JP3991667B2 - 硬化性組成物、硬化方法および硬化物 - Google Patents

硬化性組成物、硬化方法および硬化物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料、コーティング剤、シート状材料、封止材、接着剤、成形材料および注型材料などの材料として有用な、耐熱性、耐薬品性、電気特性などに優れた硬化物およびこの組成物並びに硬化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は一般に硬化剤と組み合わせてエポキシ樹脂組成物として使用されており、電気・電子材料関係の分野においても、該組成物が賞用されてきた。しかしながら、近年の電気・電子材料分野の発展に伴い、エポキシ樹脂硬化物にも高度の性能が要求されるようになっており、硬度および耐熱性の向上が望まれている。このような問題点を改良する方法として、水酸基およびオキセタニル基を有する化合物とアルコキシシラン類とから得られるシラン変成オリゴマー、エポキシ化合物および光カチオン重合開始剤からなる光硬化性組成物が提案されている(特願2000−164908)。しかしながら、開示されている熱硬化性組成物を硬化条件に従って硬化した光硬化物について、硬度および耐熱性の更なる性能向上が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、前記の問題を解決し、塗料、コーティング剤、シート状材料、封止材、接着剤、成形材料および注型材料などの材料として有用な硬度および耐熱性に優れた性能の硬化物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記従来技術の欠点を解消すべく鋭意研究を重ねた結果、シラン変成オリゴマー(A)および特定のアニオンを有する光カチオン重合開始剤(B)および/またはカチオン開環重合性基を有する化合物(C)を配合してなる光硬化性組成物を用いること、および当該硬化物を加熱して二次硬化を行うことによって、上記従来技術の諸欠点が解消され、目的が達成されることを見出した。本発明は、かかる新たな知見に基づき完成されたものである。
【0005】
すなわち、水酸基およびオキセタニル基を有する化合物とポリ(テトラアルコキシシラン)とから得られるシラン変成オリゴマー(A)およびアニオンとしてSbF6 -、AsF6 -またはB(C654 -を有する光カチオン重合開始剤(B)を含有することを特徴とする光硬化性組成物であり、当該光硬化性組成物にカチオン開環重合性基を有する化合物(C)が添加されていてもよいものである。このカチオン開環重合性基を有する化合物(C)は脂環式エポキシ化合物であり、これに2個のオキセタニル基を有する脂肪族化合物を含んでいても良いことを特徴とするものである。
本発明は、光硬化性組成物を光照射により硬化させたものであり、当該硬化物を更に80〜300℃の温度に加熱することを特徴とするものであり、これらの硬化物に関するものである。
以下、本発明について、更に詳しく説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】
1.シラン変成オリゴマー(A)
本発明の光硬化性組成物中のシラン変成オリゴマー(A)は、水酸基およびオキセタニル基を有する化合物とポリ(テトラアルコキシシラン)との脱アルコール縮合反応により得られる。当該シラン変成オリゴマー(A)は、カチオンによりオキセタニル基が開環して重合するものである。このシラン変成オリゴマー(A)をA成分と称することもある。
【0007】
水酸基およびオキセタニル基を有する化合物は、下記一般式(1)に記載のものである。
【0008】
【化2】
Figure 0003991667
【0009】
式(1)中、R1は水素原子または低級アルキル基であり、メチルまたはエチル基が好ましい。2およびR3はそれぞれ水素原子または置換基を有していてもよい低級アルキル基であり、この置換されたものとしてはクロロメチル、3−クロロプロピルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルなどのような炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基並びに3−シアノプロピルなどのような炭素数2〜4のシアノアルキル基などの置換アルキル基などであり、これらはそれぞれ異なっていても良い。4は水素原子または水酸基を含有する炭素数1〜18個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基でる。Xはメチレンまたは酸素原子である。
【0010】
この具体的な例として、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンおよび3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどがある。
【0011】
