JP3992160B2 - ホリゾントライトの照度制御方法 - Google Patents

ホリゾントライトの照度制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般の建物や構築物の壁面または道路照明に使用する照明装置、特に劇場、舞台、映画スタジオ、TVスタジオ、ハイビジョン撮影用TVスタジオ等の背景壁面を照明するための照明装置であるホリゾントライトにおいて、その反射曲線形状の設計方法および前記方法により設計された反射鏡並びに前記反射鏡を使用したホリゾントライトさらに、照度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
劇場、舞台、映画スタジオ、TVスタジオ等の背景壁面は例えば、高さ5m以上、幅10m以上あり、通常、高さ10m、幅20mが一般的背景壁面である。ホリゾントライトにより、この壁面を均一に照明し、この壁面全体に基本照明光を照射して使用する場合、特にこの背景壁面を「ホリゾント壁面」、ホリゾント壁面を照明する装置を「ホリゾントライト」と定義する。
【0003】
ホリゾントライトには、ホリゾント壁面からの距離が3m以内の天井または照明用バトンに吊設し、ホリゾント壁面を上方から下方を照射するアッパーホリゾントライトと、ホリゾント壁面からの距離が約1m付近の床またはローホリピット(ロアーホリゾントライトを配置するための、例えば、幅1m、深さ0.4mの照明用溝)に設置し、ホリゾント壁面を下方から上方を照射するロアーホリゾントライトとがある。ホリゾントライトは、背景壁面全体に均一照度を与える基準照明光の働きを担っている。しかしながら、天井または床から光をホリゾント壁面に照射する場合、ホリゾント壁面に近い部分は照射角度が狭く、ホリゾント壁面に遠い部分は照射角度が広くなり、ホリゾント壁面全体に均一に光を照射することは非常に困難である。
【0004】
さらに、ランプの光は、被照射面の中心部分が明るく、被照射面の中心から周辺部分になるほど暗くなる特性があり、さらに光の照度は距離の二乗に反比例して減衰するという照度に関する逆二乗の法則(E=1/L2)があるため、遠地点を照明する照射光は、特に照度を強化しなければならない。
さらにまた、ホリゾント壁面の照度は、光の入射角の余弦に比例するという入射角余弦則(E=E0 Cosθ)がある。さらにまた、ホリゾント壁面に対して角度θを有する点光源からホリゾント壁面に均一照度を与えるためには、照度換算余弦三乗則(E=E0 Cos 3θ)を考慮する必要があり、背景壁面全体を均等な照度で照射することは、極めて困難な照明技術であると考えられている。
【0005】
これらの先行技術として特開平6−338205号がある。特開平6−338205号に記載された第1図を、本願の図16として示す。
特開平6−338205号には、反射体1の断面曲線形状が、第1部分Aと、前記第1部分に連なってその上方にある第2部分Bと、第1部分に連なってその下方にある第3部分Cとから形成されている。第1部分Aは、ランプ5が配置される第1焦点2aと、第1焦点の真下方向に位置する第2焦点2bとを有する第1の楕円形状2のほぼ上半部に沿った形状をしている。第2部分Bは、第1焦点が上記第1の楕円形状の第1焦点2aと共通で、第2焦点3bが第1部分Aの下端近傍にある第2の楕円形状3の一部に沿った形状をしている。さらに第3部分Cは第1焦点3bが上記第2の楕円形状の第2焦点と共通で、第2焦点が上記第1の楕円形状2の第2焦点2bと共通である第3の楕円形状4の一部に沿った形状をしている。
【0006】
これにより、ランプから発散された光のうち、反射体の第1部分Aで反射した光は第1の楕円形状2の第2焦点2bに集光される。また、ランプ5から上方に発散された光は、反射体の第2部分Bで反射し、第2の楕円形状3の第2焦点3bに集光し、さらに反射体の第3部分Cで反射して、第3の楕円形状4の第2焦点2b、すなわち第1の楕円形状2の第2焦点2bに集光される。
したがって、ランプ5から上方に発散され、反射体に反射される光も、ランプに遮断されることなく、集光点である第1の楕円形状2の第2焦点2bに集光されるから、反射体の集光効率が向上するとされている。
【0007】
特開平6−338205号は、集光の効率化に主眼をおいているため、ランプから発散した光のすべてが、効率よく1点に集光する反射曲線形状を提案している。しかし、異なる反射曲線形状の接続点の連続性や滑らかさには何ら言及していない。ホリゾント壁面全体を高い照度分布かつできるだけ均一照度を与えるためには、異なる反射曲線形状の反射鏡を使用した場合には特に、異なる反射曲線形状の接続点の連続性や滑らかさに充分考慮しなければならない。
【0008】
さらに、従来のアッパーホリゾントライトから放射される光と、従来のロアーホリゾントライトから照射される光とを合成した、ホリゾント壁面の照度分布には、明るい部分と暗い部分との光の濃淡があり、均一照度分布が要求される基本背景照明光として不適当である。このようなホリゾント壁面の照明光を背景にした場合、舞台俳優、キャスター等の顔の表情や輪郭に微妙な影響を与え、自然な顔の表情ではない虚像が、舞台の観客またはテレビの視聴者に伝達されることになる。
【0009】
ホリゾント壁面の照度の不均一性の現象が、劇場の観客にもテレビの視聴者にも出演者の真の表情や輪郭を正確に伝達させず、知覚させない原因である。
また、この現象が、劇場、テレビスタジオのライティングディレクターの演出技術を低下させるため、彼らには、極めて不評であった。
特に、近年において高品位TV、ハイビジョンTV等の撮影が急激に増加しており、遠地点から広角度の撮影角度で広範囲の被写体を極微細な映像に撮影する時代の要請に伴い、ホリゾント壁面に光の濃淡が無く、均一照度分布であることは必須条件である。
【0010】
上記事項を更に図面で詳述する。
図17は従来の反射鏡の配光図である。光源Sに近い反射鏡は、断面が焦点距離F40mmの放物曲線で形成されており、光源に遠い反射鏡は断面が直線で形成されている。放物曲線で反射した光は実線で示され、放物曲線の主軸に平行に放射している。また、直線の反射面で反射した光は点線で示され、光が広い範囲に散乱していることが分かる。
このような配光特性の反射鏡を使用したホリゾントライトは、ホリゾント壁面に光の濃淡が発生し、壁面照明には不適である。
【0011】
図18は従来の他の反射鏡の配光図である。光源Sに近い反射鏡は、断面が焦点距離F25mmの放物曲線で形成されており、光源に遠い反射鏡は断面が焦点距離F5mmの放物曲線で形成され、焦点距離F25mmの放物曲線の端部と焦点距離F5mmの放物曲線の端部との接合部分は段差があるのみならず、開口がある。焦点距離F25mmの放物曲線で反射した光は実線で示され、焦点距離F5mmの放物曲線で反射した光は点線で示されている。この反射光の配光特性も、依然として光が散乱している。このような配光特性の反射鏡を使用したホリゾントライトは同様にホリゾント壁面に光の濃淡が生じ、ホリゾント壁面照明には不適である。
【0012】
図19は従来のアッパーホリゾントライトの照度分布データである。ホリゾント壁面の高さは10m、ホリゾント壁面とアッパーホリゾントライトとの距離は2m、灯体の取り付けピッチは1m間隔で9台の各1,000W の灯体が天井に吊設されている。
ホリゾント壁面の高さ9.5mの部分に3,600ルックスの極めて強い光のピークがあり、ホリゾント壁面の高さ6m付近から下方は、1,000ルックス以下の照度しかない。
【0013】
図20は従来のロアーホリゾントライトの照度分布データである。ホリゾント壁面の高さは10m、ホリゾント壁面とロアーホリゾントライトとの距離は0.85m、灯体の取り付けピッチは1m間隔で9台の500W の灯体が床に配置されている。
床からホリゾント壁面の高さ0.5mの部分に4650ルックスの極めて強い光のピークがあり、ホリゾント壁面の高さ2mから上方は、1,000ルックス以下の照度しかない。
【0014】
図21は従来のアッパーホリゾントライトと従来のロアーホリゾントライトとを同時に点灯したときの合成照度分布データである。アッパーホリゾントライトとロアーホリゾントライトとの個数、照度の測定位置も図19および図20に示される条件と同一である。
