JP3994275B2 - 光直接増幅器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長分割多重(WDM)光伝送システムにおける光直接増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】
WDM光伝送システムにおいては、主信号のレベルを一定に制御することは重要な課題である。主信号のレベルを一定に制御するには、主信号のレベルをモニターし、これを一定に制御することがまず考えられる(例えば、特開2001−103013号、特開2001−144692号)。これに対して、主信号の波長とは異なる波長を有し、各主信号チャネルの平均レベルと同じレベルを有する光信号(パイロットトーン信号)を一定に制御することにより、主信号の出力を一定に保つ方法が考案されている(例えば、特開平4−275530号、特開2001−257646号)。この方法で用いるパイロットトーン信号は、主信号の変調周波数よりもかなり小さい変調周波数を有するため、ノイズの影響を受けにくく、主信号を直接、制御に用いる方法に比べて、主信号の安定した出力一定制御が可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、パイロットトーン信号一定制御では、パイロットトーン信号と各主信号チャネルの平均レベルが等しいとして、パイロットトーン信号のみをモニターして制御するため、中継局の光直接増幅器の利得に波長依存性があったりすると、パイロットトーン信号は、主信号の基準光としての意義を失い、パイロットトーン信号を盲目的に一定になるように制御しても、主信号は一定に制御されず、本来パイロットトーン信号のレベルに等しいはずの各主信号チャネルの平均レベルが、場合によっては、過度に高くなったり、過度に小さくなったりする可能性が生じる。その結果、出力レベル過大による伝送光ファイバの非線形性の発現や、出力レベル低下によるS/N比の劣化を引き起こす。
【0004】
この問題を図5に模式的に示した。(a)が、各主信号チャネルの平均レベル(以下、主信号平均レベルとする)がパイロットトーン信号レベルよりも過度に大きくなる場合、(b)が、主信号平均レベルがパイロットトーン信号レベルよりも過度に小さくなる場合である。なお簡単のため、(a)、(b)でそれぞれ、3段の光直接増幅器は同じ利得特性を有するものとする。(a)では、主信号の正味の利得がパイロットトーン信号の正味の利得(パイロットトーン一定制御では、パイロットトーン信号の波長で光直接増幅器の利得と損失が釣り合うため正味の利得は0であり、出力が一定となる)よりも大きいため、本来パイロットトーン信号レベルに等しいはずの主信号平均レベルが、多段中継伝送によりますます大きくなる。逆に(b)では、主信号の正味の利得がパイロットトーン信号の正味の利得よりも小さいため、本来パイロットトーン信号レベルに等しいはずの主信号平均レベルが、多段中継伝送によりますます小さくなる。
【0005】
この問題に対して、異なる利得特性を有する光直接増幅器を複数組み合わせて多段接続し、利得を平坦化することが考えられるが、本質的な解決にはならない。
【0006】
本発明の目的は、WDM光伝送システムにおいて、パイロットトーン一定制御による主信号制御を行いつつも、主信号レベルが過度に大きくなったり、小さくなったりすることを確実に防止する光直接増幅器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、パイロットトーン信号のみならず、主信号もモニターする。主信号については、波長分析器により、ノイズ成分を取り除いた真の主信号平均レベルが求められる。求められた真の主信号平均レベルを、モニターしているパイロットトーン信号レベルに関連付けることにより、パイロットトーン信号は主信号の基準光としての意義を回復し、所定の真の主信号平均レベルに対応したパイロットトーン信号レベルが求まる。そして、当該レベルになるように、モニターしているパイロットトーン信号を制御する。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態の光直接増幅器は、光信号を増幅する光モジュール部1と、光モジュール部を制御する電子制御部2からなる。
【0010】
光モジュール部1は、光直接増幅器の媒体であるエルビウムドープ光ファイバ(EDF)3と、励起光を発生させる励起用レーザダイオード(LD)5と、励起用LD5からの励起光をEDF3に注入するためのWDMカプラ4と、出力ポートにおけるパイロットトーン信号および主信号をモニターするための分岐カプラ6と、波長分析器17と、波長分析器17で分析されたパイロットトーン信号をモニターするパイロットトーン信号モニター7と、ノイズを取り除いた真の主信号平均レベルをモニターする出力モニター9から構成される。
【0011】
