JP3993031B2 - 脱臭用組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脱臭作用に極めて優れた脱臭用組成物、建築用材料、及び脱臭シート材に関する。
【0002】
【従来の技術】
珪藻土は、珪藻と呼ばれる植物プランクトンの死骸が長い時間かかって化石化してできた土であり、その主成分は含水非晶質二酸化珪素であり、内外に連通する0.1〜1.0μmの無数の細孔が形成されており、吸水性、吸着性に優れている。この吸着性を利用し、臭い成分の吸着により脱臭機能を付加せしめた建築材料に関する技術としては、特開2002−21214号公報、特開2000−96799号公報等に記載されたものが知られているが、これら従来技術においては、単に珪藻土を配合し、珪藻土が本来有する脱臭効果を発揮させるにとどまり、建築用材材料に珪藻土を配合して、珪藻土が有する脱臭効果以上の脱臭効果を発揮させようとする試みは、未だ成されておらず、そのような建築材料も得られていない。したがって、これら従来の建築材料については未だ脱臭効果において満足できるものではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、珪藻土を使用して従来みられない極めて高い脱臭効果を有する脱臭用組成物を提供すると共に、該脱臭効果の他にも、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド等の有機溶剤の吸着性に優れ、さらに、吸放湿性にも優れた建築用材料を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は鋭意研究の結果、珪藻土を漆喰原料に配合し、これを固化させたものは、珪藻土単独のものよりもさらに優れた脱臭効果、および有機溶剤吸着性を有することを見いだし本発明を完成させるに至ったものである。
即ち本発明は以下の(1)〜(3)に係るものである。
(1)消石灰及び/または貝灰、鹿沼土及び糊料を含有する漆喰原料並びに未焼成の能登産珪藻土を主成分として含有することを特徴とする脱臭用組成物。
(2)消石灰及び/または貝灰、鹿沼土及び糊料を含有する漆喰原料並びに未焼成の能登産珪藻土を主成分として含有することを特徴とする建築用材料。
(3)前記第(1)項の組成物に加水して混練し、得られた該混練物を紙、布又はネット状物に対し不連続状に塗布せしめた後、固化せしめたことを特徴とする脱臭シート材。
【0005】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
漆喰は、一般的には、消石灰、蠣殻を焼成粉末化した貝灰、ツノマタ等の海草から得られた海草糊料等の結合剤及びスサと呼ばれる繊維状物質を主成分とし、加水後混練りし、塗工して固化させたものである。
【0006】
本発明にいう漆喰原料とは、消石灰及び貝灰を単独ないし混合した灰材、ツノマタ等の糊料、及び山砂を必須成分とするものであり、少なくともこれら成分を含有する漆喰原料に上記珪藻土を配合して、脱臭用組成物あるいは建築用材料とするものである。
【0007】
本発明に使用する珪藻土としては、特に限定されずいずれのものであっても使用できるが、大分産の白色珪藻土よりも能登産珪藻土の方がよく、また、焼成したものよりも焼成しないものの方が脱臭効果及びホルムアルデヒド等の有害物質の吸着性に優れている。
【0008】
本発明において使用する漆喰原料について説明すると、消石灰は漆喰原料として使用されている通常のものでよく、貝灰は、蠣殻を焼成して粉砕したものを用いる。また、本発明において使用する結合材としては、ツノマタ、白色セメント等を用いる。
【0009】
使用する繊維状物としては、和紙、マニラ麻、シュロ等の破砕物、木材パルプ等が用いられるが、これらは漆喰の割れ、剥がれ等を防止するものであるが、これらは白セメントによりその一部又は全部を代用できる。また、山砂としては特に鹿沼土、桂石を含んだ土壌、あるいは桂石の粉砕物等が、脱臭効果上望ましい。
【0010】
本発明において漆喰原料を構成する各成分の割合(水不含有)を例示すると、灰材10〜40重量%、好ましくは15〜30重量%、白セメント15〜45重量%、好ましくは25〜40重量%、山砂20〜60重量%、好ましくは35〜45重量%、ツノマタは0.1〜5%重量%、繊維状物0.1〜5重量%、である。また、これら漆喰原料に対する珪藻土の配合割合は、重量で漆喰原料1に対して珪藻土0.1〜0.9の割合であり、好ましくは0.4〜0.6の割合である。本発明においては、上記漆喰原料と珪藻土を併用したことにより、漆喰原料、及び珪藻土各単独の場合に比べ、優れた脱臭及び有害物質吸着効果を発揮する。
