以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施形態としては、1台の室外機と2台の室内機を有する空気調和システムを例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
図1(A)および図2に示すように、本実施例における空気調和システム1は、屋外に設置される室外機2と、屋外に設置される水冷媒熱交換ユニット5と、空調空間である部屋300に設置される第1室内機3および第2室内機4を有する。第1室内機3は、部屋300の床面に設置されている。第2室内機4は、部屋300の壁面上部に設置されている。第1室内機3は、水冷媒熱交換ユニット5と水配管9で接続されている。第2室内機4は、室外機2と液管7で接続されるとともに、水冷媒熱交換ユニット5を介して室外機2とガス管8で接続されている。以上により、空気調和システム1の冷媒−水回路10が構成されている。
まず、室外機2について説明する。室外機2は、圧縮機21と、流路切替手段である四方弁22と、室外熱交換器23と、第1膨張弁24と、バイパス開閉弁25と、逆止弁26と、液管7の一端が接続された閉鎖弁27と、ガス管8の一端が接続された閉鎖弁28と、室外ファン29を備えている。そして、室外ファン29を除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒−水回路10の一部をなす室外機冷媒回路20を構成している。
圧縮機21は、図示しないインバータにより回転数が制御されることで、運転容量を可変できる容量可変型圧縮機である。圧縮機21の冷媒吐出側は、四方弁22のポートaに吐出管61で接続されている。また、圧縮機21の冷媒吸入側は、四方弁22のポートcに吸入管65で接続されている。
四方弁22は、冷媒の流れる方向を切り換えるための弁であり、a、b、c、dの4つのポートを備えている。ポートaは、上述したように圧縮機21の冷媒吐出側に吐出管61で接続されている。ポートbは、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と冷媒配管62で接続されている。ポートcは、上述したように圧縮機21の冷媒吸入側と吸入管65で接続されている。そして、ポートdは、閉鎖弁28と室外機ガス管64で接続されている。
室外熱交換器23は、冷媒と、後述する室外ファン29の回転により室外機2内部に取り込まれた外気を熱交換させる。室外熱交換器23の一方の冷媒出入口は、上述したように四方弁22のポートbに冷媒配管62で接続され、他方の冷媒出入口は室外機液管63で閉鎖弁27に接続されている。
第1膨張弁24は、例えば電子膨張弁である。第1膨張弁24は、その開度が調整されることで、室外熱交換器23を流れる冷媒量を調節する。バイパス開閉弁25と逆止弁26は、室外機液管63における第1膨張弁24と閉鎖弁27の間と吸入管65を接続するバイパス管66に設けられている。バイパス開閉弁25を開くとバイパス管66に冷媒が流れ、バイパス開閉弁25を閉じるとバイパス管66における冷媒の流れが遮断される。逆止弁26は、バイパス管66における冷媒の流れ方向を、吸入管65に向かう方向のみに制限するように配置される。
室外ファン29は樹脂材で形成されており、室外熱交換器23の近傍に配置されている。室外ファン29は、図示しないファンモータによって回転することで室外機2の図示しない吸込口から室外機2内部へ外気を取り込み、室外熱交換器23において冷媒と熱交換した外気を室外機2の図示しない吹出口から室外機2外部へ放出する。
以上説明した構成の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。図1(A)に示すように、吐出管61には、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力を検出する高圧センサ101と、圧縮機21から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度検出手段である吐出温度センサ111が設けられている。吸入管65には、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力を検出する低圧センサ102と、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度センサ112とが設けられている。
室外機液管63における室外熱交換器23と第1膨張弁24の間には、室外熱交換器23から流出、または、室外熱交換器23に流入する冷媒の温度を検知するための熱交温度センサ113が設けられている。そして、室外機2の図示しない吸込口付近には、室外機2内部に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ114が備えられている。
また、室外機2には、室外機制御手段200が備えられている。室外機制御手段200は、室外機2の図示しない電装品箱に格納されている制御基板に搭載されている。図1(B)に示すように、室外機制御手段200は、CPU201と、記憶部202と、通信部203と、センサ入力部204を備えている。
記憶部202は、ROMやRAMで構成されており、室外機2の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、圧縮機21や室外ファン29の制御状態等を記憶している。通信部203は、第1室内機3、第2室内機4、および水冷媒熱交換ユニット5と通信を行うためのインターフェイスである。センサ入力部204は、室外機2の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU201に出力する。
