JP2007075432A - 脱臭シート及び脱臭方法。 - Google Patents
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Abstract
【課題】 種々の場所に容易に設置することができ、特に家具などから放出されるホルムアルデヒドなどの有害成分を有効に捕捉し得る脱臭シートを提供する。
【解決手段】 基材シート1と、基材シート1の表面に形成された水酸化カルシウム含有漆喰層3と、漆喰層3表面に形成された通気性保護層5とからなり、漆喰層3における水酸化カルシウムの炭酸化率が80%以下に保持されていることを特徴とする。
【選択図】 図1。
【解決手段】 基材シート1と、基材シート1の表面に形成された水酸化カルシウム含有漆喰層3と、漆喰層3表面に形成された通気性保護層5とからなり、漆喰層3における水酸化カルシウムの炭酸化率が80%以下に保持されていることを特徴とする。
【選択図】 図1。
Description
本発明は、脱臭シートに関するものであり、より詳細には脱ホルムアルデヒド性に優れ、特に家具用として好適な脱臭シートに関する。
現在の住居には、壁紙、合板等の多種多様の住宅建材が使用されており、また合板で作製された家具も広く使用されており、これらには、接着剤、防虫剤、可塑剤等の様々な化学物質が含まれている。中でも問題となるのはホルムアルデヒドであり、シックハウス症候群の原因とされている。
現在では、住宅建材などでは、JISなどの規格によりホルムアルデヒド放出成分を含有しない接着剤などが使用されるようになっているが、合板などには安価な接着剤として尿素系接着剤が汎用されており、特にこのような合板で作製された家具などからのホルムアルデヒドの放出が問題となっている。また、このような合板製の家具からのホルムアルデヒドの放出は、通常、作製後、3ヶ月程度の期間が多く、その後は、ホルムアルデヒドの放出はほとんど問題とならないことが知られている。
ところで、特許文献1には、焼成した動物骨粉とともに、軟質多孔性高度珪化珪酸塩白土、珪藻土、シリカまたは竹炭の何れかを含有する漆喰が、ホルムアルデヒドやトルエンなどの化学物質に対する吸着性(脱臭性)に優れていることが知られている。
また、本発明者等は、先に、基材シートと、炭酸カルシウムを結合成分として含有し且つ該基材シートの表面に形成された漆喰層と、該漆喰層表面に形成された通気性保護層とからなる建築材料を提案し、かかる建築材料は特許されている(特許文献2)。
特開2004−244227
特許第3026604号
特許文献1に記載の漆喰は、ホルムアルデヒド等に対する脱臭性を有しているが、その脱臭性は未だ十分でない。また、かかる漆喰は、壁材として使用されるものであり、運搬や設置などの問題があるため、例えば家具等などの脱臭材としての使用には適さない。
さらに、特許文献2の建築材料は、所定の基材シートに炭酸カルシウムを結合成分として含有する化粧層(漆喰層)を有し、この化粧層上に、直接、通気性の保護シートを形成したものであり、化粧層(漆喰層)表面が通気性保護シートで保護されているため、運搬、設置などが容易であり、種々の場所に適用できるという利点がある。しかし、この建築材料は、ホルムアルデヒド等に対する脱臭性は小さく、脱臭材としての用途には適していない。
従って、本発明の目的は、種々の場所に容易に設置することができ、特に家具などから放出されるホルムアルデヒドなどの有害成分を有効に捕捉し得る脱臭シートを提供することにある。
本発明者等は、消石灰を炭酸化して形成される漆喰について鋭意研究した結果、この消石灰の炭酸化率とホルムアルデヒド脱臭性との間に相関関係があり、炭酸化率が低く、漆喰中に水酸化カルシウムが多く残存しているほど、高い脱臭性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、基材シートと、該基材シートの表面に形成された水酸化カルシウム含有漆喰層と、該漆喰層表面に形成された通気性保護層とからなることを特徴とする脱臭シートが提供される。
本発明の脱臭シートにおいては、
(1)前記漆喰層における水酸化カルシウムの炭酸化率が70%以下に保持されていること、
(2)前記基材シートの裏面には、接着剤層を介して離型シートが剥離可能に積層されていること、
(3)炭酸ガス透過係数が1000cc・mm/m2・d・atm以下の包装フィルムに密封して保存され、使用時に開封されて使用に供されること、
(4)家具の内部に設置されて使用されること、
(5)通気性保護シートが、ガーレ通気度2000sec/100cc以下であり、且つ全面にわたって3mmφ以上の範囲で非通気性部分が存在しないシートであること、
(6)前記漆喰層が繊維を含むこと、
が好適である。
(1)前記漆喰層における水酸化カルシウムの炭酸化率が70%以下に保持されていること、
(2)前記基材シートの裏面には、接着剤層を介して離型シートが剥離可能に積層されていること、
(3)炭酸ガス透過係数が1000cc・mm/m2・d・atm以下の包装フィルムに密封して保存され、使用時に開封されて使用に供されること、
(4)家具の内部に設置されて使用されること、
(5)通気性保護シートが、ガーレ通気度2000sec/100cc以下であり、且つ全面にわたって3mmφ以上の範囲で非通気性部分が存在しないシートであること、
(6)前記漆喰層が繊維を含むこと、
が好適である。
本発明によれば、また、上記脱臭シートを、漆喰層における水酸化カルシウムの炭酸化率が70%以下に保持されている状態で、ホルムアルデヒド発生源もしくはその近傍に設置して脱臭することを特徴とする脱臭方法が提供される。
