JPH10228130A - 熱圧力定着用カプセルトナーおよびその製造方法 - Google Patents

熱圧力定着用カプセルトナーおよびその製造方法

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JPH10228130A
JPH10228130A JP4704497A JP4704497A JPH10228130A JP H10228130 A JPH10228130 A JP H10228130A JP 4704497 A JP4704497 A JP 4704497A JP 4704497 A JP4704497 A JP 4704497A JP H10228130 A JPH10228130 A JP H10228130A
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JP
Japan
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toner
heat
weight
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acid
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JP4704497A
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English (en)
Inventor
Kenichi Suenaga
憲一 末永
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】製造設備と製造工程の面で工業的に有利である
in situ重合法で製造されるカプセルトナーであ
って、低温定着性に優れ、かつ広い温度範囲で耐オフセ
ット性に優れた熱圧力定着用カプセルトナーおよびその
製造方法を提供すること。 【解決手段】少なくとも熱可塑性樹脂と着色剤を含有す
る熱溶融性芯材と、その芯材の表面を被覆するように設
けた親水性樹脂よりなる外殻により構成される熱圧力定
着用カプセルトナーにおいて、周波数100rad/s
ecにおけるトナーの貯蔵弾性率が、120℃において
1×105 〜5×106 dyn/cm2 であり、かつ2
00℃において5×103 〜1×105 dyn/cm2
であることを特徴とする熱圧力定着用カプセルトナー、
およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電
印刷法、静電記録法などにおいて形成される静電潜像の
現像に用いられる熱圧力定着用カプセルトナー及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子写真法は、米国特許第22
97691 号、同第2357809 号明細書等に記載されている如
く、光導電性絶縁層を一様に帯電させ、次いでその層を
露光させ、その露光された部分上の電荷を消散させる事
により電気的な潜像を形成し、更に該潜像にトナーと呼
ばれる着色された電荷をもった微粉末を付着させること
によって可視化させ(現像工程)、得られた可視像を転
写紙等の転写材に転写させた後(転写工程)、加熱、圧
力あるいはその他適当な定着法により永久定着させる
(定着工程)工程からなる。このようにトナーは単に現
像工程のみならず、転写工程、定着工程の各工程におい
て要求される機能を備えていなければならない。
【0003】上記の定着工程には、加熱ローラー表面と
被定着シートのトナー像面が圧接触するため熱効率が著
しく良いという理由より、熱ローラー等による熱圧力定
着方式が低速から高速に至るまで広く使用されている。
しかし、この方式では加熱ローラー面とトナー像面が接
触する際、トナーが加熱ローラー表面に付着して後続の
転写紙等に転写される、いわゆるオフセット現象が生じ
易い。
【0004】この現象を防止するため加熱ローラー表面
をフッ素系樹脂等の離型性の優れた材料で加工したり、
加熱ローラー表面にシリコンオイル等の離型剤を塗布し
て対処している。しかしながら、シリコンオイル等を塗
布する方式は、定着装置が大きくなりコスト高となるば
かりでなく複雑になるためトラブルの原因にもなり易く
好ましいものではない。
【0005】一方、最低定着温度は低温オフセットと高
温オフセットの間にあるため、使用可能温度領域は、最
低定着温度と高温オフセットとの間となり、最低定着温
度をできるだけ下げる事、高温オフセット発生温度をで
きるだけ上げる事により使用定着温度を下げる事ができ
ると共に使用可能温度領域を広げる事ができ、省エネル
ギー化、高速定着化が可能となり、更に紙のカール等を
防ぐ事ができる。従って、熱圧力定着用のトナーとして
は、低温定着性と耐高温オフセット性がいずれも良好な
トナーが望まれている。
【0006】従来より、トナーとして、芯材とこの芯材
の表面を被覆するよう設けられた外殻とにより構成され
たカプセルトナーを用いることにより、低温定着性と耐
オフセット性を図る技術が提案されている。
【0007】低温定着性を図るための技術としては、芯
材として塑性変形し易い低融点ワックス等を用いるもの
や(米国特許第3,269,626 号明細書、特公昭46−15876
号公報、特公昭44−9880号公報、特開昭48−75032 号公
報、特開昭48−75033 号公報)、芯材として液状のもの
を使用するものや、更に芯材として単独使用では高温時
にブロッキングを起こしてしまうが、定着強度の向上を
もたらすガラス転移点の低い樹脂を用い、外殻として耐
ブロッキング性等を付与する目的で界面重合にて高融点
の樹脂壁を形成させた熱ローラー定着用カプセルトナー
が考案されている(特開昭61−56352 号公報、特開昭58
−205162号公報等)。
【0008】また、殻材にポリエステルを用いたものと
しては、殻材がサーモトロピック液晶ポリエステルであ
るカプセルトナーや(特開昭63−281168号公報)、結晶
性ポリエステルを用いるトナー(特開平4-184358号公
報)、更には殻材が非晶質ポリエステルであるカプセル
トナー(特開平6-130713号公報)等が考案されている。
【0009】一方、カプセルトナーの耐オフセット性を
向上させるための技術としては、シリコーンオイルを含
有させたカプセルトナー(特開昭62−150261号
公報)、芯材樹脂として架橋剤を適量使用した樹脂を用
いるカプセルトナー、離型性物質を芯材としたカプセル
トナー(特公昭58−57102号公報)、油性溶剤と
ポリマーを含む芯材中にシリコーンオイルを含有させた
カプセルトナー等が存在する。
【0010】しかしながら、充分な効果を出すために多
量にこのような添加剤を加えると、感光体へのフィルミ
ングやキャリアやスリーブなどのトナー担持体の表面を
汚染し、画像が劣化し実用上問題となる。そこで画像を
劣化させない程度に少量の離型剤をトナー中に添加し、
若干の離型性オイルの供給もしくはオフセットしたトナ
ーを巻き取り式の例えばウエブの如き部材を用いた装置
でクリーニングする装置を併用することが行われてい
る。
【0011】しかし最近の小型化、軽量化、高信頼性の
要求を考慮するとこれらの補助的な装置すら除去するこ
とが必要であり好ましい。従ってトナーの定着、オフセ
ット等のさらなる性能向上がなければ、低温定着性や、
耐オフセット性、特に低温から高温までの広い温度範囲
における耐オフセット性を実現する事は困難である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の如き事
情に基づいてなされたものであり、製造設備と製造工程
の面で工業的に有利であるin situ重合法で製造
されるカプセルトナーであって、低温定着性に優れ、か
つ広い温度範囲で耐オフセット性に優れた熱圧力定着用
カプセルトナーおよびその製造方法を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、芯材の組
成、ガラス転移温度、重合条件等について鋭意研究を重
ねた結果、特定の粘弾性物性を有するカプセルトナーが
上記目的に適合することを知見し、本発明を完成するに
至った。
【0014】即ち、本発明の要旨は、(1) 少なくと
も熱可塑性樹脂と着色剤を含有する熱溶融性芯材と、そ
の芯材の表面を被覆するように設けた親水性樹脂よりな
る外殻により構成される熱圧力定着用カプセルトナーに
おいて、周波数100rad/secにおけるトナーの
貯蔵弾性率が、120℃において1×105 〜5×10
6 dyn/cm2 であり、かつ200℃において5×1
3 〜1×105 dyn/cm2 であることを特徴とす
る熱圧力定着用カプセルトナー、(2) 外殻の主成分
が非晶質ポリエステルであり、前記非晶質ポリエステル
の軟化点が90〜130℃、ガラス転移点が50〜80
℃および酸価が1〜30(KOHmg/g)である前記
