JP3988240B2 - 酸化物膜形成用塗布液、酸化物膜形成方法および酸化物膜付き物品 - Google Patents

酸化物膜形成用塗布液、酸化物膜形成方法および酸化物膜付き物品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は酸化物膜形成用塗布液、酸化物膜形成方法および酸化物膜付き物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまで、基体上にさまざまな機能を付与させるために、酸化物膜を形成させる手法が数多く提案されている。現在、多用されている酸化物膜形成方法としては、真空蒸着やスパッタリング、CVD等の乾式法や、ゾルゲル法、スプレー熱分解等の湿式法などがある。このうち、湿式法による成膜は、安価に成膜できる点で工業生産上有利である。
【0003】
湿式法による成膜の代表例にゾルゲル法と呼ばれる方法がある。これは、対応する金属のアルコキシドを加水分解させ、溶液中でメタロキサン結合(M−O−M)を形成させてゾル化し、塗布、加熱を行うことにより成膜する方法で、低反射干渉膜や絶縁膜などの成膜に実績がある。ゾルゲル法は、加水分解条件等を適切に制御することにより均質な膜を形成できるので、最もよく用いられる方法である。
【0004】
遷移金属酸化物をガラス表面に薄膜化して緻密にコーティングすると、そのイオン吸収により、ガラスは様々な着色を見せ、透過率が大きく低下した低透過率性着色ガラスとなる。また緻密で均質な皮膜を形成すれば、吸収性酸化物の特性として、反射率が高まりハーフミラー状を呈することも多い。このような低透過率性着色ガラスは、日射を効果的に遮れるために内部環境の保護につながり、また室内、車内のプライバシー保護にも役立つ。
【0005】
そこで、前述のゾルゲル法によって遷移金属酸化物膜を形成させようとすると、遷移金属アルコキシドがあまり一般的でなく、またきわめて高価な材料であるために、安価な成膜を考える際には問題となっていた。
一方、より安価な金属源である硝酸塩や塩化物、硫酸塩は、入手もしやすいが、これらの金属塩のみではゾルゲル法のような均質で緻密な皮膜が得られないので、耐摩耗性や耐薬品性が乏しく、高耐久の皮膜が得難かった。これを克服するため、特開平9−30836ではエチレングリコールオリゴマーを含む酸化物被膜形成用塗布液が提案されている。この塗布液を基体上に塗布し得られた膜は、比較的均質、かつ緻密な膜であったが、得られた膜の基体への密着性は、より高い摩耗強度が要求される用途、具体的には自動車用のドアガラスなど昇降が繰り返される部位などへの適用が難しいレベルであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記問題点に鑑み、高い耐摩耗性を有する遷移金属酸化物膜を安価に形成させるための塗布液、該塗布液を使用した酸化物膜の形成方法、および酸化物膜付き基体の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、Coの塩、Mnの塩、Cuの塩、Siのアルコキシドまたはその加水分解生成物、および化学式HO(CH CH O) H(ただしnは2〜8の整数)で表されるエチレングリコールオリゴマーの1種以上とを含み、Siのモル比が、塗布液中の全金属に対して0.28以上であることを特徴とする酸化物膜形成用塗布液(以下、単に塗布液という)、該塗布液を使用した酸化物膜の形成方法を提供する。
【0008】
本発明の塗布液によれば、均質で緻密な酸化ケイ素を含有する遷移金属酸化物膜を形成でき、その緻密さと酸化ケイ素特有の性質により、高い耐摩耗性とガラスと同等の低い反射率を有する着色皮膜が得られる。
本発明における金属塩は、塗布液を形成する溶媒に可溶であれば特に限定されないが、水または低級アルコール等の親水性有機溶剤に溶解させやすい硝酸塩が好適である。これは、塗布液に親水性有機溶剤を用いることで後述するエチレングリコールオリゴマーも溶解できるからである
【0009】