ホリゾント壁面の高さ9.5mの部分に3,600ルックスの極めて強い光のピークがあり、さらに、床から壁面の高さ0.5mの部分に4,750ルックスの極めて強い光のピークがある。また、最低照度は、ホリゾント壁面の高さ3.5mにおいて600ルックスである。また、ホリゾント壁面の高さ2mから6mの範囲は、ほぼ1,000ルックス以下の照度しかない。
【0015】
図19ないし図21に示す照度分布データは、9個のアッパーホリゾントライトの中心である5個目の灯体と、9個のロアーホリゾントライトの中心である5個目の灯体とを結ぶ直線がホリゾント壁面に直接当たる部分の位置で測定されているため、ホリゾント壁面の両側端になるほど1,000ルックスより暗くなる。
【0016】
図22は、図21の照度分布データをホリゾント壁面の断面から見た光軸を追跡した光軸追跡図である。従来のアッパーホリゾントライトは、放物曲線の反射曲線に当たった反射光はホリゾント壁面の高さ5.5m付近の部分を強く照射して、アッパーホリゾントライトの反射面の直線の反射部分に当たった反射光はホリゾント壁面の高さ8mないし10mの部分を強く照射している。
従来のロアーホリゾントライトは、放物曲線の反射面に当たった反射光が、ホリゾント壁面の高さ2m付近の部分を強く照射し、ロアーホリゾントライトの反射面の直線の反射部分に当たった反射光は床からホリゾント壁面の高さ1m未満以下を強く照射している。
【0017】
したがって、ホリゾント壁面の高さ1m未満の付近から2mの範囲またはホリゾント壁面の高さ2mから5.5m付近までの範囲またはホリゾント壁面の高さ5.5m付近から8.5m付近までの範囲のそれぞれの領域には、反射光が照射されていず、ランプからの直接光しか到達していない。
そして、この現象がホリゾント壁面の照度に濃淡が生ずる原因であることが判明した。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ランプから放射された直接光または反射曲線から反射した反射光が、主軸方向の一部のみを照射するのではなく、照射すべき方向全体を高い照度分布で、できるだけ均一照度で照射すること;反射光を濃淡なく連続的な照度分布でホリゾント壁面に均一に照射すること;従来の反射形状を変更して、ホリゾント壁面上の照度分布を上昇/下降させるように反射曲線形状等を創作するための設計方法を究明すること;を目的にするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる点に鑑み為されたもので、反射曲線から放射される光を最大効率で壁面に照射して、壁面をできるだけ均一照度になるように、ホリゾントライトの反射面の曲線形状を最適化することにより、従来の欠点を解決することができることを着想した。究明すべき対象は、ホリゾントライトの反射面の曲線形状である。
【0020】
従来から複数の異なる反射曲線形状が組み合わされた反射曲線形状として、放物曲線と直線、放物曲線と放物曲線、楕円と楕円と楕円による複合反射曲線形状が、本願の先行技術として知られている。さらに、本願に先立つ同一発明者、同一出願人による特願平8−15849号には、円弧と放物曲線、放物曲線と放物曲線と放物曲線、円弧と楕円と直線と放物曲線と直線、放物曲線と直線、放物曲線と放物曲線による複合反射曲線形状が記載されている。しかしながら、前記従来の何れの反射曲線形状によっても、高い照度分布の均一照度をホリゾント壁面に照射することができなかった。
【0021】
その理由は、円弧形状の反射曲線は、円弧の中心に光源を配置させているので、このランプの光が再び光源に戻り、その戻った光の熱によりランプを劣化させる。そのためこの円弧形状の反射鏡は、使用することができない。また、直線形状の反射面は、反射光が平均して照射されるが、光は距離の二乗に反比例する逆二乗法則により遠地点が低照度になり、光が散乱してしまうので、この直線形状の反射鏡を使用することができない。円弧と直線との組み合わせを含む反射曲線形状を除外した反射面の曲線形状は、放物曲線と放物曲線、放物曲線と放物曲線と放物曲線、楕円曲線と楕円曲線、楕円曲線と楕円曲線と楕円曲線による反射面の曲線形状である。
【0022】
放物曲線と放物曲線とによる反射面の曲線形状は、やはり逆二乗法則により遠地点が低照度になり、さらに放物曲線と放物曲線との接続点が不連続で滑らかでないことにより、照度分布に濃淡が発生し使用することができない。同様に、楕円曲線と楕円曲線または、楕円曲線と楕円曲線と楕円曲線とによる反射面の曲線形状、放物曲線と放物曲線と放物曲線とによる反射面の曲線形状は、それぞれの異なる反射形状の接続点が不連続で滑らかでないことにより、照度分布に濃淡が発生し、均一照度分布を要求されるホリゾント照明として使用することができない。
【0023】
したがって、本発明は、(1)放物曲線と楕円曲線とによる組み合わせで、放物曲線と楕円曲線との接続点を連続的に滑らかに接続した反射面の曲線形状を基本として、さらに放物曲線と楕円曲線との反射面の曲線形状を拡張した反射面形状、例えば、(2)放物曲線と放物曲線と楕円曲線とによる組み合わせで、放物曲線と放物曲線との接続点と、放物曲線と楕円曲線との接続点とをそれぞれ連続的に滑らかに接続した反射面の曲線形状、(3)放物曲線と楕円曲線と楕円曲線とによる組み合わせで、放物曲線と楕円曲線との接続点と、楕円曲線と楕円曲線との接続点とをそれぞれ連続的に滑らかに接続した反射面の曲線形状、(4)放物曲線と放物曲線と楕円曲線と楕円曲線とによる組み合わせで、放物曲線と放物曲線との接続点と、放物曲線と楕円曲線との接続点と、楕円曲線と楕円曲線との接続点とをそれぞれ連続的に滑らかに接続した反射面の曲線形状、(5)放物曲線と放物曲線と楕円曲線と放物曲線とによる組み合わせで、放物曲線と放物曲線との接続点と、放物曲線と楕円曲線との接続点と、楕円曲線と放物曲線との接続点とをそれぞれ連続的に滑らかに接続した反射面の曲線形状とを提案することにある。
【0024】
特に本発明の重要な特徴点は、(1)異なる反射面の曲面形状の接続点をそれぞれ連続的に滑らかに接続することにある。また、(2)放物曲線の焦点に配置した光源から照射された光が、放物曲線と第1の楕円曲線との接続点に照射され、この接続点で反射した光が第1の楕円曲線の第2焦点を通過することにある。また、(3)凹面曲線と、第2の楕円曲線または別の放物曲線の接続において、凹面曲線の放物曲線と第1の楕円曲線との接続点から反射した光が、第1の楕円曲線の第2焦点を通過し、さらに、第2の楕円曲線の第2焦点を通過し、または別の放物曲線の焦点を通過することにある。
このことにより、光源から発した光が反射面の曲線形状で反射し、均一な照度分布を得ることが可能になる。例えば、反射鏡を形成する異なる曲面形状が放物曲線と楕円曲線とにより形成された反射曲線の場合には、一般に放物曲線で反射した反射光がホリゾント壁面に照射されたときに形成される照度は強く、楕円曲線で反射した反射光がホリゾント壁面に照射されたときに形成される照度は弱いが、これらの照度の強弱の境界において、光の濃淡がなく連続的に同一変化率の照度で変化する照度分布がホリゾント壁面に照射されることが最良である。
【0025】
結局、ホリゾント壁面の照度分布の連続性、同一変化率の照度で変化する照度分布の滑らかさは、反射鏡の異なる反射形状の反射曲線の接続点の連続性、反射鏡の接続点の滑らかな傾斜に依存しているのである。従来、このような光学現象を正確に熟知した知識に基づいて反射鏡を設計することは知られておらず、そのような技術文献を見いだすことができなかった。
【0035】
