JP5051985B2 - 吸着機能及び光触媒機能を有する建築材料の製造法 - Google Patents

吸着機能及び光触媒機能を有する建築材料の製造法 Download PDF

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Description

本発明は、吸着機能を有する窯業系建築材料の表面及び表層部に対して光触媒が直接合成されている当該建築材料の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、本発明は、窯業形建築材料において、水熱合成によるその場反応により原料成形体の硬化と、当該原料成形体の表面に塗布した光触媒前駆体の光触媒化を同時的に行うことで、原料成形体硬化体の表面ないし表層部に光触媒層を直接合成した光触媒を有する建築材料の製造方法に関するものである。本発明は、不燃性に優れた建材として利用でき、内装材、天井材、間仕切壁等に使用でき、快適な生活環境空間を提供することができると共に、防耐火構造に適した建築材料として利用できる新規建築材料を提供するものである。尚、本明細書において、同時的とは同時と同義であることを意味している。
近年では、建築構造の高気密化が進み、シックハウス症候群の原因とされるアセトアルデヒドやホルムアルデヒド等の揮発性有機物質、異臭の強いアンモニア等、空気中の汚染物質の吸着が必要とされてきている。吸着剤としては、細かい孔を多数有する多孔質体が用いられている。この多孔質体としては、例えば、アパタイト、ゼオライト、活性炭、シリカゲル、珪藻土、無水シリカ、ケイ酸カルシウム等が知られている。
ゼオライトを配合した吸放湿建材として、先行技術文献には、ゼオライトと凝結硬化材とを配合してなる調湿建材が提案されている(特許文献1参照)。また、他の先行技術文献には、調湿作用を有するよう高温活性化処理をしたゼオライトに金属イオンを担持させてなるゼオライトの粉状体又は粒状体を主原料とした抗菌・防カビ性を有する調湿性建築材料が提案されている(特許文献2参照)。
前述の調湿性建築材料は、空気中の汚染物質を吸着できるが、その他に、更に吸着された物質を光触媒により分解する機能を有した建築材料が提案されている。吸着剤と光触媒を採用した建築材料として、先行技術文献には、吸湿剤と光触媒とを配合した皮膜が基材の表面に形成されている建材が提案されている(特許文献3参照)。また、他の先行技術文献では、表層部を光触媒含有層としたコンクリート構造体が提案されている(特許文献4参照)。
しかしながら、前記した吸着と光触媒機能を有する建築材料では、光触媒をケイ酸カルシウムの基材表面に対して良好に密着させることができないという問題が生じる。また、この密着性の問題もあり、光触媒機能をケイ酸カルシウム硬化体に対して効果的に付与することができないのが実情であった。
特開平3−93662号公報 特開平3−109244号公報 特開平7−113272号公報 特開2001−317199号公報
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、光触媒をケイ酸カルシウムの基材表面に対して良好に密着させることが可能な新しい建築材料を開発することを目標として鋭意研究を重ねた結果、ケイ酸カルシウム硬化体の合成と、光触媒前駆体の光触媒化をその場反応により同時的に行い、原料成形体の硬化体の表面ないし表層部に光触媒を直接合成することで所期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の目的は、窯業系建築材料として広く知られるケイ酸カルシウムを基材の主成分とし、吸着剤を配合しておくことにより吸着機能を付与すると共に、ケイ酸カルシウムからなる硬化体の表面ないし表層部に対して、酸化チタンに代表される光触媒を直接合成させ、当該光触媒を強固に密着させた建築材料の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
業系建築材料を製造する方法において、ケイ酸質材、石灰質材、セメント、スラグ及び石膏から選ばれる1又は2以上の材料を原料とし、当該原料水を添加、混合して所定の形状に成形して原料成形体を製造し、この原料成形体の表面に対して水熱合成によるその場反応で光触媒化される光触媒前駆体を塗布した後、水熱反応を行うことにより、当該原料成形体を硬化させてケイ酸カルシウム硬化体とするケイ酸カルシウムの硬化と、当該硬化体の表面ないし表層部に光触媒を直接合成させる光触媒前駆体の光触媒化を同時に達成することで当該光触媒を強固に密着させた建築材料を製造することを特徴とする窯業系建築材料の製造方法。
