JP4104539B2 - ポリイソシアヌレートフォームの製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリイソシアヌレートフォームの製造法に関する。更に詳しくは、建材、電気冷蔵庫、冷凍倉庫、浴槽、パイプ等の断熱材等として好適に使用しうるポリイソシアヌレートフォームの製造法に関する。本発明の製造法は、特にスプレー方式による現場施工タイプの断熱材及び結露防止材、工場ラインでパネルやボード等の建材等を製造する際に好適に使用することができる。
脂肪族カルボン酸のカリウム塩は、安価であり、ポリイソシアヌレートフォームを製造した際にフォーム中心部でのイソシアネートの3量化への転化率が高いことから、ポリイソシアヌレートフォーム用触媒として用いられている。その中でも、ジエチレングリコールで希釈した2−エチルヘキサン酸カリウム溶液(カリウム濃度:15重量%)は、イソシアネートの3量化転化率及び取扱い性の面で優れているので、広く用いられている。
しかし、2−エチルヘキサン酸カリウムは、変異原生の疑いがありレスポンシブルケア検討物質に挙げられている2−エチルヘキサン酸が原料として用いられているため、その環境への影響が非常に懸念されている。
一方、ポリイソシアヌレートフォーム(イソシアヌレート環含有硬質ポリウレタンフォームを含む)は、良好な断熱特性及び難燃性を有することから、建材、電気冷蔵庫、冷凍倉庫、浴槽、パイプ等の断熱材として使用されている。
ポリイソシアヌレートフォームは、例えば、家屋やビル建材等の断熱材として使用する場合には、スプレーマシン等により、ポリオールを主成分とする成分とイソシアネートを主成分とする成分とを発泡剤、触媒及び必要に応じて他の助剤の存在下で混合し、家屋やビル等の建設現場で壁面や天井等の目的部位にスプレーし、発泡、硬化させる方法等によって製造されている。
近年、成層圏におけるオゾン層の破壊や地球温暖化等を回避する観点から、発泡剤として特に1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)や1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)等が検討されている。しかし、それらを使用した場合には、原材料との相溶性の悪化や低沸点化により、反応性が低下し、結果として被着物との接着性が悪化するという問題点が生じている。
更に、ポリイソシアヌレートフォームを製造する際、触媒として2−エチルヘキサン酸カリウムを使用した場合には、フォーム表皮部分でのイソシアネートの3量化への転化率が低いばかりでなく、ポリイソシアヌレートフォームの流動性が大きいため、鋼板やコンクリート等の被着材との接着性に劣るという欠点がある。
また、イソシアヌレート化触媒として、リシノール酸カリウムが用いられた難燃性ポリウレタン樹脂組成物が提案されているが(例えば、特許文献1参照)、この難燃性ポリウレタン樹脂組成物を用いて得られる樹脂は発泡体ではなく、しかもこの文献には、難燃性及び耐熱性について言及しているが、ポリイソシアヌレートフォームにおいて重要な特性である接着性及びフォーム流動性に関しては、何ら示唆していない。
特開2000−169542号公報
本発明は、触媒として2−エチルヘキサン酸を原料として用いて得られる2−エチルヘキサン酸カリウムを使用せずに、水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムを用い、更に、水及びヒドロフルオロアルカンを含有する発泡剤を用いて、環境への負荷を低減するとともに、寸法安定性、難燃性及び接着性に優れたポリイソシアヌレートフォームの製造法を提供することを課題とする。
本発明は、
(1) ポリオール成分とイソシアネート成分とを、水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムを含有する触媒、水及びヒドロフルオロアルカンを含有する発泡剤の存在下で反応させるポリイソシアヌレートフォームの製造法、
(2) 前記製造法によって得られたポリイソシアヌレートフォーム、
(3) 前記ポリイソシアヌレートフォームからなる建材、並びに
(4) 水酸基を有する脂肪酸カルボン酸カリウムを含有するポリイソシアヌレートフォーム製造用触媒
に関する。
本発明によれば、触媒として2−エチルヘキサン酸を原料として用いて得られる2−エチルヘキサン酸カリウムを使用せずに、水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムを用いて環境への負荷を低減するとともに、地球環境への負担を軽減した発泡剤を使用して、寸法安定性、難燃性及び接着性に優れ、環境に優しいポリイソシアヌレートフォームを製造することができるという効果が奏される。
本発明においては、触媒として、水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムを含有する触媒を用い、更に環境への負荷が小さい発泡剤を使用してポリイソシアヌレートフォームを製造する点に大きな特徴がある。
このように、本発明においては、ポリイソシアヌレートフォームの製造の際に、水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムを用い、水及びヒドロフルオロアルカンを含有する発泡剤を用いることにより、環境に優しいポリイソシアヌレートフォームを得ることができ、また、脂肪族カルボン酸のカリウム塩である2−エチルヘキサン酸カリウムを用いた場合と対比して、イソシアネートのイソシアヌレート環への転化率が高くなって、寸法安定性及び難燃性に優れ、水及びヒドロフルオロアルカンを含有する発泡剤を使用した際にも接着性に優れたポリイソシアヌレートフォームを得ることができるという格別顕著に優れた効果が奏される。
