JP3985999B2 - パチンコ遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、図柄表示装置に所定の図柄態様が表示された場合に、遊技者に所定の利益を供与することとなる作動を実行するようにしたパチンコ遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数の選出図柄を変動表示する図柄表示装置と、遊技球通過を検知しうる図柄始動領域とを遊技盤面に備え、図柄始動領域への遊技球通過を契機として、選出図柄を変動させた後に確定表示するようにし、その確定図柄態様が所定の当り図柄態様である場合に、遊技者に利得をもたらす特別遊技作動を発生させるようにしたパチンコ遊技機は、種々提案されている。このようなパチンコ遊技機としては、いわゆる第1種パチンコ遊技機及び第3種パチンコ遊技機が良く知られている。
【0003】
ここで、第1種パチンコ遊技機は、複数の選出図柄を変動表示する図柄表示装置と、遊技球通過を検知しうる図柄始動領域と、図柄始動領域への遊技球通過に起因して各選出図柄を変動表示させた後、停止し、各選出図柄を確定表示する図柄制御手段と、開閉制御される可変入賞口とを備え、図柄表示装置に確定表示された各選出図柄の組合せが所定の当り図柄態様である場合に、可変入賞口の開放と、可変入賞口の所定制限時間の経過又は該所定制限時間内での規定個数の入賞満了による可変入賞口の閉鎖とを順次生じてなる開閉ラウンドを複数回繰り返してなる特別遊技作動を実行するようにしたものである。
【0004】
また、第3種パチンコ遊技機は、複数の選出図柄を変動表示する図柄表示装置と、遊技球通過を検知しうる図柄始動領域と、開口を開閉制御してその内部の特別作動領域へ遊技球通過可能な状態と不可能な状態とに変換する普通電動役物と、開閉制御される可変入賞口と、遊技球通過に伴って該可変入賞口を開放する特定領域への流入制御を行う役物とを備え、図柄始動領域への遊技球通過を契機として、図柄表示装置の選出図柄を変動させた後に確定表示するようにし、その確定図柄態様が所定の当り図柄態様である場合に、普通電動役物を開放制御し、その特別作動領域への遊技球通過に伴って特別遊技作動が実行するようにしたものである。なお、この特別遊技作動は、役物が駆動して特定領域への遊技球通過が可能となり、かつ該遊技球通過ごとに、可変入賞口の開放と、閉鎖とを生じてなる開閉ラウンドを複数回繰り返してなるものである。
【0005】
さらに、上述のパチンコ遊技機にあっては、図柄変動中の、図柄始動領域への遊技球通過を所定始動記憶数を限度として表示する図柄始動記憶数表示装置を備えている。この図柄始動記憶数表示装置で表示された始動記憶数が一個消化される度に、新たな図柄生成行程が一回実行されることとなる。ここで、かかる図柄始動記憶数表示装置にあっては、その上限数を超えると以後の変動契機(図柄始動領域への遊技球通過)は全て無効となってしまうため、意図的に遊技球の発射を休止させて始動記憶数の消化を待つ行為が、遊技者の間で一般的に行われている。しかし、このような遊技球の発射停止行為は、機械稼働率の低下を招くため、選出図柄の変動時間を短縮したり、変動時間の長いリーチ変動の出現率を減らしたりする遊技態様を、所定条件下で遊技者に利得として付与するようにして、無効球の発生をできる限り抑えるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、選出図柄の変動時間短縮等の利得が遊技者に付与された場合であっても、依然、一個の記憶消化に対して必ず図柄生成行程が一回実行される構成であるため、記憶数の消化を促進させるには限界があった。一方、遊技者の期待感を刺激するリーチ変動時間があまりに短縮等されると、遊技内容は単調で退屈なものとなってしまい、リーチ変動による演出効果が著しく滅殺されることとなる。
【0007】
本発明は、上述の問題を解決しうる、図柄変動中の所定領域への遊技球通過の記憶数が円滑に消化され、また図柄変動等の演出も滅殺されないパチンコ遊技機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の選出図柄を変動表示する図柄表示装置と、所定条件の成立に起因して、選出図柄の変動開始から図柄確定に至る一連の図柄生成行程を図柄表示装置で実行する図柄制御手段とを備え、図柄生成行程により確定表示された選出図柄の組合せが所定の当り図柄態様である場合に、遊技者に所定の利得を供与することとなる特別遊技作動を実行するパチンコ遊技機において、当り図柄態様の表示内容により、次回に当り図柄となる確率が向上する高確率状態、又は当り図柄となる確率が変化しない通常確率状態のいずれかが発生する構成にあって、当り判定領域と、高確率状態の場合に、該当り判定領域を遊技球が通過する毎に当落判定値を抽出し、抽出した当落判定値を順次記憶保持し、累積記憶された当落判定値が所定数(一を除く)に達する時を判定タイミングとして、該判定タイミング毎に、累積記憶された所定範囲数の当落判定値を、予め定められた選定基準に従って、そのうち一の当落判定値のみを有効として、記憶消化する判定記憶手段とを備え、図柄制御手段が、前記判定記憶手段が選定した当落判定値に基づいて図柄生成行程を一回実行するようにしたものであり、さらには判定記憶手段が、判定した複数の当落判定値のうち、いずれかが当りである場合には、当該当落判定値を選定し、図柄制御手段が、当該当落判定値に基づき当り図柄態様を生成する図柄生成行程を実行するようにしたものであって、
高確率状態にあって、前記判定記憶手段が選定した当落判定値に基づいて図柄生成行程が実行開始され、予め定められた実行時間が経過した間に累積記憶された当落判定値が前記所定数未満であった場合には、図柄生成行程を所定時間延長して実行されるとともに、
通常確率状態では、当り判定領域を遊技球が通過する毎に当落判定値を抽出し、当落判定値が一個記憶されるごとに、図柄生成行程が実行開始されるようにしたことを特徴とするパチンコ遊技機である。
【0009】
かかる構成とすることにより、図柄生成行程が実行される際に、単又は複数の当落判定値の記憶数が消化されることとなる。このように、複数の当落判定値の記憶数が消化される場合があると、記憶保持される当落判定値の記憶消化が促進されることとなる。また、所定領域への遊技球通過時期と、それに基づく図柄生成行程の実行開始時期とのタイムラグを小さくすることが可能となる。
【0010】
なお、当落判定値の所定範囲数は、判定タイミング時に累積記憶された当落判定値の記憶数と同数である構成としても良いし、異なる数としても良い。また、判定タイミング時に累積記憶された当落判定値の記憶数毎に、所定範囲数が同数であったり異なる数であったりする構成としても良い。
【0011】