)上記原料に、副原料の吸着剤、繊維補強材及び水を添加、混合して所定の形状に成形して原料成形体を製造し、得られた原料成形体の表面に対して光触媒前駆体を塗布した後、水熱反応を行うことにより、当該原料成形体を硬化させて吸着機能を有するケイ酸カルシウム硬化体とする前記()に記載の窯業系建築材料の製造方法。
(3)光触媒前駆体の濃度が、0.4〜9.5重量%である、前記(1)又は(2)に記載の窯業系建築材料の製造方法。
(4)水熱反応を、温度105〜180℃とした飽和水蒸気圧下において、1〜18時間行う、前記(1)から(3)のいずれかに記載の窯業系建築材料の製造方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、窯業系建築材料において、水熱合成によるその場反応により、原料成形体の硬化と、当該原料成形体の表面に塗布した光触媒前駆体の光触媒化を同時的に行うことで、原料成形体の硬化体の表面ないし表層部に光触媒を直接合成したことを特徴とする光触媒を有する建築材料の製造方法の点に特徴を有するものである。
ここで、窯業系建築材料とは、養生により硬化させたケイ酸カルシウム硬化体からなる建築材料を意味しており、腐食や虫害の虞れがなく耐久性に優れていることから、例えば、建築内装材、天井材、間仕切壁、建築外装材等として多く採用されている。この窯業系建材は、セメント、ケイ酸質材、石灰質材、スラグ及び石膏から選ばれる1又は2以上の原料を主原料とし、繊維補強材及び水を添加、混合して成形し、得られた原料成形体を、水熱養生、蒸気養生、常温常圧養生により硬化させて製造される。この窯業系建材の特徴は、多孔質であり、比重が軽い割に強度が発現しており、加工性、易運搬性に優れていることである。また、この窯業系建築材料では、吸着剤を混合しておき、吸着機能を向上させることができる。
本発明では、好適には、例えば、ケイ酸質材、石灰質材、セメント、スラグ及び石膏から選ばれる1又は2以上の原料を主原料とし、吸着剤、繊維補強材及び水を含む混合物を所定の形状に成形して原料成形体として、得られた原料成形体の表面に対して光触媒前駆体を塗布した後、水熱反応を行うことにより、当該原料成形体を硬化させて吸着機能を有するケイ酸カルシウム硬化体とすると共に、当該硬化体の表面ないし表層部に対して、光触媒を効果的に合成することで吸着機能と光触媒機能を有する建築材料とすることが可能となる。
また、本発明の製造方法によれば、水熱合成によるその場反応により、原料成形体のケイ酸カルシウムの硬化と当該原料成形体の表面に塗布した光触媒前駆体の光触媒化を、例えば、1回の水熱反応により同時的に行うことで、原料成形体の硬化体の表面ないし表層部に光触媒を直接合成することができるため、光触媒が強固に密着された建築材料を低コストで製造し、提供することが可能となる。
このように、本発明の方法で作製された建築材料は、基材自体に吸着機能があり、原料成形体の硬化体の表面ないし表層部に光触媒が強固に密着して合成されていることから、例えば、シックハウス症候群の原因とされるアセトアルデヒドやホルムアルデヒド等の揮発性有機化学物質や、異臭の強いアンモニア等の空気中の汚染物質、また、細菌やウィルス等を好適に吸着し、分解を行うことができる環境浄化タイプの建築材料として好適に利用することができる。
本発明の建築材料の製造方法は、ケイ酸質材、石灰質材、セメント、スラグ及び石膏から選ばれる1又は2以上の原料を主原料とし、吸着剤、繊維補強材及び水を添加、混合して所定の形状、例えば、板、ブロック、瓦、造作部材等の任意の形状に成形して原料成形体とし、得られた原料成形体の表面に対して光触媒前駆体ゲルを塗布した後、水熱反応を行うことにより、当該原料成形体の硬化と光触媒前駆体の光触媒化をその場反応で同時的に行うこと、すなわち、当該原料成形体を硬化させてケイ酸カルシウム硬化体とすると共に、当該原料成形体の硬化体の表面ないし表層部に対して光触媒を直接合成させることを特徴とするものである。