また、着色性、特に、意匠性の付与を目的として黒色系の着色膜を形成する場合、本発明における金属塩として、CuおよびMnの塩を用いる。これは、CuとMnが黒色のスピネル結晶化酸化物を形成するためで、膜の黒色系発色とX線回折のスピネル結晶化酸化物のピーク発現とは相関関係を有する。
【0010】
一般に知られているCoやFeを含むスピネル結晶化酸化物は、高温、たとえば800℃で、長時間、たとえば1時間以上焼成されることなどにより生成するが、CuやMnのスピネル結晶化酸化物は、比較的低温で生成しやすく、加熱条件の上限が限られている場合には、非常に有効である。この場合、塗布液中のCu、Mnの組成と成膜後の膜中の組成とは必ずしも一致しない。むしろ、膜組成と同等の比率の液組成では、十分な吸光度を有するスピネル結晶化酸化物膜を得られないことがある。これは、原料の金属源を、エチレングリコールオリゴマーやSiのアルコキシド、キレート等で液中安定化させても、焼成過程で一部昇華して減少したり、あるいは高温で焼成する場合には、金属がイオン化してガラス中にマイグレーションして、結果的に膜中のCu、Mn含有割合が減少することなどが考えられる。
また、Cu、Mnに添加する他の金属成分の金属種と量によって、スピネル結晶化する温度や、膜の耐久性、透過色調などを調整することができる。
【0011】
たとえば、Crを添加すると、より低い焼成条件で結晶化し、黒色グレー発色する。Cr添加系では結晶粒も大きく成長していることなどから推測すると、この原因は、低温結晶化しやすいCr酸化物が核となって、Cu、Mnスピネル結晶化が促進され、Mnの一部がCrに置換されたスピネル結晶化複合酸化物が形成されると考えられる。このときのCr添加量は多いほど、結晶化が促進され低温で結晶化しやすくなり、透過色調は青っぽいグレーとなるが、多すぎると、膜の緻密性が低下して皮膜硬度が低下する。具体的には、Cr/全金属のモル比で、0.01〜0.3とすることが好ましく、0.01〜0.1であることが好ましい。
一方、Fe、Coなどを添加することによって、膜の耐久性を高めたり透過色調を褐色に近づけることができる。このときスピネル結晶化温度は、Cr添加の場合と逆に上昇し、より多くの加熱が必要となることもある。
【0012】
また、酸化物膜の吸光度を増すために、塩化ルテニウム、塩化金酸、塩化白金酸といった貴金属化合物を添加できる。
また、酸化物膜の耐薬品性をさらに向上させたり、屈折率を調整することができることから、Al、TiおよびZrからなる群から選ばれる1種以上の金属のアルコキシドまたはキレートの添加も有効である。
【0013】
本発明の塗布液は、化学式HO(CH2 CH2 O) n H(ただしnは2〜8の整数)で表されるエチレングリコールオリゴマーの1種以上を含む。
本発明におけるエチレングリコールオリゴマーは、分子内にエーテル性酸素、末端には水酸基を有するために、それらの酸素を介して金属イオンに配位をしていることが考えられ、それにより金属塩の熱分解挙動を変化させるものと思われる。
本発明におけるエチレングリコールオリゴマー(以下、単にオリゴマーともいう)は、2量体(すなわち上述の化学式におけるn=2)から8量体(n=8)といった形に重合していることが重要である。
単量体(n=1)、すなわちエチレングリコールでは上記のような均質で緻密な皮膜形成への寄与が小さく、添加の効果が小さい。9量体(n=9)以上の高分子では、金属への配位がうまくいかないためか、効果が得られにくい。
【0014】
これらオリゴマーは、単独で用いてもよく、2種以上の混合物でもよい。また、同じように重合しているよく似た構造のプロピレングリコールの重合体では添加の効果が薄く(緻密な膜ができず剥離等が起こったり、吸光度が上がりにくい)、これは立体的な構造の違いによる金属配位状態の違いが原因であると考えられる。
【0015】
使用できるオリゴマーの具体例としては、ジエチレングリコール(n=2)、トリエチレングリコール(n=3)、テトラエチレングリコール(n=4)、ペンタエチレングリコール(n=5)、ヘキサエチレングリコール(n=6)、ヘプタエチレングリコール(n=7)、オクタエチレングリコール(n=8)、などの単成分のものや、これらを主成分として含み2種以上のオリゴマーの混合物として市販されているポリエチレングリコール#200(平均分子量200)、ポリエチレングリコール#300(平均分子量300)などが挙げられる。
