JP3991623B2 - 自走車の走行制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行路面に敷設された誘導帯に追従して走行する自走車の走行制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、工場などの無人搬送設備における自走車の走行制御方式としては、走行路面に敷設された誘導帯に追従・走行させる制御方式が一般に用いられている。
【0003】
すなわち、誘導帯として走向路面内に磁性体を埋設し、あるいは走向路面上に磁気テープや光反射テープを貼設し、各自走車に、走行路面上に敷設された誘導帯を検出する磁気センサあるいはガイドセンサを設け、さらにこれらセンサの検出結果に基づいて、自走車の操向を制御するコントローラを設け、各自走車を、誘導帯に沿って走行させている。
【0004】
また誘導帯が交差点の近傍において自走車の車輪が通過するために誘導帯が切れてしまい或いは誘導帯が汚れてしまい、センサにより誘導帯を検出できないとき(誘導帯を見失ったとき)、または上記交差点において誘導帯が切れることから故意に誘導帯をこの切れる箇所に設置せず、センサにより誘導帯を検出できないとき、コントローラは、現状の速度と操向方向を維持して走向させ、誘導帯を再び検出すると、センサの検出結果に基づいて、誘導帯に沿って自走車を走行させるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の制御方式では、センサにより誘導帯を検出できないとき、現状の速度と角度を維持するために、誘導帯を外れて走向する(脱線する)恐れがあった。
【0006】
そこで、本発明は、誘導帯が切れたとき或いは汚れにより誘導帯を検出できないとき、または故意に誘導帯の一部を設置しないことにより誘導帯を検出できないとき、常に走行できる自走車の走行制御方法を提供することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、走行路面に敷設された誘導帯を検出しながら自走する自走車の走行制御方法であって、前記自走車の操舵車輪の操舵角度を検出し、この検出している自走車の操舵車輪の操舵角度が略0゜の第1絶対角度以内の状態のときに、自走車は直進経路を走行中と判断し、前記第1絶対角度より大きく設定した第2絶対角度以内の状態となったときに、自走車はカーブの進入部を走行中と判断し、続いて操舵角度が第2絶対角度より大きくなったときに、自走車はカーブの頂点部を走行中と判断し、続いて操舵角度が第2絶対角度以内の状態となったときに、自走車はカーブの退出部を走行中と判断し、前記自走車の操舵車輪の角度を、前記自走車がカーブの進入部を走行中に誘導帯を検出できなくなったとき、その時点の前記検出している操舵角度に、所定時間毎に設定した所定角度を加算して制御し、前記自走車がカーブの退出部を走行中に誘導帯を検出できなくなったとき、その時点の前記検出している操舵角度に、所定時間毎に設定した前記所定角度を減算して制御することを特徴とするものである。
【0008】
上記方法によれば、誘導帯を検出できなくなった時点の自走車の操舵車輪の操舵角度の変化の流れから自走車が走行中の経路の状態が、直進経路か、カーブの進入部か、カーブの頂点部か、カーブの退出部かどうかが判断され、自走車がカーブの進入部を走行中のときには操舵角度に所定時間毎に所定角度が加算され、自走車がカーブの退出部を走行中のときには操舵角度に所定時間毎に所定角度が減算される。よって、自走車は誘導帯から大きく逸れることなく、容易に復帰できる。
【0013】
また本発明のうち請求項2に記載の発明は、走行路面に敷設された誘導帯を検出しながら自走する自走車の走行制御方法であって、前記自走車の操舵車輪の操舵角度を検出し、この検出している自走車の操舵車輪の操舵角度が略0゜の第1絶対角度以内の状態のときに、自走車は直進経路を走行中と判断し、前記第1絶対角度とこの第1絶対角度より大きく設定した第2絶対角度内の状態となったときに、自走車はカーブの第1進入部を走行中と判断し、続いて自走車の操舵車輪の操舵角度が、前記第2絶対角度とこの第2絶対角度より大きく設定した第3絶対角度内の状態となったときに、自走車はカーブの第2進入部を走行中と判断し、前記カーブの第2進入部を走行していた状態から、自走車の操舵車輪の操舵角度が、前記第2絶対角度とこの第2絶対角度より小さく設定した第4絶対角度内の状態となったときに、自走車はカーブの第1退出部を走行中と判断し、前記カーブの第1退出部を走行していた状態から、自走車の操舵車輪の操舵角度が、前記第4絶対角度と前記第1絶対角度内の状態となったときに、自走車はカーブの第2退出部を走行中と判断し、自走車の操舵車輪の操舵角度が、前記第3絶対角度以上の状態となったとき、自走車はカーブの第3退出部を走行中と判断し、この第3退出部を走行していた状態から、自走車の操舵車輪の操舵角度が、前記第3絶対角度とこの第3絶対角度より小さく設定した第5絶対角度内の状態となったとき、引き続き自走車はカーブの第3退出部を走行中と判断し、前記カーブの第3退出部を走行していた状態から、自走車の操舵車輪の操舵角度が、前記第5絶対角度と前記第1絶対角度内の状態となったときに、自走車はカーブの第4退出部を走行中と判断し、
前記自走車の操舵車輪の角度を、前記自走車がカーブの進入部を走行中に誘導帯を検出できなくなったとき、その時点の前記検出している操舵角度に、所定時間毎に設定した所定角度を加算して制御し、前記自走車がカーブの退出部を走行中に誘導帯を検出できなくなったとき、その時点の前記検出している操舵角度に、所定時間毎に設定した前記所定角度を減算して制御することを特徴とするものである。
【0014】