上記の脱臭方法において、前記ホルムアルデヒド発生源としては、特に家具を挙げることができる。
本発明の脱臭シートは、基材シートの表面に漆喰層と通気性保護シートとがこの順に積層された構造を有するものであるが、特に重要な特徴は、漆喰層に水酸化カルシウムが残存している点にある。即ち、この漆喰層は、水酸化カルシウムが空気中の炭酸ガスを吸収して炭酸化されて炭酸カルシウムを形成し、硬化した層となる。本発明は、水酸化カルシウムの全てが炭酸化される前の段階で脱臭シートとして使用するものである。
図4は、基材シートの表面に消石灰(水酸化カルシウム)を含む漆喰層と通気性保護シートとが形成された積層シート(後述する実験例1参照)について、製造直後からの水酸化カルシウムの炭酸化率の経時変化を示している。この図4によれば、経時と共に、水酸化カルシウムが大気中の炭酸ガスを吸収して炭酸化され、炭酸カルシウムを生成して硬化することが判る。一方、図5は、上記の積層シートについて、漆喰層中の水酸化カルシウムの炭酸化率とホルムアルデヒド吸着能との関係を測定した図である。この図5から明らかなように、上記のような積層シートでは、炭酸化率が低いほど高いホルムアルデヒド吸着能を示すことが理解される。
即ち、本発明は、上記のような漆喰層中に水酸化カルシウムが残存する段階、好ましくは炭酸化率が70%以下の段階で脱臭シートとして使用するものであり、例えば家具などのホルムアルデヒド発生源に設置することにより、ホルムアルデヒドを吸着し、ハウスシック症候群などを予防することができる。
尚、前述した特許文献2(特許第3026604号)に開示されている建築材料は、上記の積層シートと同じ層構造を有しているが、かかる積層シートは、水酸化カルシウムが炭酸化されて硬化する前の漆喰層の表面が通気性の保護シートで保護されている。このため、製造後、そのままの形態で保管され、この後に運搬され、壁紙等の壁材として使用に供され、例えば、通常、製造直後から実際に壁紙等として使用されるまでの期間は、短くとも3ヶ月程度である。従って、上記の図4から理解されるように、漆喰層中の水酸化カルシウムは、殆ど炭酸カルシウムに転換してしまっているため、使用時においてはホルムアルデヒド吸着能が著しく低下してしまっており、従って脱臭シートとしての実用性はなくなってしまっている。
一方、本発明では、上記のような積層シートを、漆喰層中の水酸カルシウムができるだけ炭酸化するまえの段階で脱臭シートとして使用するため、かかる積層シートは、炭酸ガス透過係数が1000cc・mm/m2・d・atm以下の包装フィルムで密封して保存され、使用時に包装フィルムから取り出される。即ち、保存中に、大気中の炭酸ガスを吸収しての炭酸化を有効に防止することが必要となる。
本発明の脱臭シートは、例えば合板等で作製された新品の家具などのホルムアルデヒド発生源に載置して使用されるが、ホルムアルデヒド非放出性の接着剤などを用い、家具の内部等に接着固定して使用することもできる。この場合、長期間が経過してホルムアルデヒド吸収能が失われてしまったときには、漆喰層は水酸化カルシウムの炭酸化して硬化しており、化粧層としての機能を果たすため、表面の通気性保護シートを引き剥がして、そのまま、家具等に接着固定しておいても美観を損ねることがない。また、表面の通気性保護シートが汚れた段階でこれを引き剥がすこともできる。
図1を参照して、全体として10で示す本発明の脱臭シートは、基材シート1と、基材シート1の表面に設けられた漆喰層3と、漆喰層3の上面に形成された通気性保護シート5とから構成される。
(基材シート1)
基材シート1は、漆喰層3の形成が可能であり、例えば、水酸化カルシウム含有の混練物の塗布により漆喰層3を形成する際に、混練物中の固形分が透過しないものであれば特に制限なく使用される。好適な基材シート1としては、石膏ボード用原紙;パラフィンコート紙等の耐水紙;ガラス繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、カーボン繊維等の繊維状物からなる織布または不織布;などが挙げられるが、漆喰層3との接着性が良好であり、接着剤などの使用が容易であるという点で、石膏ボード用原紙が特に好適である。このような基材シート1の厚みは特に制限されないが、一般には、ハンドリング性などの見地から0.1〜3mm程度とするのがよい。
基材シート1は、漆喰層3の形成が可能であり、例えば、水酸化カルシウム含有の混練物の塗布により漆喰層3を形成する際に、混練物中の固形分が透過しないものであれば特に制限なく使用される。好適な基材シート1としては、石膏ボード用原紙;パラフィンコート紙等の耐水紙;ガラス繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、カーボン繊維等の繊維状物からなる織布または不織布;などが挙げられるが、漆喰層3との接着性が良好であり、接着剤などの使用が容易であるという点で、石膏ボード用原紙が特に好適である。このような基材シート1の厚みは特に制限されないが、一般には、ハンドリング性などの見地から0.1〜3mm程度とするのがよい。
(漆喰層3)
漆喰層3は、結合成分としての炭酸カルシウムを炭酸化により生成するための水酸化カルシウムを含有するものであり、後述するように、水酸化カルシウムと水とを含む混練物を、基材シート1の表面に塗布することにより形成される。このような水酸化カルシウムの存在により、高いホルムアルデヒド吸着能を確保することが可能となるため、漆喰層3中には、所定量以上の水酸化カルシウムが存在することが必要となる。