電子制御部2は、パイロットトーン信号モニター7からの出力と出力モニター9からの出力をもとに、励起用LD5にパイロットトーン信号のレベルの目的値を出力する比較演算処理部11を含む演算処理部10と、パイロットトーン信号モニター7でモニターされているパイロットトーン信号を、比較演算処理部11から入力されたパイロットトーン信号の目的値にするように励起用LD5を制御するLD制御部12から構成される。
【0012】
パイロットトーン信号モニター7がモニターしているパイロットトーン信号のレベルを、出力モニター9が真の主信号平均レベル(主信号は、高周波の変調がかかっているので、ノイズ成分が乗りやすい。したがって、ノイズ成分を含めたまま主信号平均レベルを一定にしようとすると、中継ごとに真の主信号成分が目減りしてしまう。ノイズ除去は、スペクトルアナライザである波長分析器17で行える)を比較演算処理部11へ出力すると、比較演算処理部11は、主信号平均レベルがパイロットトーン信号の何倍なのかを求める。これにより、パイロットトーン信号は、主信号の基準光としての意義を回復し、パイロットトーン信号による制御が意味をなすようになる。一定に維持すべき所定の真の主信号平均レベルに対応するパイロットトーン信号レベルを求め、これを制御の目的値として、LD制御部12へ出力する。LD制御部12は、パイロットトーン信号モニター7がモニターしているパイロットトーン信号をこの目的値になるように制御する。
【0013】
図2を参照すると、本発明の第2の実施形態である光直接増幅器が示されている。出力光に含まれる増幅自然放出(ASE)光をモニターするASEモニター19と、減算処理部20が、図1の光直接増幅器から新たに設けられている。
【0014】
主信号モニター18でモニターしている主信号平均レベルにはASE光成分が含まれており、これを主信号平均レベルとして制御を行うと、中継を重ねるにつれて、真の主信号平均レベルが目減りする。そこで、ASEモニター19により出力光に含まれるASE光出力レベルをモニターし、主信号モニター9でモニターしている主信号平均レベルとASE光レベルの差を演算処理部10内の減算処理部20で求め、ASE光を除いた真の主信号平均レベルを求める。後は、図1の光直接増幅器と同様の処理を行う。本実施形態により、主信号にASE光が多く含まれている状態で光増幅した場合に起こる、主信号光出力レベルの低下を抑制する効果が期待できる。
【0015】
図3を参照すると、本発明の第3の実施形態である光直接増幅器が示されている。本実施形態は、第2の実施形態において、ASEモニター19をASEデータメモリ21に置き換えたものである。あらかじめチャネル数に応じたASE光レベルを測定して、ASEデータメモリ21にデータを格納する。ASE光レベルの測定は、無信号状態で光直接増幅器を動作させたときの出力光を測定することにより実現可能である。外部入力によりチャネル数情報を演算処理部10に入力し、チャネル数情報に応じたASE光レベルのデータをASEデータメモリ21より読み出す。後は、図2の光直接増幅器と同様の処理を行う。本実施形態により、ASEモニター19が不要となり、制御系のコンパクト化および増幅器のコストダウンが期待できる。
【0016】
図4を参照すると、本発明の第4の実施形態である光直接増幅器が示されている。本実施形態は、主信号平均レベルの上限値と下限値を格納した主信号リミットメモリ22を設ける。外部入力によりチャネル数情報を演算処理部10に入力し、当該チャネル数情報に応じた主信号平均レベルのリミット値(上限値、下限値)のデータを主信号リミットメモリ22から読み出す。主信号リミットメモリ22に格納された上限値より実際の主信号平均レベルが大きい場合には、この上限値に対応するパイロットトーン信号値を目的値として制御を行う。主信号リミットメモリ22に格納された下限値より実際の主信号平均レベルが小さい場合には、この下限値に対応するパイロットトーン信号値を目的値として制御を行う。実際の主信号平均レベルが主信号リミットメモリ22に格納された下限値より大きく上限値より小さい場合には、制御を行わず、そのまま光を出力する。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、全主信号チャネルの平均レベルは常に一定値またはある一定の幅に制御され、中継によって主信号平均レベルが上がりすぎたり下がりすぎたりすることなく、安定した出力レベルを確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の光直接増幅器のブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の光直接増幅器のブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施形態の光直接増幅器のブロック図である。
【図4】本発明の第4の実施形態の光直接増幅器のブロック図である。
