JP2006248793A - 建築用タイル材 - Google Patents

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Abstract

【課題】
壁紙や断熱材、塗料等から発生するホルムアルデヒド等の有害物質が室内空気中に放散されて、発生するシックハウス症候群を解消するために有効な壁材を提供する。
【解決手段】
炭粉粒物と、前記炭粉粒物100重量部に対して100〜300重量部のセメントと、を混合して空練した後に、前記炭粉粒物100重量部に対して30〜150重量部の水と、前記炭粉粒物100重量部に対して10〜20重量部の着色無機顔料と、前記炭粉粒物100重量部に対して1〜10重量部の白華防止剤と、を前記セメントと炭の混合粉末体と共に混練し混合物を得、その後、前記混合物を所定の型枠に流入させ、プレス加工を行ない抜き出して前記混合物のタイルを生成し、蒸気養生を行なった後、タイルの表面に光触媒作用を有する物質を吹きかけて成ることを特徴とするタイルを提供することによって、上記課題を解決する。
【選択図】
図1

Description

本発明は、建築用の内装材、外装材、床材に関する発明であり、特にタイル材として用いられる建築材料に関する発明である。
近年、住宅のほとんどにおいては高機密高断熱性の住宅がアルミサッシの普及とともに実現され、暖房効果や遮断性は飛躍的に向上したが、機密性が高いゆえにシックハウス症候群が問題となっている。壁紙や断熱材からはホルムアルデヒドが、塗料からはトルエン・キシレンなどの有機溶剤が、接着剤からはユリア樹脂・メラニン樹脂・フェノール樹脂が、防蟻剤からはクロルピリホスが室内空気中に放散されて、幾多の健康障害を発生させている。
上記問題を解決するため、消臭機能が付与された建築用内装材が注目されている。例えば特許文献1には、ホルムアルデヒド捕捉効果を得る目的で、ホルムアルデヒド捕捉剤を含浸した樹脂層の上に絵柄を印刷した壁紙が開示されている。しかしながら、この方法で製造された壁紙では、樹脂層の上に設けられた絵柄印刷層によりホルムアルデヒド捕捉剤の効能が抑制され、ホルムアルデヒドの十分な除去効果が得られないという問題があり、さらに、トルエン、アンモニアなどの他のVOC成分は全く除去できないという欠点を有していた。
また、木材、竹、繊維くず、和紙などから作製した炭をシート状にしたものをホルムアルデヒド吸着材として使用する例などが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、炭には吸着能力の限界があり、いつしかは飽和してしまうという問題点がある。
一方、陶磁器製品は素材として磁器質、せっ器質、半磁器質、陶器質のものが用いられ、施釉、無釉の種類があるが、これらのタイルは粘土を主成分としており、上記のようなシックハウス症候群の問題に対する対策を考慮したものは考えられていなかった。
特開平10−100334号公報 特開平11−229219号公報
そこで本発明では壁材に用いられていた悪性成分の吸着技術をタイル材に応用し、室内に浮遊するホルムアルデヒド、トルエンなどのVOC成分を吸着除去する能力を有する材料を提供することを目的としている。さらに従来技術においては吸着能力が飽和した場合に、当該吸着能力を維持するためには壁材を取り替えるしか方法がなかったが、本発明においては吸着した上述の悪性成分を光触媒作用によって分解することによって、飛躍的に処理能力を維持することのできる壁材、特にタイル材を提供しようとするものである。
平均粒径0.1〜30mmの炭粉粒物と、前記炭粉粒物100重量部に対して100〜300重量部のセメントと、を混合して空練した後に、前記炭粉粒物100重量部に対して30〜150重量部の水と、前記炭粉粒物100重量部に対して10〜20重量部の着色無機顔料と、前記炭粉粒物100重量部に対して1〜10重量部の白華防止剤と、を前記セメントと炭の混合粉末体と共に混練し混合物を得、その後、前記混合物を所定の型枠に流入させ、プレス加工を行ない抜き出して前記混合物のタイルを生成し、前記タイルを35℃〜45℃で24時間以上蒸気養生を行なった後、15℃から25℃で48時間以上の蒸気養生を行ない、タイルの表面に光触媒作用を有する物質を吹きかけて成ることを特徴とするタイルの製造方法を提供することにより、前記課題を解決する。
