JP3983693B2 - ロータ及びブラシレスモータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、極配向磁石よりなるリング磁石を備えたロータ及びそのロータを備えたブラシレスモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラシレスモータのロータとして、例えば、特許文献1(第6図(b))に示されているように、極異方性磁石等の極配向磁石よりなる円筒形磁石(リング磁石)を用いて構成されるものがある。このロータは、略円柱状の回転子コアに極配向磁石よりなる円筒形磁石が外嵌固着されて構成されている。極配向磁石よりなる円筒形磁石は、ステータとの対向面である外周面にのみN極とS極の磁極が等間隔に現れるように着磁されており、その外周面においてトルクの発生に最も寄与する磁極中心部分の磁束密度は高くなっている。従って、N極とS極の磁極が外周面と内周面共に現れるように着磁される周知のラジアル配向磁石(特許文献1の第6図(a))と比べて、同体格ではモータが高トルクとなり、又、モータのトルクを同じとすれば磁石の小型化が可能となって、モータの小型化を図ることができる。
【0003】
ところで、ロータ回転時において、円筒形磁石には回転子コアに対して回転方向にずれるような力が作用する。そのため、該コアに対する円筒形磁石の固着力、特に回転方向の係合力を向上するために、該コアと該磁石との間に接着剤を用いるのが一般的であった。しかしながら、接着剤を用いる作業は工数がかかる作業であるばかりか、接着剤による固定は信頼性が低いという点等で問題があった。
【0004】
ここで、特許文献2の第2図に示すように、円筒形磁石の内周面形状を正八角形(正多角形)とするとともに、該円筒形磁石と内嵌する弾性部材(前記回転子コアに相当)の外周面形状も同様に正八角形として、円筒形磁石と弾性部材とが回転方向において係合するようにしている。
【0005】
このような技術を前記特許文献1に用い、前記回転子コアの外周面と前記円筒形磁石の内周面を正多角形状とし、円筒形磁石と回転子コアとが回転方向において係合するように構成すれば、同方向の係合力が向上して該コアに対する円筒形磁石の固着力が向上するため、接着剤を省略することが可能となる。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−146618号公報
【特許文献2】
特開平8−65932号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記特許文献1にて示した円筒形磁石は、外周面にのみ磁極が現れるように着磁される極配向磁石よりなるため、該磁石内の磁束の流れは、外周面の磁極中心部分から一旦内周面側に向かいその後隣接する磁極中心部分に向かって円弧状をなす。
【0008】
一方で、上記したように円筒形磁石の内周面を正多角形状とすると、その多角形の角部が該磁石内(径方向外側に向かって)に食い込む形状となるため、その角部が形成される部分の径方向幅が他の部分より狭くなり、その角部の部分を跨るような磁束に対してはその流れを妨げる磁気的な抵抗部分となる。従って、その角部の位置を考慮して円筒形磁石の磁極の位置を設定しないと、該磁石の磁気的な効率が低下してしまう。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、リング磁石の固着面である内周面に係合部を設けて固着力の向上を図りながら、着磁位置を限定することなく容易に着磁を行うことができるロータ及びそのロータを備えたブラシレスモータを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、回転軸と、前記回転軸と一体回転するように設けられるカラーと、前記カラーに固着され、外周面にのみ磁極が現れるように着磁される極配向磁石よりなるリング磁石と、を備えたロータであって、前記カラーは、軸方向から見て略円形状の外周面を有するとともに該外周面に係合凹部を有し、前記リング磁石は、前記カラーの外周面と固着すべく軸方向から見て略円形状の内周面を有するとともに該内周面に前記カラーの係合凹部と係合する係合凸部を有し、前記リング磁石は、その外周面に現れる磁極中心部分を通過する径方向の直線上に前記係合凸部が位置するように着磁されている。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のロータにおいて、前記リング磁石の磁極は、等間隔に設けられるものであり、前記係合凹部及び前記係合凸部は、複数個設けられ等間隔に配置されている。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のロータにおいて、前記係合凹部及び前記係合凸部は、前記リング磁石の極数と同数設けられている。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のロータと、前記ロータを回転させるべく回転磁界を発生させるステータと、を備えたブラシレスモータである。
