JPH11269405A - 酸化物膜形成用塗布液、酸化物膜形成方法および酸化物膜付き物品 - Google Patents

酸化物膜形成用塗布液、酸化物膜形成方法および酸化物膜付き物品

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JPH11269405A
JPH11269405A JP7084998A JP7084998A JPH11269405A JP H11269405 A JPH11269405 A JP H11269405A JP 7084998 A JP7084998 A JP 7084998A JP 7084998 A JP7084998 A JP 7084998A JP H11269405 A JPH11269405 A JP H11269405A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高耐久性遷移金属酸化物膜を安価に形成させる
ための塗布液、酸化物膜の形成方法、該方法により得ら
れる金属酸化物膜、および、該膜を形成した物品の提
供。 【解決手段】Co、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Z
nおよびランタノイド(La〜Lu)からなる群から選
ばれる1種以上の金属の塩と、Siのアルコキシドまた
はキレートとを含み、Siの原子比が、全金属に対して
0.28以上であることを特徴とする酸化物膜形成用塗
布液、酸化物膜形成方法および酸化物膜付き物品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸化物膜形成用塗布
液、酸化物膜形成方法および酸化物膜付き物品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】これまで、基体上にさまざまな機能を付
与させるために、酸化物膜を形成させる手法が数多く提
案されている。現在、多用されている酸化物膜形成方法
としては、真空蒸着やスパッタリング、CVD等の乾式
法や、ゾルゲル法、スプレー熱分解等の湿式法などがあ
る。このうち、湿式法による成膜は、安価に成膜できる
点で工業生産上有利である。
【0003】湿式法による成膜の代表例にゾルゲル法と
呼ばれる方法がある。これは、対応する金属のアルコキ
シドを加水分解させ、溶液中でメタロキサン結合(M−
O−M)を形成させてゾル化し、塗布、加熱を行うこと
により成膜する方法で、低反射干渉膜や絶縁膜などの成
膜に実績がある。ゾルゲル法は、加水分解条件等を適切
に制御することにより均質な膜を形成できるので、最も
よく用いられる方法である。
【0004】遷移金属酸化物をガラス表面に薄膜化して
緻密にコーティングすると、そのイオン吸収により、ガ
ラスは様々な着色を見せ、透過率が大きく低下した低透
過率性着色ガラスとなる。また緻密で均質な皮膜を形成
すれば、吸収性酸化物の特性として、反射率が高まりハ
ーフミラー状を呈することも多い。このような低透過率
性着色ガラスは、日射を効果的に遮れるために内部環境
の保護につながり、また室内、車内のプライバシー保護
にも役立つ。
【0005】そこで、前述のゾルゲル法によって遷移金
属酸化物膜を形成させようとすると、遷移金属アルコキ
シドがあまり一般的でなく、またきわめて高価な材料で
あるために、安価な成膜を考える際には問題となってい
た。一方、より安価な金属源である硝酸塩や塩化物、硫
酸塩は、入手もしやすいが、これらの金属塩のみではゾ
ルゲル法のような均質で緻密な皮膜が得られないので、
耐摩耗性や耐薬品性が乏しく、高耐久の皮膜が得難かっ
た。これを克服するため、特開平9−30836ではエ
チレングリコールオリゴマーを含む酸化物被膜形成用塗
布液が提案されている。この塗布液を基体上に塗布し得
られた膜は、比較的均質、かつ緻密な膜であったが、得
られた膜の基体への密着性は、より高い摩耗強度が要求
される用途、具体的には自動車用のドアガラスなど昇降
が繰り返される部位などへの適用が難しいレベルであっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題点
に鑑み、高い耐摩耗性を有する遷移金属酸化物膜を安価
に形成させるための塗布液、該塗布液を使用した酸化物
膜の形成方法、および酸化物膜付き基体の提供を目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、Co、Cr、
Mn、Fe、Ni、Cu、Znおよびランタノイド(L
a〜Lu)からなる群から選ばれる1種以上の金属の塩
と、Siのアルコキシドまたはキレートとを含み、Si
の原子比が、塗布液中の全金属に対して0.28以上で