ここで、ケイ酸質材とは、ケイ酸(SiO)が含まれている原料をいい、例えば、珪石、珪砂、珪藻土、白土、パーライト等の鉱物微粉末、フライアッシュ、シリカヒューム等のダストあるいはこれらと同等ないし類似の材料を採用することができる。石灰質材としては、例えば、生石灰、消石灰、生石灰を水又は温水で消化した消石灰乳等あるいはこれらと同等ないし類似の材料を採用することができる。
繊維補強材としては、例えば、有機系及び/又は無機系の繊維補強材を採用することができる。有機系繊維補強材としては、例えば、セルロース繊維、ポリプロピレン繊維、アラミド繊維等を採用することができる。無機系繊維補強材としては、例えば、ガラス繊維、ステンレス繊維等を採用することができる。吸着剤としては、例えば、ゼオライト、セピオライト、アパタイト、活性炭、シリカゲル、無水シリカ等が適しており、1種を単独で使用してもよく、また、2種以上を組み合わせて使用してもよい。それにより、高い吸着機能を付与することができる。本発明において、上記材料は、上述のものに制限されるものではなく、それらと同等ないし類似のものであって、同効の材料であれば同様に使用することができる。
建築材料に着色化粧を行なう場合は、塗装処理が多く用いられる。従来、塗料化粧した基材への光触媒層形成は、塗料には有機物が配合されているので、塗膜に直接光触媒を接触させると化粧塗料が破壊されるという問題があった。そのため、塗膜の上に無機の膜形成を行なった後、光触媒層を形成する必要があり、複層構造形成のため工程が複雑となっていた。更に、吸着機能を有する基材では、表面に膜を形成することは、基材の持つ細かな多孔を塞ぐこととなり、基材の吸着機能が発揮されなくなるという問題があった。
これに対し、本発明では、基材に多孔質である粒子や比表面積が大きい粒子、例えば、吸着剤としての、アパタイト、ゼオライト、セピオライト、活性炭、備長炭、粉炭、シリカゲル、無水シリカ等を用いることにより、基材が吸着機能を有しており、また、基材表面の多孔を塞ぐことなく、基材表面に光触媒前駆体を塗布することにより、上述の製造プロセスにより、例えば、臭いや菌の吸着と分解を繰り返して処理できる窯業系建材を製造することが可能となる。
前記の建築材料に着色化粧を行う問題に対し、本発明では、例えば、原料混合工程において、無機顔料を均一に混合しておき、成形体を得ることにより、着色を施した光触媒機能を有する建築材料を得ることも可能である。ここで、無機顔料としては、例えば、チタン、鉄、クロム、コバルトその他各種の金属の酸化物、水酸化物あるいは硫化物等を主な組成とする材料が例示される。これらの無機顔料は、1種を単独で使用してもよく、また、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、原料の選択に際しては、本発明の効果を妨げない範囲において、例えば、高分子バインダー、木片、ガラスビーズ等の任意成分を適宜添加するようにしてもよい。
本発明の吸着機能及び光触媒機能を有する無機系建築材料製造工程では、ケイ酸質材、石灰質材、セメント、スラグ及び石膏から選ばれる1又は2以上の原料を主原料とし、吸着剤、繊維補強材及び水を加え、必要に応じ無機顔料を添加してゲル状等の流動性を帯びた混練物を作り、成形により原料成形体とする。
前記の構成材料からなる原料成形体は、次のようにして得ることができる。すなわち、前記構成材料を所定の割合で混合した後、適量の水を添加するようにする。成形方法として、例えば、抄造成形、脱水プレス成形、押出成形等の公知の成形方法を用いて成形することができる。
成形方法として、抄造成形や脱水プレス成形を用いる場合は、構成材料に対して多量の水を混合して、スラリー状とした後、任意の条件により構成材料を成形するようにすればよい。なお、抄造成形や脱水プレス成形を行うに際しては、その成形時において、凝集剤あるいは他の成分を添加してもよく、このようにして、成形時に凝集剤あるいは他の成分を添加することにより、成形性の向上を図ることができる。
また、成形方法として、押出成形を用いる場合は、少量の水とセルロース系の押出助剤を混入して、混合攪拌することにより粘土状の混練物とするので、混練物中の各原料の比重差による不均一である影響を受けることが少ない。また、本発明により、表面が平坦な板材、表面模様が比較的浅い板材、立体構造部材などを効果的に連続製造することができる。すなわち、本発明では、平板はもとより、回り縁、見切り縁、窓枠等建築部材といった意匠性に富む建築材料の成形が可能である。