上記方法によれば、誘導帯を検出できなくなった時点の自走車の操舵車輪の操舵角度の変化の流れから走行経路がカーブの第1進入部、第2進入部、カーブの第1退出部、第2退出部、第3退出部、第4退出部のいずれかであるかが判断され、自走車がカーブの進入部を走行中のときには操舵角度に所定時間毎に所定角度が加算され、自走車がカーブの退出部を走行中のときには操舵角度に所定時間毎に所定角度が減算され、操舵車輪の角度が制御される。上記カーブの第1進入部、カーブの第1退出部、第2退出部は走行経路の角度が90度に変化するときの判断に使用され、カーブの第1進入部、第2進入部、カーブの第3退出部、第4退出部は走行経路の角度が180度変化するときの判断に使用される。よって、走行経路の角度が180度変化するときでも、自走車は誘導帯から大きく逸れることなく、容易に復帰できる。
【0015】
また請求項3に記載の発明は、上記請求項2に記載の発明であって、自走車の操舵車輪の角度を、前記自走車がカーブの進入部を走行中に誘導帯を検出できなくなったとき、所定時間毎に加算する所定角度をカーブの第1進入部と第2進入部では、個々に設定し、前記自走車の操舵車輪の角度を、前記自走車がカーブの退出部を走行中に誘導帯を検出できなくなったとき、所定時間毎に減算する所定角度をカーブの第1退出部と第2退出部と第3退出部と第4退出部では、個々に設定することを特徴とするものである。
【0016】
上記方法によれば、カーブの第1進入部、第2進入部においてそれぞれ、自走車の操舵車輪の角度に、所定時間毎に加算する所定角度が設定され、カーブの第1退出部、第2退出部、第3退出部、第4退出部においてそれぞれ自走車の操舵車輪の角度に、所定時間毎に減算する所定角度が設定される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
「実施の形態1」
図1は本発明の実施の形態1における自走車の走向制御方法を使用した自走車の操向説明図である。
【0018】
図1に示すように、自走車Vは誘導帯Lに追従して走向する車両であり、自走車Vには、車体前方側と後方側の中心にそれぞれ、操舵車輪である前輪1と後輪2が設置されている。これら前輪1と後輪2はそれぞれ、軸直結の走向モータ3によりそれぞれ駆動される2輪の駆動輪4から形成されている。実施の形態1では、図1に実線で示すように、誘導帯Lの角度が90度変化する、すなわちカーブ経路では角度が90度変化する配置としている。
【0019】
また車体中央の両側部にそれぞれ、2輪の従動輪5が設けられている。
上記駆動輪4の車軸は、図2に示すように、それぞれ独立して軸受11の左右に回転自在に支持され、この軸受11上の中心に垂直に軸体12の下端が固定され、この軸体12の上端が、自走車V(車体)に支持された軸受13により水平に回転自在に支持された円盤状の輪体14の中心に固定されている。この構成により、左右の2台の駆動輪4に回転差が生じると、軸受11、軸体12を介して水平に輪体14が回転することにより駆動輪4の向きが換わる。よって、左右の2台の駆動輪4に回転差を生じさせることにより、操向することができる。
【0020】
また前輪1と後輪2の各円盤状の輪体14の中心にはそれぞれ、輪体14の回転角度を検出することにより、自走車Vの走行方向を0°とする車輪の操舵角度(操向角度)を検出する角度検出器(角度検出手段)21a,21bが設けられている。
【0021】
また前輪1と後輪2にはそれぞれ、各輪体14とともに回転する支持体22の左側前後、すなわち駆動輪4の左側前後にそれぞれ誘導帯Lを検出するガイドセンサ23a,23b,23c,23dが下向きに設けられており、前輪1または後輪2と一体で向きが変更されるように設けられている。したがってガイドセンサ23a,23b,23c,23dは誘導帯Lを検出する誘導帯検出手段として機能する。各ガイドセンサ23a,23bまたは23c,23dは、図3に示すように、自走車Vの左右方向へ並べられた複数(図では4個)の反射型光電スイッチ(a1,b1,c1,d1)、(a2,b2,c2,d2)により形成されている。
【0022】
また前輪1の各駆動輪4には、図2に示すように、駆動輪4に接触して回転することにより駆動輪4の回転数および走行距離を検出するためのロータリエンコーダ(走行距離検出手段)25a,25bが設けられている。
【0023】
また図1において、mはIDタグ(誘導用記憶媒体)からなるマークであり、誘導帯Lの交差点の手前に配置されるマークmには、交差点の固有のナンバーとカーブの分岐または合流の向き(右曲がりか左曲がりか)からなる交差点情報が記憶され、自走車Vが荷を移載するステーション31(図5)の手前に配置されるマークmには、ステーション31の固有のナンバーからなるステーション情報が記憶される。そして図4に示すように、自走車Vの中央部下面に、これらマークmに対向して、マークmから交差点情報またはステーション情報を読み取るタグリーダ32が設けられている。また車体左側面内にはステーション31との間で、データの送受信を行う通信装置33が設けられ、自走車Vの内部には動力源としてバッテリ34が搭載されている。
【0024】
上記マークmは、図5に示すように、カーブの分岐点または合流点J、あるいはステーション31中心の手前の距離Xの位置で、自走車Vの前輪1の前方距離YFの位置(自走車Vの後輪2の前方距離YBの位置;YF<X<YB)に設けられている。
【0025】
また図1に示すように、自走車Vの前面と後面にはそれぞれ、他の自走車Vや障害物と接触したときの衝撃を緩和するバンパー35が設けられている。
