JP2005214608A - 空気調和設備の省エネルギー改善の方法 - Google Patents

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Kiyoshi Yanagimachi
潔 柳町
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KATO KIKUE
MURAKOSHI CHIHARU
YANAGIMACHI TAKU
YANAGIMACHI YASUKO
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KATO KIKUE
MURAKOSHI CHIHARU
YANAGIMACHI TAKU
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Abstract

【課題】在来の大規模ビルに多く見られるターボ冷凍機と各階AHU方式の省エネルギー化改善を50%を越す高い省エネルギー化性能をもって実現し、かつ、テナントの移動などを全く必要としない改造方法を提供する。
【解決手段】ターボ冷凍機の冷水温度レベルを14℃程度まで引き上げて、蒸発温度を10℃以上に高めると同時に冷却塔も2倍程の容量に増強し、凝縮温度を38℃程度にさげて、圧縮比を小さくし、冷凍機のCOPを50%近く向上する。除湿は外気系統で別の冷凍機付き外気調和機を各AHUに備え、温度と湿度の独立制御を行う。大型化した冷却塔で年間5カ月に及ぶフリークーリングが可能。
【選択図】図2

Description

発明の詳細な説明
産業上の利用分野
この発明は中・大規模建物の空気調和設備の省エネルギー改善に関する。
在来のこの種類の空気調和設備の省エネルギー改善では、冷凍機を性能の高いものに取り替える、送風機を性能の高いものに交換する、熱交換器を性能の高い新品に取り替える、ポンプを性能の高いものに交換する、ダクトを新品に取り替えサイズを大きくする、配管を更新してサイズを太くする、冷却塔を新品に交換する、計測機器を多用して管理体制に充実を図る、全体の設備を効率の高い別の方式に変更するなどの方法しか行われていない。
発明が解決しようとする課題
このような改善の方法では省エネルギー改善の率が低く、効果が薄く、熱源機械室、空調機械室以外の箇所にも工事範囲が及ぶ事が多く、ビルの入居者が一時的にせよ移転をする必要が生じるなどの困難な点も多く見られる。
課題を解決するための手段
本発明は基本的には在来の設備をそのまま活かして、ソフトウェアーの変更を主とした改善方法によるため、省エネルギー効果は大きく、工事範囲も冷熱源機械、空調機械室、屋上などに限定でき、入居者の移転を必要としない。
作用
近年の建物の傾向として見られるのは、OA化によるオートメーションの結果床面積当たりの在室者数が減り、他方、これらOA機器による熱負荷や照明の照度の向上による熱負荷の増加、ガラス窓の面積の増加による太陽輻射熱による熱負荷の増加などが重なり、除湿負荷が減り、冷却負荷が増えて、空調負荷に占める両者の比率が大きく変化していることである。
在来の空気調和設備では1系統に1台の空気調和機を置き、1台の熱交換器で空気の冷却と除湿を行って、前記除湿負荷と冷却負荷の比率に見合った給気の条件を作り、これを室内に給気することによって、室内の温度と湿度とを同時に満足させる様な方法で空気調和を行ってきた。処が、冷却を行うには室内空気の温度より幾分か低い温度の冷水と熱交換することで給気温度を室温より冷却すれば目的を達するが、除湿に関しては、室内空気の露点温度より低い温度の冷水を使用して給気温度をこの露点温度より下げることが必要である。
快適な空気の条件として上げられる乾球温度25℃、相対湿度50%の室内空気の露点温度は14℃なので、冷却に必要な冷水の温度は20℃前後でも十分に目的を達することができるが、除湿のためにはこれでは役に立たず、熱交換器の大きさにも配慮すると冷水温度は5℃〜7℃程度まで下げることが必要とされ、在来の空気調和では冷熱源機における冷水の出口温度をこの5℃〜7℃のレベルを常識的な温度として使用している。