また、本発明の建築材料の製造方法は、原料成形体に対して、光触媒の前駆体ゲルを塗布した後、水熱合成によるその場反応により、原料成形体の硬化と、当該原料成形体の表面に塗布した光触媒前駆体の光触媒化を同時的に行うことで、原料成形体の硬化体の表面ないし表層部に光触媒を直接合成することを特徴とするものである。ここで、使用される光触媒前駆体としては、例えば、TiO、酸化チタン、窒素ドープ酸化チタン、それらの誘導体化合物、WO、ZnO、Fe、SrTiO等の酸化物、それらと同等ないし類似の材料であって、紫外光ないし可視光応答性を有する光触媒機能を有する材料の出発原料を調合した原料スラリーや、反応を中間まで行った非晶質ゲルを例示することができる。本発明では、水熱合成によるその場反応により光触媒化できる光触媒前駆体であれば、その種類に制限されることなく、使用することができる。
光触媒前駆体の濃度は、特に制限はないが、概ね、0.4〜9.5重量%とすればよく、また、原料成形体に対して光触媒前駆体の塗布量は当該前駆体を前記の濃度とした場合には、50〜200g/m程度とすればよい。光触媒前駆体の塗装方法は、スプレー法、カーテンコーター法、ロールコーター法、刷毛による塗装等で行なえばよい。この塗装では、基材表面に膜状に覆う必要はなく、基材表面の多孔を塞がないことが重要である。
原料成形体に対して光触媒前駆体を塗布した後に実施される水熱反応は、オートクレーブを用いて実施することができる。また、水熱反応の条件としては、原料成形体を構成するケイ酸質材や石灰質材等の種類等により適宜決定することができるが、例えば、温度を105〜180℃とした飽和水蒸気圧下においては、1〜18時間程度水熱反応を行わせるようにすればよい。
水熱反応の条件をこのような範囲とすることにより、原料成形体の表面ないし表層部に対する光触媒の直接合成が好適に行なわれることになると共に、原料成形体にケイ酸カルシウムが合成されたケイ酸カルシウム硬化体が形成されることになる。水熱反応が行われた硬化体に対しては、必要により乾燥処理を施すことが好ましい。ここで、乾燥処理の条件は、ケイ酸カルシウム硬化体の含水状態等により適宜決定すればよい。
従来材では、光触媒をコーティングした建築材料が種々開発されているが、光触媒の良好な密着性、高い光触媒機能等を発揮する建築材を低コストで製造することは困難であった。これに対し、本発明では、水熱合成によるその場(in−situ)反応により、原料成形体の硬化と、当該原料成形体の表面に塗布した光触媒前駆体の光触媒化を同時的に行うことで、原料成形体の硬化体の表面ないし表層部に光触媒を直接合成することで、光触媒の良好な密着性、耐久性、高い光触媒機能等を有する建築材料を簡便な手段で、低コストに製造し、提供することを実現することが可能である。
本発明により、以下のような効果が得られる。
(1)1回の水熱反応により同時的に光触媒及びケイ酸カルシウムの合成が行うことができるため、光触媒が強固に密着された建築材料を低コストで製造することができる。
(2)基材は、吸着機能と光触媒機能を有しているので、吸着と分解を繰り返して処理できることとなる。
(3)このため、シックハウス症候群の原因とされるアセトアルデヒドやホルムアルデヒド等の揮発性有機物質や、異臭の強いアンモニアや、各種細菌やウィルス等の空気中の汚染物質を好適に吸着することができる。
(4)そのため、病院、老人の保護施設、トイレ、喫煙室等の天井材、壁材等といった環境浄化タイプの建築材料として有利に使用することができる。
(5)また、構成材料であるケイ酸カルシウムは、不燃材料であるため、吸着特性と共に、不燃性にも優れた建築材料となる。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
下記に示した原料を表1に示した配合比を用いて、下記の製造方法により、吸着機能に優れた窯業系建材の原料成形体を得た。
(使用原料)
セメント :普通ポルトランドセメント
繊維補強材:針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)とポリプロピレン繊維とからなる繊維(配合比1:1)
ケイ石粉末:SiO含有量 97.8重量%
パーライト:真珠岩JIS S0.15−0.6
