JP3982724B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電子写真法では、感光体ドラム上の光導電性絶縁層を一様に帯電させ、次いでその層を露光させ、その露光された部分上の電荷を消滅させる事により静電潜像を形成する。更に該潜像に少なくとも着色剤を含む現像剤(以下トナーと呼ぶ)を付着させることによって可視化させる現像工程と、得られた可視像を転写紙等の転写材に転写させる転写工程と、加熱、圧力あるいはその他適当な定着法により定着させる定着工程とを必要とする。
一般にトナーは現像器内で装置の動作中に熱や摩擦、接触等の様々な機械的ダメージを受けその性能が劣化しやすい。
【0003】
具体的には装置内の温度上昇による熱によって現像器内で軟化し、トナーが、トナー層形成部材(以下現像ブレードという)、現像剤担持体(以下現像ローラという)、トナー供給ローラ等に固着してトラブルの原因になりやすい。
また、長期間のランニングにより現像ブレード、現像ローラ、トナー供給ローラ等から機械的ストレスを受けて劣化し現像剤としての性能をEPカートリッジ寿命まで維持することを困難にする。
【0004】
さらに、現像ローラを感光体ドラムに接触させて現像することを特徴とする接触現像方式においては、現像ローラが感光体ドラムに強い圧力で接触するため、長時間あるいは高温下でのEPカートリッジの放置によって感光体ドラムに接触する現像ローラ上のトナーが感光体ドラムとの間の圧力で変形し感光体ドラム(または現像ローラ、あるいは両方)に固着し印字不良の原因になる恐れもある。
【0005】
また、トナーは長期間のランニングにより現像ブレード、現像ローラ、トナー供給ローラ等から機械的ストレスを受けて劣化し現像剤としての性能をEPカートリッジ寿命まで維持することを困難にする。
【0006】
熱的ダメージを防ぐためには排熱用のファンを設けることが効果的であるが、騒音の問題があり、電子写真方式の有する利点である静寂さを損ないかねない。また、コスト上の問題、あるいは装置の小型化を行う上でネックになる。
これに対するトナー側からのアプローチとしては、定着しやすい特性とし、熱の発生源を小さくすることが考えられる。
一例としていわゆる低温定着トナーといわれるカプセル構造のトナーが提案されている。
【0007】
また、機械的ダメージを防ぐ方法として以下のような試みもなされている。
即ち、現像ローラにフィルム状のものを用いたり、薄いパイプ状のものを現像ローラとして用いたりして、現像ローラとトナーとの間におけるトナーへの機械的ストレスを和らげようとする試みもある。
あるいは、現像ブレードの現像ローラに対する圧力を小さくし、トナーにかかるストレスを和らげる試みもなされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、定着しやすいトナーは機械的強度が弱い。トナーへのストレスを緩和すると、トナーと現像ローラ、現像ブレード等との摩擦力を弱めるためトナーの帯電を難しくし、印字品質を悪化させる。
また、接触現像方式においては単純に現像ローラの感光体ドラムへの押し付け圧力を減ずればトナーに対するストレスが軽減するのは自明の理であるが、これには副作用がある。
【0009】
即ち、本現像方式においては現像ローラと感光体ドラムの接触領域(現像領域)でもトナーを摩擦帯電させているため押し付け圧力を減少させることはトナーの帯電量の減少につながり、かぶりの増大やドット、ラインの再現性の悪化等を招くおそれがある。
従って、接触現像方式では一定値以上の圧力が現像領域においてトナーにかかるのは止むを得ないことであり、この点においてはトナーサイドから何らかの改良が施されることが望ましい。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は以上の点を解決するため次の構成を採用する。
〈構成1〉
像担持体を所定の電位に帯電する工程と、帯電された上記像担持体を露光して静電潜像を形成する工程と、外周部の樹脂層のガラス転移温度が75℃以上で、上記外周部に包囲される内部の樹脂層のガラス転移温度が上記外周部のガラス転移温度よりも低い現像剤を用いて、現像剤担持体に対して現像剤層形成部材を0.3g/cm以上4g/cm以下の圧接力で接触させて上記現像剤担持体上に上記現像剤の層を形成する工程と、上記像担持体に上記現像剤担持体を接触させて上記静電潜像を上記現像剤で現像して現像剤像を形成する工程と、上記現像剤像を媒体に転写する工程と、転写された上記現像剤像を上記媒体に定着する工程とを含むことを特徴とする画像形成方法。
【0011】
〈構成2〉
像担持体を所定の電位に帯電する工程と、帯電された上記像担持体を露光して静電潜像を形成する工程と、外周部の樹脂層のガラス転移温度が85℃以上で、上記外周部に包囲される内部の樹脂層のガラス転移温度が上記外周部のガラス転移温度よりも低い現像剤を用いて、現像剤担持体に対して現像剤層形成部材を0.3g/cm以上4g/cm以下の圧接力で接触させて上記現像剤担持体上に上記現像剤の層を形成する工程と、上記像担持体に上記現像剤担持体を接触させて上記静電潜像を上記現像剤で現像して現像剤像を形成する工程と、上記現像剤像を媒体に転写する工程と、転写された上記現像剤像を上記媒体に定着する工程とを含むことを特徴とする画像形成方法。
【0012】
〈構成3〉
像担持体を所定の電位に帯電する工程と、帯電された上記像担持体を露光して静電潜像を形成する工程と、外周部の樹脂層のガラス転移温度が75℃以上で、上記外周部に包囲される内部の樹脂層のガラス転移温度が上記外周部のガラス転移温度よりも低い現像剤を用いて、現像剤担持体上に上記現像剤の層を形成する工程と、上記像担持体に対して上記現像剤担持体を2g/mm以上30g/mm以下の圧接力で接触させて上記現像剤を絶対値で10μC/g以上に帯電させると共に、上記静電潜像を上記現像剤で現像して現像剤像を形成する工程と、上記現像剤像を媒体に転写する工程と、転写された上記現像剤像を上記媒体に定着する工程とを含むことを特徴とする画像形成方法。
【0013】
〈構成4〉
像担持体を所定の電位に帯電する工程と、帯電された上記像担持体を露光して静電潜像を形成する工程と、外周部の樹脂層のガラス転移温度が85℃以上で、上記外周部に包囲される内部の樹脂層のガラス転移温度が上記外周部のガラス転移温度よりも低い現像剤を用いて、現像剤担持体上に上記現像剤の層を形成する工程と、上記像担持体に対して上記現像剤担持体を2g/mm以上30g/mm以下の圧接力で接触させて上記現像剤を絶対値で10μC/g以上に帯電させると共に、上記静電潜像を上記現像剤で現像して現像剤像を形成する工程と、上記現像剤像を媒体に転写する工程と、転写された上記現像剤像を上記媒体に定着する工程とを含むことを特徴とする画像形成方法。
【0014】
〈構成5〉
構成1乃至構成4に記載の電子写真方式の画像形成方法において、上記現像剤は、コアと、上記コアを包囲するシェルとからなるカプセル構造を有することを特徴とする画像形成方法
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明者は現像ローラのような現像剤担持体上の、現像剤厚さが50μm以下であるような現像装置を用いる電子写真方式の画像形成装置において、該現像剤を構成する樹脂のうち、最もガラス転移温度の高い樹脂の値が75℃以上好ましくは85℃以上であるような現像剤を用いることで上記問題点を解決し得ることを見出した。
【0018】
また、このようなトナーはこれを構成する樹脂が異なるガラス転移温度を有する2種類以上の樹脂からなり、それらの樹脂がカプセル構造を有してなる構造であることが極めて有効であることも解明し、本発明を完成するに至った。
【0019】
また、このようなトナーを用いることで現像ローラと現像ブレード間の接触圧力はトナーが十分な摩擦帯電量を得るのに必要な設定とすることができる。また高温下でのトナーの保存信頼性やランニングでの劣化を防ぐだけでなく、電子写真方式の画像形成装置として基本性能にも極めて優れた装置を提供することができる。
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1は、本具体例の実施に適する画像形成装置の概略構成図である。