【0016】
これらオリゴマーのうち、形成された皮膜の緻密さ、均質性、または入手のしやすさ等を考慮すると、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。また、ポリエチレングリコール#200(2量体から8量体までの重合体の混合物であり、トリエチレングリコールとテトラエチレングリコールが主成分として含まれているもの)も好ましく用いられる。
【0017】
オリゴマーの添加量としては、ごく微量の添加で効果があるが逆に添加量が多すぎると、金属との配位に関与しないオリゴマーが増えるためか、焼成後の皮膜の均質性を阻害して皮膜の硬度が低下したり、外観を損ねてしまう。特に特開平9−169546に記載されるようなSiを含まない、あるいは含有量が少ない場合には、エチレングリコールオリゴマーの前記金属塩の金属に対するモル比(オリゴマー/金属)が0.3以上であることが好ましいが、本発明においては、より微量の添加量で十分な効果が期待でき、具体的にはオリゴマー/金属が0.3以下であることが好ましい。オリゴマーの添加量は必要最小限にすることが重要である。
【0018】
本発明におけるSiのアルコキシドやキレートは、Si/全金属のモル比が0.28以上となるように含有される。0.28以上とすることで酸化物膜の耐久性、特に実用上重視されることの多い耐摩耗性を、飛躍的に向上することができる。得られる酸化物膜は、高い耐摩耗性を要求される用途、たとえば自動車用のドアガラスなどに十分使用可能な耐久性を発現する。Siの含有量が増えるにしたがって耐摩耗性は向上するが、Cu、Mnスピネル結晶化が、起こりにくくなることがある。この場合、結晶化を促進するために、Cr添加量を増したり、より多くの加熱を行うとよい。十分な耐久性を発現し、かつ結晶化を阻害しないSiの含有量としては、Si/全金属のモル比が0.30〜0.60であること好ましい。
【0019】
Siのアルコキシドまたはその加水分解生成物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどの単量体(n=1)や、前記アルコキシドの縮合体であるヘキサエトキシジシロキサン(n=2)、オクタエトキシトリシロキサン(n=3)、デカエトキシテトラシロキサン(n=4)、エトキシポリシロキサン(n=5)や、単量体と縮合体の混合物であるエチルシリケート40などが挙げられる。
【0020】
さらに、アルコキシ基の一部がアルキル基に置換されたアルキルアルコキシシランも用いられる。アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2−エチルブチル、オクチルなどの直鎖状(または分岐状)のアルキル基や、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基や、ビニル、アリル、γ−メタクリロキシプロピル、γ−アクリロキシプロピル、γ−クロロプロピルなどのアルケニル基や、フェニル、トルイル、キシリルなどのアリール基や、ベンジル、フェネチルなどのアラルキル基、γ−メルカプトプロピル、γ−クロロプロピル、γ−アミノプロピルなどの基などが挙げられる。
【0021】
Siのアルコキシドの加水分解生成物としては、前記の縮合体の他、部分的に加水分解されたものであってもよい。
本発明のSiのアルコキシドの加水分解生成物の合成方法としては、基本的に公知の加水分解の方法が適用されうるが、生成物を制御する上で重要な反応条件の具体例としては、もとのアルコキシドの種類や量、加水分解触媒の量や種類、水の量、反応操作、反応時間、温度、攪拌条件等が挙げられる。
【0022】
本発明においてSiのアルコキシドに水や触媒の添加をするにあたっては、1)Siのアルコキシドと水とを混合する方法、2)Siのアルコキシドと水とを酸の存在下で混合する方法、3)Siのアルコキシドと水とをアルカリの存在下で混合する方法、などの方法を採用するのが好ましい。
