JP3982748B2 - 低熱伝導率性硬質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低熱伝導率性硬質ポリウレタンフォームの製造方法、前記低熱伝導率性硬質ポリウレタンフォームにより得られる断熱材の製造方法等、に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、住宅その他各種建造物の建造において、省エネルギー意識の高まりから、断熱工法を取り入れることが一般的になっている。新造建築物の場合は、所定の省エネルギー基準を満たすと、住宅資金の融資などにおいて便宜が図られており、断熱工法の採用は増大する傾向にある。省エネルギー基準としては、現在、建築主が判断する性能規定(1993年3月30日付旧通産省・建設省告示)と、設計・施工指針から規定される仕様規定(同日付建設省告示)とがあり、いずれかを満たすことが要求されている。
【0003】
性能規定は、断熱材種E(硬質ポリウレタン、押出ポリスチレン3種)の熱伝導率が0.028W/mK以下、又はJIS A 9511 2種3号として規格化されている熱伝導率が0.024W/mK以下の数値を基準として断熱材の厚みを決定するように定められている。
【0004】
仕様規定は、地域、工法、部位別に断熱材の厚みが定められている。例えば、断熱材種Eを用いて外張り断熱工法を採用した場合、表1に示すような断熱材使用厚みが定められている。
【0005】
【表1】
ここに、I地域とは北海道であり、II地域とは青森、岩手、秋田の各県であり、III地域とは宮城、山形、福島、栃木、長野、新潟の各県などが該当する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、断熱性に優れた硬質ポリウレタンを断熱材として使用したとしても、表1に示すように、かなりの厚みが必要であり、外張り断熱工法を採用して建造する場合には、外壁が厚くなって建造物の躯体が厚くなり、そのため、室内空間を確保しようとすれば、建造物外空間を狭くせざるを得なかった。
【0007】
又、外張り断熱工法を採用すると、壁内結露を防止できて建造物の寿命を長くできる利点はあるものの、厚い壁体を通して外壁を支えるために、施工時に多用する施工釘は長いものが必要になり、耐震性など強度面での不利は避けられず、更には、屋根において、厚い断熱材を介してたるきに釘を打ち込むため、その部分の釘強度は低下せざるを得ず、耐風圧上不利になるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて、用いる断熱材の厚みを薄くでき、実用的に優れた低熱伝導率性硬質ポリウレタンフォームの製造方法、前記低熱伝導率性硬質ポリウレタンフォームにより得られる断熱材の製造方法、前記断熱材を建造物に施工する断熱工法、並びに前記断熱材を用いた建屋を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の低熱伝導率性硬質ポリウレタンフォームの製造方法は、ポリイソシアネート化合物を主成分とするイソシアネート成分とポリオール組成物とを混合して発泡、硬化して製造される低熱伝導率性硬質ポリウレタンフォームの製造方法において、
前記ポリオール組成物は、ポリオール化合物、発泡剤、整泡剤、及び触媒を含み、
前記ポリオール化合物は、全平均官能基数が2〜4であり、最大官能基数が4以下であり、
前記ポリオール化合物100重量部は、(1)平均官能基数2〜4、水酸基価400〜600mgKOH/gの芳香族アミン系ポリエーテルポリオール25〜50重量部、(2)水酸基価400〜900mgKOH/gのトリメチロールアルカン系ポリエーテルポリオール10〜30重量部、(3)水酸基価400〜900mgKOH/gのエチレンジアミン系ポリエーテルポリオール10〜30重量部、(4)平均官能基数2〜4、水酸基価150〜400mgKOH/gの芳香族ポリエステルポリオール10〜30重量部、を含有し、
前記発泡剤はHCFC−141b、HFC化合物、n−ペンタン、シクロペンタンから選択された少なくとも1種の有機発泡剤と水を含有し、熱伝導率が0.020W/mK以下であることを特徴とする。
【0010】
上記構成のポリオール組成物を使用してイソシアネート成分と反応させ、発泡硬化すると、実用的な生産性並びに0.020W/mK以下という低い熱伝導率、即ち高断熱性を有し、しかも製造時の1次収縮が従来の硬質ポリウレタンフォームと同等以上である硬質ポリウレタンフォームを得ることができる。
【0011】