また自走車Vの内部には、図1に示すように、マイクロコンピュータからなるコントローラ(cpuユニット;走行制御手段の一例)41が設けられており、図6に示すように、前輪1の左右の走向モータ3a,3b、後輪2の左右の走向モータ3c,3dと、前輪1の角度検出器21a、後輪2の角度検出器21bと、前輪1の前後のガイドセンサ23a,23b、後輪2の前後のガイドセンサ23c,23dと、前輪1の左右のロータリエンコーダ25a,25bと、タグリーダ32と、通信装置33が接続されている。
【0026】
上記コントローラ41は図6に示すように、
前輪1の左右のロータリエンコーダ25a,25bからそれぞれ出力されるパルス信号をカウントすることにより、前輪1の左の駆動輪4の走行距離SLを計測する走行距離計測部51、および前輪1の右の駆動輪4の走行距離SRを計測する走行距離計測部52と、
これら走行距離計測部51,52により計測された走行距離SL,SR、通信装置33より入力した行き先ステーション31のデータ、およびタグリーダ32により読み取られたマークmの情報により、直進高速走行指令または直進低速走行指令または右行中速走行指令または右行低速走行指令または左行中速走行指令または左行低速走行指令または停止指令からなる走行指令を設定する走行指令部53(詳細は後述する)と、
前輪1の角度検出器21aにより検出された操舵角度θaにより自律走行時の前輪1のモードを設定するモード設定部54(詳細は後述する)と、
後輪2の角度検出器21bにより検出された操舵角度θbにより自律走行時の後輪2のモードを設定するモード設定部55と、
走行指令部53より指令された走行指令が、直進高速走行指令のとき高速走行速度vH、右行中速走行指令または左行中速走行指令のとき中速走行速度vM、直進低速走行指令または右行低速走行指令または左行低速走行指令のとき低速走行速度vD、停止指令のとき0(ゼロ)の速度指令を出力する速度設定部56と、
走行指令部53より指令された走行指令、前輪1の角度検出器21aにより検出された操舵角度θa、モード設定部54より設定された前輪1のモード、前後のガイドセンサ23a,23bの光電スイッチ(a1,b1,c1,d1)、(a2,b2,c2,d2)のオン・オフ情報により、左右の駆動輪4の回転数に差を発生させるための補正走行速度vL,vRを出力し、また一定時間連続して誘導帯Lを見失ったときに停止指令を出力する前輪1の操向制御部57(詳細は後述する)と、走行指令部53より指令された走行指令、後輪2の角度検出器21bにより検出された操舵角度θb、モード設定部54より設定された前輪1のモード、前後のガイドセンサ23c,23cの光電スイッチ(a1,b1,c1,d1)、(a2,b2,c2,d2)のオン・オフ情報により、左右の駆動輪4の回転数に差を発生させるための補正走行速度vL,vRを出力し、また一定時間連続して誘導帯Lを見失ったときに停止指令を出力する後輪2の操向制御部58と、
速度設定部56より出力された走行速度vHまたはvMまたはvDより、前輪1の操向制御部57より出力された左の駆動輪4の補正走行速度vLを減算する減算器59と、
この減算器59より出力された走行速度となるように、前輪1の左の走行モータ3aを回転駆動し、また前輪1の操向制御部57または後輪2の操向制御部58より停止指令を入力すると走行モータ3aの回転を停止する駆動部60と、
速度設定部56より出力された走行速度vHまたはvMまたはvDより、前輪1の操向制御部57より出力された右の駆動輪4の補正走行速度vRを減算する減算器61と、
この減算器61より出力された走行速度となるように、前輪1の右の走行モータ3bを回転駆動し、また前輪1の操向制御部57または後輪2の操向制御部58より停止指令を入力すると走行モータ3bの回転を停止する駆動部62と、
速度設定部56より出力された走行速度vHまたはvMまたはvDより、後輪2の操向制御部58より出力された左の駆動輪4の補正走行速度vLを減算する減算器63と、
この減算器63より出力された走行速度となるように、後輪2の左の走行モータ3cを回転駆動し、また前輪1の操向制御部57または後輪2の操向制御部58より停止指令を入力すると走行モータ3cの回転を停止する駆動部64と、
速度設定部56より出力された走行速度vHまたはvMまたはvDより、後輪2の操向制御部58より出力された右の駆動輪4の補正走行速度vRを減算する減算器65と、
この減算器65より出力された走行速度となるように、後輪2の右の走行モータ3dを回転駆動し、また前輪1の操向制御部57または後輪2の操向制御部58より停止指令を入力すると走行モータ3dの回転を停止する駆動部66
から構成されている。
【0027】
また前輪1の操向制御部57または後輪2の操向制御部58より停止指令が出力されると、警報を出力するようにしている(たとえば、自走車Vに警報ランプを取り付けて点灯させる)。
【0028】
上記走行指令部53の動作を図7のフローチャートにしたがって詳細に説明する。なお、走行指令部53には各ステーション31と走行経路の地図(マップ)情報が記憶され、また各交差点Jから右行または左行するときの走行速度と、交差点Jよりカーブ終了までの距離gが設定されているものとする。
【0029】
通信装置33より行き先のステーション31のデータを入力すると、自走車Vがこの行き先のステーション31へ到達するルート、たとえば交差点J1で右折し、交差点J4で左折するなどのデータを設定する。
【0030】
続いて、直進高速走行指令を出力する。
この指令にしたがって自走車Vが走行し、リーダ32によりマークmの情報が読み取られると、マークmの情報より目的のステーションのマークmかを確認する。確認すると、直進低速走行指令を出力し、続いて走行距離計測部51により計測された走行距離SLにより自走車Vがマークmよりステーション31の中心までの前記距離Xを走行したかを確認し、確認すると停止指令を出力して終了する。
【0031】
