JP3989284B2 - マグネットブロック、現像ローラ、現像装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置、画像形成装置に装着される現像装置、現像装置の現像ローラ及び現像ローラに内蔵されるマグネットブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真その他の、粉体トナーを用いた画像形成方法において、二成分現像剤を用いた磁気ブラシ現像は周知であり、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において広く利用されている。
【0003】
磁気ブラシ現像では、現像剤担持体の表面に現像剤を搬送し、現像剤をブラシ状(磁気ブラシ)に保持させて像担持体に接触させ、静電潜像が形成された像担持体と電気的バイアスが印加されたスリーブとの間の電界によってトナーが潜像面に選択的に付着することにより、現像が行われる。
【0004】
上記現像剤担持体は、通常、円筒状のスリーブ(現像スリーブ)として構成され、このスリーブ表面に現像剤の穂立ちを生じさせるように磁界を形成する磁石体(磁石ローラ)をスリーブ内部に備えている。穂立ちの際、キャリアが磁石ローラで生じる磁力線に沿うようにスリーブ上に穂立ちすると共に、この穂立ちに係るキャリアに対して帯電トナーが付着されている。上記磁石ローラは、複数の磁極を有し、それぞれの磁極を形成する磁石が棒状などに構成されていて、特にスリーブ表面の現像領域部分では現像剤を立ち上げる現像主磁極を備えている。上記スリーブと磁石ローラの少なくとも一方が動くことでスリーブ表面に穂立ちを起こした現像剤が移動するようになっており、現像領域に搬送された現像剤は上記現像主磁極から発せられる磁力線に沿って穂立ちを起こし、この現像剤のチェーン穂は撓むように潜像担持体表面に接触し、接触した現像剤のチェーン穂が潜像担持体との相対線速差に基づいて静電潜像と擦れ合いながら、トナー供給を行う。なお、現像領域とは、現像剤担持体上で磁気ブラシが立ち上がり潜像担持体と接触している範囲とする。
【0005】
従来の磁気ブラシ現像装置においては、画像濃度を高くするための現像条件と低コントラスト画像を良好に得るための現像条件とが両立せず、高濃度部と低濃度部との双方を同時に改善することが困難である。即ち、画像濃度を高くするための現像条件としては、(i)潜像担持体と現像スリーブとの間隔である現像ギャップを狭くすること、あるいは(ii)現像領域幅を広くすることなどが挙げられる。一方、低コントラスト画像を良好に得るための現像条件としては、(i')現像ギャップを広くすること、あるいは(ii')現像領域幅を狭くすることなどがある。つまり、双方の現像条件は相対するものであって両立せず、全濃度域にわたって双方の条件を満たして良質な画像を得ることは一般に困難とされている。
【0006】
例えば低コントラスト画像を重視する場合には、ベタラインのクロス部や黒ベタ、ハーフトーンベタ画像の後端部に白抜けを生じる所謂「後端白抜け」と称される異常画像が発生しやすい。また同じ幅で形成した格子画像の横線が縦線よりも細くなったり、1ドットなどの小さい点画像が現像されないなどの現象も発生している。
【0007】
このような従来からの課題であった画像濃度を高くするための現像条件と低コントラスト画像を良好に得るための現像条件とを高い時点で満足させ、全濃度域にわたって良質な画像を得るための現像方法及び現像装置等を本願出願人は先に提案している(特願2000−29637)。その本願出願人が先に提案した現像装置においては、現像ローラの主極部は極間角度が従来の現像ローラに比べて狭いため、マグネット材料に高い磁気特性が必要となる。また、主極部の精度が従来の現像ローラに比べて高い精度(従来の±2度に対して±1度)が要求される。
【0008】
そのような要求を達成するためには、従来用いられていた材料やローラ構成では充分な磁気特性が得られず、材料自体の磁気特性が優れている希土類マグネットを用いる必要が生じていた。また、希土類マグネットはコストが高いため、現実的な磁石ローラの構成としては、高い磁気特性が必要とされる現像極にのみ希土類マグネットを用い、その他の極はフェライト系マグネットを使用することが望ましい。
【0009】
ここで、現像ローラに求められる現像極の半値幅を最大30度程度とした場合、現像極を構成する希土類マグネットの幅として、現像ローラ外径の15〜20%以下の寸法が求められる。
【0010】