このように格別顕著に優れた効果が発現される理由は、定かではないが、発泡剤として水及びヒドロフルオロアルカンを使用した場合であっても、本発明で用いられる触媒は、(i) 分子内に脂肪族カルボン酸カリウムの構成成分に加え、更に水酸基を有するため、その相乗効果により、触媒としてのイソシアヌレート化活性が高まり、結果としてイソシアネートのイソシアヌレート環への転化率が高くなること、及び(ii)触媒分子内の水酸基とイソシアネート成分とが反応し、触媒がポリイソシアヌレートフォームに取り込まれるため、フォームの流動性が抑制され、結果として接着性が改善されることに基づくものと考えられる。
勿論、触媒がポリイソシアヌレートフォームに取り込まれるので、触媒成分が外部に拡散することもなく、地球環境への負荷を低減した発泡剤を使用する観点からも環境に優しいポリイソシアヌレートフォームを得ることができる。
水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムとしては、環境への負荷を低減する観点から、水酸基を有する植物系脂肪族カルボン酸カリウムが好ましい。
水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムは、例えば、水酸基を有する植物系脂肪族カルボン酸に所定量のグリコールを混合し、更に発熱反応を制御しつつ、得られた混合物に水酸化カリウム水溶液を添加することにより得られる。また、水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムを製造する際に生じた水は、含まれていてもよく、あるいは脱水処理により除去されていてもよい。
水酸基を有する植物系脂肪族カルボン酸カリウムの具体例としては、リシノール酸カリウム、リシノール酸カリウムを主成分とするヒマシ油脂肪酸カリウム等が挙げられる。なお、前記「主成分とする」とは、その主成分を50〜100重量%含有することを意味する。
水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムの量は、フォームの難燃性、耐収縮性及び接着性の観点から、ポリオール成分100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.3重量部以上、更に好ましくは1重量部以上である。また、水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムの量は、ポリイソシアヌレートフォームの機械的強度を保持する観点から、ポリオール成分100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、より好ましくは7重量部以下、更に好ましくは5重量部以下である。これらの観点から、水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムの量は、ポリオール成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.3〜7重量部、更に好ましくは1〜5重量部である。
水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムは、常温で固体である。したがって、使用する際には、該水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムを例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、水等の溶媒に溶解させて用いてもよい。
触媒には、水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムに加えて、更に、ビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩を用いることが好ましい。
ビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩を用いた場合、このビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩は、水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムとは、タイプの異なるイソシアヌレート化触媒であり、それぞれの触媒の反応機構が異なるので、両者の併用による相乗効果を期待することができる。
また、ビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩及び水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムの各分子内に、イソシアヌレート活性部分(モノヒドロキシアルキルアンモニウム塩構造及びカルボン酸カリウム構造)に加えて、更に水酸基を有するので、その相乗効果により、触媒としてのイソシアヌレート化活性が高まり、結果としてイソシアネートのイソシアヌレート環への転化率が高くなるものと考えられる。
また、ビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩及び水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムの各分子内の水酸基とイソシアネート成分とが反応し、触媒がポリイソシアヌレートフォームに取り込まれるため、フォームの流動性が抑制され、結果として、接着性を改善させることができるものと考えられる。
勿論、触媒がポリイソシアヌレートフォームに取り込まれるので、ビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩及び水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムが外部に拡散しがたいのみならず、触媒原料に2−エチルヘキサン酸が用いられていないので、地球環境に優しいポリイソシアヌレートフォームを得ることができる。