CPU201は、前述した室外機2の各センサでの検出結果をセンサ入力部204を介して取り込む。また、CPU201は、第1室内機3および第2室内機4から送信される制御に関わる信号を通信部203を介して取り込む。CPU201は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、圧縮機21や室外ファン29の駆動制御、四方弁22の切り換え制御や第1膨張弁24の開度制御、およびバイパス開閉弁25の開閉制御を行う。また、CPU201は、通信部203を介して後述する水冷媒熱交換ユニット5に備えられている往き温度センサ115や戻り温度センサ116の検出値を取り込むと共に、循環ポンプ53の駆動制御や第2膨張弁55の開度制御を行う。
次に、水冷媒熱交換ユニット5について説明する。水冷媒熱交換ユニット5は、水冷媒熱交換器51と、第2膨張弁52と、循環ポンプ53と、第1ガス管接続部54と、第2ガス管接続部55と、第1水配管接続部56と、第2水配管接続部57を備えている。そして、これら各装置が以下で詳述する冷媒配管や水配管で相互に接続されて、冷媒−水回路10の一部をなす水冷媒熱交換ユニット回路50を構成している。
水冷媒熱交換器51は、例えば二重管熱交換器であり、冷媒側流路51aと水側流路51bを有している。冷媒側流路51aは、水冷媒熱交換ユニット冷媒配管58に設けられている。水冷媒熱交換ユニット冷媒配管58は、一端が第1ガス管接続部54を介して室外機2側のガス管8に接続され、他端が第2ガス管接続部55を介して第2室内機4側のガス管8に接続されている。また、水側流路51bは、水冷媒熱交換ユニット水配管59に設けられている。水冷媒熱交換ユニット水配管59は、一端が第1水配管接続部56を介して、また、他端が第2水配管接続部57を介して水配管9に接続されている。水冷媒熱交換器51では、冷媒側流路51aを流れる冷媒と水側流路51bを流れる水とが熱交換する。
第2膨張弁52は、例えば電子膨張弁である。第2膨張弁52は、その開度が調整されることで、水冷媒熱交換器51の冷媒側流路51aを流れる冷媒量を調節する。循環ポンプ53は、能力可変型のポンプである。循環ポンプ53が駆動することにより、第2水配管接続部57を介して水冷媒熱交換ユニット5から水配管9に水が流出し、第1室内機3から第1水配管接続部56を介して水冷媒熱交換ユニット5に水が流入するように、水が循環する。
以上説明した構成の他に、水冷媒熱交換ユニット5には2つの水温センサが設けられている。図1(A)に示すように、水冷媒熱交換ユニット水配管59における水冷媒熱交換器51と第1水配管接続部56の間には、水冷媒熱交換器51の水側流路51bに流入する水温を検出する戻り温度センサ116が設けられている。また、水冷媒熱交換ユニット水配管59における水冷媒熱交換器51と第2水配管接続部57の間には、水冷媒熱交換器51の水側流路51bから流出する水温を検出する往き温度センサ115が設けられている。
次に、第1室内機3について説明する。第1室内機3は、第1室内熱交換器31と、入水側接続部32と、出水側接続部33と、第1室内ファン34を備えている。そして、第1室内ファン34を除くこれら各装置が第1室内機水配管35で接続されて、冷媒−水回路10の一部をなす第1室内機回路30を構成している。
第1室内熱交換器31は、第1室内機水配管35に設けられている。第1室内機水配管35は、一端が入水側接続部32を介して、また、他端が出水側接続部33を介して水配管9に接続されている。第1室内熱交換器31は、入水側接続部32および第1室内機水配管35を介して水配管9から第1室内熱交換器31に流入する水と、後述する第1室内ファン34の回転により第1室内機3の内部に取り込まれた部屋300の空気を熱交換させる。
第1室内ファン34は樹脂材で形成されており、第1室内熱交換器31の近傍に配置されている。第1室内ファン34は、図示しないファンモータによって回転することで、第1室内機3の図示しない吸込口から第1室内機3内部に部屋300の空気を取り込み、第1室内熱交換器31において水と熱交換した空気を第1室内機3の図示しない吹出口から部屋300へ吹き出す。
以上説明した構成の他に、第1室内機3の図示しない吸込口付近には、第1室内機3に流入する部屋300の後述する室内下部300aの空気の温度である第1室内機吸込温度を検出する第1吸込温度センサ117と、室内下部300aの空気の湿度を検出する第1湿度センサ130が備えられている。
次に、第2室内機4について説明する。第2室内機4は、第2室内熱交換器41と、ガス側接続部42と、液側接続部43と、第2室内ファン44を備えている。そして、第2室内ファン44を除くこれら各装置が第2室内機冷媒配管45で接続されて、冷媒−水回路10の一部をなす第2室内機冷媒回路40を構成している。
第2室内熱交換器41は、第2室内機冷媒配管45に設けられている。第2室内機冷媒配管45は、一端がガス側接続部42を介してガス管8に接続され、また、他端が液側接続部43を介して液管7に接続されている。第2室内熱交換器41は、冷媒と、後述する第2室内ファン44の回転により第2室内機4の内部に取り込まれた部屋300の空気を熱交換させる。
第2室内ファン44は樹脂材で形成されており、第2室内熱交換器41の近傍に配置されている。第2室内ファン44は、図示しないファンモータによって回転することで、第2室内機4の図示しない吸込口から第2室内機4内部に部屋300の空気を取り込み、第2室内熱交換器41において冷媒と熱交換した空気を第2室内機4の図示しない吹出口から部屋300へ吹き出す。