ポリ(テトラアルコキシシラン)は、テトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物である。
【0015】
ポリ(テトラアルコキシシラン)の原料テトラアルコキシシラの具体的な例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどが挙げられる。
【0016】
ポリ(テトラアルコキシシラン)の具体的な例として、テトラメトキシシランあるいはテトラエトキシシランの部分縮合物であるポリ(テトラメトキシシラン)あるいはポリ(テトラエトキシシラン)などが好ましく、当該ポリ(テトラアルコキシシラン)の数平均分子量は260〜1200程度のものが好ましい。
【0017】
本発明の光硬化性組成物中のシラン変性オリゴマー(A)は、上記にそれぞれ例示した水酸基およびオキセタニル基を有する化合物とポリ(テトラアルコキシシラン)とを脱アルコール縮合反応により得られる。この脱アルコール縮合反応の反応温度は50〜250℃程度、好ましくは80〜200℃であり、反応時間は用いる化合物により異なるが、1〜15時間程度である。この脱アルコール縮合反応は、ポリ(テトラアルコキシシラン)の重縮合反応を防止するため、実質的に無水条件下で行うのが好ましい。また、上記の脱アルコール縮合反応は無触媒で行うことが好ましいが、反応促進のため、従来この反応に用いられている触媒でオキセタンを開環しないものを使用することができる。具体的な当該触媒の例としては、ジブチル錫ジラウレートおよびオクチル酸錫などが挙げられる。
【0018】
本発明で用いられるシラン変性オリゴマー(A)は、下記一般式(2)のものを挙げることもできるが、水酸基およびオキセタニル基を有する化合物とポリ(テトラアルコキシシラン)とから得られるものであれば、これに限定されるものではない。また、本発明で用いられるシラン変性オリゴマー(A)は、複数種のものを混合して使用することもできる。
【0019】
【化3】
Figure 0003991667
【0020】
(2)中、Xは下記式(3)であり、Yは低級アルコキシであり、qは0、1または2であり、mは0〜3の整数であり、nは0〜10の整数である。
【0021】
【化4】
Figure 0003991667
【0022】
(3)中、R1は水素原子または低級アルキル基などであり、メチルまたはエチル基が好ましく、R2およびR3はそれぞれ水素原子または置換基を有していてもよい低級アルキル基などであり、この置換されたものとしてはクロロメチル、3−クロロプロピルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルなどのような炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基並びに3−シアノプロピルなどのような炭素数2〜4のシアノアルキル基などの置換アルキル基などであり、これらはそれぞれ異なっていても同一でも良い。
【0023】
2.光カチオン重合開始剤(B)
光カチオン重合開始剤(B)としては、光が照射されて活性化され開環重合性基の開環を誘発し得る光カチオン重合開始剤のうち、アニオンとしてSbF6 -、AsF6 -またはB(C654 -などを有するオニウム塩が使用できる。
【0024】
例えば、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩およびヨードニウム塩などのオニウム塩類が例示される。具体的な例としては、オプトマーSP−170およびオプトマーSP−172(共に商品名、旭電化工業(株)製)、UV9380C(商品名、GE東芝シリコーン社製)、ロードシル2074(商品名、ローディア社製)などを利用することができる。また、特開平9−118663に開示されているナフチル基を有するスルフォニウム塩も使用できる。
【0025】
当該光カチオン重合開始剤(B)は、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩およびヨードニウム塩などのオニウム塩のアニオンとしてSbF6 -、AsF6 -またはB(C654 -などを有しているものである。このアニオンとしてはSbF6 -が好ましく、またAsF6 -またはB(C654 -なども好ましいものである。当該光カチオン重合開始剤(B)は、複数種のオニウム塩を混合して使用することも、一般に使用されている光増感剤を併用することもできる。当該光カチオン重合開始剤(B)は、B成分と称することもある。
【0026】
光カチオン重合開始剤(B)の配合割合は、A成分100重量部に対し、0.01〜5重量部の範囲とすることが好ましい。この配合割合が0.01重量部未満の場合には、光を照射して活性化しても、開環重合性基の開環反応を十分に進行させることができないことがある。また、5重量部を超えて配合したとしても、重合を進行する作用はそれ以上高まらず、逆に硬化性が低下することがある。
【0027】
3.カチオン重合性基を有する化合物(C)