(1)記載の熱圧力定着用カプセルトナー、(3) 熱
溶融性芯材が離型剤として、シリコーンオイルおよび/
またはフィッシャートロプシュワックスを含有すること
を特徴とする前記(1)又は(2)記載の熱圧力定着用
カプセルトナー、(4) 熱溶融性芯材の主成分となる
熱可塑性樹脂に由来するガラス転移点が20〜60℃で
ある前記(1)〜(3)いずれか記載の熱圧力定着用カ
プセルトナー、(5) 次の(a)〜(c)の工程を有
するin situ重合法により、少なくとも熱可塑性
樹脂と着色剤を含有する熱溶融性芯材と、その芯材の表
面を被覆するように設けた親水性樹脂よりなる外殻によ
り構成される熱圧力定着用カプセルトナーであって、周
波数100rad/secにおけるトナーの貯蔵弾性率
が、120℃において1×105 〜5×106 dyn/
cm2 であり、かつ200℃において5×103 〜1×
105 dyn/cm2 であるカプセルトナーを製造する
ことを特徴とする熱圧力定着用カプセルトナーの製造方
法、(a)芯材樹脂の構成モノマー、重合開始剤、着色
剤、および離型剤を含有してなる混合物中に、非晶質ポ
リエステルを溶解する工程と、(b)工程(a)で得ら
れた混合物を水系分散媒中に分散させ、非晶質ポリエス
テルが芯材構成材料の液滴の表面に偏在した重合性組成
物を得る工程と、(c)工程(b)で得られた重合性組
成物を重合させ、非晶質ポリエステルよりなる外殻とそ
れに被覆された芯材を形成する工程、(6) さらに、
次の(d)の工程よりなるseed重合を行って、カプ
セルトナーを製造する前記(5)記載の製造方法、
(d)in situ重合法により得られたカプセルト
ナーを前駆体粒子とし、該前駆体粒子の懸濁液に少なく
ともビニル重合性単量体とビニル重合開始剤を添加して
前駆体粒子中に吸収させた後、該前駆体粒子中の単量体
成分を重合させる工程、(7) 非晶質ポリエステルの
軟化点が90〜130℃、ガラス転移点が50〜80℃
および酸価が1〜30(KOHmg/g)である前記
(5)または(6)記載の製造方法、ならびに(8)
離型剤がシリコーンオイルおよび/またはフィッシャー
トロプシュワックスである前記(5)〜(7)いずれか
記載の製造方法に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の熱圧力定着用カプセルト
ナーは、少なくとも熱可塑性樹脂と着色剤を含有する熱
溶融性芯材と、その芯材の表面を被覆するように設けた
親水性樹脂よりなる外殻により構成される熱圧力定着用
カプセルトナーにおいて、周波数100rad/sec
におけるトナーの貯蔵弾性率が、120℃において1×
105〜5×106 dyn/cm2 であり、かつ200
℃において5×103 〜1×105 dyn/cm2 であ
ることを特徴とするものである。
【0016】本発明の熱圧力定着用カプセルトナーの貯
蔵弾性率(G’)は、トナーのレオロジー特性を表すも
のであり、前記したように、周波数100rad/se
cにおけるトナーの貯蔵弾性率は、120℃において1
×105 〜5×106 dyn/cm2 であり、かつ20
0℃において5×103 〜1×105 dyn/cm2
ある。120℃においてトナーのG’が、5×106
り大きい場合には、トナーが溶融しにくく、十分な低温
定着性を得られず、1×105 より小さい場合には、耐
オフセット性、耐ブロッキング性、耐ストレス性を損な
う場合がある。また、200℃においてトナーのG’が
5×103 よりも小さい場合には、高温オフセットが発
生しやすく、1×105 よりも大きい場合には、トナー
の弾性が大きすぎるため、定着性を損なうだけでなく、
得られる定着画像表面が凹凸となり画像品質が悪化しや
すい。
【0017】本発明において、貯蔵弾性率(G’)は、
例えば、芯材の組成、具体的には架橋剤量、重合開始剤
量、ガラス転移点等を変更することにより、または重合
条件、具体的には重合温度等を変更することにより調整
することができる。
【0018】なお、本発明におけるカプセルトナーの貯
蔵弾性率(G’)は、以下の測定条件により、レオメト
リックス社製のRDA−II ダイナミックアナライザー
を用いて測定される。 〔測定条件〕 ジオメトリー:パラレルプレート(半径12.5mm) 周波数:100rad/sec 測定温度:120℃および200℃ 歪み:2〜5%
【0019】本発明の熱圧力定着用カプセルトナーは、
親水性樹脂よりなる外殻を芯材の表面に被覆してなるも
のであるが、かかる親水性樹脂としては、例えば、非晶
質ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポ
リウレア等が挙げられ、これらの中ではその極性基の存
在による外殻の形成し易さと定着性に優れる点から非晶
質ポリエステルが外殻の主成分となるもの、即ち非晶質
ポリエステルが、外殻の全重量中50〜100重量%含
有されるものが好ましく、特に外殻が非晶質ポリエステ
ルのみからなることが好ましい。
【0020】前記非晶質ポリエステルは、通常、1種以
上のアルコール成分(2価,3価以上)および1種以上
のカルボン酸成分(2価,3価以上)の縮重合によって
得ることができ、少なくとも3価以上の多価アルコール
成分および/または3価以上の多価カルボン酸成分を含
有する単量体を用いた縮重合によって得られたものであ
ることが好ましい。この際、反応を促進させるため、通
常使用されているエステル化触媒、例えば、酸化亜鉛、
酸化第一錫、酸化ジブチル錫、ジブチル錫オキシド、ジ
ブチル錫ジラウレート等を使用することができる。
【0021】2価のアルコール成分としては、例えばポ
リオキシプロピレン(2.2) −2,2 −ビス (4−ヒドロキ
シフェニル) プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3) −
2,2−ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン、ポリ
オキシプロピレン(2.0) −2,2 −ビス (4−ヒドロキシ
フェニル) プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0) −ポ
リオキシエチレン(2.0) −2,2 −ビス (4−ヒドロキシ
フェニル) プロパン、ポリオキシプロピレン(6) −2,2
−ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン等のビスフ
ェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,2 −プロピレングリコール、1,3−プロピレング
リコール、1,4 −ブタンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、1,4 −ブテンジオール、1,5 −ペンタンジオー
ル、1,6 −ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールA
のプロピレン付加物、ビスフェノールAのエチレン付加
物、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0022】3価以上のアルコール成分としては、例え
ばソルビトール、1,2,3,6 −ヘキサンテトロール、1,4
−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリス
リトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4 −ブタン
トリオール、1,2,5 −ペンタントリオール、グリセロー
ル、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,
4 −ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメ
チロールプロパン、1,3,5 −トリヒドロキシメチルベン
ゼン等が挙げられる。好ましくは、3価のアルコールが
用いられる。本発明においては、これらの2価のアルコ
ール成分及び3価以上の多価アルコール成分から単独で
あるいは複数の単量体を用いることができる。
【0023】また、2価のカルボン酸成分としては、例
えばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン
酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタ
ル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン
酸、マロン酸、ドデセニルコハク酸、ドデシルコハク
酸、オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソ
オクチルコハク酸、及びこれらの酸の無水物、もしくは
低級アルキルエステル等が挙げられる。