現在の二成分磁気ブラシ現像ローラの主流は、直径14〜30mm程度であるため、上記の半値幅を達成するためには、現像極となる希土類マグネットは、幅2.0〜6.0mm程度、高さは磁束密度にもよるが最低でも2.0mm以上、長さはA4対応で約210mm以上、A3対応で約300mm以上が必要となる。
【0011】
希土類マグネットの製法としては、焼結,射出成型,押出成型,粉末充填が考えられるが、高磁力に有利な異方性材料に限定すると、成型時に配向と呼ばれる磁性粉の異方化が必要なため、押出成型または射出成型に限定される。
【0012】
また、高磁力を達成するにはBHmaxで80KJ/m3 以上が望まれるが、これを達成するために、バインダーへの磁性粉充填率を高めてくると、射出磁場成型ではゲート、ウェルド、エジェクタピン部での磁力偏差が大きく、現像特性に影響を及ぼす。この問題を図10に示した。すなわち、図10には、多点ゲート射出成型の金型と、その金型により等方性材料と異方性材料で成形したマグネットブロックの長手方向における磁束密度を示してある。グラフの横軸は長手方向の位置を示し、縦軸は磁束密度(mT)である。図中の符号21は材料が成形機から金型に入る入り口であるスプール、符号22は金型内の材料の通り道であるランナー、符号23は金型内の各部分に材料が入るゲート、符号24は各ゲート23から入った材料がぶつかるところのウェルド、そして、符号25が成形品を取り出すときに突き当てるエジェクタピンである。このグラフから判るように、各部での磁力に大きな差が見られる。
【0013】
射出成型で得るマグネットブロックにおいて、ウェルドをなくすことができれば、現像特性への悪影響を軽減することができる。ゲートを1点とすることにより材料が合流するウェルドがなくせるが、1点のゲートであると、断面が3mm×3mm程度以下では材料の流動性が非常に低いため、310mm以上の成型ができなかった。そこで、射出成型金型にフィルムゲート方式を採用することによって、ウェルド部の磁気特性低下を防ぎ、かつ、300mmクラス以上の長さの希土類マグネットの成形が可能となった。本願出願人は、マグネットブロックの長手方向のほぼ全長に亘るゲートを配置した成形金型を用いて射出成型されている現像ローラを別途提案している。
【0014】
図11は、各種マグネットブロックの長手方向における磁束密度を示すグラフである。このグラフにおいて、実線はフィルムゲート方式の成形金型により射出成型したマグネットブロックの磁束密度分布である。また、一点鎖線は5点ゲート方式によるもの、点線は1点ゲート方式によるものであり、2点鎖線はNd‐Fe‐B等方性材料によるものである。このグラフから判るように、フィルムゲート方式の成形金型により射出成型したマグネットブロックは、他の方式によるものに比べて磁気特性が高く、かつ、偏差が小さくなっている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、成形品の多数取り、ホットスプール、ホットランナー等の成形条件によっては、フィルムゲート方式による射出磁場成型においても、ウェルド等が要因と考えられる、部分的に磁気特性が低下するという問題が発生した。その成形条件等によるマグネットブロックの部分的な磁気特性低下を図12のグラフに示す。すなわち、図12のグラフにおいて、実線は異方性材料によるもの、点線は等方性材料によるものであり、いずれも長手方向のほぼ中央部において磁力の落ち込みが見られる。
【0016】
本発明は、従来のマグネットブロックにおける部分的に磁気特性が低下するという問題を解決し、長手方向(現像ローラ軸方向)における磁力偏差の少ないマグネットブロック及び現像ローラを提供することを課題とする。
【0017】
また、磁力偏差の少ないマグネットブロック及び現像ローラにより良質な画像を得ることのできる現像装置及び画像形成装置を提供することも本発明の課題である。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、本発明により、現像ローラのスリーブ内に配置され、現像主極または主極の補助極を構成するための希土類マグネットブロックにおいて、前記マグネットブロックが、高分子化合物に異方性希土類マグネット粉が分散された組成の材料を用いて射出磁場成形されたものであり、前記マグネットブロックをブロック長手方向に均一断面形状で形成すると磁力低下が認められる個所に、前記スリーブ側のブロック表面から突出する凸部を設けたことにより解決される。