従来は、シュークロース(8官能)のような多官能のポリオールの使用が1次収縮防止のために不可欠と考えられていたが、ポリオール組成物中のポリオール化合物を特定の組成とし、全体の平均官能基数を4以下にすると、熱伝導率が0.020W/mKで、かつ、1次収縮が従来の硬質ポリウレタンフォームと同等以上に良好である硬質ポリウレタンフォーム用のポリオール組成物を得ることができた。ポリオール化合物の全体の平均官能基数をf T としたとき、2<f T <4であることがより好ましい。またポリオール組成物中のポリオール化合物の最大官能基数は4以下であり、4を超えるソルビトール(6官能)やシュークロース(8官能)をベースとして含むポリオール化合物は含有しない。
【0012】
本発明の発泡剤として、HCFC−141b、HFC化合物、n−ペンタン、シクロペンタンから選択された少なくとも1種の有機発泡剤を含有することを特徴とする。
【0013】
HFC化合物としては、HFC−134a,HFC−245fa等が例示される。
【0014】
さらに、本発明は、発泡剤として、水を含有することを特徴とする。水を発泡剤成分として使用することにより、フォームと面材との接着性能向上効果、フォームの表面性能向上効果などが得られる。
【0015】
水とフッ素含有有機発泡剤の配合比率は、水/有機発泡剤比率=1/60〜1/20(重量比)であることが好ましい。発泡剤の配合量は、ポリオール化合物100重量部に対して水が0.5〜2.0重量部であることが好ましく、有機発泡剤が30〜40重量部であることが好ましい。水が多すぎると熱伝導率が悪化するという問題が発生し、少なすぎるとフォームの機械的強度が低下する等の問題が生じる場合がある。
【0016】
さらに、前記ポリオール化合物100重量部に対してリン酸エステル系難燃剤5〜30重量部を含有することが好ましい。難燃剤の添加により、建築用断熱材に要求される難燃規格を満足する硬質ポリウレタンフォームを得ることができる。
【0017】
本発明の低熱伝導率性硬質ポリウレタンフォームは、前記製造方法により得られることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、熱伝導率が0.020W/mK以下と低くて高断熱性を有し、しかも製造時の1次収縮が従来の硬質ポリウレタンフォームと同等以上に良好である硬質ポリウレタンフォームを得ることができる。
【0019】
本発明の断熱材の製造方法は、上下面材の間に硬質ポリウレタンフォームを形成したサンドイッチパネルを断熱材とする断熱材の製造方法において、
上記面材が紙面材であり、
前記硬質ポリウレタンフォームが請求項3記載の低熱伝導率性硬質ポリウレタンフォームであることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、熱伝導率が0.020W/mK以下と低くて高断熱性を有し、しかも製造時の1次収縮が従来の硬質ポリウレタンフォームと同等以上に良好である硬質ポリウレタンフォームを得ることができる。
【0021】
本発明の建屋は、前記断熱材の製造方法により得られる断熱材を用いることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、用いる断熱材の厚みを薄くでき、実用的に優れた断熱工法による建屋を提供することができる。この場合、建屋に断熱材を施工するに当たり、殊更、長い釘やビスを使用する必要がないので、釘強度を低下させることがなく、従って、耐震性に劣ることがなく、又、屋根においても、たるきに深く釘を打ち込むことができて、格別耐風圧上不利になるということもない。
【0023】
本発明の断熱工法は、前記製造方法により得られる断熱材を、建造物に施工することを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、用いる断熱材の厚みを薄くでき、従来技術による工法のように外壁を厚くして建造物の躯体を厚くしたり、そのために建造物外空間を狭くしたりすることを極力少なくできる、実用的に優れた断熱工法を提供することができた。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、以下に詳細に説明する。本実施形態の断熱工法に用いる断熱材である硬質ポリウレタンフォームを製造するためのポリオール組成物を構成するポリオール化合物について、以下に説明する。
【0026】
(1)芳香族アミン系ポリエーテルポリオールは、平均官能基数が3〜4、水酸基価は400〜500mgKOH/gであることがより好ましく、その配合量は、ポリオール化合物100重量部中、30〜40重量部であることがより好ましい。
