JP3988160B2 - 自動車用錠 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自転車に取付け位置を異にして取り付けた2個の錠前を連動させるようにした自転車用錠に関し、例えば後輪用に取り付けたサークル錠の施錠動作に、前輪用に取り付けた箱錠の閂杆の施錠動作を連動させるようにしたことを特長とするものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の自転車用錠には、前輪用の錠前と後輪用の錠前の施錠動作と開錠動作を互いに連動させるようにしたものがある(例えば、特許文献1)。この先願の自転車用錠は、前輪用と後輪用にそれぞれ施錠機構なしのサークル錠を用い、この前後2個の錠前の閂杆に、レリースワイヤーとしてフレキシブルロッドを接続し、該フレキシブルロッドの中間に両方の錠前を同時に施錠、開錠させるようにした施錠機構を設け、この施錠機構を内蔵した錠ケースを自転車のシートパイプに取り付けるようにしていた。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−59524号公報 (第1頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記先願の自転車用錠は、シートパイプという車体の中央部に取り付けられる錠ケースに内蔵させた施錠機構の操作によって前後にある2個の錠前を同時に作動させられる点で使用上に便利で優れているが、通常の錠前とは異なり施錠機構を備えていない錠前を専用に製作する必要があること、両方の錠前に施錠動作をさせる施錠機構を備えた錠ケースを特別に製作し、これをシートパイプに取り付けなければならないこと、などから部品の製造、組立、取り付けにそれぞれ手数を要し、コスト高になる欠点があった。
このようなことから、本発明が解決しようとする課題は、別の位置に取り付けられて同時に施錠、開錠動作をする2個の自転車用錠の製作と取り付けを容易にして、コストダウンができるようにすることにある。
【0005】
上記の課題を解決するために本発明は、車体に対して取付け位置を別にして取り付けられる2個の錠前の内の一方のサークル錠前の閂杆に従動する摺動板にレリースワイヤーの基端部を接続して、この錠前の摺動板の動作にレリースワイヤーを従動させる一方、他方の錠前の内部に導入した上記レリースワイヤーの他端部を、該錠前内に設置した伝動手段の一端に接続し、この伝動手段に設けた伝動部を該錠前内に備えられた閂杆に連結して、前記一方のサークル錠前の施錠動作に上記レリースワイヤーと伝動手段とその伝動部を介して上記他方の錠前の閂杆の施錠動作を連動させるように構成した自転車用錠であって、サークル錠前の閂杆の摺動行程の中間で閂杆の中間に設けた係合ピンをレリースワイヤーの基端部が固定される摺動板に係合させ、その係合区間に限ってレリースワイヤーの基端部を従動させることを特徴とする自転車用錠を提供するものである。
【0006】
上記のように構成した本発明自転車用錠は、それぞれに施錠機構を備えた通常の錠前とほぼ同じ構造の錠前を使用するので、製作が容易である。本発明に使用する錠前にはレリースワイヤーを挿通するための導入部を設けることと、他方の錠前の内部に伝動手段とその伝動部を設ける必要があるが、その改造の手間と費用は少なく、安価に製作できる。また、本発明によれば、レリースワイヤーの中間に備える錠ケースが不要になるので、錠全体の製造と組立のコストダウンができる。また、車体への取り付けが容易になる。以上のようにして本発明は前記の課題を解決したものである。
【0007】
