JP2005053078A - コンクリートブロックの製造方法およびコンクリートブロック - Google Patents

コンクリートブロックの製造方法およびコンクリートブロック Download PDF

Info

Publication number
JP2005053078A
JP2005053078A JP2003286168A JP2003286168A JP2005053078A JP 2005053078 A JP2005053078 A JP 2005053078A JP 2003286168 A JP2003286168 A JP 2003286168A JP 2003286168 A JP2003286168 A JP 2003286168A JP 2005053078 A JP2005053078 A JP 2005053078A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
concrete
photocatalyst
concrete block
base material
cement
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003286168A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsutomu Katayama
強 片山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamau KK
Original Assignee
Yamau KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamau KK filed Critical Yamau KK
Priority to JP2003286168A priority Critical patent/JP2005053078A/ja
Publication of JP2005053078A publication Critical patent/JP2005053078A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】有機系の接着剤の使用、下地処理、プライマ処理をすることなく、光触媒物質とコンクリートとの付着性を向上または一体化させ、ポーラス構造にも対応可能で、しかも短時間で製造することができるコンクリートブロックの製造方法およびコンクリートブロックの提供。
【解決手段】水分の少ない練りコンクリートを型に入れ、振動、加圧により締め固めを行い、すぐに脱型を行う即時脱型方式により製造するコンクリートブロックの製造方法において、脱型の直後に、光触媒粉体とセメントおよび水を混合した光触媒混合物をコンクリート基材(天然骨材3、セメントペースト層10)に吹き付けて、コンクリート基材表面に光触媒層5を形成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、大気浄化、防汚作用を有するコンクリートブロックに関し、より詳しくはその表面に保持した光触媒物質による光触媒作用により大気浄化、防汚を行うコンクリートブロックとその製造方法に関する。
近年、自動車の排気ガスに含まれるNOXによる大気汚染が問題となっている。このNOXを除去することを目的として、二酸化チタンや三酸化チタン等の光触媒物質とセメント系バインダ、シリカ系バインダまたは有機系バインダ等とを混合し、基材にこれらの混合物をコーティングするか、あるいは、基材に光触媒物質を直接混入することによって、コンクリートブロックなどの表面に光触媒物質を保持させ、その光触媒作用によって大気浄化を行うことが提案されている。
例えば、特許文献1には、細骨材を含むセメントモルタルに光触媒粉体を配合した大気浄化用組成物を、コンクリート系基材の表面に0.2〜1.0mmの厚さに設けて浄化用コーティング層を形成することが記載されている。また、このコーティング層は、吹き付け、ローラー塗りまたはハケ塗りなどによって上記厚さに形成することが記載されている。
特開2002−239398号公報(第2−3頁)
ところが、このようなセメント系バインダを用いた大気浄化用組成物とコンクリート系基材との付着力は、通常0.6N/mm2程度である。したがって、そのままでは大気浄化用組成物が剥がれ落ちやすいため、有機系の接着増強剤を混合している。また、実際には、コンクリート系基材の表面にはプライマ(下塗り剤)処理を行った後にコーティング層を形成する必要がある。有機系の接着増強剤と、プライマ処理を施すことによって、付着力は2.5N/mm2程度に向上する。