発明のホリゾントライトの照度制御方法は、光軸に対して直角のx軸方向の主要部分が実質的に直線状態に延び、前記x軸に対して垂直なy軸方向の断面が凹面曲線状態を呈し、前記凹面内側に反射鏡面が形成される反射鏡と光源とを含む、少なくとも1個のアッパーホリゾントライトと少なくとも1個のロアーホリゾントライトとを組み合わせ、アッパーホリゾントライトの補償点をホリゾント壁面の床から10%ないし40%の高さに設定させ、ロアーホリゾントライトの補償点をホリゾント壁面の床から10%ないし40%の高さに重畳させ、ホリゾントライトの直接光の照度とホリゾントライトの反射光の照度との照度差を均一化すること、補償点を10%の高さから40%の高さに上昇移動させることにより、アッパーホリゾントライトの近地点に形成される最高照度ピークと補償点以上のホリゾント壁面の全体照度エネルギー分布とを増大させ、補償点以下のホリゾント壁面の全体照度エネルギー分布を減少させること、補償点を40%の高さから10%の高さに下降移動させることにより、ロアーホリゾントライトの近地点に形成される最高照度ピークと補償点以下のホリゾント壁面の全体照度エネルギー分布とを増大させ、補償点以上のホリゾント壁面の全体照度エネルギー分布を減少させること、を利用してホリゾント壁面の全体照度エネルギー分布を選択的に制御することを特徴とする。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施例による放物曲線楕円曲線合成反射鏡の設計方法により作成した放物曲線楕円曲線合成反射鏡の断面図であり、反射面の曲線形状を示す基本設計断面図である。前記反射鏡は、放物曲線と楕円曲線で形成された立体であるが、説明の便宜上、図1に示す反射曲線の断面図で説明する。図において1は放物曲線、1′は放物曲線1と曲率半径が異なる他の放物曲線、2は楕円曲線、3は他の楕円曲線、aは放物曲線1と楕円曲線2との接続点、a′は楕円曲線2の任意の点、a″は放物曲線1の任意の点、bは楕円曲線2と楕円曲線3との接続点、b′は楕円曲線3の任意の点、L1 −L1 ′は接続点aの接線、L2 −L2 ′は接続点bの接線である。
【0037】
図1において、放物曲線1は、主軸Y−Y′を座標軸の中心とする放物曲線である。f1は主軸Y−Y′上にある放物曲線1の焦点である。2は第1焦点F1と第2焦点F2とを有する楕円曲線であり、放物曲線1の焦点f1と楕円曲線2の第1焦点F1とを一致させて、この焦点F1に光源を配置している。楕円曲線3は本実施例において図示されているが、省略してもよい。楕円曲線3を省略した場合は、放物曲線1または1′と、楕円曲線2とが接続した反射面の曲線形状になり、省略しない場合は、放物曲線1または1′と、楕円曲線2と楕円曲線3がそれぞれ接続した反射面の曲線形状になる。
楕円曲線3は、第1焦点F1と第2焦点F3とを有する楕円曲線である。
【0038】
図1において、点aは放物曲線1と楕円曲線2の接続点であり、接線L1 −L1 ′が点aに接している。接線L1-L 1′を接平面とすれば、放物曲線1と点aと接平面L1-L 1′とが為す角度を∠1aL1 またはθ1 とし、また楕円2と点aと接平面L1-L1 ′とが為す角度を∠2aL1 ′またはθ2 とする。
点bは楕円曲線2と楕円曲線3の接続点であり、接線L2 −L2 ′が点bに接している。接線L2-L 2′を接平面とすれば、楕円曲線2と点bと接平面L2-L 2′とが為す角度を∠2bL2 またはθ3 とし、また楕円3と点bと接平面L2-L2 ′とが為す角度を∠3bL2 ′またはθ4 とする。
このような形状を有する反射面の曲線形状に光源から光が放射され、かかる反射面の曲線形状で反射した光の配光特性は、次のようになる。
【0039】
放物曲線1または1′について説明すれば、放物曲線1′は放物曲線1と異なる曲率半径の円弧にすることにより、反射光の配光特性を変化させることができる。この場合、放物曲線1′の曲率半径が放物曲線1と同じ曲率半径である場合は、放物曲線1′で反射した光は主軸Y−Y′に平行に照射する。また、放物曲線1′の曲率半径が放物曲線1より大きい曲率半径である場合は、放物曲線1′で反射した光は主軸Y−Y′に対して外側に広がる光になって照射する。
【0040】
また、放物曲線1′の曲率半径が放物曲線1より小さい曲率半径である場合は、放物曲線1′で反射した光は主軸Y−Y′に収束または交差する光になって照射する。
放物曲線1は主軸Y−Y′を中心とする放物曲線であるゆえに、放物曲線1で反射した光は主軸Y−Y′に平行に照射する。
点a″は放物曲線1上にあるので、点a″で反射した光は主軸Y−Y′に平行に照射する光α″になる。
【0041】
点aは放物曲線1と楕円曲線2との接続点であり、点aにおいて放物曲線1で反射した光線は、放物曲線1の主軸Y−Y′に平行に進行し、その光軸上にある楕円曲線2の第2焦点F2を通過して進行する。点aにおいて放物曲線1も楕円曲線2も光源から出発した光を同一方向に反射させるから、点aで反射した光は主軸Y−Y′に平行に照射し、楕円曲線2の第2焦点F2を通過する光αになり、点aにおいて放物曲線1と楕円曲線2とを連続的に接続できる。
点a′は楕円曲線2上にあり、光源F1を出発し、点a′で反射した光は楕円曲線2の第2焦点F2を通過する光α′になる。
【0042】
点bは楕円曲線2と楕円曲線3との接続点であり、点bにおいて楕円曲線2と楕円曲線3とも光源から出発した光を同一方向に反射させる。したがって、点bで反射した光は、第1焦点F1と第2焦点F2とを有する楕円曲線2の第2焦点F2を通過する。
さらに、第2焦点F2を通過後、焦点F2を通過する光軸上に楕円曲線3の第2焦点F3を配置することにより、第1焦点F1と第2焦点F3とを有する楕円曲線3の第2焦点F3をも通過する光βになる。したがって、点bにおいて楕円曲線2と楕円曲線3とが連続的に接続できる。
点b′は楕円曲線3上にあり、光源F1を出発し、点b′で反射する光は楕円曲線3の第2焦点F3を通過する光β′になる。
【0043】
本発明の技術的思想は、異なる曲面形状の反射曲線の接続点を連続的に滑らかに接続することにより、光源から発した光が反射曲線で反射し、均一な照度分布を得ることが可能になるという仮説に基づくものである。例えば、反射鏡を形成する異なる曲面形状が放物曲線と楕円曲線とにより形成された反射面の曲線形状の場合には、ホリゾント壁面上に直接光により光源に近いホリゾント壁面の照度は極めて照度が高く、光源から遠くなるにつれホリゾント壁面の照度が急激に落ち込む照度急落下現象の照度分布が形成される。
【0044】
この直接光の照度分布に対して放物曲線で反射したときに形成される照度分布と楕円曲線で反射したときに形成される照度分布とがホリゾント壁面に照射され、直接光の照度分布を補償し、光の濃淡がなく連続的に同一変化率の照度で変化する照度分布がホリゾント壁面に形成されるという仮説である。
結局、ホリゾント壁面の照度分布の連続性と同一変化率の照度で変化する照度分布の滑らかさは、反射鏡の異なる反射形状の接続点の連続性、反射鏡の接続点の滑らかな勾配に依存している。このことを、以下に詳細に説明する。
【0045】
基本的反射曲線形状を、放物曲線と楕円曲線との組み合わせに決定した根拠について説明する。
図2(a)は、角度θをおいた光源と被照射面との関係を図示している。図2(a)において、光源から発生した光のうち、その光に指向性が無く、反射鏡で反射しない直接光によりホリゾント壁面が照射されるとき、一般的にはCos3 θに比例して被照明面は暗くなる。ホリゾント壁面に対して角度θを有する点光源からホリゾント壁面に均一照度を与えるためには、照度換算余弦三乗則(E=E0 Cos3 θ)を考慮する必要があることを前述したが、ホリゾント壁面の実際の照度は、極座標照度(E0)を平面配光に換算することにより、表示することができる。
以下に入射角余弦則と余弦三乗則の数値を示す。
【0046】
【表1】
Figure 0003992160
【0047】
したがって、ホリゾント壁面の実際の照度は、極座標照度(E0)よりも、角度θに依存して減少する。
そのために、ホリゾント壁面上の微小区間では、光源からの距離が離れるにつれ、および光源とホリゾント壁面との間の角度θが大きくなるにつれ、減少した照度になり、この減光したホリゾント壁面の周辺の照度を補償し、ランプの裏側に射出した光線を無駄なく利用するために光源の背後に反射鏡が必要になる。
本実施例のホリゾントライトのx軸方向の両端部には、y軸方向の曲面の断面部の一部またはy軸方向の曲面の断面部全体を遮蔽するように平板または曲面状板を装着し、さらに前記平板または前記曲面状板の内側反射面に光が反射するような表面処理を施すように形成することができる。このように反射表面処理を施した平板または曲面状板により、ホリゾント壁面の水平方向に光を散乱させることができる。