一方のサークル錠の器体に設けた導入部から導入した前記レリースワイヤーの基端部を上記円弧形の閂杆に従動する摺動板に接続し、このサークル錠を後ホークに取り付けて、自転車の後輪を施錠させるように備える一方、前記他方の錠前に直線型の閂杆を備えた箱錠を用い、この箱錠に設けた導入部から導入した上記レリースワイヤーの他端部を、該箱錠内に前記伝動手段として備えた滑車部材の一端に接続し、該滑車部材の他端に前記伝動部としてピンを設け、このピンを上記直線型の閂杆に一体に設けた溝カムに嵌合し、この箱錠を前ホークに取り付けて、自転車の前輪を施錠させるように備え、上記レリースワイヤーを、上記サークル錠内に備えられた円弧形の閂杆の施錠動作に連動させて、上記滑車部材とピンと溝カムを介して上記箱錠内の閂杆を施錠動作させるように構成した本願請求項2の発明によれば、取付けが簡単にでき、施錠の信頼性に優れた自転車用錠を提供できる。
【0008】
サークル錠に備えた円弧形の閂杆に妄りに施錠動作を起こさせないようにしたセフテイ機構として、施錠操作摘みが固定された閂杆を誘導する円弧溝の開錠位置に外側方に突出する切欠部を設け、前記施錠操作摘みの頭部に外側面に開口する中空室を設け、この中空室内にばねと共に押釦を嵌合し、このばねに常時押釦を付勢させて、該押釦の下部を上記切欠部に掛止させるようにしたストッパーを設けた請求項3の発明によれば、施錠操作摘みに常時ストッパーが掛かっていて、意識的に押釦を押圧しない限り、妄りに施錠動作を起こさない。また、このセフテイ機構Sは、例えば親指で押釦を押して切欠部から押釦の下部を外すストッパーの解除操作と、施錠操作摘みを押し下げる施錠操作とがほとんど連続的にできる一方、閂杆の開錠位置への復帰とともに、ばねに付勢される押釦の下部が切欠部に自動的に係合してストッパーが掛かる。
【0009】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面について説明する。
図面に示す実施例は、一方の錠前にサークル錠Aを用いて後輪を施錠させ、他方の錠前に箱錠Bを用い前輪を施錠させるようにし、サークル錠A内に備えた円弧形の閂杆A’の施錠、開錠動作に、レリースワイヤーを介して箱錠B内に備えた直杆形の閂杆B’の施錠、開錠動作を連動させるようにした場合のものである。
【0010】
図1は、後輪用に用いたサークル錠Aの取り付け状態と施錠状態を示す斜視図、図2は、前輪用に用いた箱錠Bの取り付け状態と施錠状態を示す斜視図、図3の(a)、(b)は、錠本体から板状のベース部材を取り除いて、サークル錠Aの内部構造を裏側から示す立面図、図4の(a)、(b)は、同じく錠本体からカバー部材を取り除いて箱錠Bの内部構造を示す立面図、図5は、セフテイ機構S部分の説明図、図6は、セフテイ機構S部分の断面図である。
【0011】
実施例を示す図において、1は、サークル錠Aと箱錠Bを連結するレリースワイヤーである。
図3に示すように、レリースワイヤー1は、サークル錠Aに取付けねじ2’で固定した導入部2に固定端1'を有し、固定端1’から引き出したワイヤー1の基端部aを、導入部2に摺動自在に案内される摺動板3に固定し、閂杆A’の施錠、開錠行程の一端において上記摺動板3に設けた嵌合溝4と閂杆A’の中間に設けた係合ピン5との係合区間に限って閂杆A’の摺動動作に従動し、上記基端部aを往復動させる。
【0012】
サークル錠Aは、図1に示すように、後ホークH1に取り付けられており、器体の側面に備えた施錠操作摘み6を開錠位置から下方に押し下げると、器体内で閂杆A’が復元ばね7に抗して図3の(a)の図示右回りに摺動し、その摺動行程の中間で係合ピン5を摺動板3側の嵌合溝4の端部4’に当接させ、その当接位置から閂杆A’が施錠行程の終端に達するまで、すなわち、閂杆A’がサークル錠Aの下部で向い合う開口部8間を閉鎖するまで、摺動板3と共にワイヤー1の基端部aを牽引する。
なお、サークル錠Aの施錠状態は、通常のサークル錠と同様に、器体の一隅に設けた施錠機構9のストッパー10が付勢ばね11に押されて自動的に閂杆A’側の切欠部12に嵌入することにより保持される〔図3の(b)参照〕。
【0013】
上記サークル錠Aの閂杆A’の施錠動作は、レリースワイヤー1を通じて、図2に示すように前ホークH2に取り付けた箱錠Bに伝動される。
箱錠Bは、図2に示すように、後部上面に設けた導入部13からレリースワイヤー1を器体内に導入している。