本発明の光硬化性組成物は、シラン変性オリゴマー(A)および特定の光カチオン重合開始剤(B)を含有するものであるが、シラン変性オリゴマー(A)以外のカチオン開環重合性基を有する化合物(C)を添加したものでもよい。
【0028】
カチオン開環重合性基を有する化合物(C)としては、一般にエポキシ化合物とされている三員環性の環状エーテル基(エポキシ基)を有する化合物であり、ビスフェノール型エポキシ化合物、オルソクレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物などのノボラック型エポキシ化合物など;フタル酸、ダイマー酸などの多塩基酸類とエピクロロヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエステル型エポキシ化合物など;オレフィン結合を過酢酸などの過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ化合物および脂環式エポキシ化合物などを用いることができる。
【0029】
また、四員環性の環状エーテル基を有する化合物、即ち分子中にオキセタン環(オキセタニル基)を有する化合物(オキセタン化合物)、すなわちオキセタニル基を1個有する脂肪族化合物、オキセタニル基を2個有する脂肪族化合物およびオキセタニル基を複数個有する脂肪族化合物などを上記エポキシ化合物に添加しても良い。
【0030】
カチオン開環重合性基を有する化合物(C)は、三員環性、四員環性などの環状エーテル基であるカチオン開環重合性基を有しシラン変性オリゴマー(A)以外のものであれば上記に記載したものに限定されることなく上記エポキシ化合物に添加して使用することができる。もちろんこれらを併用することもできる。
【0031】
カチオン開環重合性基を有する化合物(C)の使用量は特に制限はないが、シラン変性オリゴマー(A)100重量部を基準として、0.1〜1000重量部であることが好ましい。このカチオン開環重合性基を有する化合物(C)は、C成分と称することもある。
【0032】
C成分の例として、オレフィン結合を過酢酸などの過酸で酸化して得られる脂環式エポキシ化合物などが好ましく、分子中にエポキシ基が2個有する脂環式エポキシ化合物などが特に好ましいものである。
【0033】
具体的な好ましいC成分は二官能脂環式エポキシ化合物であり、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名UVR−6110、ユニオンカーバイド社製)などを挙げることができる。また、一分子中に2個のオキセタニル基を有する脂肪族オキセタン化合物であるビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(商品名DOX、東亞合成製)などもC成分の具体例として挙げることができる。
【0034】
4.任意成分
本発明の光硬化性組成物には、必要に応じて次の成分を添加配合することができる。
(1)粉末状の補強剤や充填剤、例えば酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩、ケイソウ土粉、塩基性ケイ酸マグネシウム、焼成クレイ、微粉末シリカ、溶融シリカ、結晶シリカなどのケイ素化合物、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、その他、カオリン、マイカ、石英粉末、グラファイト、二硫化モリブデンなど、さらに繊維質の補強剤や充填剤、たとえばガラス繊維、セラミック繊維、カーボンファイバー、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、ボロン繊維、ポリエステル繊維およびポリアミド繊維などである。これらは本発明の光硬化性組成物100重量部に対して、10〜900重量部配合されることがある。
【0035】
(2)着色剤、顔料、難燃剤、例えば二酸化チタン、鉄黒、モリブデン赤、紺青、群青、カドミウム黄、カドミウム赤、三酸化アンチモン、赤燐、ブロム化合物およびトリフェニルホスフェイトなどである。これらは本発明の光硬化性組成物100重量部に対して、0.1〜20重量部配合されることがある。
【0036】
(3)さらに、接着層、成形品などにおける樹脂の性質を改善する目的で種々の合成樹脂を配合することもできる。例えば、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂などを1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。これら樹脂類の配合割合は、例えば本発明の樹脂組成物の本来の性質を損なわない範囲の量、すなわち本発明の組成物100重量部に対して、50重量部以下が好ましい。
【0037】
本発明の光硬化性組成物の、または当該組成物と任意成分との配合手段としては、加熱溶融混合、ロール、ニーダーによる溶融混練、適当な有機溶剤を用いての湿式混合および乾式混合などが挙げられる。