【図5】従来技術の欠点を示す図である。
【符号の説明】
1 光モジュール部
2 電子制御部
3 エルビウムドープ光ファイバ(EDF)
4 WDMカプラ
5 励起用レーザダイオード(LD)
6 分岐カプラ
7 パイロットトーン(PT)信号モニター
9 主信号モニター
10 演算処理部
11 比較演算処理部
12 LD制御部
17 波長分析器
19 ASEモニター
20 減算処理部
21 ASEデータメモリ
22 主信号リミットメモリ

Claims (4)

  1. 複数のチャネルを有する主信号とともに伝送されているパイロットトーン信号のレベルを制御することによって、各主信号チャネルの平均レベルを所定の値に維持する、波長分割多重光伝送のための光直接増幅器において、
    主信号とパイロットトーン信号を含む伝送信号のスペクトル強度分析を行い、受信したパイロットトーン信号の値と、ノイズ成分を取り除いた各主信号チャネルの平均値を出力する波長分析手段と、
    前記受信したパイロットトーン信号の値をモニターするパイロットトーン信号モニターと、
    前記ノイズ成分を取り除いた各主信号チャネルの平均値をモニターする主信号モニターと、
    前記パイロットトーン信号モニターと前記主信号モニターの出力を入力とし、パイロットトーン信号の値とノイズ成分を取り除いた各主信号チャネルの平均値を関連付けて、前記所定の値に対応するパイロットトーン信号の値を求め、該値を目的値として出力する処理手段と、
    前記処理手段からの前記目的値と、前記パイロットトーン信号モニターからのパイロットトーン信号の値を入力とし、該パイロットトーン信号の値を前記目的値になるように、光直接増幅器の励起光を制御する励起光制御手段を有することを特徴とする光直接増幅器。
  2. 増幅自然放出光の大きさをモニターするASEモニターをさらに有し、前記波長分析手段はさらに増幅自然放出光の値を前記ASEモニターに出力し、前記処理手段は、さらに前記ASEモニターから増幅自然放出光の値の入力を受け、パイロットトーン信号の値とノイズ成分を取り除いた各主信号チャネルの平均値を関連付ける前に、前記ノイズ成分を取り除いた各主信号チャネルの平均値から、前記ノイズ成分を取り除いた各主信号チャネルの平均値に含まれる増幅自然放出光の値を減算する、請求項1に記載の光直接増幅器。
  3. 増幅自然放出光の大きさをあらかじめ格納してあるASEデータメモリをさらに有し、前記処理手段は、前記ASEデータメモリから増幅自然放出光の値を読み出し、パイロットトーン信号の値とノイズ成分を取り除いた各主信号チャネルの平均値を関連付ける前に、前記ノイズ成分を取り除いた各主信号チャネルの平均値から、前記ノイズ成分を取り除いた各主信号チャネルの平均値に含まれる増幅自然放出光の値を減算する、請求項1に記載の光直接増幅器。
  4. 複数のチャネルを有する主信号とともに伝送されているパイロットトーン信号のレベルを制御することによって、各主信号チャネルの平均レベルを所定の範囲に維持する、波長分割多重光伝送のための光直接増幅器において、
    主信号とパイロットトーン信号を含む伝送信号のスペクトル強度分析を行い、受信したパイロットトーン信号の値と、ノイズ成分を取り除いた各主信号チャネルの平均値を出力する波長分析手段と、
    前記受信したパイロットトーン信号の値をモニターするパイロットトーン信号モニターと、
    前記ノイズ成分を取り除いた各主信号チャネルの平均値をモニターする主信号モニターと、
    各主信号チャネルの平均値の上限値および下限値を格納する主信号リミットメモリと、
    前記パイロットトーン信号モニターと前記主信号モニターの出力と、前記主信号リミットメモリの前記上限値および前記下限値を入力とし、パイロットトーン信号の値とノイズ成分を取り除いた各主信号チャネルの平均値を関連付け、前記ノイズ成分を取り除いた各主信号チャネルの平均値が前記下限値と前記上限値の間にあるときは、前記ノイズ成分を取り除いた各主信号チャネルの平均値に対応するパイロットトーン信号の値を求め、該値を目的値として出力し、前記ノイズ成分を取り除いた各主信号チャネルの平均値が前記上限値を上回っているときは、該上限値に対応するパイロットトーン信号の値を求め、該値を目的値として出力し、前記ノイズ成分を取り除いた各主信号チャネルの平均値が前記下限値を下回っているときは、該下限値に対応するパイロットトーン信号の値を求め、該値を目的値として出力する処理手段と、
    前記処理手段からの前記目的値と、前記パイロットトーン信号モニターからのパイロットトーン信号の値を入力とし、該パイロットトーン信号の値を前記目的値になるように、光直接増幅器の励起光を制御する励起光制御手段を有することを特徴とする光直接増幅器。
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