図1において、接触式帯電部材1(以下、帯電ローラという)は図中矢印B方向に回転し、導電性シャフト2部を専用スプリング3により図中矢印A方向に回転する像担持体5(以下、感光体ドラムという)に圧接されている。専用DC電源4は、接触式帯電部材1に対して一定のDC電圧を印加することにより上記感光体ドラム5を一定電位に帯電させる。
【0021】
次に、帯電した感光体ドラム5は潜像書き込み露光源6(以下、LEDヘッドという)により露光され、感光体ドラム5上に静電潜像が形成され、現像領域に入る。
現像剤担持体8(以下、現像ローラという)は図中矢印C方向に回転し、感光体ドラムに適当な圧力で接している。また、現像ローラ8上に現像剤層を形成する現像剤層形成部材7(以下、現像ブレードという)は現像ローラ8に適当な圧力で接し、10〜50μm、好ましくは15〜30μm程度のトナー層10を現像ローラ8上に形成する。トナー層10が薄いと十分な印刷濃度を得ることが難しく、厚いと個々のトナー粒子の帯電に大きなばらつきが生じやすい。
【0022】
帯電分布がブロードであると帯電不足のトナーによってバックグラウンドかぶりを生じ易くなる。従って、トナーの帯電量分布を狭い範囲に保つためには全てのトナー粒子を均一に摩擦帯電することが重要になり、必要十分な濃度が確保できるのであればトナー層厚は薄いほうが良いといえる。
【0023】
上述の構成からなる現像装置により、上記静電潜像に現像剤(以下、トナーという)が現像される。そして、現像されたトナー像9は、転写部材11(以下、転写ローラという)により用紙上に転写される。また、上記画像形成装置は、転写残留トナーを回収する残留トナー回収部材12(以下、クリーニングローラという)は転写後感光体ドラム5上に残ったトナーを一旦回収し、用紙印刷間あるいはウオーミングアップ時等の現像がなされていない時に不図示の適当な手段により、回収時とは逆に感光体ドラム5上へと戻し、再び現像ローラ8により現像装置内へ回収する。
【0024】
図2は図1とは別の画像形成装置の概略構成図を示す。
この図の装置は、図1の装置のクリーニングローラ12の代わりにクリーニングブレード15を設けたものである。このクリーニングブレード15により感光体ドラム5上からかき落とされたトナーは、ケース16に回収される。こうした処理でも、トナーには大きな機械的ストレスが加わる。
【0025】
図3に本具体例でのトナーを使用した場合のトナー層厚とバックグラウンドかぶり、帯電量の関係を、図4には現像ブレードの現像ローラへの加圧力とトナー層厚との関係を示す。
トナー層厚の増大とともにバックグラウンドかぶりは増加するが、これが帯電量の減少による帯電不足のトナー粒子の増大によるものであることを示している。
なお、バックグラウンドかぶりは、分光測色計ミノルタCM−1000を用いて以下の方法で測定する。
【0026】
まず、印刷に用いるのと同じ用紙に3M製スコッチテープを貼り付け同測色計で反射率を測定する。この時の値をAとする。次に、印刷中の画像形成装置を瞬断して、EPカートリッジ(現像装置)を取り出す。ここで、現像行程終了後かつ転写行程開始前に相当する感光体ドラム表面上に3M製スコッチテープを貼り付け感光体ドラム表面に付着しているバックグラウンドかぶりトナーを同テープにとる。次に、このテープを印刷に用いるのと同じ用紙に貼り付け同測色計で反射率を測定する。この時の値をBとする。この時、数値(A−B)(%)をバックグラウンドかぶりと定義する。
【0027】
また、必要な印刷濃度を得るためには約12μm以上のトナー層厚が必要であるが、この時の現像ブレード線圧は4g/cmである。一方、バックグラウンドかぶりを発生させないで用いるためにはトナー層厚を50μm以下にする必要があり、この時の現像ブレード線圧は0.3g/cmとなる。
【0028】
即ち、高品位の印刷品質を満足させるためには現像ブレードの線圧をおおよそ0.3〜4g/cmの間に設定することが重要であることがわかる。
このような現像ブレード線圧はEPカートリッジ使用時にトナー粒子に大きな機械的ストレスを与える。
また、EPカートリッジが製品輸送時、あるいは高温環境下で印刷の後長時間放置されるような場合、高温と同時に高い圧力も長時間受け続けることになるわけである。
【0029】
このような環境下での使用に耐え得るためにはトナー樹脂の分子量を大きくする、あるいはガラス転移温度を高くする等の方法が有効であるが、これらの手法をとることは定着器への負担を大きくすることにほかならない。即ち、定着器の設定温度を高くすることにつながり、結局はトナーへの熱的ダメージを大きくすることにつながる。
【0030】
また、実際にトナー側からこのような対策を講じたとしてもその効果は限定的であり、しかも定着器への負担は大きくなるものであり、いわゆるトレードオフの関係から抜け出すのが難しい。
【0031】
次に、本具体例で用いたカプセル構造トナーの製造方法の一例を説明する。
本具体例におけるカプセルトナーのコア材及びシェル材に用いられる樹脂としては、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0032】
上記の熱可塑性樹脂のうち、ビニル樹脂を構成する単量体としては、例えば、スチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、O−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロルスチレン、ビニルナフタレン等のスチレンもしくはスチレン誘導体、又はアクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸及びそのエステル、又はエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等の如きエチレン系不飽和モノオレフィン類、又は塩化ビニル、臭酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ギ酸ビニル、カプロン酸ビニル等のビニルエステル類、又はアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のエチレン性モノカルボン酸置換体、又はマレイン酸エステル等のエチレン性ジカルボン酸及びその置換体、例えばビニルメチルケトン等のビニルケトン類、又はビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類が挙げられる。
これらの樹脂を単独或いは混合で用いて、コア材及びシェル材の樹脂とすることができる。
【0033】
本具体例に用いるコア材の樹脂を構成する単量体組成物中には必要に応じて架橋剤を添加することができる。一例として、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ポリエチレングリコールジメタクリレート、2,2′−ビス(4−メタクリロキシジエトキジフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−アクリロキシジエトキジフェニル)プロパン、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1、6−へキシレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、等一般の架橋剤を用いることができる。また、必要に応じてこれらの架橋剤を2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0034】
また、コア材用の熱可塑性樹脂を製造する際使用される重合開始剤としては、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1、1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、その他のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、即ちベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、イソプロピルパーオキシカーボネイト、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドのような過酸化物系重合開始剤が拳げられる。