【0038】
5.硬化方法
本発明の光硬化性組成物を硬化させるときに用いる光源としては特に限定されるものではないが、波長400nm以下に発光分布を有する、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯およびメタルハライドランプなどが挙げられる。当該組成物への光照射の強度は、目的とする製品毎に制御されるものであって特に限定されるものではないが、光カチオン重合開始剤(B)の活性化に有効な光波長領域(光重合開始剤によって異なるが、通常250〜420nmの光が用いられる)の光照射強度が0.1〜100mW/cm2であることが好ましい。当該組成物への光照射の強度が0.1mW/cm2未満であると反応時間が長くなり過ぎ、100mW/cm2を超えるとランプから輻射される熱および組成物の重合時の発熱により、得られる硬化物が黄変あるいは支持体の劣化を生じる恐れがある。
【0039】
本発明の光硬化性組成物への光照射の時間は、目的とする製品毎に制御されるものであって特に限定されるものではないが、前記光波長領域での光照射強度と光照射時間との積として表される積算光量が10〜5,000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。当該組成物への積算光量が10mJ/cm2未満であると光カチオン重合開始剤(B)から発生する活性種の量が十分でなく、得られる硬化物の硬度および耐熱性が低下するおそれがある。当該組成物への積算光量が5,000mJ/cm2を超えると、このための照射時間が非常に長時間必要となり、生産性向上のためには不利なものとなる。
【0040】
本発明では更に加熱により二次硬化を行うことができる。当該硬化は、光硬化後の硬化物を80〜300℃の間の温度に、好ましくは120〜250℃の間の温度に加熱して実施され、この加熱は、一般に知られた方法を適応することができ、昇温などの加熱条件などは製品毎に制御されるものであって特に限定されるものではない。例えば、二次硬化のための加熱時間は、製品により異なるが1〜300分間とすることが好ましい。
【0041】
6.作用
本発明の光硬化性組成物から硬度および耐熱性に優れた硬化物が製造できる。一般に光カチオン組成物の光硬化において、更に硬化処理を行うことは公知であるが、本発明で開示したような二次硬化での硬化物の硬度および耐熱性の向上は、今まで知られている二次硬化のメカニズムでは説明が困難である。
【0042】
本発明において使用されているシラン変性オリゴマー分子(A)中に存在する炭素−酸素−ケイ素結合が特定のアニオンを有している光カチオン重合開始剤(B)から紫外線などの活性エネルギー線照射により生じたカチオンにより開裂し、シラノールを生成し、引き続いての加熱により、無機成分であるシリカが形成していると考えている。即ち、本発明の光硬化性組成物の二次硬化においては、当該組成物の一次硬化の際に発生したカチオンにより光硬化物中のシリケートから無機ユニットが生成することにより、硬度および耐熱性の向上が行われるものと推定している。
【0043】
【実施例】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。なお、各例中の部は重量部を意味する。
【0044】
<製造例1> シラン変成オリゴマー(A)
攪拌機、温度計および蒸留装置を取り付けた300mLの四つ口ガラスフラスコに、3―エチル―3−(ヒドロキシメチル)オキセタン(東亞合成(株)製、商品名アロンオキセタンOXT−101)100.0g(0.86モル)、テトラメトキシシランオリゴマー[三菱化学(株)製、商品名MKCシリケート MS51]30gを仕込み、80〜150℃にオイルバスで加熱攪拌し、メタノールを溜出させながら5時間反応させた。さらに減圧下にオキセタンアルコールを溜去しながら150℃で2時間加熱した。最終生成物の収量は53gであった。
1H−NMRで測定したオキセタニル基とメトキシ基のモル比は、98:2であった。
【0046】
<実施例1、2および比較例1〜3>
製造例1により合成したシラン変成オリゴマー(A成分)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ユニオンカーバイド社製、商品名UVR−6110、C成分)、および、ジアリルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(GE東芝シリコーン社製、商品名UV9380C、B成分)あるいはテトラアリルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート(ユニオンカーバイド社製、商品名UVI−6990)を表1に示した配合比で量り取り、これを均一になるように室温で充分攪拌混合した後、減圧脱泡して製造例1、2および比較例1〜3の組成物を調製した。
【0047】
次いで、上記組成物をバーコーターにて亜燐酸処理鋼板上に約5ミクロンの膜厚で塗布し、120W/cmの高圧水銀灯(ランプ高さ10cm)にて、コンベアスピード10m/分で2回紫外線照射することにより、一次硬化を行った。