【0014】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、ロータは、回転軸と一体回転するように設けられるカラーに対して、外周面にのみ磁極が現れるように着磁される極配向磁石よりなるリング磁石が固着されてなる。カラーは、軸方向から見て略円形状の外周面を有するとともに該外周面に係合凹部を有し、リング磁石は、カラーの外周面と固着すべく軸方向から見て略円形状の内周面を有するとともに該内周面にカラーの係合凹部と係合する係合凸部を有している。そして、リング磁石は、内周面に設けた係合凸部とカラーの外周面に設けた係合凹部とが回転方向に係合することで、該カラーに対して強固に固着される。しかも、このリング磁石は、その内部の磁束が該磁石の外周面の磁極中心部分から一旦内周面に向かいその後隣接する磁極中心部分に向かって円弧状をなすものであるが、該磁石の固着力を向上させるために内周面に設けた係合凸部は磁石内(径方向外側に向かって)に食い込む形状でないため、その係合凸部を設けた部分は磁束の流れを妨げる磁気抵抗とならない。つまり、係合凸部を内周面の周方向のいずれの位置に設けても、リング磁石内の磁束に与える影響は極めて小さい。そのため、このリング磁石は、着磁位置を限定することなく容易に着磁を行うことが可能である。
【0015】
また、リング磁石は、その外周面に現れる磁極中心部分を通過する径方向の直線上に係合凸部が位置するように着磁される。つまり、極配向磁石よりなるリング磁石内の磁束の流れから、内周面の係合凸部近傍は磁束密度の低い部分となっている。そのため、係合凸部を設けることでリング磁石に僅かながらでも影響を与えたとしても、その影響をより確実に小さくできる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、リング磁石の磁極は、等間隔に設けられるものであり、係合凹部及び係合凸部は、複数個設けられ等間隔に配置される。つまり、カラーとリング磁石とは回転方向に等間隔に係合するので、互いに回転方向において安定的に係合できる。又、係合凸部を設けることでリング磁石に僅かながらでも影響を与えたとしても、該磁石への影響を回転方向に等間隔に分散できる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、係合凹部及び係合凸部は、リング磁石の極数と同数設けられる。つまり、リング磁石において、1つ磁極に対して1つの係合凸部が対応することになり、又、各係合凸部の位置が各磁極に対してそれぞれ同じ位置に配置される。そのため、磁極毎に差が生じることが防止される。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、リング磁石の固定力が向上されるので、該磁石の脱落を確実に防止でき、ブラシレスモータの長寿命化に貢献できる。又、リング磁石に対して着磁位置を限定することなく容易に着磁を行うことが可能であるので、リング磁石の製造、ひいてはブラシレスモータの製造の容易化に貢献できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、ブラシレスモータ1の概略構成図である。ブラシレスモータ1は、円環状のステータ2と、該ステータ2の内側に回転可能に収容されるロータ3とを備えている。ステータ2は、図示しないがステータコアのティースに巻線が巻回され、該巻線に駆動電流が供給されることにより、ロータ3を回転させるための回転磁界が発生するように構成されている。
【0020】