好適なビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩の例としては、例えば、式(I):
Figure 0004104539
〔式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立して炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基であるか又はR1 とR2 とが結合してアルキレンイミン環、ピペラジン環若しくはモルホリン環を形成していてもよい。R3 及びR4 は、それぞれ独立して式(II):
Figure 0004104539
(式中、R6 、R7 、R8 及びR9 は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1 〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を示す)
で表される基又は式(III):
Figure 0004104539
(式中、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を示す)
で表される基を示す。R5 は水素原子又は炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す〕
で表されるビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩が挙げられる。
式(I) において、R1 及びR2 は、それぞれ独立して炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基であるか、又はR1 とR2 とが結合してアルキレンイミン環、ピペラジン環若しくはモルホリン環を形成していてもよい。これらの中では、高反応性の観点から、R1 及びR2 がそれぞれ独立してメチル基若しくはエチル基であるか、又はR1 とR2 とが結合してエチレンイミン環、プロピレンイミン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環若しくはモルホリン環を形成していることが好ましく、R1 及びR2 がそれぞれメチル基であることがより好ましい。
3 及びR4 はそれぞれ独立して式(II)で表される基又は式(III) で表される基である。
式(II)で表される基において、R6 、R7 、R8 及びR9 は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を示す。
また、式(III) で表される基において、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を示す。
3 及びR4 は、それぞれ独立して−CH2 CH2 OH基又は−CH2 CH(CH3 )OH基であることが、高反応性及びイソシアヌレート環への転化率の観点から好ましい。
5 は、水素原子又は炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。R5 の中では、水素原子及びメチル基が高反応性及びイソシアヌレート環への転化率の観点から好ましい。
以上の観点から、好適なビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩としては、式(I) において、R1 及びR2 がメチル基であり、R3 及びR4 がそれぞれ独立して−CH2 CH2 OH基又は−CH2 CH(CH3 )OH基であり、R5 が水素原子又はメチル基であるものが挙げられる。
ビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩の具体例としては、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアンモニウムフォルメート、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアンモニウムアセテート、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアンモニウムプロピオネート、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアンモニウムブチレート、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジエチルアンモニウムフォルメート、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジエチルアンモニウムアセテート、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアンモニウムフォルメート、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアンモニウムアセテート、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニウムフォルメート、N,N−ビス(2−ヒドロキエチル)−N,N−ジメチルアンモニウムアセテート等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの中では、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアンモニウムフォルメート、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアンモニウムアセテート、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアンモニウムフォルメート、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアンモニウムアセテートが好ましく、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアンモニウムフォルメート、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアンモニウムアセテートがより好ましい。
ビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩は、常法により製造することができる。例えば、アルカノールアミン1モルと有機カルボン酸1モルとを中和反応させてアミン塩とした後、これにエチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシド1モルを開環付加させることによってビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩を製造することができる。
これらのビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩は、イソシアヌレート化を促進するポリイソシアヌレートフォーム製造用触媒として好適に使用しうるものである。
ビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩の量は、イソシアヌレート環への転化率を高める観点から、ポリオール成分100重量部あたり、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.3重量部以上、更に好ましくは1重量部以上である。また、ビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩の量は、ポリイソシアヌレートフォームの機械的強度を保持する観点から、ポリオール成分100重量部あたり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは7重量部以下、更に好ましくは5重量部以下である。これらの観点から、ビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩の量は、ポリオール成分100重量部あたり、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.3〜7重量部、更に好ましくは1〜5重量部である。
また、水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムとビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩とを併用する場合、両者の割合(重量比)(水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウム/ビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩)は、ポリイソシアヌレートフォームの中心部(コア部)と表皮部(スキン部)の両方のイソシアヌレート環への転化率を高める観点から、好ましくは80/20〜20/80、より好ましくは75/25〜30/70、更に好ましくは70/30〜40/60である。
また、水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムとビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩とを併用する場合、両者の合計量は、寸法安定性、難燃性及び接着性の観点から、ポリオール成分100重量部あたり、好ましくは0.2重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上、更に好ましくは1重量部以上である。また、両者の合計量は、ポリイソシアヌレートフォームの機械的強度を保持する観点から、ポリオール成分100重量部あたり、好ましくは12重量部以下、より好ましくは10重量部以下、更に好ましくは8重量部以下である。これらの観点から、両者の合計量は、ポリオール成分100重量部あたり、好ましくは0.2〜12重量部、より好ましくは0.5〜10重量部、更に好ましくは1〜8重量部である。
また、本発明においては、必要により、他の触媒を用いることができる。他の触媒としては、例えば、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、2−メチル−1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−(ジメチルアミノエチル)モルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N−ジメチルピペラジン、N,N’,N’−トリメチルアミノエチルピペラジン、トリス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7、N,N’,N”−トリス(3−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール、5−ジメチルアミノ−3−メチル−1−ペンタノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−メチルアミノエタノール、N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノエタノール、1−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール等の第3アミン系触媒及びこれらの誘導体、これらとカルボン酸や炭酸等の酸との塩;ジブチルジ酢酸錫、ジブチルジラウリン酸錫、ジ(2−エチルヘキシル)ジラウリン酸錫、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫等の有機スズ化合物やジ(2−エチルヘキサン酸)鉛に代表される有機金属触媒等が挙げられる。