また、予め定められた選定基準としては、判定記憶手段が、判定した複数の当落判定値のうち、いずれかが当りである場合には、当該当落判定値を選定する構成としている。このように、当りが判定された場合には、必ず当りの当落判定値に基づいて当り図柄態様を生成する図柄生成行程を実行する構成とすることにより、遊技者の当り図柄を得ようとする意欲を刺激することが可能となる。なお、かかる構成に代えて、常に、最先又は最後に抽出された当落判定値を選定する構成としても良い。また、判定記憶手段が、所定の判定タイミング毎に、複数の当落判定値のうちから一の当落判定値を抽選する構成としても良い。かかる構成とすることにより、一の当落判定値が無作為に選定されることとなり、遊技内容に偶然性が加味されることとなる。
【0012】
また、記憶保持された当落判定値の記憶数を、所定個数を限度として表示するとともに、当落判定値が記憶消化された場合に、所定範囲数だけ一括して減算して残りの記憶数を表示する通過記憶数表示装置を備えた構成が提案される。かかる構成とすることにより、遊技者に、判定記憶手段が現在記憶保持する記憶数を明確に報知することが可能となる。さらに、表示される通過記憶数のうち、所定範囲数の通過記憶数が一括して減算される構成とすることにより、記憶の消化が促進されて、表示される通過記憶数が満杯状態となりにくく、無効球が発生しにくくなるとともに、一度に複数の記憶数が一括消化されることにより、遊技者の爽快感を刺激することができる。
【0013】
かかる構成を従来構成と比較して再度説明する。
本発明にかかる通過記憶数表示装置と、従来構成の始動記憶数表示装置とは、所定領域への遊技球通過の記憶数を、所定個数を限度として表示し、現在の記憶状況を遊技者に報知する点で共通する。しかし、従来構成は、始動記憶数表示装置で表示される始動記憶数が一個ずつ消化され、その都度図柄生成行程が一回実行される構成であるが、本発明は、通過記憶数表示装置で表示される通過記憶数が複数消化されて、図柄生成行程が一回実行されうる構成である。このように、本発明は、一回の図柄生成行程実行に対して複数の通過記憶数が消化される場合があるため、表示されている記憶数の消化が促進され、記憶数満杯状態を招きにくく、無効球の発生を抑えることが可能となる。
【0014】
また、所定判定タイミングは、累積記憶された当落判定値が所定数(一回を除く)に達する時である構成としている。
【0015】
また、条件によって、図柄生成行程の実行毎に消化される当落判定値の所定範囲数が変化する構成としても良い。ここで、条件としては、当り判定領域へ遊技球が通過しやすい遊技状態となった場合が提案される。このような遊技状態は、当落判定値の累積記憶が促進されるため、累積記憶される当落判定値の数が著しく増大するが、かかる構成とすることにより、記憶数が過剰とならず、好適に当落判定値を記憶消化することが可能となる。
【0016】
また、累積記憶された当落判定値が複数の場合であって、所定範囲数が、少なくとも一個の当落判定値を残して定められる範囲数である構成が提案される。かかる構成とすることにより、少なくとも一回は次回に図柄生成行程が実行されることとなり、図柄生成行程が継続して実行され易くなる。
【0017】
また、累積記憶された当落判定値が設定数以上の場合に複数の当落判定値を記憶消化し、設定数未満の場合に一個の当落判定値を記憶消化する構成としても良い。
【0018】
【発明の実施の形態】
いわゆる第1種パチンコ遊技機に本発明を適用した一実施例を説明する。
図1はパチンコ遊技機の遊技盤1の正面図である。遊技盤1の中央には、センターケース4内には液晶表示器、CRT表示器、ドットマトリックスまたは7セグメント指示器等からなる図柄表示装置6が設けられる。この図柄表示装置6の図柄表示領域Fには三つの特別図柄(選出図柄)A,B,Cが表示される。この特別図柄A,B,Cは、「0」〜「11」の12個の数字からなる。
【0019】
センターケース4の図柄表示装置6の上部には、本発明にかかる四個の発光ダイオードLEDを具備する通過記憶数表示装置8が設けられる。この通過記憶数表示装置8は、後述する主制御基板60(図2参照)の記憶装置RAMに記憶された通過記憶数を表示する。
【0020】
また、遊技盤1の左下部には、三個の発光ダイオードLEDを内部に備え、普通図柄を表示する普通図柄表示装置10が設けられる。この三個の発光ダイオードLEDは順次点滅して、種々の組合せの点灯態様を表示する。そして、この点灯態様が所定の当り態様の場合には、後述の普通電動役物15を開放する。この普通図柄表示装置10としては、液晶表示器や一乃至複数個の7セグメント指示器等により構成し、その表示内容により、当り又はハズレを決定するものであっても良い。
【0021】
さらに、遊技盤1の右下部には、四個の発光ダイオードLEDからなる普通図柄始動記憶数表示装置12が設けられ、後述の普通図柄始動スイッチS2(図2参照)からの遊技球検出信号が、所定数を上限として主制御基板60の記憶装置RAMの一部領域に記憶された場合に、その記憶数を表示する。
【0022】
一方、センターケース4の両側には、普通図柄作動ゲート(普通図柄始動領域)13,13が設けられ、遊技球の通過によりこの普通図柄作動ゲート13,13に内蔵された普通図柄始動スイッチS2から遊技球検出信号が発生すると、普通図柄表示装置10が図柄変動する。
【0023】
また、センターケース4の直下位置には、内部に、本発明にかかる当り判定領域14を具備する普通電動役物15が配設されている。この普通電動役物15は、開閉翼片により、当り判定領域14(入賞口兼用)の開放度を変化させるようにした構成である。そして普通図柄表示装置10の表示結果が、上述のように所定の当り態様の場合には、開閉翼片が約0.5秒拡開して、当り判定領域14の開放度を拡開させ、遊技球が入り易い状態となる。普通電動役物15内には、光電スイッチ、リミットスイッチ等の特別図柄選出スイッチS1(図2参照)が備えられ、この特別図柄選出スイッチS1による遊技球通過検知に伴って、図柄表示装置6で表出される特別図柄A,B,Cの図柄態様、又は演出態様が選出されたり、特別図柄A,B,Cの図柄が変動開始し、所定の図柄態様で停止表示する図柄生成行程が実行されたりすることとなる。
【0024】
普通電動役物15のさらに下方には、内部に特定領域と一般領域とを有する大入賞口23が配設され、開閉片24を大入賞口開放ソレノイド(図2参照)により開閉制御することにより大入賞口23を開放状態又は閉鎖状態のいずれかに変換する可変入賞装置22が配設されている。そして、図柄表示装置6の特別図柄A,B,Cが所定の組合せで表示され、当りとなると、開閉片24が開いて、その開放状態で開閉片24の上面が案内作用を生じ、大入賞口23へ遊技球を案内するとともに、特定領域に遊技球が入ると、次の開閉ラウンドへ移行可能となり、連続開放作動を生じて、遊技者に所定の利得が供される。この可変入賞装置22は、後述する特別遊技作動を実行するものであって、その内部には、図2で示すように、特定領域に入った遊技球を検知する特定領域スイッチS3と、当り中の入賞個数を計数するカウントスイッチS4とが設けられている。ここで特定領域スイッチS3にも、特定領域に入った遊技球を計数するカウントスイッチとしての機能が備えられている。
【0025】