【0027】
芳香族アミン系ポリエーテルポリオールは、芳香族ジアミンにプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、スチレンオキサイドの少なくとも1種を開環付加重合させた化合物であり、芳香族ポリアミンとしては、ジアミノベンゼン、ジアミノトルエン、ジエチルトルエンジアミン、ナフタレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等が例示され、必要に応じて1種または2種以上が使用される。これらの芳香族ジアミンをベースとするポリオールは、エポキシ化合物を付加させる原料化合物にグリコールなどを使用しない限り、4官能となる。
【0028】
(2)トリメチロールアルカン系ポリエーテルポリオールは、官能基数が3〜3.5、水酸基価が700〜900mgKOH/gであることがより好ましく、その配合量は、ポリオール化合物100重量部中、15〜25重量部であることがより好ましい。
【0029】
トリメチロールアルカン系ポリエーテルポリオールは、トリメチロールエタンやトリメチロールプロパンを代表例とするトリメチロールアルカンにプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、スチレンオキサイドの少なくとも1種を開環付加重合させた化合物である。原料化合物としてグリコールを併用しない限り、このポリエーテルポリオールの官能基数は3である。
【0030】
(3)エチレンジアミン系ポリエーテルポリオールは、平均官能基数が3〜4、水酸基価が600〜800mgKOH/gであることがより好ましく、その配合量は、ポリオール化合物100重量部中、15〜25重量部であることがより好ましい。
【0031】
エチレンジアミン系ポリエーテルポリオールは、エチレンジアミンにプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、スチレンオキサイドの少なくとも1種を開環付加重合させた化合物である。このポリエーテルポリオールの官能基数は4である。
【0032】
上記(1)〜(3)のポリエーテルポリオールは、プロピレンオキサイドの重合体、ないしはプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重合体であることが好ましく、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重合体の場合には、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。ブロック共重合体の場合には、水酸基末端がエチレンオキサイドの重合体で構成されていることが好ましい。
【0033】
(4)芳香族ポリエステルポリオールは、平均官能基数が2〜2.5、水酸基価が200〜300mgKOH/gであることが好ましく、その配合量は、15〜25重量部であることがより好ましい。
【0034】
芳香族ポリエステルポリオールは、芳香族系ポリカルボン酸及び多価アルコール化合物を縮合させる反応、または芳香族ポリカルボン酸エステルと多価アルコール化合物とのエステル交換反応等により合成される。
【0035】
上述の芳香族ポリカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレン1,4−ジカルボン酸等が例示できる。これらの芳香族ポリカルボン酸は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。芳香族ポリカルボン酸に加えて脂肪族ポリカルボン酸を一部併用することも可能である。
【0036】
上記芳香族ポリカルボン酸と反応させる多価アルコール化合物としては、ポリウレタンの合成において一般的に使用される2官能以上の多価アルコール化合物を使用することができ、具体的な化合物の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールやテトラエチレングリコール等の分子量が1000程度までのポリエチレングリコール類、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン等が例示でき、これらは単独で使用され或いは2種以上が併用される。3官能以上のポリカルボン酸と多価アルコールを使用しない場合、芳香族ポリエステルポリオールの官能基数は2である。
【0037】