漆喰層3は、結合成分としての炭酸カルシウムを炭酸化により生成するための水酸化カルシウムを含有するものであり、後述するように、水酸化カルシウムと水とを含む混練物を、基材シート1の表面に塗布することにより形成される。このような水酸化カルシウムの存在により、高いホルムアルデヒド吸着能を確保することが可能となるため、漆喰層3中には、所定量以上の水酸化カルシウムが存在することが必要となる。
この漆喰層3は、水酸化カルシウムが炭酸化されて炭酸カルシウムとなることにより硬化し、所謂、漆喰壁と呼ばれる層を形成するが、このような漆喰層3中には、水酸化カルシウムのホルムアルデヒド吸着能を損なわない範囲の量で、各種の添加剤が配合されていてよい。
このような添加剤としては、例えば、水性エマルジョンの固形分、繊維、無機細骨材、活性微粒子、顔料等を例示することができる。
上記水性エマルジョンの固形分は、水酸化カルシウムの炭酸化により硬化した漆喰層3の靱性を向上せしめるほか、漆喰層3と基材シート1や後述する通気性保護シート5との接着強度等を向上せしめる作用を有するものである。この水性エマルジョンは、水媒体中にモノマー、オリゴマーこれらの重合体等が分散したものであり、例えばアクリル樹脂系、酢酸ビニル系、スチレン/ブタジエンゴム系等の合成高分子系エマルジョンを挙げることができる。このような水性エマルジョンは、水酸化カルシウムの炭酸化により炭酸カルシウムの硬化体が形成される際に、媒体が蒸発して固形分の少なくとも一部が該炭酸カルシウムの硬化体中に存在することとなる。このような水性エマルジョンの固形分は、通常、水酸化カルシウムの全量が炭酸カルシウムに転換したときの炭酸カルシウム当り0.5〜18重量%、特に2〜12重量%の量で、漆喰層3中に配合することができる。尚、以下に示す添加剤の配合量も、全て、上記と同様、水酸化カルシウムの全量が炭酸カルシウムに転換したときの炭酸カルシウム当りの量割合で示した。
上記繊維、無機細骨剤、活性微粒子は、漆喰層3の強度等の物理特性を向上させるものであり、繊維の例としては、ガラス繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、カーボン繊維、金属繊維等を使用できる。また、繊維の形状としては短繊維、長繊維、織布、不織布等の形状のものが使用できるが、これらのうち短繊維は漆喰層3の靱性および切断加工性の向上に特に有効である。このような短繊維の長さおよび直径は特に制限されないが、長さは1mm〜10mm、特に2mm〜6mmであり、直径は5〜50μm、特に10〜30μmであることが、漆喰層3の靱性をより向上させ、また切断加工性においても優れたものとするために好適である。このような繊維の添加量は、例えば短繊維では、0.1〜5重量%程度でよい。
また、無機細骨材としては、例えば、平均粒子径が0.03〜2mm程度の範囲内にある無機粒状物であり、この範囲内で、形成する漆喰層3の厚みの1/2以下の平均粒子径を有するもの、具体的には、珪砂、寒水砂、マイカ、施釉珪砂、施釉マイカ、セラミックサンド、ガラスビーズ、パーライト、或いは水酸化カルシウムの炭酸化により形成される結合成分としての炭酸カルシウムとは別個の炭酸カルシウムなどを挙げることができる。このような無機細骨材の添加量は、70重量%以下、特に60重量%以下とするのがよい。
更に、活性微粒子としては、平均粒子径が0.1〜50μm程度の高炉水砕スラグ、フライアッシュ、シリカフューム等が挙げられる。このような活性微粒子の添加量は3重量%以下とするのが好ましい。
また、顔料は、漆喰層3に色彩を付与するために使用されるものであり、左官用に一般に用いられるもの、例えば、平均粒子径が0.5〜50μmの酸化鉄、酸化チタン、酸化クロム等の金属酸化物および各種石粉が挙げられる。このような顔料の配合量は、通常、5重量%以下でよい。
勿論、上述した各種添加剤以外にも、種々の添加剤を配合することが可能であり、脱臭シート10の設置場所などに応じて、防水性、耐凍結融解性、耐薬品性、耐候性などの特性を付与するために、パラフィン、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の有機質混和材;ジメチルポリシロキサンおよびそのメチル基の一部を水素原子、フェニル基、アルキル基、メルカプト基、ビニル基、シアノアルキル基、フルオロアルキル基等で置換したポリシロキサンを主成分としたシリコーンオイルまたはシリコーン樹脂;メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ジヘキシルジメトキシシラン、ジヘプチルジメトキシシラン、トリヘキシルメトキシシラン等のオルガノアルコキシシラン;等を配合することもでき、これらの添加剤の量は、0.05〜2重量%程度の範囲とするのが好ましい。
さらには、この脱臭シート10を製造する際の作業性等の観点から、その他の添加剤(このような添加剤は後述する)も配合されていてよいが、特に、十分なホルムアルデヒド脱臭性を確保し、さらには硬化した漆喰層3が所謂漆喰仕上げと同様の美観を示すという観点から、脱臭シートにおいて、形成された漆喰層3の重量に対し、水酸化カルシウムの量が10重量%以上、好ましくは25重量%以上となるように、各種添加剤のトータルの配合量が調整されているのがよい。
上記のような水酸化カルシウムに加えて各種添加剤が配合される漆喰層3の厚みは、通常、0.05乃至5mm、特に0.1乃至2mmの範囲とするのがよい。この厚みがあまり薄いと、ホルムアルデヒド吸着能の持続性が低下してしまい、また必要以上に厚くすると、内部の水酸化カルシウムがホルムアルデヒドの脱臭に有効に寄与せず、従ってホルムアルデヒド吸着能の増大が期待できないばかりか、経済性、軽量性等の点で不利となるおそれがあるからである。