20年〜30年以前の建物での空調負荷にしめる除湿負荷は20%程度もあり、省エネルギーに対する要求も特に配慮する必要がなかったので問題にならなかったが、近年の建物では除湿負荷は5%程度に減ってきており、在来の冷却と除湿を1台の熱交換器で行っているがために、5%を除く95%の冷却負荷についても、不必要な低温レベルの冷水を使用しており、ここに省エネルギー的な観点から大きな無駄が生じている。
本発明の請求項1では中央の冷熱源機であるターボ冷凍機の冷水の出口温度を前記除湿負荷に合致させることを取り止め、冷却負荷のみを満足させる温度レベルにまで上げることによって、ターボ冷凍機の蒸発温度を11℃以上に上げて使用することによって、冷却塔の性能と外気条件によって決まる高圧側の凝縮温度と、蒸発温度の温度差を小さく、すなわち圧縮機の圧縮比を小さくして冷凍機の効率を向上して、省エネルギー性能の大幅な改善を図ろうとするものである。
例えば、ターボ冷凍機の冷水出口温度を室内空気の露点温度である14℃より高い15℃に設定すれば、空気調和機の熱交換器では全く除湿が行われなくなりドレンが生じることがなく、自然に冷却のみが行われ、空気調和機からの給気温度は在来12℃程度であったものが18℃程度に上昇する。
本発明では外気を利用して、この系統にこれまで通りの除湿性能を持たせるための改造を次の要領で行う。すなわち、在来は外気ダクトを経て取り入れた外気を直接に空気調和機の吸い込み側に接続し、室内からの還気と混合させて、熱交換器で冷却除湿を行っていたものを、空気調和機吸い込み側に接続される以前に新しく外気調和機を設けて7℃〜8℃程度まで冷却除湿を予め行ってから空気調和機の空気出口側で送風機と熱交換器の間に接続して冷却された還気と混合する。
元来、外気は在室者の呼気による炭酸ガスの濃度が許容限度を越えないために、また臭気の原因を除くために取り入れを行っていおり、成人男子1名に対して通常25m/hの外気を取り入れている。他方、成人男子1名あたり通常の着衣、軽作業の状態では100g/hの水蒸気を呼気や体表面から放散すると言われており、これが除湿負荷の主原因になっている。
8℃まで冷却除湿された空気1mに含まれる水蒸気の量は、前記の快適な室内空気条件の空気1mに含まれる水蒸気の量より4g少ないことは空気線図からも明らかである。したがって、この外気を1名当たり25m/hだけ給気すれば、室内の除湿負荷を完全に打ち消す事が可能となる。
外気調和機には在来と同じく必要な外気量を取り入れ、これを7℃〜8℃程度まで冷却除湿できる独自に水冷式凝縮器を備えた圧縮式チラーを持たせ、水冷式凝縮器には空気調和機の熱交換器に循環する冷水の一部または全部を通水して圧縮機を運転し、4℃〜5℃程度の冷水を作って、外気調和機の直接接触式熱交換器の散水系統の冷水を循環冷却して外気を7℃〜8℃程度まで冷却除湿を行う。
在来は給気温度が12℃であった処をこの改善により18℃まで上げた結果、室内空気と給気の温度差が小さくなり、室内の冷却負荷に対して同じ冷却能力を保つためには風量を増してやる必要が生じる。熱交換器でのドレンの発生がなくなり、熱交換器のフィン表面が乾燥するため、通過抵抗が大幅に減少し、さらに外気の風量が熱交換器を通過しないように改められるので、還気循環の量は相当な自然増が期待される。
元来、送風機モーターの選定に大きな余裕がある場合がしばしば見られるが、余裕がなく、自然増を加えても風量が不足する場合は送風機モーターのランクを上げて風量を増加させるが、負荷が100%に達することは年間を通じて僅かな時間に過ぎないのが実情である事から考えて、送風機モーターにはインバーターを採用し、室内サーモスタットまたは還気サーモスタットを設置して温度調節器によってインバーターで風量を調節し、所定の温度範囲内での風量制御を行って室温を一定に維持すると同時に、ファン電力の節減を図る。これが請求項2の改善の方法である。
ある限度以上に、室内の冷却負荷の変動に合致させて空気調和機の風量を調節すると、給気温度に変化が生じやすく不安定になり、また負荷が大幅に少なくなった場合にこれに従って風量を減らすと、必要な換気量の確保が難しくなったり、空気分布が良好でなくなるなどの問題が生じる。これを避けるためには風量低減には限度があり、冷水量を加減して対応する事が必要になる場合が考えられる。請求項3はこれに対処するための改善策を示す。