ロータ3は、図1及び図2に示すように、回転軸4と、カラー5と、リング磁石6とを備えている。カラー5は、鉄等の金属材料が用いられて略円盤状に形成されている。カラー5の中心部には軸方向から見て円形状の貫通孔5aが形成されており、該貫通孔5aには回転軸4が圧入され固定されている。カラー5の外周面5bはリング磁石6の固着面であって、軸方向から見て略円形状に形成されている。この外周面5bには、同形状をなす8個の係合凹部5cが周方向(回転方向)に等間隔に形成されている。この係合凹部5cは、断面半円状をなしており、軸方向に貫通している。そして、カラー5の外周面5bには、リング磁石6が圧入され固着される。
【0021】
リング磁石6は、リング状(円環状)をなしている。リング磁石6の外周面6a、即ち前記ステータ2と対向する面は、軸方向から見て円形状をなしている。リング磁石6の内周面6bはカラー5の固着面であって、前記カラー5の外周面5bに外嵌(圧入)固着すべく該外周面5bに対応した形状をなしている。即ち、リング磁石6の内周面6bは軸方向から見て略円形状に形成され、該内周面6bには同形状をなす8個の係合凸部6cが周方向(回転方向)に等間隔に形成されている。この係合凸部6cは、断面半円状をなしており、軸方向に連続している。因みに、リング磁石6の内周面6bに設けた係合凸部6cと前記カラー5の外周面5bに設けた係合凹部5cの数は、後述するリング磁石6の極数「8」と同数としている。そして、リング磁石6は、内周面6bに設けた係合凸部6cとカラー5の外周面5bに設けた係合凹部5cとが回転方向に係合することで、該カラー5に対して強固に固着される。
【0022】
又、前記リング磁石6は、極異方性磁石若しくは極等方性磁石である外周面6aにのみ磁極(N極S極)が現れる極配向磁石よりなる。因みに、極異方性磁石とは、磁気方向性を揃えた磁性粉体に外部磁界をかけて着磁したい方向に配置し、圧縮又は射出成形で製造後、先ほどの方向に合わせて極配向で着磁して完成される磁石であり、強力な磁石である。一方、極等方性磁石とは、磁気の方向が揃っていない磁性粉体を圧縮又は射出成形で製造後、任意の極配向で着磁して完成される磁石であり、比較的容易に製造できる。磁性粉体の材料としては、両磁石ともネオジ鉄ボロン若しくはサマリウム鉄窒素が利用される。
【0023】
このリング磁石6は、図1中の破線にて示される磁極の境界線L0にて区切られるように、磁極が等間隔でありその極数が「8」で構成されている。このリング磁石6は、その内部の磁束Aの流れ(図1の矢印にて示す)が、外周面6aの磁極中心部分6dから一旦内周面6bに向かいその後隣接する磁極中心部分6dに向かって円弧状をなすように着磁され、外周面6aにのみ磁極が現れるように着磁されている。又、この場合、外周面6aに現れる磁極中心部分6dを通過する径方向の直線L1上に前記係合凸部6cが位置するように着磁がなされている。
【0024】
ここで、リング磁石6の固着力を向上させるために内周面6bに設けた係合凸部6cは磁石6内(径方向外側に向かって)に食い込む形状でないため、その係合凸部6cを設けた部分は磁束Aの流れを妨げる磁気抵抗とならない。つまり、係合凸部6cを内周面6bの周方向のいずれの位置に設けても、リング磁石6内の磁束Aに与える影響は極めて小さい。そのため、このリング磁石6は、着磁位置を限定することなく容易に着磁を行うことができる。
【0025】
又、上記したように、外周面6aに現れる磁極中心部分6dを通過する径方向の直線L1上に係合凸部6cが位置している。つまり、極配向磁石よりなるリング磁石6内の磁束Aの流れから、内周面6bの係合凸部6c近傍は磁束密度の低い部分となっている。そのため、係合凸部6cを設けることでリング磁石6に僅かながらでも影響を与えたとしても、その影響がより確実に小さくなるようにしている。
【0026】
因みに、このように構成されるロータ3は、先ず着磁前のリング磁石6がカラー5に圧入されて固着され、次にリング磁石6が図示しない着磁装置にて上記したように着磁され、次に回転軸4がカラー5に圧入されて完成される。
【0027】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)ロータ3は、回転軸4と一体回転するように設けられるカラー5に対して、外周面6aにのみ磁極が現れるように着磁される極配向磁石よりなるリング磁石6が固着されてなる。カラー5は、軸方向から見て略円形状の外周面5bを有するとともに該外周面5bに係合凹部5cを有している。リング磁石6は、カラー5の外周面5bと固着すべく軸方向から見て略円形状の内周面6bを有するとともに該内周面6bにカラー5の係合凹部5cと係合する係合凸部6cを有している。そして、リング磁石6は、内周面6bに設けた係合凸部6cとカラー5の外周面5bに設けた係合凹部5cとが回転方向に係合することで、該カラー5に対して強固に固着される。