図2は、本発明にかかるパチンコ遊技機の遊技作動を制御する制御回路を示すものである。
主制御基板60には、パチンコ遊技機の遊技作動等を制御するための基板回路が設けられており、この基板回路上には主制御用中央制御装置CPUが配設されている。この主制御用中央制御装置CPUは、遊技に関する統括的な制御を処理実行するものであって、この主制御用中央制御装置CPUには、演算処理に用いる動作プログラムを格納する記憶装置ROMと、必要なデータを随時読み書き可能な記憶装置RAMとが、データを読み書きするアドレスを指定する情報を一方的に伝えるアドレスバス(図示省略)と、データのやり取りを行うデータバス(図示省略)を介して接続され、主制御基板60の基板回路を構成している。この記憶装置ROMには、制御プログラム、乱数テーブル等の固定データが記憶されている。乱数テーブルには当り特別乱数K、当り図柄乱数L、ハズレ図柄乱数Ma ,Mb ,Mc 、リーチ乱数N、リーチ図柄乱数P、リーチ態様乱数Q、普通当り乱数U、普通図柄乱数V等が格納される。そして、所定の要件が充足されると主制御用中央制御装置CPUにて各乱数の抽出が行われる。また、記憶装置RAMには、特別図柄選出スイッチS1 、普通図柄始動スイッチS2 のオン作動による記憶数等が一時的に記憶される記憶エリア、ソフトタイマを構成するレジスタ領域及びワークエリア等が設けられている。
【0026】
この主制御基板60の基板回路には、所定のクロックパルスを出力するクロック装置(図示省略)が設けられ、主制御用中央制御装置CPUに接続されている。そして主制御用中央制御装置CPUは一定間隔のクロックパルスによって、時系列的に演算処理を行い、一連の処理作動を順次実行する。また、このクロック装置により出力されたクロックパルスをカウントして、時間を計測するタイマーTMも接続されている。
【0027】
また、この主制御基板60の基板回路には、主制御用中央制御装置CPUが周辺機器とデータ通信を行う入力ポート(図示省略)及び出力ポート(図示省略)が設けられており、この出力ポートを介して主制御基板60からの制御指令が、図柄表示制御基板62、音源制御基板63、光源制御基板64、及び払出制御基板65の各入力ポートに向け、一方向に発信されるように接続されている。また、主制御基板60の入力ポートには盤面中継基板61を介して上述した特別図柄選出スイッチS1、普通図柄始動スイッチS2 、特定領域スイッチS3、及びカウントスイッチS4が接続され、主制御基板60が2ms毎に各スイッチS1〜S4の遊技球検出状態を調べ、遊技球検出があるとその信号が波形整形回路により波形整形されて主制御用中央制御装置CPUに入力され、その情報を記憶装置RAMに記憶する。また、主制御基板60の出力ポートには、盤面中継基板61を介して普通電動役物15のソレノイドや、大入賞口23のソレノイド等が接続され、主制御用中央制御装置CPUが所定の条件を選出した場合に作動される。
【0028】
ここで、主制御用中央制御装置CPU及び後述する各制御基板62,63,64,65に設置されている各中央制御装置CPUは、所定のデータの処理を行う演算ユニット(ALU)を連成した演算装置と、この演算装置に入出力するデータや読み込んだ命令を保管しておくレジスタと、命令を解読するデコーダ等によって構成されている。なお、この演算ユニットの連成数によって、中央制御装置CPUの演算処理能力が決まる。そして、この主制御用中央制御装置CPUは、所定の形式で生成した制御指令信号を各制御基板62,63,64,65に夫々送信し、各制御基板62,63,64,65の中央制御装置CPUがこの制御指令信号に従って所定の制御を処理実行することとなる。
【0029】
上記の図柄表示制御基板62には、図柄表示装置6の図柄表示領域F上で表出される図柄表示態様を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、図柄表示態様を制御処理する図柄制御用中央制御装置CPUに、演出プログラムが格納されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きできる記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この記憶装置ROMには、動作プログラム、図柄表示領域Fの可変パターン及びその表示パターン、当り遊技パターン、リーチ態様パターン等の図柄変動態様を行う固定データも記憶されている。この図柄表示制御基板62は、主制御基板60から入力ポートを介して受信した制御指令信号を図柄制御用中央制御装置CPUにおいて演算処理し、所定の図柄表示態様を演出する図柄データを、出力ポートを介して表示用ドライバに送信する。そして、この表示用ドライバは図柄データに従って、図柄表示装置6の図柄表示領域Fに所定の図柄を表出させる。なお、この図柄表示制御基板62は、図柄表示装置6で図柄生成行程を実行表示する図柄制御手段を構成するものである。
【0030】
上記の音源制御基板63には、スピーカから発生する効果音等を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、音響を制御する音源制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや音響発生パターン等の固定データが記憶されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この音源制御基板63は、上記の主制御基板60より入力ポートを介して受信した制御指令信号を音源制御用中央制御装置CPUで演算処理し、所定の音データを出力ポートを介してサウンドジェネレータに発信して、この音データを受けてスピーカに出力させる。
【0031】
上記の光源制御基板64には、パチンコ遊技機に備えられたパイロットランプ等の電飾装置、本発明にかかる通過記憶数表示装置8の発光ダイオードLED等を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、電飾装置等の点灯、点滅等を制御する光源制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや、パイロットランプ等を電飾するための電飾パターン等の固定データが記憶されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この光源制御基板64は、光源制御用中央制御装置CPUで、上記の主制御基板60から入力ポートを介して受信した制御指令信号を演算処理し、所定の光データを出力ポートを介して、パイロットランプや発光ダイオードLED等を発光作動するドライバを配した光源作動基板に送信し、所定のパイロットランプ等を点灯、点滅させる。なお、本発明にかかる判定記憶手段は、特別図柄選出スイッチS1、盤面中継基板61、主制御基板60、及びこの光制御基板64とで構成されている。
【0032】