あることを特徴とする酸化物膜形成用塗布液(以下、単
に塗布液という)、該塗布液を使用した酸化物膜の形成
方法を提供する。
【0008】本発明の塗布液によれば、均質で緻密な酸
化ケイ素を含有する遷移金属酸化物膜を形成でき、その
緻密さと酸化ケイ素特有の性質により、高い耐摩耗性と
ガラスと同等の低い反射率を有する着色皮膜が得られ
る。本発明における金属塩は、塗布液を形成する溶媒に
可溶であれば特に限定されないが、水または低級アルコ
ール等の親水性有機溶剤に溶解させやすい硝酸塩が好適
である。これは、塗布液に親水性有機溶剤を用いること
で後述するエチレングリコールオリゴマーも溶解できる
からである。また、金属塩は1種類の金属塩でもよく、
数種類の金属塩を混合して用いてもよい。
【0009】また、着色性、特に、意匠性の付与を目的
として黒色系の着色膜を形成する場合、本発明における
金属塩として、Cuおよび/またはMnの塩を用いるこ
とが好ましい。これは、CuとMnが黒色のスピネル結
晶化酸化物を形成するためで、膜の黒色系発色とX線回
折のスピネル結晶化酸化物のピーク発現とは相関関係を
有する。
【0010】一般に知られているCoやFeを含むスピ
ネル結晶化酸化物は、高温、たとえば800℃で、長時
間、たとえば1時間以上焼成されることなどにより生成
するが、CuやMnのスピネル結晶化酸化物は、比較的
低温で生成しやすく、加熱条件の上限が限られている場
合には、非常に有効である。この場合、塗布液中のC
u、Mnの組成と成膜後の膜中の組成とは必ずしも一致
しない。むしろ、膜組成と同等の比率の液組成では、十
分な吸光度を有するスピネル結晶化酸化物膜を得られな
いことがある。これは、原料の金属源を、エチレングリ
コールオリゴマーやSiのアルコキシド、キレート等で
液中安定化させても、焼成過程で一部昇華して減少した
り、あるいは高温で焼成する場合には、金属がイオン化
してガラス中にマイグレーションして、結果的に膜中の
Cu、Mn含有割合が減少することなどが考えられる。
また、Cu、Mnに添加する他の金属成分の金属種と量
によって、スピネル結晶化する温度や、膜の耐久性、透
過色調などを調整することができる。
【0011】たとえば、Crを添加すると、より低い焼
成条件で結晶化し、黒色グレー発色する。Cr添加系で
は結晶粒も大きく成長していることなどから推測する
と、この原因は、低温結晶化しやすいCr酸化物が核と
なって、Cu、Mnスピネル結晶化が促進され、Mnの
一部がCrに置換されたスピネル結晶化複合酸化物が形
成されると考えられる。このときのCr添加量は多いほ
ど、結晶化が促進され低温で結晶化しやすくなり、透過
色調は青っぽいグレーとなるが、多すぎると、膜の緻密
性が低下して皮膜硬度が低下する。具体的には、Cr/
全金属のモル比で、0.01〜0.3とすることが好ま
しく、0.01〜0.1であることが好ましい。一方、
Fe、Coなどを添加することによって、膜の耐久性を
高めたり透過色調を褐色に近づけることができる。この
ときスピネル結晶化温度は、Cr添加の場合と逆に上昇
し、より多くの加熱が必要となることもある。
【0012】また、酸化物膜の吸光度を増すために、塩
化ルテニウム、塩化金酸、塩化白金酸といった貴金属化
合物を添加できる。また、酸化物膜の耐薬品性をさらに
向上させたり、屈折率を調整することができることか
ら、Al、TiおよびZrからなる群から選ばれる1種
以上の金属のアルコキシドまたはキレートの添加も有効
である。
【0013】本発明の塗布液は、化学式HO(CH2
2 O)n H(ただしnは2〜8の整数)で表されるエ
チレングリコールオリゴマーの1種以上を含むことが好
ましい。本発明におけるエチレングリコールオリゴマー
は、分子内にエーテル性酸素、末端には水酸基を有する
ために、それらの酸素を介して金属イオンに配位をして
いることが考えられ、それにより金属塩の熱分解挙動を
変化させるものと思われる。本発明におけるエチレング
リコールオリゴマー(以下、単にオリゴマーともいう)
は、2量体(すなわち上述の化学式におけるn=2)か
ら8量体(n=8)といった形に重合していることが重
要である。単量体(n=1)、すなわちエチレングリコ
ールでは上記のような均質で緻密な皮膜形成への寄与が
小さく、添加の効果が小さい。9量体(n=9)以上の
高分子では、金属への配位がうまくいかないためか、効
果が得られにくい。
【0014】これらオリゴマーは、単独で用いてもよ
く、2種以上の混合物でもよい。また、同じように重合
しているよく似た構造のプロピレングリコールの重合体
では添加の効果が薄く(緻密な膜ができず剥離等が起こ
ったり、吸光度が上がりにくい)、これは立体的な構造
の違いによる金属配位状態の違いが原因であると考えら