【0011】
本発明の脱臭組成物は加水して混練することにより、種々の形態で用いることができる。例えば、本発明の組成物を加水し混練して、台形、直方体、星形、球形等の種々の形状に成形、固化し、この成形物を冷蔵庫内、トイレ、ペット用便器等のにおい発生場所に置き、脱臭効果を発揮させることができる。
【0012】
また、本発明の組成物を加水混練して、紙、布、板等に塗工したものを適当な大きさに切断して、これを上記のようなにおい発生場所に置いてもよい。
本発明の組成物は、建築用材料として用いる場合、極めて有利な効果を発揮するが、建築用材料として用いる場合には、従来の漆喰と同様に、建築物の壁、柱、天井等に直接本発明の組成物を加水混練して塗工してもよいし、厚紙、ベニヤ板等の板材、石膏ボード、スレート板、プラスチック板、コンクリート板等の表面に塗工し、建築用パネル材としてもよい。
【0013】
本発明の脱臭組成物は、極めて優れた脱臭機能を建築物に付与できるが、こればかりでなく、アレルギー症状の原因となるホルムアルデヒド等の有害物質あるいは花粉等をも吸着無害化できる。また、従来の漆喰と同様に、耐熱性、耐火性に優れ、さらに、吸放湿性に優れ、室内を一定の湿度に保つ作用があるため、例えば過湿によるカビ、ダニの発生を抑制でき、これらにより室内空間を快適なものとすることができ、建築用材料として極めて優れた特性を有する。
本発明の組成物を用いた別の形態として、本発明の組成物を加水混練したものを、紙、布、ネット状物に不連続状に塗工し、脱臭シート材に加工したものが挙げられる。
【0014】
この脱臭シート材を、以下、図1、図2に基づき説明する。
まず、本発明の組成物に加水混練したものを用意し、紙、布、ネット状物からなるシート材(1)に、型板(2)をあてがい、上記混練物をローラ等の塗工装置あるいは器具(3)により塗布する。塗布されたシート材(1)には、型板(2)の等穴部の形状に即した形状の塗工部(4)が不連続状ないしは点状に形成される。塗工部の形状は、正方形、長方形あるいは円形、ハート型、星形、あるいはキャラクターを模したもの等いずれであってもよく、さらには、これら各塗工部(4)の集合体として、ある模様、キャラクター等を表わしてもよい。なお、本発明の組成物を紙に塗工する場合には、紙として、繊維が紙表面に露出しているものが接着性の点から望ましく、これには和紙が好適である。
【0015】
また、これら各塗工部(4)においては適当な塗料により色づけしたり、また、図柄を書き込むこともできるし、色づけにおいては、予め本発明の組成物に色素材料を含有せしめておいてもよい。
さらに、特にネット、ガーゼ等の、糸と糸の間に空間のあるネット状物を用いる場合には、さらに強固に塗工部を形成することも可能である。これには図3に示すように、ネット状物(5)を上下の各塗工部(6),(7)により挟み込むように塗工する。これにより、上下の各塗工部(6),(7)は互いに結合し、ネット状物から剥離することがない。
【0016】
この場合の塗工法について、図4を参照してさらに説明する。
これには、例えば、型板(8)を、固化した漆喰が剥離可能な台(9)上に置き、本発明の組成物の加水混練物を注型し、半乾燥〜乾燥状態になったときに、その上にネット状物(11)を置き、さらに型板(8)と同パターンの型板(10)を、型板(8)と重ね合わせるようにしてネット状物(11)の上に置き、型板(10)に再び上記本発明組成物の混練物を注形し、上下の混練物の間にネット状物(11)を挟み込む。次いで固化後、ネット状物(11)を型板(8)、(10)及び台(9)から外し、図3に示されるネット状物(5)を上下の各塗工部(6)、(7)により挟み込まれた形態の脱臭シート材を得る。なお、漆喰は、完全に固化しなくとも、保形性を有するので、完全に固化する前すなわち半乾燥状態でも型板の除去は可能である。
【0017】
このような本発明の脱臭シート材は、裏面に接着剤あるいは両面接着テープを配して壁シートとして使用できるし、布、ネット状物に塗工したものは、一端を壁に固定して壁掛け等としても使用できる。また、この形態のものは、本発明の組成物を不連続状に塗工してあるため、形状追随性が良好である点が第1の特徴点であり、曲がった壁面あるいは円柱等に対しても貼着可能であり、また自動車の室内等のダッシュボード部、天井等に貼着し、室内のタバコ臭等の悪臭を除去することが可能である。