【0035】
本具体例では、カプセルトナーの心材中に着色剤が含有されるが、従来のトナー用着色剤に用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができる。本具体例に用いられる着色剤としては、アセチレンブラック法、サーマルブラック法、チャンネルブラック法、ランプブラック法等により製造される各種のカーボンブラック、カーボンブラックの表面を樹脂で被覆しているグラフト化カーボンブラック、ブリリアントファーストスカーレット、フタロシアニンブルー、ニグロシン染料、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、パーマネントブラウンFG、ソルベントレッド49等及びそれらの混合物等を挙げることができる。
【0036】
本具体例において、更にコア材に帯電制御剤を添加することもでき、添加する負帯電性荷電制御剤としては、以下に述べる帯電制御剤に限定されるものでは勿論ないが、例として「アイゼンスピロンブラックTRH」(以上、保土ケ谷化学社製)合金属アゾ染料である「ボントロンS−31」、「ボントロンS−32」、「ボントロンS−34」「バリファーストブラック3804」(以上、オリエント化学社製)等、4級アンモニウム塩、例えば「C0PY CHARGE NX VP434」(ヘキスト社製)、ニトロイミダゾール誘導体銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、例えば「ボントロンE−81」、「ボントロンE−82」、「ボントロンE−85」(以上、オリエント化学社製)等を挙げることができる。
【0037】
正帯電性荷電制御剤としては、これも負帯電性荷電制御剤と同様に以下に述べる帯電制御剤に限定されるものではないが、一例としてニグロシン染料である「オイルブラックBS」、「ボントロンN−01」、「ボントロンN−07」、「ボントロンN−11」、「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックSO」(以上、オリエント化学社製)等、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP−51」(オリエント化学社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、「C0PY CHARGE PX VP435」(ヘキスト社製)等、ポリアミン樹脂、例えば「AFP−B」(オリエント化学社製)、イミダゾール誘導体等を挙げることができる。
【0038】
コア材中には必要に応じて、耐オフセット性を改善する目的で、例えばポリオレフィン、脂肪酸金属塩、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、部分ケン化脂肪酸エステル、高級アルコール、パラフィンワックス、シリコンオイル、アミド系ワックス、シリコンワニス、多価アルコールエステル、脂肪族フロロカーボン等のオフセット防止剤を任意の一種以上含有せしめても良い。
【0039】
上記ポリオレフィンとしては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ボリブテン等の樹脂が挙げられる。
上記脂肪酸金属塩としては、例えばマレイン酸と亜鉛、マグネシウム、カルシウム等との金属塩;ステアリン酸と亜鉛、カドミウム、バリウム、鉛、鉄、ニッケル、コバルト、銅、アルミニウム、マグネシウム等との金属塩:二塩基性ステアリン酸鉛:オレイン酸と亜鉛、マグネシウム、鉄、コバルト、銅、鉛、カルシウム等との金属塩:パルミチン酸とアルミニウム、カルシウム等との金属塩:カプリル酸塩;カプロン酸鉛三・リノール酸と亜鉛、コバルト等との金属塩:リシノール酸カルシウム:リシノレイン酸と亜鉛、カドミウム等との金属塩及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0040】
上記脂肪酸エステルとしては、例えばマレイン酸エチルエステル、マレイン酸ブチルエステル、ステアリン酸メチルエステル、ステアリン酸ブチルエステル、パルミチン酸セチルエステル、モンタン酸エチレングリコールエステル等が挙げられる。
【0041】
上記部分ケン化脂肪酸エステルとしては、例えばモンタン酸エステルのカルシウム部分ケン化物等が挙げられる。上記高級脂肪酸としては、例えばドデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セラコレイン酸等及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0042】
上記高級アルコールとしては、例えばドデシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等を挙げることができる。上記パラフィンワックスとしては、例えば天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、塩素化炭化水素等が挙げられる。
【0043】
上記アミド系ワックスとしては、例えばステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリル酸アミド、ベヘニン酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、N,N′−m−キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N′−m−キシリレンビス−12−ヒドロキジステアリン酸アミド、N,N′−イソフタル酸ビスステアリルアミド、N,N′一イソフタル酸ビス−12−ヒドロキシステアリルアミド等が挙げられる。
【0044】
上記多価アルコールエステルとしては、例えばグリセリンステアレート、グリセリンリシノレート、グリセリンモノベヘネート、ソルビタンモノステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタントリオレート等が挙げられる。上記シリコンワニスとしては、例えばメチルシリコンワニス、フェニルシリコンワニス等が挙げられる。上記脂肪族フロロカーボンとしては、例えば四フッ化エチレン、六フッ化プロピレンの低重合化合物等が挙げられる。
【0045】
上述した物質のうち少なくともコア樹脂となる重合性単量体と重合開始剤と着色剤を混合し必要に応じて架橋剤、ワックス、帯電制御剤等を添加混合する。
この混合物を分散媒に分散させて重合を行うことでコアとなる粒子を形成する。
【0046】
分散媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトニトリル、アセトン、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。これらは単独あるいは混合して用いることができる。また、分散質の分散性を安定させる目的で分散安定剤を用いることもできる。分散安定剤としては公知のものを全て用いることができる。
【0047】
一例として、ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルホン酸、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンダデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、アリル−アルキル−ポリエーテルスルボン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−β−ナワトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−ジスルホン酸ナトリウム、リン酸三カルシウム、水酸化第二鉄、水酸化チタン、水酸化アルミニウム、等が挙げられる。これらの分散安定剤は単独でまたは二種以上を併用して用いることができる。