またマークmの情報が目的のステーションのマークmではないとき、ルートに設定した交差点のマークmかを確認する。確認すると、交差点Jからのカーブに予め設定された走行速度、すなわち前記高速走行速度より速度を落とした中速走行速度、または中速走行速度よりさらに速度を落とした低速走行速度を選択し、交差点Jよりカーブ終了までの距離gを求め、続いて走行距離計測部51により計測された走行距離SLにより自走車Vの前輪1が交差点Jまでの前記距離YFを走行したかを確認し、確認するとこの交差点よりカーブを右行するのか左行するのかを確認する。
【0032】
右行と判断すると、選択された走行速度により右行中速走行指令または右行低速走行指令を出力し、走行距離計測部51により計測された走行距離SLにより自走車Vの後輪2が交差点Jまでの前記距離YBおよび交差点Jよりカーブ終了までの上記求めた距離gを走行したかを確認し、確認すると直進高速走行指令を出力する。
【0033】
また左行と判断すると、選択された走行速度により左行中速走行指令または左行低速走行指令を出力し、走行距離計測部52により計測された走行距離SRにより自走車Vの後輪2が交差点Jまでの前記距離YBおよび交差点Jよりカーブ終了までの上記求めた距離gを走行したかを確認し、確認すると直進高速走行指令を出力する。
【0034】
上記動作により、行き先のステーション31へ向かって走行する走行指令、すなわち直進高速走行指令、または直進低速走行指令、または右行中速走行指令、または右行低速走行指令、または左行中速走行指令、または左行低速走行指令、または停止指令が出力される。
【0035】
次に前輪1のモード設定部54の動作(誘導帯Lが90度変化する配置としたときの動作)を、図8のフローチャートにしたがって説明する。なお、後輪2のモード設定部54の動作は同様であるので説明は省略する。
【0036】
まず角度検出器21aにより検出された角度操舵θaが、−3°〜+3°(第1絶対角度内の一例)のとき、モード0に設定し、このモード0の状態から角度θaが、−30°〜+30°(第2絶対角度内の一例)となったときモード1に設定し、このモード1の状態から角度θaが、第2絶対角度の−30°以下、または+30°以上となったときモード2に設定し、このモード2の状態から角度θaが、再び第2絶対角度の−30°〜+30°となったときモード3に設定し、このモード3の状態から角度θaが、再び第1絶対角度の−3°〜+3°内となったときモード0に設定する。
【0037】
このモードは、誘導帯Lをガイドセンサ23a〜23dにより検出できなくなったとき(見失ったとき)に、部分自律走行を行うためのモードであり、自走車Vはモード0・・・直進経路(直線部)
モード1・・・カーブ経路の進入部
モード2・・・カーブ経路の頂点部
モード3・・・カーブ経路の退出部
を走行していたと判断する。
【0038】
次に前輪1の操向制御部57の動作(誘導帯Lが90度変化する配置としたときの動作)を図9と図10のフローチャートにしたがって説明する。なお、後輪2の操向制御部58の動作は同様であるので説明は省略する。
【0039】
まず、走行指令部53より指令された走行指令が停止指令かどうかを確認し、停止指令のとき、補正走行速度vL,vRをともに0(ゼロ)を設定する。停止指令ではないとき、続いて前方のガイドセンサ23aの光電スイッチ(a1,b1,c1,d1)が全てオフ、すなわち誘導帯Lを見失ったかどうかを確認する。誘導帯Lを見失う原因は、誘導帯Lが断線したこと、または誘導帯Lが汚れたことによる。
[部分自律走行](図9参照)
誘導帯Lを見失うと、部分自律走行を行う。
【0040】
まず、誘導帯Lを見失っているた時間tをカウントし、この時間tが予め設定された時間Tを超えると脱線と判断して停止指令を出力する。時間tは、誘導帯Lを見失った後のスキャン回数nにスキャン時間、たとえば0.2secを乗算して演算している。
【0041】
誘導帯Lを見失った時間tが時間T以内のとき、モード設定部54より設定された前輪1のモードがモード0であるかを確認し、確認すると、すなわち直進経路(直線部)を走行中と確認すると、補正する操向角度wを0(ゼロ)に設定し、補正走行速度vL,vRを(ゼロ)に設定する。
【0042】
モード0ではないと、他のモードによる以下の実行回数Nが2回目以上かを確認し、2回目以上でないとき、すなわち1回目のとき、操向角度wに現在(誘導帯Lを見失ったとき)の前輪1の角度検出器21aにより検出された操舵角度θaをセットする。
【0043】
続いて、走行指令による走行速度が、中速か低速かを判断して、補正する操向角度wに加算する所定角度(以下、加算角度と称す)Aと操向角度wから減算する所定角度(以下、減算角度と称す)Dを設定する。図9では、中速の走行速度を低速の走行速度の2倍の走行速度とし、低速のときの加算角度A=0.6度、減算角度D=0.6度、中速のときの加算角度A=1.2度、減算角度D=1.2度を設定している。
【0044】
続いてモードがモード1またはモード2またはモード3であるかを確認する。モード1を確認すると、すなわちカーブ経路の進入部を走行中と確認すると、補正する操向角度w(=θa)に加算角度Aを加算する(w=w+A)。したがって、カーブ経路の進入部を走行中と判断されている間は、スキャン毎(所定時間、たとえば0.2sec毎)に角度Aが加算される。
【0045】
またモード2を確認すると、すなわちカーブ経路の頂点部を走行中と確認すると、補正する操向角度w(=θa)をそのままとする。
またモード3を確認すると、すなわちカーブ経路の退出部を走行中と確認すると、補正する操向角度w(=θa)から減算角度Dを減算する(w=w−D)。したがって、カーブ退出部を走行中と判断されている間は、スキャン毎(所定時間、たとえば0.2sec毎)に角度Dが減算される。
【0046】