上記の払出制御基板65には、遊技球の貸球や賞球等を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、貸球ユニットや賞球ユニット等の各種ソレノイドを作動して、所定の貸球や賞球の供給を制御する払出制御用中央制御装置CPUに、動作プログラム、賞球や貸球の球数パターン等の固定データが記憶されている記憶装置ROMと、球数カウントデータ等の必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この払出制御基板65は、主制御基板60から受信した制御指令信号に従い、払出制御用中央制御装置CPUで演算処理し、所定のデータを出力ポートを介して払出中継基板に送信し、このデータにより貸球ユニットや賞球ユニット等の各種ソレノイドを作動し、所定の貸球や賞球の払い出しを実行する。この払出制御基板65は、遊技球の貸球を記憶したプリペイドカードの読み込み書き込みを行うプリペイドカードユニットと、このプリペイドカードのデータ処理を中継するCR接続基板を介して接続され、遊技球の残球等のデータをやり取りする。
【0033】
次に、本発明の制御態様をパチンコ遊技機の作動に従って説明する。
遊技球が発射装置より遊技盤1に発射され、遊技球が当り判定領域14を通過し、特別図柄選出スイッチS1がオン作動すると、この信号を盤面中継基板61を介して主制御基板60が認識する。この信号により、主制御基板60の主制御用中央制御装置CPUは、記憶装置ROMに記憶されている当り特別乱数K(当落判定値)、当り図柄乱数L、ハズレ図柄乱数Ma ,Mb ,Mc 、リーチ乱数N、リーチ図柄乱数P、リーチ態様乱数Q等を抽出し、各抽出値を一旦、記憶装置RAMに格納する。
【0034】
さらには、特別図柄選出スイッチS1のオン信号に基づき、主制御用中央制御装置CPUで演算処理して、賞球指令信号を払出制御基板65に発信すると共に、賞球作動に連動する賞球音の発生指令信号を音源制御基板63に、賞球ランプ等の発生指令信号を光源制御基板64に夫々発信する。
【0035】
主制御基板60から賞球指令信号を受信した払出制御基板65は、記憶装置ROMや記憶装置RAMの記憶データを用いて払出制御用中央制御装置CPUで演算処理を行い、その結果に従って賞球ユニットのソレノイドを作動させて所定数量の賞球を払い出す。
【0036】
これと同期して、賞球音の発生指令信号を受けた音源制御基板63は、記憶装置ROMや記憶装置RAMの記憶データを用いて音源制御用中央制御装置CPUで演算処理を行い、その結果に従ってスピーカより所定の賞球音を上記賞球の払出時に合わせて出力する。
【0037】
同時に光源制御基板64でも、受信した賞球ランプ等の発生指令信号に従って光源制御用中央制御装置CPUが記憶装置ROMや記憶装置RAMの記憶データを用いて演算処理を行い、その結果に従って所定のパイロットランプ等を点灯、点滅させる。
【0038】
なお、遊技球が当り判定領域14に連続的に通過した場合には、図柄変動中の特別図柄選出スイッチS1による遊技球検出が主制御基板60の記憶装置RAMに記憶され、その記憶に基づいて上述したように通過記憶数表示装置8の発光ダイオードLEDが順次点灯し、最高四回まで保留される。この発光ダイオードLEDは図柄が変動する都度、消灯されて、記憶数が減少する。なお、本発明にあっては、原則一個の記憶数消灯に対して、一回の図柄生成行程が実行されるが、所定要件が充足されている場合には、複数の記憶数消灯に対して、一回の図柄生成行程が実行される場合がある。さらに、複数の記憶数が消灯される場合は、一括してその数の発光ダイオードLEDが消灯される。また、通過記憶数が満杯(四個)となっている場合には、当り判定領域14を遊技球が通過しても無効となる。
【0039】
また、特別図柄選出スイッチS1のオン作動もしくは、通過記憶数表示装置8に表示される通過記憶数が消化されることにより、特別図柄A,B,Cが変動開始される。さらに詳しく述べると、遊技球が、図柄停止中に当り判定領域14へ通過した場合は、かかる特別図柄選出スイッチS1のオン作動により、特別図柄A,B,Cを変動開始する。また、遊技球が、図柄変動中に当り判定領域14へ通過した場合は、現在進行中の図柄生成行程終了後、通過記憶数が消化されることにより特別図柄A,B,Cを変動開始する。
【0040】
さらに、通過記憶数が消化される場合には、一個消化される場合と、複数消化される場合とがある。そして、各場合によって、主制御用中央制御装置CPUが異なる制御を実行する。
【0041】
まず、特別図柄選出スイッチS1のオン作動、もしくは通過記憶数が一個消化されて図柄変動が開始される場合の、主制御用中央制御装置CPUの制御内容を説明する。かかる契機により図柄が変動開始すると、主制御用中央制御装置CPUは、抽出した当り特別乱数K(当落判定値)について当りかハズレかを判定し、当り図柄乱数L、ハズレ図柄乱数Ma ,Mb ,Mc のいずれかを有効とする。また、リーチ乱数Nの選定内容に従ってリーチとするかどうかを判定し、リーチの場合にはリーチ図柄乱数P、リーチ態様乱数Qを有効とする。そして、これらの結果に基づき図柄生成行程で描出される特別図柄A,B,C態様、及び演出態様を選定し、これに従って、図柄表示装置6で実行される図柄表示態様を制御するための図柄制御指令信号を図柄表示制御基板62に送信する。
【0042】
一方、表示されている通過記憶数が複数消化されて図柄変動が開始された場合には、主制御用中央制御装置CPUは、記憶装置RAMに累積記憶された当り特別乱数Kのうち、複数の当り特別乱数Kを対象として、当りかハズレかを判定する。そして、その判定内容に基づいて一の当り特別乱数Kを有効とし、またこれに対応する他の各乱数も有効とする。そして、かかる結果に従って図柄制御指令信号を図柄表示制御基板62に送信する。
【0043】
前記の図柄制御指令信号を受けた図柄表示制御基板62の図柄制御用中央制御装置CPUは、図柄制御指令信号に従って、記憶装置ROMに記憶されている所定の表示プログラムを用いて、図柄表示装置6で演出する特別図柄A,B,Cの各図柄表示態様を決定する。そして、この図柄表示態様に従って特別図柄A,B,Cを順次停止し、特別図柄A,B,Cを確定表示する。
【0044】
また、主制御基板60の主制御用中央制御装置CPUは、音響作動と発光作動を前記図柄表示態様に連動させるため、音響制御指令信号を音源制御基板63に発信すると共に、電飾制御指令信号を光源制御基板64に発信する。音響制御指令を受けた音源制御基板63は、記憶装置ROMに記憶されている動作プログラム等を用いて音源制御用中央制御装置CPUで演算処理を行い、得られた音データをサウンドジェネレータを介してスピーカより出力する。また前記光源制御基板64では、電飾制御指令信号に従って、記憶装置ROMに記憶されている動作プログラム等を用いて光源制御用中央制御装置CPUで演算処理を行い、得られた光データを、光源作動基板を介して、所定の発光ダイオードLEDもしくはパイロットランプ等を点灯、点滅させる。
【0045】
