域のうちで、外気とリターン空気の温度差に対する湿度差の変化率が、目標吹出し空気とリターン空気の温度差に対する湿度差の変化率よりも大きくなる外気温湿度を除く領域である。
外気がゾーン2にあるときには外気の低温特性を利用して、外気を導入して主に室内空気の温度低下に利用し、冷凍サイクルを用いて室内熱交換器3での冷媒との熱交換によって主に室内空気の湿度を低下させる制御を行う。外気で下げる温度が足りない場合には、冷凍サイクルで温度を下げる。
ST31で、リターン空気温湿度RAと目標吹出し空気温湿度SA*とを結んで延長した線が飽和線と交わるかどうか、即ちこの延長線が許容範囲の冷媒温度を示す飽和線に至るかどうかを判断し、交わる場合の制御ベクトルの決め方をST32、ST33、図11で示している。この場合には除湿能力が最大である顕熱比SHFminで運転するように混合空気の温湿度KA2を設定し、吸込み空気温湿度KAとする(ST32)。
外気を導入して室内空気と混合した吸込み空気の温湿度は、外気温湿度OA2とリターン空気温湿度RA間で外気の導入量に応じて温度と湿度とが関連して変化し、図11に示すように湿り空気線図でOA2とRAとを結ぶ直線上の温湿度になる。そこでこのOA2−RA上の点と、目標吹出し空気温湿度SA*と、飽和線上の許容範囲内の蒸発温度とを結ぶ制御ベクトルを考慮し、除湿能力が最大、即ち温度の変化に対する湿度の変化の大きい制御ベクトルを選択すると、吸込み空気温湿度はKA2となる。このとき、RAとOA2の内分点KA2の比率で外気導入量を設定し(ST33)、その後ST39の処理を行う。
この場合にはリターン空気温湿度RAから目標吹出し空気温湿度SA*への延長線が許容範囲の冷媒温度を示す飽和線から外れた場合であり、リターン空気温湿度RAから目標吹出し空気温湿度SA*へ直接冷却除湿することができないため、冷凍サイクルのSHFの許容範囲内で冷却除湿を行なう。即ちOA2とRAを含むOA2−RA上の点と、目標吹出し空気温湿度SA*の湿度と同レベルの湿度(SA*を通り、x軸に平行な線上)と、飽和線上の許容範囲内の蒸発温度とを結んで制御ベクトルとして冷凍サイクルを運転し、冷却しすぎた場合にヒータ4によって室内熱交換器3から流出する出口側空気を加熱し、目標吹出し空気温湿度SA*を得る。
このとき省エネルギーを重視する場合には、リターン空気温湿度RAを冷却して再熱するときと、外気温湿度OA2を冷却して再熱するときにおいて、空気調和装置への入力である空調能力と再熱時のヒータ4への入力の和を比較して、入力エネルギー総量が少ない方で運転する。
ここで外気導入量が吸込み空気量の0%または100%に設定されることになるが、例えば外気導入量を0%または100%に設定しても実際には外気導入手段6の構成または設置状態によって完全に0%または100%にならないこともある。この場合には、外気導入手段6で外気を導入できる最小または最大になるように運転すればよい。
ST31〜ST39、ST61を一定時間、例えば1分程度のサイクルで繰り返すことで、室内の空気状態は徐々に目標室内空気温湿度tになり、室内2の空気調和が行われる。
このゾーン3の領域は言いかえれば、外気エンタルピーがリターン空気エンタルピーよりも小さく、かつ外気の湿度がリターン空気の湿度よりも低い領域のうちで、外気とリターン空気の温度に対する湿度の変化率が、目標吹出し空気とリターン空気の温度に対する湿度の変化率よりも小さくなる外気温湿度を除く領域である。
外気がゾーン3にあるときには外気の低湿特性を利用して、外気を導入して主に室内空気の湿度低下に利用し、冷凍サイクルを用いて室内熱交換器3での冷媒との熱交換によって主に室内空気の温度を低下させる制御を行う。外気で下げる湿度が足りない場合には、冷凍サイクルで湿度を下げる。
この場合に吸込み空気温湿度KAは外気温湿度OA3と同一の時が最もエンタルピーが小さい。そこでST41で、外気温湿度OA3と目標吹出し空気温湿度SA*とを結んで延長した線が飽和線と交わるかどうか、即ちこの延長線が許容範囲の冷媒温度を示す飽和線に至るかどうかを判断し、交わる場合の制御ベクトルの決め方をST42〜ST45、図14、図15で示している。この場合には外気の低湿特性を利用し、冷凍サイクルは顕熱比SHFmaxで運転するように設定する。外気を導入して室内空気と混合した吸込み空気の温湿度は、外気温湿度OA3とリターン空気温湿度RA間で外気の導入量に応じて温度と湿度とが関連して変化し、図14,図15に示す湿り空気線図でOA3とRAとを結ぶ直線上の温湿度になる。そこでこのOA3−RA上の点と、目標吹出し空気温湿度SA*と、飽和線上の許容範囲内の蒸発温度とを結ぶ制御ベクトルを考慮し、除湿能力が最小、即ち温度の変化に対する湿度の変化の小さい制御ベクトルを選択すると、図14の場合にはOA3、図15の場合にはSA*と同じ湿度であるKA3が吸込み空気温湿度KAとなる。