【0048】
以上のようにして調整された懸濁液を攪拌しながら50℃〜100℃に保つことで重合反応を進行或いは完了させる。
かかる重合反応の進行中或いは完了後に該懸濁液に第2番目の重合性単量体を添加しseed重合を行う。即ち、第1番目の重合によって得られた重合中或いは重合完了後の着色剤を含む熱可塑性樹脂粒子(以下中間粒子と表現する)の水系懸濁液に少なくともビニル重合性単量体とビニル重合開始剤を添加して中間粒子に吸収させた後、中間粒子中の単量体成分を重合させるものである。
【0049】
中間粒子中に吸収させるビニル重合性単量体等は、単独で添加してもよく、また予め水乳濁液として添加しても良い。添加する水乳濁液は、水にビニル重合性単量体とビニル重合開始剤を分散安定剤と共に乳化分散させたものであり、必要に応じて架橋剤、オフセット防止剤、荷電制御剤等を含有させることもできる。
【0050】
seed重合に用いるビニル重合開始剤、架橋剤、分散安定剤は、中間粒子の製造時に用いられるものと同様のものを用いても良いし、必要であれば例えば水溶性の重合開始剤を用いてシェルの重合条件を最適化することも可能である。
【0051】
ここで用いる重合性単量体は重合後の樹脂のガラス転移温度が75℃以上となるように選択することが望ましい。即ち、シェル樹脂のガラス転移温度が75℃以上になるようにすることが望ましい。従来技術では、十分な耐ブロッキング性を確保するためにシェル樹脂のガラス転移温度を十分に高くしてカプセルトナーを作製することは報告されていない。
【0052】
本発明の具体例で詳細に説明するように、最外層を構成する樹脂のガラス転移温度を75℃以上とすることは十分な耐ブロッキング特性を有する上で極めて有効である。
【0053】
ビニル重合性単量体或いは水乳濁液の添加により、該ビニル重合性単量体は中間粒子表面を覆いコア粒子は若干膨潤する。そして、この状態でシェル樹脂となる重合性単量体成分の重合が進行、即ち中間粒子をコア粒子とするseed重合が行われカプセルトナーが完成する。
【0054】
以上のような製造方法によれば低いエネルギーで十分に定着するコアと高温かつ高圧力下においてさえも優れた耐ブロッキング性を有することになるので、低温定着性と耐オフセット性が極めて高度にバランスしたカプセルトナーを得ることができる。
本具体例におけるカプセルトナーの粒径は別段制約を受けるものではないが、平均粒径は通常3〜30μmが望ましい。
【0055】
本具体例におけるカプセルトナーには、必要に応じて、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等を用いることができる。流動性向上剤としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等を挙げることができる。
【0056】
なお、シリカの微粉末は、Si−O−Si結合を有する微粉末であり、乾式法及び湿式法で製造されたもののいずれであってもよい。また、無水二酸化ケイ素のほか、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸亜鉛等いずれであってもよい。また、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコンオイル、側鎖にアミンを有するシリコンオイル等により表面処理されたシリカの微粉末等を用いることができる。
【0057】
クリーニング性向上剤としては、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の微粒子粉末等がある。更に現像性を調整するための添加剤、例えばメタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸ブチルエステル等の重合物の微粒子粉末等を用いてもよい。
【0058】
本具体例の熱圧力定着用カプセルトナーは、磁性体微粉末を含有するものであるときには単独で現像剤として用いられ、また磁性体微粉末を含有しないものであるときは、非磁性一成分系現像剤、またはキャリアと混合して二成分系の現像剤を調製して用いることができる。
【0059】
キャリアとしては、特に限定されないが、鉄粉、フェライト、ガラスビーズ等、又はそれらの樹脂被覆したもの、更にはマグネタイト微粉、フェライト微粉を樹脂中に練り込んだ樹脂キャリア等が用いられ、トナーのキャリアに対する混合比は0.5〜20重量部である。またキャリアの粒径としては、15〜500μmのものが用いられる。
【0060】
〈具体例2〉
本発明者は上記問題点を解決し接触現像方式、より詳細には現像ローラの感光体ドラム上への押し付け圧力が2〜30g/mmであるような接触現像方式を有する電子写真方式の画像形成装置において、現像剤を構成する樹脂のうち、最もガラス転移温度の高い樹脂の値が75℃以上好ましくは85℃以上であるような現像剤を用いることで上記問題点を解決し得ることを見出した。
【0061】
また、このようなトナーはこれを構成する樹脂が異なるガラス転移温度を有する2種類以上の樹脂からなり、それらの樹脂がカプセル構造を有してなる構造であることが極めて有効であることも解明し、本発明を完成するに至った。
【0062】
またこようなトナーを用いることで感光体ドラムと現像ローラの接触圧力はトナーが十分な摩擦帯電量を得るのに必要な設定とすることができ、また高温下でのトナーの保存信頼性やランニングでの劣化を防ぐだけでなく、電子写真方式の画像形成装置として基本性能にも極めて優れた装置を提供することができる。
なお、この具体例2も具体例1と同様に図1に示したような構成の画像形成装置により実施することができる。
【0063】
図7に本具体例のトナーを使用した場合の、現像ローラの感光体ドラムへの押し付け圧力(以下、単に押し付け圧力と言う)とバックグラウンドかぶりの関係を示す。
また、図8には押し付け圧力と現像ローラ上トナー層の帯電量の関係を示す。
【0064】
トナ−の帯電量q(μC/g)は次式で求めた。
q=(2Vt×ε0εt)/δP(dt)^2
2Vt:現像ロ−ラ上トナ−層表面電位(V)
ε0:真空の誘電率 8.855×10^(−12) C/(Vm)
εt:トナ−層の比誘電率 1.44
δ:トナ−の真密度 1.175×10^3(Kg/m^3)
P:トナ−層充填率 0.4
dt:トナ−層厚(m)
【0065】
帯電量は現像を行わないで現像領域を通過させた後の数値である。即ち、現像ローラ上のトナーが感光体ドラムとの摩擦帯電による電荷を受け取った後のVtから求めた値である。また、べた黒印字を行った後に現像ブレード通過後かつ領域通過前で観測される現像ローラ上トナー層の帯電量、及び感光体ドラムを装着しない状態で測定した現像ローラ上トナーの帯電量は−3μC/gで一致した。即ち、感光体ドラムとの摩擦に無関係に本実験の現像器からトナーが得る帯電量は−3μC/gであると考えることができる。
【0066】
図7で押し付け圧力の増大とともにバックグラウンドかぶりは減少しているが、図8から押し付け圧力の増大によって現像領域でのトナーの帯電量が増加していることがその理由であることがわかる。
【0067】
また、本発明者の検討ではこの押し付け圧力が2g/mmを下回るとバックグラウンドかぶりが急激に増加し、1g/mmを下回ると印刷濃度が低下しはじめることが確認された。これは接触現像においては現像領域でのトナーの付加的な帯電が重要であり、押し付け圧力が充分でないと摩擦帯電が効果的に行われず、逆帯電トナーが発生しかぶりを生じやすくなると考えられる。更に押し付け圧力が減少すると現像ニップが不安定になり現像効率が低下し濃度低下を招くことも確認された。
【0068】
本発明者の検討によれば、トナーの帯電量が絶対値でおおよそ10μC/g以上あることが高品質印刷を行う上で必要である。
そのためには押し付け圧力が2g/mm以上であることが必要条件である。
【0069】
一方、30g/mm以上の押し付け圧力はトナーに過大なストレスをかけることになるためランニングにおけるトナーの劣化をはやめることが確認された。