ここで、主制御用中央制御装置CPUが、当り特別乱数Kを当りと判定した場合には、当該当り特別乱数Kに対応する当り図柄乱数L、リーチ態様乱数Qを有効とし、主制御基板60は図柄表示制御基板62に所定の制御指令信号を伝達する。そして、図柄表示制御基板62は、上述の制御指令信号に従って、特別図柄A,B,Cを所定の当り図柄態様で確定表示する。同時に光源制御制御基板64及び音源制御基板63が所定の照光と効果音を発生させる。
【0046】
さらに、主制御基板60は、盤面中継基板61を介して大入賞口ソレノイドを駆動して、大入賞口23を開放する。そして、大入賞口23に遊技球が流入し、この大入賞口23内の特定領域スイッチS3やカウントスイッチS4がオン作動されると、その信号を盤面中継基板61を介して主制御基板60が確認し、必要に応じて、図柄表示制御基板62や払出制御基板65に制御指令を発信して、一連の特別遊技作動が実行される。
【0047】
すなわち、サウンドジェネレータがファンファーレを発すると共に、大入賞口ソレノイドが駆動し、開閉片24が前方に傾動して大入賞口23が開放され、開閉ラウンドが実行される。この開閉ラウンドは、所定制限時間(30秒)が経過するか、この所定制限時間内で、カウントスイッチS4により10個の遊技球の入賞検知がなされるまで継続される。また上述したように、大入賞口23の特定領域に遊技球が流入し、特定領域スイッチS3がオン作動した時は、次の開閉ラウンドへの移行条件が充足され、一旦開閉片24が閉鎖駆動して、一ラウンドが終了する。そして、その動作終了後に再び大入賞口23が開放して、次の開閉ラウンドへ移行する。このように開閉ラウンドが最大16回繰り返されて、大入賞口23の連続開放作動を生じ、遊技者に所定の利得が供される(特別遊技作動)。
【0048】
一方、主制御用中央制御装置CPUが、一個の当り特別乱数Kを判定し、その当り特別乱数Kがハズレであると判定した場合には、当該当り特別乱数Kに対応するハズレ図柄乱数Ma ,Mb ,Mcを有効とする。これに対し、複数の当り特別乱数Kを判定して、いずれもがハズレであった場合には、いずれかの当り特別乱数Kに対応するハズレ図柄乱数Ma ,Mb ,Mcを有効とする。そして、リーチ乱数Nを判定し、このリーチ乱数Nによりリーチ作動を実行する場合にあっては、リーチ図柄乱数Pとリーチ態様乱数Qとを有効とする。そして、これらからなる制御指令を主制御基板60から図柄表示制御基板62に発信し、この図柄表示制御基板62はこの制御指令に従って、特別図柄A,B,Cをハズレ図柄態様で確定表示する。
【0049】
次に、図柄表示装置6の図柄制御について、詳細に説明する。
上述の主制御基板60の記憶装置ROMには、0〜314の315コマからなる当り特別乱数Kが格納されている。ここで、特別図柄A,B,Cの表示内容により、次回に当り図柄となる確率が向上する高確率状態、又は当り図柄となる確率が変化しない通常確率状態のいずれかが発生する。通常確率状態では、当り特別乱数KがK=7の場合に当りとなる。すなわち当り確率は1/315である。また、高確率状態ではK=7,67,127,187,217の場合に当りとなる。すなわち当り確率は5/315=1/63である。そしてそれ以外はハズレとなる。また、記憶装置ROMには、上述したように当り図柄乱数Lが格納されている。ここで当り図柄乱数Lは、「0」〜「11」の当り図柄を備えており、当りの場合に当り図柄態様を決定するものである。そして、この当り図柄乱数Lが特定図柄となった場合には、当該当り終了後、次の当りが発生するまで、当り図柄となる確率が向上する前記の高確率状態となる。
【0050】
また、当り特別乱数Kが当りの場合、もしくは当り特別乱数Kがハズレであり、かつリーチ乱数Nによりリーチ作動が実行される場合には、リーチ態様乱数Qに従って非リーチ状態のときと異なるリーチ変動態様が実行される。このリーチ変動態様としては、例えば、ロングリーチ、低速スクロール、逆走行、低速走行からの加速的停止、図柄の反転等の種々の変動態様がある。
【0051】
このような図柄生成行程にあっては、通常では、図柄表示装置6が駆動し、特別図柄A,B,Cが所定の図柄順列に従って変動することにより開始され、約6.5秒以上経過すると、所定の順番で図柄変動が停止し、上述の各乱数値に従って特別図柄A,B,Cが所定の図柄で確定表示することにより終了する。
【0052】
次に普通図柄作動につき説明する。
遊技球が普通図柄始動ゲート13を通過すると、この遊技球は普通図柄始動スイッチS2で検出される。この普通図柄始動スイッチS2で遊技球検出されると、普通図柄表示装置10の普通図柄が変動する。この普通図柄は、左赤色,中緑色,右赤色の三個の発光ダイオードLEDで構成される。この普通図柄表示装置10が変動中、又は普通電動役物15が開放中のときに、普通図柄始動スイッチS2で遊技球検出されると、主制御基板60の記憶装置RAMにその遊技球検出が記憶され、記憶数の消化に伴って普通図柄始動記憶数表示装置12の発光ダイオードLEDが点灯し、普通図柄が変動開始になる都度消灯されて、記憶個数が表示される。なお、普通図柄始動記憶数表示装置12の最大記憶数は四個であり、それ以上は無効とされる。
【0053】
この普通図柄表示装置10の変動停止後、又は普通電動役物15の開放動作終了後に、普通図柄始動記憶数表示装置12に表示された始動記憶に基づいて普通図柄表示装置10は再び変動開始する。普通図柄表示装置10が変動開始後、約30秒以上経過すると変動が停止し、左右いずれかの発光ダイオードLEDが一個でも点灯した状態であれば当りとなり、普通電動役物15が約0.2秒間開放される。
【0054】
ここで、普通図柄表示装置10が変動を停止したときに表示する図柄態様は、主制御基板60の記憶装置ROMに格納されている、0〜54までの55コマからなる普通当り乱数Uにより決定される。遊技球通過により、普通図柄始動スイッチS2がオン作動すると、主制御基板60は記憶装置ROMから普通当り乱数U、及び当り普通図柄乱数Vの乱数値を選出し、その内容を一旦記憶装置RAMに記憶し、普通図柄表示装置10が変動開始すると同時に、記憶した内容を調べ、その普通当り乱数Uの選出値に対応する当りハズレを決定する。そして当りの場合は、当り普通図柄乱数Vにより停止態様を決定し、左赤色,右赤色のいずれか少なくとも一つが点灯した状態となる。ハズレの場合は、中緑色の発光ダイオードLEDのみが点灯した状態となる。
【0055】
また、上述した高確率状態となる確率変動作動実行中においては、普通図柄表示装置10の変動時間は、常態の約30秒から約6秒に短縮され、この短縮された変動時間が経過すると変動が停止し、かつ普通図柄の当りが出やすい高確率状態となる。さらにこれとともに、普通電動役物15の開放時間が約0.2秒間から約2秒間に延長され、通常確率状態に比して、一分間当りの遊技球通過数が約12回増加することとなる。したがって、通常確率状態における当り判定領域14への遊技球通過は、6個/分であったが、高確率状態では18個/分となる。
【0056】
次に、本発明の要部にかかる通過記憶数表示装置8の点灯態様、及びこれに伴う乱数処理等を説明する。