芳香族ポリエステルポリオールはこれらの酸を多価アルコールと脱水縮合することにより製造する。また、上記の芳香族ポリカルボン酸のメタノールやエタノール等の低級アルコールエステルを使用して脱アルコール縮合によることも可能であり、上記の芳香族ポリカルボン酸の酸無水物を原料として使用してエステル結合を形成する反応を併用することも可能である。
【0038】
又、芳香族ポリエステルポリオールは、上記の芳香族ポリカルボン酸を成分とするポリエステル化合物を原料として使用し、エステル交換反応を利用して合成することも可能である。具体的には、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステル繊維やフィルム、PETボトル等を好ましくは粉砕し、上述した多価アルコール化合物と混合してエステル交換反応させる方法などを例示できる。
【0039】
芳香族ポリエステルポリオールの製造に際しては、周知のエステル化反応促進触媒、例えばナトリウムアルコラート等の塩基性化合物、アルキルチタネート類や有機錫化合物のような金属系触媒、p−トルエンスルホン酸、硫酸、塩酸のようなプロトン酸触媒、塩化アルミニウムや三フッ化ホウ素のようなルイス酸触媒、その他活性白土、酸性イオン交換樹脂等が使用可能である。芳香族ポリエステルポリオールの酸価、水分率はいずれも低い方が好ましく、酸価は4(mgKOH/g)以下であることが好ましい。
【0040】
上述のポリオール化合物に加えて、本発明の目的を損なわずに特性を調整するために他の公知の硬質ポリウレタンフォーム用のポリオール化合物を併用してもよい。
【0041】
上記ポリオール化合物として、市販品を使用することは好適な態様である。
【0042】
本発明の硬質ポリウレタンフォーム原液には、上記のポリオール以外に他の活性水素基含有化合物を使用してもよい。発泡剤として使用する水は、イソシアネート基と反応して炭酸ガスを発生する一方で、活性水素基含有化合物としての作用も有する。その他の活性水素基含有化合物としては、前述した芳香族ポリカルボン酸と反応させる多価アルコール化合物に例示したグリコール類や、低分子量の芳香族ジアミン類などが例示される。
【0043】
本発明のポリオール組成物と混合して発泡・硬化させるイソシアネート成分は、ポリイソシアネート化合物を主成分とする。かかるポリイソシアネート化合物としては、硬質ポリウレタンフォーム用のポリイソシアネート化合物は限定なく使用可能である。具体的には、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート並びにこれらの混合物、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI等を例示できる。これらの中でも、特に粗製MDIの使用が好ましい。
【0044】
硬質ポリウレタンフォームに添加するリン酸エステル系難燃剤としては、公知の化合物を使用することができる。リン酸エステル系難燃剤としては、リン酸のハロゲン化アルキルエステル、アルキルリン酸エステルやアリールリン酸エステル、ホスホン酸エステル等が使用可能であり、具体的にはトリス(β−クロロエチル)ホスフェート(TCEP)、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート等が例示でき、これらの1種以上が使用可能である。これらの内、とりわけトリス(β−クロロエチル)ホスフェート(TCEP)、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェートの使用が好ましい。
【0045】
上記難燃剤は、ポリエステルポリオールを含むポリオール組成物の粘度を低下させる低粘度化剤としての効果も有する。
【0046】
本発明において使用する触媒としては、一般的に公知のポリウレタン合成触媒である第3級アミン触媒を使用する。具体的には、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、ヘキサメチルチルトリエチレンテトラミン(HMTETA)、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル(DMAEE)等が好適な第3級アミン触媒として例示される。
【0047】
本発明においては、さらに難燃剤を添加することが好ましく、好適な難燃剤としては、有機金属錯体、ハロゲン含有化合物、有機リン酸エステル類、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム等の金属化合物を例示できる。