【0024】3価以上のカルボン酸成分としては、例え
ば1,2,4 −ベンゼントリカルボン酸(トリメリット
酸)、2,5,7 −ナフタレントリカルボン酸、1,2,4 −ナ
フタレントリカルボン酸、1,2,4 −ブタントリカルボン
酸、1,2,5 −ヘキサントリカルボン酸、1,3 −ジカルボ
キシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパ
ン、1,2,4 −シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ
(メチレンカルボキシル) メタン、1,2,7,8 −オクタン
テトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体
酸及びこれらの酸無水物、低級アルキルエステル等が挙
げられる。好ましくは、3価のカルボン酸もしくはその
誘導体が用いられる。本発明においては、これらの2価
のカルボン酸成分及び3価以上のカルボン酸成分から単
独であるいは複数の単量体を用いることができる。
【0025】本発明における非晶質ポリエステルの製造
方法は、特に限定されることなく、上記の単量体を用い
て通常公知のエステル化、エステル交換反応により製造
することができる。ここで、非晶質とは明確な融点を有
しない状態をいい、本発明においては、結晶質のポリエ
ステルを用いると融解に必要なエネルギー量が大きく、
トナー定着性が向上できず好ましくない。
【0026】前記非晶質ポリエステルの軟化点は、90
〜130℃であることが好ましく、95〜120℃であ
ることがより好ましい。90℃未満であると、高温オフ
セット性、保存安定性および耐ストレス性が悪化し、1
30℃を超えると、トナーの外殻が溶融軟化し難いた
め、低温オフセット性および低温定着性が悪化する。な
お、本発明において軟化点とは高化式フローテスター
(島津製作所製)を用い、1cm3 の試料を昇温速度6
℃/分で加熱しながら、プランジャーにより20kg/
cm2 の荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズル
を押し出すようにし、これによりフローテスターのプラ
ンジャー降下量(流れ値)−温度曲線を描きそのS字曲
線の高さをhとするときh/2に対応する温度をいう。
【0027】前記非晶質ポリエステルは、ガラス転移点
が50〜80℃であることが好ましく、55〜75℃で
あることがより好ましい。50℃未満であるとトナーの
保存安定性が悪くなり、80℃を越えるとトナーの定着
性が悪くなる。なお本発明においてガラス転移点とは示
差走査熱量計(セイコー電子工業社製)を用い、昇温速
度10℃/分で測定した際に、ガラス転移点以下のベース
ラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの
頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度を
いう。
【0028】前記非晶質ポリエステルの酸価は、1〜3
0(KOHmg/g)であることが好ましく、5〜15
(KOHmg/g)であることがより好ましい。1(K
OHmg/g)未満であると、殻材となる非晶質ポリエ
ステルがin situ重合中に界面に出にくくなり、
トナーの保存安定性が悪く、30(KOHmg/g)を
越えるとポリエステルが水相へ移行しやすく製造安定性
が悪くなる。ここで酸価の測定方法は、JIS K00
70に準ずるものである。
【0029】本発明に好適に用いられる外殻が非晶質ポ
リエステルよりなるカプセルトナーは、in situ
重合法により外殻と芯材を形成して製造される。このカ
プセルトナーは少なくとも熱可塑性樹脂、着色剤を含有
する熱溶融性芯材と、その芯材の表面を被覆するよう設
けた外殻とにより構成される。
【0030】本発明におけるカプセルトナーの熱溶融性
芯材の主成分として用いられる樹脂としては、例えば、
ポリエステルポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル
樹脂等の熱可塑性樹脂等が挙げられ、好ましくはビニル
系樹脂が挙げられる。このような熱溶融性芯材の主成分
となる熱可塑性樹脂に由来するガラス転移点は、20〜
60℃であることが好ましく、35〜55℃であること
がより好ましい。ガラス転移点が20℃未満ではカプセ
ルトナーの保存安定性が悪化し、60℃を越えるとカプ
セルトナーの定着強度が悪化し好ましくない。
【0031】前記の熱可塑性樹脂のうち、ビニル樹脂を
構成する単量体としては、例えば、スチレン、o−メチ
ルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4 −
ジメチルスチレン、p−クロルスチレン、ビニルナフタ
レン等のスチレン若しくはスチレン誘導体、例えばエチ
レン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等の如きエ
チレン系不飽和モノオレフィン類、例えば塩化ビニル、
臭化ビニル、弗化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビ
ニル、ギ酸ビニル、カプロン酸ビニル等の如きビニルエ
ステル類、例えばアクリル酸、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプ
ロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、ア
クリル酸t−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸シ
クロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸イソオ
クチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アク
リル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、ア
クリル酸メトキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエ
チル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−クロルエ
チル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチ
ル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸
エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロ
ピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、
メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸アミル、メタク
リル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタク
リル酸イソオクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル
酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタク
リル酸ステアリル、メタクリル酸メトキシエチル、メタ
クリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジ
ル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミ
ノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等の如き
エチレン性モノカルボン酸及びそのエステル、例えばア
クリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド
等の如きエチレン性モノカルボン酸置換体、例えばマレ
イン酸ジメチル等の如きエチレン性ジカルボン酸及びそ
の置換体、例えばビニルメチルケトン等の如きビニルケ
トン類、例えばビニルメチルエーテル等の如きビニルエ
ーテル類、例えばビニリデンクロリド等の如きビニリデ
ンハロゲン化物、例えばN−ビニルピロール、N−ビニ
ルピロリドン等の如きN−ビニル化合物類が挙げられ
る。
【0032】本発明に係る芯材用の樹脂を構成する成分
の内、樹脂の主骨格形成にスチレンもしくはスチレン誘
導体を50〜90重量%用い、樹脂の軟化温度等の熱特
性の調節にエチレン性モノカルボン酸もしくはそのエス
テルを10〜50重量%用いることが、芯材用樹脂のガ
ラス転移点を制御し易く好ましい。
【0033】本発明に係る芯材用の樹脂を構成する単量
体組成物中に架橋剤を添加する場合、例えば、ジビニル