ポリイソシアヌレートフォームの発泡及び硬化を迅速に行い、更にフォームの流動性を確保する観点から、他の触媒として、第3アミン系触媒を使用することが好ましい。
好適な第3アミン系触媒としては、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、トリス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル及びN,N’,N”−トリス(3−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−s−トリアジンが挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
第3アミン系触媒の量は、反応性及びフォームの流動性の観点から、ポリオール成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜7重量部、より好ましくは0.2〜5重量部、更に好ましくは0.3〜4重量部である。
ポリイソシアヌレートフォームは、ポリオール成分とイソシアネート成分とを水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムを含有する触媒、水及びヒドロフルオロアルカンを含有する発泡剤の存在下で反応させることによって製造することができる。
ポリオール成分は、触媒及び発泡剤、必要により、整泡剤、他の助剤等と混合することができる。
ポリオール成分としては、ポリウレタンフォームを製造する際に従来用いられているものが例示される。
ポリオール成分の代表例としては、例えば、岩田敬治編「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(昭和62年9月25日、日刊工業新聞社発行)に記載されている、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール、フェノール樹脂系ポリオール、マンニッヒポリオール等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
ポリオール成分の中では、耐熱性及び難燃性の観点から、芳香族ジカルボン酸系ポリエステルポリオール、多価フェノール系ポリエーテルポリオール、フェノール樹脂系ポリオール及びマンニッヒポリオールが好ましく、フタル酸、テレフタル酸又はイソフタル酸を原料とするフタル酸系ポリエステルポリオール、マンニッヒポリオール及びビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物がより好ましい。
イソシアネート成分としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート;ウレタン結合、カルボジイミド結合、ウレトイミン結合、アロファネート結合、ウレア結合、ビューレット結合、イソシアヌレート結合等の1種以上を含有する前記ポリイソシアネート変性物等が挙げられる。これらのイソシアネート成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
イソシアネート成分の中では、耐熱性及び難燃性の観点から、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、イソシアヌレート結合、カルボジイミド結合、ウレトイミン結合、アロファネート結合、ウレア結合、ビューレット結合、イソシアヌレート結合等の1種以上の結合を有するポリイソシアネート変性物が好ましい。
ポリオール成分とイソシアネート成分との割合は、目的とするポリイソシアヌレートフォームの種類等に応じて適宜調整される。ポリオール成分とイソシアネート成分との割合は、通常、イソシアネートインデックスが好ましくは80〜500、より好ましくは105〜300、更に好ましくは130〜250となるように調整することが好ましい。
発泡剤は、水及びヒドロフルオロアルカンからなるものであってもよく、これら以外に本発明の目的が阻害されない範囲内で、他の発泡剤を含有するものであってもよい。
水の量は、ポリイソシアヌレートフォームの密度やイソシアネートインデックスによって異なるので一概には決定することができないが、ポリイソシアヌレートフォームへの強度付与及び柔軟性維持の観点から、ポリオール100重量部に対して、好ましくは0.5〜5重量部、より好ましくは1〜4重量部である。
ヒドロフルオロアルカンとしては、例えば、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1-ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC−245ea)、1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン(HFC−245ca)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ca)、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン(HFC−356mffm)等のヒドロフルオロアルカンが挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、経済性及び沸点等による取扱い性の観点から、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)及び1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)が好ましい。
ヒドロフルオロアルカンの量は、ポリイソシアヌレートフォームの密度やイソシアネートインデックスによって異なるので一概に決定することができないが、ポリイソシアヌレートフォームの熱伝導率の改善及び経済性の観点から、ポリオール100重量部に対して、好ましくは10〜70重量部、より好ましくは10〜50重量部である。