また、これらの硬化物を約200℃のオーブン中で1時間加熱して、二次硬化を行った。
【0048】
上記実施例1、2および比較例1〜3の評価結果を表2に、二次硬化処理を行った硬化物の評価結果を表3に示した。なお、評価は以下に示した方法で行った。
○密着性:日本工業規格JIS K−5400に従い、硬化塗膜と基板との密着性の評価を碁盤目試験により行った。
○塗膜状態:硬化塗膜の表面状態を目視により評価した。
異常なし:○
割れ有り:×
○鉛筆硬度:JIS D−0202に従い、硬化塗膜の鉛筆硬度の測定を行った。
【0049】
【表1】
Figure 0003991667
【0050】
【表2】
Figure 0003991667
【0051】
【表3】
Figure 0003991667
【0052】
<実施例5および比較例7>
上記の実施例1および比較例3に用いた組成物(各成分の配合比率は、表1に記載)をテフロン(登録商標)製の型に流し込み(厚さ1mm)、高圧水銀灯で20mW/cm2の光強度で1分間光照射することにより一次硬化を行い、その後、約200℃のオーブン中で1時間二次硬化を行った。得られた硬化物の粘弾性特性を下記の方法により測定し、粘弾性スペクトルを図1に示した。
○粘弾性測定:JIS K7198に従い、厚さ1mmの硬化物をセイコーインスツルメント社製のDMS−6100型動的粘弾性測定装置を用いて10Hzの周波数において引っ張り振動モードにて測定した。
【0053】
表2に示したように、実施例1および2の硬化塗膜は、密着性、塗膜状態ともに良好であり、鉛筆硬度は比較例に比べ高いものであった。なお、A成分を含有しない、あるいは、アニオン残基の異なる光カチオン重合開始剤を用いた比較例1〜3の組成物における硬化物の鉛筆硬度は実施例に比べ低いものであった。
【0054】
表1で示した組成物の光硬化物を約200℃で二次硬化を行った場合、表3に示した実施例3,4のように密着性を維持しながら硬度はさらに向上した。しかし、比較例4〜6の組成物では、加熱により大きな改善は見られなかった。
【0055】
また、粘弾性スペクトルである図1から明らかなように、実施例5の硬化物は測定温度領域において明確なガラス転移点を示さず、300℃においても貯蔵弾性率を維持し高い耐熱性を有していた。しかし、本発明と異なるアニオン残基を用いた比較例7の硬化物は貯蔵弾性率が大きく低下し、測定中に破断してしまった。
【0056】
【発明の効果】
本発明の光硬化性組成物により提供される硬化物は、高い硬度および耐熱性を有しており、広範な用途に応用展開が可能である。特に、塗料、コーティング剤、シート状材料、封止材、接着剤、成形材料および注型材料などの材料として、電気および電子分野などのさまざまな用途において活用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例5および比較例7の粘弾性スペクトル

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表される水酸基およびオキセタニル基を有する化合物とポリ(テトラアルコキシシラン)の脱アルコール反応で得られるシラン変成オリゴマー(A)およびアニオンとしてSbF6 -、AsF6 -またはB(C654 -を有する光カチオン重合開始剤(B)からなる光硬化性組成物。
    Figure 0003991667
    〔式(1)中、R 1 は水素原子または低級アルキル基を表し、R 2 およびR 3 はそれぞれ水素原子、低級アルキル基、炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基または炭素数2〜4のシアノアルキル基を表し、これらは同一でも異なっていても良く、R 4 は水素原子または水酸基を含有する炭素数1〜18個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基を表し、Xはメチレンまたは酸素原子を表す。〕
  2. カチオン開環重合性基を有する化合物(C)を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の光硬化性組成物。
  3. カチオン開環重合性基を有する化合物(C)が、脂環式エポキシ化合物であることを特徴とする請求項2に記載の光硬化性組成物。
  4. カチオン開環重合性基を有する化合物(C)が、脂環式エポキシ化合物および2個のオキセタニル基を有する脂肪族化合物であることを特徴とする請求項2に記載の光硬化性組成物。
  5. 請求項1〜4にそれぞれ記載の組成物を硬化させた硬化物。
  6. 請求項1〜4にそれぞれ記載の組成物を硬化させた後に加熱することを特徴とする硬化方法。
  7. 請求項6に記載の方法により硬化した硬化物。
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