在来の、中央冷熱源と多数の空調系統に対してそれぞれの空気調和機を建屋内の随所に配置して配管で冷水を循環供給する空気調和設備では、空気調和機と中央冷熱源設備との距離の差に関係なく中央冷熱源機械室またはその近傍に設置される冷水ポンプによって一括で冷水の循環供給を行っていて、個々の空気調和機の負荷変動に対しては、各空気調和機に取り付ける電動式2方調節弁で水量を絞って、ポンプの循環力を抑制するか、電動式3方弁で余分な冷水を熱交換器を通過させずにバイパスさせて、いずれにしても徒にポンプ電力を費やしている。
この現実に鑑みて、本発明では各空気調和機に、取り付けられている電動調節弁を廃し、冷水を循環する主配管を変更しないでそれぞれ必要な循環水量と遠近に応じた冷水循環に必要な揚程を設定した、それぞれの空気調和機ごとに個別冷循環水ポンプを取り付けて、それぞれのインバーターによって
で必要となる冷水循環量の制御を行う。請求項4はこれに対応した改善策を示す。
請求項1による改善で外気で除湿の制御を行うに際して、必要な除湿負荷に対応した適切な外気量を給気することが経済性を高めるためには必要となるが、湿度調節器を使用すると、乾球温度との関連によって安定した制御性が得られ難いことが予測される。請求項5はこれに対処するための方策で、在室者の発生する炭酸ガスの量と、水蒸気の量は体重の差、男女老若の差によって変化するが、炭酸ガス量と水蒸気量の両者の比率は殆ど一定であると言う点を利用して、CO濃度調節器によって外気量を外気ダンパーまたは外気送風機によって調節を行い、間接的に湿度を調節し安定した調節機能を提供する。
大規模建屋ではインテリアーゾーンに関しては冬季でも冷却負荷が多い状態に変化はないが、寒冷な取り入れ外気に関してはこれを冷房時と同様な8℃程度の露点温度まで加熱・加湿することが必要となる。これに関しては空気調和機の熱交換器に循環供給される15℃の冷水が室内の熱負荷を吸収して20℃程度まで昇温した循環冷水を外気調和機の加熱用熱交換器に導き、直接接触式熱交換器への散水と熱交換することによって、散水の温度を12℃程度まで昇温し、廃熱回収によって外気を所要の露点温度まで加熱・加湿を行う事ができる。請求項6はこれに対応した改善策を示す。
ターボ冷凍機の効率を上げる目的で圧縮比を小さくするために請求項1の改善を行って、蒸発温度を上げると同時に、冷却塔の規模を増し冷却能力を大幅に向上させて凝縮温度を下げることも、圧縮機の効率の向上に大きな効果が期待できる。さらに、冷却塔の大型化は冬季を中心とする秋・春の中間期を含み長期間に亙ってターボ冷凍機を運転することなしに冷却塔の運転のみによって5℃〜7℃の在来の温度レベルから15℃程度まで温度レベルを上げた冷水の循環供給には十分に役立ち、ターボ冷凍機の運転期間を大幅に短縮して運転時間の面から大幅な省エネルギーを実現する事ができる。請求項7はこれに対応した改善策を示す。
本発明の実施例を図面によって説明する。
図1
はの在来の一般的な大規模ビルに設置されている空気調和設備の系統図を示し、
図2
は本発明による省エネルギー改善を施した実施例による空気調和設備の系統図を対比して示す。
請求項1に関する設備面での改造は空気調和機1と外気取り入れ口2とを連絡する外気取り入れダクト3の中間に外気調和機21を設けて、当該空気調和機1の熱交換器4に接続されている冷熱源機、即ち、ターボ冷凍機5からの冷水管6に新たに分岐管22を設けて外気調和機21に内装されている圧縮式チラー23の水冷式凝縮器29にターボ冷凍機5からの冷水を循環供給できるようにし、圧縮式チラー23を運転して、8℃まで冷却除湿した外気を、空気調和機1の出口に設置されている主送風機6の吸い込みチャンバー7いおいて、外気調和機21に設備された外気送風機24によって送り込み、空気調和機1の熱交換器4で冷却された還気と混合されて、室内へ供給される様にした点に見られる。なお、空気調和機1は図面にはスペースの都合上、省略されているがほぼ同様の規模のものが合計10台設置されている。
冷水の温度レベルを上げるための改造は冷水の温度調節系の改造の他、場合によっては圧縮機を低い圧縮比で高効率な運転を図るために圧縮機のターボ翼車の直径を小さく変更するなどの改良が必要となる。これら一連の変更工事はすべて冷熱源機械室と各階の空調機械室の内部で行う事ができるもので、被空調居室の在室者の移動を必要とするものではない。
本実施例に見られる在来方式のターボ冷凍機5は冷却水温度が入口で32℃、出口で37℃、冷水温度が出口で5℃、入り口で10℃の場合、凝縮温度が41℃、蒸発温度が2℃で、冷却能力500USRTのものが2台、圧縮機入力は375kW×2台である。COPは500×2×3024÷860/750×2=4.7と上の値から計算される。