れる。
【0015】使用できるオリゴマーの具体例としては、
ジエチレングリコール(n=2)、トリエチレングリコ
ール(n=3)、テトラエチレングリコール(n=
4)、ペンタエチレングリコール(n=5)、ヘキサエ
チレングリコール(n=6)、ヘプタエチレングリコー
ル(n=7)、オクタエチレングリコール(n=8)、
などの単成分のものや、これらを主成分として含み2種
以上のオリゴマーの混合物として市販されているポリエ
チレングリコール#200(平均分子量200)、ポリ
エチレングリコール#300(平均分子量300)など
が挙げられる。
【0016】これらオリゴマーのうち、形成された皮膜
の緻密さ、均質性、または入手のしやすさ等を考慮する
と、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールお
よびテトラエチレングリコールからなる群から選ばれる
1種以上が好ましい。また、、ポリエチレングリコール
#200(2量体から8量体までの重合体の混合物であ
り、トリエチレングリコールとテトラエチレングリコー
ルが主成分として含まれているもの)も好ましく用いら
れる。
【0017】オリゴマーの添加量としては、ごく微量の
添加で効果があるが逆に添加量が多すぎると、金属との
配位に関与しないオリゴマーが増えるためか、焼成後の
皮膜の均質性を阻害して皮膜の硬度が低下したり、外観
を損ねてしまう。特に特開平9−169546に記載さ
れるようなSiを含まない、あるいは含有量が少ない場
合には、エチレングリコールオリゴマーの前記金属塩の
金属に対するモル比(オリゴマー/金属)が0.3以上
であることが好ましいが、本発明においては、より微量
の添加量で十分な効果が期待でき、具体的にはオリゴマ
ー/金属が0.3以下であることが好ましい。オリゴマ
ーの添加量は必要最小限にすることが重要である。
【0018】本発明におけるSiのアルコキシドやキレ
ートは、Si/全金属のモル比が0.28以上となるよ
うに含有される。0.28以上とすることで酸化物膜の
耐久性、特に実用上重視されることの多い耐摩耗性を、
飛躍的に向上することができる。得られる酸化物膜は、
高い耐摩耗性を要求される用途、たとえば自動車用のド
アガラスなどに十分使用可能な耐久性を発現する。Si
の含有量が増えるにしたがって耐摩耗性は向上するが、
Cu、Mnスピネル結晶化が、起こりにくくなることが
ある。この場合、結晶化を促進するために、Cr添加量
を増したり、より多くの加熱を行うとよい。十分な耐久
性を発現し、かつ結晶化を阻害しないSiの含有量とし
ては、Si/全金属のモル比が0.30〜0.60であ
ること好ましい。
【0019】Siのアルコキシドまたはその加水分解生
成物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシ
シラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラ
ンなどの単量体(n=1)や、前記アルコキシドの縮合
体であるヘキサエトキシジシロキサン(n=2)、オク
タエトキシトリシロキサン(n=3)、デカエトキシテ
トラシロキサン(n=4)、エトキシポリシロキサン
(n=5)や、単量体と縮合体の混合物であるエチルシ
リケート40などが挙げられる。
【0020】さらに、アルコキシ基の一部がアルキル基
に置換されたアルキルアルコキシシランも用いられる。
アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、2−エチルブチル、オクチルなどの直鎖状(または
分岐状)のアルキル基や、シクロペンチル、シクロヘキ
シルなどのシクロアルキル基や、ビニル、アリル、γ−
メタクリロキシプロピル、γ−アクリロキシプロピル、
γ−クロロプロピルなどのアルケニル基や、フェニル、
トルイル、キシリルなどのアリール基や、ベンジル、フ
ェネチルなどのアラルキル基、γ−メルカプトプロピ
ル、γ−クロロプロピル、γ−アミノプロピルなどの基
などが挙げられる。
【0021】Siのアルコキシドの加水分解生成物とし
ては、前記の縮合体の他、部分的に加水分解されたもの
であってもよい。本発明のSiのアルコキシドの加水分
解生成物の合成方法としては、基本的に公知の加水分解
の方法が適用されうるが、生成物を制御する上で重要な
反応条件の具体例としては、もとのアルコキシドの種類
や量、加水分解触媒の量や種類、水の量、反応操作、反
応時間、温度、攪拌条件等が挙げられる。
【0022】本発明においてSiのアルコキシドに水や
触媒の添加をするにあたっては、1)Siのアルコキシ
ドと水とを混合する方法、2)Siのアルコキシドと水