【0048】
図2(b)は、反射鏡の大きさを図示したホリゾントライトの全体寸法図である。図2(a)および図2(b)において反射鏡の反射効率は、被照明面Wに達する直接光を遮ることなく、どれだけ大きな開き角wで光線を被照明面Wに達するように構成することにより決定される。また、反射鏡は高さa、幅bの寸法上の制約も受ける。
そのため、反射鏡はその断面において光源を取り囲む2次曲面(円、楕円、放物曲線、双曲線)を基本に、あるいはその2次曲面の一部に平面(直線)を有する反射曲線形状を採用しざるを得ない。
【0049】
図3(a)はホリゾント壁面において光源から照射される直接光と反射鏡の反射面で反射した反射光との合成配光図である。図3(a)においてAは、直接光により照射される領域部分であり、Bは、反射光により照射される領域部分である。ホリゾント壁面Wにおいて、Aの領域は、光源の近地点照度は極端に高く、また光源の遠地点照度は極端に低くなる照度急落下現象を示している。また、Bの領域は、ホリゾント壁面Wの中間地点以下の地点を中心に直接光による極端な照度を示すのではなく、平均した照度の広がりを示している。理想的には、直接光のホリゾント壁面W上の照度の不均一さを完全に補完できる特性を有する反射鏡が望ましい。
【0050】
図3(b)は、角度θをおいた光源と被照射面との関係を図示した補償点の説明図てある。図3(b)において、角度θにより定まるQ点における照度をP点の照度と等しくするためには、1/Cos3 θ倍の光エネルギーが必要になり、θ=30゜の場合、Cos3 θ=0.563になり、1/Cos3 θは1.776になる。これは、P点の照度をQ点に与えるには、1.776倍の光エネルギーが必要になることが計算される。遠地点方向に指向性のある約2倍の光エネルギーをQ点に与え、広範囲にわたり補完を行うことは実際上、不可能である。
【0051】
そこで、ホリゾント壁面W上において、照度の補正が有効に作用する地点Sに、反射鏡からの光を集中させる。図3(a)において、直接光のみにより照射されるA部分と反射鏡により照射されるB部分との間の境界があまり目立たないように、つまり、A部分とB部分との間に大きな照度の落差Cが起こらないように、この地点Sを選定しなければならない。ホリゾント壁面において直接光による照度の落差を、反射鏡からの光を地点Sに集中させることによりホリゾント壁面の照度の不均一性を補完することができる。
したがって、この地点Sを補償点Sと言い換える。
【0052】
補償点Sの位置は、ホリゾント壁面Wの下部より10%ないし40%の範囲内で決定される。この範囲決定において、光線の光源からの開き角wが大きすぎるとホリゾント壁面Wの外側に光が漏れて、無駄になり、図3(a)のA部にも大量に光線が到達し、照度急落下現象を解消することができず、配光分布に変化が生じない。それゆえに、開き角wを小さくする必要があり、補償点Sを照射する反射鏡の形状は、指向性のある放物曲線を使用するのが妥当である。
【0053】
図4(a)は異なる曲率半径を有する放物曲線と楕円曲線との概略図であり、図4(a)において、光源は放物曲線の焦点fまたはその焦点付近に配置される。また、光軸a−a′を境界として焦点距離の異なる放物曲線Aおよび/または放物曲線Bを連結して用いることも可能である。
【0054】
この場合、放物曲線Aの曲率半径または放物曲線Bの曲率半径のいずれかを固定して他方の放物曲線の曲率半径を変化させたとき、放物曲線Aの曲率半径と放物曲線Bの曲率半径との差は、10mm以内が好ましい。
図4(a)において、この反射鏡の反射曲線全体を放物曲線のみで形成すると前記寸法的制約による高さa、幅bと光源と放物曲線の底との距離の最小条件により、開き角wを充分に確保するのが困難となる。そこで放物曲線Bの途中から光源を取り囲むように湾曲した曲線部Cが必要になる。
【0055】
曲線部Cに求められる特性は、放物曲線Aまたは放物曲線Bにより照射されている補償点S周辺にさらなる光を集中させ、被照明面上部との照度差を少なくすること、さらに、ある特定部分に光が偏向し、配光状態が悪化することを避けること、さらに、ホリゾント壁面Wの外側に光が散光しないようにしながら、補償点S付近に光線を集中させ、滑らかな連続した照度の変化をもたらすことにある。
【0056】
図4(b)は反射面の曲線形状に対する光の推移を時系列的に示した説明図である。図4(b)に示すように時系列的に光源Oから光線が、R0、 R1 、R2 ………Rn のようにα方向に順次発生して、反射面の曲線形状で反射されるとすると、図5(a)に反射面の曲線形状に対する光の推移方向とホリゾント壁面の光の移動方向がより詳細に示されている。α方向への光線の動きは、ホリゾント壁面W上で補償点S付近から出発するβ方向の光線の動きに対応する。
この方向の逆転を生じさせるためには、反射鏡の反射曲線と被照明面Wとの間に光線が通過する要となる交点(または交点になる領域)が存在することが必要であり、この交点は焦点になる。
したがって、この光学系を実現させるためには曲線部Cは、2つの焦点を有する2次曲線である楕円を基本とする形状を選択することが最善となる。
【0057】
図5(a)において第1焦点f1 に光源を配置した場合、曲線部Cが楕円とすれば、光源から発した光束db1 は、楕円の反射面で反射して第2焦点f2 を通過した反射光rb1 になる。すなわち、以下のように進行する。
Figure 0003992160
【0058】
このとき、光束db1 は楕円反射面C1 で反射し、光束db2 は、楕円反射面C2 で反射し、光束db3 は楕円反射面C3 で反射し、光束db4 は、楕円反射面C4 で反射し、光束db5 は楕円反射面C5 で反射する。楕円反射曲線上において反射地点の移動方向は、反射面位置C1 → 反射面位置C2 → 反射面位置C 3 → 反射面位置C4 → 反射面位置C5 に移動し、α方向(上方から下方に進行する)に進行する。また、光束db1 は第2焦点f2 を通過後、反射光rb1 になり、ホリゾント壁面上でそれぞれ反射光rb1 → 反射光rb 2 → 反射光rb 3 → 反射光rb 4 →反射光rb 5になり、同様にβ方向(下方から上方に進行する)に進行する(図5(a)参照)。
図5(b)は、光源からの光束がα方向に進行するにつれて、ホリゾント壁面W上を反射光がβ方向に移動する光の移動方向を示す、前記した説明図である。
【0059】
また、この楕円反射面Cの後に寸法上の制約の中で曲面Dを配置することも可能である。曲面Dは楕円反射面または放物反射面Eまたは双曲反射面Fを配置させることも可能であるが、放物反射面は反射鏡の末端に近い部分にのみ使用することができる。
【0060】
図6は、放物反射面Aと楕円反射面Bとの基本形に楕円反射面Cを接続したタイプと、基本形に放物反射面Eを接続したタイプとの反射光の配光特性を説明した図である。
図6(a)は、放物反射面Aと楕円反射面Bとの基本形である。
楕円反射面Bで反射した光は、楕円の第2焦点を通過した後、下部領域から上部領域に光が次第に粗になり散乱する。
図6(b)は、基本形に楕円反射面Cを接続したタイプであり、楕円反射面Bの第2焦点を通過した光束と、楕円反射面Cの第2焦点を通過した光束とが、重畳して下部領域は光が密になり、上部領域に移行するにつれて光が粗になる。
図6(c)は、基本形に放物反射面Eを接続したタイプであり、楕円反射面Bの第2焦点を通過した光束と、放物反射面Eで反射した光束とが一部重畳して下部領域は、比較的に光は密になり、上部領域は反射光がほとんど照射されていない。
【0061】
前記放物面楕円面合成反射鏡は、前述の技術思想に基づくコンピュータシミュレーションによる設計方法により為された。このコンピュータシミュレーションの基本的方針を以下に示す。
一般に、関数f(x)のx=aにおける微分係数f′(a)が存在するとき、f(x)はx=aで微分可能であり、x=aで微分可能であるならば、x=aで連続であり、さらに関数f(x)のx=aにおける左微分係数をf′- (a)、右微分係数をf′+ (a)とするとき、f′(a)が存在するならば、以下のようになる。