以上説明した構成の他に、第2室内機4には、各種センサが備えられている。第2室内機冷媒配管45におけるガス側接続部42と第2室内熱交換器41の間には、第2室内熱交換器41に流入あるいは第2室内熱交換器41から流出する冷媒の温度を検出するガス側温度センサ118が設けられている。また、第2室内機冷媒配管45における液側接続部43と第2室内熱交換器41の間には、第2室内熱交換器41から流出あるいは第2室内熱交換器41に流入する冷媒の温度を検出する液側温度センサ119が設けられている。さらには、第2室内機4の図示しない吸込口付近には、第2室内機4に流入する部屋300の後述する室内上部300bの空気の温度である第2室内機吸込温度を検出する第2吸込温度センサ120と、室内上部300bの空気の湿度を検出する第2湿度センサ131が備えられている。
次に、本実施形態の空気調和システム1が行う冷房運転について説明する。本発明の空気調和システム1は、第1室内機3および第2室内機4が共に部屋300の空気を除湿・冷却する潜熱冷房運転を行う通常冷房運転、あるいは、第1室内機3で部屋300(室内下部300a)の空気を除湿・冷却する潜熱冷房運転を行うとともに第2室内機4で部屋300(室内上部300b)の空気を冷却する顕熱冷房運転を行う除湿冷房運転を選択して行えるようになっている。そして、上記通常冷房運転と除湿冷房運転は、使用者が図2に示すリモコン400を操作して、いずれかの冷房運転を選択できるようになっている。
以下の説明では、まず、図1および図2を用いて、通常冷房運転を行う場合の冷媒回路10における冷媒や水の流れ、および、各構成装置の動作について説明し、次に、図1乃至図4を用いて、除湿冷房運転を行う場合の冷媒回路10における冷媒や水の流れ、および、各構成装置の動作について説明する。尚、本発明における潜熱冷房運転とは、蒸発器として機能する室内熱交換器における蒸発温度を部屋300の空気の露点温度以下とすることによって、部屋300の空気を冷却及び除湿する運転を表す。また、顕熱冷房運転とは、蒸発器として機能する室内熱交換器における蒸発温度を部屋300の空気の露点温度より高くすることによって、部屋300の空気の冷却のみを行う運転を表す。
<通常冷房運転>
通常冷房運転を行う場合、図1(A)に示すように、四方弁22は実線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートbとが連通するよう、また、ポートcとポートdとが連通するよう切り換えられる。また、バイパス開閉弁25が閉とされる。また、水冷媒熱交換ユニット5の第2膨張弁52が全開とされるとともに、循環ポンプ53が起動される。これにより、室外熱交換器23が凝縮器として機能するとともに、第2室内熱交換器41および水冷媒熱交換器51が蒸発器として機能し、冷媒−水回路10において矢印で示す方向に冷媒および水が循環する。
圧縮機21によって圧縮されて高温かつ高圧となった冷媒は、圧縮機21から吐出されて吐出管61を流れて四方弁22に流入し、四方弁22から冷媒配管62へと流れて室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外ファン29の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って凝縮する。
室外熱交換器23から流出した冷媒は室外機液管63を流れ、第1膨張弁24を通過する際に減圧される。ここで、第1膨張弁24の開度は、使用者がリモコン400を操作して設定する通常冷房運転時の設定温度を実現するための、第2室内熱交換器41や水冷媒熱交換器51における蒸発温度に対応する蒸発圧力となるような開度となっており、より具体的には、第2室内機4の第2室内熱交換器41における蒸発温度や、第1室内機3の水冷媒熱交換器51における蒸発温度および水冷媒熱交換器51から流出する水の温度が、設定温度や部屋300の露点温度より低くなるような開度となっている。尚、露点温度の求め方については、後述する除湿冷房運転の説明の際に図4を用いて説明する。
第1膨張弁24を通過し室外機液管63を流れる冷媒は、閉鎖弁27を介して液管7に流出し、液側接続部43を介して第2室内機4に流入する。第2室内機4に流入した冷媒は、第2室内機冷媒配管45を流れて第2室内熱交換器41に流入し、第2室内ファン44の回転によって第2室内機4の内部に流入した部屋300の空気と熱交換して蒸発する。このとき、冷媒と熱交換を行った部屋300の空気は除湿・冷却される。
第2室内熱交換器41から流出した冷媒は、第2室内機冷媒配管45を流れてガス側接続部42を介してガス管8に流出し、第2ガス側接続部55を介して水冷媒熱交換ユニット5に流入する。水冷媒熱交換ユニット5に流入した冷媒は、水冷媒熱交換ユニット冷媒配管58を流れて全開とされている第2膨張弁52を通過して水冷媒熱交換器51の冷媒側流路51aに流入し、水側流路51bを流れる水を冷却する。
水側流路51bを流れる際に冷却されて水冷媒熱交換器51から水冷媒熱交換ユニット水配管59に流出し、第2水配管接続部57を介して水配管9に流出した水は、入水側接続部32を介して第1室内機3に流入する。第1室内機3に流入した水は、第1室内機水配管35を介して第1室内熱交換器31に流入し、第1室内ファン34の回転によって第1室内機3の内部に流入した部屋300の空気を冷却する。そして、第1室内熱交換器31で冷却された部屋300の空気が図示しない第1室内機3の吹出口から部屋300に吹き出される。このように、第1室内機3と第2室内機4の各々が潜熱冷房運転を行い、部屋300の空気を除湿・冷却することによって、部屋300の冷房が行われる。