【0019】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記マグネットブロックがフィルムゲート方式の射出成形金型を用いて射出磁場成形されたものであり、前記凸部がマグネットブロックの長手方向の中央部付近に設けられていることを提案する。
【0020】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記凸部のスリーブ周方向の両肩部が丸みを帯びた形状であることを提案する。
また、前記の課題は、本発明により、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマグネットブロックを備える現像ローラにより解決される。
【0021】
また、前記の課題は、本発明により、請求項4に記載の現像ローラを備えることを現像装置により解決される。
また、前記の課題は、本発明により、請求項5に記載の現像装置を備える画像形成装置により解決される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る現像ローラの一例を示す断面図構成図である。この図に示す現像ローラ10は、スリーブ11内に磁石ローラ12を内蔵している。磁石ローラ12は、スリーブ11周面に現像剤の穂立ちを生じさせるための磁界を形成する磁石体であり、フェライト系のプラスチックマグネットロール13(以下、プラマグロールと略記する)とマグネットブロック15から構成される。なお、符号14は芯金である。マグネットブロック15は現像主磁極を形成するものであり、本例では希土類マグネットを使用している。マグネットブロック15は、プラマグロール13の現像極に相当する部分に形成した溝に填め込まれている。
【0023】
磁石ローラ12は、現像領域部分に現像剤の穂立ちを生じさせる主磁極と、スリーブ上に汲み上げられた現像剤を現像領域まで搬送するための搬送極と、現像後の領域で現像剤を搬送する搬送極とを有し、それらの磁力線を図中に点線で示してある。磁石ローラ12は、スリーブ11内に固定状態で配置されている。なお、本例の磁石ローラ12は現像極を1極(1つのマグネットブロック)で構成しているが、複数のマグネットブロックにより現像極を構成しても良い。
【0024】
さて、本例のマグネットブロック15は、図2に示すように、ブロック本体15aの表面(スリーブ側の面)に凸部15bが形成してある。ブロック本体15aの高さ(現像ローラ10の半径方向)が2.30mm、凸部15bの高さが0.03mmであり、ブロック本体15aの幅(現像ローラ10の半径方向と直交する方向)が2.00mm、凸部15bの幅が1.70mmとなっている。マグネットブロック15の長さ(現像ローラ10の軸方向)は310mmである。凸部15bは、図3に示すように、本体15a上に1つ設けられており、その長さ(現像ローラ10の軸方向)は50mmである。なお、図2(a)はマグネットブロック15の部分平面図、図2(b)は側面図、図2(c)は正面図である。そして、符号16は、製品取り出し時のエジェクタピン跡である。
【0025】
ブロック本体15aの表面に凸部15bを形成したことにより、凸部15bを形成した部分では、現像スリーブ11とマグネットブロック15とのギャップが小さくなり、マグネットブロック表面とスリーブ表面との間での磁束密度の低下を少なくすることができる。このため、図12で説明したような、マグネットブロックの磁力低下が見られる位置(ここでは長手方向中央部)に、凸部15bを設けることにより、磁力低下を補い、他の部分(磁力低下が無い部分)との差を小さくすることができる。
【0026】
本例のマグネットブロック15は、高分子化合物に異方性希土類マグネット紛が分散された希土類マグネット材料を用いて射出磁場成型したものであり、具体的には、材料:Nd−Fe−B磁性紛+12ナイロン、材料特性:BHmax 96.4KJ/m3、成型温度:270℃であり、磁石ローラ12の直径は14.1mm、また、後述する図5の磁気特性は、直径16mmのスリーブ11上でギャップ1mmで測定した。
【0027】
図4に、希土類マグネットの一例における、マグネット表面からの距離による磁束密度変化の様子をグラフにより示す。このグラフに示すように、各サンプリング点を結ぶ線分:yの傾き(磁束密度減衰率)は約−1/73であるので、例えば、磁束密度がマグネット表面で3mT低い個所であれば、3÷73=0.041mmの凸部15bを設けてやれば、現像スリーブ表面での磁束密度の落ち込みを防止することができる。なお、このグラフは、幅:2mm×奥行2mm×高さ3mmの希土類マグネットブロックで測定したものである。