f′- (a)=f′+ (a)
【0062】
同様に、関数f(x)のx=bにおける微分係数f′(b)が存在するとき、f(x)はx=bで微分可能であり、x=bで微分可能であるならば、x=bで連続であり、さらに関数f(x)のx=bにおける左微分係数をf′- (b)、右微分係数をf′+ (b)とするとき、f′(b)が存在するならば、以下のようになる。
f′- (b)=f′+ (b)
したがって、上記f′- (a)=f′+ (a)は、図1に示される勾配θ1 =勾配θ2 と同義になり、また、f′- (b)=f′+ (b)は、勾配θ3 =勾配θ4 と同義になる。
【0063】
曲面の連続性について、放物線の式をy=f(x)とし、楕円の式をy=g(x)とした場合、スネルの法則、本願のそれぞれの各焦点の選び方により図1の放物線1と楕円2の接続点aにおいて、f(x)の微分係数とg(x)の微分係数とは、
f′(a)=g′(a)
が成立する。
これは、放物線で反射する光線と楕円で反射する光線とが入射光、出射光ともに同一光路を通過することを示している。
また、f(x)およびg(x)は、接続点a近傍で微分可能で連続である。
この意味は、接続点aにおいて、
f(a)=g(a)
であり、放物線1と楕円2は接続点aにおいて連続している。
【0064】
また、図1の楕円2の楕円の式をy=g(x)とし、楕円3の式をy=h(x)とした場合、図1の楕円2と楕円3との接続点bにおいて、g(x)の微分係数とh(x)の微分係数は、
g′(b)=h′(b)
となって成立する。
これは、楕円2で反射する光線と楕円3で反射する光線とが入射光、出射光ともに同一光路を通過することを示している。
また、g(x)およびh(x)は、接続点bの近傍で微分可能で連続である。
この意味は、接続点bにおいて、
g(b)=h(b)
であり、楕円2と楕円3とは、接続点bにおいて連続している。
【0065】
さらに、f(x)の導関数f′(x)がある区間で連続であるとき、f(x)は、この区間で連続微分であり、連続微分可能な関数の表す曲線は、接線の傾きが連続的に変化するので、この曲線f(x)は滑らかな曲線を描くことになる。同様に、g(x)の導関数g′(x)がある区間で連続であるとき、g(x)は、この区間で連続微分であり、連続微分可能な関数の表す曲線は、接線の傾きが連続的に変化するので、この曲線g(x)は滑らかな曲線を描くことになる。
さらに同様に、h(x)の導関数h′(x)がある区間で連続であるとき、h(x)は、この区間で連続微分であり、連続微分可能な関数の表す曲線は、接線の傾きが連続的に変化するので、この曲線h(x)は滑らかな曲線を描くことになる。上記説明は、図1の放物曲線1と楕円曲線2との接続点aおよび楕円曲線2と楕円曲線3との接続点bについて説明したが、楕円曲線2と放物曲線Eとの接続点も楕円曲線2と双曲線Fについても同様である。
【0066】
上記の技術的思想に基づいて、以下のコンピュータシミュレーションをした。前記コンピュータシミュレーションは、モンテカルロ法による光学設計ソフトウエアーを使用した。モンテカルロ法は、擬似乱数を発生させて確率論的に生ずる事象の解析を模擬したり、または決定論的な事象において確率的に表現された事象を解析する乱数の取扱技法である。モンテカルロ法の照明光学系シミュレーションは、ある面積を有する光源からインコヒーレント(非干渉性)光線を発生させ、被照射面の照度分布を求めることにある。複数の光源からの光線が合成して、光に強弱が生ずる干渉現象は、ここでは、考慮されていない。
【0067】
この光線が発生する座標S(a,b)を決定し、乱数による座標Sからの射出角度T(p,q)を決定し、一本の光線の放射に必要な4つのパラメータが決定される。このとき、乱数の分布を光源の物理的特性を反映するように、パラメータ(a,b,p,q)をそれぞれ独立に設定することができる。光源面上に光線各1本の出現確率、あるいは特定方向に進行する確率のコントロールにより、光線の指向性、発散度の不均一性等を表現することができる。
つまり、照明光学系シミュレーションに必要な光線本数を発生させ、被照射面上の微小区分に到達する光線束が計算され、照度が得られる。
【0068】
図7は、上記コンピュータシミュレイションによりプロットされた光源からの直接光の配光特性であり、図3(a)の直接光により照射される領域(A)の照度分布を示す。
【0069】
図8は、放物反射面Aからの反射光であり、放物反射面Aの主軸に光が集光しており、図3(a)の反射鏡により照射される領域(B)の照度分布を示す。
【0070】
図9は、楕円反射面Bからの反射光であり、楕円反射面Bの第2焦点を通過後、光束は密から粗になる。
【0071】
図10は、前記コンピュータシミュレーションにより演算された各反射曲線の反射光と直接光とそれらの合成光との照度分布の照度分析グラフであり、光の散乱を考慮している。図においてy軸は、watt/mm2あたりの照度エネルギーの光量%、x軸は光源からの距離であり、x軸の右側は、光源に近く、原点は、光源からの距離が離れている。各照度のピーク値は、ホリゾント壁面の高さ8m付近を示している。Y軸は正確な照度分布に比例して作図されているが、X軸は作図の困難性により比例していない。X軸は正確な照度分布に比例して作図した場合、より幅が広くなり、全体的に裾広がりの照度グラフになる。
しかしながら、X軸の照度の比例関係を省略しても何ら照度分布の説明に影響されない。
【0072】
コンピュータシミュレーションにより演算された反射曲線形状は、主軸を有する放物曲線(図中記号:ZR12PP)とこの放物曲線に接続する楕円曲線(図中記号:ZS3PP)とこの楕円曲線に接続する放物曲線(図中記号:ZS4PP)と前記楕円曲線(図中記号:ZS3PP)に接続する楕円曲線(図中記号:ZS5PP)である。さらに、光源からの直接光(図中記号:ZR0RPP)と以上の4種類の光を合成した合成光(図中記号:ZPPALL)とが示されている。
【0073】
ZR12PPは、主軸を有する放物曲線の反射光の照度分布であり、光源からの反射光エネルギーの27%が放射されており、2つの照度ピークがある。第1のピークp1は、光源からの距離が近いほど光の散乱が強く、ピークが発生する。第2のピークは、ホリゾント壁面の10%ないし40%の補償点付近のピークである。ZS3PPは、楕円曲線の反射光の照度分布であり、反射光エネルギーの68%が放射されている。
ZS4PPは、楕円曲線に接続する放物曲線の反射光の照度分布であり、反射エネルギー光の48%が放射されている。
ZS5PPは、楕円曲線に接続する楕円曲線の反射光の照度分布であり、破線で示されている。
ZR0RPPは、直接光の照度分布であり、光源の照度エネルギー光の41%が放射されている。ZPPALLは、直接光と全ての反射曲線で反射した反射光の照度分布であり、光源からの照度エネルギー光の80%が放射されている。
【0074】
このグラフから直接光の照度のピーク値が最も高く、次に主軸を有する放物曲線の反射光の照度のピーク値が高く、次に楕円の反射光の照度のピーク値が高く、次に楕円曲線に接続する放物曲線の反射光の照度のピーク値が高くなっているが、ZS4PPの放物曲線を楕円反射曲線ZS5PPにすることにより、破線に示されるカーブに照度が上昇することが判明した。また、楕円反射曲線(ZS3PP)からの光の反射エネルギーは、主軸を有する放物曲線(ZR12PP)からの光の反射エネルギーと楕円曲線に接続する放物曲線(ZS4PP)からの光の反射エネルギーとの間にあることが示されている。
【0075】
本来、光源の光量を変えずに直接光の照度分布を変えることはできない。反射曲線形状を変化させて照度分布を変化させることができる反射曲線は、放物反射曲線の形状(ZR12PP)と楕円反射曲線(ZS3PP)と放物反射曲線(ZS4PP)と楕円反射曲線(ZS5PP)のみである。
放物反射曲線(ZR12PP)は、光の散乱現象によりピークp1と補償点付近のピークp2が発生してしまう。放物反射曲線(ZR12PP)のピークp1とピークp2の谷V1 の照度を上昇させることが、図4に示される直接光と反射光との交差部分Cの光の照度を均一化する。