【0057】
<第一実施形態例>
本実施形態例は、図柄生成行程30〜33開始時に、通過記憶数表示装置8に表示される通過記憶数が0個のときは、新たな遊技球通過により図柄生成行程30〜33が開始され、一個のときは、かかる記憶が消化されて図柄生成行程30〜33が実行される構成である。さらに、表示される通過記憶数が二個のときには、二個の通過記憶数が消化され、三個のときにも二個消化され、四個のときにも二個消化されて新たな図柄生成行程30〜33が一回実行される構成である。
【0058】
図3に示すように、図柄生成行程30の実行中に、当り判定領域14への遊技球通過a,bにより、特別図柄選出スイッチS1がオンされると、通過記憶数表示装置8には、その通過数が順次表示される。ここで、図柄生成行程30が開始された直後の通過記憶数が0個であると、かかる二個の通過記憶に基づいて新たな図柄生成行程31が開始され、この図柄生成行程31開始直後に通過記憶数は0個となる。このように、本発明は、一回の図柄生成行程31の実行に対して複数の記憶数が消化される構成であるため、遊技球通過の記憶消化が促進されて記憶数が満杯状態となりにくく、無効球が発生しにくくなる。
【0059】
そして、この図柄生成行程31実行中に遊技球通過a,bに対応する二個の当り特別乱数Kが判定される。本実施形態例にあっては、最先に検知された遊技球通過aに対応する当り特別乱数Kから、当りか否かの判定が行われる。ここで、この当り特別乱数Kが、ハズレであった場合には、次に遊技球通過bに対応する当り特別乱数Kが判定される。そして、この遊技球通過bに対応する当り特別乱数Kが当りであれば、当該当り特別乱数Kを有効とし、これに対応する各種乱数に従って当り図柄態様が確定表示される。また、ハズレであれば、この遊技球通過bに対応する当り特別乱数K等に従って、ハズレ図柄態様が確定表示される。一方、遊技球通過aに対応する当り特別乱数Kが、当りであった場合には、当該当り特別乱数K等に従って当り図柄態様が確定表示される。ここで、一個の当り特別乱数Kが有効となると、選定対象となった当り特別乱数Kは記憶消化される。なお、遊技球通過aにより抽出された当り特別乱数Kが当りであると、遊技球通過bに対応する当り特別乱数Kは判定されずに記憶消化される。ところで、かかる構成に代えて、判定毎に記憶消化する構成としても良い。
【0060】
一方、図柄生成行程31実行中に、四回の遊技球通過c,d,e,fが検知されると、通過記憶数表示装置8に四個の通過記憶が表示される。そして、次に新たな図柄生成行程32が実行開始される際には四個の通過記憶のうち、二個の通過記憶が消化されるとともに、二個の発光ダイオードLEDが同時に消灯される。
【0061】
そして、この図柄生成行程32は、通過記憶数が二個の状態から開始され、実行中に、遊技通過c,dに対応する当り特別乱数Kを判定する。したがって、最先に検知された遊技球通過cに対応する当り特別乱数Kから判定が実行される。そして、上述したように、判定内容がハズレであると次に検知された遊技球通過dに対応する当り特別乱数Kが判定される。一方、判定内容が当りであると、その当り特別乱数K等に従って当り図柄態様が確定表示されるとともに、判定対象となった当り特別乱数Kは記憶消化される。上述したように、判定対象の当り特別乱数Kが順次判定されて、いずれもハズレである場合には、最後に検知された遊技球通過dに対応する当り特別乱数Kに従って、ハズレ図柄態様が確定表示される。
【0062】
また、図柄生成行程32実行中に、遊技球通過が一回も検知されないと、二個の通過記憶数が消化されて、新たな図柄生成行程33が実行される。かかる図柄生成行程33にあっても上述と同様な判定行程が実行され、遊技球通過e,fに対応する当り特別乱数Kに従って、特別図柄A,B,Cが確定表示される。
【0063】
なお、図柄生成行程33終了時に、通過記憶数表示装置8で表示される通過記憶数が0個であるときは、次に遊技球が当り判定領域14に通過するまで図柄生成行程は実行されない。
【0064】
これまでに述べた構成のように、図柄生成行程30〜33開始時に通過記憶数表示装置8で表示した通過記憶数が全て消化される場合や、一部消化される場合がある構成とすることにより、遊技の進行度合いが多様化し、遊技内容が単調となることがない。なお、消化される通過記憶数は、表示される通過記憶数毎に様々に定められうる。
【0065】
また、このように複数の通過記憶数を消化し、図柄生成行程を一回実行する構成とすることにより、図柄生成行程30〜33で当り図柄態様が確定表示される確率が向上する。例えば、図柄生成行程31において、各当り特別乱数Kが当りである確率は1/315(通常確率時)であるが、この図柄生成行程31で当り図柄態様が確定表示される確率は、(1/315)×2=2/315とみなすことができる。
【0066】
また、かかる実施形態例にあっては、表示される通過記憶数が複数の場合は常に二個の通過記憶数が消化される構成であるため、遊技者は遊技の進行を理解しやすい。
【0067】
次に、他の実施形態例を図4に従って説明する。
<第二実施形態例>
図柄生成行程34〜37開始時に、通過記憶数表示装置8に表示される通過記憶数が設定数以上であるときに、複数の通過記憶数が消化されて新たな図柄生成行程34〜37が実行される構成を説明する。
【0068】
かかる構成にあっては、図柄生成行程34〜37開始時に、通過記憶数表示装置8に表示される通過記憶数が、三個のときには二個消化され、四個のときには三個の通過記憶数が消化される。また、表示される通過記憶数が0個のときは新たな遊技球通過により新たな図柄生成行程34〜37が実行開始され、一個のときには一個の通過記憶数が消化され、同様に二個のときにも一個消化されて新たな図柄生成行程34〜37が実行される。
【0069】
図4に示されるように、図柄生成行程34の実行中に、当り判定領域14への遊技球通過g,hにより、特別図柄選出スイッチS1がオンされると、通過記憶数表示装置8には、その通過数が順次表示される。ここで、図柄生成行程35が開始された直後の通過記憶数が0個であると、かかる二個の通過記憶に基づいて新たな図柄生成行程35が開始され、この図柄生成行程35開始直後に通過記憶数は一個となる。
【0070】
そして、この図柄生成行程35実行中に、遊技球通過gにより抽出された当り特別乱数Kについて、当りかハズレかが判定され、その判定内容に従って図柄表示領域Fで特別図柄A,B,Cが確定表示される。
【0071】
一方、図柄生成行程35実行中に、三回の遊技球通過i,j,kが検知されると、通過記憶数表示装置8に表示される通過記憶数は四個となる。かかる通過記憶数は、遊技球通過h,i,j,kに基づくものである。この場合は、新たな図柄生成行程36が実行開始される際に、三個の通過記憶が消化されるとともに、三個の発光ダイオードLEDが同時に消灯される。
【0072】