ベンゼン、ジビニルナフタレン、ポリエチレングリコー
ルジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレ
ート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3 −
ブチレングリコールジメタクリレート、1,6 −ヘキシレ
ングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコー
ルジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタク
リレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレー
ト、2,2'−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニ
ル)プロパン、2,2'−ビス(4−アクリロキシジエトキ
シフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジブ
ロムネオペンチルグリコールジメタクリレート、フタル
酸ジアリルなど、一般の架橋剤を適宜(必要に応じて2
種以上組み合わせて)用いることができる。好ましく
は、ジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジアクリ
レートが用いられる。
【0034】これらの架橋剤の使用量は、重合単量体10
0 重量部に対して0.001 〜15重量部、好ましくは0.1 〜
10重量部で使用するのが良い。これらの架橋剤の使用量
が15重量部より多いとトナーが熱で溶融しにくくなり、
熱定着性又は熱圧力定着性が劣ることとなる。また使用
量が0.001 重量部より少ないと、熱圧力定着において、
トナーの一部が紙に完全に固着しないでローラー表面に
付着し、次の紙に転移するというオフセット現象を防ぎ
にくくなる。
【0035】また、上記単量体を、不飽和ポリエステル
の存在下に重合させてグラフトもしくは架橋重合体と
し、芯材用の樹脂としても良い。
【0036】また、芯材用の熱可塑性樹脂を製造する際
使用される重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビ
ス(2,4 −ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス
イソブチロニトリル、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン
−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス−4−メトキ
シ−2,4 −ジメチルバレロニトリル、その他のアゾ系又
はジアゾ系重合開始剤:ベンゾイルパーオキサイド、メ
チルエチルケトンパーオキサイド、イソプロピルパーオ
キシカーボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、
2,4 −ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイル
パーオキサイド、ジクミルパーオキサイドの如き過酸化
物系重合開始剤が挙げられる。
【0037】重合体の分子量及び分子量分布を調節する
目的で、又は反応時間を調節する目的等で、二種類又は
それ以上の重合開始剤を混合して使用することもでき
る。重合開始剤の使用量は、重合単量体100 重量部に対
して0.1 〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。
【0038】前記熱溶融性芯材は離型剤として、シリコ
ーンオイルおよび/またはフィッシャートロプシュワッ
クスを含有することが好ましい。
【0039】前記シリコーンオイルとしては、動粘度1
0〜500cs(25℃)のものであれば特に限定され
るものではなく、各種のシリコーンオイルを使用するこ
とができる。
【0040】具体的には、ジメチルシロキサン構造、メ
チル・フェニルシロキサン構造(ジメチルシロキサンと
ビフェニルシロキサンの共重合体構造)、モノメチルシ
ロキサン構造、メチル・カルボキシルシロキサン構造な
どを有するシリコーンオイル、又は変性シリコーンオイ
ルが挙げられ、効果の大きい市販品としては、信越化学
工業社製の「KF96−50」、「KF96−10
0」、「KF96−500」、「KF−54」、「KF
−99」、東芝シリコーン社製の「TSF451−5
0,100,300,350,500」、「TSF43
00」、日本ユニカー(株)社製の「L45−50,1
00,350,500」等が挙げられる。これらのシリ
コーンオイルは2種以上混合して用いてもよい。
【0041】シリコーンオイルの動粘度は、10〜50
0cs(25℃)であるが、より好ましくは50〜50
0cs(25℃)であり、特に好ましくは100〜40
0cs(25℃)である。この範囲より動粘度が大きい
と、in situ重合法によるトナーの製造時に、シ
リコーンオイルがトナー表面近傍に偏在しにくく、また
トナーの定着時にシリコーンオイルがトナー表面に出に
くいため、その効果が発揮できず耐オフセット性が不充
分となる傾向があり、この範囲より動粘度が小さいと、
トナー表面にブリードしやすく、保存性を害する傾向が
ある。
【0042】シリコーンオイルの含有量は、芯材樹脂1
00重量部に対して、通常0.1〜10.0重量部であ
り、好ましくは0.5〜5.0重量部である。含有量が
この範囲内であると耐オフセット性と保存性が良好にな
る傾向がある。
【0043】また、前記フィッシャートロプシュワック
スとしては、例えば、サゾール社製、SPRAYタイ
プ、Aタイプ、H1タイプ等を用いることができ、融点
が80〜110℃の範囲のものが適している。フィッシ
ャートロプシュワックスの含有量は芯材樹脂100重量
部に対して、0.1〜20.0重量部、特に0.5〜1
0.0重量部が好ましい。
【0044】更に、本発明のカプセルトナーは、例えば
ポリオレフィン、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、部分
ケン化脂肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコール、
パラフィンワックス、アミド系ワックス、多価アルコー
ルエステル、シリコンワニス、脂肪族フロロカーボン等
の離型剤を併用しても良い。
【0045】前記ポリオレフィンとしては、例えばポリ
プロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の樹脂であっ
て、軟化点が80〜160 ℃のものである。前記脂肪酸金属
塩としては、例えばマレイン酸と亜鉛、マグネシウム、
カルシウム等との金属塩;ステアリン酸と亜鉛、カドミ
ウム、バリウム、鉛、鉄、ニッケル、コバルト、銅、ア
ルミニウム、マグネシウム等との金属塩;二塩基性ステ
アリン酸鉛;オレイン酸と亜鉛、マグネシウム、鉄、コ
バルト、銅、鉛、カルシウム等との金属塩;パルミチン
酸とアルミニウム、カルシウム等との金属塩;カプリル
酸塩;カプロン酸鉛;リノール酸と亜鉛、コバルト等と
の金属塩;リシノール酸カルシウム;リシノレイン酸と
亜鉛、カドミウム等との金属塩及びこれらの混合物等が
挙げられる。前記脂肪酸エステルとしては、例えばマレ
イン酸エチルエステル、マレイン酸ブチルエステル、ス
テアリン酸メチルエステル、ステアリン酸ブチルエステ
ル、パルミチン酸セチルエステル、モンタン酸エチレン
グリコールエステル等が挙げられる。前記部分ケン化脂
肪酸エステルとしては、例えばモンタン酸エステルのカ
ルシウム部分ケン化物等が挙げられる。前記高級脂肪酸
としては、例えばドデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノー
ル酸、リシノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセ
リン酸、セラコレイン酸等及びこれらの混合物を挙げる
ことができる。前記高級アルコールとしては、例えばド
デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルア
ルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコー
ル、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール等を挙げ
ることができる。前記パラフィンワックスとしては、例
えば天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィ
ン、塩素化炭化水素等が挙げられる。前記アミド系ワッ
クスとしては、例えばステアリン酸アミド、オレイン酸