さらに、この脱臭シートを、例えば靴の内底面部形状に切断して、直接あるいは適当なクッション材を積層して、靴の中敷きに用いて悪臭を除去したり、また、通気性のある布、メッシュ状物を用いて脱臭シートを作製した場合においては、マスクの吸着シートとして用いることも可能であり、これにより悪臭のする場所での作業を軽減したりすることができる。またこの他、花粉の吸着性が良好であることにより、花粉症対策用マスクとしても用いることができる。
【0018】
【実施例】
実施例1、比較例1〜2
(1)、以下の配合例のように成分を配合し本発明の脱臭組成物を得た。
配合例
山砂(鹿沼土) 365g
貝灰 190g
白セメント 320g
ツノマタ 10g
和紙 5g
珪藻土(能登産、未焼成) 420g
【0019】
(2)、(1)の脱臭組成物に水を加え、混練し、900mm×600mmの大きさのコルク板に、2mmの厚さで塗布し、固化せしめて本発明の実施例1の試料とした。なお、この組成物の珪藻土配合率は32重量%である。一方、珪藻土420gと白セメント320g、ハイフレックス(水溶性結着樹脂)10gを配合し(珪藻土配合率;56重量%)、水を加え、上記と同じ大きさの板に厚さ2mmで塗布固化せしめて比較例1の試料とした。
また、比較例2として上記(1)の配合例から珪藻土を除いた他は、本発明の試料と同様にして比較例2の試料を作成した。
脱臭効果の評価は、通常の移動式トイレ(作業員6名で10日間使用)内に上記本発明及び比較例の各試料を立てかけ、ドアを閉じた状態で該気温20〜25℃1時間放置し、ドアを開けてパネラーが入室し、においを評価する方法により行なった。なお、評価した試料と次の試料の評価までの間隔は1時間であり、これを1試料につき2回行なった。また、パネラーは5人で、評価基準は、(a)強烈なアンモニア臭あり・・・5点、(b)中程度のアンモニア臭あり・・・4点、(c)わずかなアンモニア臭あり・・・3点、アンモニア臭とは判別できないが何らかのにおいあり・・・2点、(d)、無臭・・・1点であり、その合計点で評価した。その結果を、以下の比較例の結果と共に表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
以上の結果から、本発明の実施例1の試料と、比較例1の試料を同じ枚数使用する場合には、ほとんど脱臭効果の差がなかったが、珪藻土の含有割合は比較例1の試料における珪藻土の含有割合は本発明の試料の2倍に近く、これは漆喰原料が脱臭効果に寄与していることを示す。一方、珪藻土不含の漆喰原料では全く脱臭効果が得られず、本発明の漆喰原料が珪藻土に対して何らかの共力剤的効果を生じせしめている考えられる。
【0022】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明より明らかなように、本発明の組成物は、漆喰原料と珪藻土を併用することにより、高い脱臭効果を有し、これを用いた建築材料は、脱臭効果の他にも、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド等の有害物質、あるいはアレルギーの原因となる花粉の吸着除去性能を有すると共に、漆喰の有していた耐熱性、耐火性、吸放湿性(調湿性も)保持しているので極めて有用なものである。さらに本発明の脱臭組成物を紙、布、メッシュ状物に非連続状に塗布した脱臭シート材は、形状追随性を有しているので、曲がった壁面等にも適用できるほか、靴の中敷き、マスク等広い用途範囲に適用して脱臭等の効果を発揮できるというメリットを有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防臭シート材を作製するための1手順を示す模式図である。
【図2】本発明の防臭シート材の1例を示す図である。
【図3】本発明の防臭シート材の他の例を示す図である。
【図4】図3に示す防臭シート材を作成するための1手順を示す模式図である。
【符号の説明】
1 シート材
2 型板
3 塗工装置、塗工器具
4 塗工部
5 ネット状物
6 塗工部
7 塗工部
8 型板
9 台
10 型板
11 ネット状物
【発明の属する技術分野】
本発明は、脱臭作用に極めて優れた脱臭用組成物、建築用材料、及び脱臭シート材に関する。
【0002】
【従来の技術】