第1室内熱交換器31から第1室内機水配管35に流出した水は、出水側接続部33を介して第1室内機3から水配管9に流出し、第1水配管接続部56を介して水冷媒熱交換ユニット5に流入し、水冷媒熱交換ユニット水配管59を流れて再び水冷媒熱交換器51に流入する。
一方、水冷媒熱交換器51の冷媒側流路51aから水冷媒熱交換ユニット冷媒配管58に流出した冷媒は、第1ガス側接続部54を介してガス管8に流出し、ガス管8から閉鎖弁28を介して室外機2に流入する。室外機2に流入した冷媒は、室外機ガス管64、四方弁22、吸入管65を流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
<除湿冷房運転>
除湿冷房運転を行う場合の冷媒回路10の状態は、上述した通常冷房運転の場合と同じであるため、詳細な説明を省略する。通常冷房運転を行う場合と異なる点は、通常冷房運転時は設定温度に応じた開度とされていた第1膨張弁24の開度制御、および、通常冷房運転時は全開とされていた第2膨張弁52の開度制御である。
以下の説明では、図2に示すように部屋300を上下領域に区分するとともに、下の領域(以下、室内下部300aと記載)に第1室内機3が、上の領域(以下、室内上部300bと記載)に第2室内機4が各々配置されるよう、仮想の境界線BLを設定する。また、各室内機で別個に設定温度が設定できるものとする。
また、第1室内機3の第1吸込温度センサ117で検出した温度つまり室内下部300aの温度を第1室内機吸込温度Ts1、第2室内機4の第2吸込温度センサ120で検出した温度つまり室内上部300bの温度を第2室内機吸込温度Ts2、室内下部300aの設定温度を室内下部設定温度Tpd、室内上部300bの設定温度を室内上部設定温度Tpu、第1室内機3の第1湿度センサ130で検出した湿度つまり室内下部300aの湿度を室内下部湿度Hd、第2室内機4の第2湿度センサ131で検出した湿度つまり室内上部300bの湿度を室内上部湿度Huとする。
図3は、空気調和システム1が除湿冷房運転を行うときの冷媒回路10における冷凍サイクルをモリエル線図により示したものである。図3に示すモリエル線図では、上述した室内上部設定温度Tpuと室内下部設定温度Tpdに加えて、水冷媒熱交換器51における蒸発温度を第1蒸発温度Te1、第2室内熱交換器41における蒸発温度を第2蒸発温度Te2、第1室内機吸込温度Ts1と室内下部湿度Hdを用いて求める露点温度を第1露点温度Td1、第2室内機吸込温度Ts2と室内上部湿度Huを用いて求める露点温度を第2露点温度Td2、水冷媒熱交換器51や第2室内熱交換器41で着霜が発生する恐れがある蒸発温度を着霜発生温度Tdf、室外熱交換器23における凝縮温度に対応する圧力を高圧Ph、第1蒸発温度Te1に対応する圧力を低圧Pl、第2蒸発温度Te2に対応する圧力を中間圧Pmとする。
図3において、第1蒸発温度Te1と第2蒸発温度Ts2は、それぞれ実線の細線で示している。また、第1露点温度Td1と第2露点温度Td2は、それぞれ破線で示している。さらに、室内上部設定温度Tpuと室内下部設定温度Tpdと着霜発生温度Tdfは、それぞれ二点鎖線で示している。
上述した各値のうち、室内上部設定温度Tpuと室内下部設定温度Tpdは、第1室内機3と第2室内機4から通信部203を介して取り込まれて記憶部202に記憶される。また、第1室内機3の第1吸込温度センサ117で検出される第1室内機吸込温度Ts1と、第2室内機4の第2吸込温度センサ120で検出される第2室内機吸込温度Ts2と、第1湿度センサ130で検出される室内下部湿度Hdと、第2湿度センサ131で検出される室内上部湿度Huは、通信部203を介して定期的に取り込まれて時系列で記憶部202に記憶する。また、着霜発生温度Tdfは、予め試験等を行うことで求められて記憶部202に記憶されている温度であり、冷媒−水回路10における冷媒の圧力損失や実際に着霜が発生する温度(0℃)からの余裕度も考慮した温度、例えば2℃である。
また、第1露点温度Td1および第2露点温度Td2は、室外機制御手段200の記憶部202に予め記憶されている露点温度テーブル400を用いて求める。この露点温度テーブル400は、飽和水蒸気量曲線を元に作成されており、図4に示すように、部屋300の温度である吸込温度(単位:℃)と部屋300の湿度である相対湿度(単位:%)に応じた露点温度が規定されているものである。
具体的には、吸込温度は空気調和システム1の冷房運転時の設定温度範囲に応じてその範囲が定められており、本実施形態では吸込温度の範囲を18℃〜32℃としている。また、相対湿度は10%〜80%の範囲とし1%刻みで吸込温度に対応する露点温度を規定している。尚、図4に示す露点温度テーブル400では、相対湿度は10%毎の値のみ記載しており、その間(例えば、15%や36%等)の値の記載は省略している。
第1露点温度Td1を求める場合は、第1吸込温度センサ117で検出した第1室内機吸込温度Ts1と、第1湿度センサ130で検出した室内下部湿度Hdに対応する露点温度を露点温度テーブル400から抽出してこれを第1露点温度Td1とする。
また、第2露点温度Td2を求める場合は、第2吸込温度センサ120で検出した第2室内機吸込温度Ts2と、第2湿度センサ131で検出した室内上部湿度Huに対応する露点温度を露点温度テーブル400から抽出してこれを第2露点温度Td2とする。
尚、前述した通常冷房運転の場合は、第1室内機3あるいは第2室内機4のうちのいずれかで検出した吸込温度と湿度を用い、検出した吸込温度および湿度に対応する露点温度を露点温度テーブル400から抽出し、第1室内機3あるいは第2室内機4における蒸発温度が抽出した露点温度より低くなるように、第1膨張弁24を調整している。