プライマ処理は、コンクリート下地の汚れ、油脂等をウエス等で取り除き、場合によってはレイタンスをはつって取り除いた後に行う。プライマは、被着剤表面の接着性を改善するために塗布する合成樹脂エマルジョンである。プライマは、被着剤表面に薄く塗り、充分に硬化したところでさらに塗り重ねを行う。通常、充分な接着性能を発揮させるために二度塗りを行い、その後24時間程度養生させる必要がある。
このように、従来の方法では、下地処理を入念に行った後、プライマ処理を行い24時間程度養生させた後、コーティング層を形成し、これを硬化養生させる必要があるため、光触媒物質が表面に保持されたコンクリートブロックを製造するには長時間を要する。またその養生期間は、雨水が降り込まないようにするため、屋根付きヤードが必要となる。
また、光触媒物質は非常に高い酸化力を有し、あらゆる有機物を分解してしまうため、有機系の接着増強剤を使用しても分解されてしまい、長期的にはコーティング層が劣化していくという問題がある。
さらに、近年では、透水性や吸水性を持たせるためにコンクリートブロックの内部に無数の空隙を形成した、環境対応型のポーラスコンクリートブロックが開発されているが、上記コンクリート系基材をこのポーラスコンクリートブロックとする場合、大気浄化用組成物が細骨材を含む組成物であるため、膜厚が厚くなり、その空隙を閉塞させる可能性が高くなる。また、使用するプライマの種類によっては、プライマ処理により、空隙を閉塞させるか、少なくとも空隙率を低下させることになるため、ポーラスコンクリートの機能を著しく損なうことになる。
そこで、本発明においては、有機系の接着剤の使用、下地処理、プライマ処理をすることなく、光触媒物質とコンクリートとの付着性を向上または一体化させ、ポーラス構造にも対応可能で、しかも短時間で製造することができるコンクリートブロックの製造方法およびコンクリートブロックを提供することを目的とする。
本発明のコンクリートブロックの製造方法は、水分の少ない練りコンクリートを型に入れ、振動、加圧により締め固めを行い、すぐに脱型を行う即時脱型方式により製造するコンクリートブロックの製造方法において、脱型の直後に、光触媒粉体とセメントおよび水を混合した光触媒混合物をコンクリート基材に吹き付けて、コンクリート基材表面に光触媒層を形成することを特徴とする。
即時脱型方式により製造するコンクリートブロックの場合、脱型は、水分の少ない練りコンクリートの水和反応の開始後20〜40分以内に行う。水和反応の開始直後、まずカルシウムイオン(Ca2+)が溶出するともに針状結晶のエトリンガイトが生成され、次第にC−S−Hゲルの胚種となる鱗片状の生成物が生成される。この段階では練りコンクリートのセメントペースト層の可塑性は失われておらず、本発明のコンクリートブロックの製造方法では、このセメントペースト層の可塑性が失われていない時期、すなわち脱型直後に光触媒混合物の吹き付けを行う。
これにより、セメントペースト層と光触媒混合物の吹き付けによって形成された光触媒層との界面において、セメントペースト層と光触媒層のそれぞれで既に生成されている長い針状結晶であるエトリンガイトが容易に絡み合い、この界面に架橋構造を形成する。また、水やイオンが比較的自由に動きやすいため、界面で水和反応が起こり、C−S−Hゲル等の水和物や水酸化カルシウムが形成され、相互を拘束する。このため、光触媒層はコンクリート基材表面に強固に付着、または一体化する。
光触媒混合物の吹き付けは、脱型後、直ちに行うことが望ましいが、練りコンクリートの水和反応の開始からコンクリート基材のコンシステンシー(Consistency)が変化しない時間までに行うこともできる。即時脱型方式により製造するコンクリートブロックの場合、コンシステンシーは、振動台式コンシステンシー試験(JSCE−F501−1999)、VC振動締固め試験(転圧コンクリート舗装技術指針(案)付録5;日本道路協会)等の振動式コンシステンシー試験などにより測定を行うことができる。
コンクリート基材のコンシステンシーが変化しないまでの時間は、配合や外気温・湿度等で大きく異なるが、概ね水和反応の開始後20〜40分以内である。したがって、本発明に係る光触媒混合物の吹き付けは、コンクリート基材の水和反応の開始後40分以内に行うことが望ましい。
即時脱型方式により製造するコンクリートブロックの場合、水分の少ない練りコンクリートを使用するため、コンシステンシーの変化は水分の蒸発による影響を大きく受ける。大きくコンシステンシーが変化した練りコンクリートを振動、加圧により締め固めを行っても、もはや十分な強度を有するコンクリートブロックを得ることはできない。これは、セメントペースト層中の遊離水が不足し、十分な締め固めが行えないためである。したがって、このように水分が不足したセメントペースト層に光触媒混合物を吹き付けても、コンクリート基材のセメントペースト層の可塑性が失われているため、セメントペースト層と光触媒層とのエトリンガイトが絡みにくく、また界面で水やイオンが自由に行き来できず、水和反応がほとんど起こらない。そのため、セメントペースト層と光触媒層との界面が不連続面となり付着性が悪くなる。そこで、練りコンクリートの水和反応の開始後からコンクリート基材のコンシステンシーが変化しないまでの時間に吹き付けを行えば、光触媒層を確実に一体化させることができる。