この場合には外気温湿度OA3から目標吹出し空気温湿度SA*への延長線が許容範囲の冷媒温度を示す飽和線から外れた場合であり、外気温湿度OA3から目標吹出し空気温湿度SA*へ直接冷却除湿することができないため、冷凍サイクルのSHFの許容範囲内で冷却除湿を行なう。即ちOA3とRAを含むOA3−RA上の点と、目標吹出し空気温湿度SA*の湿度と同レベルの湿度(SA*を通り、x軸に平行な線上)と、飽和線上の許容範囲内の蒸発温度とを結んで制御ベクトルとして冷凍サイクルを運転し、冷却しすぎた場合にヒータ4によって室内熱交換器3から流出する出口側空気を加熱し、目標吹出し空気温湿度SA*を得る。
このとき省エネルギーを重視する場合には、リターン空気温湿度RAを冷却して再熱するときと、外気温湿度OA3を冷却して再熱するときにおいて、空気調和装置への入力である空調能力と再熱時のヒータ4への入力の和を比較して、入力エネルギー総量が少ない方で運転する。
ST41〜ST51、ST61を一定時間、例えば1分程度のサイクルで繰り返すことで、室内の空気状態は徐々に目標室内空気温湿度tになり、室内2の空気調和が行われる。
また、ゾーン2とゾーン3とで冷凍サイクルの空調能力で除湿能力の大きい運転を行うか高顕熱運転を行うかに分けられる。一方のゾーン2の場合には外気の低温特性を利用して冷凍サイクルは除湿能力の大きい運転を行う。他方のゾーン3の場合には外気の低湿特性を利用して冷凍サイクルは高顕熱運転を行う。
このように外気の温湿度状態でゾーンに分け、それぞれに適した制御を設定することで、外気導入量を空調目標に最適な量とし、無駄な仕事をすることなく、外気を最大限に利用し、省エネルギー化を図ることができる。
特に外気や室内空気の温度だけでなく湿度も共に考慮して細かい制御を行っているので、さらに快適な室内空間を得ることができる。また、温度と湿度を関連して変化させながら制御しつつ目標の室内空気状態に接近させるので、より速く目標の室内空間が得られ、省エネルギー化を図ることができる。
また、新鮮な外気で室内の空気を新鮮に保つことで、質的にも良好な室内空気を確保でき、室内の人または動植物の健康状態にも良い影響をもたらすと期待できる。
また、ヒータ4は必ずしも必要ではなく、特に備えていなくてもよい。この場合冷凍サイクルの最大除湿運転SHFminでも除湿が足りず制御ベクトルを実現できない時には、目標吹出し空気の湿度を上げて温度は満足するように運転し、室内熱交換器3から流出する出口側空気を除湿する除湿手段を設けて目標吹出し空気温湿度SA*になるように制御することもできる。
さらに加熱手段4は室内ユニット1の内部に設けていなくてもよく、室内熱交換器3の下流側の空気流路、即ち室内熱交換器3から流出する空気の出口と目標室内空気温湿度としたい領域、例えば人の居住領域の間の空気流路を流れる空気を加熱する位置にあればよい。
また、外気導入手段6の外気導入口の全面に外気処理フィルターを設けて、外気に混入している花粉やちりやほこりなどが室内に取り込まれるのを防止すると、室内空間をさらに健康的で快適に保つことができる。
また、この外気処理フィルターとして、その少なくとも一部を悪臭などを吸着させる材料で構成すると、ごみ収集日などに外気に混ざっている悪臭が室内に入り込むのを防止できる。
上記説明では、室内空気状態としてリターン空気、吹出し空気、外気の温度と湿度を計測によって検知し、吸込み空気の温度と湿度は計測値を用いて演算して検知している。また、外気の温度と湿度を計測によって検知する代わりに、外気とリターン空気とが混合した吸込み空気の温度と湿度を計測して検知し、この検知値と外気風量VOAとリターン空気風量VRAから外気の温度と湿度を演算してもよい。
さらに、温度は室内の負荷量や風量とも関係しており、これらから間接的に求めることもできる。また、湿度は季節や天候などに左右されたり、室内の空気調和を行う際にそれほど厳密な計測を必要としないこともあり、予め季節の平均湿度を記憶しておいてこのデータを使用したり、他のパラメータから間接的に推測や計算によって検出してもよい。
また、リターン空気と吹出し空気の状態はどちらも計測するように構成すると、室内空調負荷を正確に把握できるのであるが、この室内空調負荷が冷凍サイクルの動作状態などの他の情報から推測できる場合には、リターン空気と吹出し空気のどちらか一方の空気状態を計測によって検知し、他方を推測するようにしてもよい。