以下、主に図3に示すモリエル線図を用いて、除湿冷房運転時の冷媒−水回路10における冷媒や水の流れ、および、各構成装置の動作について説明する。圧縮機21によって圧縮されて高温かつ高圧Phとなった冷媒(図3の点A→点B)は、圧縮機21から吐出され吐出管61を流れて四方弁22に流入し、四方弁22から冷媒配管62へと流れて室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外ファン29の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って凝縮し、低温かつ高圧Phの冷媒となる(図3の点B→点C)。
室外熱交換器23から流出した冷媒は室外機液管63を流れ、第1膨張弁24を通過する際に高圧Phから中間圧Pmまで減圧される(図3の点C→点D)。ここで、第1膨張弁24の開度は、室外熱交換器23から流出した冷媒の圧力を中間圧Pmまで減圧させる開度とされており、前述したように、中間圧Pmは第2室内熱交換器41における第2蒸発温度Te2に対応する圧力である。そして、第2蒸発温度Te2は、図3に示すように、第2露点温度Td2以上室内上部設定温度Tpu以下の温度とされるものであり、例えば、第2蒸発温度Te2は第2露点温度Td2と室内上部設定温度Tpuの平均値とされる。
第1膨張弁24を通過して中間圧Pmとなった冷媒は、室外機液管63を流れて閉鎖弁27を介して液管7に流出し、液側接続部43を介して第2室内機4に流入する。第2室内機4に流入した冷媒は、第2室内機冷媒配管45を流れて第2室内熱交換器41に流入し、第2室内ファン44の回転によって第2室内機4の内部に流入した室内上部300bの空気と熱交換して蒸発する(図3の点D→点E)。このとき、第2蒸発温度Te2は、上述したように第2露点温度Td2以上の温度となっているので、第2室内機4は顕熱冷房運転となって室内上部300bの空気を冷却する。
第2室内熱交換器41から流出した冷媒は、第2室内機冷媒配管45を流れてガス側接続部42を介してガス管8に流出し、第2ガス側接続部55を介して水冷媒熱交換ユニット5に流入する。水冷媒熱交換ユニット5に流入した冷媒は、水冷媒熱交換ユニット冷媒配管58を流れて第2膨張弁52を通過する際に中間圧Pmから低圧Plまで減圧される(図3の点E→点F)。ここで、第2膨張弁52の開度は、水冷媒熱交換ユニット5に流入した冷媒の圧力を低圧Plまで減圧させる開度とされており、前述したように、低圧Plは水冷媒熱交換器51における第1蒸発温度Te1に対応する圧力である。そして、第1蒸発温度Te1は、図3に示すように、着霜発生温度Tdf以上第1露点温度Td1以下の温度とされるものであり、例えば、第1蒸発温度Te1は着霜発生温度Tdfと第1露点温度Td1の平均値とされる。
第2膨張弁52を通過して低温かつ低圧Plとなった冷媒は、水冷媒熱交換器51の冷媒側流路51aに流入し、水側流路51bを流れる水を冷却する(図3の点F→点A)。水側流路51bを流れる際に冷却されて水冷媒熱交換器51から水冷媒熱交換ユニット水配管59に流出し、第2水配管接続部57を介して水配管9に流出した水は、入水側接続部32を介して第1室内機3に流入する。第1室内機3に流入した水は、第1室内機水配管35を介して第1室内熱交換器31に流入し、第1室内ファン34の回転によって第1室内機3の内部に流入した室内下部300aの空気を冷却する。そして、第1室内熱交換器31で冷却された室内下部300aの空気が図示しない第1室内機3の吹出口から室内下部300aに吹き出される。このとき、第1蒸発温度Te1は上述したように第1露点温度Td2以下の温度となっているので、第1室内機3は潜熱冷房運転となって室内下部300aの空気を除湿・冷却する。
第1室内熱交換器31から第1室内機水配管35に流出した水は、出水側接続部33を介して第1室内機3から水配管9に流出し、第1水配管接続部56を介して水冷媒熱交換ユニット5に流入し、水冷媒熱交換ユニット水配管59を流れて再び水冷媒熱交換器51に流入する。
一方、水冷媒熱交換器51の冷媒側流路51aから水冷媒熱交換ユニット冷媒配管58に流出した冷媒は、第1ガス側接続部54を介してガス管8に流出し、閉鎖弁28を介して室外機2に流入する。室外機2に流入した冷媒は、室外機ガス管64、四方弁22、吸入管65を流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
次に、本実施形態の空気調和システム1に関わる処理について、図5を用いて説明する。図5は、空気調和システム1の室外機制御手段200のCPU201が主に冷房運転を行う際に実行する処理の流れを示している。図5において、STはステップを表し、これに続く数字はステップ番号を表している。尚、図5では、本発明に関わる処理を中心に説明しており、これ以外の処理、例えば、設定温度と室温の差に応じた圧縮機の回転数制御や設定風量に応じた第1室内ファン34や第2室内ファン44の回転数制御等といった、空気調和システム1に関わる一般的な処理については、説明を省略する。
空気調和システム1が運転を開始すると、CPU201は、使用者によって冷房運転が指示されたか否かを判断する(ST1)。冷房運転指示であれば(ST1−Yes)、CPU201は、冷房運転開始処理を実行する(ST2)。ここで、冷房運転開始処理とは、空気調和システム1が起動して最初に冷房運転を行うときに、CPU201が行う処理である。具体的には、CPU201は、四方弁22を操作して冷媒−水回路10を図1(A)に示す状態つまり冷房サイクルとするとともに、圧縮機21や室外ファン29を起動し、また、通信部203を介して循環ポンプ53を起動して冷房運転制御を開始する。