ここで、コンクリート基材に吹き付ける光触媒混合物は、セメント100質量部に対して、水を200〜300質量部、光触媒粉体を5〜50質量部としたものを使用するのが望ましい。また、この光触媒混合物は、スプレーガンによりミスト状にしてコンクリート基材表面に吹き付けることが望ましい。基材は即時脱型したコンクリートであり、まだ固まらないコンクリートであるため、ローラー塗り、ハケ塗りなどの方法では、コンクリート基材を変形させてしまう可能性がある。リシンガンによる吹き付けも可能であるが、光触媒層が必要以上に厚くなり、また厚さも不均一となる。
スプレーガンによりミスト状にして吹き付けを行うことができる光触媒混合物の粘度は、300mPa・s以下であるが、より望ましくは60mPa・s以下である。60mPa・sより大きくすると、必要以上に光触媒層が厚くなり、ポーラスコンクリートに吹き付けた場合に、空隙を閉塞させてしまう可能性がある。セメント100質量部、光触媒5〜50質量部に対して、60mPa・s以下の粘度となり、かつ混合物が材料分離を起こさない水の調合量は200〜300質量部の範囲である。光触媒粉体は、セメント100質量部に対して5質量部以下とすると極端に光触媒性能が落ちる。逆に、50質量部以上とすると、セメントによる硬化が不十分となり、光触媒層の硬度が十分に得られない。
通常、細骨材を使用しないセメントペーストの場合は、水セメント比が0.3を越えると乾燥収縮が大きく、ひび割れが発生しやすい。本発明に係る光触媒混合物、つまり光触媒粉体を含むセメントペーストはこれより非常に大きい。しかし、本発明では、水分が少なくパサパサの状態であるまだ固まらない即時脱型コンクリート基材に、光触媒混合物を吹き付けて光触媒層を形成するため、光触媒層に含まれていた余剰水は、水分の少ないコンクリート基材に吸収される。そのため、光触媒層には水和反応に必要な水分しか残らず、また光触媒層の厚さも0.1mm以下となり乾燥収縮応力も小さいため、ひび割れ等の発生もない。
(1)即時脱型方式により製造するコンクリートブロックの製造方法において、脱型の直後に、光触媒粉体とセメントおよび水を混合した光触媒混合物を、コンクリート基材に吹き付けて、コンクリート基材表面に光触媒層を形成することにより、コンクリート基材のセメントペースト層と光触媒層との界面において、セメントペースト層と光触媒層のそれぞれで既に生成されている長い針状結晶であるエトリンガイトが容易に絡み合って架橋構造を形成し、また界面で水和反応を起こし、C−S−Hゲル等の水和物や水酸化カルシウムが形成され、相互を拘束するようになるため、有機系の接着剤の使用、下地処理、プライマ処理をすることなく、光触媒層がコンクリート基材表面に強固に付着、または一体化したコンクリートブロックが得られる。こうして得られたコンクリートブロックでは、光触媒粉体はコンクリート表面に強固に保持されており、光触媒粉体はコンクリートブロックから剥がれ落ちることがなく、長期に渡って光触媒作用による大気浄化を行うことができる。また、有機系の接着増強剤等も使用していないため、光触媒作用による劣化も起こらない。
(2)本発明のコンクリートブロックの製造方法によれば、コーティング層(光触媒層)とコンクリート基材とを同時に養生でき、プライマ処理も不要であるため、短時間で光触媒層が表面に保持されたコンクリートブロックを製造することができる。また、コーティング層を養生するための設備を設ける必要がないので、産業的に極めて有用である。
(3)セメント100質量部に対して、水を200〜300質量部、光触媒粉体を5〜50質量部とした光触媒混合物をスプレーガンによりミスト状にして吹き付けることにより、水分が少なくパサパサの状態であるまだ固まらない即時脱型コンクリート基材に、光触媒混合物を吹き付けて光触媒層を形成するため、光触媒層に含まれていた余剰水は、水分の少ない基材に吸収され、光触媒層には水和反応に必要な水分しか残らず、また光触媒層の厚さも0.1mm以下となり乾燥収縮応力が小さくなるため、コンクリートブロック表面に剥離やひび割れ等が発生しない光触媒層を形成することができる。
図1は本発明の実施の形態におけるコンクリートブロックの斜視図、図2は図1のコンクリートブロック表面の拡大断面図、図3は図2のA部拡大図である。
図1に示すコンクリートブロック1はスランプ(流動性)が大きい生コンクリートを金型に流し込んで硬化するのを待つ一般的な製法によるものではなく、水分の少ない練りコンクリートを型に入れ、振動、加圧により締め固めを行い、すぐに脱型を行う即時脱型方式により製造するものである。練り水の量は、セメント重量の25〜30%程度である。