実施の形態1では蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって温熱または冷熱を室内熱交換器3に供給しているが、本実施の形態は他の構成によって室内熱交換器3に温熱または冷熱を供給するようにしたものである。室外ユニット8または他の場所に熱源装置として例えば蒸気圧縮式の冷凍サイクルを備え、この熱源装置による温熱または冷熱を室内熱交換器3に熱輸送手段によって輸送する構成としたものである。
また、熱源側冷媒サイクルの冷媒には例えばR290などの可燃性冷媒を用い、利用側冷媒サイクルの冷媒には水や不凍液などの安全な冷媒を用いれば、室内から遠くで火気のない所に熱源側冷媒サイクルを設置でき、より安全性が高まる。
なお、熱源側冷凍サイクルの一方の熱交換器23を気体−液体熱交換器で構成したが、これに限るものではない。
特に、冷凍サイクルを循環する冷媒として、R22より温度勾配の小さい冷媒、例えば、R410A、R407C、R134a、R32、R290などを用いることで、熱交換器での表面温度勾配が小さくなる。このため熱交換器での蒸発温度や凝縮温度を検知する際、温度検知手段の検知値に、その温度検知手段を設置した位置に対するばらつきが少なくなり、精度よく制御できると共に制御しやすくなる。このため、早く目標の室内空気温湿度になるように運転制御でき、省エネルギー効果も奏する。
同様に、冷凍サイクルを循環する冷媒として、R22より圧力損失の少ない冷媒、例えば、R410A、R32、R290などを用いることで、室内負荷検出手段や各検出値の精度が向上し、全体的な制御の精度が向上する。
実施の形態1では外気導入手段6を室内ユニット1と一体に構成し、これによって外気を室内ユニット1内に導入し、室内空気が循環して室内ユニット1内に取り込まれたリターン空気と混合して室内熱交換器3への吸込み空気となる構成であった。本実施の形態では外気導入手段6を室内ユニット1と一体ではなく分離して別々に配設し、外気を室内2に取込む構成としたものである。
また、19は制御信号線であり、室内ユニット1内に設置されている電子箱15内のマイクロプロセッサに接続されている。例えばマイクロプロセッサ内の外気量制御手段33からの制御信号が外気導入手段6に送信され、実際にダンパ17の開閉制御や開度制御やファン16の回転数制御を行う。
本実施の形態では目標吹出し空気温湿度SA*を設定するとき、目標混合空気温湿度を考慮する必要がある。この混合空気は室内の空調負荷が加わった後、室内ユニットにリターン空気として吸込まれるため、目標混合空気温湿度はリモートコントローラなどで利用者などによって設定されている目標室内温湿度と室内空調負荷から設定することができる。
実施の形態1では、加熱手段4としてヒータを有する構成としたが、この加熱手段4は例えば空気を数℃〜20℃程度加熱できるものであればよく、ヒータに限るものではない。本実施の形態に係る加熱手段は一般に再熱方式と称されているものであり、冷媒との熱交換によって空気を加熱するものである。図19は本実施の形態による空気調和装置を示す全体構成図、図20は本実施の形態に係わる冷凍サイクルの一例を示す冷媒回路図である。
図において、3a、3bは2台の室内熱交換器、25a、25bは減圧手段である膨張弁である。
近年、地球環境保全の観点から、オゾン層を破壊せず、温暖化係数も0である冷媒を用いる要求が高まっている。R290はこの条件を満足するものであるが、問題点はその性質が可燃性を有することである。本実施の形態のように構成すれば、新鮮な外気を積極的に効果的に利用でき、省エネルギーであり、健康にも良好で、さらに可燃性を有する冷媒でも安全に使用することができる空気調和装置が得られる。
Claims (2)
- 外気の温湿度が前記室内空気から目標吹出し空気への温湿度の変化の延長線よりも低温側である領域と、前記外気の温湿度が前記室内空気から前記目標吹出し空気への温湿度の変化の延長線よりも低湿側である領域と、の領域に応じて、冷凍サイクルの空調能力を設定することを特徴とする空気調和装置の制御方法。
- 外気のエンタルピーが室内空気のエンタルピーよりも大きい外気の領域と、前記外気のエンタルピーが前記室内空気のエンタルピーよりも小さく、かつ前記外気の温湿度が前記室内空気から目標吹出し空気への温湿度の変化の延長線よりも低温側である領域と、外気のエンタルピーが室内空気のエンタルピーよりも小さく、かつ前記外気の温湿度が前記室内空気から前記目標吹出し空気への温湿度の変化の延長線よりも低湿側である領域と、の3つの領域に応じて、外気の導入量並びに冷凍サイクルの空調能力および冷媒温度を設定することを特徴とする空気調和装置の制御方法。
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