【0048】
有機金属錯体としては、フェロセン、ニッケロセン等のメタロセン類、鉄アセチルアセトネート等の金属アセチルアセトネート類、ビス(8−オキシキノリン)銅等の8−オキシキノリン金属錯体類、ビス(ジメチルグリオキシモ)銅などのジメチルグリオキシム金属錯体類などを好適な化合物として例示でき、単独でまたは2種以上を併用することも可能である。もっとも、これらの難燃剤は、例えば有機リン酸エステルは過剰に添加すると得られる硬質ポリウレタンフォームの物理的特性が低下することがあり、又、三酸化アンチモン等の金属化合物粉末を過剰に添加するとフォームの発泡挙動に影響が表れるなどの問題を生じる場合があるので、その添加量はかかる問題を生じない範囲に制限される。
【0049】
本発明の硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物には、当業者に周知の着色剤、酸化防止剤などを使用可能である。
【0050】
本発明の硬質ポリウレタンフォームの面材としては、公知の面材は特に限定なく使用可能であり、具体的には、紙、アルミニウム箔、鋼板などを例示できる。特に、外壁面に使用する面材には、カラー鋼板や無機材パネル等の化粧面材を使用することが好ましい。
【0051】
次に、上記実施形態に係る断熱工法により、2階建て木造住宅に施工した例を図1に示す。この建屋Aは、断熱層として上記した熱伝導率が0.020W/mK以下である硬質ポリウレタンフォームを主体とする断熱材(表裏面に表面材を貼着したサンドイッチパネル)1を、地面Gに一部埋設されたコンクリート基礎2の外周辺、外装材3の内側で外壁表面および屋根材4の内側部分に施工して建造されたものである。
【0052】
図1の建屋Aに断熱材を施工するに当たり、断熱材を従来のものより薄くして施工できるため、施工時に殊更長い釘やビスを必要とせず、一般に多用される施工釘(いわゆる五寸釘など)を使用でき、しかも屋根においても、たるきに打ち込む際に一般に多用される釘を用いて、たるきの深部にまで打ち込むことができ、耐風圧上なんら不利になることがない。
【0053】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例などについて説明する。
〔硬質ポリウレタンフォームの作製〕
<使用原料>
硬質ポリウレタンフォームの作製に使用した原料は、以下の通りである。
(1)芳香族アミン系ポリエーテルポリオール(芳香族アミン系PPG):官能基数4、水酸基価465mgKOH/g
(2)トリメチロールプロパン系ポリエーテルポリオール(TMP系PPG):官能基数3、水酸基価860mgKOH/g
(3)エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール(ED系PPG):官能基数4、水酸基価760mgKOH/g
(4)芳香族ポリエステルポリオール(フタル酸系PES):官能基数2、水酸基価260mgKOH/g
シュークロース系ポリエーテルポリオール(SU系PPG):官能基数3.3、水酸基価560mgKOH/g
配合比率(重量部にて表示)を、表2に示す。
【0054】
【表2】
また、使用したその他の成分とその配合量(ポリオール化合物の合計100重量部に対する添加量)は、以下の通りである。
触媒:カオライザーNo.1(花王製):3.0重量部
発泡剤HCFC−141b:32重量部
発泡剤 水:1.0重量部
難燃性可塑剤TCEP:10重量部
整泡剤S2−1668(日本ユニカー社製):2重量部
イソシアネート成分としては、クルードMDI(粗製MDI)44V−20(イソシアネート濃度31.5%、住化バイエルウレタン製)をNCO/OH当量比が1.15となるような組成にて使用した。
【0055】
<評価>
(1次収縮量)
〔ラボ評価〕
ポリオール組成物とイソシアネート成分とを所定量比にて混合し、40×40×10cm(厚さ)の金型に流し込み、50℃にて10分保持して発泡、硬化させて板状の硬質ポリウレタンフォームとし、型から取り出して室温に放置し、1日後にその厚さ方向端面(木口)の凹みの深さを測定して1次収縮量とした。
【0056】
〔量産試作品評価〕
硬質ポリウレタンフォームを、原液タンクとミキシングヘッド、並びに上下の面材を供給すると共に発泡して形成される硬質ポリウレタンフォームパネルを所定厚みに押さえるダブルコンベアとダブルコンベアを加熱する加熱オーブンを備えた連続製造ラインにて製造した。
【0057】