また、このような高い押し付け圧力はEPカートリッジの機械的負荷を増大させるためジッタも顕著に見られるようになることが確認された。
従って、押し付け圧力は2g/mm以上30g/mm以下が望ましいことになる。
【0070】
本発明者は、含有する帯電制御剤(CCA)を過剰量とすることで押付圧力が1g/mm程度でも10μC/gとなるよなトナーも作製し、特性を調べた。
このトナーを用いた系では環境変化によって帯電量が大きく変化した。押付圧力が1g/mmの条件下で室温(25℃ 55RH%)下、10μC/gの帯電量を得たが、低温低湿下(10℃ 20RH%)では20μC/g、高温多湿下(30℃ 80RH%)では8μC/gであった。
【0071】
上述のトナー.使用条件では、低温低湿下で帯電過多となりバックグラウンドにトナーが現像してしまう不具合が生じることを確認した。
これに対し、押付圧力が10g/mmの条件下で帯電量10μC/gとなるように作製したトナーとの組合せにおいては低温低湿下(10℃ 20RH%)では11μC/g、高温多湿下(30℃ 80RH%)では8μC/gであり環境変化によって極端な帯電量の変化は生じていない。
【0072】
以上のことから、帯電制御剤を過剰に添加することで実機上の帯電量を大きく保とうとしても実用上の困難が伴うことが確認された。
電子写真方式においては、トナーの帯電が摩擦帯電という現象に依存している以上環境変化(特に湿度)によってある程度帯電量が変化するのは止むを得ないことである。
【0073】
しかしながら、上述のようにいわばトナーの帯電能力のみを大きくすることで実機上で充分な帯電量を得るような設計思想は、他の部材に比較して圧倒的に大きな比表面積を有するトナーへの依存度を大きくするということである。
従って、その特性が環境変化に大きく左右されるのは当然の帰結といえる。
【0074】
以上の事実は、トナーに電荷を与える装置側の条件が適切であること、即ち摩擦帯電の原動力である各種ローラ間(感光体ドラムを含む)の摩擦力が一定以上あること、具体的には押し付け圧力等がある程度高くなければならないことを示唆している。
以上述べた条件を満足することによって高品質の印刷物を得る接触現像方式が完成するが、このような押し付け圧力は、EPカートリッジが高温環境下で印刷の後長時間放置されるような場合、感光体ドラムと現像ローラの間にあるトナー粒子にトナーに高温と同時に高い圧力を長時間与えるという難点を残すことになる。
【0075】
このような環境下での使用に耐え得るためにはトナー樹脂の分子量を大きくする、あるいはガラス転移温度を高くする等の方法が有効であるが、これらの手法をとることは定着器への負担を大きくすることにほかならない。即ち、定着器の設定温度を高くすることにつながり、結局はトナーへの熱的ダメージを大きくすることにつながる。
【0076】
また、実際にトナー側からこのような対策を講じたとしてもその効果は限定的であり、しかも定着器への負担は大きくなるものであり、いわゆるトレードオフの関係から抜け出すのが難しい。
これが接触現像方式を難しくしている大きな理由である。
【0077】
本具体例では、以下に示すカプセル構造のトナーを用いることで接触現像方式の有する問題点を解決し、利点である簡素な構造を充分に活かすことができた。
なお、この具体例で用いるカプセル構造トナーの製造方法は、具体例1と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0078】
【実施例】
以下、実施例、比較例及び試験例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等により何ら限定されるものではない。
《具体例1についての実施例と比較例》
〈実施例1〉
図1及び図2に示す構成の画像形成装置において、トナー層厚を20μmとなるように現像ブレードを設定した。
また、以下に述べる方法でカプセル構造のトナーを作製した。
【0079】
スチレン77.5重量部、アクリル酸−n−ブチル22.5重量部にオフセット防止剤として低分子量ポリエチレン1.5重量部、帯電制御剤「アイゼンスピロンブラックTRH」(保土ケ谷化学社製)1重量部、カーボンブラック(Printex Lデグサ社製)7重量部及び2,2′−アゾビスイソブチロニトリル1重量部を加え、アトライター(「MA−01SC」、三井三池化工機社製)に投入し15℃にて10時間分散し、重合性組成物を得た。
【0080】
また、ポリアクリル酸8重量部、ジビニルベンゼン0.35重量部を溶解したエタノール180重量部を用意しこれに蒸留水600重量部を加え重合のための分散媒を用意した。この分散媒に重合性組成物を添加し、TKホモミキサー(「M型」、特殊機化工業社製)にて15℃、8000回転の条件下10分間分散させた。次に、得られた分散溶液を1リットルのセパラブルフラスコ中に移し、窒素気流下100r.p.m.で攪拌しながら85℃にて12時間反応させた。ここまでの段階で該重合性組成物の重合反応によって得られた分散質を中間粒子と呼ぶことにする。
【0081】
次いで、該中間粒子の水系懸濁液中に、超音波発振機(US−150、(株)日本精機製作所)にてメタクリル酸メチル9.25重量部、アクリル酸−n−ブチル0.75部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.5重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1重量部、水80重量部からなる水乳濁液Aを調製した。この水乳濁液Aを9重量部を滴下し、該中間粒子を膨潤させた。滴下後、直ちに光学顕微鏡にて観察を行ったところ、乳濁液滴は全く見られず膨潤が極めて短時間のうちに完了していることが確かめられた。
【0082】
そこで、窒素下にて攪拌を続けながら2段目の重合として85℃で10時間反応せしめた。冷却後、0.5N塩酸水溶液にて分散媒を溶かし、濾過、水洗を経て風乾後、40℃にて10時間、10mmHgで減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径7μmのカプセルトナーを得た。
【0083】
なお、seed重合を行う前の段階で得られた樹脂粒子のガラス転移温度は55℃であった。即ち、本実施例で得られるカプセルトナーのコア由来のガラス転移温度は55℃であると考えることができる。
また、水乳濁液Aのみを単独で重合した時に得られる熱可塑性樹脂のガラス転移温度は85℃であった。即ち、シェル由来の樹脂のガラス転移温度は85℃であると考えることができる。
【0084】
このカプセルトナー50重量部に、疎水性シリカ微粉末「アエロジルR−972」(日本アエロジル社製)0.35重量部を加えて混合し、本具体例のカプセルトナーを得た。
このトナーを用いてEPカートリッジに実装し、50℃、一ヶ月放置試験(限界下での保存性確保を想定)を行い現像ブレードと現像ローラ接触部での現像ブレード表面、及び現像ローラ表面へのトナー固着の有無を調べた。
結果を図5に示す。
【0085】
現像ブレード及び現像ブレードと接触する現像ローラ表面にはトナーの固着等は全く観察されなかった。また、保存試験の後、このトナーを実装したEPカートリッジをLEDプリンタ沖MIKROLINE16nに入れて初期印刷を行ったところ現像ローラや感光体ドラムの円周長さに由来するピッチでの印字上の異常は観察されず、かぶりもなく十分な濃度と解像度を有する極めて品質の高い印刷物が得られた。
【0086】
この後、3万枚のランニング印刷をA4判 印刷DYUTY 15%で行った。
ランニング終了時の印刷品質は初期印字と全く変わらず極めて品質の高い印刷物であった。
また、ランニング終了時にEPカートリッジ内に残存するトナーの流動性を観察した結果を図6に示す。本例で行った試験では初期と全く流動性が変化しておらず高い粉体流動性を有していた。
【0087】
〈実施例2〉
実施例1における水乳濁液Aの組成比を変えて水乳濁液Bを調整した他は実施例1と同様の方法でカプセルトナーを作製した。