たとえば前記の2)の方法における酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、燐酸、酢酸、ぎ酸、メタンスルホン酸、または金属硝酸塩などが有効である。また3)の方法におけるアルカリとしてはアンモニアなどを用いる。
【0023】
本発明の塗布液に用いる溶媒としては、前述のように金属塩とオリゴマーとを同時に溶解させ、かつ金属塩とオリゴマーとの反応生成物(錯体)を溶解させうる溶媒が用いられる。
溶媒として使用されるものの具体例を挙げれば、水、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、へキシレングリコール等の水溶性ジオール、セロソルブ類、カルビトール類といったエーテルアルコール系溶剤が挙げられる。
【0024】
また、単に溶媒としてだけではなく、塗布液中で一部金属に配位してキレートを形成し金属源の安定化に寄与するものもある。例えば、エーテルアルコール系の溶媒、ジオール系(特にヘキシレングリコール)の溶媒などが挙げられる。
【0025】
本発明の塗布液を基体上に塗布し、300℃以上の温度で焼成することにより酸化物膜が形成される。
300℃未満の温度では分解が進みにくい。温度の上限は特になく、基体の耐熱温度まで、たとえば通常のソーダライムガラスであれば650〜700℃程度まで加熱ができ、温度が高くなるほど酸化物膜は緻密化する。
本発明における酸化物膜の膜厚(幾何学的膜厚)は、特に限定されないが、意匠性や実用上の耐久性の観点から、20〜500nmであることが好ましく、特に50〜400nmが好ましい。膜厚を調整することにより、所望の可視光線透過率のガラスを得ることが可能である。
【0026】
また、酸化ケイ素を含む膜をガラスなどの基体に形成する場合、高温で加熱すると膜の収縮に伴って基体が反ってしまうという問題が生じやすいが、本発明においては、このような問題は生じにくい。これは、本発明における塗布液が金属の塩を含む結果、得られる膜の熱膨張率がガラスと同等かむしろ大きくなり、厚膜を形成しても高温焼成時の基体の反りが生じ難くなるためと考えられる。
【0027】
また、基体上に、本発明の塗布液を塗布、加熱して形成した酸化物膜(下層膜)上に、さらに本発明の塗布液を塗布することにより、下層膜の細孔中に塗布液が浸透する。塗布後、300℃以上の温度に加熱することにより、さらに緻密で高耐久の多層の酸化物膜が得られる。
多層の酸化物膜は同じ組成の塗布液を用いて多層膜としてもよく、異なる組成の塗布液を用いて多層膜としてもよい。
【0028】
透明基体(例えばガラス)の遮光性付与を目的とする場合、1層で目標の値まで透過率を下げるのに比べ、2層に分けた方がより薄い膜厚で加熱、熱分解できるため、より緻密な膜が得られる。しかも、1層目の熱分解で生じた多孔質膜の細孔中に塗布液が浸透し、さらに緻密で高耐久の膜が得られる。
【0029】
多層とした場合、酸化物膜の合計膜厚は、特に限定されないが、実用上の耐久性の観点から、20〜500nmであることが好ましく、特に50〜400nmが好ましい。多層膜の場合、それぞれの層の膜厚は特に限定されず、所望の膜厚で形成することができる。2層目を薄く、たとえば100nm以下程度で形成すると、膜の表面の緻密性が増し、摩耗などに対する耐久性が向上する。また、逆に1層目を薄く形成して、基体と2層目の密着性を増すといった膜構成も有効である。
【0030】
塗布液の基体への塗布方法は特に限定されず、公知の方法、すなわちスピンコート、ディップコート、スプレーコート、メニスカスコート、フローコート、転写印刷、スクリーン印刷等などから選択して使用できる。
基体としては300℃以上の耐熱性があることが好ましく、例えばガラス、セラミックス等が用いられる。
【0031】
本発明は、基体(特に透明基体)上に前記酸化物膜形成方法により酸化物膜が形成された酸化物膜付き物品を提供する。本発明は、自動車用窓ガラス(特に昇降する自動車用窓ガラス)上に前記の酸化物膜形成方法により酸化物膜が形成された酸化物膜付き自動車用窓ガラスの提供に好ましく用いられる。
【0032】
【実施例】
以下に本発明の詳細を実施例(例1〜10、13〜15)および比較例(例11、12)を挙げて示すが、本発明はこれらに限定されない。