硬質ポリウレタンフォームは、イソシアネート成分を除く成分を混合してポリオール組成物とし、ポリオール組成物とイソシアネート成分とを原液タンクに入れ、20℃に温度調節する。各成分を所定の混合比率になるようにポンプによりミキシングヘッドに供給し、混合撹拌して発泡原液組成物とした後に、下面材上に供給し、さらに上面材を供給してサンドイッチ状にした後にダブルコンベアに送り込まれる。ここで加熱、押圧により、所定厚みに発泡してサンドイッチパネルが形成される。性能評価のためのサンドイッチパネルは、70℃にて2分間加熱した。
【0058】
面材としては、上面材として厚さ0.5mmのライナー紙を使用し、下面材として0.5mmのクラフト紙を使用した。
【0059】
製造1日後、厚みの変化量と端部(木口)の凹みの深さを測定して1次収縮量とした。収縮量は、小さいほど収縮が小さいことを示す。
木口面の収縮量の測定方法を、図2に示した。tが収縮量である。
【0060】
(熱伝導率)
熱伝導率測定装置M−88(ANACON社製)を使用し、測定条件としてはJIS A 9511に準拠して測定した。
【0061】
評価結果を表3に示す。
この結果から、本願発明の構成を満たす実施例1、2の硬質ポリウレタンフォームは、1次収縮量、熱伝導率共に優れたものであった。これに対して、シュークロース系ポリオールを使用した従来のフォームは、1次収縮量が大きなものであった。また、芳香族アミンポリオールの使用量が本発明の範囲を逸脱する比較例2は、熱伝導率が満足できるものではなかった。
【0062】
【表3】
実施例1の硬質ポリウレタンフォームを使用すると、表1に示したものと同等の断熱性を有するものとして、下記表4の厚みの外張り断熱工法による建屋を建造することが可能になった。
【0063】
【表4】
〔別実施の形態〕
(1)本発明に係る断熱工法は、図1に示した木造住宅に限られることなく、他の住宅、建屋、施設などの各種建造物に適用できる。
【0064】
(2)本発明に係る断熱工法は、建造物の外面に断熱材を施工する外張り工法に限定されるものではなく、建造物内側に充填施工して断熱する充填断熱工法としても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る断熱工法を2階建て木造住宅に施工した例を示す概略断面図
【図2】木口面の収縮量の測定方法を説明する図
【符号の説明】
1 断熱材
Claims (6)
- ポリイソシアネート化合物を主成分とするイソシアネート成分とポリオール組成物とを混合して発泡、硬化して製造される低熱伝導率性硬質ポリウレタンフォームの製造方法において、
前記ポリオール組成物は、ポリオール化合物、発泡剤、整泡剤、及び触媒を含み、
前記ポリオール化合物は、全平均官能基数が2〜4であり、最大官能基数が4以下であり、
前記ポリオール化合物100重量部は、(1)平均官能基数2〜4、水酸基価400〜600mgKOH/gの芳香族アミン系ポリエーテルポリオール25〜50重量部、(2)水酸基価400〜900mgKOH/gのトリメチロールアルカン系ポリエーテルポリオール10〜30重量部、(3)水酸基価400〜900mgKOH/gのエチレンジアミン系ポリエーテルポリオール10〜30重量部、(4)平均官能基数2〜4、水酸基価150〜400mgKOH/gの芳香族ポリエステルポリオール10〜30重量部、を含有し、
前記発泡剤はHCFC−141b、HFC化合物、n−ペンタン、シクロペンタンから選択された少なくとも1種の有機発泡剤と水を含有し、熱伝導率が0.020W/mK以下であることを特徴とする低熱伝導率性硬質ポリウレタンフォームの製造方法。 - さらに、前記ポリオール化合物100重量部に対してリン酸エステル系難燃剤5〜30重量部を含有することを特徴とする請求項1記載の低熱伝導率性硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
- 請求項1又は2記載の製造方法により得られる低熱伝導率性硬質ポリウレタンフォーム。
- 上下面材の間に硬質ポリウレタンフォームを形成したサンドイッチパネルを断熱材とする断熱材の製造方法において、
上記面材が紙面材であり、
前記硬質ポリウレタンフォームが請求項3記載の低熱伝導率性硬質ポリウレタンフォームであることを特徴とする断熱材の製造方法。 - 請求項4記載の製造方法により得られる断熱材を用いた建屋。
- 請求項4記載の製造方法により得られる断熱材を、建造物に施工する断熱工法。
Priority Applications (1)
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