本発明において、上記の漆喰層3中には、水酸化カルシウムが必ず残存していることがホルムアルデヒド吸着能の観点から特に重要であり、特に、水酸化カルシウムの炭酸化率が70%以下、最も好ましくは30%以下に抑制されることが好ましい。既に述べたように、水酸化カルシウムの炭酸化率の増大に伴ってホルムアルデヒド吸着能が低下し、70%を超えると大幅に吸着能が低下するからである。また、ホルムアルデヒド吸着能の観点からは水酸化カルシウムの炭酸化率は低いほどよいが、炭酸化率があまり低いと、強度的な問題を生じるおそれがあり、このような場合には、炭酸化率を10%程度以上とし、漆喰層3をやや硬化させておくこともできる。
(通気性保護シート5)
上述した漆喰層3の上に形成される通気性保護シート(以下、単に「保護シート」ともいう。)5は、漆喰層3を保護するとともに、空気中の炭酸ガスを透過して漆喰層3中の水酸化カルシウムを炭酸化させて漆喰層3を硬化させるものである。即ち、かかる保護シート5を形成していないと、硬化していない漆喰層3が表面に露出してしまうため、この脱臭シートの保管や運搬時に漆喰層3の変形や傷等が生じたり、例えば家具の内部に設置して脱臭するときに、衣服等を汚すなどの不都合を生じたりするおそれがあり、また、漆喰層3中の水酸化カルシウムの炭酸化の進行が速く、炭酸化を抑制して高度のホルムアルデヒド吸着能を確保することが困難となってしまう。また、通気性保護シート5により、漆喰層3中の水分を蒸発除去できるという利点もある。さらに、この保護シート5が通気性を有していないと、当然のことながら、漆喰層3によるホルムアルデヒドの吸着が全く行われなくなってしまう。
上述した漆喰層3の上に形成される通気性保護シート(以下、単に「保護シート」ともいう。)5は、漆喰層3を保護するとともに、空気中の炭酸ガスを透過して漆喰層3中の水酸化カルシウムを炭酸化させて漆喰層3を硬化させるものである。即ち、かかる保護シート5を形成していないと、硬化していない漆喰層3が表面に露出してしまうため、この脱臭シートの保管や運搬時に漆喰層3の変形や傷等が生じたり、例えば家具の内部に設置して脱臭するときに、衣服等を汚すなどの不都合を生じたりするおそれがあり、また、漆喰層3中の水酸化カルシウムの炭酸化の進行が速く、炭酸化を抑制して高度のホルムアルデヒド吸着能を確保することが困難となってしまう。また、通気性保護シート5により、漆喰層3中の水分を蒸発除去できるという利点もある。さらに、この保護シート5が通気性を有していないと、当然のことながら、漆喰層3によるホルムアルデヒドの吸着が全く行われなくなってしまう。
従って、この通気性保護シート5は、例えばガーレ透気度が2000sec/100cc以下、特に1〜1000sec/100ccの通気度を有し、全面にわたって3mmφ以上、特に2mm以上の非通気性部分が形成されていないものが好適に使用される。このような通気性保護シート5の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の膜状物および防水紙等の非透水性シートにニードルパンチ、延伸等、公知の方法により通気性のみを付与する微多孔を形成した非透水性で通気性を有するシート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニロン、ポリエチレンテレフタレート、耐アルカリガラス等の人工繊維ポリエステル、ビニロン、耐アルカリガラス等の人工繊維からなる織布および不織布等の繊維シートが挙げられる。これらの中でも特に好適に使用されるのは、ポリエチレン、ポリプロピレン等の膜状物に通気性のみを付与する微多孔が形成された非透水性で且つ通気性を有するシート、およびポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニロン、ポリエチレンテレフタレート等からなる通気性を有する不織布である。
また、本発明において、このような通気性保護シート5は、後記する方法により密着させることにより、適度な剥離強度で漆喰層3上に積層されていることが好ましく、例えば、接着剤を介することなく、200〜4000mN、特に800〜2500mNの剥離強度で積層されていることが、接着剤により通気性を阻害すること無く保護シートを積層できるため好適である。この剥離強度があまり低いと、取り扱い時に、この保護シート5の剥がれを生じ易くなり、ホルムアルデヒド吸着能の点では問題はないが、未硬化の漆喰層3の傷つき、変形汚れの付着などが生じ易くなる。また、剥離強度が必要以上に高いと、保護シート5の剥離が困難となり、ホルムアルデヒド吸着能が飽和した後に保護シートを引き剥がして硬化した漆喰層3を露出させることが困難となり、使用後の脱臭シートの利用価値が損なわれてしまう。また、無理に保護シート5を引き剥がすと、硬化した漆喰層3の破壊が生じ、漆喰層3の美観が損なわれてしまう。勿論、通気性シートの使用時に、前記保護シートは、必要に応じて剥がして使用すればよく、剥がさずに使用することができることは言うまでもない。
なお、本発明において剥離強度は、JIS−K6854の180°剥離接着強度試験に準じ、幅25mmの試験体を用い、測定条件を300mm/分の条件で測定した値である。
また、図示されていないが、上記の脱臭シート10を接着固定して使用に供するときには、例えば接着剤を基材シート1の裏面に塗布し、この接着剤層にシリコーンペーパーなどの離型シートを貼り付けておくこともできる。但し、この際に用いる接着剤としては、ホルムアルデヒド非放出性のもの、例えばウレタン系接着剤やアクリル系接着剤が好適に使用される。