【0076】
かくして、放物曲線に接続して楕円曲線を形成し、この楕円曲線に接続して放物反射曲線(または楕円反射曲線)を形成した。放物曲線に接続した楕円曲線の楕円反射光(ZS3PP)は、放物反射光(ZR12PP)と放物反射光(ZS4PP)の間に照度分布を形成している。放物反射光(ZS4PP)は最も低い照度分布である。楕円曲線に接続して更に楕円反射曲線を形成したときには、楕円反射光(ZS3PP)より上部に照度分布を有する楕円反射光(ZS5PP)になる。
【0077】
この楕円反射光(ZS3PP)と放物反射光(ZS4PP)が合成して放物反射光(ZR12PP)のピークp1とピークp2との谷V1 を上昇させることになる。同様に、この楕円反射光(ZS3PP)と楕円反射光(ZS5PP)が合成して放物反射光(ZR12PP)のピークp1とピークp2との谷V1 を上昇させることになる。
このようにして、直接光と反射光との交差部分Cおよび補償点付近の照度が上昇し、ホリゾント壁面全体の照度が上昇し、かつ光の濃淡のない配光分布になることが、コンピュータシミュレーションにより具体的に実証された。
【0078】
【実施例】
図11は、本発明の実施例である。
本実施例の反射曲線形状は、放物曲線Aと放物曲線Bと楕円曲線Cと楕円曲線Dより形成されている。楕円曲線Dを放物曲線Eに変更してもよい。放物曲線Aと放物曲線Bとの接続点qおよび放物曲線Bと楕円曲線Cとの接続点r′および楕円曲線Cと楕円曲線Dとの接続点pは、それぞれ隣接する曲線と連続的に接続して限りなく滑らかに連続している。
【0079】
f1は放物曲線Bの焦点であると共に、楕円曲線Cの第1焦点F1であり、F1に光源が配置されている。光源から放射した直接光は、開口prを通過し、フィルター取付部4のフィルターを透過して散乱する。
放物曲線Aに入射した反射光は、放物曲線Aの曲率半径が放物曲線Bの曲率半径より長いので、放物曲線Bの主軸a−a′にほぼ平行ではあるが、より広角になって進行する。放物曲線Aと放物曲線Bとの接続点qで反射した反射光は、放物曲線Bの主軸a−a′の同一軸を進行する。
放物曲線Bで反射した反射光は、放物曲線Bの主軸a−a′に平行に進行する。
【0080】
放物曲線Bと楕円曲線Cとの接続点r′で反射した反射光は、放物曲線Bの焦点f1に光源が配置されているので、放物曲線Bの主軸a−a′に平行に進行し、楕円曲線Cの第2焦点F2を通過して進行する。
楕円曲線Cで反射した反射光は、楕円曲線Cの第2焦点F2を通過して進行するが、光源に近い楕円曲線Cで反射した反射光は、放物曲線Bの主軸a−a′にほぼ平行に進行し、光源に遠い楕円曲線Cで反射した反射光は、放物曲線Bの主軸a−a′を交差して広角になって進行する。
【0081】
楕円曲線Cと楕円曲線Dとの接続点pで反射した反射光は、楕円曲線Cの第2焦点F2を通過する。また、楕円曲線Cと楕円曲線Dとの接続点pで反射した反射光の延長線上に楕円曲線Dの第2焦点F3が配置されている。したがって、楕円曲線Cと楕円曲線Dとの接続点pで反射した反射光は、楕円曲線Cの第2焦点F2を通過すると共に、楕円曲線Dの第2焦点F3を通過して進行する。
楕円曲線Dで反射した反射光は、楕円曲線Dが第1焦点F1と第2焦点F3とを有する楕円であるゆえに、第2焦点F3を通過して楕円曲線Cで反射した反射光よりさらに広角になって放物曲線Bの主軸a−a′を交差して進行する。
【0082】
さらに詳述すれば、放物曲線Aで反射した反射光は、放物曲線Bの主軸a−a′にほぼ平行に放射していく。しかしながら、この光は、放物曲線Aが、放物曲線Bよりも裾広がりの形状になっているため、主軸a−a′に完全に平行ではなく、主軸a−a′より広角な反射光となる。後述するように放物曲線Aで反射した反射光は図15において光線αになる。
放物曲線Bの反射曲線に入射した反射光は、光源の近い部分からそれぞれ光束bp1、bp2、bp3、bp4、bp5、bp6として光軸a−a′に平行に反射する。後述するように放物曲線Bで反射した反射光は図15において光線βになる。
【0083】
次に、楕円曲線Cの反射曲線に入射した反射光は、光源に近い楕円曲線の反射曲線に反射した順に、それぞれ光束be1、be2、be3、be4、be5、be6、be7として楕円曲線Cの第2焦点F2を通過後、光束be1、be2、be3、be4、be5、be6、be7の順序で、連続的に反射角度が広角になって反射する。楕円曲線Cで反射した光は楕円曲線Cの第2焦点F2を通過して連続的に光が推移して、変化している。後述するように放物曲線Cで反射した反射光は図15において光線γになる。
【0084】
楕円曲線Dで反射した反射光は、楕円曲線Dの第2焦点F3を通過して光束be8、be9の順序で、楕円曲線Cの反射角度よりも反射角度が広角になって連続的に反射する。
【0085】
本発明で特に重要な点は、それぞれの曲面の接続点で反射した反射光の配光である。放物曲線Aと放物曲線Bとの接続点qで反射した反射光は、放物曲線Bの主軸a−a′と同一軸を進行する。
放物曲線Bと楕円曲線Cとの接続点r′で反射した反射光は、楕円曲線Cの第2焦点F2を通過して進行する。
楕円曲線Cと楕円曲線Dとの接続点pで反射した反射光は、楕円曲線Cの第2焦点F2を通過すると共に、楕円曲線Dの第2焦点F3を通過して進行する。
【0086】
放物曲線Aと放物曲線Bとが点qにおいて連続し、反射曲線が滑らかに連続している。また、放物曲線Bと楕円曲線Cとが点r′において連続し、反射曲線が滑らかに連続している。また、楕円曲線Cと楕円曲線Dとが点pにおいて連続し、反射曲線が滑らかに連続している。
異なる反射曲線の形状が上記のように各接続点で接続し、滑らかに連続しているので、点qを含む放物曲線Aと放物曲線Bとの反射光の配光は不自然な濃淡がなく、連続して反射する。同様に、点r′を含む放物曲線Bと楕円曲線Cとの反射光の配光は不自然な濃淡がなく、連続して反射する。
同様に、点pを含む楕円曲線Cと楕円曲線Dとの反射光の配光は不自然な濃淡がなく、連続して反射する。
さらに、ホリゾントライトの両端部の凹面曲線p,q,rを遮蔽して、半円弧状遮蔽内面に反射表面処理を施してもよい。この遮蔽反射面は、光軸に対して平行に形成してもよく、また、光軸に対してほぼ広角に広げて形成してもよく、また、光軸に対して湾曲形状に形成してもよい。
このような遮蔽反射面の平行、湾曲、広角のそれぞれの形状により、ホリゾント壁面の水平方向に光を拡散させることができる。
【0087】
図12は、図11の反射曲線の配光図である。
図12においてAは図11の放物反射曲線Aであり、Bは図11の放物反射曲線Bであり、Cは図11の楕円反射曲線Cであり、Dは図11の楕円反射曲線Dである。A曲線で反射した光は放物主軸にほぼ平行に進行し、B曲線で反射した光は放物主軸に平行に進行し、C曲線で反射した光は楕円曲線の第2焦点F2を通過して、特に放物曲線Bに近い楕円反射曲線C1 で反射した光は、主軸にほぼ平行に進行し、放物曲線Bに遠い楕円反射曲線C2 で反射した光は、主軸を横断して大きな角度で反射し、D曲線で反射した反射光は楕円曲線Dの第2焦点F3を通過して進行する。
【0088】
図13は本発明のアッパーホリゾントライトの照度分布データである。
このアッパーホリゾントライトの反射面形状は、放物面+放物面+楕円面+放物面の組み合わせで形成されている。放物面+放物面+楕円面の組み合わせで形成された反射面の照度分布は、破線で示され、放物面+放物面+楕円面+放物面の組み合わせで形成された反射面の照度分布は、実線で示されている。破線の照度分布は、ホリゾント壁面の高さ8mに約2,400ルックスの照度分布のピークがあり、ホリゾント壁面の高さ7m以上の部分は、2,000ルックスから3,000ルックスの照度分布の範囲にあり、また、ホリゾント壁面の高さが4m以上7m以下の部分は、1,000ルックスから2,000ルックスの照度分布の範囲にあり、また、床からホリゾント壁面の高さ4mの部分は、1,000ルックス以下の照度分布になっている。
【0089】