【0028】
図5に、本例のマグネットブロック15の磁束密度(長手方向)を従来のものと比較して示す。すなわち、図5のグラフにおいて、実線で示す本例のマグネットブロック15の磁束密度は、点線で示す従来のマグネットブロックの一例と比較し、長手方向中央部での磁束密度の落ち込みが、中央部に設けた凸部15bにより補われて、長手方向、すなわち現像ローラ軸方向での偏差の少ない希土類マグネットブロックを提供することができる。
【0029】
ところで、図2(c)に示すように、本例のマグネットブロック15は、その凸部15bの両肩部(現像ローラの半径方向に直交する方向の両肩部)が角部となっておらず、丸みを帯びた形状(R形状)となっている。これにより、マグネットブロック15とスリーブ11間の距離を縮めた場合でも、凸部15bの両肩部がスリーブ11に接触しなくなり、マグネットブロック15とスリーブ11間のギャップを小さくすることが可能となる。そのため、より高磁力の現像ローラを得ることができる。
【0030】
また、凸部15bの形状を円弧状断面とすることもできる。すなわち、図2(c)の方向からマグネットブロック15を見たときに、凸部15bの外面形状が円弧状となっているものである。その円弧(凸部)の径をスリーブ11の内径と同じにしてやれば、スリーブ11とのギャップを最小とすることが可能である。
【0031】
なお、本例のマグネットブロック15は、図3に示したように、ブロック長手方向の長さが50mmの凸部15bを設けたものであるが、凸部の長さはこれに限らず、任意なものとすることができる。例えば、図6に示すように、長手方向の全長に亘る凸部15b−2を設けたマグネットブロック15−2とすることもできる。あるいは、図示しないが、ブロック本体15a上に複数の凸部15bを設ける(ブロック長手方向に並べる)ことも可能である。
【0032】
ここで、フィルムゲート方式の金型構造の一例を図7により説明する。
図7において、符号21は材料が成形機から金型に入る入り口であるスプール、符号22は金型内の材料の通り道であるランナー、符号23Bはフィルムゲート、符号25が成形品を取り出すときに突き当てるエジェクタピン、そして、符号26はマグネットブロック製品部である。フィルムゲート23Bは、マグネットブロックのほぼ全長に亘る長さを有している。また、スプールは、ブロック長手方向の端部以外、この金型では中央部にスプール21が設けられている。
【0033】
射出磁場成形では、磁気特性偏差を小さくするためには、射出時に樹脂が製品部に到達する時間を均一にする必要があるが、図7に示す構成の金型の場合、図12で説明したように長手方向中央部で磁束密度が低下することが多い。これは、中央部にウェルドラインが発生しやすいことが要因と考えられる。
【0034】
しかし、図2,3に示したような本例のマグネットブロック15においては、長手方向の中央部に凸部15bを設けることにより、長手方向中央部で発生しやすい磁束密度の低下を防ぐことができる。すなわち、図5で説明したように、長手方向中央部における磁束密度の低下が従来例に比べて緩やかであり、現像ローラ軸方向における磁束密度偏差の少ないマグネットブロック(現像ローラ)を得ることができる。
【0035】
最後に、本発明の適用を現像装置及び画像形成装置に広げて説明する。
図8は、図1に示した現像ローラ10を備える現像装置の概略構成を示す断面図である。この図に示すように、現像装置2には、現像ローラ10が感光体ドラム1に近接するように配置されていて、双方の対向部分には、感光体ドラム1と磁気ブラシが接触する現像領域が形成されている。現像ローラ10は、アルミニウム,真鍮,ステンレス,導電性樹脂などの非磁性体を円筒形に形成してなる現像スリーブ11が不図示の回転駆動機構によって図中時計回りに回転されるようになっている。現像貯留部21の現像剤は、アジテータ22で攪拌されつつ、開口23より現像ローラ10に供給される。なお、符号24は現像貯留部21から現像ローラ10への現像剤供給量を規制する規制部材、符号25はチェーン穂の穂高さ、即ち、現像スリーブ11上の現像剤量を規制するドクタブレードとしての規制部材である。符号26は、現像ローラ10の近傍に設けられた攪拌部材である。
【0036】