コンクリートブロック1は、図2に示すように2.5mm以下の天然骨材3を使用したものであり、表面に複数の凹部2が形成されている。天然骨材3同士を接合するバインダとしてのセメントペースト層10は、天然骨材3を薄く取り巻くものとし、天然骨材3間に空隙4を形成している。このコンクリートブロック1は、空隙4により空隙率20%以上のポーラス体を構成することによって吸音効果を発揮するようにしたものである。
また、このコンクリートブロック1の表面には、コンクリートブロック1の脱型の直後に、光触媒粉体としての酸化チタン粉末21(図3参照)を含む光触媒混合物20を吹き付けることにより、セメントペースト層10と強固に一体化させた光触媒層5が形成されている。光触媒層5の膜厚は、0.01〜0.1mmである。このコンクリートブロック1は、光触媒層5の光触媒作用によって大気浄化効果および防汚効果を発揮する。
次に、このコンクリートブロック1の製造方法について説明する。
即時脱型方式では、練りコンクリートの水分が少ないため、型に流し込む際にはパサパサの状態である。そして、この練りコンクリートを型に入れ、振動、加圧により締め固めを行うと、練りコンクリートの水分が少ないためコンクリートが型くずれを起こさず、直ちに脱型することができる。
この脱型後のコンクリート基材(天然骨材3およびセメントペースト層10を含む。)表面に、酸化チタン粉末21とセメント22および水(図示せず)を混合した光触媒混合物20を吹き付ける。なお、光触媒混合物20の吹き付けは、脱型後、直ちに吹き付けを行う。このとき、セメントペースト層10と光触媒層5のそれぞれで既に生成されている長い針状結晶であるエトリンガイト11,23が絡み合い、界面に架橋構造をつくる。また、水やイオンの移動により、界面で水和反応が起こりC−S−Hゲル等の水和物や水酸化カルシウムが形成され、界面相互の水和物が拘束される。これにより、光触媒層5は、コンクリート基材表面のセメントペースト層10に一体化される。
なお、本実施形態において、光触媒混合物20は、セメント22を100質量部に対して、水を200〜300質量部、酸化チタン粉末21を5〜50質量部としたものである。これにより、スプレーガンによるミスト状の吹き付けを容易にし、0.1mm以下の薄膜を形成することができる。そのため、天然骨材3間の空隙4を閉塞させることなく、天然骨材3間に光触媒層5を形成することができるため、ポーラス構造にも対応することが可能となる。また、光触媒層5に含まれる水和反応に必要ない余剰水は水分の少ない基材コンクリートに吸収され、また薄膜のため乾燥収縮応力も小さいので、ひび割れが生じることもない。
以上のように、本実施形態における製造方法では、即時脱型方式によりコンクリートブロック1を製造するに際して、脱型後直ちに光触媒混合物20を、可塑性が失われていないコンクリート基材表面のセメントペースト層10に吹き付けることで、セメントペースト層10と光触媒層5のそれぞれで既に生成されている長い針状結晶であるエトリンガイト11,23を絡み合わせ、界面に架橋構造を形成する。また、水やイオンの移動により、界面で水和反応が起こりC−S−Hゲル等の水和物や水酸化カルシウムが形成され、界面相互の水和物が拘束されるため、光触媒層5がコンクリートブロック1の表面に強固に付着、または一体化したコンクリートブロック1が得られる。
こうして得られたコンクリートブロック1は、光触媒層5とコンクリート基材との付着力(平面引張強度)が3.0〜3.5N/mm2程度(試験時における材料の破壊状況はコンクリート基材の材料破壊である。)であり、光触媒層5はコンクリート基材に一体化されている。なお、本実施形態においては、コンクリートブロック1としてポーラス体のものを例に説明したが、ポーラス体でないものについても適用可能である。ポーラスでない即時脱型コンクリートブロックの場合は、光触媒層5とコンクリート基材との付着力は4.5〜5.5N/mm2程度となる。このようなコンクリートブロック1では、光触媒層5は簡単に剥がれ落ちにくく、長期に渡って光触媒作用による大気浄化、及び防汚を行うことができる。
また、このコンクリートブロック1では、プライマ処理が不要であり、光触媒層5は0.1mm以下の薄膜であるため、これにより天然骨材3間の空隙4を閉塞させることもなく、コンクリートブロック1の表面のみならず、天然骨材3間にも光触媒層5を形成することができる。すなわち、比較的小さな骨材で成形され、小さな空隙を多数有するポーラスコンクリートブロックであっても、空隙を閉塞することなくポーラス構造を維持したまま、光触媒層5をその表面に形成することができる。そのため、ポーラスコンクリートの機能を損なうことなく、コンクリートブロック1に光触媒作用による大気浄化効果および防汚効果を付加することができる。