実線の照度分布は、ホリゾント壁面の高さ9mに約2,600ルックスの照度分布のピークがあり、ホリゾント壁面の高さ7m以下は、破線の照度分布とほぼ同様である。ここで注目すべきことは、楕円反射面の下部に放物反射面を接続したことにより、照度分布が上方向にシフトしていることである。そして、この両照度分布の曲線で囲まれた領域が、光がシフトした変化量を示している。
【0090】
図14は本発明の他のアッパーホリゾントライトの照度データである。
このアッパーホリゾントライトの反射面形状は、放物面+放物面+楕円面+楕円面の組み合わせで形成されている。放物面+放物面+楕円面の組み合わせで形成された反射面の照度分布は、破線で示され、放物面+放物面+楕円面+楕円面の組み合わせで形成された反射面の照度分布は、実線で示されている。破線の照度分布は、ホリゾント壁面の高さ8mに約2,400ルックスの照度のピークがあり、ホリゾント壁面の高さ7m以上の部分は、2,000ルックスから3,000ルックスの照度の範囲にあり、また、ホリゾントの高さが4.5m以上7m以下の部分は、1,000ルックスから2,000ルックスの照度の範囲にあり、また、床からホリゾント壁面の高さ4.5mの部分は、1,000ルックス以下の照度になっている。
【0091】
実線の照度分布は、ホリゾント壁面の高さ8.5mに約2,700ルックスの照度分布のピークがあり、ホリゾント壁面の高さ7m以下は、破線の照度分布とほぼ同様である。ここで注目すべきことは、楕円反射面の下部に楕円反射面を接続したことにより、照度分布が上方向にシフトしていることである。そして、この両照度分布の曲線で囲まれた領域が、光がシフトした変化量を示している。
図13と図14との照度分布を比較すると、図13の楕円反射面に放物反射面を接続した反射面は、ホリゾント壁面の高さ9mに約2,600ルックスのピークが示され、他方、図14の楕円反射面に楕円反射面を接続した反射面は、ホリゾント壁面の高さ8.5mに約2,700ルックスのピークが示されている。
この事実から、楕円反射面に楕円反射面を接続した反射面の方が、楕円反射面に放物反射面を接続した反射面よりも照度が強くなることが判明した。
【0092】
楕円反射曲線に接続して楕円反射曲線D(または放物反射曲線E)を配設した反射曲線形状の配光特性は、ホリゾント壁面の床からの高さ10%から40%の間の補償点に、アッパーホリゾントライトの主軸方向を向け、ロアーホリゾントライトの主軸方向を補償点に向けて、アッパーホリゾントライトの補償点とロアーホリゾントライトの補償点を重畳することにより、照度が均一化してくる。
さらに、楕円反射曲線Dの反射光の配光特性は、補償点上部の照度を均一的に上昇させる。放物反射曲線Eの反射光の配光特性は、補償点上部の照度を部分的に指向性のある照度に上昇させる。
【0093】
図15においてホリゾント壁面の高さは10mであるが、各TVスタジオにより、ホリゾント壁面の高さに違いがあるため、補償点を、ホリゾント壁面の床から10%ないし40%の範囲に設定した。
【0094】
そして、アッパーホリゾントライトの補償点とこの補償点に重畳したロアーホリゾントライトの補償点とをホリゾント壁面の床から10%から40%の高さに補償点を上昇移動させることにより、アッパーホリゾントライトの近地点に形成される最高照度ピークと補償点以上のホリゾント壁面の全体照度エネルギー分布とが増加し、さらに、補償点以下のホリゾント壁面の全体照度エネルギー分布が減少する。
【0095】
また、補償点を40%の高さから10%の高さに下降移動させることにより、ロアーホリゾントライトの近地点に形成される最高照度ピークが増加し、補償点以下のホリゾント壁面の全体照度エネルギー分布とが増加し、さらに、補償点以上のホリゾント壁面の全体照度エネルギー分布が減少する。この現象を利用して、ホリゾント壁面の全体照度エネルギー分布を選択的に制御可能であり、照度エネルギー分布を任意に変更することができる。
【0096】
図15は、本発明のアッパーホリゾントライトと本発明のロアーホリゾントライトとを使用してホリゾント壁面に照射した光軸追跡図である。図16においてUHはアッパーホリゾントライトを示しており、LHはロアーホリゾントライトを示している。
図15のアッパーホリゾントライト(UH)を説明する。図12の放物曲線Aの部分から反射した反射光は、図15の光束αになり、ホリゾント壁面に照射される。図12の放物曲線Bの部分から反射した反射光は、図15の光束βになり、ホリゾント壁面に照射される。図12の楕円曲線Cの部分から反射した反射光は、図15の破線で示す光束γになり、ホリゾント壁面に照射される。
【0097】
図12の楕円曲線Dの部分から反射した反射光は、図15の破線で示す光束γの範囲を含み、さらに補償点より上方向を照射する。
図12の楕円曲線Dまたは放物曲線Eの部分から反射した反射光は、図15の破線で示す光束γの範囲を含み、さらに補償点より上方向を照射するが、図10で示されるZS3PPまたはZS4PPのように光の指向性が強くなり、特に、放物曲線Eにおいて補償点含め補償点上方向の全体照度は、楕円曲線Dにより反射される照度エネルギーよりも低下する傾向になる(図13および図14参照)。
【0098】
ロアーホリゾントライトは、アッパーホリゾントライトを逆向きにして、下方から上方を照射したものであり、放物曲線Aに相当する部分はA′と、放物曲線Bに相当する部分はB′と、放物曲線Cに相当する部分はC′と楕円曲線Dに相当する部分はD′と放物曲線Eに相当する部分はE′になる(図示せず)。
【0099】
図15のロアーホリゾントライト(LH)を説明する。図12の放物曲線A′の部分から反射した反射光は、図15の光束α′になり、ホリゾント壁面に照射される。図12の放物曲線B′の部分から反射した反射光は、図15の光束β′になり、ホリゾント壁面に照射される。図12の楕円曲線C′の部分から反射した反射光は、図15の破線で示す光束γ′になり、ホリゾント壁面に照射される。楕円曲線C′に楕円曲線を接続した場合にも、前記したと同様な配光特性を示、この楕円曲線D′により補償点以下の全体照度が増加する。楕円曲線D′の代わりに放物曲線E′を接続したときには、光の指向性が強化され、補償点以下の全体照度が楕円曲線D′よりも低下する。
【0100】
従来のホリゾントライトのホリゾント壁面光軸追跡図である図22を参照すれば、従来のアッパーホリゾントライトの放物曲線により反射した光は、ホリゾント壁面の高さ5.5mの位置までにしか到達していない。また、従来のロアーホリゾントライトの放物曲線により反射した光は、ホリゾント壁面の高さ2.0mの位置までにしか到達していない。ホリゾント壁面の高さ1.0m未満の地点から2.0mの位置までの範囲と、ホリゾント壁面の高さ2.0mから5.5m付近の位置までの範囲と、ホリゾント壁面の高さ5.5m付近から8.5mの位置までの範囲のそれぞれの領域は、何ら反射光が到達していない部分である。
【0101】
図15で示す本発明のホリゾント壁面の光軸追跡図において、アッパーホリゾントライトの放物曲線A(図12参照)により反射した光束αは、ホリゾント壁面の高さ3.0mの位置までに到達している。また、アッパーホリゾントライトの放物曲線B(図12参照)により反射した光束βは、ホリゾント壁面の高さ1.0mの位置までも到達している。ホリゾント壁面の高さ1.0mの位置からホリゾント壁面の高さ3.0mの位置までの範囲は光束αおよび/または光束βにより照射されている。楕円反射曲線C(図12参照)で反射した光γは、ホリゾント壁面の高さ3.0mの位置からホリゾント壁面の高さ8.5m付近の位置までの範囲を照射している。
【0102】
また、ロアーホリゾントライトの放物曲線A′により反射した光束α′は、ホリゾント壁面の高さ3.0mの位置までに到達している。また、ロアーホリゾントライトの放物曲線B′により反射した光束β′は、ホリゾント壁面の高さ4.0mの位置までに到達している。ホリゾント壁面の高さ3.0mの位置からホリゾント壁面の高さ4.0mの位置までの範囲は光束α′および/または光束β′により照射されている。楕円反射曲線C′で反射した光γ′は、ホリゾント壁面の高さ1.0m未満の位置からホリゾント壁面の高さ3.0m付近の位置までの範囲を照射している。
【0103】
楕円反射曲線C′に接続する楕円反射曲線D′の反射光は、補償点を含めて補償点の下方向の全体照度を増加する。