現像ローラ10は、現像主磁極を1つのマグネットブロック15(図2)により形成した場合、主磁極の半値幅は25°以下とし、現像磁極の法線方向磁束密度の減衰率を40%以下としている。なお、半値幅とは現像主磁極の法線方向の磁力分布曲線の最高法線磁力(頂点)の半分の値を指す部分の角度幅のことであり、例えばN極によって作成されている磁石の最高法線磁力が120mTであれば60mTの値を指す部分の角度幅のことである。また、現像磁極の法線方向磁束密度の減衰率とは法線方向磁束密度xに対して現像ローラ表面から1mm離れた部分での法線方向磁束密度yがどの程度減衰したかを表す数値(x−y)÷x×100%であり、例えば現像ローラ表面の法線方向磁束密度が100mT、現像ローラ表面から1mm離れた部分での法線方向磁束密度が80mTのとき減衰率は20%となる。
【0037】
本発明に係る現像ローラ10は、プラマグロール13が現像極以外の磁気特性を形成する部分であり、材料としては磁性粉に高分子化合物を混合したプラスチックマグネットもしくはゴムマグネットを用いることが多い。磁性粉としてはSrフェライトもしくはBaフェライトを用い、高分子化合物としては6PAもしくは12PA等のPA系材料、EEA(エチレン・エチル共重合体)・EVA(エチレン・ビニル共重合体)等のエチレン系化合物、CPE(塩素化ポリエチレン)等の塩素系材料、NBR等のゴム材料が使用できる。また、本例ではロール状のマグネットを用いているが、ピース状のマグネットを貼り合わせた構造でも構わない。但し、生産工程を考えた場合ピース成形を行い後に貼り合わせる方式よりロール状のマグネットの一部にマグネットを埋め込む溝を形成し、マグネットピースを貼り合わせる方が工程的に簡素であるためより望ましい。
【0038】
また、主磁石であるマグネットブロック15は幅が狭く高い磁気特性を得るためにBr>0.5Tの材料を用いることが望ましく、多くはNe系(Ne―Fe−B等)またはSm系(Sm―Co、Sm―Fe―N等)の希土類マグネットもしくはこれらのマグネット粉を上記と同様の高分子化合物と混合したプラスチックマグネットもしくはゴムマグネットを用いることができる。本発明によるマグネットブロック15は異方性の希土類マグネットを射出成形して得ている。
【0039】
図9は、図8に示す現像装置2が装着された画像形成装置の作像部を示す断面構成図である。
図9において、静電潜像担持体である感光体ドラム1の周囲には、当該ドラム表面を帯電するための帯電装置32、一様帯電処理面に潜像を形成するためのレーザー光線でなる露光33、ドラム表面の潜像に帯電トナーを付着することでトナー像を形成する現像装置2、形成されたドラム上のトナー像を記録紙へ転写するための転写装置35、ドラム上の残留トナーを除去するためのクリーニング装置37、ドラム上の残留電位を除去するための除電ランプ38が順に配設されている。
【0040】
このような構成において、帯電装置32の帯電ローラによって表面を一様に帯電された感光体1は、露光33によって静電潜像を形成され、現像装置2によってトナー像を形成される。当該トナー像は、転写ベルトなどでなる転写装置35によって、感光体ドラム1表面から、不図示の給紙トレイから搬送された記録紙へ転写される。この転写の際に感光体ドラムに静電的に付着した記録紙は、感光体ドラム1から分離され、そして未定着の記録紙上のトナー像は定着器39によって記録紙に定着される。一方、転写されずに感光体ドラム上に残留したトナーは、クリーニング装置37によって除去され回収される。残留トナーを除去された感光体ドラム1は除電ランプ38で初期化され、次回の画像形成プロセスに供される。なお、符号36は、図示しない給紙トレイからの記録紙を、感光体1上のトナー像にタイミングを合わせて送出するためのレジストローラである。
【0041】
以上、本発明を図示の実施形態により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、マグネットブロックに設ける凸部15の大きさは、現像ローラ半径方向の高さ、その高さに直交する方向の幅、現像ローラ軸方向の長さのいずれも任意である。また、凸部15を設ける位置も任意である。また、マグネットブロックの長手方向全長に亘る凸部を設けることもできる。また、凸部15は1つに限らず、複数であっても良い。
【0042】