続いて走行指令部53より指令された走行指令により右行かどうか、すなわち走行中のカーブ経路が右カーブかどうかを確認する。
右カーブと判断すると、すなわち右の駆動輪4の走行速度を落とす必要があると判断すると、右の駆動輪4の補正走行速度vRを補正する操向角度wに比例して求め、左の駆動輪4の補正走行速度vLを0(ゼロ)に設定する。
【0047】
また右カーブではない(左カーブ)と判断すると、すなわち左の駆動輪4の走行速度を落とす必要があると判断すると、左の駆動輪4の補正走行速度vLを補正する操向角度wに比例して求め、右の駆動輪4の補正走行速度vRを0(ゼロ)に設定する。
[誘導帯制御](図10参照)
誘導帯Lを見失っていないとき、誘導帯制御を行う。
【0048】
誘導帯制御では、直進指令により走行中は、図3に示す、前後のガイドセンサ23a,23bの最も左に位置する光電スイッチa1,a2と最も右に位置する光電スイッチd1,d2が全てオンとなるように操向角度wを補正する。
【0049】
すなわち前方の光電スイッチd1または後方の光電スイッチa2がオフのとき、右に傾いていると判断して、左へ向くように左の駆動輪4を減速させ、前方の光電スイッチa1または後方の光電スイッチd2がオフのとき、左に傾いていると判断して、右へ向くように右の駆動輪4を減速させる。
【0050】
また右行指令により走行中は、図3に示す、前方のガイドセンサ23aの最も右に位置する光電スイッチd1がオフ,左隣の光電スイッチc1がオンとなるように操向角度wを補正する(誘導帯Lの右端が光電スイッチc1とd1の間となるように補正する)。
【0051】
すなわち光電スイッチd1がオンのとき、左に傾いていると判断して、右へ向くように右の駆動輪4を減速させ、光電スイッチc1がオフのとき、右に傾いていると判断して、左へ向くように左の駆動輪4を減速させる。
【0052】
また左行指令により走行中は、図3に示す、前方のガイドセンサ23aの最も左に位置する光電スイッチa1がオフ,右隣の光電スイッチb1がオンとなるように操向角度wを補正する(誘導帯Lの左端が光電スイッチa1とb1の間となるように補正する)。
【0053】
すなわち光電スイッチa1がオンのとき、右に傾いていると判断して、左へ向くように左の駆動輪4を減速させ、光電スイッチb1がオフのとき、左に傾いていると判断して、右へ向くように右の駆動輪4を減速させる。
【0054】
そして、左の駆動輪4を減速させるとき、左の駆動輪4の補正走行速度vLに所定値pを設定し、左右の駆動輪4の補正走行速度vRを0(ゼロ)に設定する。右の駆動輪4を減速させるとき、右の駆動輪4の補正走行速度vRに所定値pを設定し、左の駆動輪4の補正走行速度vLを0(ゼロ)に設定する。左右の駆動輪4をともに減速させる必要がないとき、補正走行速度vL,vRに0(ゼロ)を設定する。
【0055】
上記動作により、操向のために左右の駆動輪4に回転数の差を設定する補正走行速度vL,vRが出力される。
以下、上記構成における作用を説明する。
【0056】
ステーション31に停止している自走車Vに対してステーション31より通信装置33を介してコントローラ41へ次の行き先のステーション31が指令されると、コントローラ31は行き先のステーション31へ到達するルートを設定し、続いて前輪1と後輪2の走行モータ3a,3b,3c,3dに対して高速走行速度の駆動指令を出力し、自走車Vを高速走行させる。
【0057】
走行中、交差点Jのマークmの情報を読み取ると、設定したルートに基づいてこの交差点Jで右行または左行またはそのまま直進するのかを判断し、右行または左行するときは、前輪1が交差点Jの位置に到達すると、走行速度を交差点Jからのカーブにより中速または低速を選択し、さらに操向に必要な補正走行速度を減算して、前輪1と後輪2の走行モータ3a,3b,3c,3dに対して左右の駆動輪4で異なる走行速度の駆動指令を出力し、自走車Vを左行または右行させる。
【0058】
またステーション31のマークmの情報を読み取ると、目的のステーション31のマークmであるか判断し、目的のステーション31のマークmではないときはそのまま通過させ、目的のステーション31のマークmのときは、低速走行速度の駆動指令を出力して低速で走行させ、読み取った時点から走行距離Xを走行すると走行速度を0(ゼロ)として停止させ、自走車Vを目的のステーション31の位置に停止させる。
【0059】
また走行中、誘導帯Lを検出できている間は、誘導帯制御により操向を制御し、誘導帯Lを見失ったときは、部分自律制御により操向を制御する。
部分自律制御では、角度検出器21a,21bにより検出される操舵角度θa,θbにより、常に自走車Vが走行中の経路の状態、すなわち自走車Vが直進経路(直線部)(モード0)、カーブ経路の進入部(モード1)、カーブ経路の頂点部(モード2)、カーブ経路の退出部(モード3)のどの経路にいるのかを判断しており、誘導帯Lを検出できなくなったとき(見失ったとき)、この見失った時点の角度検出器21a,21bにより検出される操舵角度θa,θbおよび走行中の経路の状態(モード)と走行速度により、換向角度wを設定して操向を制御する(左右の駆動輪4を異なる走行速度で制御する)。よって自走車Vが走行中の経路の状態に応じて、自律制御され、直進経路(直線部)またはカーブ経路に沿って自走車Vは走行される。また誘導帯Lを見失っている時間tをカウントし、この時間tが予め設定された時間Tを超えると、脱線と判断して自走車Vは停止される。
【0060】
また前輪1と後輪2はそれぞれ、ガイドセンサ23a,23bの検出信号による操向制御部57(前輪)とガイドセンサ23c,23dの検出信号による操向制御部58(後輪)により非同期で独立して操向制御(誘導帯制御および部分自律制御)が行われる。
【0061】