(脱臭シート10の製造)
上述した積層構造を有する本発明の脱臭シート10は、例えば、漆喰層3の炭酸化を抑制するという点を除けば、前述した特許文献2(特許第3026604号)に記載されている装置及び方法によって製造される。
上述した積層構造を有する本発明の脱臭シート10は、例えば、漆喰層3の炭酸化を抑制するという点を除けば、前述した特許文献2(特許第3026604号)に記載されている装置及び方法によって製造される。
具体的には、基材シート1の表面に、工業用消石灰、漆喰、ドロマイトプラスター等の水酸化カルシウム材料と水とを含む漆喰用混練物を所定の厚みで塗布して漆喰層3を形成し、次いで、漆喰層3の上に通気性保護シート5を密着して積層する。
漆喰用混練物には、前述した種々の添加剤が前述した所定の量比で混合されていてよく、さらに、作業性を高めるために、必要により増粘剤、流動化剤、消泡剤等が配合される。
増粘剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系、サッカロース、グルコース等からなる多糖類系、およびアクリル系等が挙げられる。これら増粘剤の添加量は、使用する増粘剤の性能により異なるが、例えば1重量%水溶液の20℃における粘度が100cPとなるヒドロキシエチルセルロースでは、漆喰用混練物中に0.04重量%以内であれば特に問題なく使用できる。
流動化剤としては、例えば、メチロール/メラミン縮合物、ポリカルボン酸塩、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ナフタリンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、高分子量リグニンスルホン酸を主成分とするものが挙げられる。このような流動化剤の添加量は、使用する流動化剤の性能により異なるが、例えば、比較的分離抵抗性に優れるポリカルボン酸塩を主成分とするものの場合、漆喰用混練物中に0.1〜5重量%、特に0.5〜3重量%の量で添加されているのが好ましい。
消泡剤としては、例えば、プルロニック系、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。消泡剤の添加量は、漆喰用混練物当り、1重量%以内、特に0.3重量%以内とすることが好ましい。
尚、漆喰用混練物中の水の量は、通常、塗布性等の観点から、混練物の粘度(20℃)が100〜40000センチポイズの範囲となるように、20〜50重量%の濃度で混練物中に水が含まれるようにするのがよい。
漆喰用混練物を基材シート1表面に塗布して漆喰層3を形成する方法としては、該混練物をロールコーター、フローコーター、ナイフコーター、コンマコーター、スプレー、ディッピング、吐出、型材転写等により基材シート1表面に塗布し、必要に応じてコテ押さえ、口金絞り、ローラー転圧、1軸プレス等により成形する方法を特に制限なく採用できる。
上記のようにして形成された漆喰層3上への通気性保護シート5の積層は、上記漆喰層3が形成された後に、通気性保護シート5を密着させることにより行われ、この際、必要に応じてローラー等によりプレスすることもできる。尚、本発明においては、漆喰層3の水酸化カルシウムの炭酸化率を抑制することが必要であるため、漆喰層3が形成された後、炭酸化率が所定値以上に上昇する前に通気性保護シート5の積層を行う必要がある。また、適度に炭酸化させて漆喰層3を適度に硬化させた状態にする場合には、適度な時間、養生した後に、通気性保護シート5の積層を行えばよく、このときに、適度に加熱して漆喰層3中の水分を除去することが好適である。
また、漆喰層3と通気性保護シート5との剥離強度の調整は、種々の条件によって適宜行うことができるが、例えば、通気性保護シート5の漆喰層3と接する面の親水性、粗度等の調整や、漆喰用混練物に添加する水性エマルジョン、シリコーンオイル等の添加剤の配合量の調整等によって効果的に行うことができる。
即ち、通気性保護シート5の漆喰層3と接する面の親水性や粗度を高めることにより、剥離強度は向上し、逆に親水性や粗度を低くすることによって剥離強度は低下する。また、漆喰用混練物中の水性エマルジョンの添加量を多くすることにより、剥離強度は向上し、逆に添加量を少なくすることによって剥離強度は低下する。更に、漆喰用混練物中のシリコーンオイルの添加量を少なくすることにより、剥離強度は向上し、逆に該添加量を多くすることによって剥離強度は低下する。これらを考慮して、通気性保護シート5の剥離強度が前述した範囲内となるように、保護シート5の親水性、粗度、漆喰用混練物の添加剤量を調整すればよい。
(包装形態)
上述した本発明の脱臭シート10においては、漆喰層3中の水酸化カルシウムの炭酸化率を抑制しておくことが必要である。このため、この脱臭シート10は、炭酸ガスの漆喰層3への侵入を防止して保管及び運搬を行う必要がある。例えば、図2及び図3に示すように、上記のようにして形成された脱臭シートは、所定の大きさに裁断されたシート片の形で(図2)或いはロール状に巻かれた形で(図3)、保管、運搬されるが、何れの場合にも、包装フィルム15に密封されており、使用時に、包装フィルム15から取り出される。このような包装フィルム15により大気中の炭酸ガスによる侵入が有効に遮断され、漆喰層3の炭酸化を一定の割合以下に抑制することができるわけである。尚、図2及び図3では、脱臭シート10は簡略して示しており、その積層構造は省略している。