しかも、このリング磁石6は、その内部の磁束Aが該磁石6の外周面6aの磁極中心部分6dから一旦内周面6bに向かいその後隣接する磁極中心部分6dに向かって円弧状をなすものであるが、該磁石6の固着力を向上させるために内周面6bに設けた係合凸部6cは磁石6内(径方向外側に向かって)に食い込む形状でないため、その係合凸部6cを設けた部分は磁束Aの流れを妨げる磁気抵抗とならない。つまり、係合凸部6cを内周面6bの周方向のいずれの位置に設けても、リング磁石6内の磁束Aに与える影響は極めて小さい。そのため、このリング磁石6は、着磁位置を限定することなく容易に着磁を行うことができる。
【0028】
(2)リング磁石6の固定力が向上されるので、該磁石6の脱落を確実に防止でき、ブラシレスモータ1の長寿命化に貢献することができる。又、リング磁石6に対して着磁位置を限定することなく容易に着磁を行うことが可能であるので、リング磁石6の製造、ひいてはブラシレスモータ1の製造の容易化に貢献することができる。
【0029】
(3)リング磁石6は、その外周面6aに現れる磁極中心部分6dを通過する径方向の直線L1上に係合凸部6cが位置するように着磁されている。つまり、極配向磁石よりなるリング磁石6内の磁束Aの流れから、内周面6bの係合凸部6c近傍は磁束密度の低い部分となっている。そのため、係合凸部6cを設けることでリング磁石6に僅かながらでも影響を与えたとしても、その影響をより確実に小さくすることができる。
【0030】
(4)リング磁石6の磁極は、等間隔に設けられるものであり、係合凹部5c及び係合凸部6cは、複数個(磁極「8」と同数の8個)設けられ等間隔に配置されている。つまり、カラー5とリング磁石6とは回転方向に等間隔に係合するので、互いに回転方向において安定的に係合することができる。又、係合凸部6cを設けることでリング磁石6に僅かながらでも影響を与えたとしても、該磁石6への影響を回転方向に等間隔に分散することができる。
【0031】
(5)係合凸部6c(係合凹部5c)は、リング磁石6の極数と同数設けられている。つまり、リング磁石6において、1つ磁極に対して1つの係合凸部6cが対応することになり、又、各係合凸部6cの位置が各磁極に対してそれぞれ同じ位置に配置される。そのため、磁極毎に差が生じることが防止される。
【0032】
(6)リング磁石6は、カラー5に外嵌され該カラー5に対して固着される。そのため、リング磁石6とカラー5とを別々に形成できるので、それらを容易に形成することができる。
【0033】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、リング磁石6の極数を「8」としたが、極数はこれに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。又、磁極を等間隔に設けたが、等間隔でなくてもよい。
【0034】
○上記実施形態では、リング磁石6の係合凸部6c及びカラー5の係合凹部5cを該磁石6の極数「8」と同じ8個としたが、係合凸部6c及び係合凹部5cの数は該磁石6の極数と同数でなくてもよい。又、係合凸部6c及び係合凹部5cを等間隔に配置したが、等間隔でなくてもよい。又、係合凸部6cを外周面6aに現れる磁極中心部分6dを通過する径方向の直線L1上に配置したが、例えば図3に示すように、直線L1からずれた位置に係合凸部6cを配置してもよい。又、係合凸部6c及び係合凹部5cを断面半円状としたが、この形状に限定されるものではなく、例えば、断面三角形状や断面四角形状に変更してもよい。
【0035】
○上記実施形態では、リング磁石6をカラー5に外嵌することで該カラー5に対して固着するようにしたが、リング磁石6をカラー5に一体成形することで該カラー5に対して固着するようにしてもよい。このようにすれば、ロータ3、ひいてはモータ1の部品点数を低減することができる。
【0036】
○上記実施形態では、リング磁石6をカラー5に固着した後に着磁するようにしたが、カラー5に固着する前に予めリング磁石6に着磁するようにしてもよい。
【0037】
○上記実施形態では、カラー5を鉄等の金属材料としたが、鉄以外の磁性金属材料や非磁性金属材料、樹脂材料等に変更してもよい。この場合、リング磁石6は外周面6aから該外周面6aに磁束Aが流れる極配向磁石であるので、カラー5を非磁性材料に変更しても、モータ1の出力に影響を与えるものではない。又、内径側(回転軸4側)を金属材料、外径側(外周面5b側)を樹脂材料としたカラー5としてもよい。又、カラー5に回転軸4を圧入して該カラー5を回転軸4と一体回転するようにしたが、カラー5に回転軸4を一体形成してもよい。