改善では屋上の500USRT用×2台の密閉型冷却塔8に、同容量の密閉型冷却塔25で増設を行う。在来、外気湿球温度が27℃の場合に500USRT×2台の冷却熱量とターボ冷凍機5の入力375kW×2台、冷却水ポンプ9の入力37kW×2台を合計した放熱量1000×3024/860+375×2+37×2=4340kWの冷却能力をもつ密閉型冷却塔8であったものが、今回の改善で、同じ形式、同じ性能の密閉型冷却塔25を増設し、同じ温度条件の元では2倍の86800kWの冷却能力となる。冷却水ポンプ9は在来のままで、冷却水量の増加は行わないが、密閉型冷却塔が並列2台から並列4台となるので冷却塔内部の通過抵抗が減少し冷却水量は自然増となり冷却水循環量は13000Lit/minから23%増し16000Lit/minとなる。
冷水の温度レベルを9℃上げて14℃にする事によって、空気調和機1の熱交換器4では除湿が行われなくなり、熱交換器4のフィン表面が乾燥し、空気側の圧力損失が在来の2.5m/secの風速で23mmAqであった処が14mmAqに減ることとなる。その結果、空気調和機1、給気ダクト10、空気吹き出し口11、吸い込み口12、フィルター13を含む空気循環系全体で50mmAqであった圧力損失が、同風量で46mmまで減少し、結果的には循環風量は900m/minだったものが、1080mとまで20%増加する。なお、主送風機6は1080m/min×46mmAqで、モーター入力は外気調和機21の送風機が10%程度負荷分担をするため13.5kWに減るが、モーター出力は15kWで在来と変わらないので交換の必要性はない。さらに風量を増す必要があれば、モーターを出力の大きなものに交換し、インバーターを使用すると好い。
在来は設計室温が25℃、設計給気温度が13℃で、温度差が12℃だったものが風量が20%増す結果、熱交換器4にはここを通過しなくなった外気180m/minを除外して、在来と同様に900m/minの還気が通過することになる。室温が26.5℃、給気温度が16℃で、冷水温度は入口14℃、出口で16.2℃でバランスし、冷却能力は360kWから44%の160kWまで減少する。冷水量は在来の1030Lit/minを保つこととする。室温は在来より1.5℃高くなるが湿度を5%下げる事によって居住性は全く損なわれない。
他方、外気は在来の風量と同じ180m/minを外気調和機21で8℃まで冷却除湿する。夏季の設計外気条件、乾球温度35℃、相対湿度55%の外気を8℃まで冷却除湿を行うと204kWの冷却負荷となる。外気は外気取り入れ口2から外気ダクト3を通過して外気調和機21の入り口の粗フィルター26で粗塵芥を取り除かれ、さらに予冷熱交換器27を通過する際に、ターボ冷凍機5から190kWの冷水ポンプ14で冷水配管15を経て送られ、空気調和機1の熱交換器4で室内からの循環空気を冷却して16.2℃まで昇温した冷水を利用して熱交換し、1.8℃だけ昇温して17.8℃となり、ここで35℃の外気は18℃まで冷却除湿される。この間の冷却熱量は116kWとなる。
18℃まで冷却除湿をした後、外気は直接接触式熱交換器28で水冷式凝縮器29をもつ圧縮式チラー23から循環供給される5℃の冷水によってさらに8℃まで冷却除湿される。この間の冷却熱量は88kWが必要となる。圧縮式チラー23の凝縮温度を28℃、蒸発温度を2℃とすると圧縮機30は7.5kW×2台が必要となり、入力は15kWとなるため水冷式凝縮器29では88kW+15kW=103kWを放熱し、予冷熱交換器27を通過して17.8℃となった冷水をさらにこの水冷式凝縮器29を通過させると出口での冷水温度は1.4℃昇温する。但し、別途に冷却塔からの冷却水が得られればこれを使用するが、中央の冷熱源のターボ冷凍機5から送られる1030Lit/min、14℃の冷水を使用すれば19.3℃まで5.3℃昇温し380kWの冷却を行う事となる。
圧縮式チラーに替えて、空気調和機1の熱交換器4に供給される冷水と別系統の温度レベルの低い冷水が得られる場合はこれを使用しても好い。他方、密閉型冷却塔10に同容量の新しい密閉型冷却塔25を増設して2倍の容量にした結果、在来はターボ冷凍機5の冷却水入口温度32、出口温度37℃が低下するに加え冷水出口温度を5℃から14℃に上げ、入口温度は19.4℃としたので、ターボ冷凍機の圧縮比が小さくなり、冷却能力が上がり、さらに入力も節減される。