即ち、実施例1で得た該中間粒子の水系懸濁液中に、超音波発振機(US−150、(株)日本精機製作所)にてメタクリル酸メチル8.75重量部、アクリル酸−n−ブチル1.25部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.5重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1重量部、水80重量部からなる水乳濁液Bを調製した。
【0088】
この水乳濁液Bを9重量部を滴下し、該中間粒子を膨潤させた。滴下後、直ちに光学顕微鏡にて観察を行ったところ、乳濁液滴は全く見られず膨潤が極めて短時間のうちに完了していることが確かめられた。そこで、窒素下にて攪拌を続けながら2段目の重合として85℃で10時間反応せしめた。冷却後、0.5N塩酸水溶液にて分散媒を溶かし、濾過、水洗を経て風乾後、40℃にて10時間、10mmHgで減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径7μmのカプセルトナーを得た。
【0089】
なお、水乳濁液Bのみを単独で重合した時に得られる熱可塑性樹脂のガラス転移温度は75℃であった。即ち、シェル由来の樹脂のガラス転移温度は75℃であると考えることができる。
このカプセルトナー50重量部に、疎水性シリカ微粉末「アエロジルR−972」(日本アエロジル社製)0.35重量部を加えて混合し、本具体例のカプセルトナーを得た。
【0090】
このトナーを用いて実施例1と同一条件のEPカートリッジに実装し、50℃、一ヶ月放置試験(限界下での保存性確保を想定)を行い現像ブレードと現像ローラ接触部での現像ブレード表面、及び現像ローラ表面へのトナー固着の有無を調べた。
結果を図5に示す。
【0091】
現像ブレード及び現像ブレードと接触する現像ローラ表面にはトナーの固着等は全く観察されなかった。また、保存試験の後、このトナーを実装したEPカートリッジをLEDプリンタ沖MIKROLINE16nに入れて初期印刷を行ったところ現像ローラや感光体ドラムの円周長さに由来するピッチでの印字上の異常は観察されず、かぶりもなく十分な濃度と解像度を有する極めて品質の高い印刷物が得られた。
【0092】
この後、3万枚のランニング印刷をA4判 印刷DYUTY 15%で行った。
ランニング終了時の印刷品質は初期印字と全く変わらず極めて品質の高い印刷物であった。
また、ランニング終了時にEPカートリッジ内に残存するトナーの流動性を観察した結果を図6に示す。本例で行った試験では初期と全く流動性が変化しておらず高い粉体流動性を有していた。
【0093】
〈実施例3〉
以下に述べる方法でカプセル構造のトナーを作製した。
スチレン70重量部、アクリル酸−n−ブチル30重量部にオフセット防止剤として低分子量ポリエチレン1.5重量部、帯電制御剤「アイゼンスピロンブラックTRH」(保土ケ谷化学社製)1重量部、カーボンブラック(Printex Lデグサ社製)7重量部及び2,2′−アゾビスイソブチロニトリル1重量部を加え、アトライター(「MA−01SC」、三井三池化工機社製)に投入し15℃にて10時間分散し、重合性組成物を得た。
【0094】
また、ポリアクリル酸8重量部、ジビニルベンゼン0.35重量部を溶解したエタノール180重量部を用意しこれに蒸留水600重量部を加え重合のための分散媒を用意した。この分散媒に重合性組成物を添加し、TKホモミキサー(「M型」、特殊機化工業社製)にて15℃、8000回転の条件下10分間分散させた。
【0095】
次に、得られた分散溶液を1リットルのセパラブルフラスコ中に移し、窒素気流下100r.p.m.で攪拌しながら85℃にて12時間反応させた。ここまでの段階で該重合性組成物の重合反応によって得られた分散質を中間粒子と呼ぶことにする。
【0096】
次いで、実施例2で得た水乳濁液Bを9重量部を滴下し、該中間粒子を膨潤させた。滴下後、直ちに光学顕微鏡にて観察を行ったところ、乳濁液滴は全く見られず膨潤が極めて短時間のうちに完了していることが確かめられた。そこで、窒素下にて攪拌を続けながら2段目の重合として85℃で10時間反応せしめた。
【0097】
冷却後、0.5N塩酸水溶液にて分散媒を溶かし、濾過、水洗を経て風乾後、40℃にて10時間、10mmHgで減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径7μmのカプセルトナーを得た。
【0098】
なお、seed重合を行う前の段階で得られた樹脂粒子のガラス転移温度は40℃であった。即ち、本実施例で得られるカプセルトナーのコア由来のガラス転移温度は40℃であると考えることができる。
このカプセルトナー50重量部に、疎水性シリカ微粉末「アエロジルR−972」(日本アエロジル社製)0.35重量部を加えて混合し、本具体例のカプセルトナーを得た。
【0099】
このトナーを用いて実施例1と同一条件のEPカートリッジに実装し、50℃、一ヶ月放置試験(限界下での保存性確保を想定)を行い現像ブレードと現像ローラ接触部での現像ブレード表面、及び現像ローラ表面へのトナー固着の有無を調べた。
結果を図5に示す。
【0100】
現像ブレード及び現像ブレードと接触する現像ローラ表面にはトナーの固着等は全く観察されなかった。また、保存試験の後、このトナーを実装したEPカートリッジをLEDプリンタ沖MIKROLINE16nに入れて初期印刷を行ったところ現像ローラや感光体ドラムの円周長さに由来するピッチでの印字上の異常は観察されず、かぶりもなく十分な濃度と解像度を有する極めて品質の高い印刷物が得られた。
【0101】
この後、3万枚のランニング印刷をA4判 印刷DYUTY 15%で行った。
ランニング終了時の印刷品質は初期印字と全く変わらず極めて品質の高い印刷物であった。
また、ランニング終了時にEPカートリッジ内に残存するトナーの流動性を観察した結果を図6に示す。本例で行った試験では初期と全く流動性が変化しておらず高い粉体流動性を有していた。
【0102】
〈比較例〉
実施例1で得た該中間粒子の水系懸濁液中に、超音波発振機(US−150、(株)日本精機製作所)にてメタクリル酸メチル8.5重量部、アクリル酸−n−ブチル1.5部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.5重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1重量部、水80重量部からなる水乳濁液Cを調製し、実施例1と同様の方法でカプセルトナーを得た。
【0103】
なお、水乳濁液Cのみを単独で重合した時に得られる熱可塑性樹脂のガラス転移温度は70℃であった。即ち、シェル由来の樹脂のガラス転移温度は70℃であると考えることができる。
このトナーを用いて実施例1と同一条件のEPカートリッジに実装し、50℃、一ヶ月放置試験を行い現像ブレードと現像ローラ接触部での現像ブレード表面、及び現像ローラ表面へのトナー固着の有無を調べた。
結果を図5に示す。
【0104】
現像ブレード及び現像ブレードと接触する現像ローラ表面にはトナーの固着が観察され、印刷面上には現像ローラの周期で横方向に白い筋が観察された。また、印刷面上縦方向にも白筋が数本観察された。
これは現像ブレード上に固着したトナーによってトナー層が形成されない部分が生じていることによるものであることがわかった。
【0105】
また、本例のトナーを層厚が60μmとなるように設定した条件での50℃、一ヶ月放置試験(限界下での保存性確保を想定)を行い現像ブレードと現像ローラ接触部での現像ブレード表面、及び現像ローラ表面へのトナー固着の有無も調べた。
この条件下では実施例1と同様に現像ブレード及び現像ブレードと接触する現像ローラ表面にはトナーの固着等は全く観察されなかった。
【0106】
しかしながら、この条件では印刷物のバックグラウンドかぶりがひどくハーフトーンも不鮮明であり、印刷品質は良いといえる状態ではなかった。この時の感光体ドラム上のかぶりは20%であった。
【0107】
《具体例2についての実施例と比較例》
〈実施例1〉
図1及び図2に示す構成の画像形成装置において、現像ローラの感光体ドラムへの押し付け圧力を10g/mmに設定した。
また、以下に述べる方法でカプセル構造のトナーを作製した。
【0108】