次に、CPU201は、使用者によって除湿冷房運転が指示されたか否かを判断する(ST3)。除湿冷房運転が指示されていなければ(ST3−No)、つまり、使用者によって通常冷房運転が指示されていれば、CPU201は、通常冷房運転制御を実行し(ST13)、ST10に処理を進める。尚、通常冷房運転制御とは、前述したように、第2室内機4の第2室内熱交換器41や第1室内機3の水冷媒熱交換器51における蒸発温度が露点温度以下となるように第1膨張弁24の開度を調整することで、第1室内機3と第2室内機4が共に潜熱冷房運転となるようにする制御である。
ST3において、除湿冷房運転が指示されていれば(ST3−Yes)、CPU201は、室内上部設定温度Tpuと、室内下部設定温度Tpdと、第1室内機吸込温度Ts1と、第2室内機吸込温度Ts2と、着霜発生温度Tdfと、室内上部湿度Huと、室内下部湿度Hdを、記憶部202から読み出す(ST4)。尚、CPU201は、室内上部設定温度Tpuや室内下部設定温度Tpdを冷房運転開始時に各室内機から取り込んで記憶部201に記憶しており、これ以降使用者の指示により室内上部設定温度Tpuや室内下部設定温度Tpdが変更される度に新たな室内上部設定温度Tpuや室内下部設定温度Tpdを取り込んで記憶部201に上書き記憶する。また、第1室内機吸込温度Ts1と第2室内機吸込温度Ts2と室内上部湿度Huと室内下部湿度Hdは、各室内機から通信部203を介して定期的に取り込んで記憶部202に記憶している。
次に、CPU201は、ST4で読み込んだ値のうち、第1室内機吸込温度Ts1と室内下部湿度Hdを用い記憶部202に記憶している露点温度テーブル400を参照して第1露点温度Td1を求めるとともに、第2室内機吸込温度Ts2と室内上部湿度Huを用い露点温度テーブル400を参照して第2露点温度Td2を求める(ST5)。
次に、CPU201は、ST4で読み込んだ着霜発生温度Tdfと、ST5で求めた第1露点温度Td1の平均値を求めこれを第1蒸発温度Te1とする(ST6)。次に、CPU201は、ST4で読み込んだ室内上部設定温度Tpuと、ST5で求めた第2露点温度Td2の平均値を求めこれを第2蒸発温度Te2とする(ST7)。
次に、CPU201は、水冷媒熱交換器51における蒸発温度がST6で求めた第1蒸発温度Te1となるように、第2膨張弁52の開度を調整する(ST8)。具体的には、CPU201は、水冷媒熱交換器51に流入する冷媒の圧力が、図3に示す第1蒸発温度Te1に対応する低圧Plとなるように、第2膨張弁52の開度を調整する。
次に、CPU201は、第2室内熱交換器41における蒸発温度がST7で求めた第2蒸発温度Te2となるように、第1膨張弁24の開度を調整する(ST9)。具体的には、CPU201は、第2室内熱交換器41に流入する冷媒の圧力が、図3に示す第2蒸発温度Te2に対応する中間圧Pmとなるように、第1膨張弁24の開度を調整する。
ST10において、CPU201は、使用者による運転切替指示があるか否かを判断する。ここで、運転切替指示とは、暖房運転から冷房運転へ切り替える、あるいは、冷房運転から暖房運転へ切り替えることである。運転切替指示があれば(ST10−Yes)、CPU201は、ST1に処理を戻す。運転切替指示がなければ(ST10−No)、CPU201は、使用者による運転停止指示があるか否かを判断する(ST11)。
運転停止指示があれば(ST11−Yes)、CPU201は、運転停止処理を行い(ST12)、処理を終了する。ここで、運転停止処理とは、圧縮機21と室外ファン29を停止するとともに第1膨張弁24を全閉とし、通信部203を介して循環ポンプ53を停止するとともに第2膨張弁52を全閉とし、通信部203を介して第1室内機3および第2室内機4に対して各々の室内ファンを停止させるよう指示して、空気調和システム1を停止させる処理である。
運転停止指示がなければ(ST11−No)、CPU201は、現在の運転が冷房運転であるか否かを判断する(ST14)。現在の運転が冷房運転であれば(ST14−Yes)、CPU201は、ST3に処理を戻し、現在の運転が冷房運転でなければ(ST14−No)、CPU201は、ST16に処理を戻す。
尚、ST1において、冷房運転指示でなければ(ST1−No)、つまり、使用者の指示が暖房運転指示である場合は、CPU201は、暖房運転開始処理を実行する(ST15)。ここで、暖房運転開始処理とは、空気調和システム1が起動して最初に暖房運転を行うときに、CPU201が行う処理である。具体的には、CPU201は、四方弁22を操作して図1(A)に示す破線の状態に切り換えて、冷媒−水回路10を暖房サイクルとする。そして、CPU201は、圧縮機21や室外ファン29を起動するとともに、通信部203を介して循環ポンプ53を起動し、第1膨張弁24を設定温度に応じた開度とするとともに第2膨張弁52の開度を全開として、暖房運転制御を開始し(ST16)、ST10に処理を進める。
以上説明したように、空気調和システム1では、冷房運転時に通常冷房運転と除湿冷房運転が選択できるようになっており、除湿冷房運転が選択された場合は、第1室内機3で潜熱冷房運転を行うとともに第2室内機4で顕熱冷房運転が行われる。通常冷房運転のように第1室内機3と第2室内機4が共に潜熱冷房運転となる場合や、部屋300に室内機が1台しか設置されていない場合は、部屋300の温度が設定温度に近づくと露点温度が蒸発温度以下となって除湿が行われなくなるが、除湿冷房運転では常に第1室内機3が潜熱冷房運転となるように第2膨張弁52の開度が調整されて部屋300の除湿が行われるので、冷房運転時の快適性が向上する。