他の発泡剤としては、本発明の目的を阻害しないものであればよい。地球環境保護の観点から、他の発泡剤としては、シクロペンタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルブタン、イソブタン等の低沸点炭化水素、空気、二酸化炭素等が好ましい。
他の発泡剤の量は、その種類や目的とするポリイソシアヌレートフォームの密度によって異なるので一概には決定することができないため、これらに応じて適宜調整することが好ましい。
ポリイソシアヌレートフォームを製造する際には、必要に応じて整泡剤を用いることができる。整泡剤としては、一般にポリウレタンフォームを製造する際に用いられているものを用いることができる。
整泡剤の代表例としては、ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン等のシリコーン系界面活性剤、脂肪酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩、スルホン酸塩等の陰イオン界面活性剤等が挙げられる。これらの整泡剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
整泡剤の量は、整泡剤の種類、ポリイソシアヌレートフォームの特性等によって異なるので一概には決定することができないので、これら整泡剤の種類等に応じて適宜調整することが好ましい。
必要により用いることができる他の助剤としては、一般にポリウレタンフォームの製造の際に使用されている助剤、例えば、架橋剤、難燃剤、安定剤、顔料、充填剤、減粘剤、相溶化剤等が挙げられる。これらの助剤は、本発明の目的を阻害しない範囲内で用いることができる。
ポリイソシアヌレートフォームは、例えば、ポリオール成分と発泡剤及び触媒、並びに必要により整泡剤及び他の助剤とを混合し、得られたポリオール混合物と、イソシアネート成分とを成形機等により、混合、攪拌し、成形型内に注入し、発泡させることにより、得ることができる。より具体的には、例えば、ポリオール混合物をタンク等を用いて、5〜20℃に調温したのち、自動混合注入型発泡機、自動混合射出型発泡機等の発泡機を用いてポリオール混合物とイソシアネート成分とを反応させることにより、ポリイソシアヌレートフォームを得ることができる。
本発明の製造法によれば、地球環境への負荷を低減した触媒及び発泡剤を使用し、ポリイソシアヌレートフォームの寸法安定性及び難燃性を改善することができるのみならず、フォーム流動性が抑制され、イソシアヌレート環への転化率が高いことから、フォームと被着材との接着性を改善することができる。
したがって、本発明の製造法は、例えば、家屋やビル等の壁面や天井等の断熱材及び結露防止材として、直接、建設現場でスプレーマシン等によって施工する際や、工場ラインでパネルやボード等の建材等を製造する際にも、好適に使用することができる。
製造例1
1L容の三口フラスコに、リシノール酸298g及びジエチレングリコール207gを投入して攪拌した。得られた溶液は層分離するため、十分に攪拌しながら、48%水酸化カリウム水溶液117gを急激な発熱を抑制するために徐々に加えた。途中で、リシノール酸カリウムの溶液は透明へと変化し、均質となった。その後、減圧下で加温して脱水し、60%リシノール酸カリウムのジエチレングリコール溶液(20℃、2日間放置後でも液状。カリウム濃度:7.0重量%)を得た。
製造例2
1L容の三口フラスコに、ヒマシ油脂肪酸〔ケン化価:180mgKOH/g、伊藤製油(株)製、商品名:ヒマシ油 特A〕(リシノール酸約90重量%、他にリノール酸、オレイン酸、ステアリン酸等含有)312g及びジエチレングリコール215gを投入し、攪拌した。溶液は、層分離するため、十分に攪拌しながら、48%水酸化カリウム水溶液117gを急激な発熱を抑制すべために徐々に加えた。途中で、ヒマシ油脂肪酸カリウムの溶液が透明へと変化し、均質となった。その後、減圧下で加温して脱水し、60%ヒマシ油脂肪酸カリウムのジエチレングリコール溶液(20℃、2日間放置後でも液状。カリウム濃度:6.7重量%)を得た。
製造例3
1L容の三口フラスコに、ヒマシ油脂肪酸312g及びジエチレングリコール71gを投入し、攪拌した。得られた溶液は、層分離するため、十分に攪拌しながら、48%水酸化カリウム水溶液117gを急激な発熱を抑制するために徐々に加えた。途中でヒマシ油脂肪酸カリウムの溶液は透明へと変化し、均質となり、70%ヒマシ油脂肪酸カリウムの含水ジエチレングリコール溶液を得た(20℃、2日間放置後でも液状。カリウム濃度:7.8重量%、水分含量12.2重量%)。
製造例4
500mL容のオートクレーブに、ジメチルエタノールアミン160gを投入し、酢酸108gを攪拌しながら徐々に添加し、中和した。その後、100℃に昇温し、攪拌しながらプロピレンオキシド110gを徐々に封入した。圧力は、成り行きにまかせ、2時間攪拌を続けた後、反応を終了した。その後、減圧脱気し、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアンモニウムの酢酸塩を得た。
製造例5
500mL容のオートクレーブに、ジメチルエタノールアミン160gを投入し、蟻酸83gを攪拌しながら徐々に添加し、中和した。その後、100℃に昇温し、攪拌しながらプロピレンオキシド110gを徐々に封入した。圧力は成り行きにまかせ、2時間攪拌を続けた後、反応を終了した。その後、減圧脱気し、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアンモニウムの蟻酸塩を得た。
実施例1〜6及び比較例1〜2