また、本実施形態におけるコンクリートブロック1では、光触媒混合物20の吹付けを、コンクリート基材の脱型直後に行うことによって、コンクリートの組成が上記とは異なる場合であっても、光触媒層5をコンクリートブロック1の表面に確実に一体化させることが可能である。
なお、本実施形態におけるコンクリートブロック1では、遅延剤等を使用して凝結時間の調整をすることも可能である。また、コンクリートブロック1の天然骨材3に代えて、軽量骨材や砕石等を使用することも可能である。さらに、酸化チタン粉末を含む光触媒混合物20に用いるセメントの種類は限定されず、また顔料を混入することにより着色することも可能である。
また、本実施形態においては、光触媒粉体として酸化チタン粉末21について説明したが、光酸化還元反応を促進する粉体としては、酸化チタン、二酸化すず、酸化亜鉛、三酸化タングステン、酸化セリウム、チタン酸バリウム、酸化第二鉄等を用いることができる。特に、高い光触媒機能を有し、化学的に安定で無害である二酸化チタンが好ましい。
さらに、本実施形態においては、酸化チタン粉末を含むセメントペースト5は、セメントペーストと光触媒粉体の成分以外に、撥水剤や分散剤などを含むこともできる。撥水剤はコンクリートに撥水性を与える添加剤であり、例えば、シリコーン系、シラン系、アクリル樹脂系等の化合物を用いることができる。撥水剤の添加量は、セメントペーストと光触媒粉体の合計量に対して0.1〜3%が適当である。
硬化したコンクリート中には、セメントの水和反応によって生成された多量の水酸化カルシウムが含まれている。水酸化カルシウムは可溶成分であり、降雨水に溶解し、コンクリート表面に析出する。この析出した水酸化カルシウムと空気中の炭酸ガスが反応して、炭酸カルシウムに変化する。場合によっては、この生成された炭酸カルシウムが光触媒表面に膜を覆い、汚染ガス等との接触を妨げるため、長期的には光触媒機能を劣化させる原因となる。
また、撥水剤を添加することにより、その撥水作用により水を弾くようになるため、炭酸カルシウムの発生が抑制され、また生成された炭酸カルシウムが表面に沈着されにくくなる。これにより、長期的に光触媒機能を維持することができる。
本実施形態におけるコンクリートブロックの製造方法によりコンクリートブロックを製造し、比較を行った。なお、本実施例において使用した光触媒混合物は、次の配合で調製した。
〔配合〕普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)100質量部に対して、アナターゼ型二酸化チタン(石原産業社製;平均粒径7nm)40質量部、分散剤(サンノプコ社製)0.7質量部、撥水剤2.1質量部、水227質量部
〔実施例1〕
即時脱型後のポーラスコンクリート基材に、直ちに光触媒混合物をスプレーガンによりミスト状にして吹き付けて光触媒層を形成し、その後養生室にてコンクリート基材と一緒に24時間室温養生を行った。ポーラスコンクリート基材に使用した骨材の粒径は、2.5mm前後の単粒径細骨材であり、その空隙径はおおよそ0.3mm〜1mmである。簡易型粘度カップ(明治機械製作所製)にて測定した光触媒混合物の粘度は10mPa・s以下であった。光触媒層の膜厚は0.04〜0.06mmであり、1mm以下の薄膜であったため、ポーラスコンクリートの空隙は閉塞することがなく、かつ骨材間の凹部に光触媒層を形成することができた。
また、基材がパサパサのまだ固まっていない即時脱型コンクリートのため、光触媒層の余剰水は基材コンクリートへ移動し、光触媒層には反応に必要な水しか残らず、また膜厚も0.1mm以下の薄膜であったため、ひび割れ等も生じなかった。さらに即時脱型した直後のポーラスコンクリートに吹き付けを行ったため、光触媒層の剥がれ等もみられず、基材と光触媒層が一体化していることが確認できた。
この光触媒層を有する試料を屋外に暴露し、次の条件に従ってNOX通気試験を行った。その結果、初期の平均NOX除去率は80.1%であり、6ヶ月暴露後の平均NOX除去率は76.5%であった。骨材間の空隙にも光触媒層を設けることができたため、光触媒層と汚染空気の接触面積が増し、高いNOX除去性能を有することができた。
〔測定条件〕測定装置:モニターラボ社製化学ルミネッセンス分析計ML9841、NOX濃度1ppm、ガス流量3.0L/min、紫外線強度(ブラックライト)0.6mW/cm2、室温25℃、相対湿度約50%、試料表面積200cm2、NOX通気時間12時間
〔実施例2〕
骨材450質量部に普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)100質量部を混合し、これに水25質量部を加えて約1分半混練りした。この混合物を型に入れ、振動、加圧による締め固めを行い、加水してから10分以内に即時脱型ポーラスコンクリート基材を形成した。この基材に表1に示す時間ごとに光触媒混合物を吹き付け、光触媒層を形成し、その後養生室にてコンクリート基材と一緒に24時間室温養生を行った。