全設備で空気調和機1と同様の空気調和機が10台設置されているので、計算上では3800kWの冷却、即ち、3800×860/3024=1080USRTの冷却負荷となり、水量10300Lit/min、揚程60mAq、モーター出力190kWの冷水ポンプ14の発熱量190kW、54USRTを加えて1134USRTの冷凍機負荷がターボ冷凍機5に課せられる。
外気の条件を35℃;55%、湿球温度27℃で、室内空気条件を27℃;45%として、空気調和機1、外気調和機21、ターボ冷凍機5、増設を施した密閉型冷却塔8、25の熱バランスを詳細に試算すると結果は次の通りとなる。
ターボ冷凍機5入口冷却水温度30.0℃、改善前32℃、同出口冷却水温度34℃、改善前37℃、冷却水量16000Lit/min、改善前13000Lit/minで、冷却水循環量の増加は循環配管回路中の密閉型冷却塔8が2台並列から8と25の4台並列となり循環経路の摩擦抵抗が減少したことによる。
さらに、ターボ冷凍機5入口冷水温度19.5℃、改善前は10.3℃、同出口冷水温度14℃、改善前は5℃、冷水循環量10300Lit/min、改善前も同じで、ターボ冷凍機5の凝縮温度は38℃、改善前は41℃、同じく蒸発温度は10.7℃、改善前は2℃となる。
上の条件でターボ圧縮機の理論効率を比較すると改善前の理論効率は次の通り(273+2)/(41−2)=7.05、一方、改善後の理論効率は次の通り(273+10.7)/(38−10.7)=10.4となり、改善比率としては10.4/7.05=1.47 即ち47%の改善となる。実際効率は理論効率の50%以下に留まっているが、その改善比率は実際効率にも当てはめて考えて殆ど誤差はない。従って、在来のターボ圧縮機の入力750kWであった処が、750kW/1.47=510kWとなる。
蒸発温度、凝縮温度を変更してターボ圧縮機の圧縮比を大幅に変更するためにはサクションベーンコントロールのみでは効率のよい追随は期待できないので、本実施例では、ターボ圧縮機の翼車の直径を小さくするなどの加工を施している。
本実施例では空気調和機1の主送風機6についてはモーター16の交換は行わないでも間に合う結果となったが、室内顕熱負荷と送風量はバランスしない場合には1ランクまたは2ランク程度、出力の大きいモーターに変更することも、検討対象として考えられる。この場合、さらに冷水の温度レベルを上げて、冷凍機の効率向上の幅を増す事が可能となる。
いずれにしても、年間を通じて、室内顕熱負荷が設計通りの最大負荷になる時間数は極めて少ないから、主送風機6にはインバーターを採用して、室内サーモスタット31または還気サーモスタット32を設けて、室内顕熱負荷の変動に応じて風量を制御することが望ましく、湿度の制御を外気系統で行っており、外気負荷の変動の影響を直接受けないためため、温度制御としての風量制御は非常に有効で、室内の顕熱負荷の変動と風量の変動は比例する結果となり、平均的に考えられる75%程度の室内顕熱負荷率の場合、風量も75%に減少するため、モーター入力は、風量の75%までの減少、圧力損失は速度の2乗に比例するので56%までの減少となり、併せて42%までの減少で、本実施例の主送風機6の10台では135kW×0.42=57kWとなり78kWが節減できる。
上の風量制御もあまり大幅に風量を減らした場合には、吹き出し口ごとの空気分布が悪くなるなどの不都合が予測されるので、45%以下の風量削減は行わず空気調和機1の熱交換器4を通過する冷水の量を削減して給気温度を調節することが必要である。また風量制御と常に連携して同時に冷水量を制御することも省エネルギー的な見地からは有効である。
熱交換器4を通過する冷水量の制御は在来、電動2方調節弁を使用してポンプの圧力を抑えて当該熱交換器4を通過する水量を削減する、あるいは電動3方調節弁17を使用して当該熱交換器4を余分な冷水をバイパスさせる方法が一般的だが、何れにしても大きい出力の冷水ポンプを常時フル運転して、調節弁でその圧力を負荷に応じて抑えて冷水の量を制限するか、余分な冷水をシステム全体に徒に循環させるかの結果で、省エネルギー的観点から許し難い制御方法である。