アミド、パルミチン酸アミド、ラウリル酸アミド、ベヘ
ニン酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレン
ビスステアロアミド、N,N'−m−キシリレンビスステア
リン酸アミド、N,N'−m−キシリレンビス−12−ヒドロ
キシステアリン酸アミド、N,N'−イソフタル酸ビスステ
アリルアミド、N,N'−イソフタル酸ビス−12−ヒドロキ
システアリルアミド等が挙げられる。前記多価アルコー
ルエステルとしては、例えばグリセリンステアレート、
グリセリンリシノレート、グリセリンモノベヘネート、
ソルビタンモノステアレート、プロピレングリコールモ
ノステアレート、ソルビタントリオレート等が挙げられ
る。前記シリコンワニスとしては、例えばメチルシリコ
ンワニス、フェニルシリコンワニス等が挙げられる。前
記脂肪族フロロカーボンとしては、例えば四フッ化エチ
レン、六フッ化プロピレンの低重合化合物あるいは特開
昭53−124428号公報記載の含フッ素界面活性剤等が挙げ
られる。これらの離型剤の芯材中の樹脂に対する割合は
1〜10重量%が好ましい。
【0046】本発明では、カプセルトナーの芯材中に着
色剤が含有されるが、従来のトナー用着色剤に用いられ
ている染料、顔料等のすべてを使用できる。
【0047】本発明に用いられる着色剤としては、例え
ば、サーマルブラック法、アセチレンブラック法、チャ
ンネルブラック法、ランプブラック法等により製造され
る各種のカーボンブラック、カーボンブラックの表面を
樹脂で被覆しているグラフト化カーボンブラック、ニグ
ロシン染料、フタロシアニンブルー、パーマネントブラ
ウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメ
ントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレ
ッド49、ソルベントレッド146 、ソルベントブルー35等
及びそれらの混合物等を挙げる事ができ、通常、芯材中
の樹脂 100重量部に対して1〜15重量部程度が使用され
る。
【0048】本発明において、更に芯材中に荷電制御剤
を添加することもでき、添加する負帯電性荷電制御剤と
しては、特に限定されることなく、例えば含金属アゾ染
料である「バリファーストブラック3804」、「ボン
トロンS−31」、「ボントロンS−32」、「ボント
ロンS−34」(以上、オリエント化学社製)、「T−
77」、「アイゼンスピロンブラックTRH」(以上、
保土ヶ谷化学社製)等、銅フタロシアニン染料、サリチ
ル酸のアルキル誘導体の金属錯体、例えば「ボントロン
E−81」、「ボントロンE−82」、「ボントロンE
−85」(以上、オリエント化学社製)、4級アンモニ
ウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(ヘキスト社
製)、ニトロイミダゾール誘導体等を挙げることができ
る。好ましくは、「T−77」、「アイゼンスピロンブ
ラックTRH」を用いることができる。
【0049】正帯電性荷電制御剤としては、特に限定さ
れることなく、例えばニグロシン染料として「ニグロシ
ンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブ
ラックSO」、「ボントロンN−01」、「ボントロン
N−07」、「ボントロンN−11」(以上、オリエン
ト化学社製)等、3級アミンを側鎖として含有するトリ
フェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例
えば「ボントロンP−51」(オリエント化学社製)、
セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARG
E PX VP435」(ヘキスト社製)等、ポリアミン樹脂、例
えば「AFP−B」(オリエント化学社製)、イミダゾ
ール誘導体等を挙げることができる。好ましくは、「ボ
ントロンN−07」、「AFP−B」を用いることがで
きる。以上の荷電制御剤は芯材中に0.1 〜8.0 重量%、
好ましくは0.2 〜5.0 重量%含有される。
【0050】本発明におけるカプセルトナーの製造方法
を以下に説明する。本発明のカプセルトナーは、製造設
備や製造工程の簡素化という点からin situ重合
法により製造される。
【0051】本発明の熱圧力定着用カプセルトナーの製
造方法は、次の(a)〜(c)の工程を有するものであ
る。 (a)芯材樹脂の構成モノマー、重合開始剤、着色剤、
および離型剤を含有してなる混合物中に、非晶質ポリエ
ステルを溶解する工程 (b)工程(a)で得られた混合物を水系分散媒中に分
散させ、非晶質ポリエステルが芯材構成材料の液滴の表
面に偏在した重合性組成物を得る工程 (c)工程(b)で得られた重合性組成物を重合させ、
非晶質ポリエステルよりなる外殻とそれに被覆された芯
材を形成する工程
【0052】この製造方法において、外殻形成は、芯材
構成材料と非晶質ポリエステルよりなる外殻構成材料の
混合液を分散媒中に分散させ、外殻構成材料が液滴の表
面に偏在するという性質を利用して行うことができる。
即ち、溶解度指数の差によって混合液の液滴中で芯材構
成材料と外殻構成材料の分離が起こり、その状態で重合
が進行してカプセル構造が形成される。この方法による
と、外殻がほぼ均一な厚みを持った非晶質ポリエステル
よりなる層として形成されるため、トナーの帯電特性が
均質になるという特徴を有する。
【0053】ところで、一般的なin situ重合に
よるカプセル化は、外殻となる樹脂のモノマー、開始剤
等を、分散相の相内もしくは外相の一方から供給し、重
合により外殻を形成してカプセル化物を得ることにより
行なわれる(「マイクロカプセル」三共出版(株)1987
年、近藤保、小石直純著)。一方、本発明におけるin
situ重合は、外殻樹脂の内部において、芯材樹脂
のモノマー、開始剤等が重合して芯材樹脂を形成するた
め、一般的なin situ重合によるカプセル化の場
合とは異なっているが、分散相の内相のみからモノマー
等が供給される点で両者は共通するため、本発明の方法
も広義のin situ重合に含まれるものである。
【0054】この方法では、分散質の凝集、合体を防ぐ
為に、分散媒中に分散安定剤を含有させておく必要があ
る。分散安定剤としては、例えばゼラチン、ゼラチン誘
導体、ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルホン
酸、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシ
メチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウ
ム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデ
シル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オ
クチル硫酸ナトリウム、アリル−アルキル−ポリエーテ
ルスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウ
リン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸
ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリ
ウム、オレイン酸カルシウム、3,3 −ジスルホンジフェ
ニル尿素−4,4 −ジアゾ−ビス−アミノ−β−ナフトー
ル−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベ
ンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5 −テトラメ
チル−トリフェニルメタン−4,4 −ジアゾ−ビス−β−
ナフトール−ジスルホン酸ナトリウム、コロイダルシリ
カ、アルミナ、リン酸三カルシウム、水酸化第二鉄、水
酸化チタン、水酸化アルミニウム、その他を使用するこ
とができる。これらの分散安定剤は二種以上を併用して
もよい。
【0055】前記分散安定剤の分散媒としては、例え
ば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタ
ノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトニト
リル、アセトン、イソプロピルエーテル、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン等が挙げられる。これらを単独ある
いは混合して用いることも可能である。
【0056】本発明における製造方法において、前記の
親水性樹脂の添加量は、芯材100重量部に対し、通常
2〜50重量部、好ましくは2〜30重量部、より好ま