本発明に係るタイルを住居等の室内の内装材として使用することによって、シックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒド、トルエンやアンモニア等のVOCを炭が吸着し、その吸着した上記悪性成分を二酸化チタンの光触媒作用によって分解することによって、壁材の吸着作用の効果を長続きさせることができ、製品寿命を延ばすことができる。
さらに主原料として木屑の炭を利用していることから、廃材を利用することとなり、近年の循環型社会における望ましい材料の一つとなることができる。
以下、図面に基き説明する。図1は本発明に係るタイルの製造方法を現すブロック図である。また、図2乃至4は本発明に係るタイルの製造装置とプレス機を示している。
本発明にかかるタイル材は、図1に示すように、木屑を高温度に焼成したパウダー状の炭と、及びセメントと、着色剤と、白華防止剤と、光触媒物質である二酸化チタンと、からなる。図1乃至5を用いて本発明に係るタイルの製造方法を詳細に説明する。
(1)まず、炭粉1000グラム、セメント3000グラムを常温(概ね20℃)下で1〜7分間、ミキサーの回転速度にして150rpm〜190rpm、好ましくは170rpmで振動撹拌する。振動撹拌には、攪拌羽根がなく、揺動盤上に可撓自在のゴムボールを取付けた装置で、混練物を加速しランダム方向に揺動させながら短時間で混練を行うことができる、拡散混練方式のオムニミキサー1が使用できる。本撹拌方法によれば、回転羽を有さないので、比重の異なる脆弱な材料や、比重が極端に軽く飛散しやすい粉粒体をも混合できる。さらに後述する各種添加剤の混合においても、混合物にダメージを与えずに撹拌することができる点でも振動撹拌は有効である。又、混練材料にせん断力を加えないので、混合による温度上昇を抑えることができ、もって物性変化を与えることが少ない。
炭は従来から消臭作用があることが知られており、炭の多孔質部分が有害成分を吸着することによって室内等の脱臭を図るものである。本考案に係るタイルに十分な吸着能力を持たせるためには、炭を800℃から1000℃の高温で焼成することが必要である。また、本発明に係るタイルに使用するにはパウダー状の炭に粉砕することが必要である。微粉砕することによって、セメント等の他の混和材と十分に混練し、タイルの強度の向上を図るためである。
セメントは結合材として圧縮強度を高めるために用いられるものである。無論、ポルトランドセメント、高炉セメントなどのセメント類、石灰、石膏、漆喰、マグネシウムなどが挙げられ、複数の材料を組み合わせて使用することもできる。
(2)次に(1)で空練した炭粉とセメントの混合粉末体中に水1000グラムを加え、オムニミキサー1で混練する。混練時間は1〜7分間、好ましくは4〜5分間、前記ミキサーの回転速度が100rpm〜140rpm、好ましくは120rpmとなるように振動撹拌する。水セメント比で30〜50%、好ましくは33%〜35%の配合条件が用いられる。
(3)次に着色剤を150グラム及び白華防止剤を30グラム投入し、水の投入の際と同様に4〜5分間、前記ミキサーの回転速度が回転速度100rpm〜140rpm、好ましくは120rpmで、前記オムニミキサー1を用いて振動撹拌する。尚、着色剤を加えるのは、本考案に係るタイルの視覚性を良くするためである。着色剤としては有害物質を放出しない酸化鉄などの着色顔料を使用できる。
又、白華防止剤はセメントが凝固した時にカルシウム分が表面に浮き出て白く粉を吹く白華現象を抑えるためのものであり、従来から用いられているステアリン酸アルミニウム粉末、ステアリン酸カリウム粉末、オレイン酸ナトリウム粉末等を用いることができる。
(4)上記の材料に加えて連結繊維材としてポリオレフィン系繊維を加えてもよい。連結繊維材は曲げ強度を向上されるために用いられる材料である。連結繊維材は前記炭粉100重量部に対し、好ましくは30重量部混入される。
さらに、強度増強材を加えることによって、組織の緻密化等の効果をもたらし、タイルの圧縮強度を向上することができる。好ましくはシリカヒュームを用いる。
そして、吸湿材料として周知である珪藻土を本発明の混合物に加えるならば、吸湿効果が高まり、室内の湿度を一定に保つ効果を付加することができる。