図4に示すように、箱錠Bは、器体内に伝動手段として回転自在に横架した滑車14を備え、導入部13に固定端1’を有するレリースワイヤー1から引き出したワイヤーの他端部bを該滑車14の一端にピン止めし、ピン止め位置と略直径で対向する滑車14の側面に伝動部としてピン15を設け、このピン15を箱錠Bの直線型の閂杆B’の後部(図示左端)に一体に設けた溝カム16に嵌合させている。前記サークル錠Aの閂杆A’と箱錠Bの閂杆B’は、以上のようにしてレリースワイヤー1により互いに連結されている。
【0014】
なお、レリースワイヤー1の他端部bのピン止め位置と導入部13との間には、コイル形の圧縮ばね17が設けられ、閂杆B’の溝カム16と、閂杆B’が出入りする器体の図示右側の開口部18との間には閂杆B’を常時開錠方向に付勢する復元用のコイルばね19が張設されている。
【0015】
前述のようにしてサークル錠A側の施錠操作によりレリースワイヤー1の基端部aが牽引されると、箱錠B内では、圧縮ばね17に抗して滑車14が図示右回りに回転する。滑車14の回転と共にピン15と溝カム16が復元用のコイルばね19に抗して直線型の閂杆B’を開口部18から突出させて図2に示すように自転車の前輪を施錠する。この箱錠Bの施錠状態は、前述のようにして閂杆A’の切欠部12に嵌入するサークル錠A側の施錠機構9のストッパー10により保持される。
【0016】
上記のようにして施錠状態にある2個の錠前A、Bは、サークル錠Aの施錠機構9に挿入される所定のキー(図示省略)の操作により開錠する。
施錠機構9に挿入したキーを所定方向に回転すると、ストッパー10が後退する。サークル錠A内で、切欠部12からストッパー10が外れると、復元ばね11に付勢されて閂杆A’が図3の(a)に示す開錠位置に復帰する。
【0017】
このとき、施錠状態において閂杆A’側の係合ピン5に嵌合溝4の端部4’を当接させていた摺動板3は、該板3と導入部2の先端部2’との間に張設した復帰ばね20の付勢により、閂杆A’に追随し、開錠行程の中間まで移動して復位する。また、摺動板3の復位動作と共に、摺動板3に基端部aを固定しているワイヤー1も施錠作動時とは逆に移動する。
【0018】
上記ワイヤー1の移動と共に、錠箱B内ではレリースワイヤー1の他端部bが圧縮ばね17の付勢とともに牽引され、滑車14とピン15が図4(b)の状態に戻り、溝カム16の後退と施錠状態で圧縮されていたコイルばね19の復元力とにより、閂杆B’を開錠位置に復帰させる。
なお図4中、21は、箱錠Bの器体の内面に一体形成した閂杆B’のストッパーである。
【0019】
また、この実施例では、サークル錠Aの錠杆A’に妄りに施錠動作を起こさせないようにしたセフテイ機構Sを設けている。
セフテイ機構Sは、図1に示すように、閂杆A’の施錠操作摘み6を誘導するように器体の上面に設けた円弧溝22の一端、開錠位置に外側に突出する切欠部23を設け、操作摘み6の頭部に、外側面に開口する中空室24を設け、この中空室24内にばね25と共に押釦26を嵌合し、ばね25に付勢させて、常時この押釦26の下部26’を上記切欠部23に掛止させるようにしたストッパーを備えている。施錠に際しては、押釦26を押して下部26’を切欠部23から外しながら操作摘み6を押し下げるというほとんどワンタッチの操作ができる。
なお、図5、6中、27は押釦26の抜け止め用逆止爪、28は中空室24の底部に設けられて逆止爪27を掛止する角孔である。
【0020】
以上のようにして2個の錠前A、Bはレリースワイヤー1を介して施錠動作と開錠動作を連動する。
この実施例においては、別の位置に設けられる2個の錠前として後輪用にサークル錠を備え、前輪用に箱錠を用いたが、本発明の実施に際しては、本発明の要旨にそって、採用する錠前の機種を適宜に、設計変更の範囲で選択できることはいうまでもない。
また、2個の錠前A、Bのいずれか一方を主動にし、他方を従動させるように用いるかは、使用勝手に応じて適宜に変更できる。また、2個の錠前A、Bの取付け位置は実施例の態様に限定されない。
【0021】
【発明の効果】