しくは2〜20重量部である。2重量部未満であると外
殻の膜厚が薄くなりすぎて保存安定性が悪くなり、50
重量部を越えると高粘度になり微粒化が困難となり製造
安定性が悪くなる。
【0057】本発明では、さらに、次の(d)の工程よ
りなるseed重合を行って、カプセルトナーを製造す
ることが好ましい。 (d)in situ重合法により得られたカプセルト
ナーを前駆体粒子とし、該前駆体粒子の懸濁液に少なく
ともビニル重合性単量体とビニル重合開始剤を添加して
前駆体粒子中に吸収させた後、該前駆体粒子中の単量体
成分を重合させる工程
【0058】本発明においては、前記のようにして得ら
れるカプセルトナーを前駆体粒子として更にseed重
合を行った熱圧力定着用カプセルトナーを用いてもよ
い。従って、本発明においてカプセルトナーとは、前記
のようなin situ重合法単独で得られるものの
他、in situ重合とseed重合を組み合わせて
得られるものをも含むものである。
【0059】即ち、seed重合は前記のようにして得
られるカプセルトナー(以下、前駆体粒子という場合が
ある)の水系懸濁液に少なくともビニル重合性単量体と
ビニル重合開始剤を添加して前駆体粒子中に吸収させた
後、該前駆体粒子中の単量体成分を重合させるものであ
る。例えば、前記のin situ重合法による前駆体
粒子の製造後、懸濁状態のまま、直ちに少なくともビニ
ル重合性単量体とビニル重合開始剤を添加して前駆体粒
子中に吸収させ、該前駆体粒子中の単量体成分をsee
d重合させてもよい。こうすることにより製造工程をよ
り簡略化できる。なお、前駆体粒子中に吸収させるビニ
ル重合性単量体等は、予め水乳濁液として添加しても良
い。
【0060】添加する水乳濁液は、水にビニル重合性単
量体とビニル重合開始剤を分散安定剤と共に乳化分散さ
せたものであり、他に架橋剤、オフセット防止剤、荷電
制御剤等を含有させることもできる。
【0061】seed重合に用いるビニル重合性単量体
としては、前記の前駆体粒子の製造時に用いられるもの
と同じものでもよい。また、ビニル重合開始剤、架橋
剤、分散安定剤も、前記の前駆体粒子の製造時に用いら
れるものと同様のものを用いることができる。seed
重合に用いる架橋剤の使用量としては、ビニル重合性単
量体100 重量部に対して0.001 〜15重量部、好ましくは
0.1 〜10重量部で使用するのが良い。これらの架橋剤の
使用量が15重量部より多いと得られるトナーが熱で溶融
しにくくなり、熱定着性又は熱圧力定着性が劣ることと
なる。また使用量が0.001 重量部より少ないと、熱圧力
定着において、トナーの一部が紙に完全に固着しないで
ローラー表面に付着し、次の紙に転移するというオフセ
ット現象を防ぎにくくなる。
【0062】また、トナーの保存安定性の更なる向上の
ため、前記の非晶質ポリエステルを水乳濁液に添加して
もよい。そのときの添加量としては芯材100重量部に
対し、通常1〜20重量部、好ましくは3〜15重量部
である。このような水乳濁液は、超音波発振機等により
均一に分散させて調製することができる。
【0063】また、seed重合で用いる非晶質ポリエ
ステルの酸価は、in situ重合反応の場合と同様
に1〜30(KOHmg/g)であることが好ましく、
より好ましくは5〜15(KOHmg/g)である。1
(KOHmg/g)未満であると、殻材となる非晶質ポ
リエステルがseed重合中に界面に出にくくなり、得
られるトナーの保存安定性が悪く、30(KOHmg/
g)を越えるとポリエステルが水相へ移行しやすく製造
安定性が悪くなる。ここで酸価の測定方法は、JIS
K0070によるものである。
【0064】水乳濁液の添加量は、ビニル重合性単量体
の使用量が、前駆体粒子100重量部に対し10〜20
0重量部となるように調整する。10重量部未満では定
着性改良に効果が無く、200重量部を越えると均一に
単量体を前駆体粒子中に吸収させ難くなる。
【0065】水乳濁液の添加により、該ビニル重合性単
量体は前駆体粒子中に吸収されて前駆体粒子の膨潤が起
こる。そして、この状態で前駆体粒子中の単量体成分が
重合する。即ち、前駆体粒子を種粒子とするseed重
合である。
【0066】このようにして更にseed重合させる
と、in situ重合法単独で製造されたカプセルト
ナーと比較して、つぎの点がより改善されることにな
る。即ち、in situ重合法で製造したカプセルト
ナーは、低温定着性と保存安定性の点で従来のものより
優れるが、seed重合法を更に行うことにより、界面
科学的により均一な外殻が形成され、更なる保存安定性
が優れるものとなる。また、芯材の重合性単量体を2段
(in situ重合反応およびseed重合反応)に
分けて重合させることができるため、さらに、架橋剤を
適宜使用することにより、芯材中の熱可塑性樹脂の分子
量制御が容易になり、低温定着性と耐オフセット性をよ
り良好にすることができる。特に高速での定着のみなら
ず低速での定着にも適したトナーを提供することができ
る。
【0067】また、帯電制御を目的として本発明におけ
るカプセルトナーの外殻材料中には先に例示した如き荷
電制御剤を適量添加してもよいし、また、この荷電制御
剤をトナーと混合して用いることもできるが、外殻自身
で帯電性を制御しているため、それらを添加する場合で
も添加量は少なくてすむ。
【0068】なお、本発明におけるカプセルトナーの粒
径は別段制約を受けるものではないが、平均粒径は通常
3〜30μm とされる。カプセルトナーの外殻の厚みは0.
01〜1μm が好ましく、0.01μm 未満では耐ブロッキン
グ性が悪化し、1μm を超えると熱溶融性が悪化し好ま
しくない。
【0069】本発明におけるカプセルトナーには、必要
に応じて、流動性向上剤、クリーニング性向上剤などを
用いることができる。流動性向上剤としては、例えばシ
リカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタ
ン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸スト
ロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰
石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガ
ラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコ
ニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウ
ム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができ
る。特にシリカの微粉末が好ましい。
【0070】なお、シリカの微粉末は、Si−O−Si
結合を有する微粉末であり、乾式法及び湿式法で製造さ
れたもののいずれであってもよい。また、無水二酸化ケ
イ素のほか、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、
ケイ酸カリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸亜鉛など
いずれであってもよいが、 SiO2 を85重量%以上含むも
のが好ましい。また、シラン系カップリング剤、チタン
系カップリング剤、シリコンオイル、側鎖にアミンを有
するシリコンオイルなどにより表面処理されたシリカの
微粉末などを用いることができる。
【0071】クリーニング性向上剤としては、ステアリ
ン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高
分子量体の微粒子粉末などがある。更に現像性を調整す
るための添加剤、例えばメタクリル酸メチルエステル、
メタクリル酸ブチルエステル等の重合物の微粒子粉末な
どを用いてもよい。更に調色、抵抗調整などのために少
量のカーボンブラックを用いてもよい。カーボンブラッ
クとしては従来公知のもの、例えばファーネスブラッ
ク、チャネルブラック、アセチレンブラックなどの種々
のものを用いることができる。
【0072】本発明の熱圧力定着用カプセルトナーは、
磁性体微粉末を含有するものであるときには単独で現像
剤として用いられ、また磁性体微粉末を含有しないもの
であるときは、非磁性一成分系現像剤、またはキャリア
と混合して二成分系の現像剤を調製して用いることがで
きる。キャリアとしては、特に限定されないが、鉄粉、
フェライト、ガラスビーズ等、又はそれらの樹脂被覆し
たもの、更にはマグネタイト微粉、フェライト微粉を樹
脂中に練り込んだ樹脂キャリア等が用いられ、トナーの
キャリアに対する混合比は0.5 〜20重量%である。また
キャリアの粒径としては、15〜500 μm のものが用いら
れる。
【0073】本発明の熱圧力定着用カプセルトナーは熱
と圧力を併用して紙等の記録材に定着させることにより