エチレングリコール−テレフタル酸ポリエステルポリオール〔水酸基価:250mgKOH/g、OXID社製、商品名:テロール250〕(以下、ポリオールAという)40重量部、トリエチレンジアミンのプロピレンオキシド付加ポリオール〔水酸基価:450mgKOH/g、旭硝子(株)製、商品名:エクセノール455AR〕(以下、ポリオールBという)30重量部及びエチレンジアミンのプロピレンオキシド付加ポリオール〔水酸基価:760mgKOH/g、三井武田ケミカル(株)製、商品名:ポリオールAE−300〕(以下、ポリオールCという)30重量部の合計100重量部に対して、難燃剤〔トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート〕20重量部、シリコーン系整泡剤〔日本ユニカー(株)製、商品名:L−5340:シリコーン系整泡剤〕1.0重量部、発泡剤としてHFC−245fa[1,1,1,3,3- ペンタフルオロプロパン24重量部、HFC−365mfc[1,1,1,3,3- ペンタフルオロブタン] 16重量部及び水1.5重量部(触媒中に水が含まれる場合は、含水量から調整した)、並びに表1に示す触媒をラボミキサーで混合してポリオール混合物を得た。なお、触媒の配合量を調整して、相対カリウム濃度を一定にして比較した。
相対カリウム濃度は、式:
〔相対カリウム濃度〕
=〔後述する脂肪族カルボン酸カリウム触媒におけるカリウム濃度(重量%)〕×〔ポリオール100重量部に対する脂肪族カルボン酸カリウム触媒の使用量(重量部)〕
に基づいて求めた。
次に、得られたポリオール混合物と、イソシアネート成分〔ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート;住化バイエルウレタン(株)製、商品名:スミジュール44V20〕とをイソシアネートインデックスが200となるように10℃でラボミキサーで混合攪拌し、得られた混合物250gを成形型〔内寸:150×150×300(高さ)mm〕内に注入し、ポリイソシアヌレートフォームのフリーフォームを成形した。
なお、表1に示す各略号及び化合物は、以下のことを意味する。
〔触媒〕
<アミン触媒>
KL−31:1,4-ジアザビシクロ[2.2.2] オクタンの33%ジプロピレングリコール溶液〔花王(株)製、商品名:カオーライザーNo.31 〕
<脂肪族カルボン酸カリウム触媒>
RS60D:製造例1で得られた60%リシノール酸カリウム溶液(カリウム濃度:7.0重量%)
FR60D:製造例2で得られた60%ヒマシ油脂肪酸カリウム溶液(カリウム濃度:6.7重量%)
FR70DW:製造例3で得られた70%ヒマシ油脂肪酸カリウム溶液(カリウム濃度:7.8重量%、水分12.2重量%)
オクタン酸カリウム:日本化学産業(株)、商品名:プキャット15G(2−エチルヘキサン酸カリウムの70%ジエチレングリコール溶液)(カリウム濃度:15.0重量%)
<4級アンモニウム塩触媒>
DMEPA:製造例4で得られたN−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアンモニウムの酢酸塩
DMEPF:製造例5で得られたN−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアンモニウムの蟻酸塩
Figure 0004104539
ポリイソシアヌレートフォームを製造する際のポリオール混合物とイソシアネート成分との反応性、ポリイソシアヌレートフォームの寸法安定性、イソシアヌレート環への転化率、フォーム流動性及び接着性を以下の方法に基づいて調べた。その結果を表2に示す。
1.反応性
300mL容のポリカップ〔(株)テラオカ製、商品名:デスカップ〕内で攪拌された前記混合物40gのフリー発泡におけるクリームタイム(以下、CTという)、ゲルタイム(以下、GTという)及びライズタイム(以下、RTという)に到達するまでの時間を測定した。
なお、それぞれの反応時間が短いほど、発泡・硬化が迅速に行われるようになる。
2.寸法安定性
得られたポリイソシアヌレートフォームのフリーフォームを常温で1日間放置した後、そのフリーフォームの寸法(発泡方向に対し垂直方向)を測定し、式:〔フォーム収縮率(%)〕=〔フォームの寸法(mm)〕÷〔150(mm)〕×100
に基づいてフォーム収縮率を求めた。
なお、フォーム収縮率が低いほど、フォーム中に未反応のイソシアネートが少なく、イソシアヌレート環への転化率が高くなり、寸法安定性に優れるようになる。
3.イソシアヌレート環への転化率
前記「寸法安定性」を調べる際に使用したフリーフォームのコア中心部及び表皮スキン部から、フォームを切り出し、臭化カリウムと混合してテストペレットを作製し、FT−IRスペクトロメーター〔(株)堀場製作所製、品番:FT−710〕を用いて、赤外吸収(IR)スペクトルを得た。得られたスペクトルに対し、ポリエステルポリオールのエステルに由来のピーク(波数:950−1160cm-1)の面積を15に規格化した場合のイソシアヌレート環に由来のピーク(波数:1410cm-1)の面積Aを求め、イソシアヌレート転化率を式:
〔イソシアヌレート転化率(%)〕
=〔ピーク面積A(イソシアヌレート環に由来のピークの面積)
−ピーク面積B(原材料に由来のピークの面積)〕
÷係数
×〔(Index-100)÷Index ×100 〕
(式中、Index はイソシアネートインデックスを示す)
に基づいて求めた。
なお、ピーク面積Bは、使用された原材料に由来の1410cm-1近傍のピークの面積である。
係数は、原材料の種類及びその組成、並びにイソシアネートインデックスに依存する規格化された相対値であって、過剰のイソシアネート基がすべてイソシアヌレート環に転化された場合のイソシアヌレート環に由来のピークの実質的な面積を意味する。実施例1〜6及び比較例1〜2における係数は、予め、イソシアヌレート化触媒を使用せず、イソシアネートインデックス100にて調製したサンプルと、ポリオールを用いずにすべてイソシアヌレート環に転化したサンプルとをそれぞれのイソシアネートインデックスに基づいて混合し、作製したテストペレットを用いてIRスペクトルで評価して求めた。実施例1〜6及び比較例1〜2における係数は12.81となる。