珪藻土は、珪藻と呼ばれる植物プランクトンの死骸が長い時間かかって化石化してできた土であり、その主成分は含水非晶質二酸化珪素であり、内外に連通する0.1〜1.0μmの無数の細孔が形成されており、吸水性、吸着性に優れている。この吸着性を利用し、臭い成分の吸着により脱臭機能を付加せしめた建築材料に関する技術としては、特開2002−21214号公報、特開2000−96799号公報等に記載されたものが知られているが、これら従来技術においては、単に珪藻土を配合し、珪藻土が本来有する脱臭効果を発揮させるにとどまり、建築用材材料に珪藻土を配合して、珪藻土が有する脱臭効果以上の脱臭効果を発揮させようとする試みは、未だ成されておらず、そのような建築材料も得られていない。したがって、これら従来の建築材料については未だ脱臭効果において満足できるものではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、珪藻土を使用して従来みられない極めて高い脱臭効果を有する脱臭用組成物を提供すると共に、該脱臭効果の他にも、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド等の有機溶剤の吸着性に優れ、さらに、吸放湿性にも優れた建築用材料を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は鋭意研究の結果、珪藻土を漆喰原料に配合し、これを固化させたものは、珪藻土単独のものよりもさらに優れた脱臭効果、および有機溶剤吸着性を有することを見いだし本発明を完成させるに至ったものである。
即ち本発明は以下の(1)〜(3)に係るものである。
(1)消石灰及び/または貝灰、鹿沼土及び糊料を含有する漆喰原料並びに未焼成の能登産珪藻土を主成分として含有することを特徴とする脱臭用組成物。
(2)消石灰及び/または貝灰、鹿沼土及び糊料を含有する漆喰原料並びに未焼成の能登産珪藻土を主成分として含有することを特徴とする建築用材料。
(3)前記第(1)項の組成物に加水して混練し、得られた該混練物を紙、布又はネット状物に対し不連続状に塗布せしめた後、固化せしめたことを特徴とする脱臭シート材。
【0005】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
漆喰は、一般的には、消石灰、蠣殻を焼成粉末化した貝灰、ツノマタ等の海草から得られた海草糊料等の結合剤及びスサと呼ばれる繊維状物質を主成分とし、加水後混練りし、塗工して固化させたものである。
【0006】
本発明にいう漆喰原料とは、消石灰及び貝灰を単独ないし混合した灰材、ツノマタ等の糊料、及び山砂を必須成分とするものであり、少なくともこれら成分を含有する漆喰原料に上記珪藻土を配合して、脱臭用組成物あるいは建築用材料とするものである。
【0007】
本発明に使用する珪藻土としては、特に限定されずいずれのものであっても使用できるが、大分産の白色珪藻土よりも能登産珪藻土の方がよく、また、焼成したものよりも焼成しないものの方が脱臭効果及びホルムアルデヒド等の有害物質の吸着性に優れている。
【0008】
本発明において使用する漆喰原料について説明すると、消石灰は漆喰原料として使用されている通常のものでよく、貝灰は、蠣殻を焼成して粉砕したものを用いる。また、本発明において使用する結合材としては、ツノマタ、白色セメント等を用いる。
【0009】
使用する繊維状物としては、和紙、マニラ麻、シュロ等の破砕物、木材パルプ等が用いられるが、これらは漆喰の割れ、剥がれ等を防止するものであるが、これらは白セメントによりその一部又は全部を代用できる。また、山砂としては特に鹿沼土、桂石を含んだ土壌、あるいは桂石の粉砕物等が、脱臭効果上望ましい。
【0010】
本発明において漆喰原料を構成する各成分の割合(水不含有)を例示すると、灰材10〜40重量%、好ましくは15〜30重量%、白セメント15〜45重量%、好ましくは25〜40重量%、山砂20〜60重量%、好ましくは35〜45重量%、ツノマタは0.1〜5%重量%、繊維状物0.1〜5重量%、である。また、これら漆喰原料に対する珪藻土の配合割合は、重量で漆喰原料1に対して珪藻土0.1〜0.9の割合であり、好ましくは0.4〜0.6の割合である。本発明においては、上記漆喰原料と珪藻土を併用したことにより、漆喰原料、及び珪藻土各単独の場合に比べ、優れた脱臭及び有害物質吸着効果を発揮する。
【0011】