上述した本発明の脱臭シート10においては、漆喰層3中の水酸化カルシウムの炭酸化率を抑制しておくことが必要である。このため、この脱臭シート10は、炭酸ガスの漆喰層3への侵入を防止して保管及び運搬を行う必要がある。例えば、図2及び図3に示すように、上記のようにして形成された脱臭シートは、所定の大きさに裁断されたシート片の形で(図2)或いはロール状に巻かれた形で(図3)、保管、運搬されるが、何れの場合にも、包装フィルム15に密封されており、使用時に、包装フィルム15から取り出される。このような包装フィルム15により大気中の炭酸ガスによる侵入が有効に遮断され、漆喰層3の炭酸化を一定の割合以下に抑制することができるわけである。尚、図2及び図3では、脱臭シート10は簡略して示しており、その積層構造は省略している。
かかる包装フィルム15としては、例えば炭酸ガス透過係数が1000cc・mm/m2・d・atm以下の熱可塑性樹脂フィルムが好適であり、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィン、環状オレフィン共重合体など、そしてエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフエニレンオキサイド等や、ポリ乳酸など生分解性樹脂などのフィルムを例示することができるが、コスト等の観点から、ポリオレフィンフィルムが最も好適である。また、このような包装フィルム15の厚みは、特に制限されないが、通常、20乃至200μm程度であり、かかるフィルム15の開口端部をヒートシールに溶着することにより、脱臭シート10を密封保持することができる。
(使用形態)
上述した本発明の脱臭シート10は、使用時に、上記包装フィルム15から取り出して、所定のホルムアルデヒド発生源に設置して使用される。勿論、ロールの形態で保管し、販売時に適宜の大きさに切断するときには、一旦開封して所定の大きさに切断して販売し、残りは再び包装フィルム15内に入れ、フィルム15の開口部を適宜の手段で閉じておけばよい。
上述した本発明の脱臭シート10は、使用時に、上記包装フィルム15から取り出して、所定のホルムアルデヒド発生源に設置して使用される。勿論、ロールの形態で保管し、販売時に適宜の大きさに切断するときには、一旦開封して所定の大きさに切断して販売し、残りは再び包装フィルム15内に入れ、フィルム15の開口部を適宜の手段で閉じておけばよい。
本発明の脱臭シート10は、特に、家具用の脱臭材として好適であり、例えば、合板製の家具などの内部の壁面に設置して使用に供され、漆喰層3の表面が通気性保護シート5で保護されているため、未硬化の漆喰層3により衣服等が汚れることもない。
また、脱臭シート10の設置は、これをそのまま家具などの底板上に置いてもよいし、ホルムアルデヒド非放出性の接着剤を基材シート1の裏面に塗布して、家具の内部の適当な位置に固定してもよい。さらに、接着剤で固定して使用するときには、先にも述べたように、予め基材シートの裏面に接着剤を塗布し、この接着剤層に離型シートを貼り付けておき、使用時に離型シートを引き剥がし、所定の場所に脱臭シート10を接着固定すればよい。
特に本発明の脱臭シート10は、包装フィルム15から取り出した後、漆喰層3の硬化(即ち、水酸化カルシウムの炭酸化)が徐々に進行し、ホルムアルデヒドの吸着飽和し、脱臭効果が失われているときには殆ど硬化が終了している。即ち、この段階では、漆喰層3の表面は高硬度(例えば鉛筆硬度でB以上)であり、この表面を破損することなく、通気性保護シート5を引き剥がすことができる。従って、かかる脱臭シート10は、接着固定での使用に最適であり、脱臭性が消失した後に、例えば通気性保護シート5の表面が汚れたときに、この保護シート5を引き剥がし、漆喰層3の表面を露出させて、この脱臭シート10の再利用を図ることができる。特に、硬化した漆喰層3は、吸放湿性を有しており、表面結露を生じにくく、カビなどの発生も抑制できる。
本発明の優れた効果を、次の実験例で説明する。
なお、以下に、実験例で用いた各試験方法および材料を示す。
なお、以下に、実験例で用いた各試験方法および材料を示す。
(1)炭酸化率:
強熱減量法により、化粧層中の水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムを定量し、水酸化カルシウムの炭酸カルシウムへの変化率を算出した。
(2)ホルムアルデヒド吸着能:
シート状試験体(面積125cm2)を100ppmのホルムアルデヒドガスを充填したテドラーバック(容量10リットル)内に入れて放置し(温度25±1℃)6時間後にテドラーバック内のホルムアルデヒド濃度を検知管法により測定し、次の式により、ホルムアルデヒドの吸着能を算出した。
A=100×(1−Ce/Cs)
A:ホルムアルデヒド吸着能(%)
Cs:測定前のテドラーバック内のホルムアルデヒド濃度(ppm)
Ce:6時間後のテドラーバック内のホルムアルデヒド濃度(ppm)
(A)基材シート:
炭カル紙:王子製紙株式会社製「OKコスモCA135」(商品名)(厚み0.18mm、目つけ量138g/m2)
(B)水酸化カルシウム:
消石灰:宇部マテリアルズ製「高純度消石灰CH」(商品名)
(C)無機細骨材:
炭カル:薬仙石灰製「ホワイト7」(商品名)
(D)水性エマルジョン:
ポリトロン:旭化成工業株式会社製「ポリトロンA1480」(商品名)(アクリル系共重合体ラテックス、固形分40重量%)
(E)流動化剤:
シーカメント:日本シーカ株式会社製「シーカメント1000NT」(商品名)
(F)通気性保護シート:
不織布A:ユニセル株式会社製「BT−1306WM」(商品名)
強熱減量法により、化粧層中の水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムを定量し、水酸化カルシウムの炭酸カルシウムへの変化率を算出した。