また、通常冷房運転のように第1室内機3と第2室内機4が共に潜熱冷房運転となる場合や、部屋300に室内機が1台しか設置されていない場合は、部屋300の温度が設定温度に近づくと露点温度が蒸発温度以下となって除湿が行われなくなったときに、使用者が設定温度を下げこれに対応して圧縮機21の回転数が上昇して省エネ性が悪化する場合があるが、除湿冷房運転では上述したように常に第1室内機3が潜熱冷房運転を行って部屋300の除湿を行うので、設定温度を下げる必要がなくひいては省エネ性が向上する。このとき、設定温度が高めであっても、第1室内機3によって十分に除湿されているので(例えば、部屋300の湿度が40%となっている)、部屋300の空気が冷え過ぎずに快適な冷房運転が可能となる。
尚、以上説明した実施形態では、第1室内機3が部屋300の床面に設置され、第2室内機4が部屋300の壁面上部に設置される場合について説明したが、第2室内機4が部屋300の床面に設置され、第1室内機3が部屋300の壁面上部に設置されてもよい。但し、この場合は、水冷媒熱交換ユニット5から水配管9を介して第1室内機3に水を送る際に重力に逆らって水を流す必要があるため、循環ポンプ53の消費電力が大きくなる。従って、本実施形態のように、第1室内機3を部屋300の床面に設置する方が、第1室内機3を部屋300の壁面上部に設置する場合より省エネ性が高くなる。
次に、本発明の空気調和システムの第2の実施形態について、図6および図2を用いて説明する。本発明の第2の実施形態における空気調和システム1aの構成のうち、室外機2と第2室内機4については図1を用いて説明した第1実施形態における空気調和システム1と同じであるため、その構成や動作について詳細な説明を省略する。また、通常冷房運転や除湿冷房運転を行う際の、室外機制御手段200のCPU201で行う処理については、第1実施形態で説明した処理と同じであるため、詳細な説明を省略する。
本実施形態が第1実施形態と異なるのは、第1の実施形態の空気調和システム1における水冷媒熱交換ユニット5が本実施形態における空気調和システム1aには設けられていないこと、第1室内機3aも第2室内機4と同様に冷媒と部屋300の空気を熱交換する第1室内熱交換器31aを有すること、および、水冷媒熱交換ユニット5に設けられていた第2膨張弁52が第1室内機3aに設けられて室内膨張弁36aとされていることである。
図6(A)に示すように、本発明の第2の実施形態における空気調和システム1aは、屋外に設置される室外機2と、部屋300に設置される第1室内機3aおよび第2室内機4を有する。第1室内機3aは、部屋300の床面に設置されることで室内下部300aに配置される。第2室内機4は、部屋300の壁面上部に設置されて室内上部300bに配置される。第1室内機3aは、室外機2と第1ガス管8aで接続されるとともに、第2室内機4と第2ガス管8bで接続されている。第2室内機4は、室外機2と液管7で接続されるとともに、上述したように第1室内機3aと第2ガス管8bで接続されている。以上により、空気調和システム1aの冷媒回路10aが構成されている。
第1室内機3aは、第1室内熱交換器31aと、室外機側接続部32aと、第2室内機側接続部33aと、第1室内ファン34aと、第2膨張弁である室内膨張弁36aを備えている。そして、第2室内ファン34aを除くこれら各装置が第1室内機冷媒配管35aで接続されて、冷媒回路10aの一部をなす第1室内機冷媒回路30aを構成している。
第1室内熱交換器31aは、第1室内機冷媒配管35aに設けられている。第1室内機冷媒配管35aは、一端が室外機側接続部32aを介して第1ガス管8aに接続され、また、他端が第2室内機側接続部33aを介して第2ガス管8bに接続されている。第1室内熱交換器31aは、冷媒と、後述する第1室内ファン34aの回転により第1室内機3a内部に取り込まれた室内下部300aの空気を熱交換させる。
室内膨張弁36aは、例えば電子膨張弁である。室内膨張弁36aは、図示しないステッピングモータにパルスが加えられて開度が調整されることで、第1室内熱交換器31aを流れる冷媒量を調節する。
第1室内ファン34aは樹脂材で形成されており、第1室内熱交換器31aの近傍に配置されている。第1室内ファン34aは、図示しないファンモータによって回転することで、第1室内機3aの図示しない吸込口から第1室内機3a内部に室内下部300aの空気を取り込み、第1室内熱交換器31aにおいて冷媒と熱交換した室内下部300aの空気を第1室内機3aの図示しない吹出口から室内下部300aへ吹き出す。
以上説明した構成の他に、第1室内機3aには、各種センサが備えられている。第1室内機冷媒配管35aにおける室外機側接続部32aと第1室内熱交換器31aの間には、第1室内熱交換器31aに流入あるいは第1室内熱交換器31aから流出する冷媒の温度を検出する第1冷媒温度センサ115aが設けられている。また、第1室内機冷媒配管35aにおける室内膨張弁36aと第1室内熱交換器31aの間には、第1室内熱交換器31aから流出あるいは第1室内熱交換器31aに流入する冷媒の温度を検出する第2冷媒温度センサ116aが設けられている。さらには、第1室内機3aの図示しない吸込口付近には、第1室内機3に流入する室内下部300aの空気の温度である第1室内機吸込温度を検出する第1吸込温度センサ117aと、室内下部300aの空気の湿度を検出する第1湿度センサ130aが備えられている。
次に、本実施形態の空気調和システム1aにおける空調運転時の冷媒回路10aの冷媒の流れや各部の動作について、図6および図2および図3を用いて説明する。尚、以下の説明では、第1の実施形態で説明した除湿冷房運転を行う場合のみ例に挙げて説明する。また、部屋300の区分や各センサで検出した値に付与する符号、図3に記載する各値に付与する符号等については、第1の実施形態と同じである。さらには、各センサから取り込んだ値を記憶部202に記憶することや、第1露点温度Td1および第2露点温度Td2の求め方についても、第1の実施形態と同じである。