スチレン77.5重量部、アクリル酸−n−ブチル22.5重量部にオフセット防止剤として低分子量ポリエチレン1.5重量部、帯電制御剤「アイゼンスピロンブラックTRH」(保土ケ谷化学社製)1重量部、カーボンブラック(Printex Lデグサ社製)7重量部及び2,2′−アゾビスイソブチロニトリル1重量部を加え、アトライター(「MA−01SC」、三井三池化工機社製)に投入し15℃にて10時間分散し、重合性組成物を得た。
【0109】
また、ポリアクリル酸8重量部、ジビニルベンゼン0.35重量部を溶解したエタノール180重量部を用意しこれに蒸留水600重量部を加え重合のための分散媒を用意した。この分散媒に重合性組成物を添加し、TKホモミキサー(「M型」、特殊機化工業社製)にて15℃、8000回転の条件下10分間分散させた。次に、得られた分散溶液を1リットルのセパラブルフラスコ中に移し、窒素気流下100r.p.m.で攪拌しながら85℃にて12時間反応させた。ここまでの段階で該重合性組成物の重合反応によって得られた分散質を中間粒子と呼ぶことにする。
【0110】
次いで、該中間粒子の水系懸濁液中に、超音波発振機(US−150、(株)日本精機製作所)にてメタクリル酸メチル9.25重量部、アクリル酸−n−ブチル0.75部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.5重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1重量部、水80重量部からなる水乳濁液Aを調製した。この水乳濁液Aを9重量部を滴下し、該中間粒子を膨潤させた。滴下後、直ちに光学顕微鏡にて観察を行ったところ、乳濁液滴は全く見られず膨潤が極めて短時間のうちに完了していることが確かめられた。
【0111】
そこで、窒素下にて攪拌を続けながら2段目の重合として85℃で10時間反応せしめた。冷却後、0.5N塩酸水溶液にて分散媒を溶かし、濾過、水洗を経て風乾後、40℃にて10時間、10mmHgで減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径7μmのカプセルトナーを得た。
【0112】
なお、seed重合を行う前の段階で得られた樹脂粒子のガラス転移温度は55℃であった。即ち、本実施例で得られるカプセルトナーのコア由来のガラス転移温度は55℃であると考えることができる。
また、水乳濁液Aのみを単独で重合した時に得られる熱可塑性樹脂のガラス転移温度は85℃であった。即ち、シェル由来の樹脂のガラス転移温度は85℃であると考えることができる。
【0113】
このカプセルトナー50重量部に、疎水性シリカ微粉末「アエロジルR−972」(日本アエロジル社製)0.35重量部を加えて混合し、本具体例のカプセルトナーを得た。
このトナーを用いてEPカートリッジに実装し、50℃、一ヶ月放置試験(限界下での保存性確保を想定)を行い感光体ドラムと現像ローラ接触部での感光体ドラム表面、及び現像ローラ表面へのトナー固着の有無を調べた。
結果を図9に示す。
【0114】
感光体ドラム及び感光体ドラムと接触する現像ローラ表面にはトナーの固着等は全く観察されなかった。また、保存試験の後、このトナーを実装したEPカートリッジをLEDプリンタ沖MIKROLINE16nに入れて初期印刷を行ったところ現像ローラや感光体ドラムの円周長さに由来するピッチでの印字上の異常は観察されず、かぶりもなく十分な濃度と解像度を有する極めて品質の高い印刷物が得られた。
【0115】
この後、3万枚のランニング印刷をA4判 印刷DYUTY 15%で行った。
ランニング終了時の印刷品質は初期印字と全く変わらず極めて品質の高い印刷物であった。
また、ランニング終了時にEPカートリッジ内に残存するトナーの流動性を観察した結果を図10に示す。本例で行った試験では初期と全く流動性が変化しておらず高い粉体流動性を有していた。
【0116】
〈実施例2〉
実施例1における水乳濁液Aの組成比を変えて水乳濁液Bを調整した他は実施例1と同様の方法でカプセルトナーを作製した。
即ち、実施例1で得た該中間粒子の水系懸濁液中に、超音波発振機(US−150、(株)日本精機製作所)にてメタクリル酸メチル8.75重量部、アクリル酸−n−ブチル1.25部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.5重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1重量部、水80重量部からなる水乳濁液Bを調製した。この水乳濁液Bを9重量部を滴下し、該中間粒子を膨潤させた。滴下後、直ちに光学顕微鏡にて観察を行ったところ、乳濁液滴は全く見られず膨潤が極めて短時間のうちに完了していることが確かめられた。
【0117】
そこで、窒素下にて攪拌を続けながら2段目の重合として85℃で10時間反応せしめた。冷却後、0.5N塩酸水溶液にて分散媒を溶かし、濾過、水洗を経て風乾後、40℃にて10時間、10mmHgで減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径7μmのカプセルトナーを得た。
【0118】
なお、水乳濁液Bのみを単独で重合した時に得られる熱可塑性樹脂のガラス転移温度は75℃であった。即ち、シェル由来の樹脂のガラス転移温度は75℃であると考えることができる。
このカプセルトナー50重量部に、疎水性シリカ微粉末「アエロジルR−972」(日本アエロジル社製)0.35重量部を加えて混合し、本具体例のカプセルトナーを得た。
【0119】
このトナーを用いて実施例1と同一条件のEPカートリッジに実装し、50℃、一ヶ月放置試験(限界下での保存性確保を想定)を行い感光体ドラムと現像ローラ接触部での感光体ドラム表面、及び現像ローラ表面へのトナー固着の有無を調べた。
結果を図9に示す。
【0120】
感光体ドラム及び感光体ドラム接触する現像ローラ表面にはトナーの固着等は全く観察されなかった。また、保存試験の後、このトナーを実装したEPカートリッジをLEDプリンタ沖MIKROLINE16nに入れて初期印刷を行ったところ現像ローラや感光体ドラムの円周長さに由来するピッチでの印字上の異常は観察されず、かぶりもなく十分な濃度と解像度を有する極めて品質の高い印刷物が得られた。
【0121】
この後、3万枚のランニング印刷をA4判 印刷DYUTY 15%で行った。
ランニング終了時の印刷品質は初期印字と全く変わらず極めて品質の高い印刷物であった。
また、ランニング終了時にEPカートリッジ内に残存するトナーの流動性を観察した結果を図10に示す。本例で行った試験では初期と全く流動性が変化しておらず高い粉体流動性を有していた。
【0122】
〈実施例1〉
以下に述べる方法でカプセル構造のトナーを作製した。
スチレン70重量部、アクリル酸−n−ブチル30重量部にオフセット防止剤として低分子量ポリエチレン1.5重量部、帯電制御剤「アイゼンスピロンブラックTRH」(保土ケ谷化学社製)1重量部、カーボンブラック(Printex Lデグサ社製)7重量部及び2,2′−アゾビスイソブチロニトリル1重量部を加え、アトライター(「MA−01SC」、三井三池化工機社製)に投入し15℃にて10時間分散し、重合性組成物を得た。
【0123】
また、ポリアクリル酸8重量部、ジビニルベンゼン0.35重量部を溶解したエタノール180重量部を用意しこれに蒸留水600重量部を加え重合のための分散媒を用意した。この分散媒に重合性組成物を添加し、TKホモミキサー(「M型」、特殊機化工業社製)にて15℃、8000回転の条件下10分間分散させた。次に、得られた分散溶液を1リットルのセパラブルフラスコ中に移し、窒素気流下100r.p.m.で攪拌しながら85℃にて12時間反応させた。ここまでの段階で該重合性組成物の重合反応によって得られた分散質を中間粒子と呼ぶことにする。
【0124】
次いで、実施例2で得た水乳濁液Bを9重量部を滴下し、該中間粒子を膨潤させた。滴下後、直ちに光学顕微鏡にて観察を行ったところ、乳濁液滴は全く見られず膨潤が極めて短時間のうちに完了していることが確かめられた。そこで、窒素下にて攪拌を続けながら2段目の重合として85℃で10時間反応せしめた。冷却後、0.5N塩酸水溶液にて分散媒を溶かし、濾過、水洗を経て風乾後、40℃にて10時間、10mmHgで減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径7μmのカプセルトナーを得た。