なお、光触媒混合物は、前記配合に着色剤として酸化鉄顔料を3質量部混入し、赤色に着色したものを用いた。吹き付けを行った際の気温は20℃、相対湿度は60%であり、転圧コンクリート舗装技術指針(案)付録5(日本道路協会)VC振動締固め試験により、コンクリート基材のコンシステンシーを測定した。また、試料を養生後、直ちに指触して指に光触媒層が付着するかどうか、また試料を1ヶ月間暴露し赤色に着色した光触媒層が退色するかどうかによって、光触媒層の付着状況を簡易的に調べた。
結果は表1のとおりである。なお、表中の時間は、コンクリート基材の混練りを開始してから吹き付けを行うまでの時間(分)である。指触は○が全く手に付かなかった場合を、×は明らかに手に白い粉が付いた場合を示している。また、退色は○が退色無し、×が退色有りを示している。
表1に示すように、コンクリート基材の混練りを開始してから40分までの間に光触媒混合セメントペーストを吹き付けた試料(No.1,No.2,No.3)は光触媒層の剥がれもなく、また退色もないため付着状況が良好であったが、混練り開始後40分以降に吹き付けた試料(No.4,No.5,No.6)は明らかに手に白い粉が付くようになり、退色も激しく、付着状況が不良であった。
Figure 2005053078
また、No.2の試料の顕微鏡写真を図4(a)に、No.4の試料の顕微鏡写真を図4(b)に示す。
図4(a)に示すように、コンクリート基材の混練りを開始してから20分後に光触媒混合セメントペーストを吹き付けた試料では、コンクリート基材表面のセメントペースト層と光触媒層とが一体化しているが、図4(b)に示すように、コンクリート基材の混練りを開始してから60分後に光触媒混合セメントペーストを吹き付けた試料では、セメントペースト層と光触媒層との境界が現れている。
本発明は、コンクリート骨材の表面のみならず、コンクリート骨材間にも光触媒層を形成したコンクリートブロックの製造に有用である。また、0.1mm以下の薄膜である光触媒層を形成するのに適しており、コンクリート骨材間の空隙を閉塞させることもないため、ポーラス構造のコンクリートブロックにも対応可能である。
本発明の実施の形態におけるコンクリートブロックの斜視図である。 図1のコンクリートブロック表面の拡大断面図である。 図2のA部拡大図である。 (a)はコンクリート基材の混練りを開始してから20分後に光触媒混合セメントペーストを吹き付けた試料の顕微鏡写真を示す図、(b)はコンクリート基材の混練りを開始してから60分後に光触媒混合セメントペーストを吹き付けた試料の顕微鏡写真を示す図である。
符号の説明
1 コンクリートブロック
2 凹部
3 天然骨材
4 空隙
5 光触媒層
10 セメントペースト層
11,23 エトリンガイト
12,22 セメント
20 光触媒混合物
21 酸化チタン粉末

Claims (5)

  1. 水分の少ない練りコンクリートを型に入れ、振動、加圧により締め固めを行い、すぐに脱型を行う即時脱型方式により製造するコンクリートブロックの製造方法において、
    前記脱型の直後に、光触媒粉体とセメントおよび水を混合した光触媒混合物をコンクリート基材に吹き付けて、コンクリート基材表面に光触媒層を形成することを特徴とするコンクリートブロックの製造方法。
  2. 前記吹き付けは、前記練りコンクリートの水和反応の開始から前記コンクリート基材のコンシステンシーが変化しない時間までに行うことを特徴とする請求項1記載のコンクリートブロックの製造方法。
  3. 前記光触媒混合物は、前記セメント100質量部に対して、前記水を200〜300質量部、前記光触媒粉体を5〜50質量部とし、スプレーガンによりミスト状にして吹き付けることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリートブロックの製造方法。
  4. 水分の少ない練りコンクリートを型に入れ、振動、加圧により締め固めを行い、すぐに脱型を行う即時脱型方式により製造したコンクリートブロックであって、
    光触媒粉体とセメントおよび水を混合した光触媒混合物を吹き付けることによって形成された光触媒層が、水和反応によってコンクリート基材表面に一体化したコンクリートブロック。
  5. 前記光触媒混合物が、前記セメント100質量部に対して、前記水を200〜300質量部、前記光触媒粉体を5〜50質量部としたものである請求項4記載のコンクリートブロック。
JP2003286168A 2003-08-04 2003-08-04 コンクリートブロックの製造方法およびコンクリートブロック Pending JP2005053078A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003286168A JP2005053078A (ja) 2003-08-04 2003-08-04 コンクリートブロックの製造方法およびコンクリートブロック