さらに冷水共通ヘッダー18から配管された冷水配管15は配管距離の遠い10階の空気調和機1までの配管は往復全長150mにもなり、一方、冷熱源機械室にある空気調和機1までの配管は往復全長20m程度で、配管の長さによる圧力損失の差を無視して、最も遠い配管距離に対してポンプの揚程を決めて、配管距離の近い空気調和機への配管はバルブで調整をして圧力損失を作り出して、常時電力の無駄遣いをしている。
さらに悪いことには、電動調節弁の調節機能を正常に発揮させるためには、制御系の圧力損失以上の大きさの圧力損失を電動調節弁にもたせることが必要とされており、空気調和機1の熱交換器の圧力損失が12mAqであるため電動調節弁の圧力損失を15mAqとしている。これだけで冷水ポンプの必要電力を40kWも上げる結果となっている。電動調節弁を使用しなければ150kWで済む。
そこで本発明では、10台の空気調和機1全てに、1030Lit/minの流量を循環する個別冷水循環ポンプ33を取り付け、負荷変動に応じて必要な冷水量を無駄なエネルギーを全く使わずに循環できるよう、インバーターによる冷水の流量制御を行う様に改めた。在来と同じ冷水循環量で在来の冷水配管を使用する関係上、電動調節弁の圧力損失以外の圧力損失は同じ値となるので、在来の190kWの冷水循環ポンプに替えて15kWの個別冷水循環ポンプ10台を取り付けた。
空気調和機にかかる熱負荷が部分負荷の場合の必要冷水循環量は、負荷率に比例せず、熱交換のための空気対冷水の有効温度差が負荷に応じて変化することが制御上必要であるため、負荷の低減分を遥に越えて冷水循環量は減る傾向にあり、75%負荷時の冷水量は50%を切る処まで減ることになる。47%の流量に対してインバーター駆動のポンプ循環電力は3乗で低減するから、インバーターの回転数制御で0.47=0.1、僅かに10%までポンプ電力は節減できる。
本発明では全部の冷水量がゼロになる事はないとの観点からターボ冷凍機5の最小冷水量は確保できる見通しであるが、冷水量が不足となる場合を想定して10台の空気調和機1の個別冷水循環ポンプと並列に最低水量確保用の冷水バイパス循環ポンプを設けて必要に応じてインバーター運転によって、ターボ冷凍機5の最小必要冷水量を確保することも好い方法として考えられる。
前記
に述べた、外気調和機21は換気用の取り入れ外気を8℃まで冷却除湿し、主送風機6の吸い込みチャンバー7で温度調節済みの循環空気と混合されて室内に供給され、室内の在室者の発生する水蒸気を打ち消して湿度を所定の値に保つ働きをするが、成人男子1名当たり100g/hの水蒸気発生量は兎も角、実際の人員や水蒸気発生量は把握できないので、本発明による実施例では室内の代表点に室内用のCO濃度センサー・調節器41を取り付けることによってCO濃度を800ppmに設定し、この信号を受けて外気送風機24のモーターをインバーターで調節して外気量を調整するように設備を行った。
在室者のみならず人間の食物を構成する分子に含まれるH原子とC原子の数の比率が極端に異なるものではなく、一般的な食糧を採っている限り、HOの発生量とCOの発生量の比率に特別の変化はなく、湿度の制御をするために外気の量を調節する目的で、CO濃度調節器を利用することは有効であり、CO濃度と湿度の双方を同時に満足する一石二鳥の合理的な方法である。湿度調節器を使用する場合に比較して温度の影響を受け難く、安定した制御性が得られる。
この外気風量調節によって、温度と湿度の調節が別々に独立して完璧に無駄を無くして行うことが可能になり、これまでの空気調和システムには見られない特典となると同時に、通常見過ごしになってきた外気量の制御を必要に応じて行って、無駄な外気の取り入れを防止し、無駄な外気負荷によるエネルギーの損失を完全に防止する事ができる。
外気調和機21の主たる熱交換器には直接接触式熱交換器28を使用しているが外気が寒冷な冬季に加熱・加湿の必要がある場合、冷水配管15に設けた分岐管22から分岐し空気調和機1の熱交換器4で室内循環空気を冷却して昇温した冷水を垂直軸円柱型の直接接触式熱交換器28に散水を行う散水系統配管34の途上に設けた加熱用熱交換器35に通して散水を15℃程度に暖めて外気を露点温度8℃〜10℃程度まで加熱・加湿を行う。これによって廃熱を有効に利用して、冬季の加熱・加湿を十分に行う事が出来る。なお、散水系統配管34には加熱用熱交換器35に隣接して冷却用の圧縮式チラー23の蒸発器36、散水受け皿37、散水ポンプ38、水圧反動回転式散水管39などが設備されている。