以下の例に用いた基体としてのガラスはすべてフロート法により製造された4mm厚のグリーン色熱線吸収ガラス(可視光透過率79%、可視光反射率8%)である。
表1(金属源の種類と量(単位:g)、オリゴマーの種類と量(単位:g)および溶媒)に示す割合で原料を混合し、50℃で2時間撹拌したものを塗布液とした。なお、表1で用いた略称は表3に示す。SiOR以外の金属源は硝酸塩である。Cr/全金属のモル比(C/M)、Si/全金属のモル比(S/M)、オリゴマー/金属のモル比(EG/M)も表1に示す。
【0033】
例1〜8、11、12においては、上記基板にスピンコータを用いて塗布後、焼成して、反射率10%以下の試料を得た。例9、10においては、例1同様に、上記基板にスピンコータを用いて下層液を塗布し、500℃で2分間焼成して下層を形成した後、スピンコータを用いて上層液を塗布、焼成して上層を形成し、反射率10%以下の試料を得た。
【0034】
例13においては、基体としてフロート法により製造された4mm厚のグリーン色熱線吸収ガラス(可視光透過率79%、可視光反射率8%)で形成された自動車のサイドドアに用いる窓ガラスを用い、表1に示す塗布液をフレキソ印刷法により塗布後、表2に示す条件で焼成して膜を形成した。
【0035】
また、例14においては、例13におけるフレキソ印刷法に変えてディップコート法を用いて表1に示す塗布液を塗布し、表2に示す条件で焼成した以外は例13と同様に行った。
また、例15においては、例13におけるフレキソ印刷法に変えてダイコート法を用いて表1に示す塗布液を塗布し、表2に示す条件で焼成した以外は例13と同様に行った。なお、例15については、外観向上を目的として、溶媒は3種混合溶媒を用い、その比率は、HG/iPA/PGMAC=25/55/20とした。
【0036】
最外層の酸化物膜の焼成条件、合計膜厚、得られた試料の可視光透過率(JIS−R3106による)、透過色、耐摩耗性を表2に示す。耐摩耗性は、荷重500g/cm2 、1000回転のテーバー摩耗試験(JIS−R3212による)後のヘイズ値変化ΔH(%)の結果を示した。
例13〜15で得られた自動車用サイドドアガラスは、実用上十分な耐摩耗性を有していることが確認された。
【0037】
【表1】
Figure 0003988240
【0038】
【表2】
Figure 0003988240
【0039】
【表3】
Figure 0003988240
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、きわめて耐摩耗性の高い遷移金属酸化物膜を容易に形成できる。また、高い耐摩耗性を要求される自動車用ドアガラスなどに使用可能な高意匠性のガラスを、生産性良く、低コストで生産できる。

Claims (6)

  1. Coの塩、Mnの塩、Cuの塩、Siのアルコキシドまたはその加水分解生成物、および化学式HO(CH CH O) H(ただしnは2〜8の整数)で表されるエチレングリコールオリゴマーの1種以上とを含み、Siのモル比が、塗布液中の全金属に対して0.28以上であることを特徴とする酸化物膜形成用塗布液。
  2. 前記塗布液がさらにCrの塩を含み、かつCrの塩の添加量がCr/全金属のモル比で0.01〜0.3である請求項記載の酸化物膜形成用塗布液。
  3. エチレングリコールオリゴマーが、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上である請求項1または2に記載の酸化物膜形成用塗布液。
  4. 前記エチレングリコールオリゴマーの前記金属塩の金属に対するモル比が0.3以下である請求項1〜のいずれか1項記載の酸化物膜形成用塗布液。
  5. 請求項1〜のいずれか1項記載の酸化物膜形成用塗布液を基体上に塗布し、300℃以上の温度で焼成することを特徴とする酸化物膜形成方法。
  6. 基体上に請求項記載の酸化物膜形成方法により酸化物膜が形成されたことを特徴とする酸化物膜付き物品。
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