そして、この図柄生成行程36実行中に、最先に検知された遊技球通過hに対応する当り特別乱数Kから判定が実行される。そして、第一実施形態例と同様な判定行程が実行され、遊技球通過h,i,jに対応する三個の当り特別乱数Kのうち、一の当り特別乱数Kに従って図柄態様が確定表示される。
【0073】
図柄生成行程36実行中に、二回の遊技球通過m,nが検知されると、表示される通過記憶数は三個となり、かかる状況で図柄生成行程36が終了すると、二個の記憶が消化されて、次に図柄生成行程37が実行開始される。
【0074】
そして、図柄生成行程37では、遊技球通過k,mに対応する二個の当り特別乱数Kが選定対象となる。そして、いずれかの当り特別乱数Kの判定内容に従って図柄態様が確定表示される。そして、これ以降も同様な遊技内容が実行される。
【0075】
本実施形態例のように、通過記憶数表示装置8で表示される通過記憶数、すなわち判定記憶手段に累積記憶される当り特別乱数Kが、三個(設定数)以上である場合に、二個又は三個(複数)の記憶消化が実行される構成とすることにより、特に無効球が発生しやすい遊技状況で、記憶消化を促進させることが可能となる。
【0076】
また、累積記憶された当り特別乱数Kが複数の場合に、少なくとも一個の当り特別乱数Kは残して記憶消化する構成とすることにより、表示される通過記憶数が0個となるような遊技状況を発生し難くすることが可能となる。これにより、継続的に図柄生成行程が実行され易くなり、図柄変動が途絶えて興趣が損なわれるおそれがなくなる。
【0077】
さらに、他の実施形態例を説明する。
<第三実施形態例>
本発明にあって、上述の構成に代えて、通過記憶数表示装置8を備えず、高確率状態で図柄生成行程が実行開始される場合には、累積記憶された当り特別乱数Kが三個となることにより図柄生成行程が実行開始され、これに対し通常確率状態では、一個記憶される毎に実行開始される構成が提案される。以下、図5〜図7に従って説明する。
【0078】
図5に示されるように、通常確率状態かつ図柄停止状態の場合に、当り判定領域14で遊技球通過pが検知されると、図柄生成行程の実行条件を満たすこととなり、図柄生成行程38が実行開始される。この図柄生成行程38は10秒間実行され、この時間中に当該図柄生成行程38の実行契機となった遊技球通過pに従って図柄態様が確定表示される。また、判定されると、この当り特別乱数Kは記憶消化される。そして、新たに遊技球通過qが検知されると、これに従って新たに図柄生成行程39が実行開始されることとなる。
【0079】
一方、図6に示されるように、高確率状態の場合には、累積記憶される当り特別乱数Kが三個となることにより、新たな図柄生成行程が開始され、かかる三個の当り特別乱数Kが判定され、そのうち一の当り特別乱数Kが選定されて、これに基づいて図柄態様が確定表示されることとなる。
【0080】
すなわち、図6に示されるように、記憶数が0個の状態で、遊技球通過rが検知されると、これに伴って当り特別乱数Kが抽出され、記憶保持されるが、この時点では、累積記憶される当り特別乱数Kは一個であるため、条件を満たしておらず、新たな図柄生成行程は実行されない。
【0081】
そして、さらに二回の遊技球通過s,tが検知されると、累積記憶される当り特別乱数Kが三個となるため、図柄生成行程40が実行開始されることとなる。そして、かかる図柄生成行程40中に、遊技球通過r,s,tに基づく三個の当り特別乱数Kが判定され、所定の図柄態様が確定表示される。
【0082】
ところで、高確率状態における図柄生成行程の実行条件を以下のような構成としても良い(図7参照)。
図柄生成行程41が実行開始され、通常の実行時間(10秒)の間に二回の遊技球通過u,vしか検知されなかった場合、すなわち予め定められた規定の三回に満たなかった場合には、図柄生成行程が2秒間延長されて実行される。すなわち、図柄生成行程41は実行開始されてから連続して12秒間実行されることとなる。そしてこの延長時間中に遊技球通過wが検知されると、累積記憶される当り特別乱数Kは三個となるため、図柄生成行程実行条件が満たされ、新たな図柄生成行程42が実行開始される。そして、この図柄生成行程42実行中に、遊技球通過u,v,wにより抽出された三個の当り特別乱数Kを判定する。このように、通常の図柄生成行程を時間延長して実行する構成とすることにより、図柄変動の開始条件を満たす可能性を高めることが可能となり、打球操作に不慣れな遊技者やたまたま運の悪かった遊技者等を救済することが可能となる。
【0083】
これに対し、図柄生成行程42にあって、図柄生成行程の実行時間が延長されたにもかかわらず、規定の三個に満たなかった場合には、かかる図柄生成行程42終了後、実行時間が6秒間に短縮された図柄生成行程43が新たに実行開始される。そしてこの6秒間に時間短縮された図柄生成行程43実行中に、これまでに記憶されている遊技球通過xに基づく一個の当り特別乱数Kが判定される。
【0084】
さらに、この短縮された図柄生成行程43以降においても、同様な遊技内容で進行される。すなわち、高確率状態で、短縮された図柄生成行程43終了までに三個未満の遊技球通過しか検知されなかった場合は、実行時間が2秒延長されて合計8秒の図柄生成行程が実行されることとなるし、三個の遊技球通過が検知された場合は、次回から実行時間が10秒の図柄生成行程が実行されることとなる。なお、実行時間が8秒の図柄生成行程にあっても同様な遊技内容が適用され、遊技が順次進行する。
【0085】
なお、高確率状態にあっては、図柄生成行程実行中に当り判定領域14へ遊技球が三回通過する可能性は高いため、短縮された図柄生成行程が実行されても、通常(実行時間が10秒)の図柄生成行程が再び実行される可能性が高い。すなわち、過剰に当り特別乱数Kが記憶保持されるという状況が発生し難くなり、記憶と消化のバランスがとれた状態に収束していくこととなる。
【0086】
なお、かかる第三実施形態例にあって、遊技状態にかかわらず常に複数の遊技球通過を基準として、一回の図柄生成行程を実行する構成としても良い。
【0087】
また、本発明にあって、複数の当り特別乱数Kを判定する構成としては、上述の構成に代えて、全ての当り特別乱数Kを判定した上で、いずれかが当りであればこの当り特別乱数Kを選定し、いずれもがハズレであれば最後に抽出した当り特別乱数Kを選定し、その後判定済みの当り特別乱数Kを記憶消化する構成としても良い。
【0088】
また、抽出した当り特別乱数Kを判定せず、記憶保持した当り特別乱数Kを抽選して一の当り特別乱数Kを選定する構成としても良い。また、常に最先に記憶保持した当り特別乱数Kを選定する構成としても良いし、又最後に記憶保持した当り特別乱数Kを選定する構成としても良い。
【0089】
また、複数の当り特別乱数Kを判定する際の順番は、上述の構成に代えて、例えばランダムに各当り特別乱数Kを判定する構成としても良い。また、当りである当り特別乱数Kが、一回の判定で複数個判定されたときには、例外的に、その数だけ当り図柄態様を生成する図柄生成行程を連続的に実行するようにしても良い。また、二番目以降に判定された当りである当り特別乱数Kを、次回の判定機会まで保留しておく制御内容としても良い。