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003286168A JP2005053078A (ja) 2003-08-04 2003-08-04 コンクリートブロックの製造方法およびコンクリートブロック

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005053078A true JP2005053078A (ja) 2005-03-03

Family

ID=34365562

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003286168A Pending JP2005053078A (ja) 2003-08-04 2003-08-04 コンクリートブロックの製造方法およびコンクリートブロック

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005053078A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007008740A (ja) * 2005-06-28 2007-01-18 Ohbayashi Corp 吸着機能及び光触媒機能を有する建築材料及びその製造法
JP2007144360A (ja) * 2005-11-30 2007-06-14 Ngk Insulators Ltd プラズマ放電用電極装置
JP2008307877A (ja) * 2007-06-14 2008-12-25 Hokkaido 光触媒機能を有する機能性建材の製造方法
KR100996179B1 (ko) 2010-05-27 2010-11-23 석성기업주식회사 광촉매 코팅층을 구비하는 식생 호안블록
WO2016125175A1 (en) 2015-02-08 2016-08-11 Yissum Research Development Company Of The Hebrew University Of Jerusalem Ltd. Additive-incorporated building materials
KR20200114645A (ko) * 2019-03-29 2020-10-07 서울과학기술대학교 산학협력단 강우유출수 및 미세먼지 관리가 가능한 포러스 콘크리트 기반 담체
WO2021243441A1 (en) * 2020-06-03 2021-12-09 Carbicrete Inc. Method for making carbonated precast concrete products with enhanced durability
US11358304B2 (en) 2019-12-10 2022-06-14 Carbicrete Inc Systems and methods for curing a precast concrete product
US11358903B2 (en) 2019-04-12 2022-06-14 Carbicrete Inc Carbonation curing method to produce wet-cast slag-based concrete products

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007008740A (ja) * 2005-06-28 2007-01-18 Ohbayashi Corp 吸着機能及び光触媒機能を有する建築材料及びその製造法
JP2007144360A (ja) * 2005-11-30 2007-06-14 Ngk Insulators Ltd プラズマ放電用電極装置
JP2008307877A (ja) * 2007-06-14 2008-12-25 Hokkaido 光触媒機能を有する機能性建材の製造方法
KR100996179B1 (ko) 2010-05-27 2010-11-23 석성기업주식회사 광촉매 코팅층을 구비하는 식생 호안블록
WO2016125175A1 (en) 2015-02-08 2016-08-11 Yissum Research Development Company Of The Hebrew University Of Jerusalem Ltd. Additive-incorporated building materials