このように、ガイドセンサ23により誘導帯Lを検出できないとき(誘導帯Lが切れているとき或いは誘導帯Lが汚れているとき、または故意に誘導帯Lの一部を設置していないとき)に、部分自律制御で操向することにより、誘導帯Lを外れて走向する(脱線する)恐れを回避でき、正常に走行することができ、自走車Vによる荷の搬送に不具合が生じることを回避できる。
【0062】
また前輪1と後輪2が非同期で独立して操向制御され、前輪1と後輪2がそれぞれ誘導帯Lに案内されて走行することにより、自走車Vが誘導帯L(特にカーブ経路)において脹らんで走行する恐れがなくなり、自走車Vが走行中に、誘導帯Lに沿って配設された機器等に接触する恐れを回避できる。またこれら機器等を誘導帯Lに接近させて配置することが可能となり、設置スペースを減少させることができる。
「実施の形態2」
上記実施の形態1では、カーブ経路の角度を90度としているが、図1または図5に2点鎖線で示すように誘導帯Lが180度変化する、すなわちカーブ経路の角度を180度とした設備がある。実施の形態2では、このような平行する走行経路間を自走車Vが移動することもできるように誘導帯Lが設けられている設備について説明する。このとき、図8のフローチャートに基づいて説明したモード設定部54,55と、図9および図10のフローチャートに基づいて説明した操向制御部57,58の動作が上記実施の形態1とは異なってくる(なお、他の設備の構成は実施の形態1の構成と同様であり、説明を省略する)。
【0063】
まず前輪1のモード設定部54の動作を、図11のフローチャートにしたがって説明する。なお、後輪2のモード設定部54の動作は同様であるので説明は省略する。
【0064】
角度検出器21aにより検出された角度操舵θaの絶対角度が、α度{直線における車輪角度の振れ角度(図12参照);略0゜の第1絶対角度の一例}以内のとき、モード0に設定し、このモード0の状態から角度θaの絶対角度が、α度より大きくβ度{90度のカーブにおいて、車輪角度が増加の後減少に転じる角度(図12参照);第2絶対角度の一例}以内となったとき、モード1に設定し、さらに角度θaの絶対角度が、β度より大きくγ度{180度のカーブを走行するときに車輪角度が増加の後減少に転じる角度(図12参照);第3絶対角度の一例}以内となったとき、モード2に設定し、角度θaの絶対角度が、γ度より大きくなったときモード5に設定する。
【0065】
上記モード2の状態から角度θaの絶対角度が、β度以下となりδ度{90度のカーブにおいて、車輪角度の減少が緩やかになる角度(図12参照);第4絶対角度の一例}より大きいとき、モード3に設定する。このモード3の状態から角度θaの絶対角度が、δ度以下となりα度より大きいときモード4に設定し、このモード4の状態から、角度θaの絶対角度が、α度以下となると、再びモード0に設定する。
【0066】
また上記モード5の状態から角度θaの絶対角度が、ε度{180度のカーブにおいて、車輪角度の減少が緩やかになる角度(図12参照);第5絶対角度の一例}以下となりα度より大きいとき、モード6に設定し、このモード6の状態から、角度θaの絶対角度が、α度以下となると、再びモード0に設定する。
【0067】
このモードは、誘導帯Lをガイドセンサ23a〜23dにより検出できなくなったとき(見失ったとき)に、部分自律走行を行うためのモードであり、自走車Vは
モード0・・・直進経路(直線部)
モード1・・・カーブ経路の第1進入部
モード2・・・カーブ経路の第2進入部
モード3・・・カーブ経路の第1退出部
モード4・・・カーブ経路の第2退出部
モード5・・・カーブ経路の第3退出部
モード6・・・カーブ経路の第4退出部
を走行していたと判断する。モード1とモード2とモード3とモード4が、90度のカーブに使用され、モード1とモード2とモード5とモード6が、180度のカーブに使用される。
【0068】
図12に示す、90度のカーブ経路と180度のカーブ経路の特性(車輪角度−走行距離の特性)によると、α=3度、β=40度、γ=57.5度、δ=6.25度、ε=8.75度になっている。
【0069】
次に前輪1の操向制御部57の動作について、実施の形態1における操向制御部57の動作(図9および図10)と異なる点について説明する。なお、後輪2の操向制御部58の動作は同様であるので説明は省略する。
【0070】
上記のように実施の形態2ではモード0〜6と7つに増加していることにより、図9に破線で囲む動作(ステップ)が変更となる。変更となっている箇所のフローチャートを図13に示す。
【0071】
走行指令による走行速度が、中速か低速かを判断して、補正する操向角度wに加算する加算角度A1,A2と操向角度wから減算する減算角度D1,D2,D3,D4をそれぞれ設定している。加算角度A1はモード1(カーブ経路の第1進入部)での加算角度、加算角度A2はモード2(カーブ経路の第2進入部)での加算角度、減算角度D1はモード3(カーブ経路の第1退出部)での減算角度、減算角度D2はモード4(カーブ経路の第2退出部)での減算角度、減算角度D3はモード5(カーブ経路の第3退出部)での減算角度、減算角度D4はモード6(カーブ経路の第4退出部)での減算角度である。図13では図12のカーブ経路の特性に基づいて、中速の走行速度を低速の走行速度の2倍の走行速度とし、低速のときの加算角度A1=0.25度、A2=0.1度、減算角度D1=0.15度、D2=0.04度、D3=0.2度、D4=0.04度、中速のときの加算角度A1=0.5度、A2=0.2度、減算角度D1=0.3度、D2=0.08度、D3=0.4度、D4=0.07度を設定している。
【0072】
続いてモードがモード1〜6のいずれかであるかを確認している。