【0090】
また、当り判定領域14への遊技球通過により抽出される当り図柄乱数Lを当落判定値としても良い。すなわち、判定記憶手段が、抽出した当り図柄乱数Lを当り図柄態様であるか、又はハズレ図柄態様であるか判定することとなる。
【0091】
【発明の効果】
本発明は、当り判定領域を遊技球が通過する毎に当落判定値を抽出し、抽出した当落判定値を順次記憶保持し、所定の判定タイミング毎に、累積記憶された所定範囲数の当落判定値を、予め定められた選定基準に従って、そのうち一の当落判定値のみを有効とし、記憶消化する判定記憶手段を備える構成としたため、図柄生成行程が実行される際に、複数の当落判定値の記憶数が消化される場合が発生する。したがって、記憶保持される当落判定値が円滑に記憶消化されることとなり、過剰に記憶数が記憶保持される状況を回避することが可能となる。
【0092】
また、判定記憶手段が、判定した複数の当落判定値のうち、いずれかが当りである場合には、当該当落判定値を選定する構成としているから、遊技者は、当りが得られるか否かという期待感が誘発されることとなり、遊技の興趣性が一層向上することとなる。また、図柄生成行程で当り図柄態様が確定表示される確率が向上することとなるため、遊技者の満足度をさらに高める効果を生む。
【0093】
なお、判定記憶手段が、所定の判定タイミング毎に、複数の当落判定値のうちから一の当落判定値を抽選する構成とした場合には、一の当落判定値が無作為に選定されることとなり、遊技内容に偶然性を付加することが可能となる。
【0094】
また、記憶保持された当落判定値の記憶数を、所定個数を限度として表示するとともに、当落判定値が記憶消化された場合に、所定範囲数だけ一括して減算して残りの記憶数を表示する通過記憶数表示装置を備えた構成とした場合には、遊技者に、現在の通過記憶数を明確に報知することが可能となる。さらに、表示される通過記憶数のうち、所定範囲数の通過記憶数が一括して減算されるため、記憶の消化が促進され、通過記憶数が満杯状態となりにくく、無効球が発生しにくくなる。これにより、発射停止行為による機械稼働率の低下を回避することが可能となると共に、従来から提案されている選出図柄の変動時間を短縮等する必要もなくなるため、図柄生成行程の演出効果が滅殺されることもない。さらに、複数の記憶数が一度に一括して消化される構成であるから、遊技者の爽快感を刺激することが可能となる。
【0095】
また、所定判定タイミングが、図柄生成行程開始時である構成とした場合には、図柄生成行程の開始条件が明確となり、遊技者が遊技の進行状況を把握し易くなる。
【0096】
一方、累積記憶された当落判定値が所定数(一回を除く)に達する時である構成としているから、遊技者は所定数に達するように意欲的に打球操作することとなり、遊技の興趣性をより一層向上させることが可能となる。
【0097】
また、条件によって、図柄生成行程の実行毎に消化される当落判定値の所定範囲数が変化するものである構成とした場合には、例えば、当り判定領域へ遊技球が通過しにくい遊技状態から通過しやすい遊技状態となった場合にも、好適に当落判定値の記憶消化を促進させることが可能となり、当落判定値が過剰に累積記憶されることがない。
【0098】
また、累積記憶された当落判定値が複数の場合であって、所定範囲数が、少なくとも一個の当落判定値は残して記憶消化するようにした数とした場合には、少なくとも一回は次回に図柄生成行程が実行されることとなり、図柄生成行程が継続して実行され易くなる。したがって、図柄演出時間が短縮されて興趣性が損なわれることもないため、遊技者に退屈感を抱かせないとともに、より華やかな演出を提供することが可能となる。
【0099】
また、累積記憶された当落判定値が設定数以上の場合に複数の当落判定値を記憶消化し、設定個数未満の場合に、一個の当落判定値を記憶消化する構成とした場合には、遊技内容にメリハリをつけることが可能となり、遊技者が遊技に集中しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】遊技盤1の正面図である。
【図2】遊技を制御する制御回路を示すブロック回路図である。
【図3】第一実施形態例の通過記憶数表示装置8で表示される通過記憶数の推移等を示すタイムチャート図である。
【図4】第二実施形態例の通過記憶数表示装置8で表示される通過記憶数の推移等を示すタイムチャート図である。
【図5】第三実施形態例における通常確率状態時の特別図柄A,B,Cの変動及び停止時期等を示すタイムチャート図である。
【図6】第三実施形態例における高確率状態時の特別図柄A,B,Cの変動及び停止時期等を示すタイムチャート図である。
【図7】第三実施形態例における他の実施例の特別図柄A,B,Cの変動及び停止時期等を示すタイムチャート図である。
【符号の説明】
A,B,C 特別図柄(選出図柄)
K 当り特別乱数(当落判定値)
6 図柄表示装置
8 通過記憶数表示装置
14 当り判定領域
30〜43 図柄生成行程
Claims (1)
- 複数の選出図柄を変動表示する図柄表示装置と、
所定条件の成立に起因して、選出図柄の変動開始から図柄確定に至る一連の図柄生成行程を図柄表示装置で実行する図柄制御手段とを備え、図柄生成行程により確定表示された選出図柄の組合せが所定の当り図柄態様である場合に、遊技者に所定の利得を供与することとなる特別遊技作動を実行するパチンコ遊技機において、
当り図柄態様の表示内容により、次回に当り図柄となる確率が向上する高確率状態、又は当り図柄となる確率が変化しない通常確率状態のいずれかが発生する構成にあって、
当り判定領域と、
高確率状態の場合に、該当り判定領域を遊技球が通過する毎に当落判定値を抽出し、抽出した当落判定値を順次記憶保持し、累積記憶された当落判定値が所定数(一を除く)に達する時を判定タイミングとして、該判定タイミング毎に、累積記憶された所定範囲数の当落判定値を、予め定められた選定基準に従って、そのうち一の当落判定値のみを有効として、記憶消化する判定記憶手段とを備え、
図柄制御手段が、前記判定記憶手段が選定した当落判定値に基づいて図柄生成行程を一回実行するようにしたものであり、
さらには判定記憶手段が、判定した複数の当落判定値のうち、いずれかが当りである場合には、当該当落判定値を選定し、図柄制御手段が、当該当落判定値に基づき当り図柄態様を生成する図柄生成行程を実行するようにしたものであって、
高確率状態にあって、前記判定記憶手段が選定した当落判定値に基づいて図柄生成行程が実行開始され、予め定められた実行時間が経過した間に累積記憶された当落判定値が前記所定数未満であった場合には、図柄生成行程を所定時間延長して実行されるとともに、
通常確率状態では、当り判定領域を遊技球が通過する毎に当落判定値を抽出し、当落判定値が一個記憶されるごとに、図柄生成行程が実行開始されるようにしたことを特徴とするパチンコ遊技機。
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