なお、イソシアヌレート環への転化率が高いほど、難燃性、寸法安定性及び接着性に優れるようになる。
4.フォーム流動性
30℃に温調されたフォーム流動性測定用のモールド(アルミニウム製、垂直部分:200mm×550mm×35mm、水平部分:200mm×450mm×35mmの逆L字型)内に所定量(210g)の前記混合物をモールドの下部に注型してポリイソシアヌレートフォームを成形し、14分間経過後に脱型し、図1に示されるように、ポリイソシアヌレートフォーム1の上面の直線的な部分の長さXと、膨らみ部分における面積的な中間値Y(長さが200mmの辺に平行な直線が膨らみ部分の面積を2分するときのその直線と膨らみの端部との間の長さY)との和(X+Y)を測定し、「550+X+Y」をフォームの流動性の指標とした。
なお、フォーム流動性が大きくなるほど、例えば、スプレー方式による製造の際に、フォームの端面が膨らみ、接着性が悪化するようになる。
5.接着性(付着率)
30℃に温調された垂直モールド(内寸:300×300×50mm、但し、モールド内壁全面にポリプロピレンシートが貼付)にパック率が110%となるように前記混合物を注型してポリイソシアヌレートフォームを成形し、14分間経過後に脱型した。モールドへのポリイソシアヌレートフォームの付着率(モールド内表面積に対するポリイソシアヌレートフォームの付着面積の割合。以下同じ。単位は面積%)を求め、フォームの接着性の指標とした。
なお、モールドへのポリイソシアヌレートフォームの付着率が小さいほど、ポリイソシアヌレートフォームの脆性が小さく、接着性に優れるようになる。
Figure 0004104539
表2に示された結果から、実施例1〜3におけるように、触媒として、水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムを含有する触媒を用いた場合には、同一カリウム濃度(触媒のモル濃度)で比較すると反応性が高く、イソシアヌレート環への転化率が高いことから、触媒活性に優れていることがわかる。また、イソシアヌレート環への転化率が高いので、ポリイソシアヌレートフォームを製造する際に、寸法安定性及び難燃性が改善されるとともに、フォームの流動性が抑制されることも重なり、接着性が改善されることがわかる。
また、実施例4〜6におけるように、触媒として、水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムとビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩とを併用した場合には、ポリイソシアヌレートフォームの表面スキン部とコア部の両方において、イソシアヌレート環への転化率が高められるので、難燃性が一層改善されるとともに、特にポリイソシアヌレートフォームの表皮スキン部でのポリイソシアヌレート環への転化率が高くなるので、モールドへのポリイソシアヌレートフォームの付着率が小さくなり、接着性がより改善されることがわかる。
本発明の製造法で得られたポリイソシアヌレートフォームは、例えば、建材、電気冷蔵庫、冷凍倉庫、浴槽、パイプ等の断熱材等として好適に使用しうるものである。また、本発明の製造法は、特にスプレー方式による現場施工タイプの断熱材及び結露防止材、工場ラインでパネルやボード等の建材等を製造する際に好適に使用することができる。
各実施例及び各比較例でポリイソシアヌレートを成形する際のフォームの流動性の測定方法に関する概略説明図である。
符号の説明
1 ポリイソシアヌレートフォーム

Claims (6)

  1. ポリオール成分とイソシアネート成分とを、水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムを含有する触媒、水及びヒドロフルオロアルカンを含有する発泡剤の存在下で反応させるポリイソシアヌレートフォームの製造法。
  2. 水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムが、水酸基を有する植物系脂肪族カルボン酸カリウムである請求項1記載の製造法。
  3. 触媒が、更に、式(I):
    Figure 0004104539
    〔式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立して炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基であるか又はR1 とR2 とが結合してアルキレンイミン環、ピペラジン環若しくはモルホリン環を形成していてもよい。R3 及びR4 は、それぞれ独立して式(II):
    Figure 0004104539
    (式中、R6 、R7 、R8 及びR9 は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1 〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を示す)
    で表される基又は式(III):
    Figure 0004104539
    (式中、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を示す)
    で表される基を示す。R5 は水素原子又は炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す〕
    で表されるビス(ヒドロキシアルキル)アンモニウムの有機カルボン酸塩を含有する請求項1又は2記載の製造法。
  4. 請求項1〜3いずれか記載の製造法によって得られたポリイソシアヌレートフォーム。
  5. 請求項4記載のポリイソシアヌレートフォームからなる建材。
  6. 水酸基を有する脂肪族カルボン酸カリウムを含有するポリイソシアヌレートフォーム製造用触媒。
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