本発明の脱臭組成物は加水して混練することにより、種々の形態で用いることができる。例えば、本発明の組成物を加水し混練して、台形、直方体、星形、球形等の種々の形状に成形、固化し、この成形物を冷蔵庫内、トイレ、ペット用便器等のにおい発生場所に置き、脱臭効果を発揮させることができる。
【0012】
また、本発明の組成物を加水混練して、紙、布、板等に塗工したものを適当な大きさに切断して、これを上記のようなにおい発生場所に置いてもよい。
本発明の組成物は、建築用材料として用いる場合、極めて有利な効果を発揮するが、建築用材料として用いる場合には、従来の漆喰と同様に、建築物の壁、柱、天井等に直接本発明の組成物を加水混練して塗工してもよいし、厚紙、ベニヤ板等の板材、石膏ボード、スレート板、プラスチック板、コンクリート板等の表面に塗工し、建築用パネル材としてもよい。
【0013】
本発明の脱臭組成物は、極めて優れた脱臭機能を建築物に付与できるが、こればかりでなく、アレルギー症状の原因となるホルムアルデヒド等の有害物質あるいは花粉等をも吸着無害化できる。また、従来の漆喰と同様に、耐熱性、耐火性に優れ、さらに、吸放湿性に優れ、室内を一定の湿度に保つ作用があるため、例えば過湿によるカビ、ダニの発生を抑制でき、これらにより室内空間を快適なものとすることができ、建築用材料として極めて優れた特性を有する。
本発明の組成物を用いた別の形態として、本発明の組成物を加水混練したものを、紙、布、ネット状物に不連続状に塗工し、脱臭シート材に加工したものが挙げられる。
【0014】
この脱臭シート材を、以下、図1、図2に基づき説明する。
まず、本発明の組成物に加水混練したものを用意し、紙、布、ネット状物からなるシート材(1)に、型板(2)をあてがい、上記混練物をローラ等の塗工装置あるいは器具(3)により塗布する。塗布されたシート材(1)には、型板(2)の等穴部の形状に即した形状の塗工部(4)が不連続状ないしは点状に形成される。塗工部の形状は、正方形、長方形あるいは円形、ハート型、星形、あるいはキャラクターを模したもの等いずれであってもよく、さらには、これら各塗工部(4)の集合体として、ある模様、キャラクター等を表わしてもよい。なお、本発明の組成物を紙に塗工する場合には、紙として、繊維が紙表面に露出しているものが接着性の点から望ましく、これには和紙が好適である。
【0015】
また、これら各塗工部(4)においては適当な塗料により色づけしたり、また、図柄を書き込むこともできるし、色づけにおいては、予め本発明の組成物に色素材料を含有せしめておいてもよい。
さらに、特にネット、ガーゼ等の、糸と糸の間に空間のあるネット状物を用いる場合には、さらに強固に塗工部を形成することも可能である。これには図3に示すように、ネット状物(5)を上下の各塗工部(6),(7)により挟み込むように塗工する。これにより、上下の各塗工部(6),(7)は互いに結合し、ネット状物から剥離することがない。
【0016】
この場合の塗工法について、図4を参照してさらに説明する。
これには、例えば、型板(8)を、固化した漆喰が剥離可能な台(9)上に置き、本発明の組成物の加水混練物を注型し、半乾燥〜乾燥状態になったときに、その上にネット状物(11)を置き、さらに型板(8)と同パターンの型板(10)を、型板(8)と重ね合わせるようにしてネット状物(11)の上に置き、型板(10)に再び上記本発明組成物の混練物を注形し、上下の混練物の間にネット状物(11)を挟み込む。次いで固化後、ネット状物(11)を型板(8)、(10)及び台(9)から外し、図3に示されるネット状物(5)を上下の各塗工部(6)、(7)により挟み込まれた形態の脱臭シート材を得る。なお、漆喰は、完全に固化しなくとも、保形性を有するので、完全に固化する前すなわち半乾燥状態でも型板の除去は可能である。
【0017】
このような本発明の脱臭シート材は、裏面に接着剤あるいは両面接着テープを配して壁シートとして使用できるし、布、ネット状物に塗工したものは、一端を壁に固定して壁掛け等としても使用できる。また、この形態のものは、本発明の組成物を不連続状に塗工してあるため、形状追随性が良好である点が第1の特徴点であり、曲がった壁面あるいは円柱等に対しても貼着可能であり、また自動車の室内等のダッシュボード部、天井等に貼着し、室内のタバコ臭等の悪臭を除去することが可能である。
さらに、この脱臭シートを、例えば靴の内底面部形状に切断して、直接あるいは適当なクッション材を積層して、靴の中敷きに用いて悪臭を除去したり、また、通気性のある布、メッシュ状物を用いて脱臭シートを作製した場合においては、マスクの吸着シートとして用いることも可能であり、これにより悪臭のする場所での作業を軽減したりすることができる。またこの他、花粉の吸着性が良好であることにより、花粉症対策用マスクとしても用いることができる。