また、現像ローラの現像極に相当する部分に設けるマグネットブロックの数は図示例の1個に限るものではなく、2つあるいはそれ以上のマグネットブロックとすることができる。また、現像装置の構成は、適宜変更することができる。もちろん、現像装置が装着される画像形成装置の構成、例えば作像部の構成等は任意な構成とすることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、希土類マグネットブロックにおいて、当該マグネットブロックが、高分子化合物に異方性希土類マグネット粉が分散された組成の材料を用いて射出磁場成形されたものであり、前記マグネットブロックをブロック長手方向に均一断面形状で形成すると磁力低下が認められる個所に、スリーブ側のブロック表面から突出する凸部を設けたので、スリーブとマグネットブロックとのギャップを小さくして磁気特性の落ち込みを補うことが可能となり、長手方向(スリーブ軸方向)における磁束密度偏差の少ないマグネットブロックを得ることができる。
【0044】
請求項2の構成により、マグネットブロックがフィルムゲート方式の射出成形金型を用いて射出磁場成形されたものであり、前記凸部がマグネットブロックの長手方向の中央部付近に設けられているので、長手方向の中央部付近で磁束密度低下の発生し易いフィルムゲート方式の射出成形によるマグネットブロックにおいて、磁気特性の落ち込みを補い、長手方向における磁束密度偏差の少ないマグネットブロックを得ることができる。
【0045】
請求項3の構成により、前記凸部のスリーブ周方向の両肩部が丸みを帯びた形状であるので、マグネットブロックとスリーブとの距離を極力小さくすることができるため、より高磁力の現像ローラが可能となる。
【0046】
請求項4の現像ローラ、請求項5の現像装置及び請求項6の画像形成装置によれば、現像ローラ軸方向における磁束密度偏差を小さくすることができ、良質な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る現像ローラの一例を示す断面図構成図である。
【図2】その現像ローラに備えられる希土類マグネットブロックの要部を拡大して示す3面図である。
【図3】その希土類マグネットブロックの全体を示す平面図である。
【図4】希土類マグネットの一例における、マグネット表面からの距離による磁束密度変化の様子を示すグラフである。
【図5】図3に示すマグネットブロックの磁束密度(長手方向)を従来のものと比較して示すグラフである。
【図6】希土類マグネットブロックの別例を示す平面図である。
【図7】フィルムゲート方式の金型構造の一例を示す説明図である。
【図8】図1に示す現像ローラを備えた現像装置の一例を示す断面構成図である。
【図9】その現像装置を装着した画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
【図10】従来のマグネットブロックにおける長手方向の磁束密度分布と射出成形との関係を示す説明図である。
【図11】各種マグネットブロックの長手方向における磁束密度分布を示すグラフである。
【図12】成形条件等によるマグネットブロックの部分的な磁気特性低下を示すグラフである。
【符号の説明】
10 現像ローラ
11 スリーブ
12 磁石ローラ
13 プラマグロール
15 希土類マグネットブロック
15a ブロック本体
15b 凸部
Claims (6)
- 現像ローラのスリーブ内に配置され、現像主極または主極の補助極を構成するための希土類マグネットブロックにおいて、
前記マグネットブロックが、高分子化合物に異方性希土類マグネット粉が分散された組成の材料を用いて射出磁場成形されたものであり、
前記マグネットブロックをブロック長手方向に均一断面形状で形成すると磁力低下が認められる個所に、前記スリーブ側のブロック表面から突出する凸部を設けたことを特徴とするマグネットブロック。 - 前記マグネットブロックがフィルムゲート方式の射出成形金型を用いて射出磁場成形されたものであり、前記凸部がマグネットブロックの長手方向の中央部付近に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のマグネットブロック。
- 前記凸部のスリーブ周方向の両肩部が丸みを帯びた形状であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のマグネットブロック。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のマグネットブロックを備えることを特徴とする現像ローラ。
- 請求項4に記載の現像ローラを備えることを特徴とする現像装置。
- 請求項5に記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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