良好な定着強度を与えるが、熱圧力定着方法としては、
熱と圧力が併用されておれば、公知の熱ローラー定着方
式、又は例えば特開平2−190870号公報記載の如く、記
録材上の未定着のトナー画像を加熱部と耐熱シートから
構成された加熱手段により、該耐熱性シートを介して加
熱溶融させ、定着せしめる定着方式、又は例えば特開平
2−162356号公報記載の如く、固定支持された加熱体
と、該加熱体に対向圧接し、且つフィルムを介して記録
材を該加熱体に密着させる加圧部材とにより、該トナー
の顕画像を記録材に加熱加圧定着する方式等の方法が本
発明のカプセルトナーの定着に適している。
【0074】
【実施例】以下、実施例、比較例および試験例により本
発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施
例等によりなんら限定されるものではない。
【0075】樹脂製造例 ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物(BPA
・PO)600.0g、ビスフェノールAのエチレンオ
キシド付加物(BPA・EO)100.0g、テレフタ
ル酸(TPA)275.6g、ドデセニル無水コハク酸
(DSA)80.4g、無水トリメリット酸(TMA)
4.8g、および酸化ジブチル錫2.5gをガラス製2
リットルの四つ口フラスコに入れ、温度計、ステンレス
製攪拌棒、流下式コンデンサー、および窒素導入管を取
り付け、マントルヒーター中で、窒素気流下にて220
℃にて反応せしめた。
【0076】重合度は、ASTM E28−67に準拠
した軟化点より追跡を行い、軟化点が115℃に達した
とき、反応を終了した。この樹脂を樹脂Aとする。この
樹脂Aの組成を表1に示す。また、樹脂Aの軟化点、ガ
ラス転移点および酸価を表2に示す。ここで、軟化点、
ガラス転移点および酸価は、以下の方法により測定した
ものである。
【0077】〔軟化点〕高化式フローテスター(島津製
作所製)を用い、1cm3 の試料を昇温速度6℃/分で
加熱しながら、プランジャーにより20kg/cm2
荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルを押し出
すようにし、これによりフローテスターのプランジャー
降下量(流れ値)−温度曲線を描きそのS字曲線の高さ
をhとするときh/2に対応する温度を求める。
【0078】〔ガラス転移点〕示差走査熱量計(セイコ
ー電子工業社製)を用い、昇温速度10℃/分で測定した
際に、ガラス転移点以下のベースラインの延長線とピー
クの立ち上がり部分からピークの頂点までの間での最大
傾斜を示す接線との交点の温度を求める。
【0079】〔酸価〕JIS K0070に準ずる方法
により測定する。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】実施例1 スチレン70.0重量部、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル30.0重量部、ジビニルベンゼン1.02重量部、
シリコーンオイル「KF54」(信越化学工業製,メチ
ル・フェニルシロキサン構造)7.0重量部、およびカ
ーボンブラック「#44」(三菱化成社製)7.0重量
部に、樹脂A10重量部および2,2’−アゾビスイソ
ブチロニトリル2.8重量部を添加し、アトライター
(三井三池化工機社製)に投入し、10℃にて5時間分
散し、重合性組成物を得た。次いで、2リットルのガラ
ス製セパラブルフラスコに予め調製したリン酸三カルシ
ウム4重量%の水性コロイド溶液560gに前記の重合
性組成物240gを添加し、TKホモミキサー(特殊機
化工業社製)を用いて15℃にて回転数12000rp
mで5分間乳化分散させた。次に、四つ口のガラス製の
蓋をし、還流冷却管、温度計、窒素導入管、ステンレス
スチール製攪拌棒を取り付け、電熱マントルヒーター中
に設置した。窒素下にて攪拌を続けながら、65℃まで
昇温し5時間反応し、その後95℃まで昇温し5時間反
応せしめた。冷却後、10%塩酸水溶液にて分散媒を溶
かし、濾過、水洗を経て風乾後、45℃にて12時間、
20mmHgで減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平
均粒径8μmの外殻が非晶質ポリエステルであるカプセ
ルトナーを得た。このカプセルトナー100重量部に疎
水性シリカ微粉末「アエロジルR−972」(日本アエ
ロジル社製)0.4重量部を加えて混合し、トナー1を
得た。
【0083】実施例2 スチレン77.0重量部、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル23.0重量部、ジビニルベンゼン0.75重量部、
フィッシャートロプシュワックス「SPRAY−10
5」(サゾール社製)10.0重量部、およびグラフト
化カーボンブラック「505−P」(菱有工業製)2
0.0重量部に、樹脂A10重量部および2,2’−ア
ゾビスイソブチロニトリル3.2重量部を添加し、アト
ライター(三井三池化工機社製)に投入し、10℃にて
5時間分散し、重合性組成物を得た。次いで、2リット
ルのガラス製セパラブルフラスコにて予め調製したリン
酸三カルシウム4重量%の水性コロイド溶液560gに
対して前記の重合性組成物240gを添加し、TKホモ
ミキサー(特殊機化工業社製)を用いて15℃にて回転
数12000rpmで5分間乳化分散させた。次に、四
つ口のガラス製の蓋をし、還流冷却管、温度計、窒素導
入管、ステンレススチール製攪拌棒を取り付け、電熱マ
ントルヒーター中に設置した。窒素下にて攪拌を続けな
がら、65℃まで昇温し5時間反応し、その後95℃ま
で昇温し5時間反応せしめた。冷却後、10%塩酸水溶
液にて分散媒を溶かし、濾過、水洗を経て風乾後、45
℃にて12時間、20mmHgで減圧乾燥し、風力分級
機にて分級し、平均粒径8μmの外殻が非晶質ポリエス
テルであるカプセルトナーを得た。このカプセルトナー
100重量部に疎水性シリカ微粉末「アエロジルR−9
72」(日本アエロジル社製)0.4重量部を加えて混
合し、トナー2を得た。
【0084】実施例3 スチレン80.0重量部、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル20.0重量部、ジビニルベンゼン0.15重量部、
シリコーンオイル「KF96−100」(信越化学工業
製,ジメチルシロキサン構造)3.0重量部、フィッシ
ャートロプシュワックス「SPRAY−105」(サゾ
ール社製)5.0重量部、カーボンブラック「#44」
(三菱化成社製)7.0重量部に、樹脂Aを10重量
部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.27重
量部を添加し、アトライター(三井三池化工機社製)に
投入し、10℃にて5時間分散し、重合性組成物を得
た。次いで、2リットルのガラス製セパラブルフラスコ
にて予め調製したリン酸三カルシウム4重量%の水性コ
ロイド溶液560gに対して前記の重合性組成物240
gを添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を
用いて15℃にて回転数12000rpmで5分間乳化
分散させた。次に、四つ口のガラス製の蓋をし、還流冷
却管、温度計、窒素導入管、ステンレススチール製攪拌
棒を取り付け、電熱マントルヒーター中に設置した。窒
素下にて攪拌を続けながら、65℃まで昇温し5時間反
応し、その後95℃まで昇温し5時間反応せしめた。冷
却後、10%塩酸水溶液にて分散媒を溶かし、濾過、水
洗を経て風乾後、45℃にて12時間、20mmHgで
減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径8μmの
外殻が非晶質ポリエステルであるカプセルトナーを得
た。このカプセルトナー100重量部に疎水性シリカ微
粉末「アエロジルR−972」(日本アエロジル社製)
0.4重量部を加えて混合し、トナー3を得た。
【0085】実施例4 スチレン77.0重量部、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル23.0重量部、ジビニルベンゼン0.75重量部、
フィッシャートロプシュワックス「SPRAY−10
5」(サゾール社製)10.0重量部、およびグラフト
化カーボンブラック「505−P」(菱有工業製)2
0.0重量部に、樹脂Aを10重量部、2,2’−アゾ
ビスイソブチロニトリル3.2重量部を添加し、アトラ
イター(三井三池化工機社製)に投入し、10℃にて5
時間分散し、重合性組成物を得た。次いで、2リットル
のガラス製セパラブルフラスコにて予め調製したリン酸
三カルシウム4重量%の水性コロイド溶液560gに対
して前記の重合性組成物240gを添加し、TKホモミ
キサー(特殊機化工業社製)を用いて15℃にて回転数