ゼオライト:Ca型人工ゼオライト
無機顔料 :黄色酸化鉄
メチルセルロース:増粘剤
Figure 0005051985
表1に示す配合に従って、各原料及び水を混合して混合材料とした後、市販のモルタルミキサーを用いて、攪拌数50rpmとして10分間混練した。得られた混練物を、押出成形機により押し出し、長さ450mm、幅300mm、厚さ8mmの板状の原料成形体を得た。
得られた原料成形体の表面に、光触媒前駆体としてAT−03(株式会社光触媒研究所製)を使用し、130g/mの量をスプレーにて表面塗装した。塗装後、0.49MPa(実データ5kgf/cmをSI単位に換算した値)の圧力下、10時間、水熱処理反応を行った後、120℃で12時間乾燥させて、本発明の建築材料を得た。
上記実施例で得られた板材について、建築材料としての性能を確認するために、下記の評価条件に従い、「かさ比重」、「曲げ強度」、「吸水率」及び「吸水長さ変化率」を測定して比較・評価した。また、「外観」及び「切断加工性」も確認して、比較・評価した。その結果を表2に示す。
以下に、かさ比重、曲げ強度、吸水率、吸水長さ変化率、外観及び切断加工性の評価、判定方法を示す。
かさ比重は、JIS A5430に準拠して測定した(n=3)。曲げ強度は、JIS A1408に準拠して測定した(n=3)。吸水率は、JIS A5430に準拠して測定した(n=3)。吸水長さ変化率は、JIS A5430に準拠して測定した(n=3)。
次に、外観は、得られた板材の外観状態を目視にて観察・確認した。そして、外観に異常がない場合を「○」、普通の場合を「△」、外観に反りが発生している場合を「×」として判定した。切断加工性は、得られた板材をチップソー(外径 355mm)で切断し、切断面の直線性を目視にて観察・確認した。そして、切断面が良好な場合を「○」、普通の場合「△」、切断面に引き曲がりがあった場合には「×」と判定した。
Figure 0005051985
表2の結果から分かるように、実施例で得られた板材は、ケイ酸カルシウムと光触媒との同時合成にも関わらず、良好に硬化されており、優れた曲げ強度を発現していることが分かる。また、吸水長さ変化率も低く、吸水に対する十分な寸法安定性を有していた。そして、外観や切断加工性も良好であった。以上より、この板材は、建築材料として使用しても問題のないことが確認できた。また、この板材は、無機顔料を含有しているので、着色としての塗装工程を必要としない建築材料である。
以上詳述したように、本発明は、吸着機能及び光触媒機能を有する建築材料の製造法に係るものであり、本発明により、窯業系建築材料において、光触媒の合成とケイ酸カルシウムの合成を同時的に行うことで、光触媒が強固に密着された建築材料を簡便かつ低コストで製造することができる。本発明は、吸着機能を有し、光触媒を強固に付着させた高機能性の新しい建築材料を提供することを可能とするものである。

Claims (4)

  1. 業系建築材料を製造する方法において、ケイ酸質材、石灰質材、セメント、スラグ及び石膏から選ばれる1又は2以上の材料を原料とし、当該原料水を添加、混合して所定の形状に成形して原料成形体を製造し、この原料成形体の表面に対して水熱合成によるその場反応で光触媒化される光触媒前駆体を塗布した後、水熱反応を行うことにより、当該原料成形体を硬化させてケイ酸カルシウム硬化体とするケイ酸カルシウムの硬化と、当該硬化体の表面ないし表層部に光触媒を直接合成させる光触媒前駆体の光触媒化を同時に達成することで当該光触媒を強固に密着させた建築材料を製造することを特徴とする窯業系建築材料の製造方法。
  2. 上記原料に、副原料の吸着剤、繊維補強材及び水を添加、混合して所定の形状に成形して原料成形体を製造し、得られた原料成形体の表面に対して光触媒前駆体を塗布した後、水熱反応を行うことにより、当該原料成形体を硬化させて吸着機能を有するケイ酸カルシウム硬化体とする請求項に記載の窯業系建築材料の製造方法。
  3. 光触媒前駆体の濃度が、0.4〜9.5重量%である、請求項1又は2に記載の窯業系建築材料の製造方法。
  4. 水熱反応を、温度105〜180℃とした飽和水蒸気圧下において、1〜18時間行う、請求項1から3のいずれかに記載の窯業系建築材料の製造方法。
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