JP3986680B2 - 防湿シート及びこれを用いたフラッシュパネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は住宅・建築物の内装用に使用する室内扉、キッチン扉、収納扉、襖などの建具に用いられ防湿シート、及びこれを用いたフラッシュパネルに関し、特に湿度変化、温度変化等によって発生する反りを防止するための機能を有する防湿シート及びこれを用いたフラッシュパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、室内扉、キッチン扉、収納扉、襖などの建具において、湿度、温度の関係で徐々に反りが発生することが有った。そこで、反りを防ぐために一般的な扉などの建具の表裏面に同じ材質のシートを用いて片方に反らないようにしたものや、防水、防湿シートを貼り合わせた紙/防水性樹脂/紙または、紙/防水性樹脂/紙/板基材からなる下地用板(実開平3−118634号公報)が知られている。しかし、板基材との接着性を上げるため、紙層を2層設けるなど、コスト的に割高なものになっていた。
【0003】
また、化粧紙/非透湿性樹脂層/板基材/非透湿性樹脂層/裏打紙からなる板基材を裏打紙が芯材側になるように貼りあわせたフラッシュパネル(特開平10−109380号公報)も知られている。しかし、非透湿性樹脂層をコロナ放電処理した後、板基材と接着するため接着性が不安定になりやすく、また接着剤を使わないで熱融着させるには特殊な設備が必要であった。
【0004】
さらに、表面意匠用の印刷化粧紙/合成樹脂層/紙間強化紙からなる防湿化粧シートを板基材に貼りあわせた防湿化粧板を使ったフラッシュパネル等(特開平9−174767号公報)が知られているが、板基材と紙間強化紙とを接着剤を使い貼り合わせるとき紙層(薄葉紙や紙間強化紙等)が有るため接着剤の水分により常温や高湿度雰囲気中の接着力が出にくかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、密着力を大きくし、高湿度雰囲気中の接着力を出やすくし、かつ、表面材としても使える防湿シート、及びこれを用いたフラッシュパネルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明はこの課題を解決する為、紙層と、前記紙層の一方の主面側に配置されかつ防湿性樹脂からなる防湿性樹脂層と、前記防湿性樹脂層を介して前記紙層と対向するプライマー層と、を含み、前記防湿性樹脂は低密度ポリエチレン樹脂又は高密度ポリエチレン樹脂であり、前記プライマー層はウレタン樹脂からなり、前記プライマー層の塗工量が1.0から2.0g/m 2 (dry)である、ことを特徴とするフラッシュパネル用防湿シートを提供する。
また、芯材と枠材からなる部材の両面に、面材が貼り合わされているフラッシュパネルであって、前記面材は、基材と、前記基材の両面に配置された上記フラッシュパネル用防湿シートと、を含み、前記フラッシュパネル用防湿シートのプライマー層面が前記基材に向けて配置されている、ことを特徴とするフラッシュパネルを提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
図1に本発明に係わる請求項1記載の防湿シートの断面の構造の一例を示す。防湿性樹脂層2の上に紙層1を設け、それとは反対側の面に、プライマー層3を設けた構成となっており、これを基材4に貼り合わせて用いる。
【0008】
紙層1としては、押出機から防湿性樹脂層を押し出すときの紙切れや印刷しやすく高湿雰囲気中での使用を考えて、坪量23から50g/m2の紙間強化紙が望ましい。また、紙層1にグラビア印刷等を施す場合は、使用状況に合わせて通常知られたインキや表面保護層を設けることも可能である。
【0009】
防湿性樹脂層2は、紙層1の裏面に押出機等を用いて積層することで設けることが可能である。用いる樹脂としては熱可塑性樹脂が望ましく、低密度ポリエチレン(以下、LDPEとする)、高密度ポリエチレン(以下、HDPEとする)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン樹脂、及びこれらの混合物などの防湿性を有する樹脂が使えるが、透湿度を低くし、燃やしても塩素ガスが出ず、押し出しやすく、値段の安いLDPEやHDPEが望ましい。厚みは15μm以下では透湿度が高くなり、50μmを超えても透湿度は低くならないため15μmから50μmが望ましい。
【0010】