【0125】
なお、seed重合を行う前の段階で得られた樹脂粒子のガラス転移温度は40℃であった。即ち、本実施例で得られるカプセルトナーのコア由来のガラス転移温度は40℃であると考えることができる。
このカプセルトナー50重量部に、疎水性シリカ微粉末「アエロジルR−972」(日本アエロジル社製)0.35重量部を加えて混合し、本具体例のカプセルトナーを得た。
【0126】
このトナーを用いて実施例1と同一条件のEPカートリッジに実装し、50℃、一ヶ月放置試験(限界下での保存性確保を想定)を行い感光体ドラムと現像ローラ接触部での感光体ドラム表面、及び現像ローラ表面へのトナー固着の有無を調べた。
結果を図9に示す。
【0127】
感光体ドラム及び感光体ドラムと接触する現像ローラ表面にはトナーの固着等は全く観察されなかった。また、保存試験の後、このトナーを実装したEPカートリッジをLEDプリンタ沖MIKROLINE16nに入れて初期印刷を行ったところ現像ローラや感光体ドラムの円周長さに由来するピッチでの印字上の異常は観察されず、かぶりもなく十分な濃度と解像度を有する極めて品質の高い印刷物が得られた。
【0128】
この後、3万枚のランニング印刷をA4判 印刷DYUTY 15%で行った。
ランニング終了時の印刷品質は初期印字と全く変わらず極めて品質の高い印刷物であった。
また、ランニング終了時にEPカートリッジ内に残存するトナーの流動性を観察した結果を図10に示す。本例で行った試験では初期と全く流動性が変化しておらず高い粉体流動性を有していた。
【0129】
〈比較例〉
実施例1で得た該中間粒子の水系懸濁液中に、超音波発振機(US−150、(株)日本精機製作所)にてメタクリル酸メチル8.5重量部、アクリル酸−n−ブチル1.5部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.5重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1重量部、水80重量部からなる水乳濁液Cを調製し、実施例1と同様の方法でカプセルトナーを得た。
【0130】
なお、水乳濁液Cのみを単独で重合した時に得られる熱可塑性樹脂のガラス転移温度は70℃であった。即ち、シェル由来の樹脂のガラス転移温度は70℃であると考えることができる。
【0131】
このトナーを用いて実施例1と同一条件のEPカートリッジに実装し、50℃、一ヶ月放置試験を行い感光体ドラムと現像ローラ接触部での感光体ドラム表面、及び現像ローラ表面へのトナー固着の有無を調べた。
結果を図9に示す。
【0132】
感光体ドラム及び感光体ドラムと接触する現像ローラ表面にはトナーの固着が観察され、印刷面上には現像ローラの周期、及び感光体ドラムの周期で横方向に白い筋が観察された。
また、本例のトナーを感光体ドラムへの押し付け圧力0.5〜1g/mmの条件で同様の放置試験を行ったところ、感光体ドラム及び感光体ドラムと接触する現像ローラ表面へのトナーの固着は観察されなかった。
【0133】
また、印字上にも現像ローラ周期、及び感光体ドラム周期の横方向の筋は観察されなかった。
しかしながら繰返し述べるように、この条件下では感光体ドラムかぶりが20〜25%もあり印刷品質は実施例1〜3に比較して劣るものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に適する画像形成装置の概略構成図である。
【図2】別の画像形成装置の概略構成図である。
【図3】トナー層厚とバックグラウンドかぶり、帯電量の関係を示す説明図である。
【図4】現像ブレードの現像ローラへの加圧力とトナー層厚との関係を示す説明図である。
【図5】現像ローラ表面へのトナー固着の有無を調べた結果を示す説明図である。
【図6】EPカートリッジ内に残存するトナーの流動性を観察した結果を示す説明図である。
【図7】現像ローラの感光体ドラムへの押し付け圧力とバックグラウンドかぶりの関係を示す説明図である。
【図8】押し付け圧力と現像ローラ上トナー層の帯電量の関係を示す説明図である。
【図9】現像ローラ表面へのトナー固着の有無を調べた結果を示す説明図である。
【図10】EPカートリッジ内に残存するトナーの流動性を観察した結果を示す説明図である。
【符号の説明】
1 接触式帯電部材
2 導電性シャフト
3 専用スプリング
4 専用DC電源
5 感光体ドラム
6 露光源
7 現像剤層形成部材
8 現像剤担持体

Claims (5)

  1. 像担持体を所定の電位に帯電する工程と、
    帯電された前記像担持体を露光して静電潜像を形成する工程と、
    外周部の樹脂層のガラス転移温度が75℃以上で、前記外周部に包囲される内部の樹脂層のガラス転移温度が前記外周部のガラス転移温度よりも低い現像剤を用いて、現像剤担持体に対して現像剤層形成部材を0.3g/cm以上4g/cm以下の圧接力で接触させて前記現像剤担持体上に前記現像剤の層を形成する工程と、
    前記像担持体に前記現像剤担持体を接触させて前記静電潜像を前記現像剤で現像して現像剤像を形成する工程と、
    前記現像剤像を媒体に転写する工程と、
    転写された前記現像剤像を前記媒体に定着する工程と、
    を含むことを特徴とする画像形成方法。
  2. 像担持体を所定の電位に帯電する工程と、
    帯電された前記像担持体を露光して静電潜像を形成する工程と、
    外周部の樹脂層のガラス転移温度が85℃以上で、前記外周部に包囲される内部の樹脂層のガラス転移温度が前記外周部のガラス転移温度よりも低い現像剤を用いて、現像剤担持体に対して現像剤層形成部材を0.3g/cm以上4g/cm以下の圧接力で接触させて前記現像剤担持体上に前記現像剤の層を形成する工程と、
    前記像担持体に前記現像剤担持体を接触させて前記静電潜像を前記現像剤で現像して現像剤像を形成する工程と、
    前記現像剤像を媒体に転写する工程と、
    転写された前記現像剤像を前記媒体に定着する工程と、
    を含むことを特徴とする画像形成方法。
  3. 像担持体を所定の電位に帯電する工程と、
    帯電された前記像担持体を露光して静電潜像を形成する工程と、
    外周部の樹脂層のガラス転移温度が75℃以上で、前記外周部に包囲される内部の樹脂層のガラス転移温度が前記外周部のガラス転移温度よりも低い現像剤を用いて、現像剤担持体上に前記現像剤の層を形成する工程と、
    前記像担持体に対して前記現像剤担持体を2g/mm以上30g/mm以下の圧接力で接触させて前記現像剤を絶対値で10μC/g以上に帯電させると共に、前記静電潜像を前記現像剤で現像して現像剤像を形成する工程と、
    前記現像剤像を媒体に転写する工程と、
    転写された前記現像剤像を前記媒体に定着する工程と、
    を含むことを特徴とする画像形成方法。
  4. 像担持体を所定の電位に帯電する工程と、
    帯電された前記像担持体を露光して静電潜像を形成する工程と、
    外周部の樹脂層のガラス転移温度が85℃以上で、前記外周部に包囲される内部の樹脂層のガラス転移温度が前記外周部のガラス転移温度よりも低い現像剤を用いて、現像剤担持体上に前記現像剤の層を形成する工程と、
    前記像担持体に対して前記現像剤担持体を2g/mm以上30g/mm以下の圧接力で接触させて前記現像剤を絶対値で10μC/g以上に帯電させると共に、前記静電潜像を前記現像剤で現像して現像剤像を形成する工程と、
    前記現像剤像を媒体に転写する工程と、
    転写された前記現像剤像を前記媒体に定着する工程と、
    を含むことを特徴とする画像形成方法。
  5. 前記現像剤は、コアと、前記コアを包囲するシェルとからなるカプセル構造を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の画像形成方法
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