【0038】
○上記実施形態のリング磁石6を、ロータ3以外の構成のロータに用いてもよい。
○上記実施形態では、ブラシレスモータ1のロータ3に実施したが、ブラシレスモータ1以外のモータのロータに実施してもよい。
【0039】
上記各実施形態から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ) 前記リング磁石は、前記カラーに外嵌され該カラーに対して固着されている。
【0040】
このようにすれば、リング磁石とカラーとを別々に形成できるので、それらを容易に形成することができる。
(ロ) 前記リング磁石は、前記カラーに一体成形され該カラーに対して固着されている。
【0041】
このようにすれば、ロータの部品点数を低減することができる。
(ハ) ロータに備えられ、外周面にのみ磁極が現れるように着磁される極配向磁石よりなるリング磁石であって、
前記ロータは、軸方向から見て略円形状の外周面を有するとともに該外周面に係合凹部を有するカラーを有するものであり、
前記カラーの外周面と固着すべく軸方向から見て略円形状の内周面を固着面として備え、該内周面に前記カラーの係合凹部と係合する係合凸部を有していることを特徴とするリング磁石。
【0042】
このようにすれば、リング磁石は、内周面に設けた係合凸部とカラーの外周面に設けた係合凹部とが回転方向に係合することで、該カラーに対して強固に固着される。しかも、このリング磁石は、その内部の磁束が該磁石の外周面の磁極中心部分から一旦内周面に向かいその後隣接する磁極中心部分に向かって円弧状をなすものであるが、該磁石の固着力を向上させるために内周面に設けた係合凸部は磁石内(径方向外側に向かって)に食い込む形状でないため、その係合凸部を設けた部分は磁束の流れを妨げる磁気抵抗とならない。つまり、係合凸部を内周面の周方向のいずれの位置に設けても、リング磁石内の磁束に与える影響は極めて小さい。そのため、このリング磁石は、着磁位置を限定することなく容易に着磁を行うことができる。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、リング磁石の固着面である内周面に係合部を設けて固着力の向上を図りながら、着磁位置を限定することなく容易に着磁を行うことができるロータ及びそのロータを備えたブラシレスモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態のロータを有するブラシレスモータの概略構成図。
【図2】 ロータを構成するカラーとリング磁石の斜視図。
【図3】 別例のロータの概略構成図。
【符号の説明】
2…ステータ、3…ロータ、4…回転軸、5…カラー、5b…外周面、5c…係合凹部、6…リング磁石、6a…外周面、6b…内周面、6c…係合凸部、6d…磁極中心部分、L1…直線。
Claims (4)
- 回転軸と、
前記回転軸と一体回転するように設けられるカラーと、
前記カラーに固着され、外周面にのみ磁極が現れるように着磁される極配向磁石よりなるリング磁石と、
を備えたロータであって、
前記カラーは、軸方向から見て略円形状の外周面を有するとともに該外周面に係合凹部を有し、
前記リング磁石は、前記カラーの外周面と固着すべく軸方向から見て略円形状の内周面を有するとともに該内周面に前記カラーの係合凹部と係合する係合凸部を有し、
前記リング磁石は、その外周面に現れる磁極中心部分を通過する径方向の直線上に前記係合凸部が位置するように着磁されていることを特徴とするロータ。 - 請求項1に記載のロータにおいて、
前記リング磁石の磁極は、等間隔に設けられるものであり、
前記係合凹部及び前記係合凸部は、複数個設けられ等間隔に配置されていることを特徴とするロータ。 - 請求項2に記載のロータにおいて、
前記係合凹部及び前記係合凸部は、前記リング磁石の極数と同数設けられていることを特徴とするロータ。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のロータと、
前記ロータを回転させるべく回転磁界を発生させるステータと、
を備えたことを特徴とするブラシレスモータ。
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