(2)ホルムアルデヒド吸着能:
シート状試験体(面積125cm2)を100ppmのホルムアルデヒドガスを充填したテドラーバック(容量10リットル)内に入れて放置し(温度25±1℃)6時間後にテドラーバック内のホルムアルデヒド濃度を検知管法により測定し、次の式により、ホルムアルデヒドの吸着能を算出した。
A=100×(1−Ce/Cs)
A:ホルムアルデヒド吸着能(%)
Cs:測定前のテドラーバック内のホルムアルデヒド濃度(ppm)
Ce:6時間後のテドラーバック内のホルムアルデヒド濃度(ppm)
(A)基材シート:
炭カル紙:王子製紙株式会社製「OKコスモCA135」(商品名)(厚み0.18mm、目つけ量138g/m2)
(B)水酸化カルシウム:
消石灰:宇部マテリアルズ製「高純度消石灰CH」(商品名)
(C)無機細骨材:
炭カル:薬仙石灰製「ホワイト7」(商品名)
(D)水性エマルジョン:
ポリトロン:旭化成工業株式会社製「ポリトロンA1480」(商品名)(アクリル系共重合体ラテックス、固形分40重量%)
(E)流動化剤:
シーカメント:日本シーカ株式会社製「シーカメント1000NT」(商品名)
(F)通気性保護シート:
不織布A:ユニセル株式会社製「BT−1306WM」(商品名)
(実験例1)
基材シート(300×200mm)の表面に水酸化カルシウム100重量部、水性エマルジョン30重量部、水40重量部の配合比で混練した混合物をコーター法により塗布し、通気性保護シートをその上に密着させ、100℃の恒温乾燥機中で約5分間乾燥させ、図1に示すようなシートAを作製した。このときの漆喰層3の厚みは0.5mmで、炭酸化率は13%であった。
このようにして得られたシートAを室内にて空気に曝したときの炭酸化率の経時変化を表1と図4に、また、ホルムアルデヒド吸着能の経時変化を表2と図5に示す。この結果、炭酸化率とホルムアルデヒド吸着能には相関性があり、炭酸化率が低いほど高いホルムアルデヒド吸着能を示すことが理解される。
基材シート(300×200mm)の表面に水酸化カルシウム100重量部、水性エマルジョン30重量部、水40重量部の配合比で混練した混合物をコーター法により塗布し、通気性保護シートをその上に密着させ、100℃の恒温乾燥機中で約5分間乾燥させ、図1に示すようなシートAを作製した。このときの漆喰層3の厚みは0.5mmで、炭酸化率は13%であった。
このようにして得られたシートAを室内にて空気に曝したときの炭酸化率の経時変化を表1と図4に、また、ホルムアルデヒド吸着能の経時変化を表2と図5に示す。この結果、炭酸化率とホルムアルデヒド吸着能には相関性があり、炭酸化率が低いほど高いホルムアルデヒド吸着能を示すことが理解される。
(実施例1)
実験例1で得られたシートAを作製後、直ちに炭酸ガス透過係数が500cc・mm/m2・d・atmの高密度ポリエチレンフィルム(厚み0.03mm)に密封し、4ヶ月間室内に放置した後、シートAを高密度ポリエチレンフィルムから取り出して、炭酸化率を測定すると15%であった。また、このときのホルムアルデヒド吸着能は98%であった。
実験例1で得られたシートAを作製後、直ちに炭酸ガス透過係数が500cc・mm/m2・d・atmの高密度ポリエチレンフィルム(厚み0.03mm)に密封し、4ヶ月間室内に放置した後、シートAを高密度ポリエチレンフィルムから取り出して、炭酸化率を測定すると15%であった。また、このときのホルムアルデヒド吸着能は98%であった。
(比較例1)
基材シート(300×200mm)の表面に炭酸カルシウム100重量部、水性エマルジョン30重量部、水40重量部の配合比で混練した混合物をコーター法により塗布し、通気性保護シートをその上に密着させ、100℃の恒温乾燥機中で約5分間乾燥させ、シートBを作製した。このときの炭酸カルシウム層の厚みは0.5mmであった。また、水酸化カルシウムを含まない為、このシートの炭酸化率は100%と考えることが出来る。
このようにして得られたシートBを室内にて空気に曝したときのホルムアルデヒド吸着能の経時変化を表3に示す。
基材シート(300×200mm)の表面に炭酸カルシウム100重量部、水性エマルジョン30重量部、水40重量部の配合比で混練した混合物をコーター法により塗布し、通気性保護シートをその上に密着させ、100℃の恒温乾燥機中で約5分間乾燥させ、シートBを作製した。このときの炭酸カルシウム層の厚みは0.5mmであった。また、水酸化カルシウムを含まない為、このシートの炭酸化率は100%と考えることが出来る。
このようにして得られたシートBを室内にて空気に曝したときのホルムアルデヒド吸着能の経時変化を表3に示す。
(実施例2〜4)
基材シート(200×500mm)の表面に水酸化カルシウム100重量部、水性エマルジョン40重量部、水30重量部の配合比で混練した混合物をコーター法により塗布し、通気性保護シートをその上に密着させ、100℃の恒温乾燥機中で約5分間乾燥させ、図1に示すようなシートCを作製した。このときの漆喰層3の厚みは0.6mmで、炭酸化率は14%であった。その後、直ちにシートを表4に示すフィルムF1〜F3で図2のごとく密封した。
このようにして得られた密封したシートCを3ヶ月間室内に放置した後、シートCをフィルムから取り出して、炭酸化率とホルムアルデヒド吸着能を測定した。それらの結果を表4に示す。