アッパーホリゾントライトの放物曲線から放射された反射光とロアーホリゾントライトの放物曲線から放射された反射光とは、ホリゾント壁面において重なり合っている。
【0104】
つまり、光は、距離の2乗に反比例して光の強度が減衰するので、光源から遠い部分を照射する光は、極端に照度が弱まっている。したがって、光が減衰している遠地点の領域に強い光を放射できるように、ホリゾントライトの反射曲線形状を遠地点に光が到達できるように配光を変えることができる。
【0105】
さらに、ホリゾント壁面において、アッパーホリゾントライトまたはロアーホリゾントライトから放射し、遠地点に到達した減衰した光をさらに、補償するために、アッパーホリゾントライトおよび/またはロアーホリゾントライトの放物曲線で反射した光束α(またはα′)および/または光束β(またはβ′)並びに、ロアーホリゾントライトの楕円曲線で反射した光束γ(またはγ′)を加えて、ホリゾント壁面の高さ1mないし4mに重ね合わせ、ホリゾント壁面においてホリゾント壁面の高さ1mないし4mの領域の照度を補強することができる。
【0106】
さらに、ホリゾント壁面上の補償点の位置を床から10%ないし40%の範囲を上昇させることにより、アッパーホリゾントライトの近地点に発生する最高照度のピークを上昇させ、補償点以上の照度分布を増加させ、補償点以下の照度分布を減少させることができる。
【0107】
さらに、ホリゾント壁面上の補償点の位置を40%ないし10%の範囲を下降させることにより、ロアーホリゾントライトの近地点に発生する最高照度のピークを上昇させ、補償点以下の照度分布を増加させ、補償点以上の照度分布を減少させることができる。
【0108】
上記した補償点の位置の上昇移動、下降移動により、ホリゾント壁面上の照度分布を制御することが可能になる。
【0109】
【発明の効果】
本発明によれば、単一の反射面を有する反射鏡を形成する複数の異なる曲面形状の反射曲線を連続的に滑らかに接続すること;つまり、反射鏡の形状を、異なる反射曲線形状の接続点の連続性と反射鏡の接続点を滑らかな勾配にする設計方法により、光源からの直接光と反射面からの反射光が、重畳されて均一な照度分布を得ること;が可能になる。
【0110】
例えば、反射鏡を形成する異なる曲面形状が放物曲線と楕円曲線とにより形成された反射曲線の場合には、直接光の照度分布に対して、放物曲線で反射したときに形成される照度分布と楕円曲線で反射したときに形成される照度分布とがホリゾント壁面の全体的照度分布を、適切に補償して、光の濃淡がなく連続的に同一変化率の照度で変化する照度分布に形成される。
【0111】
それゆえに、ホリゾント壁面の照度分布の連続性、同一変化率の照度で変化する照度分布の滑らかさは、反射鏡の異なる反射形状の接続点の連続性、反射鏡の接続点の滑らかな勾配に依存している。かかる反射曲線形状の設計方法により、ホリゾント壁面において基本照明光として適切な均一かつ高い照度分布の配光特性をもたらすことができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるホリゾントライトの反射曲線形状の基本断面図の設計概念図である。
【図2】(a)本発明による光源と被照射面との関係図である。
(b)本発明によるホリゾントライトの全体寸法図である。
【図3】(a)本発明による直射光と反射光との合成配光図である。
(b)本発明による補償点の説明図である。
【図4】(a)本発明による異なる曲率半径を有する放物曲線と楕円曲線との概略図である。
(b)本発明による反射曲線形状に対する光の推移を時系列的に示した説明図である。
【図5】(a)本発明による反射曲線形状に対する光の推移方向とホリゾント壁面の光の移動方向を示す説明図である。
(b)本発明による補償点Sとホリゾント壁面上を移動する光の移動方向を示す説明図である。
【図6】(a)放物反射面と楕円反射面とにより形成された基本形の反射光の配光説明図である。
(b)基本形に楕円反射面を接続させた反射光の配光説明図である。
(c)基本形に放物反射面を接続させた反射光の配光説明図である。
【図7】コンピュータシミュレーションによる直接光の配光図である。
【図8】コンピュータシミュレーションによる放物面の反射光の配光図である。
【図9】コンピュータシミュレーションによる楕円面の反射光の配光図である。
【図10】本発明によるコンピュータシミュレーションにより演算され、プロットされた各反射曲線の反射光と直接光とそれらの合成光とのそれぞれの照度分布グラフである。
【図11】本発明による実施例である。
【図12】本発明による実施例の反射曲線の配光図である。
【図13】アッパーホリゾントライト(放物反射面+放物反射面+楕円反射面)と本発明のアッパーホリゾントライト(放物反射面+放物反射面+楕円反射面+放物反射面)との比較照度分布図である。
【図14】アッパーホリゾントライト(放物反射面+放物反射面+楕円反射面)と本発明のアッパーホリゾントライト(放物反射面+放物反射面+楕円反射面+楕円反射面)との比較照度分布図である。
【図15】本発明によるアッパーホリゾントライトとロアーホリゾントライトの合成照度分布図である。
【図16】従来の反射鏡(楕円と楕円と楕円)の概略図である。
【図17】従来の反射鏡(放物曲線と直線)の配光図である。
【図18】従来の反射鏡(放物曲線と放物曲線)の配光図である。
【図19】従来のアッパーホリゾントライトの照度分布データである。
【図20】従来のロアーホリゾントライトの照度分布データである。
【図21】従来のアッパーホリゾントライトと従来のロアーホリゾントライトとの合成照度分布データである。
【図22】図21のホリゾント壁面光軸追跡図である。
【符号の説明】
1 放物曲線
1′ 1と異なるまたは同一の曲率半径を有する他の放物曲線
2 楕円曲線
3 他の楕円曲線
a 放物曲線1と楕円曲線2との接続点
b 楕円曲線2と楕円曲線3との接続点

Claims (1)

  1. 光軸に対して直角のx軸方向の主要部分が実質的に直線状態に延び、前記x軸に対して垂直なy軸方向の断面が凹面曲線状態を呈し、前記凹面内側に反射鏡面が形成される反射鏡と光源とを含む、少なくとも1個のアッパーホリゾントライトと少なくとも1個のロアーホリゾントライトとを組み合わせ、
    前記反射鏡からの光が集中する箇所であるアッパーホリゾントライトの補償点をホリゾント壁面の床から10%ないし40%の高さに設定させ、前記反射鏡からの光が集中する箇所であるロアーホリゾントライトの補償点をホリゾント壁面の床から10%ないし40%の高さに重畳させ、ホリゾントライトの直接光の照度とホリゾントライトの反射光の照度との照度差を均一化すること、
    補償点を10%の高さから40%の高さに上昇移動させることにより、アッパーホリゾントライトの近地点に形成される最高照度ピークと補償点以上のホリゾント壁面の全体照度エネルギー分布とを増大させ、補償点以下のホリゾント壁面の全体照度エネルギー分布を減少させること、
    補償点を40%の高さから10%の高さに下降移動させることにより、ロアーホリゾントライトの近地点に形成される最高照度ピークと補償点以下のホリゾント壁面の全体照度エネルギー分布とを増大させ、補償点以上のホリゾント壁面の全体照度エネルギー分布を減少させること、を利用してホリゾント壁面の全体照度エネルギー分布を選択的に制御することを特徴とするホリゾントライトの照度制御方法であり、
    前記アッパーホリゾントライトと前記ロアーホリゾントライトとの前記反射鏡の前記凹面曲線は、放物曲線と楕円曲線とが連続するように形成され、
    前記放物曲線は、前記光源から発せられた光線の開き角を小さくするための指向性を有し、
    前記楕円曲線は、第1焦点と第2焦点とを有し、
    前記放物曲線の焦点と前記第2焦点とを同一光軸上に配置し、
    前記アッパーホリゾントライトと前記ロアーホリゾントライトとの前記光源を前記第1焦点に配置したことを特徴とする照度制御方法。
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