モード1を確認すると、すなわちカーブ経路の第1進入部を走行中と確認すると、補正する操向角度w(=θa)に加算角度A1を加算する(w=w+A1)。したがって、カーブ経路の第1進入部を走行中と判断されている間は、スキャン毎(所定時間、たとえば0.2sec毎)に角度A1が加算される。
【0073】
またモード2を確認すると、すなわちカーブ経路の第2進入部を走行中と確認すると、補正する操向角度w(=θa)に加算角度A2を加算する(w=w+A2)。したがって、カーブ経路の第1進入部を走行中と判断されている間は、スキャン毎(所定時間、たとえば0.2sec毎)に角度A2が加算される。
【0074】
またモード3を確認すると、すなわちカーブ経路の第1退出部を走行中と確認すると、補正する操向角度w(=θa)から減算角度D1を減算する(w=w−D1)。したがって、第1カーブ退出部を走行中と判断されている間は、スキャン毎(所定時間、たとえば0.2sec毎)に角度D1が減算される。
【0075】
またモード4を確認すると、すなわちカーブ経路の第2退出部を走行中と確認すると、補正する操向角度w(=θa)から減算角度D2を減算する(w=w−D2)。したがって、第2カーブ退出部を走行中と判断されている間は、スキャン毎(所定時間、たとえば0.2sec毎)に角度D2が減算される。
【0076】
またモード5を確認すると、すなわちカーブ経路の第3退出部を走行中と確認すると、補正する操向角度w(=θa)から減算角度D3を減算する(w=w−D3)。したがって、第3カーブ退出部を走行中と判断されている間は、スキャン毎(所定時間、たとえば0.2sec毎)に角度D3が減算される。
【0077】
またモード6を確認すると、すなわちカーブ経路の第4退出部を走行中と確認すると、補正する操向角度w(=θa)から減算角度D4を減算する(w=w−D4)。したがって、第1カーブ退出部を走行中と判断されている間は、スキャン毎(所定時間、たとえば0.2sec毎)に角度D4が減算される。
【0078】
この動作の変更により、部分自律制御において、角度検出器21a,21bにより検出される操舵角度θa,θbにより、常に自走車Vが走行中の経路の状態、すなわち自走車Vが直進経路(直線部)(モード0)、カーブ経路の第1進入部(モード1)、カーブ経路の第2進入部(モード2)、カーブ経路の第1退出部(モード3)、カーブ経路の第2退出部(モード4)、カーブ経路の第3退出部(モード5)、カーブ経路の第4退出部(モード6)のどの経路にいるのかを判断しており、誘導帯Lを検出できなくなったとき(見失ったとき)、この見失った時点の角度検出器21a,21bにより検出される操舵角度θa,θbおよび走行中の経路の状態(モード)と走行速度により、換向角度wを設定して操向を制御する(左右の駆動輪4を異なる走行速度で制御する)。よって自走車Vが走行中の経路の状態に応じて、自律制御され(図12に示すカーブ経路の特性に合わせて換向角度wが設定され)、直進経路(直線部)または90度のカーブ経路または180度のカーブ経路に沿って自走車Vは走行される。
【0079】
このように、カーブ経路の角度が180度変化する実施の形態2においても、ガイドセンサ23により誘導帯Lを検出できないとき(誘導帯Lが切れているとき或いは誘導帯Lが汚れているとき、または故意に誘導帯Lの一部を設置していないとき)に、部分自律制御で操向することにより、誘導帯Lを外れて走向する(脱線する)恐れを回避でき、正常に走行することができ、自走車Vによる荷の搬送に不具合が生じることを回避できる。
【0080】
また前輪1と後輪2が非同期で独立して操向制御され、前輪1と後輪2がそれぞれ誘導帯Lに案内されて走行することにより、自走車Vが誘導帯L(特にカーブ経路)において脹らんで走行する恐れがなくなり、自走車Vが走行中に、誘導帯Lに沿って配設された機器等に接触する恐れを回避できる。またこれら機器等を誘導帯Lに接近させて配置することが可能となり、設置スペースを減少させることができる。
【0081】
なお、本実施の形態1,2では、自走車Vの操向制御を左右の駆動輪4の回転数に差を生じさせることにより行っているが、左右の駆動輪4の軸受11に垂直に固定された軸体12または輪体14を、操向制御部57,58において求められる操向角度(操舵角度)wに応じて水平に回転駆動させることにより自走車Vの操向制御を行うようにしてもよい。このとき、左右の駆動輪4を同じ回転数で駆動することができる。
【0082】
また本実施の形態1,2では、誘導帯Lを見失っている時間tをカウントし、この時間tが予め設定された時間Tを超えると、脱線と判断して自走車Vを停止しているが、誘導帯Lを見失った後の走行距離(走行距離計測部51において計測される前輪1の左の駆動輪4の走行距離SL、または走行距離計測部52に追い手計測される前輪1の右の駆動輪4の走行距離SR)を計測して一定距離を走行した後でも誘導帯Lを見失っているとき、脱線と判断して自走車Vを停止するようにしてもよい。
【0083】
また本実施の形態1,2では、マークmをIDタグ(誘導用記憶媒体)により構成しているが、単にコード(バーコードなど)を付したラベルとしてもよい。このとき、タグリーダ32をコードリーダ(バーコードリーダなど)により構成する。
【0084】
また本実施の形態1,2では、ガイドセンサ23a,23b,23c,23dを左側前後に設けているが、図2(b)に仮想線で示すように、右側前後にも設けるようにしてもよい。このとき、誘導帯Lを、左側のガイドセンサ群(23a,23b,23c,23d)だけでなく、右側のガイドセンサ群によって検出するようにすることができ、自走車Vの中心を誘導帯Lの左側、または右側に自由に変更することができる。