本実施例で省エネルギー改善のために密閉型冷却塔8を2倍の能力になるように同容量の密閉冷却塔25の増設を行ったが、これはターボ冷凍機5の凝縮温度を下げて、ターボ圧縮機の効率向上に役に立つのみならず、冬季を中心とする外気が寒冷な時季に、寒冷な外気を利用して、ターボ冷凍機5を運転しないで、密閉型冷却塔5、28のみの運転で14℃の冷水を循環冷却しようとする狙いがあり、本実施例における密閉型冷却塔の性能と熱負荷の関係から、外気湿球温度が10.5℃を切る11月上旬から4月上旬までの約5カ月の長期間に亙り、ターボ冷凍機5の運転をする必要がない。
この間は自動的に冷水配管15と冷却水配管19とを切り替える切り替え自動弁40を作動させて、冷却水ポンプ9を運転しないで個別冷水循環ポンプ33の働きで密閉型冷却塔8、25と空気調和機1の間に冷水を循環させてフリークーリングを行い、ターボ冷凍機5の運転期間を大幅に短縮して年間200日に抑えて、大きく省エネルギーを図る事ができる。
なお、外気調和機21についても外気専用の空気調和機として圧縮式チラー23を独立させたので、外気湿球温度が外気給気露点温度8℃を切る11月下旬から3月下旬の間は圧縮機の運転を行う必要はなく、240日まで運転時間を短縮している。在来方式では冬季加湿が必要で、蒸気、電熱などのエネルギーを消費したが、改善後は廃熱回収で加湿できるので加湿ノズル20は不要となる。
発明の効果
本発明は実施例の説明で述べたように構成したから、サーモスタットの取り付けとCO濃度調節器の取り付けを除く全ての改造工事は居住区域に及ぶ事なく冷熱源機械室、屋上、空調機械室の内部だけで実施できるため、テナントなどの居住者、利用者を移動する必要がなく施工することが出来、誠に便利で経済性が高い改善の方法である。
勿論のこと、目的とする省エネルギー化については抜群の性能を発揮し、年間のエネルギー使用量を改造前の50%以下まで節減することが可能である。
詳細な計算は省略するが計算結果を参考までに下記に示す。
在来方式の年間の消費電力は次の通りとなる。
ターボ冷凍機 750kW×0.6×12h×360日=1944000kWh
冷却水ポンプ 90kW×1.0×12h×360日= 388800kWh
密閉型冷却塔 112kW×0.5×12h×360日= 120960kWh
冷水ポンプ 190kW×1.0×12h×360日= 820800kWh
空調機送風機 150kW×1.0×12h×360日= 648000kWh
設備電力合計1246kW 年間消費電力合計3922560kWh
省エネルギー改造方式の年間の消費電力は次の通りとなる。
ターボ冷凍機 510kW×0.7×12h×200日= 856800kWh
冷却水ポンプ 90kW×1.0×12h×200日= 216000kWh
密閉型冷却塔 112kW×0.4×12h×360日= 193500kWh
冷水ポンプ 150kW×0.1×12h×360日= 64800kWh
空調機送風機 135kW×0.4×12h×360日= 233300kWh
外気系圧縮機 150kW×0.3×12h×240日= 129600kWh
外気送風機他 50kW×0.4×12h×360日= 86400kWh
ポンプ節減分 (64800/7.4)×200/360=−56800kWh
送風機節減分(233300/7.4)×200/360=−21400kWh
設備電力合計1147kW 年間消費電力合計1702200kWh
上の計算の通り170万kWh/392万kWh=0.43 すなわち、57%の省エネルギーを図る効果が挙がる。ファン・ポンプの節減分とはファン・ポンプ消費電力の節減が冷凍機入力に及ぼす効果を計算したものである。
は実施例の改造前の空気調和設備の状態を説明する系統図、 は本発明による改造を行った空気調和設備の状態を説明する系統図を示す。
符号の説明
1.空気調和機
2.外気取り入れ口
3.外気取り入れダクト
4.熱交換器
5.ターボ冷凍機
6.主送風機
7.吸い込みチャンバー
8.密閉型冷却塔
9.冷却水ポンプ
10.給気ダクト
11.空気吹き出し口
12.吸い込み口
13.フィルター
14.冷水ポンプ
15.冷水配管
16.主送風機モーター
17.電動3方調節弁
18.冷水共通ヘッダー
19.冷却水配管
20.加湿ノズル
21.外気調和機
22.分岐管
23.圧縮式チラー
24.外気送風機