(5)(3)又は(4)で得られた混合物の含水比率が変化しないように、養生シートで保護しながら、図2に示すベルトコンベアー4を用いて供給用ホッパー3に投入し、所定の大きさの押出枠5に流入させる。押出枠5はテーブル7に押し出され、型枠8に混合物を充填させ押出枠5がテーブル7から後退すると、振動バイブレータを加えながら混合物にプレスを行なうことによって締め固めを行なう。尚、本タイルは100mm以下であって薄層材であるために、本方法によって締め固めを行なうことが望ましい。
(6)プレスが終わった後、型枠8を押し上げることによって、(4)のプレス後の混合物を押しぬく。湿り気等の要因のためにプレス面に張り付いた場合、プレス面を40℃前後に加熱すること等によって剥離するようにできる。押しぬかれた前記混合物は35℃〜45℃、好ましくは40℃で24時間、15℃から25℃、好ましくは20℃で48時間の蒸気養生を行ない、前記混合物が硬化したタイルを得る。
(7)養生の終わった(6)のタイルに対し、光触媒作用を持つ物質を、当該タイルの表面に塗布する。好ましくはフッ化アパタイト被覆二酸化チタンを、当該タイルの表面に塗布する。フッ化アパタイト被覆二酸化チタンを使用するならば、太陽光や蛍光灯だけでなく、発光ダイオードや白熱灯等の弱い光であっても分解が進むため、遮光されていても吸着能力があるからである。さらに、アパタイトが被覆されているため、当該アパタイトの結晶が塗膜に食い込ませることによりチョーキングを抑えることができる。
このように光触媒物質が塗布されることによって、炭が吸着した有害物質を光触媒作用により分解し、炭の吸着能力を半永久的に持続せしめることができる。
尚、本発明に係るタイルの元素定性分析を行なった結果、タイルに含まれる元素は、C、Si、Ca、Naであり、重金属等の有害元素は含まれていなかった。
次に上記の方法によって製造されたタイルを用いて消臭実験を行なった場合の結果を図5乃至図8に示す。図5はアンモニアの消臭試験結果を、図6はメチルメルカプタンの消臭試験結果を、図7はトルエンの消臭試験結果を、図8はホルムアルデヒドの消臭試験結果を表している。
図5は活性炭、備長炭と本発明に係るタイルについて、アンモニアの消臭能力の試験を行なった結果を示している。この結果より、備長炭よりも高いアンモニアの吸着能力があること、また活性炭に近い吸着性を示すことが判明した。
図6は活性炭、備長炭と本発明に係るタイルについて、メチルメルカプタンの消臭能力の試験を行なった結果を示している。この結果より、メチルメルカプタンが最終的に完全に除去され、本発明に係るタイルが高い吸着能力を有することが分かる。
図7は活性炭、備長炭と本発明に係るタイルについて、トルエンの消臭能力の試験を行なった結果を示している。この結果より、備長炭ではトルエンを完全に吸着できなかったが、本発明に係るタイルは最終的に活性炭と同様に、完全にトルエンを吸着して処理できることが判明した。
図8は活性炭、備長炭と本発明に係るタイルについて、ホルムアルデヒドの消臭能力の試験を行なった結果を示している。この結果より、備長炭よりも高いホルムアルデヒドの吸着能力があり、また活性炭に近い吸着能力を示すことが判明した。
本発明のブロック図 本発明に係るタイルの製造に用いられる製造装置 プレス機の正面図 プレス機の断面図 アンモニアの消臭能力の試験 メチルメルカプタンの消臭試験結果 トルエンの消臭試験結果 ホルムアルデヒドの消臭試験結果
符号の説明
1 オムニミキサー
2 プレス機
3 ホッパー
4 ベルトコンベアー
5 押出枠
6 混合物
7 テーブル
8 型枠

Claims (1)

  1. 平均粒径0.1〜30mmの炭粉粒物と、前記炭粉粒物100重量部に対して100〜300重量部のセメントと、を混合して空練した後に、前記炭粉粒物100重量部に対して30〜150重量部の水と、前記炭粉粒物100重量部に対して10〜20重量部の着色無機顔料と、前記炭粉粒物100重量部に対して1〜10重量部の白華防止剤と、を前記セメントと炭の混合粉末体と共に混練し混合物を得、その後、前記混合物を所定の型枠に流入させ、プレス加工を行ない抜き出して前記混合物のタイルを生成し、前記タイルを35℃〜45℃で24時間以上蒸気養生を行なった後、15℃から25℃で48時間以上の蒸気養生を行ない、タイルの表面に光触媒作用を有する物質を吹きかけて成ることを特徴とするタイルの製造方法。
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