12000rpmで5分間乳化分散させた。次に、四つ
口のガラス製の蓋をし、還流冷却管、温度計、窒素導入
管、ステンレススチール製攪拌棒を取り付け、電熱マン
トルヒーター中に設置した。窒素下にて攪拌を続けなが
ら、65℃まで昇温し5時間反応し、その後95℃まで
昇温し5時間反応を行ない種粒子として、室温まで冷却
し、トナー前駆体粒子を得た。次いで、該前駆体粒子の
水系懸濁液中に、超音波発信器(US−150、(株)
日本精機製作所製)にて調製したスチレン28.8重量
部、アクリル酸2−エチルヘキシル11.2重量部、
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2.4重量部、
ジビニルベンゼン0.4重量部、ラウリル硫酸ナトリウ
ム0.2重量部、および水80重量部からなるエマルシ
ョン溶液123.0重量部を滴下し、窒素下にて攪拌を
続けながら、2段目の重合として85℃まで昇温し10
時間反応せしめた。冷却後、10%塩酸水溶液にて分散
媒を溶かし、濾過、水洗を経て風乾後、45℃にて12
時間、20mmHgで減圧乾燥し、風力分級機にて分級
し、平均粒径8μmの外殻が非晶質ポリエステルである
カプセルトナーを得た。このカプセルトナー100重量
部に疎水性シリカ微粉末「アエロジルR−972」(日
本アエロジル社製)0.4重量部を加えて混合し、トナ
ー4を得た。
【0086】比較例1 実施例1において、ジビニルベンゼンの使用量を2.5
重量部に変更した以外は実施例1と同様の操作により、
表面処理まで行いカプセルトナーを得た。これを比較ト
ナー1とする。
【0087】比較例2 実施例1において、2,2’−アゾビスイソブチロニト
リルの使用量を10.0重量部に変更した以外は、実施
例1と同様の操作により、表面処理まで行いカプセルト
ナーを得た。これを比較トナー2とする。
【0088】比較例3 実施例2においてスチレンを85.0重量部、アクリル
酸2−エチルヘキシル15.0重量部に変更し、重合性
組成物を乳化させたものを90℃に昇温し、10時間反
応させた以外は、実施例2と同様の操作により、表面処
理まで行いカプセルトナーを得た。これを比較トナー3
とする。
【0089】比較例4 実施例3において、スチレンを95.0重量部、アクリ
ル酸2−エチルヘキシル5.0重量部に変更した以外
は、実施例3と同様の操作により、表面処理まで行いカ
プセルトナーを得た。これを比較トナー4とする。
【0090】トナー1〜4、および比較トナー1〜4
の、トナーの軟化点、芯材中の樹脂に由来するガラス転
移点、およびG’を表3に示す。ここで、軟化点および
ガラス転移点は、樹脂Aと同様の方法により測定したも
のであり、G’は以下の測定方法により測定したもので
ある。
【0091】〔G’の測定方法〕以下の測定条件によ
り、レオメトリックス社製のRDA−II ダイナミック
アナライザーを用いて測定する。 (測定条件) ジオメトリー:パラレルプレート(半径12.5mm) 周波数:100rad/sec 測定温度:120℃および200℃ 歪み:2〜5%
【0092】
【表3】
【0093】試験例 以上の実施例及び比較例で得られたトナーについて、定
着性試験を行った。試験は実施例及び比較例で得られた
トナー各々6重量部と250〜400メッシュの粒度を
有するスチレン/メチルメタクリレート樹脂で被覆され
た球形フェライト粉94重量部とをポリ容器に入れ、回
転数が150rpmで20分間容器ごとローラー上で回
転混合して得られた現像剤を用いて行った。
【0094】定着性試験は以下に述べる方法にて行っ
た。即ち、市販の電子写真複写機(感光体はセレン−砒
素、定着ローラーの回転速度は255mm/秒、定着装
置中の熱圧力温度を可変にし、オイル塗布装置を除去し
たもの)を用いて前述の調製済み現像剤の画像出しを行
った。定着温度を70〜240℃にコントロールし、画
像の定着性を評価した。
【0095】定着性は、最低定着温度により評価した。
ここでの最低定着温度とは、底面が15mm×7.5mm の砂消
しゴムに500gの荷重を乗せ、定着機を通して定着された
画像の上を5往復こすり、こする前をマクベス社の反射
濃度計にて光学反射密度を測定し、以下の定義による定
着率が70%を越える際の定着ローラーの温度をいう。 定着率=(こすった後の像濃度/こする前の像濃度)
【0096】耐オフセット性は、低温オフセット消滅温
度及び高温オフセット発生温度を測定して得られた非オ
フセット域により評価した。即ち、ヒートローラ表面の
温度を70〜240℃の範囲で5℃ずつ昇温してコピー
試験を行ない、各温度でトナーのヒートローラ表面上へ
の付着を肉眼により評価した。トナー1〜4、および比
較トナー1〜4の評価結果を表4に示す。
【0097】
【表4】
【0098】表4から明らかなように、トナー1〜4は
比較トナー1〜4と比較して、低温定着性に優れ、かつ
低温から高温まで、広い温度範囲で耐オフセット性を有
するものであることが分かる。
【0099】
【発明の効果】本発明の熱圧力定着用カプセルトナーに
よれば、熱圧力定着方式において低温定着性に優れ、か
つ広い温度範囲で耐オフセット性を有し、高画質の画像
を安定して提供することができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも熱可塑性樹脂と着色剤を含有
    する熱溶融性芯材と、その芯材の表面を被覆するように
    設けた親水性樹脂よりなる外殻により構成される熱圧力
    定着用カプセルトナーにおいて、周波数100rad/
    secにおけるトナーの貯蔵弾性率が、120℃におい
    て1×105 〜5×106 dyn/cm2 であり、かつ
    200℃において5×103 〜1×105 dyn/cm
    2 であることを特徴とする熱圧力定着用カプセルトナ
    ー。
  2. 【請求項2】 外殻の主成分が非晶質ポリエステルであ
    り、前記非晶質ポリエステルの軟化点が90〜130
    ℃、ガラス転移点が50〜80℃および酸価が1〜30
    (KOHmg/g)である請求項1記載の熱圧力定着用
    カプセルトナー。
  3. 【請求項3】 熱溶融性芯材が離型剤として、シリコー
    ンオイルおよび/またはフィッシャートロプシュワック
    スを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の熱
    圧力定着用カプセルトナー。
  4. 【請求項4】 熱溶融性芯材の主成分となる熱可塑性樹
    脂に由来するガラス転移点が20〜60℃である請求項
    1〜3いずれか記載の熱圧力定着用カプセルトナー。
  5. 【請求項5】 次の(a)〜(c)の工程を有するin
    situ重合法により、少なくとも熱可塑性樹脂と着
    色剤を含有する熱溶融性芯材と、その芯材の表面を被覆
    するように設けた親水性樹脂よりなる外殻により構成さ
    れる熱圧力定着用カプセルトナーであって、周波数10
    0rad/secにおけるトナーの貯蔵弾性率が、12
    0℃において1×105 〜5×106 dyn/cm2
    あり、かつ200℃において5×103 〜1×105
    yn/cm2 であるカプセルトナーを製造することを特
    徴とする熱圧力定着用カプセルトナーの製造方法、
    (a)芯材樹脂の構成モノマー、重合開始剤、着色剤、
    および離型剤を含有してなる混合物中に、非晶質ポリエ
    ステルを溶解する工程と、(b)工程(a)で得られた
    混合物を水系分散媒中に分散させ、非晶質ポリエステル
    が芯材構成材料の液滴の表面に偏在した重合性組成物を
    得る工程と、(c)工程(b)で得られた重合性組成物
    を重合させ、非晶質ポリエステルよりなる外殻とそれに
    被覆された芯材を形成する工程。
  6. 【請求項6】 さらに、次の(d)の工程よりなるse
    ed重合を行って、カプセルトナーを製造する請求項5
    記載の製造方法、(d)in situ重合法により得
    られたカプセルトナーを前駆体粒子とし、該前駆体粒子
    の懸濁液に少なくともビニル重合性単量体とビニル重合
    開始剤を添加して前駆体粒子中に吸収させた後、該前駆
    体粒子中の単量体成分を重合させる工程。
  7. 【請求項7】 非晶質ポリエステルの軟化点が90〜1
    30℃、ガラス転移点が50〜80℃および酸価が1〜
    30(KOHmg/g)である請求項5または6記載の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 離型剤がシリコーンオイルおよび/また
    はフィッシャートロプシュワックスである請求項5〜7
    いずれか記載の製造方法。
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