基材シート(200×500mm)の表面に水酸化カルシウム100重量部、水性エマルジョン40重量部、水30重量部の配合比で混練した混合物をコーター法により塗布し、通気性保護シートをその上に密着させ、100℃の恒温乾燥機中で約5分間乾燥させ、図1に示すようなシートCを作製した。このときの漆喰層3の厚みは0.6mmで、炭酸化率は14%であった。その後、直ちにシートを表4に示すフィルムF1〜F3で図2のごとく密封した。
このようにして得られた密封したシートCを3ヶ月間室内に放置した後、シートCをフィルムから取り出して、炭酸化率とホルムアルデヒド吸着能を測定した。それらの結果を表4に示す。
(実施例5〜8)
基材シート(200×400mm)の表面に水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水性エマルジョンおよび水を表5に示す配合比で混練した混合物をコーター法により塗布し、通気性保護シートをその上に密着させ、100℃の恒温乾燥機中で乾燥時間を調製し、図1に示すような構造で、炭酸化率の異なるシートD〜Fを作製した。
シートD〜Fの作製直後の炭酸化率とホルムアルデヒド吸着能を表6に示す。
その後、直ちにシートD〜Fを炭酸ガス透過係数が500cc・mm/m2・d・atmの高密度ポリエチレンフィルム(厚み0.03mm)で図2のごとく密封した。
そして、高密度ポリエチレンフィルムに密封した状態でシートD〜Fを4ヶ月間室内に放置した後、シートD〜Fを高密度ポリエチレンフィルムから取り出し、シートD〜Fの炭酸化率とホルムアルデヒド吸着能を測定した。そのときの測定値を表6に示す。
基材シート(200×400mm)の表面に水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水性エマルジョンおよび水を表5に示す配合比で混練した混合物をコーター法により塗布し、通気性保護シートをその上に密着させ、100℃の恒温乾燥機中で乾燥時間を調製し、図1に示すような構造で、炭酸化率の異なるシートD〜Fを作製した。
シートD〜Fの作製直後の炭酸化率とホルムアルデヒド吸着能を表6に示す。
その後、直ちにシートD〜Fを炭酸ガス透過係数が500cc・mm/m2・d・atmの高密度ポリエチレンフィルム(厚み0.03mm)で図2のごとく密封した。
そして、高密度ポリエチレンフィルムに密封した状態でシートD〜Fを4ヶ月間室内に放置した後、シートD〜Fを高密度ポリエチレンフィルムから取り出し、シートD〜Fの炭酸化率とホルムアルデヒド吸着能を測定した。そのときの測定値を表6に示す。
1:基材シート
3:漆喰層
5:通気性保護シート
10:脱臭シート
15:包装フィルム
3:漆喰層
5:通気性保護シート
10:脱臭シート
15:包装フィルム
Claims (9)
- 基材シートと、該基材シートの表面に形成された水酸化カルシウム含有漆喰層と、該漆喰層表面に形成された通気性保護層とからなることを特徴とする脱臭シート。
- 前記漆喰層における水酸化カルシウムの炭酸化率が70%以下に保持されている請求項1に記載の脱臭シート。
- 前記基材シートの裏面には、接着剤層を介して離型シートが剥離可能に積層されている請求項1または2に記載の脱臭シート。
- 炭酸ガス透過係数が1000cc・mm/m2・d・atm以下の包装フィルムに密封して保存され、使用時に開封されて使用に供される請求項1乃至3の何れかに記載の脱臭シート。
- 家具の内部に設置されて使用される請求項1乃至4の何れかに記載の脱臭シート。
- 通気性保護シートが、ガーレ通気度2000sec/100cc以下であり、且つ全面にわたって3mmφ以上の範囲で非通気性部分が存在しないシートである請求項1乃至5の何れかに記載の脱臭シート。
- 前記漆喰層が繊維を含む請求項1乃至6の何れかに記載の脱臭シート。
- 請求項1に記載の脱臭シートを、漆喰層における水酸化カルシウムの炭酸化率が70%以下に保持されている状態で、ホルムアルデヒド発生源もしくはその近傍に設置して脱臭することを特徴とする脱臭方法。
- 前記ホルムアルデヒド発生源が家具である請求項8に記載の脱臭方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022196393A1 (ja) * | 2021-03-17 | 2022-09-22 | 株式会社トクヤマ | 抗ウイルス性シート |
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---|---|---|---|---|
JPH035957U (ja) * | 1989-06-02 | 1991-01-21 | ||
JP2000071367A (ja) * | 1998-08-28 | 2000-03-07 | Toppan Printing Co Ltd | 化粧材 |
JP2002317399A (ja) * | 2001-04-24 | 2002-10-31 | Toray Ind Inc | 壁 紙 |
JP2003026463A (ja) * | 2001-07-10 | 2003-01-29 | Daiken Trade & Ind Co Ltd | ホルムアルデヒド吸着内装材およびその製造方法 |
JP2004033602A (ja) * | 2002-07-05 | 2004-02-05 | Kaoru Taniguchi | 脱臭用組成物 |
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2005
- 2005-09-15 JP JP2005268744A patent/JP2007075432A/ja active Pending
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