プライマー層3としては、透湿性樹脂層2に塗工でき、基材と接着剤により接着するものがよい。例えば、透湿性樹脂層がLDPEやHDPEならばウレタン樹脂系等のプライマーを1.0から2.0g/m2(dry)塗工して設ける。尚、防湿シートの層間強度を上げるために紙層1に防湿性樹脂層2を押し出すときに防湿性樹脂層2と接する側にオゾン処理等の活性化処理を行うのが望ましい。
また、プライマーを塗工する前にはコロナ放電処理等の活性化処理をしておくことが望ましい。
【0011】
基材4としては、中密度繊維強化板(以下、MDFとする)、合板、パーティクルボード等の木質系板基材を用いることができる。
【0012】
図2に本発明におけるフラッシュパネルの構造を示す。
基材の両面に前記防湿シートを設けて面材5とし、これを木質系の枠材6と紙性ハニカムパネルの芯材7からなる部材の表裏面に貼り付けてなる。フラッシュパネルの反りは、防湿シートの透湿度を5〜30g/m2・24時間程度に調整することで、防止することが可能になる。
【0013】
本発明の手段をとることにより、基材とプライマー層を接着剤を使い貼り合わせるとき紙層(薄葉紙、紙間強化紙等)が間にないため密着力が大きくなり高湿度雰囲気中の接着力が出やすくなり、かつ、紙層に化粧を施せば表面材としても使えるシートになり、反りの少ないフラッシュパネルを得ることができる。
【0014】
【実施例】
坪量が30g/m2の紙間強化紙の表面に、硝化綿系インキにより木目柄を印刷し、この表面に2液硬化型アクリルウレタン樹脂を6g/m2(dry)塗工した。この裏面(絵柄の無い側)に押出機を使いHDPEを40μmオゾンガスを吹き付けながら押出しラミネートして、さらに、HDPE側をコロナ放電処理して38dyne/cm以上の表面状態にした後、ウレタン系プライマーを1.0g/m2(dry)グラビア機にて塗工して防湿シートを得た。得られた防湿シートの透湿度を測定したら11.0g/m2・24時間(JIS Z 0208カップ法)であった。
【0015】
上記で得られた防湿シートのプライマー層面を基材側(厚み3mmのMDF)にしてプリントラミネーターにより塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂接着剤を介して(50g/m2(wet))両面にラミネートし、面材を得た。
【0016】
20mm×25mmの平行集成材を枠材とし、ハニカムパネルを芯材としたパネルの表裏面に、前記面材の印刷を施した紙層を外側とし、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン接着剤を用いて冷圧プレスし、2000mm×700mmの寸法のフラッシュパネルを得た。
【0017】
このようにして得られたフラッシュパネルに対し、片面を35℃50%RHとし、もう片面を20℃55%RHとして12時間、また、片面を高湿35℃60%RHとし、もう片面を低湿35℃30%RHとして12時間放置した。しかし、どちらの場合も反りは2mm程度しか起こらなかった。
【0018】
【発明の効果】
以上のように本発明により、基材と防湿シートの間に紙層が無いため、常温常湿や多湿の雰囲気中でも層間強度の強い防湿シートを得られる。また、防湿性樹脂層にプライマー層を塗工してあるため特殊な接着剤を使わずにMDF等の基材と接着でき、熱融着など特殊接着法を使わなくてすむ。さらに、この防湿シートを用いることで、反りにくいフラッシュパネルを得ることができる。
【0019】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防湿シートの一実施例の断面の構造を示す説明図である。
【図2】本発明に係るフラッシュパネルの一実施例の断面の構造を示す説明図である。
【符号の説明】
1……紙層
2……防湿性樹脂層
3……プライマー層
4……基材
5……面材
6……枠材
7……芯材
Claims (2)
- 紙層と、前記紙層の一方の主面側に配置されかつ防湿性樹脂からなる防湿性樹脂層と、前記防湿性樹脂層を介して前記紙層と対向するプライマー層と、を含み、
前記防湿性樹脂は低密度ポリエチレン樹脂又は高密度ポリエチレン樹脂であり、
前記プライマー層はウレタン樹脂からなり、
前記プライマー層の塗工量が1.0から2.0g/m2(dry)である、ことを特徴とするフラッシュパネル用防湿シート。 - 芯材と枠材からなる部材の両面に、面材が貼り合わされているフラッシュパネルであって、
前記面材は、基材と、前記基材の両面に配置された請求項1記載のフラッシュパネル用防湿シートと、を含み、
前記フラッシュパネル用防湿シートのプライマー層面が前記基材に向けて配置されている、ことを特徴とするフラッシュパネル。
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