【0085】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、誘導帯を検出できなくなった時点の操舵角度および走行中の経路の状態により、自走車の操舵車輪の角度が制御されることにより、誘導帯を外れて走向する恐れを回避でき、正常に走行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における自走車の走向制御方法を使用した自走車の操向説明図である。
【図2】同自走車の車輪の側面および正面図である。
【図3】同自走車のガイドセンサの説明図である。
【図4】同自走車の中央部の構成図である。
【図5】同自走車の走行経路の説明図である。
【図6】同自走車のコントローラのブロック図である。
【図7】同自走車のコントローラの走行制御部の動作を説明するフローチャートである。
【図8】同自走車のコントローラのモード制御部の動作を説明するフローチャートである。
【図9】同自走車のコントローラの操向制御部の動作を説明するフローチャートである。
【図10】同自走車のコントローラの操向制御部の動作を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態2における自走車の走向制御方法を使用した自走車のコントローラのモード制御部の動作を説明するフローチャートである。
【図12】同自走車のカーブ経路の特性図である。
【図13】同自走車のコントローラの操向制御部の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
V 自走車
m マーク
1 前輪
2 後輪
3 走行モータ
4 駆動輪
5 従動輪
21 角度検出器
23 ガイドセンサ
25 ロータリエンコーダ
32 タグリーダ
33 通信装置
41 コントローラ

Claims (3)

  1. 走行路面に敷設された誘導帯を検出しながら自走する自走車の走行制御方法であって、
    前記自走車の操舵車輪の操舵角度を検出し、この検出している自走車の操舵車輪の操舵角度が略0゜の第1絶対角度以内の状態のときに、自走車は直進経路を走行中と判断し、
    前記第1絶対角度より大きく設定した第2絶対角度以内の状態となったときに、自走車はカーブの進入部を走行中と判断し、
    続いて操舵角度が第2絶対角度より大きくなったときに、自走車はカーブの頂点部を走行中と判断し、
    続いて操舵角度が第2絶対角度以内の状態となったときに、自走車はカーブの退出部を走行中と判断し、
    前記自走車の操舵車輪の角度を、
    前記自走車がカーブの進入部を走行中に誘導帯を検出できなくなったとき、その時点の前記検出している操舵角度に、所定時間毎に設定した所定角度を加算して制御し、
    前記自走車がカーブの退出部を走行中に誘導帯を検出できなくなったとき、その時点の前記検出している操舵角度に、所定時間毎に設定した前記所定角度を減算して制御すること
    を特徴とする自走車の走行制御方法。
  2. 走行路面に敷設された誘導帯を検出しながら自走する自走車の走行制御方法であって、
    前記自走車の操舵車輪の操舵角度を検出し、この検出している自走車の操舵車輪の操舵角度が略0゜の第1絶対角度以内の状態のときに、自走車は直進経路を走行中と判断し、
    前記第1絶対角度とこの第1絶対角度より大きく設定した第2絶対角度内の状態となったときに、自走車はカーブの第1進入部を走行中と判断し、
    続いて自走車の操舵車輪の操舵角度が、前記第2絶対角度とこの第2絶対角度より大きく設定した第3絶対角度内の状態となったときに、自走車はカーブの第2進入部を走行中と判断し、
    前記カーブの第2進入部を走行していた状態から、自走車の操舵車輪の操舵角度が、前記第2絶対角度とこの第2絶対角度より小さく設定した第4絶対角度内の状態となったときに、自走車はカーブの第1退出部を走行中と判断し、
    前記カーブの第1退出部を走行していた状態から、自走車の操舵車輪の操舵角度が、前記第4絶対角度と前記第1絶対角度内の状態となったときに、自走車はカーブの第2退出部を走行中と判断し、
    自走車の操舵車輪の操舵角度が、前記第3絶対角度以上の状態となったとき、自走車はカーブの第3退出部を走行中と判断し、この第3退出部を走行していた状態から、自走車の操舵車輪の操舵角度が、前記第3絶対角度とこの第3絶対角度より小さく設定した第5絶対角度内の状態となったとき、引き続き自走車はカーブの第3退出部を走行中と判断し、
    前記カーブの第3退出部を走行していた状態から、自走車の操舵車輪の操舵角度が、前記第5絶対角度と前記第1絶対角度内の状態となったときに、自走車はカーブの第4退出部を走行中と判断し
    前記自走車の操舵車輪の角度を、
    前記自走車がカーブの進入部を走行中に誘導帯を検出できなくなったとき、その時点の前記検出している操舵角度に、所定時間毎に設定した所定角度を加算して制御し、
    前記自走車がカーブの退出部を走行中に誘導帯を検出できなくなったとき、その時点の前記検出している操舵角度に、所定時間毎に設定した前記所定角度を減算して制御すること
    を特徴とする自走車の走行制御方法。
  3. 自走車の操舵車輪の角度を、前記自走車がカーブの進入部を走行中に誘導帯を検出できなくなったとき、所定時間毎に加算する所定角度をカーブの第1進入部 と第2進入部では、個々に設定し、
    前記自走車の操舵車輪の角度を、前記自走車がカーブの退出部を走行中に誘導帯を検出できなくなったとき、所定時間毎に減算する所定角度をカーブの第1退出部と第2退出部と第3退出部と第4退出部では、個々に設定すること
    を特徴とする請求項2に記載の自走車の走行制御方法。
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