25.密閉型冷却塔
26.外気用粗フィルター
27.予冷熱交換器
28.直接接触式熱交換器
29.水冷式凝縮器
30.圧縮機
31.室内サーモスタット
32.還気用サーモスタット
33.個別冷水循環ポンプ
34.散水系統配管
35.加熱用熱交換器
36.圧縮式チラーの蒸発器
37.散水受け皿
38.散水ポンプ
39.水圧反動回転式散水管
40.自動切り替え弁
41.CO濃度センサー・調節器

Claims (7)

  1. 空気調和設備において水冷式凝縮器をもつターボ冷凍機の冷水出口温度を在来10℃以下で使用していたものを、この冷水を使用して被空調室内からの戻り空気の冷却を行う主空気調和機の熱交換器においてドレンが発生しない程度、即ち、除湿能力が生じ難い11℃以上の温度まで上げ、主空気調和機の熱交換器では主として顕熱冷却のみを行い、除湿に関しては前記主空気調和機への外気取り入れダクトの途上に、外気専用の水冷式凝縮器をもつチラーと直接接触式の主熱交換器を持つ外気調和機を新たに設置して、前記冷水を前記外気調和機の予冷熱交換器に使用した後に、前記チラーの水冷式凝縮器を通過せしめて、前記チラーを運転し、換気の目的に応じた風量で被空調室内の除湿を十分に図れる露点温度まで外気を冷却除湿するに必要な温度の冷水を前記直接接触式の主熱交換器に循環供給して外気の冷却除湿を行うようにし、空調負荷の大部分を占める顕熱冷却のための前記ターボ冷凍機の蒸発温度を上げることによって同機の圧縮機の圧縮比を小さく抑え、除湿のみを別の冷凍機を使用して必要な蒸発温度まで下げて運転し、顕熱冷却と除湿とを別々に制御して空気調和を行う事を特色とする空気調和設備の省エネルギー改善の方法。
  2. 請求項1の改善により、在来の空調に比較して被空調室内の空気と給気との温度差が小さくなるので、必要に応じて送風機の風量を増すために、送風機モーターを出力の大きいものに交換し、室内温度または還気温度によって、送風量を調節するべく、前記送風機モーターにインバーターを使用してある決められた温度幅の範囲内で室温または還気温度を一定に保つ様にして空気調和を行う事を特色とする請求項1の空気調和設備の省エネルギー改善の方法。
  3. 請求項2の改善により、室内熱負荷率の低下に従って、送風量が少なくなる場合にも給気温度をほぼ一定に保つ事が出来るよう、さらに極端な負荷の減少に対応した、給気風量の極端な減少を避けるために、前記主空気調和機の熱交換器を通過する冷水量を自動的に調整する自動制御装置を備えたことを特色とする請求項1の空気調和設備の省エネルギー改善の方法。
  4. 請求項3の改善により必要となる冷水量の制御を在来より設備されている自動調節弁を使用せずこれを取り外して、冷熱源のターボ冷凍機と主空気調和機の間をその熱交換器に必要な冷水量を循環させる能力のある個別冷水循環ポンプを設けて、給気温度を理想的な値に保つべく、前記個別冷水循環ポンプにインバーターを使用して水量調整をして空気調和を行う事を特色とする請求項1の空気調和設備の省エネルギー改善の方法。
  5. 請求項1の改善により、外気の給気によって室内空気の湿度を一定に保つ目的で、室内またはこれに準じる位置に取り付けた湿度調節器により、または湿度調節器に替えてCO濃度調節器によって外気調和機の送風量を制御して空気調和を行う事を特色とする請求項1の空気調和設備の省エネルギー改善の方法。
  6. 請求項1の改善により設置した外気調和機において、冬季寒冷な外気を加熱・加湿するために、主空気調和機の熱交換器を通過した冷水または温水を前記外気調和機に導き、外気調和機の直接接触式の熱交換器への散水を加熱用熱交換器を介して暖めて加熱・加湿をして空気調和を行う事を特色とする請求項1の空気調和設備の省エネルギー改善の方法。
  7. 請求項1の改善に際して、ターボ冷凍機の圧縮比を小さくするために、低圧側の蒸発温度の向上に留めず、高圧側の温度を下げる目的で、冷却塔を増設して冷却塔の冷却能力を高めて高圧側の凝縮温度を低く抑え、圧縮機の効率を向上すると同時に、冬季を中心とする外気が寒冷な期間、その寒冷な外気を利用して冷凍機を運転せずに冷却塔のみによって冷水の冷却循環供給を長期間にわたり可能とする事を特色とする請求項1の空気調和設備の省エネルギー改善の方法。
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