【0018】
【実施例】
実施例1、比較例1〜2
(1)、以下の配合例のように成分を配合し本発明の脱臭組成物を得た。
配合例
山砂(鹿沼土) 365g
貝灰 190g
白セメント 320g
ツノマタ 10g
和紙 5g
珪藻土(能登産、未焼成) 420g
【0019】
(2)、(1)の脱臭組成物に水を加え、混練し、900mm×600mmの大きさのコルク板に、2mmの厚さで塗布し、固化せしめて本発明の実施例1の試料とした。なお、この組成物の珪藻土配合率は32重量%である。一方、珪藻土420gと白セメント320g、ハイフレックス(水溶性結着樹脂)10gを配合し(珪藻土配合率;56重量%)、水を加え、上記と同じ大きさの板に厚さ2mmで塗布固化せしめて比較例1の試料とした。
また、比較例2として上記(1)の配合例から珪藻土を除いた他は、本発明の試料と同様にして比較例2の試料を作成した。
脱臭効果の評価は、通常の移動式トイレ(作業員6名で10日間使用)内に上記本発明及び比較例の各試料を立てかけ、ドアを閉じた状態で該気温20〜25℃1時間放置し、ドアを開けてパネラーが入室し、においを評価する方法により行なった。なお、評価した試料と次の試料の評価までの間隔は1時間であり、これを1試料につき2回行なった。また、パネラーは5人で、評価基準は、(a)強烈なアンモニア臭あり・・・5点、(b)中程度のアンモニア臭あり・・・4点、(c)わずかなアンモニア臭あり・・・3点、アンモニア臭とは判別できないが何らかのにおいあり・・・2点、(d)、無臭・・・1点であり、その合計点で評価した。その結果を、以下の比較例の結果と共に表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
以上の結果から、本発明の実施例1の試料と、比較例1の試料を同じ枚数使用する場合には、ほとんど脱臭効果の差がなかったが、珪藻土の含有割合は比較例1の試料における珪藻土の含有割合は本発明の試料の2倍に近く、これは漆喰原料が脱臭効果に寄与していることを示す。一方、珪藻土不含の漆喰原料では全く脱臭効果が得られず、本発明の漆喰原料が珪藻土に対して何らかの共力剤的効果を生じせしめている考えられる。
【0022】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明より明らかなように、本発明の組成物は、漆喰原料と珪藻土を併用することにより、高い脱臭効果を有し、これを用いた建築材料は、脱臭効果の他にも、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド等の有害物質、あるいはアレルギーの原因となる花粉の吸着除去性能を有すると共に、漆喰の有していた耐熱性、耐火性、吸放湿性(調湿性も)保持しているので極めて有用なものである。さらに本発明の脱臭組成物を紙、布、メッシュ状物に非連続状に塗布した脱臭シート材は、形状追随性を有しているので、曲がった壁面等にも適用できるほか、靴の中敷き、マスク等広い用途範囲に適用して脱臭等の効果を発揮できるというメリットを有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防臭シート材を作製するための1手順を示す模式図である。
【図2】本発明の防臭シート材の1例を示す図である。
【図3】本発明の防臭シート材の他の例を示す図である。
【図4】図3に示す防臭シート材を作成するための1手順を示す模式図である。
【符号の説明】
1 シート材
2 型板
3 塗工装置、塗工器具
4 塗工部
5 ネット状物
6 塗工部
7 塗工部
8 型板
9 台
10 型板
11 ネット状物
Claims (3)
- 消石灰及び/または貝灰、鹿沼土及び糊料を含有する漆喰原料並びに未焼成の能登産珪藻土を主成分として含有することを特徴とする脱臭用組成物。
- 消石灰及び/または貝灰、鹿沼土及び糊料を含有する漆喰原料並びに未焼成の能登産珪藻土を主成分として含有することを特徴とする建築用材料。
- 請求項1の組成物に加水して混練し、得られた該混練物を紙、布又はネット状物に対し不連続状に塗布せしめた後、固化せしめたことを特徴とする脱臭シート材。
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