除湿冷房運転を行う場合、図6(A)に示すように、四方弁22は実線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートbとが連通するよう、ポートcとポートdとが連通するよう切り換えられる。また、バイパス開閉弁25が閉とされる。これにより、室外熱交換器23が凝縮器として機能するとともに、第1室内熱交換器31aと第2室内熱交換器41が蒸発器として機能する。
圧縮機21によって圧縮されて高温かつ高圧Phとなった冷媒(図3の点A→点B)は、圧縮機21から吐出され吐出管61を流れて四方弁22に流入し、四方弁22から冷媒配管62へと流れて室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外ファン29の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って凝縮し、低温かつ高圧Phの冷媒となる(図3の点B→点C)。
室外熱交換器23から流出した冷媒は室外機液管63を流れ、第1膨張弁24を通過する際に高圧Phから中間圧Pmまで減圧される(図3の点C→点D)。ここで、第1膨張弁24の開度は、室外熱交換器23から流出した冷媒の圧力を中間圧Pmまで減圧させる開度とされており、中間圧Pmは第2室内熱交換器41における第2蒸発温度Te2に対応する圧力である。そして、第2蒸発温度Te2は、図3に示すように、第2露点温度Td2以上室内上部設定温度Tpu以下の温度に設定されるものであり、例えば、第2蒸発温度Te2は、第1の実施形態で説明したように第2露点温度Td2と室内上部設定温度Tpuの平均値とされる。
第1膨張弁24を通過して中間圧Pmとなった冷媒は、室外機液管63を流れて閉鎖弁27を介して液管7に流出し、液側接続部43を介して第2室内機4に流入する。第2室内機4に流入した冷媒は、第2室内機冷媒配管45を流れて第2室内熱交換器41に流入し、第2室内ファン44の回転によって第2室内機4内部に流入した部屋300の空気と熱交換して蒸発する(図3の点D→点E)。このとき、第2蒸発温度Te2は上述したように第2露点温度Td2以上の温度となっているので、第2室内機4は顕熱冷房運転となって室内上部300bの空気を冷却する。
第2室内熱交換器41から流出した冷媒は、第2室内機冷媒配管45を流れてガス側接続部42を介して第2ガス管8bに流出し、第2室内機側接続部33aを介して第1室内機3aに流入する。第1室内機3aに流入した冷媒は、第1室内機冷媒配管35aを流れて室内膨張弁36aを通過する際に中間圧Pmから低圧Plまで減圧される(図3の点E→点F)。ここで、室内膨張弁36aの開度は、第1室内機3aに流入した冷媒の圧力を低圧Plまで減圧させる開度となっており、低圧Plは第1室内熱交換器31aにおける第1蒸発温度Te1に対応する圧力である。そして、第1蒸発温度Te1は、図3に示すように、着霜発生温度Tdf以上第1露点温度Td1以下の温度に設定されるものであり、例えば、第1蒸発温度Te1は、第1の実施形態で説明したように着霜発生温度Tdfと第1露点温度Td1の平均値とされる。
室内膨張弁36aを通過して低温かつ低圧Plとなった冷媒は、第1室内熱交換器31aに流入し、第1室内ファン34aの回転によって第1室内機3a内部に流入した部屋300の空気と熱交換して蒸発する(図3の点F→点A)。このとき、第1蒸発温度Te1は上述したように第1露点温度Td2以下の温度となっているので、第1室内機3aは潜熱冷房運転となって室内下部300aの空気を除湿・冷却する。
第1室内熱交換器31aから第1室内機冷媒配管35aに流出した冷媒は、第2室外機側接続部32aを介して第1ガス管8aに流出し、閉鎖弁28を介して室外機2に流入する。室外機2に流入した冷媒は、室外機ガス管64、四方弁22、吸入管65を流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
以上説明したように、空気調和システム1では、冷房運転時に通常冷房運転と除湿冷房運転が選択できるようになっており、除湿冷房運転が選択された場合は、第1室内機3aで潜熱冷房運転を行うとともに第2室内機4で顕熱冷房運転が行われる。通常冷房運転のように第1室内機3aと第2室内機4が共に潜熱冷房運転となる場合や、部屋300に室内機が1台しか設置されていない場合は、部屋300の温度が設定温度に近づくと露点温度が蒸発温度以下となって除湿が行われなくなるが、除湿冷房運転では常に第1室内機3aが潜熱冷房運転となるように第2膨張弁52の開度が調整されて部屋300の除湿が行われるので、冷房運転時の快適性が向上する。
また、通常冷房運転のように第1室内機3aと第2室内機4が共に潜熱冷房運転となる場合や、部屋300に室内機が1台しか設置されていない場合は、部屋300の温度が設定温度に近づくと露点温度が蒸発温度以下となって除湿が行われなくなったときに、使用者が設定温度を下げこれに対応して圧縮機21の回転数が上昇して省エネ性が悪化する場合があるが、除湿冷房運転では上述したように常に第1室内機3aが潜熱冷房運転を行って部屋300の除湿を行うので、設定温度を下げる必要がなくひいては省エネ性が向上する。このとき、設定温度が高めであっても、第1室内機3によって十分に除湿されているので(例えば、部屋300の湿度が40%となっている)、部屋300の空気が冷え過ぎずに快適な冷房運転が可能となる。