とを酸の存在下で混合する方法、3)Siのアルコキシ
ドと水とをアルカリの存在下で混合する方法、などの方
法を採用するのが好ましい。たとえば前記の2)の方法
における酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、燐酸、酢酸、
ぎ酸、メタンスルホン酸、または金属硝酸塩などが有効
である。また3)の方法におけるアルカリとしてはアン
モニアなどを用いる。
【0023】本発明の塗布液に用いる溶媒としては、前
述のように金属塩とオリゴマーとを同時に溶解させ、か
つ金属塩とオリゴマーとの反応生成物(錯体)を溶解さ
せうる溶媒が用いられる。溶媒として使用されるものの
具体例を挙げれば、水、メタノール、エタノール、プロ
パノール等の低級アルコール、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、へキシレングリコール等の水溶性
ジオール、セロソルブ類、カルビトール類といったエー
テルアルコール系溶剤が挙げられる。
【0024】また、単に溶媒としてだけではなく、塗布
液中で一部金属に配位してキレートを形成し金属源の安
定化に寄与するものもある。例えば、エーテルアルコー
ル系の溶媒、ジオール系(特にヘキシレングリコール)
の溶媒などが挙げられる。
【0025】本発明の塗布液を基体上に塗布し、300
℃以上の温度で焼成することにより酸化物膜が形成され
る。300℃未満の温度では分解が進みにくい。温度の
上限は特になく、基体の耐熱温度まで、たとえば通常の
ソーダライムガラスであれば650〜700℃程度まで
加熱ができ、温度が高くなるほど酸化物膜は緻密化す
る。本発明における酸化物膜の膜厚(幾何学的膜厚)
は、特に限定されないが、意匠性や実用上の耐久性の観
点から、20〜500nmであることが好ましく、特に
50〜400nmが好ましい。膜厚を調整することによ
り、所望の可視光線透過率のガラスを得ることが可能で
ある。
【0026】また、酸化ケイ素を含む膜をガラスなどの
基体に形成する場合、高温で加熱すると膜の収縮に伴っ
て基体が反ってしまうという問題が生じやすいが、本発
明においては、このような問題は生じにくい。これは、
本発明における塗布液が金属の塩を含む結果、得られる
膜の熱膨張率がガラスと同等かむしろ大きくなり、厚膜
を形成しても高温焼成時の基体の反りが生じ難くなるた
めと考えられる。
【0027】また、基体上に、本発明の塗布液を塗布、
加熱して形成した酸化物膜(下層膜)上に、さらに本発
明の塗布液を塗布することにより、下層膜の細孔中に塗
布液が浸透する。塗布後、300℃以上の温度に加熱す
ることにより、さらに緻密で高耐久の多層の酸化物膜が
得られる。多層の酸化物膜は同じ組成の塗布液を用いて
多層膜としてもよく、異なる組成の塗布液を用いて多層
膜としてもよい。
【0028】透明基体(例えばガラス)の遮光性付与を
目的とする場合、1層で目標の値まで透過率を下げるの
に比べ、2層に分けた方がより薄い膜厚で加熱、熱分解
できるため、より緻密な膜が得られる。しかも、1層目
の熱分解で生じた多孔質膜の細孔中に塗布液が浸透し、
さらに緻密で高耐久の膜が得られる。
【0029】多層とした場合、酸化物膜の合計膜厚は、
特に限定されないが、実用上の耐久性の観点から、20
〜500nmであることが好ましく、特に50〜400
nmが好ましい。多層膜の場合、それぞれの層の膜厚は
特に限定されず、所望の膜厚で形成することができる。
2層目を薄く、たとえば100nm以下程度で形成する
と、膜の表面の緻密性が増し、摩耗などに対する耐久性
が向上する。また、逆に1層目を薄く形成して、基体と
2層目の密着性を増すといった膜構成も有効である。
【0030】塗布液の基体への塗布方法は特に限定され
ず、公知の方法、すなわちスピンコート、ディップコー
ト、スプレーコート、メニスカスコート、フローコー
ト、転写印刷、スクリーン印刷等などから選択して使用
できる。基体としては300℃以上の耐熱性があること
が好ましく、例えばガラス、セラミックス等が用いられ
る。
【0031】本発明は、基体(特に透明基体)上に前記
酸化物膜形成方法により酸化物膜が形成された酸化物膜
付き物品を提供する。本発明は、自動車用窓ガラス(特
に昇降する自動車用窓ガラス)上に前記の酸化物膜形成
方法により酸化物膜が形成された酸化物膜付き自動車用
窓ガラスの提供に好ましく用いられる。
【0032】
【実施例】以下に本発明の詳細を実施例(例1〜10、
13〜15)および比較例(例11、12)を挙げて示
すが、本発明はこれらに限定されない。以下の例に用い
た基体としてのガラスはすべてフロート法により製造さ
れた4mm厚のグリーン色熱線吸収ガラス(可視光透過