US10315953B2 (en) 2015-02-08 2019-06-11 Yissum Research Development Company Of The Hebrew University Of Jerusalem Ltd Additive-incorporated building materials
KR20200114645A (ko) * 2019-03-29 2020-10-07 서울과학기술대학교 산학협력단 강우유출수 및 미세먼지 관리가 가능한 포러스 콘크리트 기반 담체
KR102217005B1 (ko) * 2019-03-29 2021-02-17 서울과학기술대학교 산학협력단 강우유출수 및 미세먼지 관리가 가능한 포러스 콘크리트 기반 담체
US11358903B2 (en) 2019-04-12 2022-06-14 Carbicrete Inc Carbonation curing method to produce wet-cast slag-based concrete products
US11358304B2 (en) 2019-12-10 2022-06-14 Carbicrete Inc Systems and methods for curing a precast concrete product
WO2021243441A1 (en) * 2020-06-03 2021-12-09 Carbicrete Inc. Method for making carbonated precast concrete products with enhanced durability
US11597685B2 (en) 2020-06-03 2023-03-07 Carbicrete Inc Method for making carbonated precast concrete products with enhanced durability

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2465232C2 (ru) Покрытия на основе гидравлического вяжущего с оптимальной реологией и высокой фотокаталитической активностью
EP2242806B1 (en) Titanium dioxide based photocatalytic composites and derived products on a metakaolin support
JP2005053078A (ja) コンクリートブロックの製造方法およびコンクリートブロック
Hohol et al. The effect of sulfur-and carbon-codoped TiO2 nanocomposite on the photocatalytic and mechanical properties of cement mortars
JP2006291509A (ja) 壁材、及び塗り壁の施工方法
JP2002167524A (ja) 塗材用原料組成物
CN106396531B (zh) 一种用于海水珊瑚骨料混凝土的固盐剂
KR102286861B1 (ko) 공기정화형 표면코팅 시멘트 조성물
RU2305671C1 (ru) Сырьевая смесь для защитного покрытия бетонной поверхности
JP2000117117A (ja) 光触媒材料
JP3361046B2 (ja) 大気浄化用セメント製品
JP2002239398A (ja) 大気浄化用組成物および大気浄化用物体
KR102249025B1 (ko) 대기 중의 전구물질 흡착과 제거가 가능한 기포 콘크리트 골재의 제조방법
KR20130059750A (ko) 방수용 시멘트 조성물 및 이의 제조방법
JP2002201059A (ja) 光触媒水硬性組成物
JP3970012B2 (ja) 塗材用原料組成物
JP4641174B2 (ja) 透水平板の製造方法
JP2003063852A (ja) 窒素酸化物ガス除去用光触媒担持組成物とその除去方法
JP2000219564A (ja) セメント組成物
TWI263624B (en) Method for modifying reservoir sludge and construction material containing modified reservoir sludge
KR102282160B1 (ko) 공기정화형 표면 코팅재 미장 시공법
JP2007008740A (ja) 吸着機能及び光触媒機能を有する建築材料及びその製造法
CN109279914A (zh) 光催化功能水泥基材料及其制备方法
JP3424028B2 (ja) 光触媒担持組成物およびその施工方法
JPH09194249A (ja) 撥水性窯業系建材の製造方法