前記のように構成され上記のように用いられるようにした本発明自転車用錠は、使用する2個の錠前にはそれぞれレリースワイヤーを取り付けるための簡単な改造を施すのみであるから、それほどにはコスト高にはならない、自転車への取り付けが容易である、主動となる一方の錠前の施錠操作に他方の錠前が連動するので操作が簡単であるなど、きわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、サークル錠の取付け状態を示す斜視図
【図2】図2は、箱錠の取付け状態を示す斜視図
【図3】図3(a)はサークル錠の内部構造を示す一部切欠正面図、(b)は施錠状態を示す一部切欠正面図
【図4】図4(a)は箱錠の内部構造を示す一部切欠正面図、(b)は施錠状態を示す一部切欠正面図
【図5】図5はサークル錠に付設したセフテイ機構部分の拡大説明図、
【図6】図6はサークル錠に付設したセフテイ機構部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
A サークル錠 (A’ 閂杆)
B 箱錠 (B’ 閂杆)
H1 後ホーク (H2 前ホーク)
1 レリースワイヤー (a 基端部、b 他端部、1’、1” 固定部)
2 導入部 (2’ 取り付けねじ)
3 摺動板
4 嵌合溝 (4’ 端部)
5 係合ピン
6 操作摘み
7 復元ばね
8 開口部
9 施錠機構
10 ストパー
11 ばね
12 切欠部
13 導入部
14 滑車(伝動手段)
15 ピン(伝動部)
16 溝カム
17 圧縮ばね
18 開口部
19 コイルばね
20 復帰ばね
21 ストッパー
S セフテイ機構
22 円弧溝
23 切欠部
24 中空室 (24’ 角孔)
25 ばね
26 押釦 (26' 下部)
27 抜け止め用逆止爪
28 角孔

Claims (3)

  1. 車体に対して取付け位置を別にして取り付けられる2個の錠前の内の一方のサークル錠前の閂杆に従動する摺動板にレリースワイヤーの基端部を接続して、この錠前の摺動板の動作にレリースワイヤーを従動させる一方、他方の錠前の内部に導入した上記レリースワイヤーの他端部を、該錠前内に設置した伝動手段の一端に接続し、この伝動手段に設けた伝動部を該錠前内に備えられた閂杆に連結して、前記一方のサークル錠前の施錠動作に上記レリースワイヤーと伝動手段とその伝動部を介して上記他方の錠前の閂杆の施錠動作を連動させるように構成した自転車用錠であって、サークル錠前の閂杆の摺動行程の中間で閂杆の中間に設けた係合ピンをレリースワイヤーの基端部が固定される摺動板に係合させ、その係合区間に限ってレリースワイヤーの基端部を従動させることを特徴とする自転車用錠。
  2. 前記一方のサークル錠の器体に設けた導入部から導入した前記レリースワイヤーの基端部を円弧形の閂杆に従動する摺動板に接続し、このサークル錠を後ホークに取り付けて、自転車の後輪を施錠させるように備える一方、前記他方の錠前に直線型の閂杆を備えた箱錠を用い、この箱錠に設けた導入部から導入した上記レリースワイヤーの他端部を、該箱錠内に前記伝動手段として備えた滑車部材の一端に接続し、該滑車部材の他端に前記伝動部としてピンを設け、このピンを上記直線型の閂杆に一体に設けた溝カムに嵌合し、この箱錠を前ホークに取り付けて、自転車の前輪を施錠させるように備え、上記レリースワイヤーを、上記サークル錠内に備えられた円弧形の閂杆の施錠動作に連動させて、上記滑車部材とピンと溝カムを介して上記箱錠内の閂杆を施錠動作させるように構成したことを特徴とする請求項1記載の自転車用錠。
  3. 前記サークル錠は、前記円弧形の閂杆に妄りに施錠動作を起こさせないようにしたセフテイ機構として、施錠操作摘みが固定された閂杆を誘導する円弧溝の開錠位置に外側方に突出する切欠部を設け、前記施錠操作摘みの頭部に外側面に開口する中空室を設け、この中空室内にばねと共に押釦を嵌合し、このばねに常時押釦を付勢させて、該押釦の下部を上記切欠部に掛止させるようにしたストッパーを設けたことを特徴とする請求項2記載の自転車用錠。
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