率79%、可視光反射率8%)である。表1(金属源の
種類と量(単位:g)、オリゴマーの種類と量(単位:
g)および溶媒)に示す割合で原料を混合し、50℃で
2時間撹拌したものを塗布液とした。なお、表1で用い
た略称は表3に示す。SiOR以外の金属源は硝酸塩で
ある。Cr/全金属のモル比(C/M)、Si/全金属
のモル比(S/M)、オリゴマー/金属のモル比(EG
/M)も表1に示す。
【0033】例1〜8、11、12においては、上記基
板にスピンコータを用いて塗布後、焼成して、反射率1
0%以下の試料を得た。例9、10においては、例1同
様に、上記基板にスピンコータを用いて下層液を塗布
し、500℃で2分間焼成して下層を形成した後、スピ
ンコータを用いて上層液を塗布、焼成して上層を形成
し、反射率10%以下の試料を得た。
【0034】例13においては、基体としてフロート法
により製造された4mm厚のグリーン色熱線吸収ガラス
(可視光透過率79%、可視光反射率8%)で形成され
た自動車のサイドドアに用いる窓ガラスを用い、表1に
示す塗布液をフレキソ印刷法により塗布後、表2に示す
条件で焼成して膜を形成した。
【0035】また、例14においては、例13における
フレキソ印刷法に変えてディップコート法を用いて表1
に示す塗布液を塗布し、表2に示す条件で焼成した以外
は例13と同様に行った。また、例15においては、例
13におけるフレキソ印刷法に変えてダイコート法を用
いて表1に示す塗布液を塗布し、表2に示す条件で焼成
した以外は例13と同様に行った。なお、例15につい
ては、外観向上を目的として、溶媒は3種混合溶媒を用
い、その比率は、HG/iPA/PGMAC=25/5
5/20とした。
【0036】最外層の酸化物膜の焼成条件、合計膜厚、
得られた試料の可視光透過率(JIS−R3106によ
る)、透過色、耐摩耗性を表2に示す。耐摩耗性は、荷
重500g/cm2 、1000回転のテーバー摩耗試験
(JIS−R3212による)後のヘイズ値変化ΔH
(%)の結果を示した。例13〜15で得られた自動車
用サイドドアガラスは、実用上十分な耐摩耗性を有して
いることが確認された。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、きわめて耐摩耗性の高
い遷移金属酸化物膜を容易に形成できる。また、高い耐
摩耗性を要求される自動車用ドアガラスなどに使用可能
な高意匠性のガラスを、生産性良く、低コストで生産で
きる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Co、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Z
    nおよびランタノイド(La〜Lu)からなる群から選
    ばれる1種以上の金属の塩と、Siのアルコキシドまた
    はその加水分解生成物とを含み、Siの原子比が、塗布
    液中の全金属に対して0.28以上であることを特徴と
    する酸化物膜形成用塗布液。
  2. 【請求項2】前記金属塩がCuおよび/またはMnの塩
    である請求項1記載の酸化物膜形成用塗布液。
  3. 【請求項3】前記金属塩が硝酸塩である請求項1または
    2記載の酸化物膜形成用塗布液。
  4. 【請求項4】化学式HO(CH2 CH2 O)n H(ただ
    しnは2〜8の整数)で表されるエチレングリコールオ
    リゴマーの1種以上を含む請求項1〜3のいずれか1項
    記載の酸化物膜形成用塗布液。
  5. 【請求項5】エチレングリコールオリゴマーが、ジエチ
    レングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラ
    エチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上で
    ある請求項1〜4のいずれか1項記載の酸化物膜形成用
    塗布液。
  6. 【請求項6】前記エチレングリコールオリゴマーの前記
    金属塩の金属に対するモル比が0.3以下である請求項
    1〜5のいずれか1項記載の酸化物膜形成用塗布液。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれか1項記載の酸化物
    膜形成用塗布液を基体上に塗布し、300℃以上の温度
    で焼成することを特徴とする酸化物膜形成方法。
  8. 【請求項8】基体上に請求項7記載の酸化物膜形成方法
    により酸化物膜が形成されたことを特徴とする酸化物膜
    付き物品。
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